150001 - 行方の捜索 (ねえ、人間さん? 私、いまでもよく考えることがあるんです。) (最初に出会った安い居酒屋で、3,980円のコースを頼んだくせに女子に2,500円も払わせるしょぼい合コン。) (あの場で私はどうしてあなたのエルマイトに気づかなかったんだろうって。 きっとそれは、あなたが一箇所だけを見ているんじゃなくて、全体のことばかり気にしていて散漫になっていたんじゃないでしょうか。) (なーんて。 そうだといいな、なんていう願望です。) (だって隣の露出ばかり高い子の谷間に気が向いてたなんて、なんだか腹立たしいじゃないですか――) (背景切換...) スーリエ・ヴェール: 次の予定はドラゴニュートからの使者と謁見の予定です。 あと8分ほどで支度をなされば問題ありません シンデレラ: そう。ありがとう、スーリエさん。 夜の準備はできてるのよね? スーリエ・ヴェール: 例の宴、ですか……? もちろん準備はしていますけど、陛下 シンデレラ: ……よして。お説教なら聞きたくないわ スーリエ・ヴェール: 陛下に意見など シンデレラ: そういうへりくだった態度もやめてください。 私のマナー講師だったでしょう? スーリエ・ヴェール: それとこれとは話が違うでしょう? シンデレラ: 数少ない本音で話せる相手を私から奪うのはマナー違反じゃないわけ? スーリエ・ヴェール: だったら言わせてもらうけど、エラ……いくらなんでも、あれはやりすぎよ。 禍根を残しては後々の政治に響くわ。 今後もずっと徹底して恐怖で支配するつもりなら別だけど シンデレラ: ……わかってるわよ。 でも私は人間さんが作ってくれたこの平和な世界を壊したくなくて…… シャトー: 陛下。急ぎご報告したいことが スーリエ・ヴェール: シャトー?なに、陛下はお忙しいのよ シンデレラ: シャトーがわざわざ出てくるなんてよっぽどじゃないの。 なによ、聞いてあげましょうよ シャトー: 実は……公務中、陛下はスホマを切っていらっしゃるため、こちらに連絡が来まして…… (背景切換...) アルブス・ツークツワンク: 以上、ご報告です。それでは失礼します アリス・ミルズ: はぁ…… ヴェルメリオ: ……まだ、見つからないんだね アリス・ミルズ: ヴェル殿!あ、いえ、まだそういうわけでは ピュルテ: いえ、そんなに広い森でもないんです。 これだけ探しても見つからないなら、もしかしたらきっと…… アリス・ミルズ: きっと、って……? ピュルテ: すみません、スホマにチャージしていたエルマイトが切れちゃって。 あの、アリス・ミルズさんのスホマ、貸してもらえませんか ピュルテ: みんなに……仲間に、ちゃんと連絡したいんです (背景切換...) ジャコヴァ: なるほど? それで13号委員の姿が見当たらないわけだな フアナ: う、うん……それに、エミリーとシンデレラ、ドロシーも欠席なんだけど、それもたぶん…… ヴィルヘルミナ: いいわよ別に。今日は当たり障りのない慈善団体の承認だけだし。 『チャリティー・スケール』だっけ? 無害そうな人たちだったわ ジャコヴァ: コミッティの名にかけて徹底して探し出せ。 特務機関も全部隊使っても構わない ヴィルヘルミナ: ……姉さん ジャコヴァ: なんだ。文句は言わせないぞ。 やつがいなくなったのはこのコミッティ直轄領内だ。 誘拐犯をみすみす逃がしたとあれば権威にもかかわる ヴィルヘルミナ: ……。いいわ、非常事態扱いで動いてちょうだい。 議長と副議長、あわせて3名の同意があれば問題ないから フアナ: えっと、じゃあシンデレラにも…… ヴィルヘルミナ: もう連絡はいってるでしょう。 書類は後でいいから同意だけとっておいて フアナ: わ、わかった…… フアナ: あたしはダメだな、こんなときなのに、副議長なのに、自分の判断で何ひとつ動けていないなんて…… ヴィルヘルミナ: そのためにワタシがここにいるんでしょ。 こんなものは慣れだから。さっさとワタシを退任させてちょうだいね フアナ: ヴィルヘルミナ…… (背景切換...) リル: なるほど、子供の捜索中に行方不明に、か…… クレア: 人間さんらしいかも ヴェルメリオ: ……そうだね。誰かのために一生懸命になれる人だから。でも ピュルテ: ここまで探して見当たらないのはおかしいんです。 だから私、不安になってきちゃって ティンカー・ベル: 不安って、まさか エミリー: 人間界に戻っちゃったんじゃないか、ってことでしょぉ? そんなことあるかなぁ ドロシー: 人間さんがこっちに来たのだって経緯はよくわからないじゃない。 うっかり自分で意識しないうちに何か起こっても不思議じゃないわ ティンカー・ベル: 姐さんは? ヴェルメリオ: ……もう少しで着くと思うよ ドロシー: ほんっと……8人が久々に揃ったと思ったら、こんな話題だなんてね 150002 - 久しぶりの集合 (久しぶりに会ったみんなは全然変わってなくて。 人間さんが行方不明なんていう大変なときに不謹慎なんですけどすごくうれしくなっちゃったのを覚えてます。) (会って数秒なのに、ずっといっしょに行動してたんじゃないかって感じで当たり前にそこにいるのって、すごくないですか?) (本当はすっごく不安で、もうひとりじゃ抱えきれなくて。 ヴェルちゃんがいてくれたからまだ良かったですけど……でもみんなが集まったら急に自信がわいてきたんです。) (このメンバーが揃えばなんだってできる!って……。 だって私たち、世界を救っちゃったんですもんね。) (背景切換...) シンデレラ: ふーっ、すっきりした ティンカー・ベル: あ、姐さん。プリンセスバージョンのメイク、もう落としたの? 新鮮だからもうちょっと見てたかったのに シンデレラ: さんざん別人だとかイジるくせに ヴェルメリオ: ……実際いまでも別人としか思えないんだけどね ドロシー: それで、ピュルテは本当に人間界に行っちゃったと思うわけ? ピュルテ: はい。理由は3つあります。 1つは私の感知能力に未だに引っかからないこと クレア: ピュルテが人間さんのエルマイトを察知できないわけないもんね ピュルテ: そしてもう2つめ、コミッティ特務機関の捜査にすら何も引っかかってこないことです シンデレラ: ……確かに、それは妙ね ティンカー・ベル: でもさあ、ピュルテたちは迷子の子供に気を取られていて、人間さんがいなくなったのに気づいたのってしばらく経ってからでしょ ヴェルメリオ: ……人間さんが子供の捜索に出発してから、わたしたちが異変に気付くまで約4時間かかってる リル: それだけの時間があれば、例えば人間さん殿を誘拐した犯人がいたとして逃げおおせるには十分なんじゃないか? ドロシー: いえ、それはないわね リル: 何故そう言い切れる エミリー: コミッティ直轄領内には……数え切れないくらいたくさんの記録用映像スフィアがあるんだよねぇ ティンカー・ベル: ええっ!? なにそれ! クレア: 見つからないってことは、この国を歩いてないってこと? シンデレラ: もちろん映像スフィアだから顔に袋をかぶせたりとか、箱に入れて運び出すとか、工夫の余地はあるだろうけど…… ドロシー: あの特務機関が全部隊出動させてるのよ。 そういう可能性も含めて過去映像を洗っていると考えるべきね ティンカー・ベル: 見逃すはずがない、ってことかぁ ヴェルメリオ: ……ピュルテ。3つ目って? ピュルテ: 実はですね、皆さん。 いなくなったのは人間さんだけじゃないみたいなんです (背景切換...) ジャコヴァ: それで、人間界か ヴィルヘルミナ: アナタがついていながら、とんでもない失態ね レオナ: うるさいなぁ、ヴィル。言っとくけど、私が雨依と一緒にいたのは友達だからだよ。 公務じゃないんだからね。そもそも、私はもうコミッティのメンバーでもないし…… ジャコヴァ: では、お前は友達を守りきれなかった。それでいいな? レオナ: ……だからこうして、相談してるんじゃん ヴィルヘルミナ: ……雨依と人間さんが揃って消えたとなれば、人間界に戻った……戻ってしまった、と考えるのが自然でしょうね ヴィルヘルミナ: これでおそらく旧コミッティ以外にも、雨依が人間界から来たことを推測することは容易になったわ レオナ: 時間の問題だったでしょ。 隠し通すつもりだってなかったんじゃないの? 特にドロシーみたいなキレ者をコミッティに迎えといてさ ジャコヴァ: 問題は、そこではない ヴィルヘルミナ: ……そうね。知っている人は知っている話よね ジャコヴァ: いずれ来るときだったかもしれない。それは仕方ないだろう。 問題は……『奴ら』にこれを知られることだ レオナ: ……エルマイトもディマイトも、それぞれ強力な供給源を失った。 GR2を握っているとはいえ、妙なことを考えるきっかけになるかもね ジャコヴァ: そう、バカが図に乗る。私がいる限り好き勝手はさせないがな (背景切換...) ティンカー・ベル: そっか……雨依もいなくなっちゃったんだ ピュルテ: 私、なんとなく思うんです。雨依さんてもしかしたら、人間界の人だったんじゃないかって ドロシー: 有り得そうな話ね。 あの子、グリムと繋がってるみたいだったけどなんで?って感じだし。 創造期も聞いたことないわ エミリー: グリムのことなのに、エミリーはよくわかんなくてごめんねぇ。 そういうこと、全部上の3人で回してたから ティンカー・ベル: ま、わかったところでどうしようもないし。 でも……じゃあ人間界に行っちゃったとしたら、このまま……なのかな ヴェルメリオ: ……それが、あの人の幸せなのかもしれないよね。 ……でもっ、ちゃんとお別れも言えないままなんて……っ クレア: だったらさ、確かめてみない? シンデレラ: え? 何を、どうやって……? 150003 - 可能性を求めて (まさか人間さん抜きで、この8人が揃って旅するなんて想像もしていませんでした。) (結構これで旅の道中は賑やかだったんですよ。 お互いに近況を話したりして、なんだか人間界でいう同窓会みたいでした。) (でもあれは、もしかしたら人間さんがいないことを埋めるために、みんなが必死で取り繕っていた結果なのかもしれません――) (背景切換...) シンデレラ: あともう少しでロゼッタ・ゲートよ ティンカー・ベル: なるほどねー。 確かにロゼッタなら、何かやってくれそうだよね リル: 現在の人間さん殿の可能性を探れば、自ずと……いま現在があってこその可能性だからな クレア: どう? 悪くないよね ピュルテ: もしかしたら戻ってきてもらうための方法だってロゼッタさんならわかるかもしれませんし エミリー: いまエミリーたちがとれる行動って、他に思いつかないもんねぇ (背景切換...) ピュルテ: ――ということなんです ロゼッタ: オフコース! 確かに人間さんの可能性を探ってみれば、いまどんなことが起きてるかわかるかも! ドロシー: それじゃあ頼める? ロゼッタ: ジャストアモーメント。 いまミーの力を溜めていくから……んんっ、んんんんんんっ!! ヴェルメリオ: ……あ、見て! ゲートの向こうに映像が広がって…… (背景切換...) ヴァナルガンド: お前、キモいですね ヨルムンガンド: とかなんとか言っちゃって、本当はお姉ちゃん、お兄さんのこと大好きなんでしょ? ヴァナルガンド: いいから、さっさと食べてください。 ジビエは日持ちしませんから 人間さん: むぐむぐ……うん、美味い ヴァナルガンド: ならよかったです。 ……別にお前を喜ばせたいわけじゃないですけど一応、助けてもらったお礼なので バルドル: 人間さんくんの前ではヴァンさんも表情が緩んじゃうね ヘル: ふん、なんなのよ。ちょっと助けてもらったからって。 私は最初から人間さんには丁寧に接してたわよね 人間さん: 実験材料って公言してなかったか……? ヘル: だから実験材料として丁寧に、ってことよ。 他に何があるっていうわけ? ヴァナルガンド: 人間さんの前で浮かれてるのはそっちじゃないですか ヘル: はあ!? なんか言った!? ヨルムンガンド: お兄さん、モテモテですね? でもヨルちゃんとも仲良くしてくださいねー? 人間さん: いやあ、これモテてるっていうのかな (背景切換...) ピュルテ: …… シンデレラ: …… ドロシー: なに、これ ロゼッタ: えっと……これ別にミーが何かしたとかじゃないわよ? 可能性のひとつというか ティンカー・ベル: いやもう十分でしょ。 あいつ、知らない女の子たちに囲まれてハーレム気取りでヘラヘラしてんでしょ ヴェルメリオ: ……わたしたち、もう終わりかもね エミリー: 腹立つ。エミリーがこんなに心配してあげたのに クレア: でもさ、さっきのあれって誰? で、どこ? ロゼッタ: あ……そう、そうなのよ。 オトギノクニのどこかなら、ミーも場所はここだって言えるんだけど シンデレラ: つまり、あれはオトギノクニじゃないってこと? ピュルテ: 人間界とも違うようでした。 誰もスマホ持ってませんでしたし エミリー: 人間界ではそんなにずっとスマホ見てるものなの……? こっちのスホマってただの連絡手段だけど、違うのかなぁ リル: まあ、ピュルテが言うなら間違いないだろう。 となると、導き出される答えは…… ドロシー: 人間界でもオトギノクニでもない、第三の場所にいるってこと……? クレア: ちょっと話が変わってくるよね ティンカー・ベル: 人間さんってばバカだから、かわいい女の子に逆ナンされてほいほいついていっちゃったんじゃないの? けど、そいつらは実は誘拐目的で……とか エミリー: 普通にありそうなのが頭痛いよねぇ ヴェルメリオ: ……わざわざ異世界みたいなところまで来て? シンデレラ: まず整理しましょう。心配してるのに腹立つとか、私というものがありながら、みたいなことは一旦おいとくとして人間さんはおそらく無事 ロゼッタ: それはノーダウトだわ。 死んじゃってたらあんな可能性出てこないし、大怪我や病気みたいなアクシデントにもエンカウントしてないはず シンデレラ: 居場所は不明。でも人間界じゃないしオトギノクニでもなさそう。 今すぐ身の危険が及ぶこともないだろうけど、あまり悠長にもしていられない クレア: あの子たちは仲間なのかな? リル: おそらくな。人間さん殿を騙していることも考えられるが、その場合、わざわざあんなわかりやすいツンデレを演じる必要はない。 もっと甘い言葉でたぶらかせばいい ピュルテ: リルちゃんにわかりやすいツンデレとか言われちゃってる リル: な、なんだ、どういう意味だっ ドロシー: つまり……悲観する必要はないけど、人間さんの居場所はさっさと探し出したほうがいい、ってことね エミリー: 人間さんに帰ってくるつもりがあれば、だけどねぇ ヴェルメリオ: ……帰ってきたいはずだよ。 だってこの世界の住人になるって決断をしてくれた人だもん ドロシー: ヴェル…… ヴェルメリオ: ……それに、さっきの場面だって断片的なものだし ティンカー・ベル: そりゃまあそうか ヴェルメリオ: ……ちゃんと自分の口で弁明してもらわなきゃ ティンカー・ベル: ずきん、ちょっと目が怖いよ? 150004 - 異世界へのアクセス (口ではみんないろいろ言ってましたけど、あのとき絶対本心ではホッとしてたはずですよ。生きててくれたんだ――って、それだけで嬉しかったですもん。) (だから、ロゼッタさんのところに行く前より、戻る道のほうがずっとみんなも口数が多かったし賑やかでしたよ。) (ま、内容は人間さんがヘルさんたちに囲まれてどれだけだらしない顔をしていたか、なんてことばかりでしたけど……それはしょうがないですよね? 本当にだらしなかったし。) (まだこの時点では、異世界なんて聞いても全然、何をどうしたら人間さんに会えるかなんて見当もつかなくて、それでも……きっとまた会えるんだって、みんな希望に満ち溢れてたんですよね。) (背景切換...) クレア: 異世界かぁ…… ピュルテ: ロゼッタさんの能力で行けるわけではなさそう、ってことでしたね ドロシー: 一応、試してみてくれるとは言ってたけど エミリー: そもそもロゼッタだって、可能性をいろいろ覗き見できるだけで異世界と行き来する能力なんかじゃないもんねぇ ヴェルメリオ: ……そんな人、いないもんね。どうしたらいいんだろ シンデレラ: 難しく考えたって仕方ないわよ。とりあえず乾杯しましょ ティンカー・ベル: もうお酒注文してるし シンデレラ: 喉が乾いちゃったのよ。 だって砂漠って暑いんだもん リル: 北国にいるときは身体を温めるため、という理由で飲酒するんだろう? まあ、もはや止めるつもりもないが シンデレラ: じゃあかんぱーい! ごくっ、ごくっ、ごくっ、ぷっはー!! クレア: 幸せそうに飲むね。こっちまでなんだか楽しくなる エミリー: クレアがごはん食べてるところも、わりとそんな感じだよ? ドロシー: 私、ちょっと心当たりがあるのよね ピュルテ: 異世界に行く方法ですか? あっ、そっか、ドロシーさんも本来は ドロシー: そう。私はどうやってカンザスに来たのか。そこを探っていったらヒントがつかめるんじゃないかと思うの ティンカー・ベル: そう言えば人間さんがオトギノクニに来たばっかりのときも三つ編みのそれで戻れるんじゃないか、なんて話があったよね ヴェルメリオ: ……あのときはエルマイト不足だったんだっけ ドロシー: あれから環境も変わったわ。 永住を決めた人間さんの手前もあったし、私もカンザスにはもう戻るつもりはなかったけど…… ピュルテ: それでいうと、私も実はちょっとアプローチしたい人がいて エミリー: え、異世界関係で?そんな人いるのぉ? ピュルテ: ボラコさんなんですけど…… リル: ピュルテ、それはちょっと違うんじゃないか? 小生もあまり強く言えないんだが ピュルテ: でも異世界に一番強いでしょ? シンデレラ: 私は、異世界とは違う角度で調べてみたいと思ってるわ ヴェルメリオ: ……違う角度って? シンデレラ: どういう方法で異世界に行ったかじゃなくて、どんな理由で異世界に行くことになったのか…… クレア: 理由かぁ。気が向いたから、とかじゃなくて? シンデレラ: ピュルテとヴェルちゃんにここまで心配かけさせるのは変よ。 つまり今回のことは人間さんの意思じゃない リル: ……事故か、あるいは シンデレラ: 私は誰か第三者の意図があったんじゃないかと思ってる ヴェルメリオ: ……あの人、もうコミッティの一員なんだし、あり得るよね シンデレラ: けど、コミッティなら私もドロシーも、エミリーだって同じ。 それに、ひとり欠けても誰かを繰り上げれば済むことよ エミリー: 人間さんじゃなきゃいけなかった……? でも恨みを買うようなこと、あったかなぁ シンデレラ: 私たちの知らないところで何があったのか、それが気になるの ヴェルメリオ: ……だって人間さんは、オトギノクニに来てからずっとわたしたちと一緒に旅してき……あっ ピュルテ: 私たちがレグルスさんにやられてしまった、あのとき……ですか? シンデレラ: あの期間だけが空白でしょ。気になると思わない? クレア: てことはいま、3つくらい案が出てるね エミリー: みんなで手分けするぅ? クレア: いいんじゃない、みんなで1つずつ確かめれば。 どうせ急がなくても人間さんはすぐ死んだりしないんでしょ ティンカー・ベル: どうせって クレア: 内緒で美味しいもの食べてるなんて……私は怒っているよ ティンカー・ベル: 人間さんに怒ってる人ここにもいたんだ…… シンデレラ: とはいえ、クレアの言うとおりよ。 誰が何の狙いかもわからないし、下手に分散しないほうがいいかも ピュルテ: 私たちもあの世界に連れて行かれちゃうかも、ってことですか!? シンデレラ: 可能性よ、可能性 リル: ………… ドロシー: じゃあ、とりあえず……どれから手をつければいいかしら シンデレラ: 人間さんの空白期間はコミッティのほうが把握してるかも。 連絡して、調べてもらいましょうよ。私たちはその間に、他を当たっておけば効率がいいわ ピュルテ: そうですね! じゃあ、ここからだと…… 150005 - 空白期間 (人間さん、覚えてますか? 私たちの旅がいつも簡単じゃなかったこと。) (誰かの指示で障害が立ちはだかったこともありましたが、自然環境にも苦労しましたよね。) (特に船旅は大変で……東京湾クルーズでゆったりまったり船の上のディナーを楽しんでいた人間界が恋しくて仕方ありませんでした。) (人間さんと出会うちょっと前の私は、移動もほぼタクシーだったんですけどね。それがいまでは……。) (背景切換...) ティンカー・ベル: ひいいいいいっ、飛ばされるーっ!! エミリー: ティンカ! 羽たたまなきゃだめだよぅ! シンデレラ: う、うう……気持ち悪い……言っておくけど二日酔いじゃないわよ……! リル: まだ誰も何も言ってないし、この状況を見て誤解するわけがないだろ クレア: この中に雨女がいるのかな ドロシー: もう~!こんなんじゃいつまで経っても着かないわよ! 雨女って、ここまでツイてないんじゃギャンブルもきっとその子、ギャンブル運も見てられないレベルなんでしょうね ピュルテ: そう言われると急にドロシーさんが雨女候補として怪しく見え始めましたね ドロシー: なんでよ!? (背景切換...) カロラ: やれやれ……人間さんの空白期間、ねぇ…… ミダース: シンデレラたちの話だと、その間に今回の犯人が人間さんに接触したんじゃないかって話だ カロラ: 犯人?それ、シンデレラがそう言ったのか? ミダース: ん?そうだぞ。まさかワラワが聞き間違えたと思ってるのか? ぬぬう、バカにしおって! カロラ: いや、そーじゃなくて。 そっか、犯人ねぇ……あいつ、大丈夫かな。先走ってなきゃいいけど ミダース: お、おまえ……昼間からなに言ってるんだ カロラ: あのな。先走りって別にエロ単語じゃねーぞ ミダース: しかし、人間さんが一人旅してた時期は、コミッティも動向を全部は把握してないって…… カロラ: しょうがねーだろ。あんときはいろいろ大変だったんだから。 コミッティだって万能じゃないぞ ミダース: わかってるけど! それでワラワとカロラがふたりでこうして人間さんの部屋に入って家探しするなんて……なんかこう カロラ: 汚れ仕事を押し付けられた感じがする? ミダース: うん……手がかりを探すために来たっていうと聞こえはいいけど、留守中に勝手に人のものを見るなんて カロラ: まあな。 本当ならフェルディナにやらせるとこだったんだけどあいつよくわかんない旅に出ちまってるだろ ミダース: 違うぞ。 ワラワは自分の手が汚れなければいい、なんて意味で言ったわけじゃない。誰だってやだろ、こんなの カロラ: ……お前、バカだけどいいやつだよな ミダース: ふふーん! どうやらやっとワラワの隠し切れない魅力に気付いて……待て、バカって言ったか!? カロラ: おい、見ろ。これ、人間さんの日記帳じゃないか? ミダース: えっ……ほ、本当にあったのか。まさか、読むのか? カロラ: しょうがないだろ。 あいつ自身のためでもあるんだから…… (背景切換...) ピュルテ: やっとつきましたね…… シンデレラ: ボラコー!?いないのー? ボラコ辺境伯: こりゃまた驚いたね……まさか、異世界から客がきたわけでもないのにあんたたちが私を訪ねてくるなんて…… エミリー: 異世界といえばボラコでしょぉ? ちょっといろいろ聞かせてほしくって ボラコ辺境伯: そりゃ構わないけどね ピュルテ: いつもボラコさんが異世界への扉を管理していますよね。 ここ最近、異世界と繋がったことはありませんでしたか? リル: 結論からいうと、人間さん殿が行方不明だ。 そしてどうやら異世界にいるらしい クレア: え、それ言っちゃっていいの? リル: 早晩、噂になることだ。 それに隠し事をしたままではボラコ殿も適切な情報提供ができないだろう ボラコ辺境伯: そんなふうに言われると、ハードルが上がってしまうわね。 ただ、私が言えるのは……異世界と繋がらなかった、って事実だけよ クレア: え……繋がって、ないんだ……!? ボラコ辺境伯: といっても、私が管理しているのは次元を超えるレベルの異世界だ。 