6500101 - 迷宮の底から ライブラ: それではグランド・リヴィジョンの具体的な説明に入ります : それは創造期末期のこと。 : 反体制活動を続けてきたライブラたちはとある決断をする。 : すなわちグランド・リヴィジョンの実行―― ------(Background changed)------ ヴィルヘルミナ: エルマイト、そしてディマイトの供給ルートを、奴らは完全に掌握したわ。ワタシたちは蚊帳の外……すべてを失ったのよ ジャコヴァ: 革命気取りか……浅はかな : 世界の理を塗り替える大秘術の実施は、オトギノクニの勢力図を塗り替えることに成功した。 : 12人の神官の犠牲のおかげで―― ------(Background changed)------ ???: ここは……どこ……? 暗くて、冷たくて、そして…… : やがて、神官たちが眠る迷宮の奥底については、こんな噂がまことしやかに流れることになった。 : 神官たちの無念の思いはディマイトの塊となり、やがて実体化した姿によって人を傷つける……。 ???: どうして私は……ここにいるの……? ???: なんのために私は……存在しているの……? ------(Background changed)------ ヤシャ: また付き合ってもらってごめんね 人間: 気にしなくて平気だよ。俺も気になってるし ヤシャ: ありがとう、人間さん ディーバ: っていう口実で人間さんくんを呼び出したんだよね? ヤシャ: ち、違うわよ! 本当に調査が必要って話になってたじゃないの!人間さんに変な誤解されたらどうするのよ ガルダ: ヤシャの思惑はともかく、実際に少々異変が起きていてな。人間さん殿、早速じゃが迷宮内に来てもらえるか ヤシャ: ともかくって~! もうやだっ! ------(Background changed)------ 人間: ここに来るのも、もう何度目だっけ。さすがにこの異様な雰囲気にも慣れてきちゃったなぁ ガンダーヴァ: 人の慣れとは恐ろしいものだな。しかし、こういうときこそ足元をすくわれる。油断するなよ、人間さん アシュラ: なーに、そんときはオレがばしっと決めてやるから安心しな 人間: 油断させたいのか、させたくないのか…… ナーガ: ふざけてる場合じゃないでしょう。ほら、このあたりに来ればアナタもわかるんじゃないかしら…… 人間: ……? 強い何かの波動を感じるな。ピュルテみたいな感知能力がなくても伝わってくるっていうのは キンナラ: うん……よ、よっぽどの強さ……なんだと、思う…… ガンダーヴァ: うわっ!? な、なんだ!? マホラガ: 地震っ!? ううん、違うよね、これってまさか ナーガ: 気を付けて! 奥から何か来るわ! アシュラ: やべぇっ、伏せろ人間さん! 人間: ぐあっ! ヤシャ: な、何よいまの……何かがこの道を通り過ぎたわ ガンダーヴァ: あたしの目でも、黒い何かとしか見えなかった……でも、状況的にあれは星の魔獣なんじゃないのか!? ナーガ: 追いかけるわよ! 外に出すわけにはいかないわ! ------(Background changed)------ アシュラ: くそっ、どこ行った!? ガンダーヴァ: ちっ……まさか、いきなり飛び出してくるとは…… ディーバ: いままでにないパターンだよね? どうしちゃったの、いきなり 人間: そうなのか? ナーガ: ええ。あんなスピードで出てくることはなかったし、迷宮の外に出てきてもこの入口あたりからゆっくりとうろついていたわ。まるで周囲の様子を探るみたいに マホラガ: じゃあ、探り終わったから一気に飛び出してきたのかな? ガルダ: そんな意志が、あの星の魔獣たちにあるかどうかが問題じゃが……しかし、可能性は考慮すべきじゃった…… アシュラ: なあ、本当にもう目に見えるとこにはいないみたいだぞ!どうする? キンナラ: ど……どうしよう、ガルダ……。