人間さんが連れていかれたのはもっと身近なものじゃないかしらね ティンカー・ベル: それって……やっぱり人間界なんじゃない? 人間がこっちに来たときはボラコは関係なかったわけだし ピュルテ: ……そうでしょうか。あそこはやっぱり人間界じゃ……他にそんな世界があるのでしょうか…… ドロシー: 人間界も広いんじゃないかしら。ピュルテや人間さんがいた場所と、私のカンザスはだいぶ違うわけだし ヴェルメリオ: ……ド田舎なんだよね ドロシー: ヴェルが住んでた森といい勝負よ ピュルテ: ……他にも、なんかこういう話を聞いたような覚えが……うーん…… リル: ピュルテ、ひとまずこれ以上はボラコから話は聞けないだろう。 切り替えてオズの国に向かおうじゃないか ピュルテ: う、うん……そうだよね…… 150006 - オズの国の旅路 (ねえ、人間さん。) (思い出ってくだらないほうが大切って言ったの、覚えてる?) (もしかしたら忘れちゃったかもね。) (だってそれもくだらない会話の中で出てきた言葉だもん。) (塩辛いのと甘いの、交互に食べたくなっちゃう現象は人間界にもあって、でも名前がついていないんだ…… っていう話をしていたの。) (なんでそんな話になったのかは忘れた。 塩辛が美味しかった。) (1日スプーン1杯のキャビアより、たまに人間さんと食べる居酒屋のおつまみが好きだったな。) (酒盗クリームチーズ、食べようって約束してたよね。) (そうだよ、約束なんだよ。) (約束は、守らなきゃだめなんだから。) (背景切換...) シンデレラ: 久しぶりに来たわね、オズの国。 ヴェルメリオ: ……姐さんは忙しいもんね。 わたしは結構来てるよ。 ドロシー: いつもアップルパイを焼いて持ってきてくれるのよ。 ヴェルメリオ: ……ドロシーも色々おもてなししてくれるでしょ。 ティンカー・ベル: 同じコミッティでも忙しさに差があるのはなんで? 三つ編みとか人間さんは暇そうなのに。 クレア: エミリーも忙しそうだよね。 エミリー: エミリーの場合はほら、自分の作品をがんばるっていう約束をジャコヴァとしちゃってるからねぇ。 ピュルテ: 人間さんは時間を持て余してましたね。 ピュルテ: 今回の騒動だって元はと言えば、そういう時間の有効活用をするために始めた活動でしたし。 クレア: 忙しかったらいなくならなかったのかな。 リル: そういった『たられば』というやつは、あまり考えないほうが健康にいいぞ。 クレア: でも、頭には浮かんじゃうんだ。 クレア: 私が無理にでも食いだおれツアーに参加させておけばって。 ティンカー・ベル: クレアはそんなことやってたんだね……。 クレア: 世界中の美味しいものを巡る旅だよ。 これは私の修行。 ピュルテ: 楽しそうな修行でいいですね! シンデレラ: リルのいうとおり、可能性をあれこれ考えても辛くなるだけよ。 シンデレラ: それに、人間さんを狙い撃ちにした可能性もあるんだから。 エミリー: その場合は忙しさは関係ないもんねぇ。 ヴェルメリオ: ……あっ、見て。あの小麦畑。 チューチラ: あっ、みんな久しぶり。 ドロシーも一緒なんだね。 ドロシー: ええ、これからエメラルドの町まで行ってルビーに会うの。 ドロシー: 何かオズとかルビーに伝言でもあれば聞いておくわよ。 チューチラ: ううん、特に何も……せっかくだし、おみやげでも持っていく? ドロシー: ありがとう、気持ちだけもらっておくわ。 ドロシー: これからまだ道のりも長いことだし。 チューチラ: そう? じゃあまたね、気を付けて! ピュルテ: なんか……こうして黄色いレンガの道をみんなで歩いていると、まだ人間さんが人間界から来たばかりの頃を思い出します。 シンデレラ: そう言えば小さな島の次に来たのはオズの国だったわね。 ドロシー: ああ、そんなこと言ってたっけ。 ティンカー・ベル: そっか、あのときって三つ編みもまだメンバーに入ってなかったんだ。 ヴェルメリオ: ……エミリーもクレアも、リルだってそうだよね。 ティンカー・ベル: ネコはなんかそのときは裏切っててフラフラどっか行ってたんでしょ。 リル: うっ……そのときの小生の行動は、これから一生言われ続けるんだろうな……。 クレア: しょうがない。 私も海底の国でのことは一生言われる覚悟を決めてる。 ティンカー・ベル: ほーんと、クレアは最初はあんなにクールだったのにね。 ティンカー・ベル: 今じゃこんなに可愛い。 クレア: ほっぺをつんつんしないで。 (背景切換...) シンデレラ: 懐かしいわ。 私、エメラルドの町まで来るのって本当に、人間さんたちと来て以来かも。 ドロシー: そうよね。 なんせ外交関係はここで話をつけちゃうからわざわざ首都まで来る理由もないし。 ルビー: ドロシーちゃん! おかえり~! ドロシー: ただいま、ルビー。 町は変わりない? オズ: 安心してください。 ちゃんと私が目を光らせていましたからね。 ルビー: オズは相変わらずマジックショーの練習ばかりだったじゃない。 オズ: 両方ちゃんとやっていますよ。 トラブルがなかったので活躍する場面もないというだけです。 ドロシー: ありがとね、ふたりとも。 それでね、ちょっと相談があるのよ。 ルビー: えっ、あたしに? ドロシー: 実は事情があって、カンザスに行きたいの。 もうエルマイトも十分だろうしお願いできないかしら。 ルビー: それはもちろんOKなんだけどね。 あたしの能力だと、ドロシーちゃんと、あとプラスひとりくらいが限界かも……。 リル: うすうす予感はしていたが、それはそうだろうな。 リル: 遠い場所に転移するなんて能力でこの人数は負担だろう。 ピュルテ: じゃあカンザスはドロシーさんにお任せしましょうか。 シンデレラ: そうね。あとひとりは…… ヴェルメリオ: ……じゃあ、わたしが行くよ。 ティンカー・ベル: いいんじゃん? 三つ編みは里帰りでもあるんだし、ゆっくりしてくればいいよ。 ドロシー: でも人間さんがこんなことになってるのに ティンカー・ベル: どうせ可愛い子にデレデレしてエルマイトだだ漏れだし慌てなくていいでしょ。 エミリー: ティンカってば、わりと根に持ってるねぇ。 ピュルテ: ……そういえば、覗き見たとき……私、エルマイトを感じなかったような……。 リル: ん?どうした、ピュルテ。 何か言ったか? ピュルテ: あ、ううん。なんでもないの。 150007 - 異世界の痕跡 (人間さんがコミッティに入ったのは本当にずるい。) (お弁当がすごく豪華だってエミリーから聞いてたから。) (しかも何種類かあって選べるって聞いたよ。) (余ったやつはどうしてるのか気になって眠れなくなったんだから。) (けどさ、日持ちするお菓子とかはときどき持って帰ってきて私にくれたりしたよね。 実は結構、嬉しかったな。) (お菓子っていうより、私のこと考えてくれてる感じが。) (また、次に会うときは……おみやげ、期待してるからね。) (背景切換...) カロラ: ってことで、一応ある程度の動きはこれでわかりそうだな。 ジャコヴァ: なるほど。 日記というほどマメにつけているわけではなさそうだが、この時期に限って思ったことを綴っていたんだな。 ヴィルヘルミナ: 人間界からオトギノクニに来て、あんなに独りきりだったのは初めてだったからじゃないかしら。 カロラ: だろうな。 次々に味方がやられて精神的にも参ってただろうし。 ミダース: なんか……やっぱり、こういうの見ちゃうの気分が良くないな。 カロラ: しょうがないだろ。 別に野次馬根性で見てるんじゃないしな。 ヴィルヘルミナ: 旅をしたり、人と出会ったり……このあたりの描写を徹底的に洗ってみる必要がありそうね。 カロラ: ああ。もしかすると、この間に今回の原因を作ったやつと接触してるかもしれないんだろ。 ジャコヴァ: うんうん。 ヴィルヘルミナ: それに何より、ここよ。 カロラ: ラームス……だな。 ヴィルヘルミナ: ラームスという場所から来たという子たちと何か接触があったことが書かれているわ。 ヴィルヘルミナ: ただ、ラームスとは何か、詳しく書かれていない。 カロラ: メモ書きで『異世界?』『オトギノクニじゃない』とか書きなぐってあるだけだ。 でも…… ヴィルヘルミナ: そう。今回の一件を踏まえると、かなり関連性が高い情報よ。 カロラ: 町の名前とかまで書いてあればすぐ調べに行けるんだけどな。 カロラ: まあ、ここは前後の内容から推測して当たるしかないか。 ジャコヴァ: そうだな。カロラ、ミダース。 調査を続けろ。 ミダース: お、おお……! ワラワに直接指示を! これはもう、ワラワも実質コミッティみたいなもの……! カロラ: どういう計算でそうなってんだよ。 ミダース: よし、カロラ! さっそく行くぞ! カロラ: 勢いで行動すんなって。 どこ行くんだよ。 カロラ: まずはいろいろ調べてからだ。 とにかく会っておきたいのは、このページの連中だな。 カロラ: トルテ、クーヘン、シュネー、チシャ……それにオーフェンか。 ミダース: こっちもだろ? ピオン、メルヴェ、ハンプ……。 カロラ: ヴィル姉ちゃん、特務機関は動かさないのか? ヴィルヘルミナ: もう少し情報の確度が高まってから、かしらね。 ヴィルヘルミナ: そもそもいざというときの戦闘要員だから、こういう捜査は必ずしも得意とは限らないのよ。 カロラ: ま、しゃーねえか。 ったく人間さんのやつ、胸の大きさとかメモするくらいなら、もうちょっと役に立つ情報書いとけっつーの。 ミダース: セクハラすぎるだろ、これ。 ヴィルヘルミナ: 書かれてる本人が見たらドン引きでしょうね……。 カロラ: よし、とりあえず直前に立ち寄った町までは行くか。 そこで地道に聞き込みだな。 ミダース: よぉしっ! ワラワ、燃えてきた! カロラ: しばらく帰ってこれないから覚悟しておけよ、ミダース。 簡単には見つからないだろうからな。 ミダース: やっぱりそうなのか? カロラ: ああ。よっぽど運が良くないと、ピンポイントで出会えるわけないからな。 150008 - 旅立ちの理由 (人間さんとの旅で最初にびっくりしたのは、フェルディナとのことなんだよね。) (あんなにいろいろなことがあって、敵対してたはずなのに人間さんはあっさり許してたから。) (へえ~ってそのときはびっくりしたの。) (でもいまなら少しわかるよ。 人間さんはもう一回、フェルディナにやり直してほしかったんだよね。) (人間さんのそういうとこ、いいと思う。) (……私のことも、許してくれるかな。) (背景切換...) シャルロッテ: この際ですからハッキリさせておきますわ。 シャルロッテ: 私、フェル姉さまと一緒の旅なんて願い下げですの。 フェルディナ: んなっ……!? なんでよ、いいじゃない! フェルディナ: ひとりより、ふたりのほうが安全だと思うし! シャルロッテ: 自分の身くらい自分で守れますわ。 フェルディナ: まーっ、可愛くない! シャルロッテ: 可愛くない妹と無理して旅することはありませんわよ。 シャルロッテ: ほら、今日からもう別の宿屋にしましょうね。 フェルディナ: いいじゃないのよ! 私が一緒でも! フェルディナ: 何がそんなに不満なのよ。 シャルロッテ: だってごはん一緒に食べに行っても、あれが食べられない、これは好きじゃない、とかばっかりじゃないですか。 フェルディナ: しょうがないじゃない、好きじゃないんだから。 シャルロッテ: 夜は夜で歯ぎしりがうるさいですし。 フェルディナ: そういうこと言うならシャルだって、お風呂に朝晩入るくせにやたら長いせいで入れなくて困るし、ごはんだって シャルロッテ: いえ、ですからそれが嫌ならいつでも別行動していただいて問題ありませんのよ? シャルロッテ: 私は別にフェル姉さまについてきて欲しいわけじゃありませんから。 フェルディナ: もうっ、かわいくない妹ね! シャルロッテ: 私はジャコヴァ姉さまに言われたのです。 もっと見聞を広めてこいと。 シャルロッテ: このコミッティ退任の機会こそ旅に出るチャンスだと思い立ちましたの。 シャルロッテ: なのに、こんな変なお荷物……。 フェルディナ: あーっ、言ったわね! いいじゃない、私が一緒にいたからって見聞は広められるでしょ! シャルロッテ: フェル姉さまは、何の目的で旅をしてるんです? フェルディナ: えっ、目的? そ、そうね、えーと……。 シャルロッテ: どうせフェル姉さまのことだから、大した目的なんてなくてあの屋敷に居続けるのが気まずいだけなんでしょう? フェルディナ: ど、どうせって何よ! 私だって、その…… シャルロッテ: 私だって? なんですの? フェルディナ: ……なんか、探そうとしてるのよ シャルロッテ: 曖昧すぎる……。 シャルロッテ: ヴィル姉さまに邪険にされたからって素直に言えばいいのに。 フェルディナ: えっ……? シャルロッテ: ヴィル姉さまがフェル姉さまに言ってるところ、聞いちゃいましたの。 シャルロッテ: コミッティでもなくなったのに働きもしないで昼間からダラダラしてアナタみたいなのを穀潰しっていうのよ。知ってた? フェルディナ: ぐふううううぅぅっ!? フェルディナ: なんで一言一句正確に覚えてんのよ……嫌な子ね……。 シャルロッテ: 一言一句正確だってわかるくらいには覚えてらしたんですね。 フェルディナ: もう、いいじゃないっ! しばらく一緒にいましょうよ! (背景切換...) シャルロッテ: な、なるほど。 怪しい商人: やはりマインドセットは他者からのコーチングでしっかり補強してコミュニケーションとしての…… フェルディナ: ん……? あそこにいるのはシャル…… フェルディナ: せっかく町に着いたのに速攻で私のことを撒いたと思ったらあんな怪しげな男と何をしているのかしら。 フェルディナ: はっ……まさか見聞を広めるって、あの子…… 男とあっちの見聞も広めようとしてるとか……!? だ、だめよ、そんなの 怪しい商人: では、さっそくこちらへ。 シャルロッテ: は、はい。 よろしくお願いします。 フェルディナ: バカバカバカ! よろしくしてる場合じゃないでしょうが……っ。 フェルディナ: 追いかけるしかないわね。 まったく世話の焼ける…… (背景切換...) 怪しい商人: はい、それでは皆さん大きな声でご一緒に! あっはっはっはっは! シャルロッテ: あっはっはっはっは! 受講者1: あっはっはっはっは! 受講者2: あっはっはっはっは! フェルディナ: 連れ込み宿じゃなくてホッとしてたのに……なんなの、この怪しい空間は…… 怪しい商人: 腹の底から笑い声をあげれば自分を取り巻く運気が自ずと変わってくるのです。 さあ、それでは初回はここまで。 怪しい商人: 次回セミナーのお申し込みは自動で登録されています。 便利ですね! 怪しい商人: それではまた明日、この場所でお待ちしていますよ。 受講者1: 有意義なセミナーじゃった……。 これで次回はたったの17万ゴールドなんてお得じゃのう。 フェルディナ: じゅっ!? 150009 - 姉妹の出会い (フェルディナとはいまでもたまに話したりするんだよ。 別に悪い人じゃないのはわかってるし。) (ちょっとめんどくさいときあるけどね。) (でもなんだかんだ、フェルディナは私たち作品を大切にしてる。 ただ寂しいだけかもしれないけど。) (そういえば、人間さんと一緒に作った作品、ちゃんと仕上げたいって言ってたよ。 けっこう前なのにまだ完成してなかったんだね。) (人間さんがいないとダメだって言ってた。) (気が向いたら手伝ってあげてよね。) (背景切換...) フェルディナ: 待ちなさいよ!! 怪しい商人: えーと、あなたは? フェルディナ: そいつの姉よ! こんなわけのわかんないセミナーなんかに17万も払ってたまるもんですか! シャルロッテ: フェル姉さま……!? やだ、こんな素晴らしいセミナーにケチをつけるなんて信じられませんわ! 受講者2: そうだよ~。 これでトルテも新しい自分に…… ???: ならなくていいのよっ! 怪しい商人: こちらもご家族の方ですか? 困りますね、こんなふうに乱入されては…… クーヘン: あたしはトルテの妹、クーヘンよ。 姉さんを返してもらいに来たの! 怪しい商人: 返すだなんて。 皆さんここにはご自分の意志で…… クーヘン: じゃあ、あたしも本人の意思に訴えかけるわね。 クーヘン: さあ、これを見て! こいつらが食い物にしてきた被害者のリストよ! そして辿った末路も調べてある! フェルディナ: なっ……多額のセミナー料で借金漬けにした挙句、超絶ブラックな関連会社に就職させてタダ同然で労働……!? 怪しい商人: こんな情報、どこから……!? くそ、ここは逃げるしか…… シャルロッテ: そんなっ…… クーヘン: わかった? さあ姉さん、帰るわよ。 (背景切換...) クーヘン: 姉さん、けがはない? トルテ: うん、大丈夫。 クーちゃん、ごめんね。 フェルディナ: ちょっと、あなたたち! クーヘン: ああ、あなたはさっきのセミナーにいた…… フェルディナ: おかげで助かったわ。妹も無事に連れ出せたし。 一応、お礼を言っておきたくて。 クーヘン: それはこっちもよ。 あなたが強引に突入してくれたおかげであたしも入っていきやすくなったし。 シャルロッテ: うう……新しい私に生まれ変わるはずだったのに、あんな怪しい団体にまんまと騙されていたなんて…… トルテ: こんなはずじゃなかったのにね~。 クーヘン: まったく……姉さんは、姉さんのままでいいのよ。 無理に変わろうとなんてしなくていいの。 トルテ: うん……でもトルテね、変わりたかったんだよ。 トルテ: だっていつもクーちゃんに面倒を見てもらってばかりだと思って。 クーヘン: そんなこと気にしなくていいのよ。 面倒を見てるなんて思ってないし、仮にそうなんだとしても、それがあたしの生きがい。 トルテ: クーちゃん……。 フェルディナ: ちょっとシャル、いまのクーヘンのセリフ聞いた? 世の中にはこんなできた妹もいるのよ。姉のことを大事に思って…… シャルロッテ: だったらクーヘンさんのお姉さんになればいいのですわ。 フェルディナ: またそういう可愛げのないことを……。 トルテ: ねえ、シャルちゃん。 せっかくだからね、セミナーはダメになったけどシャルちゃんとはお友達になりたいな~ シャルロッテ: まあっ、もちろんですわ。 トルテさんのような素敵な方とお友達になれたらあのセミナーに参加した意味もあるというものですわ。 フェルディナ: そうね。 よろしくね、トルテ、クーヘン。 シャルロッテ: トルテさんは私と友達になりたいと言っただけでフェル姉さまのことなんて一言も触れてませんわよ。 フェルディナ: んなっ!? トルテ: そ、そんなことないよ~。 フェルちゃんとも仲良くしたいなぁ。 クーヘン: あたしたち、ワケあって……あまり友達とか知り合いが身近にいないのよ。 だからこうして話せるだけでもありがたいわ。 トルテ: うん。トルテたちはラームスっていう別の世界から来て―― クーヘン: 姉さん。その話はやめておきましょ。 変だと思われるわ。 トルテ: そうなの? シャルロッテ: なんですの? クーヘン: ううん、こっちの話よ。 とにかく、話し相手になってほしいわ。 クーヘン: そういう寂しさも、姉さんがセミナーに行った理由のひとつだろうし。 フェルディナ: なんだか大変そうね。 ふたりは、この町の人なの? クーヘン: いいえ、旅の途中よ。 少し前までは家を借りて仕事も見つけて、静かに暮らしていたんだけど……ちょっと変なのに狙われててね。 トルテ: 監視者<サーベイ>っていうの。 クーヘン: 周りの人たちを傷つけたくないし、あたしたちが変な目で見られたりするのも避けたい。 だから旅に出たのよ。 シャルロッテ: そんな……何も悪くないのに生活を捨てなくてはいけないなんて。 フェルディナ: そんなネガティブな旅の始まりもあるのね……。 フェルディナ: いいわ、こうして出会えたのも何かの縁だもの。 私たちもできるだけサポートするわよ! 150010 - 人間の足跡 (人間さんの日記が出てきたって話はね、結構みんなざわざわしてたんだよ。) (やっぱり秘密とかいっぱい書いてあるかなって思うよね。) (話はカロラから聞いてたんだけど、実物を見たのはもっと後だったかな。) (みんなで回し読みしちゃった。ごめんね。) (でもやっぱり出会った女の子のおっぱいの大きさとか、書かないほうがいいと思うよ。) (みんな最低!って叫んでたからね。私は気にしないけど。) (でも……すみっこにみんなに会いたいって書いてあったの見つけたら、全員しんみりしちゃった。) (ねえ、人間さん。私たちも会いたいよ。) (背景切換...) シンデレラ: さて……カンザス方面はドロシーとヴェルに任せるとして、私たちの行き先を決めなくちゃね。 ティンカー・ベル: コミッティに調べてもらってるんだっけ? 人間さんがひとりぼっちだったときの通った場所。 シンデレラ: そう。そろそろ何かわかるんじゃないかしら。 ちょっとカロラに連絡をとってみるわね。 ピュルテ: 何か手がかりが見つかっているといいのですが……。 カロラ: ほい、もっしー。 シンデレラ: ああ、カロラ? スピーカーにするわね。 カロラ: はいよー。 シンデレラ: それで……人間さんの件、どうなったか聞こうと思って。 カロラ: あん? ああ、あいつんちで日記を発見してさ、いま大体の行動経路が分かったとこ。 後はそれを辿って聞き込みだな。 シンデレラ: 聞き込み……? やっぱり誰かと接触があったのね。 リル: その人物がカギを握っている可能性が高い、か。 カロラ: そうそう、ラームスってなんのことか分かるか? カロラ: そういう名前の別世界から来たやつらしいんだけど。 クレア: 別世界? それっていま人間さんが行ってる世界? エミリー: かどうかは、わかんないんじゃない? ティンカー・ベル: 日記にそういうことが書いてあった、ってことだよね。 シンデレラ: その調査、私たちも参加させてもらうわ。 シンデレラ: 人間さんのことなんだもの、蚊帳の外は嫌よ。 カロラ: まあ、そうだよな。 んじゃ、一旦待ち合わせるか。 カロラ: たぶん人間さんがひとりで最初に行った町があるから…… エミリー: おっけー。じゃあエミリーたちもすぐ向かうねぇ。 ピュルテ: ラームス……人間さんから何か聞いたような気もしますが……詳しくは聞いていない気がします。 ティンカー・ベル: ねえ、エミリー。 さっきは人間さんが行ってるのがラームスってところとは限らないって話してたけどさ エミリー: ラームスの可能性もあると思うよぉ? ティンカー・ベル: そんなに異世界ってぽこぽこあるものじゃなくない? だからやっぱり、人間さんの行き先に繋がるんじゃないかな。 エミリー: まあねぇ。 でも人間さんがいま行ってるのが人間界じゃないんだとしたら……世界があと3つはあることになるよぉ? ピュルテ: たぶん、人間界じゃないと思うんですよね。 だんだん自信が無くなってきちゃいましたけど。 リル: そう長い時間、覗き見たわけでもないしな。 ピュルテ: 少なくとも都内ではないのは確かなんですけどね。 人間界の、ヨーロッパの北の方って言われたら、そんな場所もあるかもなー、とか…… ピュルテ: 私も人間界にいる間に、もっと海外旅行とか積極的に連れて行ってもらうべきでしたね。 エミリー: 人間界では旅行って連れて行ってもらうものなのぉ? ピュルテ: ええ、大抵の場合は。 シンデレラ: まあ、いまの時点では行き先がどこかはまだ確定できないわね。 ティンカー・ベル: いやタイミングが絶妙すぎるじゃん。 ティンカー・ベル: ひとりのときに異世界の人と接触がありました、落ち着いたらまた異世界に行っちゃいました、のほうがしっくりくるでしょ。 エミリー: ティンカはそう考えたいんだよねぇ? ま、わかるけど。 ティンカー・ベル: だって……人間界に戻っちゃったなんて、なんかヤじゃん。 リル: 大丈夫だ。少なくとも自覚はないだろう。 ティンカー・ベル: あ、ネコってば、小生は人間さん殿のことを理解してるからな、みたいな顔してる。 リル: べ、別にそんな意味ではない。 クレア: でも、気になるよね。人間さんは話してくれてないんだよ。 そのラームスとかいうとこから来た人のこと。 リル: 旅の間に出会って、仲間として一緒に戦った人もいる、とは聞いているが…… 異世界云々のことには言及がなかった気がするな。 シンデレラ: 人間さんなりに考えがあってのことでしょうけど……。 150011 - カンザスという土地 (……初恋はかなわない、ってよく言うでしょ?) (あれってきっと、経験も何も足りなくてうまくいく要素が見当たらない、だからかなわないって言われてるんだと思ってた。) (……でもわたしは、人間さんが初恋の相手で……ただの片思いじゃなくていろいろ経験できたから、きっとうまくいくんだって信じてた。) (ううん、いまでも信じてるよ。) (ジンクスは破るためにあるんだってドロシーもよく言ってるから。) (そのわりに大きなレースの前はすごくゲンかつぎとかこだわってるけどね。) (……ねえ、人間さん。) (わたし、待ってていいよね。初恋、諦めなくていいよね。) (背景切換...) ドロシー: ふう……久しぶりに戻ってきたけど、なんていうか…… ドロシー: カンザスってド田舎ね!! ヴェルメリオ: ……そ、そんなことないよ。 ドロシー: 大ありでしょ! 町で人間さんのことを見た人がいないか聞いて回りたくても人口が少ないし! ルビー: う、うん、パラパラ……としか人通りがないもんね……。 ドロシー: 次の町に行こうにも町の間の距離がめちゃくちゃあるし! ドロシー: しかも交通手段も限られて、道は未舗装! ヴェルメリオ: ……そ、そうだけど。歩けなくもないから。 ドロシー: はあ……。創造期に一旦里帰りしたときはあまり気にならなかったけど、オズの国で執政官やったりコミッティやったりした経験のせいで、いろいろと見えてきちゃうというか。 ルビー: カンザスよりオズの国のほうが発展してるのは間違いないと思う……。 ヴェルメリオ: ……変に発展しちゃっても寂しいんじゃないかな。故郷って。 ドロシー: まあね。調査するのに不便、っていう感情も入っちゃってるからね。 ドロシー: さ、気を取り直して調査に行きましょ。 (背景切換...) ドロシー: やっぱりここも不発ね。もうそろそろ日も暮れるし、一旦ここで調査はやめにしましょうか。 ヴェルメリオ: ……ねえ、ドロシー。 実家には寄らなくていいの? ドロシー: 後でゆっくり寄らせてもらうわよ。 一通り調べるのが先。 ヴェルメリオ: ……無理しないでね。 ルビー: あたしも久しぶりだなぁ。 精霊として実体化してからは、カンザスのおうちは初めてかも。 ヴェルメリオ: ……そっか、じゃあ友達とかはいないのかな。 ルビー: そうだね! 友達はオトギノクニにはいっぱいいるけど。 ルビー: スーリエさんとかスティヴァーリとは定期的に会ってるし。 ヴェルメリオ: ……姐さんとリルのとこの? そっか、靴の精霊どうしなんだ。 ヴェルメリオ: ルビーが赤い靴、スーリエがガラスの靴、スティヴァーリが長靴だもんね。 ルビー: あたしもスティヴァーリも住民権をもらってるからふたりして魔法の国に行ったりとかするんだよ。 ドロシー: その住民権っていうのがあると、精霊は本体から遠く離れられないって制限を無視できちゃうのよね。 ドロシー: 遠出するのはいいけど、危ないことも多いんだから気を付けなさいよ。 ルビー: はーい! わかってまーす。 ヴェルメリオ: ……そういうの、いいな。 カプ姉とかパイプルも、みんなと仲良くしてるのかな。 ちょっと心配しちゃう。 ドロシー: ヴェルの近くにいる精霊ふたりよね。 何の精霊だっけ? ヴェルメリオ: ……わたしの、ずきんがカプーズ。アップルパイがパイプル。 ヴェルメリオ: わたしにとってはお姉ちゃんと妹なんだよ。 ルビー: 精霊との距離感って人それぞれだよね。 ドロシーちゃんとあたしは友達だけど、スーリエさんたちは師匠みたいな関係だし。 ドロシー: シンデレラのところは精霊も多いからね。 店員: お待たせしました。 ルビー: あっ、お料理が来たよ! 明日に備えて栄養いっぱいとらなくちゃね! ヴェルメリオ: ……お肉がいっぱいだね。 ルビー: カンザスといえばバーベキューだからね! ドロシー: ……私は、そんなに要らないわ。 ふたりで食べて。 ルビー: え……あ、そう? ヴェルメリオ: (……ドロシー? なんか様子が……もしかして、ドロシーも…… 気づいてるのかな……?) (背景切換...) ルビー: ふう……お腹いっぱいになったね! ドロシー: ……ふたりは先に戻ってて。 私、ちょっと散歩してから帰るから。 ルビー: え……大丈夫かな、ドロシーちゃん。 ヴェルメリオ: ……大丈夫だよ。そっとしておこう。 150012 - 大切な人とのつながり (……ドロシーとは創造期が終わってすぐに友達になったの。) (たぶん人間さんから見ても、わたしたちって正反対でしょ?) (明るくて自信家で、強気で誰にも負けないもんね、ドロシーは。) (でもそんな第一印象とは違って、すごく繊細なんだよ。) (とても傷つきやすいし、周りのことすごく気遣ってるし。) (……意外と図太いわたしとは、そこも正反対。) (……だからかな。お互いに補いあえるんだろうね。) (なんだかんだで気が合って、ずっと友達でいられたんだ。) (……まあ、一緒に競馬場に行こうってお誘いだけはずっと断ってるけど。) (背景切換...) ドロシー: ……。 ルビー: なんかドロシーちゃん、今日も様子が変だよ。 昨日の夜からずっとあんな感じだし、やっぱり何かあったんだよ。 ヴェルメリオ: ……でも、ドロシーから話してくれると思うから。 ヴェルメリオ: いまは、そっとしておこう。 ルビー: う、うん。 そっか……わかったよ。 ヴェルメリオ: ……何を考えているかはなんとなくわかってる。 でも、きっとドロシーは自分でいったん消化できると思う。 ドロシー: さて、と……次の町に行こっか。 ヴェルメリオ: ……うん。 (背景切換...) ヴェルメリオ: ……星がきれいだよね。 ドロシー: ……ヴェル。 ヴェルメリオ: ……聞かせてくれた通りだね。 なーんにもない田舎だから星だけは見える、だっけ。 ドロシー: ふふっ、人の実家をよく何にもない田舎だなん言えるわね。 ヴェルメリオ: ……わりとはっきり言うタイプなの。 ドロシー: いいことだと思うわ。 無理するよりずっといい。 ルビー: ねえ、ヴェルちゃん。 もうドロシーちゃんに聞いちゃだめなの? ヴェルメリオ: ……もう、ルビーってば。 ドロシー: 待っててくれたのよね。 ごめんね、ルビー。心配かけて。 ドロシー: ずっと考えてたんだけど、このカンザスって……人間界じゃないわよね。 ヴェルメリオ: ……やっぱり、そうだよね。 ルビー: そう、なの? あたし、漠然とカンザスとしか思ってなかったから、人間界かどうかなんて考えたことなかったけど。 ドロシー: 人間さんの話では、人間界ではエルマイトを使って何かする、っていう習慣はないんですって。 人間さんもこの世界でしかやったことないって言ってたし。 ヴェルメリオ: ……ここは、オトギノクニのどこか、ってことなんだよね。 ドロシー: ヴェルも、気づいてたんでしょ。 ヴェルメリオ: ……うん。でも、ドロシーより先にそれを言いたくなかったから。 ドロシー: ん……ありがと。 ルビー: ドロシーちゃんはカンザスが人間界だと思ってたんだね。 でもそれが、そんなにショックなことなの? ドロシー: そうね。自分でも驚きだけど…… 私、同じ境遇だってことにして、人間さんとつながりを感じていたのかも。 ルビー: 同じだから分かり合える、みたいな? ドロシー: そうね、そんな感じ。 私はあの人のことを誰よりも理解できる、なんていうくだらない自負よ。 ヴェルメリオ: ……くだらなくなんて、ないでしょ。 ドロシー: ヴェル……。 ヴェルメリオ: ……大切な人と少しでも接点を持ちたい。 理解できる存在でありたい。 ヴェルメリオ: けど根拠もなく思い込めるほど能天気じゃない。 だから ヴェルメリオ: ……理由探しをしたくなるんだよ。 自分とあの人が繋がれる理由を。 ドロシー: そう、なのよね。 ヴェルメリオ: ……本当は、ずっと旅した仲間だからわかりあえる、っていうだけで十分なはずなんだけどね。 ドロシー: けど、ここは……オトギノクニの一部だわ。 それを実感したの。 創造期のときはエルマイトなんて意識してなかったけど。 ヴェルメリオ: ……そうだね。いまならわかるよね。 ドロシー: 人間さんが話してくれた、人間界に伝わる私の存在……それが私の創造期なのよね。 ドロシー: 間違いなく自分の記憶と同じなのに、どこか他人事みたいな……変な感覚よね。 ヴェルメリオ: ……わかる。これはたぶん、みんな感じてると思う。 ドロシー: でもぴったり同じじゃないのよ。ちょっとしたズレがあったりするの。 エルファバだって元気だし、一緒に仲良く過ごしてるんだから。 ヴェルメリオ: ……わたしとアドルファみたいにね。 ドロシー: 創造期って、現在の私を形作るための要素なわけでしょう? もちろん、その間にグランド・リヴィジョンを挟んでるにしても。 ドロシー: それを考えると、ふと思うのよね。 ドロシー: もし人間界に伝わっている通りの創造期だったら…… 私っていう存在はいまとは少し違う存在になっていたのかな、なんて。 ヴェルメリオ: ……そうだね。 もし違う創造期を辿っていたら、いまの自分とはまったく違う人になってたのかも。 ドロシー: 自分に繋がるルーツって、私自身を揺り動かしちゃうものだから、それもあってちょっとショックだったのよね。 人間界だと思ってたカンザスが……って。 ルビー: ドロシーちゃんはドロシーちゃんだよ! ルビー: だってもう、ここにいるんだもん。 いまさら何も変わらないよ! ドロシー: そうよね、ルビーのいう通りだわ。 ドロシー: 不安になる必要なんかないのにね。ありがとう。 ドロシー: ……でも、久しぶりにいろいろ悩んでたらすっきりしたわ。 ドロシー: 明日にはいつものドロシーに戻るから安心してちょうだい! ヴェルメリオ: ……うん、安心した。 150013 - 創造期 (……自分の過去って、たまに無かったことにできたらって思うの。) (けど、全部が絡み合って運命を形作っているなら、無かったことにしたらあなたにも会えなくなっちゃうかも。) (……だから吐きそうになってもみんな我慢してるんだよね。) (いまが幸せで、未来に希望を持っているから。) (……そうだよ。わたしは未来への希望をまだ捨ててない。) (みんなを、人間さんも一緒に、またわたしの手料理でおもてなしできる日がくるんだって。) (背景切換...) フェルディナ: それじゃあお金はそれなりに持ってはいるのね。 クーヘン: 一応、少しだけど貯めてあったからね。 けど旅の間はろくに稼げないし。 フェルディナ: こうして出会ったのも何かの縁でしょ。 私たち、お金には困ってないから安心してちょうだい。 シャルロッテ: 言っておきますけど、私は家からの援助は使っていませんわよ。 フェルディナ: えっ!? そうなの!? シャルロッテ: ジャコヴァ姉さまは多少持って行けと言ってくださいましたけど、自分の見聞を広めるための旅ですもの。 シャルロッテ: (それに……世間知らずなままの私では人間さんに釣り合わない、 そんな気持ちで始めた旅……実家に頼っていてはダメですわ) クーヘン: 大丈夫よ、友達のお金をアテにするような旅はしたくないから。 トルテ: お友達だもんね~。 お金が絡むのは良くないってクーちゃんも クーヘン: そ、そうね。 ふふ…… フェルディナ: (あの甘ったれのシャルがそんなことを…… で、でも、じゃあどうやってこの先の路銀を稼げばいいのかしら……) フェルディナ: ま、まあいいわ、明日のことは明日の私がなんとかする! 店員さん、この肉焼き特選セットをお願い! シャルロッテ: ご事情をうかがいましたけど、それではおふたりは追手から身をかわすための旅ということになりますのね。 クーヘン: そうね。やつらの狙いはあたしたちだからね。 町にとどまっていたら普通の人たちも巻き込んでしまうから。 シャルロッテ: けど、逃げてばかりでは終わらないのでしょう? 追手を倒して元から絶たないと解決しませんわ。 トルテ: 前に倒したはずなんだけどね~。 フェルディナ: 新手が来たってわけね。 ってことは、指示を出しているボスを叩かないと解決しないでしょうね。 シャルロッテ: 捕まえてボスの居場所を聞き出せばいいのですわ。 クーヘン: それはちょっと難しいかもね。 会話できそうな感じじゃないから。 フェルディナ: 会話が……? 店員: はい、お待ち。 肉焼き特選セット。 クーヘン: ……っ!? トルテ: クーちゃん? あっ、もしかしてこのお肉が焼ける匂いが…… クーヘン: ごめん……あたし、これちょっと、ダメで…… フェルディナ: ええっ!? ご、ごめんなさい、私知らなくて……! (背景切換...) フェルディナ: 落ち着いた? クーヘン: うん……ごめんね、本当に。 フェルディナ: いいのよ。 シャルとトルテはまだ店で食べてるし。 クーヘン: ならよかった。みんなの邪魔はしたくないから…… フェルディナ: 気にしなくていいの、苦手なものは誰にでもあるでしょ。 私も注文する前に一言くらい聞けばよかったわ。 フェルディナ: でも珍しいわね。肉の焼けるにおいがダメなんて。 しかもこんなに参っちゃうなんて。 クーヘン: ちょっと過去にいろいろあったんだよね。 フェルディナ: 創造期? クーヘン: うん……。 フェルディナ: そうね。私もろくな創造期じゃなかったから、よくわかるわ。 フェルディナ: 結局それをいまでも引きずって影響しちゃってるし。 クーヘン: そうなの? なんか気遣いもできるし、なんだかんだいいお姉ちゃんだし、そんなふうに思わないけど。 フェルディナ: ほんと? なら私もだいぶマシになってきたんだわ。 フェルディナ: 私はコンプレックスの塊だったから。 6人姉妹なんだけどね、ことあるごとに妬んで、羨んで、そのくせ自分では何もしなくて。 クーヘン: そんなの、感じさせてないよ。 すごいね、フェルディナ。 フェルディナ: すごくなんて…… フェルディナ: (でも、こんなふうに自分のことを引き合いに出して話せるくらいには、私自身の中で消化できているのかもしれないわ。) フェルディナ: (少し前なら、こんなふうに客観視できてなかった気がする……) クーヘン: なんか……出会えてよかったよ、フェルディナ。 フェルディナ: 大げさね。 町の人: うわあああぁぁぁぁっ!! 助けてくれーっ!! フェルディナ: !? 外から悲鳴!? クーヘン: まさか……! フェルディナ: なにあれ……魔物? 見たことのないやつだわ。 クーヘン: 監視者<サーベイ>……! フェルディナ: あれが!? クーヘン: こうしちゃいられない、町の人に被害が出る前に倒さないと! フェルディナ: あっ、待ちなさいよ! 150014 - ペローが見据える深淵 (……人間さんはわたしのアップルパイ、いつも美味しいって食べてくれたよね。) (あれ、実はペローから教わった……って言ったっけ?) (……ずっと記憶には残ってなかったんだけどね。) (ペローには思うところはいっぱいあるけど、でもわたしの作家だから。) (知ってからは作るごとにペローのこと思い出してる。) (……だって誰も思い出さなくなったら、悲しいでしょ。) (まるで、最初からその人がいなかったみたくなっちゃう。) (……あなたのことも、わたしは毎日思い出してるよ。) (大事な大事な記憶だから。) (背景切換...) ジャコヴァ: 久しいな。 ペロー: ……これはこれは、珍しいお客様ですね。 ヴィルヘルミナ: ふふっ、お客様ね。お茶なら結構よ。 ペロー: 知っての通り、私は囚われの身ですからね。 大したおもてなしもできません。 ヴィルヘルミナ: もちろん承知しているわよ。 ワタシたちはただ、アナタの様子を確かめに来ただけだから。 ペロー: 様子を確かめに、ね……。 ペロー: それにしても皮肉なものです。 あのとき、私があんなにも面会を望んだグリム筆頭が、こうして自ら私を訪ねてくるとは ジャコヴァ: 無駄話をしに来たわけではない。 ペロー: でしょうねぇ。 では、何をお聞きになりたいんです? ヴィルヘルミナ: (……人間さんの失踪について情報を聞き出したいけど。 迂闊に情報を与えすぎるのは愚策。慎重に進めなくては。) ヴィルヘルミナ: (そもそも人間さんが失踪したなんて事実も、伝えるべきじゃない。) ペロー: 怖い顔ですねぇ。 私とお話をしに来ただけなのでしょう? ペロー: それとも抜き差しならない何かが起きているのでしょうか? ヴィルヘルミナ: 事件はいつも何かしら起きているものよ。 ヴィルヘルミナ: 特にワタシたちはインペリウム・コミッティ、オトギノクニ全土を統括する組織なのだから。 ペロー: もちろん存じておりますとも。 実は私、こう見えても元メンバーですから。 ジャコヴァ: ふん……。 ヴィルヘルミナ: そういう余計な挑発は無意味よ。 ペロー: 無意味というのなら、こうやって腹の内を探り合う時間も正直、無駄だと思いますがねぇ。 ヴィルヘルミナ: ……。 ジャコヴァ: お前はまだ、私たちに話していないことがあるだろう。 ペロー: それをこのタイミングで私が話す理由があるんですか? ジャコヴァ: 立場をわきまえれば理由は生まれる。 ペロー: (のらりくらりかわしてみたが……単なる尋問ではなさそうだ。  何かが起きている……いったい、なんだ……?) ペロー: そうか……もしかして ペロー: 『深淵の闇』が動き出した、ということでしょうか。 ヴィルヘルミナ: ……!? ジャコヴァ: ……。 ペロー: ふふっ、なるほど。面白くなってきましたね。 まだ終わりではなかったわけですか。 ペロー: それで? 何が起きているのか、具体的に教えてくれませんか。 ペロー: きっと楽しい状況になっているんでしょう? ヴィルヘルミナ: 深淵の……っ ジャコヴァ: ヴィル。 ジャコヴァ: 今日は、ここまでだな。 また、話す機会もあるだろう。 ジャコヴァ: それまで、お前はここでひとり寂しく待っていろ。 ペロー: ええ、待ちますとも。 深淵の闇に向けて進んでいるというならば、私はいつまででも待って、そして進捗を聞くのを楽しみにしますから。 ペロー: あはっ、あははははっ…… (背景切換...) ヴィルヘルミナ: ごめんなさい、姉さん。 ワタシとしたことが、動揺が顔に出てしまったわ。 ジャコヴァ: 気にするな。奴は結局、まだ何も知らないし、何もできない。 ジャコヴァ: それより再調査が必要だな。 ヴィルヘルミナ: ええ……いまだに行方不明のままで、調査は中断していたままだったけど。 あのタイミングでペローがあんなことを言うなら。 ジャコヴァ: まだ計画自体は終わっていないのだろうな。 ヴィルヘルミナ: 早急に再調査して、行方を探し出させるわ。 ヴィルヘルミナ: イマジュマイトの選別技術を確立させた作家……フリードリーケ・ニーチェの―― 150015 - ヴェルメリオの覚悟 (……みんなで一緒に旅していたときに、あなたが町でケーキ詰め合わせを買ってきてくれたときのこと、覚えてる?) (……わたしは自分の好きなケーキがあっても、欲しいって言えなくて。) (まあいいや、残ったので……って黙ってたの。) (そしたら勝ち抜き争奪戦!とかいってゲームを始めたでしょ。) (……みんなが欲しいケーキを指名して、ゲームに勝った順番にとっていくの。) (あの形式だから、わたしはどれを食べたいか初めて言えたの。) (それがきっかけで、みんなには言いたいこと言うようになった気がする。) (つまんないことだけどね、あなたはわたしのいろんなところ、たくさん変えてくれたんだよ。) (……あなたも、わたしに影響されたこと、あるのかな?) (……あったら、ちょっとうれしい。) (次に会えたら、聞かせてね。) (背景切換...) ルビー: ふーっ、とうちゃーく! エメラルドの町に戻ってきたね! ヴェルメリオ: ……なんか、数日なのに結構長く行ってた感覚。 ドロシー: まあ、久々に実家にも顔を出せたし、よかったわ。 ヴェルメリオ: ……ねえ、これからどうする? ドロシー: そうね、カンザスが不発だった以上、次の手を打たないとね。 ルビー: 人間さんの行方……他のみんなは何か手がかりをつかんだのかな? ドロシー: たぶんオズに言伝してあると思うのよね。ちょっと行ってみましょ。 (背景切換...) ドロシー: それじゃあカロラと連絡がついたってわけね。 オズ: ええ。出発前の皆さんの話では、2か所に分かれるということでした。 ヴェルメリオ: ……人間さんがひとりのときに通ったルートを辿るんだよね。 オズ: 起点と終点それぞれから辿って行けば、時間を半分にできますからね。 ドロシー: なるほど、効率的だわ。 ドロシー: それぞれもう出発してるんだとしたら、早く追いかけなくちゃ。 ヴェルメリオ: ……ううん。待って、ドロシー。 ドロシー: なに? ヴェルメリオ: ……そっちは3人ずつ行ってるんなら、十分、手は足りてるよ。 ドロシー: そうね。 遅れて行くくらいなら私たちは別で動いたほうがいいかも。 ドロシー: そう提案するからには、どこか行く宛てがあるのね? ヴェルメリオ: ……もう一度、現場を確かめてみたいの。 人間さんがいなくなった、コミッティ直轄領の郊外。 ドロシー: 一通りコミッティ特務機関が調査したんでしょ。 ドロシー: まあでも、自分たちの目で確かめてみるのはアリか…… ルビー: ドロシーちゃんたち、気を付けてね? ドロシー: 大丈夫よ。 オズ: コミッティ直轄領に向かうなら、途中までは飛空艇で行きますよね? ドロシー: ええ、お願い。 せっかくあるんだから使わないとね。 (背景切換...) ドロシー: さて、と。あとはパイロットに任せて空の旅を満喫しましょ。 ちょっと寝てもいいし。 ヴェルメリオ: ……飛空艇は便利だね。 ドロシー: コミッティになったおかげね。 こんな立派なものを専用で使わせてくれるなんて、役得だわ。 ヴェルメリオ: ……現場で何か見つかるといいんだけど。 ドロシー: そうね……まったく、人間さんは今頃、何してるんだか。 ヴェルメリオ: ……ずっとあんな感じでダラダラしてくれてるなら、それでいいんだけど。 ドロシー: ええ。危険にさらされているよりは、他の女にデレデレしてるほうがずっといいもの。 ヴェルメリオ: ……もし人間さんにピンチが迫ってるなら、わたしは助けに行くよ。 ヴェルメリオ: 自分の身に何が起きるとしても。 ドロシー: ヴェル……? ヴェルメリオ: ……それくらいの覚悟を持ってる、ってこと。 ヴェルメリオ: ……わたしはもう、昔の弱虫なわたしじゃないんだから。 150016 - 独りの歩み (私にとっての世界は、お義母様たちのお世話をしていたあのお屋敷がすべてだった。) (それが一気に広がったのはお城に行ってからなの。) (こんなにも世界は広くて、見たことのない場所が数多くあって……) (それを知ったとき、私は感動すると同時に怖くもあったわ。) (きっと独りで放り出されてしまったら途方にくれてしまうだろうって。) (私のそばには王子様がいてくれた。豊富な経験で支え、導いてくれた。) (でも人間さんはあのとき、独りで世界を旅していたのね。) (それってすごく過酷なことだったんじゃないかしら。) (ねえ、人間さん。) (いまのあなたは独りじゃない?誰かそばで支えてくれる人はいる?) (背景切換...) ピュルテ: ここが人間さんが一人旅の途中で立ち寄った町、なんですね ミダース: 他にもあるのかもしれないけどな。