ま、魔獣の、痕跡って……さ、探したり、で、できるかな…… ガルダ: わらわたちの出番じゃろうな。何か良い方法を編み出さねば…… キンナラ: そ、そうだね……な、何かヒントがある……は、はず…… ガンダーヴァ: ――っ!? おい、後ろっ……また来るぞ! ナーガ: 今度は……3つ!? ……っ、させないわよ……! ガルダ: よせ、ナーガ! 危険じゃ!生身で受け止められるスピードではないっ! ナーガ: くううぅぅぅっ!? マホラガ: ……!? 3つ、それぞれ別の方向に飛んで行ったよ!?で、でもとりあえず、いまの3つは方向は覚えた! ヤシャ: それじゃあ手分けして追いかけましょう! 人間: いや……もう一度、迷宮に行こう。まず封印の緩みがどの程度なのか確かめて、これ以上は外に出さないように対策をしておきたい ナーガ: 人間さんの言うとおりね。この調子で12体すべて飛び出してしまったら手に負えないわ 人間: そして……いまの4体が『どの4体なのか』を確かめたい。その上で手分けしよう ヤシャ: うん、わかったわ……! 6500102 - 未知の領域 ???: ん……こ、ここは……?そ、そうだ、確か急に体の内側がすごく熱くなって…… ???: そして……意識が遠くなって……そのまま、どこか遠くに、飛ばされてしまうような感じで…… アズ・エル: あ、き、気が付いた……? ------(Background changed)------ ???: えっ? あ、え、こ、こんにちは……?あの、あなたは、どなたですか……というか、ここはいったい アズ・エル: み、道端で、い、行き倒れてたんだ……。絶好の素材……じゃない、ひ、人として、助けなきゃって、思って ???: えっ……行き倒れて……? アズ・エル: あの、ぼく、配信者やってて……アズ・エルっていうんだけど アクエリアス: あ……名前っ、そ、そうですよねっ、失礼しました……。わ、私、アクエリアスといいます。宝瓶宮のアクエリアス、です……っ アズ・エル: ね、ねえ、も、ももも、もしかして、ぼくのこと、しってたり……する……? アクエリアス: えっ……? ご、ごめんなさい、私……何も知らなくて…… アズ・エル: ううん、そうだよね……。ぼ、ぼくみたいな弱小配信者のことなんて、知られてるわけないんだ……。収益化だってやっとで…… アクエリアス: はっ!? ど、どうしましょう……機嫌を損ねてしまった……!?このままだと逆上したこの人が私に殺意を抱いて、バールのようなもので一撃、とかなってしまうのでは……いやぁっ!? アズ・エル: ぼ、ぼくのこと、なんだと思って…… アクエリアス: お、お願いします、許してください……っ。私は本当にものを知らないだけなんです。ここがどこかもわからなくて、そのっ、どうしてあなたがここにいるのかも…… アクエリアス: ……え? 待ってください。そう言えばここって、いったい……? アズ・エル: う、うわぁ、なんだろう。ちょっと情緒不安定そうな人で普通に怖いんだけど…… アクエリアス: 青い空……そして緑の草原……これってたぶん、迷宮の外……っ?ど、ど、どうしてっ……!? アズ・エル: う、うわ、どうしよう……なんか確実に変な人を拾っちゃったみたい……。ううん、でも、こういうときこそがんばらないと…… アズ・エル: ねえ、きみはどういう人なの? ちょっと、落ち着いて話を聞かせてもらえないかな……? アクエリアス: は、はい……私も混乱しているのですが、その…… アズ・エル: あ、その前にこれ。同意書にサインしてもらっていい?動画に出てもらうから アクエリアス: ドウガ……? は、はあ、わかりました…… ------(Background changed)------ ガルダ: 十二ある台座のうち、わらわたちが目撃したとおり四つの台座の星の魔獣が不在となっておった キンナラ: ふ、封印も調べたけど……は、派手に壊れちゃって、直すのにも時間、か、かかりそうなんだ…… ナーガ: 壊れた封印を直すよりもまず、残りの封印の確認を優先するべきね。そっちはどうなの? ガルダ: いまのところ致命的な綻びは見つかっとらん。とはいえ、そもそもが応急処置的な術式じゃからして…… ディーバ: いつ壊れるかはわからない? ガルダ: さよう。わらわたちの身を犠牲にして作り上げた封印とは出来がまったく違うのじゃよ ガンダーヴァ: ま、そうでないと、封印されてたあたしたちとしても納得いかないところだけど 人間: それで、魔獣が消えていたのは、どこなんだ? キンナラ: ほ、宝瓶宮、それにっ、金牛宮、天蠍宮……それから獅子っ……じゃ、じゃなくて、蛇遣宮、だ、だよ…… 人間: ……確か、その3つは……くそっ、スホマで調べられないから記憶が頼りだな…… マホラガ: え、人間さん、何か心当たりがあるの?なんちゃって、じゃなくて? 人間: ああ。実はこのナントカ宮っていうのは人間界にもあって、方角を示すことがあるんだ 人間: ええと、確か磨羯宮が頂点で、誕生日占いとは逆向きだから…… ヤシャ: もし人間さんの推理が当たってるとしたら、見逃したもう1体の方角もわかるってこと? ナーガ: かなり絞られはするけど、それでも方角だけでは場所は特定できないわ。どの程度の距離を飛んだかはわからないんだから マホラガ: あーそっか。それでも、なんとなくの方角がわかれば…… ディーバ: 地道にこつこつ探すしかないだろうね…… アシュラ: あんまり、いいことじゃねーけどよ……星の魔獣が自由になって、騒ぎを起こさないはずないだろ。ちゃんと情報を拾っていけば行き当たるんじゃねーか? ナーガ: そう祈るしかないわね 6500103 - 無垢なる存在 アクエリアス: う、うわ……す、すごく広くて、長い道……。どこまでも続いてるみたいで…… アズ・エル: ずっと迷宮の奥に囚われていて、初めて外の世界に出たって話……もしかして本当なのかな アクエリアス: う、ううっ……やっぱり信じてもらえてなかったんですね?ということは私のこともアズ・エルさんはうそつきだと思っていて、最終的には黙れ詐欺女とかいって天誅を……いやああぁぁっ! アズ・エル: ストップ、ストップ。そのわけわかんないネガティブ妄想、ちょっとやめといて。どうせ使えない部分だからさ アクエリアス: あの、アズ・エルさんはさっきから何をされているんですか?それに心なしか、会ったときより話し方も違うような アズ・エル: これは撮影スフィアってやつでね、映像を記録するんだよ。さっき、きみの話を聞かせてもらったときにね、これは回さなきゃって決めたんだ アズ・エル: 謎の迷宮に囚われた誰か……そのディマイトから生まれたのが、きみ……アクエリアスだっていう話。そして呪縛から解放されて、初めて世界を見てるっていう…… アクエリアス: は、はい。本当なんです アズ・エル: 正直言って、めちゃくちゃイタい設定って感じなんだけど アクエリアス: やっぱり信じてもらえてないんですね……!?嘘つき詐欺女で天誅!? いやああぁぁっ! アズ・エル: 別にそれは設定ってことでいいかなって割り切ることにしたよ。きみのさっきのリアクションはガチだったし。設定ありきのリアクション動画って方向性でいこう アクエリアス: は、はあ……よくわかりませんが、おまかせします…… アズ・エル: ってことで、リアクションが撮れそうな場所に行こっか。どうせ行くあてもなかったんでしょ? アクエリアス: はい、たぶん……。実はまだ記憶が混濁していまして……さっきお話したような、私がディマイトから生まれたこととか、迷宮に閉じ込められていたことは覚えてるんですが アクエリアス: 飛び出してきた経緯とかはよく覚えていないんです。もしかしたら、何か目的があるのかも…… アズ・エル: あー、いいね。じゃあ思い出したらそっちに方向転換しようよ。二段構えでドキュメンタリーが撮れそうだし。