日記に出てきた最初の町はここなんだ シンデレラ: ヤマトの国から旅が始まっていたなんて意外だわ ミダース: いや、だから日記に出てきた最初の町がここってだけで―― 信長: ええ?じゃあ滝川のやつ結局なんもしないで帰ったわけ? 濃姫: 仕方ないじゃない。もう足元ふらふらだったもの ピュルテ: なんだかパリピ臭がする人たちですね。リルちゃん気をつけて。 うかつに近づくとテキーラのショット飲み比べとかさせられるよ リル: ときどきピュルテがいうパリピという種族はいったい何者なんだ 信長: あっ、すみませーん。ちょっとスホマで記念撮影したいんで撮ってもらえませんかー リル: えっ、小生か!? 信長: 他にいなくない? リル: 人にものを頼む態度なのか……? 信長: とってくれるって。濃、早くー! 濃姫: なんか強引ですみませんね ピュルテ: い、いえ…… 光秀: 織田さんと写真っ……い、いっしょに写真なんて、これもう家宝にするしか…… リル: おい、なんか変なのが映り込んでるぞ 光秀: 変なの!? 信長: ああ、平気。この変なのは知り合いだから 光秀: 変なの!? リル: ならいいんだが。では撮るぞ (カシャ) 光秀: あっ!?変なの呼ばわりに動揺してて横向いちゃってた…… あでもいいか、すぐ隣で横向いてたらまるでキスしてるみたいな ミダース: きもちわる…… 光秀: ひどい!! 信長: なー、これ人間さんに送っといてよ 濃姫: ああ、そうね。最近メッセージ返してくれないけど ピュルテ: !? シンデレラ: ちょ、ちょっと待って。いま、人間さんって……? 信長: え、なに?もしかして人間さんの友達だったりする?うわー、すごい偶然じゃん。飲み行こ! 光秀: な、ななな、ななななななぁ!?変な接点見つけて知らないやつが織田さんと仲良くなる流れが発生している!特にあの尻尾生えてるやつ、さっきから織田さんに色目使いすぎだし……!あんなに露骨にケツアピールしてぇ……っ! リル: おい、尻尾って小生のことか? 光秀: ひっ!? リル: いつ小生が色目を使ったと?ケツアピール? 濃姫: 人間さん、しばらく前から全然連絡がとれないのよ。 知り合いならもしかしてなにか聞いてない? ピュルテ: それが……私達も人間さんがどこにいったのかわからなくて探しているところなんです 信長: 何だ、借金でも作ったのかな 濃姫: 最初にその発想がでてくるって、結構普通に怖いんだけど。 きっちゃん、お願いだからまともなところから借りてよね シンデレラ: 借り先がどうこう以前に借りないようにさせなさいよ…… ピュルテ: あっ、じゃあこれ……陰キャに好かれるパリピな美女(巨乳)って、 あなたのことですか!? 信長: なにそれ ピュルテ: 人間さんの日記にあるメモです 信長: あいつ……美女とか、なかなか見る目あったんだな 光秀: え、じゃあ陰キャって!?まさかわたし!? 濃姫: 他にいないでしょ リル: いないな 光秀: さっきからしっぽっぽがわたしだけにとても攻撃的……! ミダース: しっぽっぽだって。かわいいな、くくくっ シンデレラ: そういう意味ではあなたもしっぽっぽよ ミダース: はっ!! ピュルテ: あの、人間さんがここに来たときのこと……聞かせてもらえませんか? 信長: ああ、もちろん。すっごい楽しかったから覚えてるよ。とりあえずどっか入ろっか (背景切換...) ピュルテ: そんなことがあったんですか…… リル: やっぱりお前がディマイト堕ちしていたんだな。そんなことだと思った 光秀: わ、わたしは堕ちてませんから!わたしのせいで濃姫さんが堕ちたんです! ミダース: もっとだめなのでは? シンデレラ: しかし、そういう事情だとしたら人間さんの行方にはあまり関係なさそうね 信長: そうだな。あのときは変な連中もいなかったし ピュルテ: 誰ですか、それは 信長: セレスティアルとかいう地下組織だよ シンデレラ: セレスティアル!? 信長: なんかあたしの縄張りでちょろちょろ目障りだったから、 仲間総出でボコしたらいなくなっちゃったけど ミダース: 総出で……!?なんか怖い響きだぞ 信長: 別に?セレスティアルとかいう連中の根城を突き止めて、 にわちんとか滝川とか全員集めて、メンバー全員土下座させただけだし 光秀: でも衣狩りだーとかいって全裸にさせてましたけどね…… 濃姫: 最後、普通に建物に火もつけてたんじゃなかった……? 信長: 火まではつけてないって! ミダース: こっわ シンデレラ: そう……セレスティアル…… 150017 - たまごの違和感 (やっぱりお酒はワインから入ったから、思い入れが強いのよね。) (ワインセラーも持ってるし、ぶどう畑だって作っちゃった。) (こだわって作った美味しいワインだけど、当然私だけじゃ飲めないでしょ。) (だから普通に売ることにしたんだけど、これが評判いいの。) (私の名前は伏せてるから、純粋にワインとして評価されてるのよ。) (ものづくりって素敵だなぁって実感しちゃった。) (自分がいいと思って一生懸命やったことが、みんなの笑顔になるんだもの。) (政治とはまた違う、ずっと身近な幸せなのよね。) (でもまだ、本当に飲んでもらいたい人には味わってもらってないわ。) (ねえ、人間さん。またいつか、一杯やりましょうね。) (背景切換...) ティンカー・ベル: ここが人間さんが一人旅した最後の町なわけ? カロラ: 正確には、誰かが接触した可能性がある、記録に残ってる町な。 この後あいつはロゼッタ・ゲートに行ってるみたいだな エミリー: そこでオトギノクニの住人になっちゃったんだもんねぇ クレア: 記録に残ってないけど寄り道してる可能性は? カロラ: 全然ある。でもそんなの見つけらんないだろ エミリー: わりと細かく書いてるみたいだし、空白ってことは 本当に寄り道なしでロゼッタのところに行ったのかもねぇ ティンカー・ベル: えーと……あった!ここだね。『蛙の畦道』……変わった名前の宿屋だなぁ (背景切換...) ティンカー・ベル: すみませーん、ちょっと聞きたいんですけどいいですかー? 宿屋の主人: はいよ、いらっしゃい。釣り竿レンタルなら1日1万ゴールドだよ クレア: え、高くない? カロラ: だよな。もうちょっと負けてくれよ 宿屋の主人: ええ~?困ったなぁ ティンカー・ベル: いや負けなくていいから!竿レンタルに来たんじゃなくて、 ちょっと話を聞きに来ただけなの! (背景切換...) ティンカー・ベル: ――ってわけで、ティンカたちは人間さんってやつを探してるってわけ。 いま言った特徴の人、見覚えない? 宿屋の主人: ………… クレア: どきどき 宿屋の主人: ん?あ、すまんのう。最近耳が遠くて……悪いが、もう1回言ってくれるか? ティンカー・ベル: ぬなーっ!?いまティンカすっごく長く話したんだよ!?なのに!? 全部聞いてなかったの!? (背景切換...) ティンカー・ベル: ――ってわけで!ティンカたちは人間さんってやつを探してるってわけ!いま言った特徴の人、見覚えない!? 宿屋の主人: ………… クレア: どきどき ティンカー・ベル: 待って、不吉な流れ作るのやめて!何も面白くないから! 宿屋の主人: いや、確かに見覚えがあるね。確か最初は一人旅だったんだよ カロラ: おっ、かかった!よかったな、ティンカ ティンカー・ベル: 最初からヒットしてほしい…… エミリー: 最初は、ってどういうことぉ? 宿屋の主人: 後から女の子を連れ込んでたんだよ。まあ宿代多めに払ったから こっちとしては文句はないんだけど ティンカー・ベル: あんにゃろ!かわいい子にはすぐ鼻の下伸ばして! カロラ: あのやろ!かわいい女の子見つけたらあたしにもよこせ! クレア: あのやろう。えーと、美味しい味の……だめだ、ごめん。思いつかない エミリー: クレア、それ無理に参加しなくていいやつだよぅ? エミリー: それ、誰だったんだろ…… ハンプ: どうも『えっぐ屋』です。納品に来ました 宿屋の主人: ああ、どうも。えーとじゃあ受領のサインを…… 宿屋の主人: って、ああっ!?そうだ、この人!このたまごの人! クレア: たまごの人!美味しそうなたまごだね。詳しく話を聞かせてもらおうか ハンプ: な、ななな、なんですかぁ!? (背景切換...) ティンカー・ベル: ――ってわけで、ティンカたちは人間さんってやつを探してるってわけ。 いま言った特徴の人、見覚えない? ティンカー・ベル: ねえ、なんで毎回ティンカがこの長くて面倒な説明してるの? カロラ: お前、話が上手いからさぁ ハンプ: 人間さんさまなら確かにお会いしましたよ。 わたくしがトラブルに巻き込まれてしまったところを助けてくださって…… ハンプ: おわああぁぁっと クレア: 大丈夫?どうしたの急にふらついたりして ハンプ: すみません。胸が大きすぎてバランスがとれなくて ティンカー・ベル: だめだ……もうむしゃくしゃして暴れそうだ…… エミリー: ティンカ、落ち着いて。ティンカの良さは絶対あるからねぇ? いますぐはちょっと言えないけど ティンカー・ベル: なんでだよ、言ってよ! エミリー: それよりハンプ、トラブルってどんな……? ハンプ: 信じていただけないかもしれませんが、実はわたくし……別世界から来たものでして カロラ: なにぃ!? 150018 - サーベイ (ふとね、ヴェルがうらやましくなるときがあるの。) (自分の気持ちにまっすぐで、まぶしいなぁって。) (私、変に大人になっちゃったのよね。) (結婚経験があるから?それとも国のトップなんかやったから?) (どっちにしろ王子様のせいだわ。本当にもう、あの人ったら。) (でも別にヴェルとの仲を応援するほど達観もしてないのよ?) (私、あなたのこと全然あきらめてないから。) (だけど……守るべき国民の顔はチラついちゃうのよね。) (もう完全に職業病だわ。) (それでもきっとあなたは、そばで笑って見守ってくれるんでしょうけど。) (もし、隣にいたら、ね。) (背景切換...) ドロシー: 近くの村で聞いた感じ、特務機関の報告通りって感じね。 人間さんは行方不明の子供を捜索するためにこの森に入り、そして姿を消してしまった…… ヴェルメリオ: ……ほんと、あのひとらしいけど ドロシー: 困ってる人を見逃せないのよね。そういうところが好きなんだけど ヴェルメリオ: ……あっ ドロシー: なによ ヴェルメリオ: ……いま、『好き』って ドロシー: だからなによ。私はずっと人間さんのことが好きよ。ヴェルだって知ってるでしょ。 それを隠すつもりもないし ヴェルメリオ: ……ドロシーはさっぱりしててうらやましい ドロシー: さっぱりって、気持ちを隠すかどうかってこと? それ言ったら一番さっぱりしてるのはヴェルだからね ヴェルメリオ: ……それはただの、バレバレってだけだよ ドロシー: そうね。賭けが成立しないくらいバレバレ……あっ ドロシー: 警備の兵士がいるわ。聞いてみましょ 兵士: おい、お前たち。この先は立入禁止区域だぞ。 インペリウム・コミッティの許可なく通行はできない ドロシー: じゃあ、私が自分で許可を出すわ。これでいい? 兵士: そ、そのペンは……!ああっ、その三つ編み、まさか鉄拳の女神こと、ドロシー委員!? ドロシー: そういうこと。ちょっと調べさせてね。 大丈夫、何かあっても自己責任だっていうのはわかってるから 兵士: も、もちろんですっ! ドロシー: さ、行きましょヴェル。それにしてもこのコミッティのペン、本当に威力がすごいわね ヴェルメリオ: ……それより、わたしは友達が心配。『鉄拳』って……誰か殴ったりしてないよね? ドロシー: そんなわけないでしょ! 郊外で仕事してたときに、迷い込んできた魔物を一発で殴り倒したせいだと思うわ ヴェルメリオ: ……ならよかった。女神、なんて女子力の高い二つ名だったしわたしも安心したよ ドロシー: そうでしょ!着々と女子力を世界レベルで発信してるのよ ヴェルメリオ: ……ところで、そのペンって身分証明書みたいなものなの? ドロシー: そうよ。大抵の施設はこれで立入禁止区域も入れちゃうし、 あとは直轄領にある商店街の定食屋さんでごはん大盛りが無料なの ヴェルメリオ: ……定食が無料ではないんだね ドロシー: そんなの定食屋さんが困っちゃうじゃないの ヴェルメリオ: ……そっか。ちょっとだけサービスするのが大事なんだね ドロシー: だいたい…… ドロシー: ――っ!しっ、ヴェル、静かに ヴェルメリオ: ……え? ドロシー: いま、あそこに誰かいたわ。立入禁止区域のはずなのに ヴェルメリオ: ……それって、すごく怪しいよね ドロシー: ええ。コミッティ特務機関は優秀よ。それを欺いて中に入ってこそこそしてるなんて…… 行くわよ、ヴェル。身柄を押さえなくちゃ ヴェルメリオ: ……うん、わかった (背景切換...) ドロシー: ここは……? ヴェルメリオ: ……見て、ドロシー。あんなところに洞窟がある ドロシー: ……っ、さっきの怪しいやつが洞窟の中に入っていくわ ヴェルメリオ: ……あれ、なんだったの?魔物? ドロシー: でしょうね。四角い頭に大きな一つ目……魔物じゃなかったらなんなのって話よ ヴェルメリオ: ……あれが人間さんをさらったのかな ドロシー: まだ判断はできないけど、許可なくこのあたりをうろついている、 それだけで疑わしいわね ヴェルメリオ: ……追いかけよう 150019 - 共通点 (私とお義母様はもちろん、血が繋がっていない親子なの。) (お義姉様たちもそう。) (だけど実は似ているな、と思うところもあるのよ。) (いくつかあるけど、一番は楽観的なところじゃないかしら。) (いまは問題があっても、なんだかんだうまくいくって信じてるし 明日を悲観してふさぎ込むより楽しく過ごしたほうが絶対いい。) (私なら明日の会議があっても朝まで飲むし、プリシラお義姉様なら気になった男性は 絶対に声かけるし、お義母様は持ってるお金全部使っちゃうし。) (よく言うでしょ、遺伝で似るのか環境で似るのか、って。) (これはきっと後者なのよね。) (まあ、アデリーナお義姉様が一番まともなのは間違いないんだけど……。) (あなたと私が似ているところはいくつあるかしら。) (私、意外とあるんじゃないかと思ってるのよ。) (今度、お互いに数え合ってみない?) (背景切換...) ピュルテ: ここが人間さんが2番目に訪れた町ですね。 ぱっと見た感じ、これといった特徴もなさそうですが…… リル: 出会ったのは5人……。うちひとりは精霊らしい。そして、手がかりはこれか…… シンデレラ: 『T‘sオーブン』……手作りの焼き菓子のお店みたいだけど ミダース: 臨時休業って書いてあるぞ!? どうするんだ、ワラワは期待してお腹を空かせてきたっていうのに ピュルテ: 調査に来てるんですからね!ミダースさんのお腹の具合なんて関係ありませんから! リル: とは言え、休業中では手がかりが途絶えてしまうな。 裏に回れば住居のようだが、果たして在宅しているだろうか シュネー: あら、お客さん?悪いけど店は休業中よ ピュルテ: あの、このお店の方なんですか?ちょっとお話を聞かせていただきたいのですが シュネー: ……? (背景切換...) シュネー: なるほどね。人間さんの知り合いだったわけ。それにしても行方不明だなんて シンデレラ: でも、それはそっちも同じってことよね。 クーヘンとトルテという姉妹が忽然と姿を消してしまった…… チシャ: さっきシュネーさんから連絡をもらったところで、私もびっくりしました。 普段はずっと森の奥に建てた小屋でひっそり暮らしていますので オーフェン: 気が付いたらある日、置き手紙が残されていて……ふたりはいなくなってた。 悲しいよ……どうして、わたしは連れて行ってくれなかったんだろう…… ミダース: うむ、仲間外れは辛いな。よくわかるぞ ピュルテ: 人間さんとクーヘンさん、トルテさんの行き先は同じなんでしょうか リル: タイミングは近いようだが、状況はだいぶ異なる。関連は薄いかもしれないな。 とはいえ手がかりではあるし気になるところだ。追ってみるか シンデレラ: そうね。みんな、ふたりの行き先に心当たりはないのよね オーフェン: あったら追いかけてるよ…… ピュルテ: オーフェンさん、落ち込みようがすごいですね。お気の毒です シュネー: たぶん、行き先はないんじゃないかしら リル: というと? シュネー: チシャ、あなたのところにも最近出てきてるんじゃない? チシャ: ……っ!もしかして、それが原因で? シュネー: 私たちは監視者<サーベイ>という謎の存在につけ回されてるの。 チシャは森に、私は郊外の屋敷に住んでいるから、見かけたら倒せば済むけど…… リル: 町中で店を経営していれば、そうもいかないというわけか オーフェン: 言ってた!トルテちゃんがクーヘンに、町の人たちに迷惑はかけられないからとか。 なんの話だろうって思ってたけど…… リル: そのサーベイというのが何なのかはわからないが、おおよその事情はつかめたな。 そうなると宛てのない旅にはなるが…… ピュルテ: スホマでは連絡しても応答がないんですか? シュネー: ああ、スホマね……。人間さんが持ってたのは見たけど チシャ: わたしたちは持っていません。この世界の住民ではないので…… シンデレラ: この世界の住民ではない……? シュネー: ええ。私とチシャ、オーフェンはラームスという世界から来たのよ (背景切換...) ハンプ: さあさあ、せっかくですから食べていってくださいね。たまごづくしのフルコースです ティンカー・ベル: いやあ、ハンプってばめっちゃいいヤツじゃん エミリー: ティンカ……現金なんだから、もう……。 エミリーは友達としてちょっと恥ずかしいよぉ? カロラ: そっちのふたりも、わざわざ来てくれてありがとな ピオン: う、ううん。人間さんが行方不明なんて大変だし、 ぴおんが何か役に立てるなら、って…… メルヴェ: ま、それなりに世話にもなったし クレア: 人間さんがみんなに優しくしたから心配してもらえるんだね エミリー: それで……3人とも、ってことだよね? こことは違う別世界『ラームス』から来たのは…… 150020 - 入れ替えられた記憶 (あなたの足取りを追っていたとき、 ピンチを助けてもらったという人にたくさん出会ったわ。) (どんなに自分が辛くても、あなたは誰かに手を差し伸べられる人なのよね。) (そういう人だからこそ、あなたのピンチにはたくさんの人が駆け付けてくれるはずよ。) (それってきっとかけがえのない財産だと思うの。) (だから、遠慮なんてしないで。) (あなたが築いた財産なのだから、あなたのために使っていいのよ。) (私はずっと待ってるから――) (背景切換...) シュネー: ――ということがあって、森には定期的に行って小人たちにお金を渡したわ。 要は口止め料ね ミダース: な、なるほど…… シュネー: でも何故か、私は自分でもどうしてお金を渡すことになったのか、 その事情を最近まですっかり忘れていたのよ リル: 忘れていた……?なのに金は渡し続けていたのか シュネー: かわいそうな小人を支援してる、なんて思いこんでいたわ。 それでその日もお金を届けて、その帰りに森の中で……急に気が遠くなったの。 気が付いたら、こっちの世界にいたのよ シンデレラ: ラームス……人間さんの日記にも出てきた名前だわ。 じゃあ、行方不明なのはあなたたちの世界に行ってしまったのかも ミダース: どうやって移動するんだ? シュネー: それがわかれば苦労はないわ チシャ: 私は戻れるなら戻りたいんです。そういう言いつけですし。 でもどうしていいかわからなくて…… ピュルテ: あの、シュネーさんやチシャさんたちのお話を伺っていて、 ちょっと気になることがありまして ピュルテ: シュネーさんはお姫様だったんですよね。 そして家の事情に嫌気がさして森に逃げて小人さんに匿われ、色々あって毒りんごを食べて死にかけた、ということでしたが シュネー: ずいぶん端折ったわね。内容は、その通りだけど ピュルテ: それって……マルガレータさんの創造期と同じじゃないですか? シンデレラ: え?あ、そうね、確かに毒りんご…… リル: 待て、それはどういうことだ。同じ創造期を持っている、と……? シュネー: 創造期……確か人間さんも同じことを言っていた気がするわ。 私の過去に、心当たりがあるって オーフェン: わたし、ずっと気になってたことがあるんだよね。 トルテちゃんたちも最初、わたしのこと含め記憶が抜けていたみたいなの オーフェン: こっちに来てわたしが起こした騒動が起きているうちに、 思い出してくれたみたいなんだけど……なんだったのかな、って シンデレラ: 単に記憶を失ってるだけならまだしも、シュネーの話だとそうじゃないわよね。 認知が歪んでいる、というか…… シュネー: そうね。口止め料と支援金じゃまったく意味が違うわ シュネー: それに毒りんごだって、私がうっかり食べたのを赤の国の王子が 助けてくれたと思い込んでいたわ。本当は食べさせたのは彼なのに…… リル: あまりにもかけ離れすぎている。記憶の欠落というより、それはまるで ピュルテ: 刷り込み……みたいですよね。作られた記憶を意図的に埋め込まれているような ピュルテ: かつての、私みたいに リル: ピュルテ…… (背景切換...) ティンカー・ベル: ほら、これで足腰が強くなってバランスとれるから!うぇい、うぇい、ふぅ~! ハンプ: う、うぇ、うぇ?はんぷううぅぅぅうううぅぅ!? カロラ: そんなにがんばったところで胸の大きさが違いすぎるからバランス感覚を変えるのは無理なんじゃないか? ティンカー・ベル: 自分だってささやかなくせに、なに達観してるわけ!? カロラ: いや、あたしは別に気にしてないしな エミリー: エミリーもだよぅ?顔が可愛ければ普通に需要あるから平気だよぅ メルヴェ: 自信のかたまりみたいな奴らだな…… ピオン: あの、でもいまのお話、とても気になりますね クレア: ハンプの創造期の話? ピオン: 似た創造期の人がいるんですよね クレア: うん、ダンプルディーっていうんだけど エミリー: それも変なんだよねぇ。ハンプは精霊なわけでしょ? なのにダンプルディーは普通の住民……なんで違うんだろ…… (背景切換...) (--) (背景切換...) (ガタッガタガタッ) フェルディナ: ん……なんの音?誰か起きたの……? (背景切換...) シャルロッテ: すぅ、すぅ……だめですよぉ、人間さんさぁん……私はそんな、 ドスケベじゃないですぅ……くぅ、すぅ…… トルテ: すぅ、すぅ……クーちゃん、お菓子ばっかり食べちゃって…… お姉ちゃんがめってしちゃうよ……くぅ、すぅ…… (背景切換...) フェルディナ: ……クーヘンがいない? (背景切換...) クーヘン: ………… フェルディナ: ちょっとクーヘン クーヘン: え、なに起こしちゃった? フェルディナ: 危ないわよ。あなたたちは知らないかもしれないけど、 ひとりで歩いてると平気で襲ってくる連中がうようよいるのよ クーヘン: うん……心配かけてごめん。ちょっと、怖い夢を見たから。外の空気を吸いたくて フェルディナ: ん……外に出るなら私に声かけなさいよ。寝てても構わないから クーヘン: ……あたし、人を殺したことがある フェルディナ: ……! フェルディナ: ……創造期によっては、そういう人もいるわ クーヘン: でも記憶が入れ替えられていたのよ。 それが何を意味するのか、何が本当なのか、わからなくて……だから、私……っ 150021 - 洞窟の奥の魔法陣 (私が水浴びしてるところをあなたが覗いたこと、覚えてる?) (あれは事故だった、なんて釈明してたけど本当のところはどうだったのかしら。) (いまなら怒らないから正直に言いなさいよね。) (あの水浴びしてた泉、この前久々に行ったのよ。) (みんなでキャンプでもしようってなったときちょうどいい場所があったの。) (偶然なんだけど、まさかここに来るなんて、って笑ったわ。) (キャンプは盛り上がったわよ。