こ、これはバズるぞ……やっとぼくのチャンネルも……! ------(Background changed)------ ???: ……っ、ここは……? いたた、なんでこんなに頭が痛いのよ…… リラ: おねーさん、大丈夫? だいじょぶじょぶ?リラのジョブはおくすりホイホイだよ。頭痛にはこれかなじょぶじょぶじょびじょばー ???: な、なに!? あ、あなた、いったい……ていうか、何ここ? ???: もしかして、アルデバランのディマイトが限界に達して、私ごと悪夢が暴走しちゃってるんじゃないでしょうね リラ: 悪夢? ズワルテちゃんならお友達だよ。毎月、3日常温で寝かせたカレーをお鍋いっぱいに詰め込んで送ってあげてるんだ。ふわっふわのとろっとろだよ ???: な、何よそれ……って、ちょっとこの濡れタオル……。もしかして、あなたの?『リラ』って書いてあるけど…… リラ: はい、わたしのおなまえはリラです! リーラッラララッポ♪これはスキャットっていうんだって。お兄さんに教わったの。リーラッラララッポ♪ リ・ラ・ララッポ♪ ???: ……わけわかんないけど、でも倒れてた私を介抱してくれたのよね。待って、じゃあこれは悪夢じゃないってこと……? ???: ねえ、ここはどこなの? リラ: ひろーい世界のほんの一部だよ。ワンダーランドの2丁目23番地、リラちゃん暴走記念館前でーす ???: つまり……外の、世界……? まさか、本当に……? ???: ああでも、間違いないわ。この青い空、生い茂る緑の木々、アルデバランから共有されていた記憶の通り…… ???: ねえ……助けてもらってばかりで虫のいい話なのはわかってる。少しだけ……この世界で生きていく手助けをしてくれない? リラ: お助けリラちゃん登場? うん、まかせて!いっぱいおもてなしをしてあげるね! リラ: ふわっふわのとろっとろカレーを作り置きしてあるから、みんなでカレーパーティーしようね!きっとピリリと危ない限界パーティーだよ! タウルス: ありがとう……私はタウルス。金牛宮のタウルスよ 6500104 - 魔獣の素顔 アクエリアス: う、うわぁ……す、すごい……こんなにたくさんの人が……!?2……か、数えきれません アズ・エル: いいリアクション……。道行く人を数えようとするとか意味不明で、なかなか面白いよね。もっとちょうだい、そういうの アクエリアス: ええっ? そ、そう言われましても…… アズ・エル: それにしてもさ、アクエリアスの設定が本当だっていうテイで話すけど アクエリアス: テイ…… アズ・エル: ずっと閉じ込められてて……病んだりしなかったの?実際こうして町に出てきてめっちゃ楽しそうなわけで、引きこもり陰キャってわけじゃないんだろうし アクエリアス: え、えっと、ひき……? アズ・エル: 誰かと会ったりするのが苦手で、上手くしゃべれなかったり、自分の世界だけに閉じこもってる方が気が楽っていうタイプかってこと アクエリアス: アズ・エルさんみたいな? アズ・エル: ごふうううううっ!? アズ・エル: こ、こいつ……とんでもない爆弾を放り込んできた……事実だけどさぁ……! アクエリアス: その、撮影スフィア、と言いましたか?それを回す前のアズ・エルさんからは、私とよく似た波長を感じました アズ・エル: え? ってことは アクエリアス: たぶん私も引きこもりの陰キャです アズ・エル: 『も』って! ぼくはそうでもないぞ!後で編集するから、『は』って言い換えてテイク2ちょうだい アクエリアス: 記憶があいまいなんですが……外の世界に、私は憧れはありましたがそれ以上に外に出る勇気がなかったんです アクエリアス: だから封印のせいで出られない、そういう理由があることにどこかホッとしている自分もいて アズ・エル: う、やばい、すごいわかっちゃう、それ。理由があると安心するよね…… アクエリアス: ええ……私はすごくネガティブな思考なので、外に出たらひどい目にあうんじゃないか、っていう重圧で本当はいまだって不安ですけど…… アクエリアス: でも……そう、仲間は外には希望があるはずだって……言ってたん……です…… アズ・エル: 仲間? 