ヴェルがいっぱいお肉も焼いてくれて。) (……もう昔と違って、あの子も積極的に人と関わってるんだから。) (まだちょっと人見知りなところは残ってるけど。) (みんな、少しずつだけど変わっていってるのよ。) (変わらないのは、記憶の中のあなたくらいだわ。) (背景切換...) ドロシー: さっきのやつ、どこへ行った? ヴェルメリオ: ……見て、ドロシー。これ (足元には雑草の葉がちぎれて落ちていた。まだ瑞々しい。) ドロシー: あいつの靴裏にでもついていた、ってところかしら。ってことは、こっちね! ヴェルメリオ: ……慎重にいこう。あの魔物が何体いるかわからないから ドロシー: そうね…… (背景切換...) (息を潜めながら洞窟の奥へと進んでいくと、) (そこは少し開けた部屋のようになっていた。) (目を引くのは足元に展開されている紋様――) ドロシー: これは、魔法陣……。描いてある陣のタイプからして、おそらく空間転移系の術式よ ヴェルメリオ: ……すごい、ドロシー。そんなことがわかっちゃうなんて、まるで魔法使いみたい ドロシー: ん? ヴェルメリオ: ……それはいいとして、空間転移ってことは ドロシー: ええ。人間さんはこれでどこかへ飛ばされたのよ。 ただ、陣が消えかけていて、どこに飛ばされたのかまではちょっと…… ヴェルメリオ: ……っ!? 監視者<サーベイ>: …… ドロシー: 出たわね!魔法パーンチ! (ゴッシャアアアアァァァァッ!!) (現れた魔物らしき相手はドロシーの拳を受けて、そのまま壁面まで飛ばされ全身を叩きつけられると、その場で倒れ伏して動かなくなる。) ヴェルメリオ: ……ドロシー、慎重にって言ったよね ドロシー: そうだけど、やられる前にやらないとでしょ ヴェルメリオ: ……この魔物、何か持ってる。ほうき? ドロシー: 魔法陣を消そうとしていたのかもしれないわね。つまり証拠隠滅…… ヴェルメリオ: ……だとしたら、事故じゃない。意図的に人間さんをどこかに飛ばしたんだ ドロシー: 手加減したし、死んではいないはずよ。 この魔物が会話できるのかはわからないけど、連れ帰ってみましょ (ドロシーが未知の相手をつかもうと手を伸ばしたところで、急に地鳴りが始まった。) (はっとふたりが振り向くと、地面に描かれた魔法陣が 真っ赤になって淡い光を放ち始めていた。) ドロシー: な、なにこれ!?こいつ、何かしたのかしら。ううん、そんな暇はなかったはず…… ヴェルメリオ: ……だとしたら、この魔物が何か『しなかったから』こんなことになったのかもしれない ドロシー: 定期的に安定させないといけない……?もしかしたら、常に効果を発動している常設タイプの魔法陣なのかも。でも空間転移系の術式でそんなことって…… ヴェルメリオ: ……てことは、いまこの魔法陣は機能してるってこと? ドロシー: そう……なるわね…… (魔法陣の縁、その一部に半透明の障壁が出現する。) (陣の内外を遮断するかのようなそれは、 徐々に面積を広げていき陣を包み込もうとしているようだった。) ドロシー: (これって……) ヴェルメリオ: ……やぁっ! ドロシー: ヴェル!? (ヴェルメリオは陣の中に飛び込んでいた。) (ドロシーは目を見開く。) ドロシー: 何やってるのよ!魔法陣は機能してるって言ったでしょ! どこに飛ばされるのかもわかんないのに! (ドロシーはヴェルメリオに手を差し伸べようとするが、) (半透明の障壁は既に、ヴェルメリオが飛び込んだ直後に、完全に陣を包み込んでいた。) ヴェルメリオ: ……どこかわからない。でもひとつだけハッキリしてる。 人間さんがいる場所。そうでしょ? ドロシー: それだって確証があるわけじゃないのよ! ヴェルメリオ: ……だから確かめるの。ドロシー、後のこと頼んじゃっていい?ごめんね ドロシー: なんであんたが謝るのよ……私こそっ…… (ドロシーはおそらくヴェルメリオよりも早く状況を把握していた。) (この魔法陣を使えば人間の後を追えるかもしれないこと、 半透明の障壁は、術式発動のタイムリミットであること。) (それでも彼女は――) ドロシー: 私はヴェルみたいに咄嗟に動けなかったわ…… ヴェルメリオ: ……ドロシーは守るものがあるんだもん。自分を責めないで ヴェルメリオ: ……じゃあ、いってきます ドロシー: ヴェル!! (次の瞬間、目映い光が周囲を覆って…… ヴェルメリオの姿はドロシーの目の前から煙のように消えた。) 150022 - 監視者の標的 (よく、私はサバサバしてるって言われるのよね。誉め言葉みたいなんだけど、でも私はそんなことないっていっつも否定するの。) (だって本当はちっともそんなことないんだもの。) (決めたことを後悔することも多いし、 相手がどう受け止めたかはいつも気にしているし……) (でも、心の中はどうあれ表面上は立ち止まってるわけにはいかないでしょ。) (どんなときも立ち止まることなく前を向いていられたのは、あなたやヴェルみたいな仲間たちがいてくれたから、って本当に思ってる。) (私もあなたたちの力になれていれば、いいんだけどね。) (背景切換...) フェルディナ: ほら、これくらいなら施しだのなんだのって気にしなくていいでしょ。食べなさいよ トルテ: わあっ、串焼きだっ。美味しいよねぇ クーヘン: ……ありがと シャルロッテ: ドケチなフェル姉さまが誰かに食べ物を買ってあげるなんて! フェルディナ: シャル、あなた勘違いしているみたいだけどね。 私はケチじゃないのよ。ただ貧乏だっただけ シャルロッテ: じゃあいまは、手持ちがあるから気前がいいってことなんですの? フェルディナ: そういうこと シャルロッテ: 姉さまたちのお金ですのに…… それで大きな顔ができるなんてきっと生きてて楽しいでしょうね フェルディナ: だからなんでそんなこと言われなきゃいけないのよ!! クーヘン: あのさ……また仕事ができるようになったら、 そのときは……あたしたちからも、何か御馳走するから フェルディナ: 気にしなくていいって言ったでしょ フェルディナ: (……見た目には普通にしているけど、クーヘン…… まさか、あんなことを言いだすなんて……) (背景切換...) クーヘン: ……あたし、人を殺したことがある フェルディナ: ……! クーヘン: でも記憶が入れ替えられていたのよ。 それが何を意味するのか、何が本当なのか、わからなくて……だから、私……っ (背景切換...) フェルディナ: (確かに創造期では過酷な環境の人も多いし、 やむにやまれずそういう選択肢をとった人もいたでしょうけど……) フェルディナ: (気になるのは記憶がどうとかいう話よね……) トルテ: ねえ、見てクーちゃん。あんなところにウサギさんがいるよ クーヘン: ふふっ……姉さんは、ああいう動物が好きよね。何か木の実でもあげてみる? トルテ: 持ってないや……残念だったね、うさちゃん クーヘン: あたしが持ってるから、これあげたら? トルテ: わあっ、クーちゃん、準備がいいねぇ フェルディナ: (トルテがああいう動物にエサをやりたがることを見越して 事前に拾っておいたのね……本当に、シスコンだわ) フェルディナ: (そのことを併せて考えると、クーヘンが誰かを殺したのが事実なら トルテを庇うために、っていうセンが濃厚よね……) シャルロッテ: もう……はい、フェル姉さま フェルディナ: へ?何よ、紙? シャルロッテ: 口元に串焼きのタレが付いたままですわよ。みっともない フェルディナ: あ……あ、ありがと…… クーヘン: フェルディナがよく口元を汚してるからって、ちゃんと用意してくれてたんだね フェルディナ: えっ……? シャルロッテ: べ、別に姉さまのためじゃありませんわよ。一緒にいて恥ずかしいからですわ トルテ: シャルちゃんもフェルちゃんのこと、だいすきだもんね~ シャルロッテ: おやめになって、もう フェルディナ: もう、バカね。素直に言ってくれればいいのに。 ちゃんと私のこと、気にかけてくれてたなんて シャルロッテ: いい話ふうになってますけど、いい年してタレを口元につけたままにしてるって、 なかなかですわよ フェルディナ: ふふ、そうやって強がっちゃって クーヘン: いや、それはそう トルテ: フェルちゃん、赤ちゃんみたい フェルディナ: えっ!?そこみんな引っかかる感じ!? シャルロッテ: それにしても……監視者<サーベイ>でしたっけ。 あの連中が出て来なくならないと、定住もままならないんでしょう? クーヘン: うん……人間さんと倒して以来、出てこなかったから てっきり解決したもんだと思ってたんだけど フェルディナ: え……?待って、あなたいま、なんて?人間さん? シャルロッテ: 人間さんとお知り合いですの!? トルテ: みんな、たいへんだよ~!噂してたら、ほらっ…… クーヘン: 話は後でゆっくり!まずはこいつらを倒さないと……っ! 監視者<サーベイ>: ………… フェルディナ: なんなの、まったくこいつら…… 監視者<サーベイ>: ………… フェルディナ: え……?こいつらの顔に文字が表示されて……?『エラーケースE12:作家』…… シャルロッテ: 私たちに狙いを変えましたわ!? 150023 - ラームスの流儀? (もしかしたらあなたは誤解していたかもしれないんだけど、私たちみんな、自分がなかなか尖ってるって自覚はあったのよ。) (人間さんは私たちと旅をずっと続けてきたのに一度もブチギレたりしないのはすごいよね、なんてときどき私たちだけで話してたりもしたわ。) (みんな、それぞれ思うようにしか動かないから大変だったでしょ?) (でもまあ、あなたが知り合った他の子たちも大概だったし 個性的な子には慣れていたのかしら。) (だからちょっと後悔してる。言っておけばよかったわ。) (いつもありがとう、って。) (言えるうちに、ね。) (背景切換...) ピュルテ: 一応、ここがエミリーさんたちとの合流地点なんですが…… まだ来ていないみたいですね リル: 到着前に、小生たちだけで聞き込み調査をしておくか シュネー: いいんじゃない?じゃあ宿にチェックインしましょ。私は部屋で休んでるわ リル: ずいぶんのんきだな。人間さん殿が心配ではないのか? シュネー: えー?好きだし、心配だけど、疲れたのも本当なのよ チシャ: あ、あの、私もあまり、 知らない場所をうろうろしないようにってママに言われているので シンデレラ: そ、そう……。まあ強要はできないけど チシャ: うまくいくように、お部屋でお祈りしておきます ピュルテ: ど、どうも…… リル: やれやれ……これはどうも調子が狂うな。向こうの班はどんな調子だろうか…… (背景切換...) ピオン: もう、ぴおんなんて死んじゃえばいいんです ティンカー・ベル: お、おおお、落ち着こう!一旦、深呼吸しよう!はい、すぅー!はぁー! エミリー: ニンニクくさいよぅ ティンカー・ベル: そりゃいまさっきニンニクの素揚げ食べたからね!?それオーダーしたのエミリーだし! クレア: 不思議だよね。ニンニクを食べると食欲が促進されるんだ ハンプ: ニンニクを加熱すると出てくる成分が胃腸の働きを活発にするんで それが食欲を高める効果があるとかないとか クレア: さすがハンプ、博識 ハンプ: ふっふーん!任せておいてください。 って、うわ、胸をそらしたらっ、う、うわわわ、はんぷぅぅううぅぅ! ティンカー・ベル: うるさいなー!いま大事なとこなんだから ピオン: ぐすん……ぴおんは、何をやってもうまくいかないし…… みんなに迷惑ばっかりかけて…… ティンカー・ベル: ま、まあさ、過ぎたことは仕方がないよ。 ティンカたちのために元気が出るサプリを買ってくれようとしたんだもんね エミリー: けど、売りつけてきたのは詐欺集団で、効果がないどころか 飲み切れないくらいの大量の在庫を押し付けられちゃったんだよねぇ メルヴェ: ま、いつものことだよ ピオン: メルち、つめたい~ メルヴェ: この女はいつもそうやって構ってほしいだけだからさ。 ティンカはあまり本気にならなくていいって ティンカー・ベル: 死にたいって言ってる子に、あんたなんてことを!? ピオン: メルちは、ぴおんにいつもこんな感じなんだよ。ひどいよね~ エミリー: ティンカは素直に受け止めすぎなんだってば。 女の子のこういうのは話半分に聞いとくのがいいんだよぅ ティンカー・ベル: なんかまるで、ティンカが女の子じゃないかのような言いぐさ…… クレア: ねえねえ、ティンおじ。追加でチャーハン頼んでもいいかな ティンカー・ベル: だれがおじだ!あと食べすぎだよ!! エミリー: いやいや、ティンカはこの場の誰よりも女の子だよぅ。 女のいやらしさが理解できない、ぴゅあぴゅあな子ってだけ ピオン: なんかひどいよ、エミちまで。ぴおんがいやらしいって聞こえる エミリー: じゃあピオンの耳は正常だよぅ。 ま、それを踏まえた上でエミリーはピオンのこと好きだけどねぇ ピオン: えへへ、じゃあよかったぁ。このままのぴおんでいいってことでしょ? メルヴェ: あんまり甘やかしちゃだめだよ。適度なところで締めないと クレア: 女の子のことは難しいよね、ティンおじ ティンカー・ベル: だから!おじっていうな! クレア: でもさ、メルヴェもピオンと知り合ったの、こっちの世界に来てからなんだよね? メルヴェ: まあね。ただ知り合ってからこっち、ずっと一緒だから ハンプ: ピオンさまにこんな仲良しの友達ができるなんて…… わたくしは感動のあまり、中身が完熟になりそうでしたよ クレア: 中身…… エミリー: 別世界、かぁ……。不思議だよね。ラームスって世界 ティンカー・ベル: 他にラームスから来たこと話したことは? メルヴェ: ないね。ただ、人間さんは前にも会ったことある、って話をしてたけど エミリー: そんな大事なこと黙ってるなんて、人間さんはもう~! 150024 - ドロシーの大返し (いつだったかな……人間さん、言ってたわよね。) (あなたがお湯に浸かって、私がシャワーを浴びてるときだったわ。) (筋トレすごいやってるのに、意外と体つきは柔らかいよな、って。) (あのとき、あなたは本気で慌てて謝ってたけど、私は嫌な気持ちにはならなかったのよ?) (面白いから、すねたフリしていっぱいキスしてもらっちゃったけどね。) (意識して鍛えてるのはインナーマッスルなの。) (別に体つきをガチガチの筋肉質にしたいわけじゃないし、それにあなたが私の太ももとかも気に入ってるのは知ってたから。) (あなたの好みに左右されるなんて女子力どこ行った?って感じだけど……いまでも私はそういうトレーニングを続けてるわ。) (あなたと会ったときに触れたいって思わせたいじゃない?) (背景切換...) (ドロシーは一心不乱に走っていた。) (手元には、縛り上げたサーベイに繋がるロープがある。) ドロシー: (私は……私にできることをやらなくちゃ……! この変な魔物と、ヴェルに起きたことを、早くみんなに知らせるの……!) ドロシー: (それが……ヴェルの勇気に対する、私の敬意ってやつよ……) (仲間たちがどういうルートを辿って調査しているかについては おおよその情報は得ている。) ドロシー: (あのあたりではスホマが通じなかった……もしかすると空間転移の術式の影響かもしれないけど……だったら走って知らせるまでよ) (もちろん、仲間たちがいると思しきエリアまではかなり距離がある。) (しばらく走って魔法陣の影響範囲を抜けたら一度、スホマで連絡するつもりではある。) ドロシー: (でも、この変なのは直接見せないといけないだろうし。 もしかしたら誰か見たことある可能性もあるわ) ???: くっ、数が多すぎますわ……! ドロシー: ……?誰か襲われてる……? (一瞬、躊躇する。一刻も早く事実を伝えるのが自分の役目。) (しかし……。) ドロシー: ここで私が自分の女子力を曲げるほうが、ヴェルは嫌がるわよね (ドロシーはすぐさま方向転換した。) (背景切換...) フェルディナ: シャル、下がって!はあああぁぁっ!! クーヘン: 一気に五体も襲ってくるなんて……! トルテ: も、もうフェルちゃんとシャルちゃんは逃げて……! トルテたちに無理してつきあったら怪我しちゃうよ……っ! フェルディナ: バカ言わないで。 ここで見捨てていくなんて超絶カッコ悪いところ、妹に見せられるわけないでしょ シャルロッテ: ええ、それこそ本当に一生言い続けますわよ トルテ: で、でもっ…… ドロシー: だらっしゃああああぁぁぁぁぁぁっ!! (!?) ドロシー: 旅人を襲う不届き者は、この鉄拳の女神こと正義のコミッティ、 ドロシーさんが成敗してあげるわ!覚悟しなさい! 監視者<サーベイ>: ……! ドロシー: 真後ろも見えてるのよ!私の女子力、舐めてもらっちゃ困るわ!はあああぁぁぁぁっ!! トルテ: わわ、なあに、クーちゃん クーヘン: 姉さんは見ちゃだめ。躊躇なく腕を折るなんて…… シャルロッテ: 襲ってきた相手には容赦ない……間違いありませんわ。 あれは私たちがよく知るドロシーさんですわね ドロシー: あら、フェルディナにシャルロッテじゃない。何やってんの、こんなところで 監視者<サーベイ>: ……! (これは不利と判断したのか、 撃破された個体を置いて離脱しようとする残り4体の監視者<サーベイ>。) (しかし、それをドロシーが見逃すはずもなく。) ドロシー: どこ行くの……よっ!全員!お縄に!つきなさいっ! (次々に膝を蹴り割られて、その場に崩れ落ちるサーベイたち。) (全員が硬直してその様子を見守る中、 ドロシーは1体のサーベイの頭をつかんで見下ろした。) ドロシー: なに、こいつ。こんなところにまでいたわけ!?いったい、どうなってんのよ…… ドロシー: ねえ、これって魔物なのよね?コスプレした一般人じゃないわよね。 私、わりと手加減なしでぶっ飛ばしちゃったんだけど フェルディナ: た、たぶん……? (フェルディナの視線を受けて、クーヘンが曖昧にうなずく。) クーヘン: え、えっと、魔物とはちょっと違うんだけど……一般人ではないよ。 作られた存在、っていうか…… ドロシー: ならよかった。こいつにも人生があって、 家族や友達がいるっていうならさすがに加減しないと心が痛むからね フェルディナ: そ、そうよね……。まあ、なんにしても助かったわ。ありがとう、ドロシー 150025 - 誘う声、導く声 (あなたがいなくなるまでの期間、同じコミッティとして議場に一緒に通って同じ食堂でごはん食べたりするの、結構新鮮だったわ。) (行動が一緒なことなんてそれまでもずっとそうだったのにね。) (私も、あなたも、何も変わってない。ただ立場や肩書が変わっただけ。) (なのに、お互いと過ごす時間がちょっと新鮮だなんて、なんだか不思議だと思わない?) (その人を形作っているのは、その人そのものだけじゃない、ってことよね。) (今度また会ったら……何か変化が起きているのかしら。) (そう考えると、なんだかちょっと楽しみだし、不安でもあるわね。) (ねえ、人間さん。) (いつ会えるかしらね。早く、会いたい。) (背景切換...) シンデレラ: 結局、これといった収穫はなかったわね。 はぁ……仕方ないから、さっさと飲みに行きましょ リル: 結局、シンデレラ殿は飲みに行きたいだけなのでは? チシャ: え、えっと、ごはんはお外に食べに行くですか? シュネー: そうね、ずっと宿にいても気が滅入るし、私も外に出ようかしら ピュルテ: あの、シンデレラさん。調査中に聞いていた『セレスティアル』ってなんですか? リル: そういえば聞いていたな。何か知らないか、とずいぶん曖昧な聞き方だったが ピュルテ: 確か信長さんがやっつけたと話していましたよね シンデレラ: ……そうね。みんなにも話しておいたほうがいいかもしれないわね。『セレスティアル』は反社会組織の名称で、各地でテロまがいの破壊活動を続けているわ シンデレラ: コミッティ特務機関で監視を続けている指定団体…… あのライブラの思想を受け継ぎ活動をしている危険な連中よ ピュルテ: そんな団体が…… シュネー: え?いま、なんて?セレスティアル? リル: なんだ?まさか覚えがあるのか? シュネー: 確かクーヘンとトルテの店に、そう名乗る連中が来ていたわ。店を畳む、ちょっと前よ リル: なんだと……? (背景切換...) (気が付くと、先ほどまでいた洞窟の風景はかき消えていた。) (しかし、かといって代わりの風景があるわけでもない。) (そこはただ、ひたすらに真っ白な空間だった。) ヴェルメリオ: ……ここは、なに? ヴェルメリオ: ……なにも、ない……?誰もいなくて、何も聞こえなくて…… ヴェルメリオ: ……まさか、こんな場所で人間さんはひとりぼっちに……? ううん、可愛い女の子にたくさん囲まれてたはず (垣間見えた異世界で過ごす人間さんの姿。) (関係性は不明ながら、美女たちと仲良さそうに談笑していたはずだ。) (血色も良く、健康にも問題はなさそうだった。) (しかし、彼を連れ去ったと思しき魔法陣が転移させた場所は) (この何もない空間だった。) ???: こちらへ……私の声を頼りに進むのです……赤ずきんよ…… ヴェルメリオ: ……!? (ふいに聞こえた声にヴェルメリオは警戒を露わにする。) ???: 私は……貴方を導く存在……さあ、こちらに来るのです…… ヴェルメリオ: ……そっちに人間さんがいるの? ???: ………… ヴェルメリオ: ……無事なの?病気とか、怪我とか、なんともない? ???: さあ、こちらへ…… ヴェルメリオ: ……どうして答えないの ???: あなたが進むべき道を示しているのです…… 赤ずきんのあなたは、おばあさんのために、パンとワインを届けるのです…… ヴェルメリオ: ……つまり、人間さんのところへ行くのは、正しい道じゃない? ???: 穏やかな幸せを得られます……それが進むべき道なのです…… ヴェルメリオ: ……嫌だよ ???: こちらです、赤ずきん…… ヴェルメリオ: ……嫌だよ! ???: ………… ヴェルメリオ: ……わたしは、そっちには行かない。教えてくれないなら、自分で探す。わたしが進むべき道はたったひとつ。人間さんのいる場所に続く道 ???: ……愚かな ???: よくいった ヴェルメリオ: ……今度は、誰!? (背景切換...) (真っ白な世界から一転、荒れ果てた土地に放り出されるヴェルメリオ。) (周囲を必死に探るが、風景が現れただけで人物はいない。) (当然、人間さんもいない。) ヴェルメリオ: ……ここは、どこ?最後に話したのは誰?人間さんは…… ???: そう騒ぐな。お前の望む道へと導いてやる ヴェルメリオ: ……あなたは、人間さんの居場所を知ってるの? ???: ただし、条件がある 150026 - 監視者<サーベイ>という存在 (人間さんってさぁ、異世界から来たのにおしゃれなお店とかすごく詳しかったよねぇ。) (あれ絶対、女の子とたくさん遊び歩いてたからでしょぉ?) (エミリーも、いろんな人にいろんなお店に連れて行ってもらったから 意外と人間さんとは話が合ったっけ。) (あのお店のこれは最高とか、ここの店員さんの態度は良くないとか。) (連れて行ってもらう相手には言えないようなことも話せたから、気楽で楽しかったんだよねぇ。) (お互い教えあって、新しく知った店に誰かと行ったりしたし。) (でもさ、たまには人間さんとエミリーのふたりで行こ?) (そういうのも面白いと思うんだ。) (今度……会えたときにね。待ってるから。) (背景切換...) ドロシー: え……それじゃあ、この妙な魔物……サーベイ、だっけ? クーヘンたちはこいつらにずっと追い回されていたってこと? クーヘン: そういうこと。どこまでも追いかけてきて、そして襲ってくる トルテ: さっきみたいにね シャルロッテ: そのせいで定住しようとしていた町にもいられなくなってしまって、 こうして放浪の旅をしているそうですわ ドロシー: そしてラームスっていう別世界から来た……。その頃からこいつに襲われてたってわけね トルテ: 襲われてた……のかな。