待って、アクエリアスはその迷宮に仲間がいるの? アクエリアス: は、はい……いま記憶が蘇ってきました……そうです、私はひとりじゃなかったんです アクエリアス: 私を形作ったディマイトの持ち主、スウド様……だけではなく、同じ立場の仲間が、いたんです……思い出しました……! アズ・エル: その人たちは、まだ迷宮にいるの? アクエリアス: ……いえ、あのとき確か…… ------(Background changed)------ タウルス: お茶会? なんだか優雅なことやってるのね リラ: みんな気のいい変態貴族だよ タウルス: 行きたいような、行きたくないような リラ: でも気になっちゃうんだよね?おねーさんの好奇心センサーがビンビンなんだよね? タウルス: ま、まあね。せっかく外の世界に出られたんだから。堪能しなくちゃ損ってもんよ タウルス: あんな暗くて鬱屈した空間、二度と戻りたくないわ。ディマイトから生まれたからって、こっちの性格までネガティブじゃないっつーの リラ: ディマイト? おねーさんは、ディマイト?わたしもディマイトいっぱい、夢いっぱいだよ リラ: あっち行ったら追いかけられて、こっち逃げても追いかけられて、てこでもきかない、逃がさない。わたしのハートは真っ黒です タウルス: ……そ、そうなの? 何があったのよ リラ: ハート タウルス: え……? いや、意味がわかんないんだけど リラ: みんなディマイトでも、おねーさんみたいなの?元気もりもり、筋肉もりもり、胸がどきどき、不整脈 タウルス: 私は不整脈じゃないわよ!!筋肉は自慢だけど! タウルス: みんなって、ああ……迷宮の中にいたときの連中ね。そうね、みんなそれぞれ違うわよ。特にアクエリアスって子は、かなりネガティブだったし リラ: 一枚岩じゃないんだね! みんな違ってみんないいもんね。気! タウルス: い、いえ、気は別に…… タリー: おや、これは珍しいお客さんだね リラ: 新たなるお茶会への刺客だよ タリー: なるほど。じゃあお茶会への意気込みを聞かせてもらおう リラ: ごみごみ タウルス: そ、そうね……とにかく新しいことは何でも経験したいわね。そうすることで……自由を実感できる気がするから…… タリー: いままでは不自由だった? タウルス: 私はただ、外に出て自由になりたかった。それだけなのよ。それが、わけのわからない力で押さえつけられて…… タウルス: 外に出られた理由は正直、わからないわ。気が付いたらここにいて、リラに助けられていたの タリー: なるほど……でもそれは仮初の自由かもしれないね タウルス: なんですって? タリー: すべてのものは仮初だからね。私はきみに帽子屋だと名乗ったが タウルス: いま初めて聞いたけど タリー: それも仮初の姿。実はゆでたまご販売のオーナーなんだ リラ: 温泉たまごをください! タウルス: は、はあ…… タウルス: でも……そうね、仮初……。確かに、この自由がこの先ずっと守られるとは限らない、のかも…… 6500105 - 魔獣という存在 ヤシャ: ふう……そろそろ休んだほうがいいわね。マホ、夜営の準備を手伝って マホラガ: はーい! ヤシャ: ……いまのところ、何も聞こえてこないわね 人間: うん……もしかしたら、十二辰の方角が関係してる、なんていう俺の説が間違っていたのかも…… ヤシャ: あ、ち、違うのよ! 人間さんのことを疑うわけじゃなくて マホラガ: 実際、蛇遣宮以外の3体が飛んで行った方向と合ってたんだし、間違ってはないと思うけどなー 人間: そう、だよな……それにしても、もうあれから何日か経ってるのに、何も起きてないっぽいのは、なんなんだ?俺たちが追いかけてるやつだけじゃなく、他にも3体いるのに ヤシャ: そうよね。もしかしたら様子を見ているのかもしれないけど マホラガ: それ、あるかもね。