追いかけられてたような気はするんだけど クーヘン: 私たちはまだ、元の世界にいたときの記憶が完全じゃないのよ。 だから、確実なことは言えないの トルテ: 捕まえたら元の世界に戻れるかも、なんて話もしてたんだけど…… そもそも、トルテたちだけで上手に捕まえられなくて フェルディナ: 誰かさんは、これだけの数をひとりで縛り上げたけどね…… ドロシー: ふうん。じゃあ、クーヘンとトルテもこいつの正体についてはよく分かってないわけね クーヘン: 取り戻せたのは私たちがどんな過去を背負っているか、ということだけなの。 あいつに何で追われていたかまでは…… ドロシー: なら、誰か他に知ってる人がいないか探すしかないわね。 ただ、あなたたちも貴重な証人だわ。悪いけど、一緒に来てもらうわよ クーヘン: 行く宛てもないし構わないけど、どうしてドロシーはそこまでするの? ドロシー: 人間さんが行方不明になった現場近くで、このサーベイがうろついてた。 単なる状況証拠だけど、ヴェルも同じように姿を消した…… いまのところ、私たちに手がかりはこいつしかないのよ フェルディナ: えっ……!? シャルロッテ: 人間さんが…… トルテ: 行方不明って……!? ドロシー: あ、そっか。人間さんがいなくなったことも知らないのね。 そのへんの事情は道すがら説明するわ。とにかく……さっさと出発するわよ (背景切換...) ヴィルヘルミナ: シンデレラたちからの報告によれば、 ラームスという異世界から何名かこのオトギノクニに入り込んでいるそうよ ヴィルヘルミナ: それが、ただちに人間さんの居場所になるのかは分からないけど…… ジャコヴァ: ふうん……ラームス、か ヴィルヘルミナ: 考えてみれば人間界とオトギノクニというふたつが存在して、 エルマイトによって結び付けられている…… こんなことが現実にある以上、世界がふたつだけと決めつける理由はないわ ジャコヴァ: 世界はいくつも存在する、か…… ジャコヴァ: ……あいつは術者としても、研究者としても定評があった。だからこそグランド・リヴィジョンなどという荒唐無稽な計画を実行に移し、しかも成功させた ヴィルヘルミナ: まさか、姉さん ジャコヴァ: その、まさかだ。 この段階で私たちが気づいたことなど、とっくに把握していたかもしれない ヴィルヘルミナ: ライブラ……あの女が関与しているだなんて ジャコヴァ: 否定はできない。もっとも、実際にはあいつ本人ではなく、 計画に沿って動く手足となる者たちがいるのだろうが ヴィルヘルミナ: ……そうね。神殿系の組織といえば『セレスティアル』あたりは かなり規模を大きくしていると聞くわ ヴィルヘルミナ: 監視を強化するように指示しておくわ。……これ以上、何もないといいのだけど (背景切換...) シンデレラ: あら、ピュルテちゃん。スホマが鳴ってるわよ ピュルテ: あっ、本当だ。通話?って、ドロシーさんからです!もしもし? リル: 確かドロシー殿はヴェル殿とカンザスに向かったのだったな。 そちらは空振りという連絡は聞いたが、その後はどうしたんだったか…… ピュルテ: はい、いまエミリーさんたちと合流する予定の町に向かっていて……えっ? ピュルテ: ヴェルちゃんが……消えた……!? 150027 - 荒野の赤ずきん (エミリーはね、ヴェルにはある意味でコンプレックスがあるんだよねぇ。) (あんなに一途で一生懸命人間さんのこと想い続けて、ああ……いいなぁ、って。 うらやましいなぁ、なんて思っちゃう。) (エミリーがこの先、誰かひとりのことだけを愛し抜くことができたとしてでもたぶんそれって、ヴェルとはやっぱり違うでしょぉ?) (もうエミリーには、手に入らないものだなぁって思っちゃう。) (だから、なのかなぁ。見てるとね、応援してあげたくなるんだよねぇ。) (単純に、ヴェルの人柄なのかもしれないけど。) (背景切換...) シンデレラ: ……とりあえず、この店は貸し切らせてもらったわ。誰かに聞かれる心配は要らない マイカ: 好きに使ってもらって構わないからね ローザ: 私たちも外したほうがいいかな? ドロシー: 大丈夫でしょ、みんな仲間なんだから ローザ: う、うん。なら良かった。 人間さんが行方不明なんでしょ?私も気になっちゃって…… ルクスーズ: 家出、ってわけじゃないんだよね? ピュルテ: ええ、もちろん。特にさっきのドロシーさんの話からすると…… ティンカー・ベル: ずきんまで消えちゃったんだよね!? ドロシー: ええ。そして現場には、こいつがいた。クーヘンによれば、 彼女たちを追いかけてくる監視者<サーベイ>とかいう連中だそうよ エミリー: ねえ、そのサーベイっていうの、もしかして……? メルヴェ: 間違いない……あたしたちも、こいつらに襲われたことがあるよ シュネー: やっぱりサーベイに追われて町を出たのね クーヘン: ちゃんと事前に相談できてなくてごめん シュネー: 別にいいわ。結果、こうして会えたんだし ピュルテ: それにしても困りましたね。このサーベイというのは人間さんの行方を知る大事な手がかりになるんでしょうけど…… 喋ったりコミュニケーションはとれないんですよね? ドロシー: そうなのよ。だから無理に聞き出そうとしても仕方ないのよね エミリー: 近づいたら転移しちゃう、みたいな存在でもなさそうだしねぇ ティンカー・ベル: わかった!ティンカが肉体言語で挑戦してみる!はっ!やっ、とうっ! クレア: ティンカ、お金下さいなんて、初対面で失礼だよ ティンカー・ベル: そんなこと言うわけないでしょ! なんでわざわざ肉体言語で借金のお願いしなくちゃいけないんだよ! エミリー: ティンカって身体柔らかいよね ティンカー・ベル: そんなところ注目しなくていいってば! リル: ふむ……どうも感情もなさそうだしな。ゆさぶりをかけたところで無意味になりそうだ エミリー: それにしてもフェルディナとシャルがクーヘンたちと 一緒に旅してたなんて、すごい偶然だねぇ シャルロッテ: まさかこんな形で再会するとは思っていませんでしたわ ティンカー・ベル: うう……でも、急がないとさ、こうしてる間もずきんは危ない目に遭ってるかもしれないんでしょ?人間さんは美女に囲まれてウハウハだからいいけどさ ドロシー: ……そうなんだけどね。私、あんまり心配はしてないのよ ティンカー・ベル: なんでよ! ドロシー: なんていうのかな……覚悟ができてるっていうの? ちょっとやそっとじゃあきらめない、強い意志っていうか…… (背景切換...) (荒れ果てた土地を前に、ヴェルメリオは動揺しながらも周囲の気配を探る。) ???: そう怯えなくとも良い。この場所は良くも悪くも安全だ ヴェルメリオ: ……あなたは、何者なの? ???: ふむ……そうだな、まだ名乗ってもいなかったか。 余の名はキ。この世界を切り開いた存在…… キ: 世界の狭間をふらふらと漂っておったお前を見つけ、そして…… 利用させてもらうために、呼び寄せたのだ ヴェルメリオ: ……利用? キ: そう、利用だ。なに、警戒する必要はない。お前も存分に余を利用すればよい ヴェルメリオ: ……そうだね。わたしのため、なんてもっともらしいことを言ってわたしの意志を無視するような声よりは、よっぽど信頼できる キ: お前は、あの声の主を知っているのか? ヴェルメリオ: ……ううん、聞いたこともない声だった キ: そうか。まあいい。とにかく、お前には力を手に入れてもらいたい ヴェルメリオ: ……わたしは人間さんを助けに来たの。余計なことに時間を使っていられない キ: まあ落ち着け。まずお前のいう人間さんとやらを救うにも力が必要になるだろう。 そして……時間のことは気にしなくていい ヴェルメリオ: ……気にするんだってば。ねえ、さっきから勝手なことばかり偉そうに言ってるけど、 隠れてないで出てきたら? キ: ああ、気を悪くしたか。余は姿を見せないのではない……もう姿が、ないのだ ヴェルメリオ: ……え? 150028 - 「創造神」という存在 (実はね、ヴェルには前に相談されたことがあるんだよぅ。) (わたしには、何が足りないのかなぁって。) (あの子のすごいところは、ただ勢いで突っ走るだけじゃないとこだよねぇ。) (自分に何が足りないのか、 それを知ろうとするっていうのは本当ならちょっと怖いことだと思うの。) (でも百戦錬磨のエミリーに遠慮なく言ってほしいって……。) (なんてアドバイスしたかは秘密だよぅ。) (それは……ちゃんと自分の目で確かめてあげてほしいなぁ。) (戻って来てからもきっと、ヴェルは意識してたはずだし。) (だから、ね?) (早く人間さんは帰ってこなきゃだめなんだよぅ?) (背景切換...) ヴェルメリオ: ……姿が、ない? キ: 余はこの世界を作り出した創造神なのだ。かつては姿を持っていたのだが、世界を創る仕上げとして、我が肉体を世界そのものと一体化させたことで…… ヴェルメリオ: ……全然わかんない。なに、創造神って。世界を、創る? キ: ここは何もない空間だった。余が大地を生み出し、アヌが空を作り出した キ: 大地から生まれる恵み、空から降り注ぐ恵み、余とアヌはふたりで手を取り合い、 この世界を創ったのだ。あれから長い時間が流れてしまったが…… ヴェルメリオ: ……大地って、わたしがいま踏んでる、これ?なんだか規模が大きすぎてピンとこない キ: お前の世界には神が世界を創るという概念がないようだな。 まあいい。とにかく、余という個人はもはや消え失せたのだ ヴェルメリオ: ……あなたのことは、よくわからないままだけど仕方ない。用件を聞かせて キ: そう焦るな。お前の事情を思えば無理もないが ヴェルメリオ: ……わたしの事情を知ってるの? キ: 正確には、お前の想念を感じ取っているのだ。隠すつもりもなく前面に出ているからな。人間さんという愛しい男を救いに行きたいのだ、と ヴェルメリオ: ……正面から言われるとさすがに恥ずかしい キ: その男がおかれている状況から考えて、余の力は必要になるだろう ヴェルメリオ: ……人間さんがどこにいるか、どういう状況なのか、知ってるってこと? キ: もちろんだとも。余は世界そのもの、その気になりさえすれば全てを知ることができる ヴェルメリオ: ……無事、なんだよね? キ: ああ。だがこの世界における二大勢力の争いに巻き込まれている。 余としても、この争いは収めたい。だから、お前に余の力を授けようというのだ ヴェルメリオ: ……それだけ? キ: だけ、とは? ヴェルメリオ: ……こういうとき、代償が生まれるってよく聞くから。 ピュルテも深淵のナントカがどうのこうのだったし キ: 何を話しているのかわからんが……余の目的は世界の争いを鎮めることにある。 お前自身にはさほど興味もない ヴェルメリオ: ……その言葉をどこまで信じられるか、だけど。 でもあなたを頼る以外にわたしに方法はないもんね キ: 創造神を相手に、つくづく不遜なやつだ。いや、面白い ヴェルメリオ: ……それで、わたしは何をすればいいの?力を受け取るって…… キ: いきなり渡しても身に危険が及ぶ。こういったものは、少量から慣らしていくしかない キ: お前には、この荒れた道を真っすぐ進んでもらう。 道中には魔物も出るから、それらは全て倒してみせよ ヴェルメリオ: ……真っすぐって、本当にずっと真っすぐ?わたし、方向音痴なんだよね キ: ああ、真っすぐだ。なに、うっかり逸れたら、それは教えてやる ヴェルメリオ: ……力は? キ: お前が意識しないうちに少しずつ渡してやるとも。 この道はいずれ余の神殿にたどり着く。そこが終点だ キ: 過酷な道のりになる。それでも行くのだな? ヴェルメリオ: ……過酷なのは平気。人間さんを助けられるなら。 ただ、わたしは急いでるの。あまり時間がかかるなら…… キ: 時間は気にするな。余が用意したこの道にいる限り、時は動かない ヴェルメリオ: ……すごく嫌な予感がする。 それ、わたしの体感ではものすごく日数がかかるやつなんじゃ…… キ: ククッ、なかなかカンがいい娘だ。では、さっそく始めるとするか ヴェルメリオ: ……いいよ。それで人間さんのためになるんだもんね。 どれだけかかっても、行くから。必ず 150029 - 同じじゃなくていいから (人間さん、覚えてるぅ?エミリーがナンパ断ってるとこ、見ちゃったよねぇ。) (そう、意外と誰にでもついていくわけじゃないんだよぅ?) (変な人もいっぱいいるから、ちゃんと自衛しないとなの。) (でも、あのときは声かけてきた時点でオカシイ人で、ヤバかったんだよねぇ。) (きみはぼくの運命の人だー、なんて言い出して……。) (そのとき人間さんが割って入って俺が恋人だ、って……。) (あれはなかなかカッコよかったなぁ。) (俺が幸せにする!お前じゃない!なーんて。) (でー?お芝居でした、じゃ終わらないんだけどー。) (言ったことは守らなくちゃだめだよぅ?) (早く幸せにしてくださーい。) (背景切換...) シンデレラ: ラームスから来たあなたたちは全員、コミッティの保護下に入って。 またいつこのサーベイって連中が現れるかわからないわ メルヴェ: 別にあたしたちは自分でなんとかできるっつーの。そういう保護とか求めてないから ピオン: で、でもメルち。いっぺんにたくさん来たら大変だよっ…… チシャ: そうですよね……。戦うのも限界がありますし…… クーヘン: 私は姉さんがより安全なほうを選ぶ。 つまり、コミッティが守ってくれるっていうんなら、存分に頼らせてもらう メルヴェ: なに……あたしがひとりで子どもっぽい、みたいな空気ね シュネー: そうは言わないわ。でも、敵の目的もよく分からない状態だから あなたひとりが捕まって私たちの不利益になるかも シュネー: それは避けたいの。だから、何か不満があっても私のために我慢して クーヘン: それで説得してるつもりなんだから、本当にこの人は…… トルテ: 大丈夫だよ。みんなでいたほうが怖くないよ。ね? メルヴェ: ……分かったってば リル: やれやれ、これだけ人数がいると誰かひとりくらいは協調性に 欠けた者が出てくるというからな ティンカー・ベル: それ、ネコがいう? クレア: ラームスのみんなはコミッティで守るのはわかったけど、私たちは? というか、人間さんとヴェルは? ピュルテ: 手がかりはこのサーベイという魔物たちです。 そして、現場には魔法陣らしきものがあった…… ドロシー: もう効力は失われたようだったけど、見る人が見ればその意味は詳しく解析できるはずよ。私も大魔法使いではあるけど、魔法陣は専門じゃないから ティンカー・ベル: 三つ編みがちょっと魔法知識あるだけでもびっくりだからね…… シンデレラ: 明日からまた、手分けしてその筋の人たちを呼び集めましょう。 そこから何かまた見つかるはず…… (背景切換...) ピュルテ: …… エミリー: ピュールテっ♪ ピュルテ: あっ、エミリーさん…… エミリー: なーに?夜のお散歩? ピュルテ: あ、ええ……そんなところです エミリー: そんな思い悩んだ顔して? ピュルテ: そ、そこまで顔に出てます? エミリー: 大丈夫、他のみんなにはバレてないよぅ。たぶんね。 リルはピュルテのことよく見てるから怪しいけど ピュルテ: ……ヴェルちゃんは、すごいなぁって思っちゃって エミリー: そうだねぇ ピュルテ: ドロシーさんのお話を聞いていて…… 私がその状況になったら同じ行動をとれるかって考えたら……わかんないです エミリー: そうだねぇ ピュルテ: 人間さんを思う気持ちは負けないつもりなのに、 同じはずなのに、どうして差が出てしまうんでしょう エミリー: そうだよねぇ ピュルテ: ……エミリーさん、私の話、聞いてくれてます? エミリー: ピュルテに必要なことは、まず吐き出すことだから ピュルテ: ……! エミリー: まさかと思うけどさ、自分だけだ……なんて思ってないよねぇ? エミリー: みんな人間さんのことは大好きで、帰ってきてほしくて、そして今回のヴェルの行動に驚くし、感心するし、ちょっと歯がゆい気持ちになってるんだよぅ? ピュルテ: あ…… エミリー: そんなのね、みんなの前でぶちまけたっていいんだから。 まあ、全員がまんしちゃってる時点でアレだけど ピュルテ: そう、ですよね……。 私だけじゃなくて皆さん……あんな風にしたい、けどできないって…… エミリー: だから、エミリーたちはいいチームなんだよ ピュルテ: え……? エミリー: その場に全員揃ってたとして、全員が突っ込んだら終わりでしょ ピュルテ: そ、それは終わりですね……。行き先がどこかもわからないのに エミリー: かといって誰も行かなかったとしても、それはそれでどうかと思うし。 大事なことは、いろんな子がいるってこと ピュルテ: だから……いいチーム…… エミリー: エミリーは、そういうのも含めてみんなのこと嫌いじゃないよぅ? 150030 - 魔女たちの調査 (夏はやっぱり海でしょ、なんていっていろいろ準備してたよねぇ。) (わりといつも人間さん、はしゃいでたっけ。) (いろんな子と水着で遊び回ってたんでしょぉ?) (でもエミリーたちみんなと遊んだときは、楽しそうにはしゃいでる顔より終わりかけたときに寂しそうにしてた顔のほうが覚えてるなぁ。) (あのときは、まあ……仕方なかったよね。) (エミリーたちだってしょんしょんしてた。) (ああいうとき真っ先に空気変えてくれるのがティンカだったりするよねぇ。) (あのとき、言ったでしょ。また来ようね、って。) (人間さんいないと、ゴムボート膨らませてくれる人いないんだから。) (エミリー、ぷかぷかしたいんだけどなぁ。) (背景切換...) ドロシー: ふふん、私に負けるとも劣らない、そうそうたる魔法使いたちが揃ったわね シェイクスピア: そうね……ずいぶん濃いメンツになったわ アグラオニケ: 呼ばれて来たけど、結局利用されるだけなんでしょう……? ピエドゥラ: あの、師匠。ここに私がいて大丈夫ですか?場違いなのでは…… ドロシー: 堂々としていなさい。私の一番弟子でしょ ピエドゥラ: 師匠~っ!!う、ううっ、感動で泣けてきました! ソリマレディ: 泣きたいのはこっちよ! なんでこのメンバーを呼んでおいてアタシには声かけてくれないのよ!! ティンカー・ベル: あ、ごめん。わす…… ソリマレディ: 聞きたくないわ!もう、いつもいつも忘れるんだからみんな!! ピュルテ: と、とにかくですね。お集まりいただいた皆さんには、とある魔法陣と、 そして魔物の解析をお願いしたいんです ドロシー: 人間さんの行き先、そしてオトギノクニとは違う異世界……あなたたちも魔力と女子力を兼ね備えた存在、つまり『魔女』ならわくわくするでしょう? エミリー: 魔女ってそういう意味の言葉だったんだ…… リル: 新しい解釈が加わったな…… ペリーヌ: 確かにわくわくするし、 人間さんにはお世話になってるから助けてあげたいと思うけど…… レビィ: 魔法陣の解析っていっても込められた魔力は消えてるんでしょ? ガルダ: 情報量としてはだいぶ少ないのぅ…… ピュルテ: 無理は承知の上です。どうか力を貸して下さい 魔女たち: ………… エミリー: あとこれ、コミッティがバックについてるからねぇ。 人間さんも委員だし。だから当然、報酬も―― レビィ: やる! ベファーナ: やりましょう ピエドゥラ: 師匠の頼みですから! クレア: ……うまくいくかな? ティンカー・ベル: ま、なんだかんだ言って優秀でしょ、この人たち。何かしら見つかるんじゃないかな (背景切換...) シャペロン: ふう……連絡をもらったときはさすがにたまげたけど、異世界だなんて…… ヴェルは大丈夫なのかねぇ シャペロン: 異世界ってことはつまり、知り合いがひとりもいないってことだから 人見知りのヴェルにとっちゃずいぶんきつい環境だねぇ シャペロン: 心配だよ、まったく…… カプーズ: そうね、旅に出てからかなり成長したとはいっても、 元の性格まで変わるわけじゃないし…… パイプル: や、でも怪しい魔法陣に突っ込んじゃうとか、さすがヴェル姉。ビガップだよね カプーズ: せめて誰かが一緒だったら安心なんだけど、 聞く限りではそんな悠長な状況でもなかったみたいだし パイプル: あーしらも住民権もらっちゃって、 ヴェル姉と別行動してこうしてばーちゃんと過ごしてたし…… カプーズ: そうなのよ。パイプルちゃんはともかく、わたしはヴェルちゃんのずきんの精霊なんだから、きっと一緒についていってあげられたわ…… シャペロン: タラレバを言ってもしょうがないだろう。おやめ、ふたりとも カプーズ: だって……あ、あら? パイプル: うぇっ!? シャペロン: なんだい、ふたりとも。急にどうしたんだ パイプル: いや、なんか変な感じ……身体がぐわんぐわんするっつーか カプーズ: この感覚……まるで、初めて実体化したときみたいな……!? シャペロン: な、なんだって?なんで急にそんなことが…… パイプル&カプーズ: きゃあああぁぁぁっ!?うわあああぁぁぁっ!? シャペロン: え……!?ふたりとも!?き、消えちまったよ……一体どうなって…… (背景切換...) ヴェルメリオ: ……はぁっ、はぁっ、ま、まさかこんなに……過酷だなんて…… でも、こんなところで止まってられないっ…… ヴェルメリオ: ……ううっ、くっ、なのに、足が、もう……!? ん、くぅっ、だめ、意識もふらふらしてきて…… (その場に倒れ、動かなくなるヴェルメリオ。) (そんな彼女の両脇に、影が伸びる。) カプーズ: そんな…… パイプル: これガチ? 150031 - 残された痕跡 (貴君は本当に世話が焼けるな。出会ったときから、それはなんとなく予感していたんだ。小生はこの男に振り回されるんじゃないか、という漠然とした予感だ。) (そのときはまさか、一緒に旅をするほどの仲になるとは、 さすがに予想できなかったが……。) (最後はなんとかしてくれるんだろう、 という他力本願な態度が実は嫌いではなかったんだぞ。いまだから言うのだが。) (頼られる、必要とされる喜びというやつだ。 自分でなんとかするから助けなど要らない、と言われるのは寂しいものだからな。 わかったら、さっさと小生に世話を焼かせたらどうなんだ。) (背景切換...) ドロシー: どう、調子は ピエドゥラ: ああっ、師匠~!なかなか難航しちゃってます ガルダ: 情報があまりに少ないのでな。 調査する範囲を広げるなどして、なんとか材料を集めているところじゃ ドロシー: 調査する範囲……ってことは魔法陣だけじゃ足りないわけね アグラオニケ: ええ。やはり魔法陣そのものがほとんど無力化してしまっているので 周辺に何か魔力の痕跡が残っていないかも調べているんです シェイクスピア: でも、おかげで少しは見えてきたこともあるの ドロシー: へえ、聞かせてもらおうかしら ガルダ: まず、魔力的な事実だけを挙げるが……この魔法陣の術式は複製である可能性が高い シェイクスピア: そして、術式を解析することで、おそらく転送先の情報が解析できるわ……。 もう、めどは立ってる。時間の問題よ アグラオニケ: ただし、転送先の情報がわかったからといって、直ちに転移はできません。 相当なエルマイトが必要になります ドロシー: ……なるほどね。2番目以降の情報は、 ヴェルを独りにしないための大切なことだけど……本質は1番目の情報 シェイクスピア: その通り。あなた、意外と頭が回るのねぇ ドロシー: よく言われるわ ピエドゥラ: 師匠、それ普通にディスなんで相手は殴ったほうがいいですよ ドロシー: なんとなく、そうかな?とは思っていたことだけど……確信に変わったわ ピエドゥラ: えっ、な、殴るんですか? ドロシー: そうじゃなくて。複製ってこと ドロシー: どうして複製する必要があったのか。 つまりそれは、術者が現場に立ち会えないってことでしょ ガルダ: さすがじゃな。わらわたちも、そう睨んでおる ドロシー: あのサーベイが術式を使えるとは思えないからね。 でもそれがイメージじゃなくて、事実になったと…… アグラオニケ: 何者かがサーベイに授けたのでしょう。 そしてサーベイが何者か、わかっている情報だけで考えると―― ドロシー: 術者は、オトギノクニに来ていない ガルダ: そうじゃ。おそらく、そのラームスとかいう例の別世界にいながら サーベイたちに何らかの手段で指示を出している シェイクスピア: その術者とは、何者なのか……。おそらく、この術式を読み解いていけば 術者のパーソナルな情報も、もう少し出てくるはずよ アグラオニケ: なかなか簡単じゃないので、時間はかかりそうですけど…… ドロシー: そこは仲間とも相談してみるけど、無理に急がなくていいわ。 黒幕のことは重要だけど、目の前の仲間のことが優先だから ガルダ: うむ。転送先のことじゃな ドロシー: どういう場所なのかはわかるけど、魔力が足りないのよね シェイクスピア: かなりの量が必要だわ。それほどのエルマイト、 あるいはディマイトを用意するとなると……ちょっと現実的ではないわね シェイクスピア: 簡単にそんな量のものが用意できるとしたら、 可能性があるのは……人間さんでしょうね ドロシー: その人間さんが別世界に行ってるから用意はできない……堂々巡りになるってわけ? ガルダ: 世の中、うまくいかないのじゃ シェイクスピア: ただ、ディマイトなら心当たりがあるわ。後でちょっと連絡を取ってみるけど…… ドロシー: わかったわ。こっちでも何かいい方法がないか考えてみる。 ひとまず状況は理解したわ。魔法的な解析は続けてちょうだい ピエドゥラ: はいっ、まかせてください! (背景切換...) 特務機関兵: お疲れ様です、ドロシー委員 ドロシー: お待たせ。魔法の国に向かってもらえるかしら 特務機関兵: 承知しました ドロシー: (黒幕、ね……ラームス世界から何をしようとしてるのかしら……) 150032 - 向けられた悪意 (貴君は本当に世話が焼けるな。何かにつけてトラブルに巻き込まれがちなのは、一体何が原因なんだ。気が付くと、問題に首を突っ込んでいるじゃないか。) (一緒に旅をしているときは、エルマイトを大量に保有しているという貴君の特殊な立場のせいだと思っていたのだが……。どうも、それだけではなさそうだ。) (しかし、少なくとも貴君の私利私欲でないことは小生も承知している。 だから世話が焼けるといいつつも手を貸してやるんだ。) (きっとまた、こうしている間も貴君は、揉め事に首を突っ込んでいるのだろうな。小生の助けが常にあるとは限らないんだぞ。少しは自分の幸せだとか利益も考えたらどうなんだ。) (背景切換...) (――魔法の国帝都――) (背景切換...) ピュルテ: シンデレラさんは今日もずっと会議みたいですね ティンカー・ベル: 姐さんはほんと、多忙なんだよねぇ。ストレスもヤバいと思う。 そりゃお酒に溺れちゃうよね リル: しばらく留守にしていたから公務も止まっていたのだろう。ドロシー殿もそうだが、みんなで旅をするといっても簡単なことではないのだな ティンカー・ベル: あんなに当たり前みたいに長い間、旅してたからなぁ。なんか実感がわかないんだよね ピュルテ: いまの時点では魔法使いの皆さんが魔法陣を解析してくれてるので その結果を待つしかありませんからね ティンカー・ベル: 旅をした意味はあったけど、ちょっといまは休憩期間、なのかなぁ。人間さんとずきんのこと考えると、なんかのんびり待ってるのも落ち着かないんだけど ピュルテ: すごくわかります。自分が無力なんだって思い知らされますよね…… リル: それは錯覚だ。各々が、できることをやる、それでいいんだぞ ティンカー・ベル: やっぱネコはピュルテにはすごく優しいよね ピュルテ: えへへ、リルちゃん優しいもんね リル: まあ、長い付き合いだからな。といっても小生としては、 相手によってそこまで露骨に態度を変えているつもりはないんだが ティンカー・ベル: いやいやいや!ティンカとピュルテじゃまったく違うし! あと人間さんには別の意味で露骨に態度違うし リル: なっ……!?ティンカ殿はともかく人間さん殿には何も違いはないぞっ! ティンカー・ベル: ともかくってなんだ! ピュルテ: 人間さんのことも大好きだもんね、リルちゃん リル: 好きじゃない! ティンカー・ベル: ティンカのことは? リル: え……いや、なんだ、普通? ティンカー・ベル: 好きじゃない!って言われたほうがまだいいよ!なんだその微妙な反応は! リル: いや本当に、仲間として尊敬してるし信頼もしているんだぞ。 好きとか嫌いとかじゃないというか…… ティンカー・ベル: まあ言ってみただけなんだけどね。ここでネコに、ティンカ殿だいすき♡ とか言われても困るし リル: なんで聞いたんだ…… ピュルテ: ……好きとか嫌いとか、そういう感情なんでしょうか リル: ん?なんだ、唐突に ピュルテ: いえ……ドロシーさんからさっきスホマで連絡があったじゃないですか。 黒幕がいて、ラームスの世界の人で……って ティンカー・ベル: うんうん。なんか難しい話だからよくわかんないけど、 ちょっとキナ臭いことになってるんだよね ピュルテ: つまり人間さんは誰かの悪意にさらされてる、ってことになりませんか? リル: む……そうだな。それが個人的な怨恨といった感情なのか、あるいはエルマイトという利益のためなのか、動機次第ではあるが……邪悪な意図を向けられている、とは言える ピュルテ: 好き嫌いの感情じゃないかもしれない? でも、どっちにしてもなんか、人間さんが可哀想だなって ティンカー・ベル: まあね。せっかくオトギノクニの住民として骨を埋める覚悟をして、 平和に暮らしてたところだったわけだからね リル: 小生たち仲間が、守ってやりたいところだがな ティンカー・ベル: お、珍しく素直な感想 リル: 率直に、そう思っているからな ティンカー・ベル: ん……ティンカもだよ。人間さんには恩返ししたいっていうかさ ティンカー・ベル: 人間さんの幸せ、守ってあげたいって思うもん ピュルテ: 大丈夫ですよ。まだまだ、これからでしょうから リル: まったく……そういった、ひとりひとりの幸せを守るためのコミッティという 組織だと思っていたのだがな…… ティンカー・ベル: ジャコヴァとか、ちゃんと仕事してんのかな ピュルテ: そんなこと言ってるの知られたら怒られちゃいますよ! 150033 - ジャコヴァからの指令 (エミリー殿のことは大切な仲間だと思っているし、その仲間の家族を悪く言いたくもない。だから間接的に、グリム家のことは信頼すべきだという結論になる。) (ただ……彼女たち、特にジャコヴァとヴィルヘルミナについては おそらく貴君が感じている以上に合理的で、冷徹だ。) (貴君は人がいいからな。あまり信じすぎて、不利益を受けないように。それは何もグリム家に限った話でもないんだぞ。警戒することは無礼なことではないのだから。) (なんて言ったところで、困っている相手に手を差し伸べる。 そういう貴君だから小生は――っと、なんでもない。) (背景切換...) ヴィルヘルミナ: ずいぶん早い帰宅だったわね。ねえ、フェルディナ? フェルディナ: なっ……べ、別に帰ってきたわけじゃないし! ちょっとコミッティ本部に用があったから、それで……っ シャルロッテ: 落ち着いてくださいませ、フェル姉さま。 そんなことはわかっていて、からかわれているのですわ ジャコヴァ: ふん。ギャグを説明されることほど辛いものはないと言うのにお前は恥ずかしいやつだな ヴィルヘルミナ: ギャグのつもりはなかったんだけど…… フェルディナ: 事情をちゃんと把握しているならわかるでしょ。短くても、得るものは多い旅だったわよ シャルロッテ: からかっているだけなのに、本気で返答するなんて…… フェルディナ: い、いいじゃないのっ! 言っておかないと、この人たちはすぐ私のことバカにしてくるんだから! カロラ: おー!フェルディナじゃん。久しぶり。シャルも元気だったか? シャルロッテ: カロラ姉さま!珍しいですわね、エミリー姉さま以外の姉妹がこうして集まるなんて ヴィルヘルミナ: 姉さんから、あなたたちに指示があるわ フェルディナ: なんだか嫌な予感がするわね ジャコヴァ: お前たちには人探しをしてもらう カロラ: まーた面倒そうなことを……誰を探すんだよ ジャコヴァ: ヴィルヘルミナ。資料を ヴィルヘルミナ: これを見て。声には出さないこと フェルディナ: はあ?文字を声に出して読むって、年寄りじゃあるまいし カロラ: ……ウソだろ。姉ちゃんたち、盗聴されてると思ってんのか?ここは天下のグリム家だぞ ヴィルヘルミナ: 念のためよ シャルロッテ: ……この方を探すんですの? でも個人情報ばかりで居場所の手がかりは、まったく書かれておりませんわ ジャコヴァ: それも含めてお前たちの仕事だ。どうせヒマなんだろう?無職だし カロラ: 言っとくけどあたしは一応仕事はしてるからな シャルロッテ: そうなんですの? カロラ: カフェでバイト。店員がみんな可愛いんだよ フェルディナ: グリム三女がカフェでバイト…… カロラ: 四女が無職 フェルディナ: んぐっ! カロラ: どっちがいいんだろな?あと店員がみんな可愛いんだよ シャルロッテ: それさっきも聞きましたわ ヴィルヘルミナ: おしゃべりなんて余裕ね。そっちのふたり、情報は頭に入ったの? フェルディナ: は?どういう意味よ シャルロッテ: え、まさか……この場で暗記ですの? なんで一部しか資料がないんだろうって思ってましたけど ヴィルヘルミナ: 当たり前でしょう。ワタシたちグリムがこの人を探していると、 誰にも気取られてはいけないのよ フェルディナ: というか、そっちのふたりって?カロラ姉さんにはなんで聞かないのよ ジャコヴァ: カロラはもう覚えただろう カロラ: 当たり前にな シャルロッテ: さすがですわ フェルディナ: 本気で? カロラ: つーかさ、覚えるのはいいんだけど、調べてるのもバレちゃまずいって 堂々と聞き込みとかするのもヤバいんだよな? ヴィルヘルミナ: その通りよ。十分に注意して シャルロッテ: ニ……誰々さんがこのあたりにいるか知りませんか? とか、普通の調査でやれることができないんですのね フェルディナ: そんなの、どうやって見つけるのよ カロラ: 相変わらず無茶振りだよな、姉ちゃんたちはさ。いつもあたしが苦労するんだから ヴィルヘルミナ: エミリーにそんな大変な仕事はさせられないのよ。わかってちょうだい フェルディナ: 相変わらず甘やかされてるのね、あの子は…… シャルロッテ: 顔も姉妹の中で一番似てますし カロラ: ま、いいや。成功して連れてきたら、屋敷にメイドひとり雇ってよ。 あたしが面接するから ジャコヴァ: ダメに決まってるだろう。自宅を破廉恥な場所にするな カロラ: ここはいま、オッケーっていうとこじゃね!? フェルディナ: 不安だわ……なんかテイよく追い出されたんじゃないでしょうね…… 150034 - ふたりのアリスとふたりのアリス (旅が一度終わったとき、小生は貴君に聞いたことがあったな。何故、受け入れてくれたのかと。小生だけではない、フェルディナも、デュプリもだ。) (貴君はこう言ったな。美少女ならいつでも誰でも大歓迎だからと……。) (もちろん照れ隠しで、本気ではないだろう。器の大きさを見た気がする。 そんな貴君だから、どんな場所でもうまくやれるのだろうな。) (だが、戻るべき場所……最初から仲間として共にあった存在を相対的にないがしろにしてはいけないのだぞ。ずっとそばで支えていた存在を、な――) (背景切換...) ピオン: うわあ、すごいねぇ。建物がこんなにたくさん メルヴェ: ふん……別に規模が大きい町だからって、偉いわけじゃないよ ルーフス・サクリファイス: その通り。順番が逆ね。偉いから町の規模を大きくできるのよ メルヴェ: みんなから集めたエルマイトでね ルーフス・サクリファイス: だーっ!ああ言えばこう言う!うるさいわね! アルブス・ツークツワンク: 経緯はどうあれ、私たちコミッティ特務機関は全力で 未知の勢力から貴方がたを守ります。臨むと望まざるとにかかわらず アルブス・ツークツワンク: そして、この先は私たちの管理する施設内となります。 あまり勝手な言動はされないことをお勧めします メルヴェ: ふん…… シュネー: ま、私たちだけでは心もとなかったのは事実だし。 守ってもらえるのはありがたいじゃない オーフェン: 置いて行かれて心細かったから、みんなでいられて安心だし クーヘン: 悪かったってば。巻き込みたくなかっただけなの オーフェン: わかってるけど…… アルブス・ツークツワンク: それでは皆さん、まずはこちらで持ち物検査を……あっ、ミルズ様 アリス・ミルズ: ああ、ふたりともご苦労さま。そちらが例の保護対象ね レオナ: ああ、ラームス……だっけ?ふうん、見た目は私たちと特に何も変わらないみたいだけど。ねえ、黒髪か金髪の女の子を探してるんだけど知らない? チシャ: あ、あの、知らない人とお話しちゃダメだってママが…… レオナ: あ、ごめん。私はレオナ。えーと、なんか研究とかしてる チシャ: はい…… レオナ: これでもう知らない人じゃないでしょ? チシャ: ええっ!?そ、そう言われるとそうかも…… トルテ: 誰かを探してるの?でも黒髪と金髪どっちなんだろ クーヘン: というか、もうちょっと特徴がないと探し出せない気がする レオナ: 写真ならあるんだよね。金髪のときだけど ハンプ: ふぅむ……見覚えはありませんね レオナ: これ、渡しておくから。見かけたら連絡してよね。それじゃ アリス・ミルズ: 表に馬車を回してあります、レオナ様 レオナ: えーいいのに。私、これからウィラのところに様子を見に行くつもりで アリス・ミルズ: 御者にもそのように伝えてあります トルテ: 行っちゃった オーフェン: 写真渡されたけど…… ピオン: 今日からここで引きこもりだから、見かける可能性なんてほぼゼロだよね。いいのかな? メルヴェ: いいんじゃないの?人探しって、少しでも多くの人に知ってもらうことが一番なんだし (背景切換...) メルヴェ: ったく、身体検査に30分くらいかけるってどうなってるわけ? ピオン: まあまあ。それだけ厳重で安全ってことでしょ? ヴォーパル: おお、メルヴェにピオン。それにハンプも。久しぶりでありますな! ピオン: ヴォーち! シュネー: 誰? アルブス・ツークツワンク: アリス・ミルズ様の副官、ヴォーパルソードの精霊であられるヴォーパル様です。 こちらの3人とは以前の事件で面識があるとか ヴォーパル: 事情は聴きました。この施設内ならサーベイという連中も容易には入り込めませんぞ メルヴェ: 助かるよ。あんたのことは信用してるし ヴォーパル: しかし数奇な縁ですな。こうしてミルズ様のところで、 ラームスから来た『ふたりのアリス』が保護されるとは…… クーヘン: ふたりの、アリス……? アルブス・ツークツワンク: ええ。先ほどレオナ様をお送りされたミルズ様と、 おふたりのどちらかは同じ創造期を持っているのだとか ピオン: たぶん、ピオンのことだよ ルーフス・サクリファイス: まったく性格が違うものなのね……同じ創造期なのに? ヴォーパル: 厳密にはまったく同じではなさそうですがね。ただ要素は限りなく近いようで チシャ: 私もちょっと会ってみたいかも…… シュネー: 『ふたりのアリス』ってことはメルヴェもアリスなわけ? メルヴェ: らしいよ。でもあたしとピオンは元々知り合いってわけでもない ヴォーパル: ミルズ様とアリス様も面識はなかったですから シュネー: ふうん…… 150035 - 繋がる可能性 (毎回いろいろと騒ぎが起きたりもするが、バレンタインにはチョコを、それに誕生日にもケーキやプレゼントを用意しているだろう。) (みんなそれぞれ思惑はあるのだろうが、小生の場合は…… 少しでもお返しをしたいから、なんだ。いつもエルマイトをもらってばかりだからな。) (小生たちからエルマイトを渡すことはできない。自分で生み出せるわけではないからだ。 それがときどき、どうしようもなく歯がゆいんだ。) (ああ、そう言えば……一部には例外もあったか。修行すればそんな芸当ができるのだろうか。小生も貴君の役に立ちたい。そう思っているのだがな。) (でもきっと、貴君が戻ってきたらこんなことは口が裂けても言わない。 そして悪態をつきながらチョコレートやケーキを押し付けるんだ。) (まったく……小生は本当に世話が焼ける。そう思わないか?) (背景切換...) ピュルテ: あの、魔法陣の解析が進んだと伺ったのですが、だ、大丈夫ですか……? ガルダ: うむ……さすがに根を詰めすぎて寝不足でな アグラオニケ: けど、ひとまず進展はありました シェイクスピア: 転送先の情報がほぼ解析できたわ シンデレラ: い……いったいどこなの、そこは!? シェイクスピア: 落ち着きなさい。これはあくまでも魔法ベースの情報だから、 ワタシたちの感覚や言葉で説明することはできないの ドロシー: 転送される場所の、魔法学的な座標や転送先の自然環境、重力とかの物理的条件…… そういうのは全部わかってるわ ドロシー: でもそこが、結局どういう位置づけの存在で、誰が支配して、どんなふうに統治されている国なのか……そんなことはわからないわけ。魔法に関係ないから クレア: そっか。なんかわかる気がする。ごはんを食べておいしければ、それが近所のおばさんが作っても一流シェフが作っても、同じことだよね ドロシー: そういうことよ エミリー: そういうことなんだ……? ティンカー・ベル: ていうか三つ編みがまるで魔法使いみたいに解説してくれてる…… リル: 理屈はおおよそ理解できたが、ではその情報で何ができるんだ? わざわざ呼び出したからには事態が進展するということだろう シェイクスピア: その通り……この情報があれば、術式を複製して繋ぐことが可能…… そう、切ない片思いが成就するかのように…… シンデレラ: 実際に力技で成就させちゃったわけよね、ヴェルは ピュルテ: じゃあさっそく人間さんを迎えに行きましょう! アグラオニケ: でも、知らない世界に不用意に行くのは危険です。 そもそも戻るための魔法陣が用意できる保証がありません ドロシー: 片道切符というわけね ピエドゥラ: なのでまず、より深い情報を集めるために接触だけしたいんです! ドロシー: ただ、転送魔法陣でそんなに器用なことができるのかどうか、っていうのが課題なのよね アグラオニケ: 人を別世界に転送する魔法と、別世界と繋いで会話できる魔法は、 似ているようで別のもの……そのための準備はまた必要になりそうです エミリー: 待ち時間がまた多くなっちゃうねぇ リル: ……その情報だが、ロゼッタのあの能力とは関係あるのか? ガルダ: む?ロゼッタの能力がどんなものか分からないが……? リル: 以前、あっただろう。 美女に囲まれて鼻の下を伸ばしている様子を小生たちが目撃したことが ピュルテ: あったね!本当に人間さんってばだらしない顔して…… リル: あの瞬間、小生たちは外から眺めているだけだったが……本来、ロゼッタの能力は映像を投影することではなく可能性を広げることだったはずだ リル: 見えた世界のことは何も知らない状態で、映像をのぞき見することができたのだとしたら、より深い情報を提供できれば違うことができるかもしれない ガルダ: ふむ……可能性はあるかもしれない。 ロゼッタとやらに、こちらの情報を持って相談してみるべきかもしれんな ピエドゥラ: な、なら、私が行きます! シェイクスピア: 問題はどうやって伝えるか…… ピュルテ: どうって、魔法ベースの情報を渡せばいいんじゃないですか? シェイクスピア: それが何かも知らないのに不用意に言わないで ピュルテ: す、すみません ガルダ: そもそも、そんな言葉はないのじゃ。 便宜上、概念を説明するためにさっき適当に言っただけでな ドロシー: 普通、そういう情報は魔法使いなら感覚で捉えられるの。 だから術式を読み解いたこの場のメンバーは感覚を共有してる クレア: でも、魔導書とか本になってるよ アグラオニケ: あれは完成した魔法の手順書です。 対象物の魔法ベースの感覚を共有するものではありません ピエドゥラ: カエルをナマズにする魔法は、『カエル』や『ナマズ』という、言葉によって概念を共有できますよね。でも今回の、転移したい世界はそうじゃない リル: となると、この中の誰かがロゼッタのところに行って解決、でもないのか ドロシー: ロゼッタに魔法の素養があるなら、ここに来てもらうのはアリかもね。 ただ、あったとしても、相当な上級者じゃないと厳しいかも ピュルテ: 他に何か方法はないんですか? シェイクスピア: イメージをエルマイトに焼き付けることができれば、あるいは―― ティンカー・ベル: イメージを、焼き付ける?なにそれ ガルダ: エルマイトを含んだ物体を介してイメージを伝達するのだ。 もともとエルマイトはイメージが具現化したものだと言われておる アグラオニケ: ただ、それには強力なエルマイトが必要なんです。人間さんに匹敵するような…… シンデレラ: その人間さんを迎えにいくための手段なのに、これじゃあ堂々巡りだわ…… ティンカー・ベル: 強力な……エルマイト…… 150036 - エルマイト物質 (最初に心を動かされたのはやっぱり、ペトラが心配でしょうがなかったティンカのためにネバーランドに行こうって言ってくれたときだったかな。) (元の世界に戻れるかどうか、なんていう大事な場面だったのに、 人間さんは迷わずネバーランド行きを決めてくれたもんね。) (あれから長い時間が経って、人間さんがオトギノクニの住人になったりよくわかんない別世界にまた行ったなんて……考えてみたら因縁?っていうの?変な感じだよね。) (でもさ、あのときから決めてたんだよ。 今度何かあったら、次こそティンカが人間さんを助けなきゃって。) (背景切換...) ピュルテ: イメージをエルマイトに焼き付ける、ですか…… ドロシー: 魔法使いが魔法陣の情報を読み解いて、それをエルマイトを多く含む物質に 焼き付ければ、ある程度はイメージを共有できるわ。 もちろん魔法使いのサポートは必要でしょうけど クレア: でも、そんな物質ってある?何? ガルダ: できれば人間さんのような純度の高いエルマイトが理想じゃな。 それでいて、強力な…… シンデレラ: 人間さん以外に、そんなことできる人いるかしら エミリー: コミッティはディマイト貯蔵施設を持ってるんじゃなかったっけ シェイクスピア: もちろんディマイトでも代用は可能よ。元は同じイマジュマイトだから…… でも、貯蔵施設のあれは純度が高くないわ。混ぜ物だもの リル: なるほど。ヒントはある、だが手詰まりか…… ティンカー・ベル: あ、あのさ…… エミリー: ティンカ?なぁに、どうしたのぅ? ティンカー・ベル: ……もしかしたらティンカ、それできるかもしれない リル: なんだと! ティンカー・ベル: ほら……ティンカが出せる魔法の粉、あるでしょ。 あれってエルマイトをたくさん含んでるんだよね ピュルテ: 確かに!じゃあ出してみてください! ティンカー・ベル: いや、そんな簡単に出るもんではない……というか、 本来なら普段からふわふわキラキラさせてるんだよ クレア: 歩いてるだけで飛び散ってるってこと?掃除が大変そう ティンカー・ベル: 汚いものみたいにいうな! ドロシー: じゃあ待ってるから。ゆっくり出してちょうだい ティンカー・ベル: う、うん……やっぱり量がたくさんあったほうがいいよね? シェイクスピア: 本来、大きさはあまり関係ないわ。 ただ、粉となるとさすがにまとまった量があったほうが良さそうね ティンカー・ベル: よし……んんっ!ん、くぅっ、んぐぅ……! ティンカー・ベル: ふんぬぅ……ぬ、ぐ、ううっ!はぁっ、はぁっ、出ない…… ピュルテ: …… シンデレラ: …… エミリー: ふわふわキラキラのイメージとは程遠い頑張り方だねぇ…… クレア: ていうか、これって便秘のときの ドロシー: しっ、ダメよクレア。 