ずっと封印されてたから本来の力が戻ってないとか ヤシャ: 事件が起きてほしいわけじゃないんだけど……なんだか落ち着かないわよね マホラガ: それとも……。いや、それはないかな。あー、でも…… 人間: なんだよ、気になるな ヤシャ: はっきり言いなさいよ マホラガ: 実は星の魔獣は、別に危ないやつじゃない……って可能性、どうなんだろって思って ヤシャ: ……じゃあ、いまこの瞬間もあいつらは、普通にのんびり観光でもしてるっていうの? マホラガ: か、可能性だよ? だって、動きがなさすぎるんだもん ヤシャ: もし本当にそうなら、それが一番いいけど。被害者もいないし、私たちもむやみに戦わなくていいんだから ヤシャ: それこそキンナラが言ってたみたいに、話し合って解決できるかもしれない。でも……それは無理があると思うわよ 人間: 少なくともポルタ島では、あれだけ暴れてたわけだからな マホラガ: ま、そうだよね。あの暴れっぷりがなんでなのか、ちゃんと説明できないことには、安心できないもんね ヤシャ: ……ただ、ガルダが気になることを言ってたのよね 人間: 気になること? なんだ? ヤシャ: 人間さんたちと一緒に行動するようになって、あの迷宮にあるグランド・リヴィジョンのこともいろいろ知れて星の魔獣が何者なのかはわかってきたじゃない? マホラガ: 封印されちゃってる十二神官たちのディマイトが形になって、それが魔獣って形で表に出てきちゃってるんだよね ヤシャ: ……でもあの迷宮を脱出したっていうことは、ディマイトの元になっている……言ってみれば本体にあたる神官たちと切り離された状態なわけよ マホラガ: ……何か変化があるかもしれない? ヤシャ: あくまでも可能性じゃ、って言ってたけどね 人間: ……なるほどな……。ん? マホラガ: どうかしたの? 人間: いや、いまそこに誰か……いや、気のせいか ???: ………… ???: ……ふひっ ------(Background changed)------ 人売り: へっへっへ……毎度どうも、ダンナ 変態貴族: よし……約束通り、納入は明後日にな 人売り: へい。美人ぞろい、どいつもこいつも純朴な雰囲気で、ダンナ好みばかりですぜ 変態貴族: しっ……うかつなことを口にするな。この私が美少女ばかりを集めては夜な夜なアレなことをしているなど、世間に知られるわけにはいかんのだ…… 人売り: しかし、ダンナほどのお人なら、札束をちらつかせりゃあそれなりの女が引っかかりそうなもんですがねぇ 変態貴族: それではダメなのだと言ってるだろう。相手が泣き叫ばないと私は…… 変態貴族: ……っ! だ、誰だ!? ???: …… 人売り: て、てめぇ、なにもんだ!ちっ、余計なことを知られちまったな。悪いが消えてもら…… 人売り: あっ……か、はっ……!? ???: まずは、あなたから 変態貴族: え……!? ひ、ひいいいいっ! た、たすけっ…… ???: 逃がしません 変態貴族: ごふっ……あ、ぐ、う…… ???: あなたが依頼の対象なので、逃がすわけにはいかないんです 変態貴族: い、いら……い…… スコーピオ: 天蠍宮のスコーピオ。依頼があれば、どんな相手でもこの通り……。もちろん、身に覚えは山ほどあるでしょう スコーピオ: ……依頼、完了ですね。では……次に向かうとしましょうか…… 6500106 - 見るものすべてが新しくて アクエリアス: す、す、すごい……! こんなに広い場所があるなんて アズ・エル: 海を知らない人はわりといるよね。でもリアクションが良いので一応撮っておこ アクエリアス: アズ・エルさん、ありがとうございます……!世間知らずな私のために、こんな船旅まで用意してくださって…… アズ・エル: いや、うん……いいんだよ、気にしないで。