そんなこと言ったら意識しちゃって、違う方が出るかもしれないわ リル: 貴君らは人間さん殿がいないと本当に油断しているな…… ティンカー・ベル: はぁっ、はぁっ、ほら。ちょっと出た…… ピュルテ: あっ、本当ですね!スプーン一杯分くらいですけど…… シェイクスピア: ダメね ティンカー・ベル: うそーん! シェイクスピア: 量もまあ、物足りないのだけれど…… ピュルテ、あなたはたぶんわかるんじゃないかしら ピュルテ: はっ!エルマイトがほとんど感じられません……! ティンカー・ベル: うそぉ……こんなにがんばったのに……? ダスト: みんな、待って~! ドロシー: あっ、あんたは! ダスト: ティンカの粉の精霊、ダッちゃんだよ~! シンデレラ: 精霊が出てきてくれれば心強いわね ダスト: それがねぇ、ティンカからは良い粉がもうここしばらくずーっと出てないんだよ ドロシー: そうなの!? ティンカー・ベル: そうなの!? ピュルテ: なんかご本人も驚いていますが…… ダスト: 搾りかすなの ティンカー・ベル: 嫌な言い方だな……まあ、ある意味当人が言うんだから ティンカも文句のつけようがないけど……むしろなんかごめん…… リル: しかし、そうなると振り出しか シンデレラ: でも、私たちの中でティンカちゃんみたいに、 エルマイトが含む何かを出せる人なんていないわよね エミリー: そうだねぇ。エミリーのお絵描きとかだとちょっと意味違うし ドロシー: 物質を生み出すとなるとね ティンカー・ベル: ううん、ティンカががんばればいいんだよ! ティンカがエルマイトいっぱいの粉を出せれば解決じゃん! ピュルテ: で、でもどうやって……? 150037 - 頼みの綱はティンカ (初めて会ったときからずっと人間さんはティンカのこと、見守ってくれてたから知ってるだろうけど……一生懸命やるほど空回りしちゃうところあってさ。) (ティンカもそれは自覚あって、だからがんばりすぎないようにしてた。 真剣になればなるほど結果がついてこない気がして。) (でも、それって言い訳なんだよね。真剣にがんばって失敗したときにが怖いから。) (一番怖いのは、手を抜いて取り返しがつかなくなったときなんだよ。 だからティンカはあのとき、粉を出すためにがんばったんだ。 いまだって人間さんにまた会うためにがんばってる。) (だからさ……人間さん。きっとまた会えるよね。信じてるからね。) (背景切換...) リル: まあ、なんだ。方向性は決まったのだから、少し場所を移そうか シンデレラ: そうね。この洞窟にずっといても仕方ないし…… 粉が出るようになってから、また来ればいいわよね ピュルテ: 粉にエルマイトが十分あるかは、私が判別できますからね (背景切換...) エミリー: で、外に出てはみたものの…… クレア: どうするかは決めてないんだよね ティンカー・ベル: だ、大丈夫。ちょっと時間を空けたから、今度こそ ダスト: ノンノン ティンカー・ベル: えっ ダスト: ノンだよ、ティンカ。ノン ティンカー・ベル: ダッちゃん、そんなキャラじゃなかったでしょ……どこで覚えたの…… ダスト: あのね、ティンカ。いくら踏ん張っても粉は出ないよ。出るのは―― ドロシー: ダッちゃん、それ以上はいけないわ エミリー: 簡単に出るものじゃないんだねぇ。 ちょっと空気が乾燥したところに行ったほうがいいとかあるかなぁ ティンカー・ベル: いや、フケじゃないから、粉は ピュルテ: 気になるのは、創造期の頃はもっと出ていたのに、どんどん出なくなってることですよね ダスト: ティンカがそれで悩んで人間さんちんに相談して、 有り余るエルマイトをもらって実体化したのがダッちゃんだもん リル: ふむ……ということは、やはり自力で人間さん殿と 張り合うほどのエルマイトを出力することは難しいのでは? ティンカー・ベル: ……他に手段があるならいいんだ。でも、ティンカはいけそうな気がしてる エミリー: それってカン? ティンカー・ベル: ダッちゃんが実体化したとき、ティンカの中で何か変わったの。 こう、フタしてたものが外れた、みたいな ピュルテ: 人間さんの強力なエルマイトを受け取ったことで、 体質が変化したりすることはあるようですから……あり得る話ですよ シンデレラ: つまり、自分の中の限界……上限は引き上げられている、 と考えられるわね。ただ、いくら器が大きくても…… リル: どうすればエルマイトは増えるのだろうな? ティンカ殿のエルマイトが高まればいいのだろう? ドロシー: 人間さんのエルマイトがいつも増えてるときって……えーと、そうね…… ドロシー: 待って、ちょっと変なこと考えちゃった シンデレラ: あー、うん。わかるわ、ドロシー。わかるけど……その、ね? ピュルテ: すぐに思いつくのって、やっぱりあれ……ですよね……? クレア: えっちなこと考えてるか、実際にしてるときだよね ティンカー・ベル: 直球ぶっこんだ!みんながテレテレして言葉を濁してるのに! さすがクレア!さすクレ!! エミリー: ってことは、ティンカもエッチな感じになればいいってことぉ? リル: まあ……いまの理屈でいうと、そうなるな クレア: ピュルテ、ほら早く、谷間 ピュルテ: な、なんで私なんですか!?この場で二人以外は谷間できる人ばかりなのに! エミリー: ほう ティンカー・ベル: 後半、余計な一言だったのでは? ピュルテ: てへぺろ? エミリー: それエミリーのだからねぇ? リル: くだらない争いをしている場合か。 だいたい我々の谷間を見てティンカ殿が変な気分になるわけがないだろう ティンカー・ベル: いや、あながちそこは否定できないけど…… エミリー: できないんかい シンデレラ: 可愛い女の子が好きなのは、男の人だけとは限らないものね ティンカー・ベル: とは言っても、見知ったみんなの谷間を見てもなぁ…… ピュルテ: あ、じゃあこういうのはどうでしょうか! 自分がエッチなことをすれば気分も盛り上がるのでは!? ティンカー・ベル: はい? ドロシー: 名案みたいに言ってるけど大丈夫かしら……いろいろと…… 150038 - エルマイトを高めよう (ぶっちゃけティンカってさ、ずーっとペトラのことを育てるので、もういっぱいいっぱいになってたからさ。恋愛とかそういうの、ほんと縁遠いっていうか。) (人間さんはティンカの創造期も知ってるからわかるでしょ? ぜーんぜん何もなかったんだよね。 だからもう、ティンカなんて需要ないんだと思ってた。) (でも……人間さんは違ったじゃん。ちゃんと女の子として接してくれた。 ま、ティンカ一筋じゃないのはわかってんだけどさ。) (だからやっぱり、ティンカのエルマイトって人間さんとイコールなんだよね。 早く戻ってきてくれないと、また枯れちゃうよ?) (背景切換...) ピュルテ: というわけで!ティンカちゃんにエッチな衣装を着てもらおう!のコーナーです! エミリー: ピュルテが仕切ると本当にそういうコーナーができたのかと勘違いしそうになるねぇ ティンカー・ベル: いやいやいや!ちょっと待って! シンデレラ: あら、これは理にかなってるんじゃないかしら。 セクシーな衣装とか下着って、自分の気持ちを高められると思うのよ ドロシー: そうなの? エミリー: だよねぇ。シャワー浴びるときとか自分を見てぐっとくるもん クレア: そうなの? ピュルテ: エミリーさんは生々しいのでアレですけど…… でも、ネイルとか髪とかも可愛くするとテンション上がりますよ。 あれって男の人に見てもらうだけじゃなく、自分のためでもあるので リル: そういうものなのか ティンカー・ベル: なんか仲間内で既に真っ二つなんですけど ティンカー・ベル: いやティンカも可愛い衣装でテンション上がる、みたいなのはわかるんだけどさ…… シンデレラ: それなら早速、実践してみましょうよ ドロシー: でもエッチな衣装ってどんなの? ピュルテ: それはもちろん、肌の露出がたくさんある衣装ですよ ドロシー: これ以上、増やすの?妖精さん、いまでもこれよ? ピュルテ: あ…… シンデレラ: そうね…… エミリー: これ以上は裸になっちゃうねぇ ティンカー・ベル: ティンカの服をなんだと思ってるんだ! って言いたいけど、その通りなんだよね。結構もう露出度高めっていうか クレア: 素足になるくらいしか残ってない リル: それは別にセクシーとは違うような…… ピュルテ: 露出を減らすことで生まれるエロさもある! って、人間界で知り合ったおじさんが言ってました ドロシー: それって具体的にどうすればいいのよ ピュルテ: さあ……おじさんの話、もっとまじめに聞いておけばよかったですね。右から左に聞き流してしまっていて……当時はウニが美味しいことしか頭になかったんです クレア: 美味しいよね、ウニ シンデレラ: じゃあもう、実力行使でそういう気分になってもらうしかないわね リル: 待て待て!シンデレラ殿、その卑猥な手つきをやめろ!もっと他に方法があるだろう クレア: ん……?待って、食べ物……そうだ、食べたらいいんだよ ドロシー: 何を言い出すかと思えば、クレアがお腹すいただけじゃないの クレア: 違うよ。人間さんってほら、 よく精力をつけなきゃ、って言って変なの食べてたじゃん シンデレラ: 確かに!じゃあちょっと店に行きましょうか (背景切換...) ピュルテ: というわけで、ご用意したのがこちらです! ティンカー・ベル: うおっ、すごい匂い!これ、ニンニク!? ドロシー: 他にも人間さんが普段、ああいうときの直前に 食べたり飲んだりしていた有効成分をぎっしり集めたわ! リル: す、すごいな……これを全部食べたら、さすがになんというか、鼻血が出そうだな…… クレア: ティンカ。私も一緒に食べるから、がんばろう ドロシー: やっぱりお腹がすいてたんじゃないの…… ティンカー・ベル: う、ううっ、仕方ない!人間と頭巾を助けに行くため! ティンカ、いっきまーす!はむっ! ティンカー・ベル: もぐもぐもぐ! クレア: もぐもぐもぐ ティンカー・ベル: もぐもぐもぐ! クレア: もぐもぐもぐ ティンカー・ベル: あ、だめだこれ……くらくらしてきた…… ドロシー: 妖精さんが倒れたわ! リル: ティンカ殿、しっかりしろ!! 150039 - 有効成分はときめき (あのときまで、誰にも話してなかったんだよね。ティンカの、人間さんとの思い出。) (ほんと、特別でもなんでもない、ごく普通の夜でさ。ただ、ふたりでぼーっと空を見てただけ。もちろん、することはしっかりした後なんだけど……) (だんだん明るくなっていく空をずっと見てて…… あー、思い出したら恥ずかしくなってきた。あとエルマイト出てきた。) (いまになって実感してるよ。ああいうなんでもない時間がどれだけ大切だったのかって。 また、あんなふうに過ごせるときが……来るのかな。) (背景切換...) ティンカー・ベル: はぅあ!! エミリー: あ、よかったぁ。みんな、ティンカが起きたよぅ リル: どうだ、気分は ティンカー・ベル: ん……なんか胃のあたりがムカムカするけど…… そこまでヤバい感じじゃないかな。ていうか、ティンカ倒れたの? クレア: うん。なんかぐるぐるしちゃったみたい ピュルテ: あ、先生、こっちです 渋柿ましら: どれどれ ティンカー・ベル: ましら先生!? 渋柿ましら: 心配したピュルテがあたしを呼んだのよ シンデレラ: あら、ましら先生。なんだ、もう誰か呼んでくれてたのね リブシー: わたしの出番はなさそうですかな? でもせっかくなので新しいお薬を注射してあげますぞ。ふひっ ティンカー・ベル: リブシーまで!?い、いやもう、元気だから! ほら、この通り!うぇい、うぇい、ふぅーっ! ドロシー: けど、食べ物作戦は無理そうね。妖精さんの体力がもちそうにないわ リル: そもそも、人間さん殿の真似をしても、男女の違いというものがあるのではないか? ピュルテ: どうなんでしょうか、ましら先生、リブシー先生。かくかくしかじかなんですが クレア: かくかくしかじかって何? エミリー: 言われた方は知ったかぶりをしなくちゃいけなくなる、呪文みたいなものだよぅ 渋柿ましら: なるほど……エルマイトをね リブシー: 男性機能を強化しようとしても女性に効果はありませんぞ。 でも代謝を上げたり美容効果は期待できますぞ 渋柿ましら: そういう意味ではエルマイトに対しても無意味ではないけど、 食べ物でカバーするのは物理的に無理があるわね リブシー: そんなときに、これ!有効成分をぐっと凝縮したサプリですぞ!さあ、一粒どうぞ ティンカー・ベル: え……の、飲むの? 渋柿ましら: 害はないけど、でも……求めてるエルマイトって、そういうもの? ピュルテ: と言いますと……? 渋柿ましら: 人間さんと、そういうときにエルマイトが上がったとして、もっと他に要因があるんじゃないかしら。あたしも専門じゃないから断言はできないけど シンデレラ: 具体的に思い出してみたら? クレア: じゃあ、はい。まず服を脱いで……あ、脱がされて? ティンカー・ベル: そこから!? ティンカー・ベル: あー、でも……人間さんとの思い出っていうと…… なんか朝方、一緒に朝日を見たんだよね ティンカー・ベル: なんてことのない、ごく普通の宿屋で、普通の日で……たまたま一緒だっただけ。 でも、そのとき後ろから抱っこされてたの、よく覚えてる エミリー: へえ……ぎゅってされて、うれしかったの? ティンカー・ベル: ぎゅって感じでもなくて、ティンカが人間さんを背もたれにする感じで ベッドの上で座ってて……それで、窓を見てたの ティンカー・ベル: 特に感動してたわけでもないんだけどさ、まあ普通にきれいで。そしたら人間さんはティンカの髪いじっててさ。朝日見ないの?って聞いたんだ ティンカー・ベル: 直接見たらまぶしいじゃん、 それにキラキラしてるならこっちの方が、なんて言ってたっけ リブシー: ほうほう。朝日より君のほうが綺麗だよ、的なやつですな ティンカー・ベル: そんなことすら言われてないんだよね。ただ髪がキラキラしてるってだけ。 あーでも、髪下ろすと大人っぽいよな、とは言われたなぁ。 ティンカは、そう?としか返してないけど…… ドロシー: ぐふぅっ……エミリーとはまた違った生々しさがあるわ…… シンデレラ: 私たちは何を聞かされているのかしら…… ティンカー・ベル: 姐さんが思い出せって言ったんじゃんか!! ピュルテ: ――っ!?ティンカちゃんのエルマイトが……す、すごい、一気に上がって…… ティンカー・ベル: え、うそっ?ほんとに!? リル: ティンカ殿にとって最も有効だったのは、思い出話だったのか? シンデレラ: ……一言でいうと、ときめき――なのかもね クレア: ときめき…… シンデレラ: 好きな人と過ごす何気ない時間…… ティンカちゃんはきっとそのとき、人間さんにときめいてたのよ ティンカー・ベル: ……そっか。ときめきかぁ エミリー: ティンカって、こう見えて意外と乙女なところあるからなぁ ティンカー・ベル: エミリーは一言余計 150040 - オトギノクニの乙女たち (ねえ、人間さん。ティンカは記念日の豪華なレストランなんて要らないんだよ。 あの日過ごした、なんでもない静かな朝が一番だったんだ。) (だから、あのとき人間さんに久しぶりに会ったときも、いつも通りだったでしょ? 感動の再会なんて要らなかったんだもん。) (他のみんなもこれまで通り普通にしてたのは、きっとティンカと同じ気持ちだったからじゃないかな。恥ずかしいから確認なんてしてないけどさ。) (また、会えるよね。みんなで集まって笑い合って、そしてたまにはティンカと一緒に明け方までいてくれて。それだけでいいから。だから。) (ティンカたちの前からいなくならないでね。人間さん――大好きだよ。) (背景切換...) ピュルテ: 言われてみれば……私も、同じかもしれません。もちろん、その……抱きしめあったりキスしたりも大事ですけど、一番エルマイトが高まったのは――気持ちの部分っていうか シンデレラ: 心、と言い換えてもいいのかもしれないわね 渋柿ましら: エルマイトとは何か、という研究が進まないと確かなことは言えないけど……もし、ときめきでエルマイトが高まるのならみんなの感覚は正しいんじゃないかしら リブシー: 心は目に見えませんからな。だから目で見て確かめられるように肉体の繋がりを求めるのですぞ。本質的には、誰しも愛する人の心を求めるものですぞ クレア: リブシー先生がまともなこと言ってる リブシー: そして心を手に入れるために必要な新薬がこちらですぞ クレア: ただの前振りだった…… ドロシー: そうね。妖精さんの話を聞いていて思い出したわ。 話の内容はこっ恥ずかしくて背筋がぞくぞくしたけど ティンカー・ベル: うるさいな! ドロシー: でも……うん、ときめきとか、心とか、しっくりくる エミリー: 乙女なのはティンカだけじゃなかったかぁ リル: エミリー殿だって、例外ではないのだろう? エミリー: さあー?それはどうかなぁ。ご想像におまかせしまぁす ダスト: ぴんぽんぱんぽーん! ピュルテ: きゃっ!?び、びっくりしたぁ。ダストさん、驚かせないでください ダスト: ごめんね、ピュルちん。お知らせしなくちゃと思って。 もうすぐティンカからいい感じの粉が出そうだよ! リル: ということは、洞窟に戻って焼き付けてもらわなくてはならないな ダスト: この状態がしばらく続かないとダメなんだけど……ティンカ、いけそう? ティンカー・ベル: うん。いまなら大丈夫だと思う。なんとなくコツもつかめたし シンデレラ: 希望が見えて来たわね! (背景切換...) ピュルテ: ――というわけでして シェイクスピア: どうかしら、この情報でうまくいきそう? ロゼッタ: アーハァン?ビフォーではヒントが足りなくて半端だったけど、確かにこのマジックサークルのインフォメーションがあれば……一部だけジョイントできるかもしれないわね シンデレラ: 本当!?よかった、じゃあ人間さんたちをこっちに呼び戻せるのね! ドロシー: お願いしてもいいかしら ロゼッタ: モウマンタイよ!ミーにどーんと任せておいて!ただし クレア: ただし。出た、ただし ロゼッタ: 本来、トライしたいのは『ふたつの世界を繋ぐことができる可能性』…… だけど、どんな世界かわからないでしょう? ロゼッタ: 繋いでしまったが最後、向こうから何かがオトギノクニに来てしまう可能性もあるわ。 それはとってもデンジャーよ シェイクスピア: もっともな話ね。あちらの情報を何ひとつ持っていないし、 世界が繋がったからといって二人をピンポイントで呼べるかもわからないわ ピエドゥラ: そ、そうですけど…… それじゃあ、せっかく粉を出したのに無駄になってしまうんですか? シンデレラ: ……なら、やり方を変えるしかないわね リル: やり方? シンデレラ: こういうのはどうかしら。ふたつの世界と繋がっている、 もうひとつの世界が存在するとしたら…… ティンカー・ベル: そんな世界があるの!? ドロシー: という、可能性……ってことね? ティンカー・ベル: あ、そっか。可能性を実現するのがロゼッタなんだから…… リル: ふたつの世界の緩衝地帯を作り出す、ということか……! しかし、そんなことが実現できるのか? ロゼッタ: ヴァ・ベーネ!そのプラン、いただきよ!それならずっとリスクを抑えられるわ ピュルテ: よかった……!じゃあ今度こそ、これで ロゼッタ: それじゃあどんな世界にするか、決めてちょうだい ピュルテ: えっ 150041 - 世界観設定 シンデレラ: さて……どうしましょうか ドロシー: ふたつの世界と繋がっている世界は、どんな場所なのか。 その詳細を決めなくちゃいけないなんて…… ピュルテ: ロゼッタさんは、そこまで難しく考えなくてもいいって言ってましたけど エミリー: でも、最低限これは決めなさいってもらったリスト……結構あるよぅ? リル: 大事なのは、エルマイトだと言っていたな。いざ向こうの世界の何者かと対決することにでもなったら、こちらが有利に戦えたほうがいい、ということだろう シンデレラ: そうね。何者が出てくるかわからないんだから クレア: 食べ物が美味しいといいな ティンカー・ベル: いつもなら突っ込むところだけど、たぶんそれアリなんだよね。 クレアはそれで元気が出て、エルマイトも絶好調でしょ? クレア: まかせといて。食べ物には目がないんだ リル: 改めて言わなくてもみんな知ってるぞ ピュルテ: じゃ、じゃあ、私……キラキラしてておしゃれな町があったら嬉しいです! ドロシー: トレーニングジムがほしいわね シンデレラ: じゃあ、気の利いた酒場は絶対必要 エミリー: イケメンがいっぱいうろついててほしいなぁ リル: 小生は特に、これといってないが…… ティンカー・ベル: ネコってばなにいい子ぶってんの。ここは言うとこだよ リル: いや本当にイメージがわかないというか。 まあ、故郷で辛い思いをしたし……砂漠は避けたいな シンデレラ: これをリストに落とし込んでいくと、そうねぇ…… ある程度の人口がいて、文明レベルも高めで、お酒や料理が豊富に用意されていて…… ティンカー・ベル: なんか旅行先を相談してるみたいな感じになってきたね クレア: 実際そうなんじゃない?異世界旅行 リル: エルマイトが高まるということは、楽しい場所になるわけだからな。 ああ、そうだ。戦争をしていない、を付け加えよう シンデレラ: そうね。というかもう、町ひとつで十分だわ。 あまりに複雑すぎると大変だし、数が増えると争いの元よ ドロシー: なんとなく大枠は見えてきたけど……自然環境とか、どうしたらいいのかしら ピュルテ: ……思ったんですけど、久々の再会じゃないですか。 そのとき、人間さんと何がしたいか、じゃないかなって エミリー: あー、そっかぁ。会って、今後のこと話し合って解散、だと味気ないもんねぇ。 一緒に遊んだりしたいかも シンデレラ: それが決まると分かりやすいかもしれないわね。みんな、何して遊びたい? リル: それなんだが……ティンカ殿に決めてもらってはどうだ? ティンカー・ベル: えっ!? リル: そもそもが、ティンカ殿のエルマイトのおかげで生まれた可能性だ。それに、人間さん殿と合流するまでは、自分でエルマイトを生成できるのはひとりだけ ピュルテ: 一番エルマイトが高まってほしい人、ってことですもんね ティンカー・ベル: え……ティンカが、決めちゃうの?本当に? エミリー: 何して遊ぶか決めるだけだよぅ。大したことじゃないでしょ? ティンカー・ベル: 何して、か……えーっと、そうだなぁ……。それじゃあ―― (背景切換...) ロゼッタ: ハァイ、決まった? ピュルテ: 決まりました!こちらでお願いします! ロゼッタ: ふんふん。かなりオトギノクニに条件は近づけてるのね。 冒険要素は薄くなるけど、手堅くいくべきだものね ロゼッタ: それにしても……メインの要素、これなの? ティンカー・ベル: いやあ……なんか、楽しいかなって。ティンカはやっぱり、遊ぶのもこれが馴染みあるし ロゼッタ: ヴァ・ベーネ、それじゃあ始めましょ シェイクスピア: 念のためにワタシも同行するわ。 ピエドゥラはこっちに残って、ロゼッタと一緒に万一に備えて ピエドゥラ: わ、わかりました! シェイクスピア: ふふ……なんだか楽しい予感がするわ……。ロゼッタ、わかってるわね? ロゼッタ: はいはい。それじゃあみんな、ミーがいまから描く円の中に入って ピュルテ: うわ、ドキドキしますね クレア: 美味しいもの、期待してます ドロシー: ふたりともリアクションが真逆すぎるわ…… シンデレラ: みんな、エルマイト高めていくわよ! エミリー: おっけー。要するに、ときめいてればいいんだもんねぇ リル: む……そうだな…… ティンカー・ベル: あ、ネコがいやらしいこと考えてる! リル: そ、そんなんじゃない! シェイクスピア: ふふ……この子たちったら本当に緊張感がないんだから。 この後、待ってるのが悲劇かもしれないのに…… ロゼッタ: それじゃあいくわよ、グッドラーック!