初回の動画がプチバズしたから画面に変化加えようとかしてるだけ アクエリアス: え? アズ・エル: わかんなくていいから アクエリアス: で、でも……っ、こんなに大量の水があるなんて……もしこの水のど真ん中に落ちたりしたら、あっという間に沈んで私は二度と浮かびあがることはなく……いやあぁぁっ! アズ・エル: 相変わらずネガティブだね……。まあその心配は的確といえば的確だけど アクエリアス: というか、この船という乗り物に穴が開いたり、逆に水のほうが上からどしゃーっと降ってきたり、あとは…… アズ・エル: ……うーん。船に乗ってはみたけど、どこに行くか決めてないんだよなぁ。どうしよっか…… アズ・エル: ねえ、アクエリアス。どこか行きたいところとか、思い出せないの? 仲間がいるんだよね? アクエリアス: あっ、はい。一緒に出て来た仲間が3人いるはずです アズ・エル: 4人組って、アクエンと同じじゃん。うわ、なんか急にこいつから陽の匂いがしてきた…… アクエリアス: どうしましたか、アズ・エルさん。陰気な顔で何をぼそぼそ言ってるんですか? アズ・エル: ひょ、ひょ、表現にっ、きっ、気を付けてよね……っ。ぼくは人気配信者なんだぞっ アズ・エル: って、そうじゃないや。仲間の場所だよ、場所 アクエリアス: それが……全然わからないんです。確か、何か方法があったはずなんですけど…… アズ・エル: うーん……それじゃあどうにもならないよね。仲間との再会とかエモい展開になりそうなんだけどなぁ ------(Background changed)------ : コミッティ直轄領に隣接する小さな町―― 依頼人: 本当にありがとうございました。これできっと……娘も報われます スコーピオ: 依頼料、確かに受け取りました 依頼人: おひとり……なんですよね? スコーピオ: ん? 依頼人: あ、いえっ、詮索するつもりじゃなくて……ひとりでこんな大仕事をやってのけてるんだなぁと…… スコーピオ: そうですね。私に仲間などいませんから スコーピオ: では、私はこれで スコーピオ: ……仲間、か スコーピオ: さて、帰ったら食事を済ませて、次のターゲットについて情報を頭に入れておかなくては チカトリーチェ: やっと……見つけたわ…… スコーピオ: ? チカトリーチェ: あなたが、スコーピオね? スコーピオ: いかにも、その通りですが チカトリーチェ: 商売の邪魔をしてくれたみたいねぇ……きっちりケジメ、つけさせてもらわないといけないのよ スコーピオ: ……なるほど。一般市民ではないようですね チカトリーチェ: はあああっ!! スコーピオ: ふんっ…… チカトリーチェ: ふうん、これをかわすか……さすが、やるじゃない スコーピオ: なるほど、どうやら素人ではないようですね。しかし、私を捉えるのは簡単ではありませんよ…… チカトリーチェ: スピードには自信があるみたいだけど……いつまでも避け続けられると思ったら大間違いだよ チカトリーチェ: 死ねぇっ! スコーピオ: …… スコーピオ: 大振りですね……本人の性格的なものでしょうか……。これなら難なくかわし…… スコーピオ: ……っ スコーピオ: …足首に刺さった矢、張り巡らされたピアノ線……なるほど チカトリーチェ: 何の準備もなく襲撃したと思ったわけ?わざわざ『ここ』を選んでるに決まってるじゃない スコーピオ: …… スコーピオ: 待ち伏せされていたのだから罠の存在は疑うべきだった。私がうかつでしたね…… チカトリーチェ: これでご自慢のスピードも当然鈍くなるわよねぇ? チカトリーチェ: 次は――仕留める スコーピオ: ――っ ------(Background changed)------ : チカトリーチェ: なっ……!? これは、目くらまし?くそっ、逃がすか……っ スコーピオ: これは……? ???: こっち! スコーピオ: ……あなたは? ???: いいから急いで チカトリーチェ: くそっ、逃がすか! 6500107 - 魔獣の足跡 ガンダーヴァ: ふう……いまだ収穫ゼロ、か ナーガ: 簡単じゃないとは覚悟していたけど、こうも手がかりなしだとお手上げだわ ガンダーヴァ: こんなに人の多い町なのに、誰も何も知らない……まいったな ナーガ: 人が多いからこそ、かもしれないけどね。ワタシたちが目撃者と遭遇する確率は、分母である人口が多いほど下がっていくものなんだから ガンダーヴァ: それにしたってなあ…… ナーガ: 現在、どんな状態なのかわからないのも痛いわね。ポルタ島で出会ったような巨大な魔物なのか、それとも小型化しているのか…… ナーガ: 必然的に『変な生き物を見なかったか』と聞くしかない……絞りこめていないせいで質問もあいまいなのよね ガンダーヴァ: もっと騒ぎを起こしているもんだとばかり考えてたからな。実はどこか日陰で身を潜めてるのか? ナーガ: 仕方ないわ。根気強く調べるしかないわよ ガンダーヴァ: じゃあ次はそこの屋台だな 屋台のじいさん: 変わったやつを見なかったか? うーん…… ガンダーヴァ: もう、この際なんでもいいんだ。普段と違うこととか 屋台のじいさん: そう言えばアレが来とったぞ、ほら。なんていうんじゃ?スフィア持ってうろうろして…… ナーガ: 配信者? 屋台のじいさん: それじゃ! そいつらがうろうろして撮影しとったぞ。わしの屋台でも買っていったが、宣伝になるとええのう ガンダーヴァ: ナーガ、お前よくそんなの知ってるな。あたし、まだこの時代に慣れるのに精いっぱいだっていうのに ナーガ: こういうことは知っておくと役にたつものよ。とはいえ、今回は有益な情報ではなさそうだけど…… 屋台のじいさん: 知っとるか? アズちゃんねるとかなんとかいう ナーガ: さあ……有名どころしか知らないから 屋台のじいさん: そうか、やはり宣伝にはならんかな。もうひとりは確かアクエリアスとかいう可愛いお姉ちゃんじゃった ガンダーヴァ: そう言われてもあたしは全然知らないから ナーガ: え……アクエリアス…… ガンダーヴァ: 知ってんのかよ。お前、詳しすぎだろ ナーガ: 違うのよ。おじいさん、本当にアクエリアスって? 屋台のじいさん: ああ、そう呼ばれとったぞ ナーガ: 人間さんが言ってたのよ。宝瓶宮の別名がアクエリアスだって…… ガンダーヴァ: え? だって、可愛いお姉ちゃんだって……うそだろ、まさか ナーガ: その人たち、どこへ行ったかわかる? 屋台のじいさん: 確か船着き場のほうに向かったのう ナーガ: ガンダーヴァ、行くわよ! ------(Background changed)------ マホラガ: え? でもこっちだとポルタ島から見たときの方角から、ちょっとずれちゃうんじゃない? ヤシャ: 真っすぐ飛んで行ったように見えたけど…… 人間: いや、ちょっと気になることがあるんだ 人間: 星の魔獣は十二神官のディマイトが実体化したもの……だろ ヤシャ: そうね。だから迷宮から逃げた時点で、本体である神官たちとは切り離されてる…… マホラガ: 本来の形から変質しちゃってるかも、って話だったよね 人間: その話を聞いたとき、ふと気づいたんだ。今回、逃げ出した魔獣4体のうち1体は蛇遣宮…… ヤシャ: え? あっ、そっか! ポステリオルとプリオル!! 人間: そう。魔獣との繋がりを考えれば、おそらくはポステリオルだ。こっちの方角に、彼女の研究所があったはずだから マホラガ: そこを目指すってことだね!でも何か関係あるのかな? ヤシャ: 私たちよりずっと近い存在なんだから、何かわかるかも。行動パターンとか 人間: そうだな。それに、他にも情報がもらえるかもしれない。なにせ十二神官のひとりなんだからな マホラガ: でも本当は十二神官じゃなかったんだよね?レグルス神官長に騙されて、それで…… ヤシャ: それでも神殿関係者でしょ。私たちよりは事情も知ってるだろうし…… 人間: うん、何か知ってる可能性は高いと思うんだ。問題は素直に教えてくれるかどうか、だけど…… ヤシャ: まあ、いいじゃない。このままあてもなく歩いていても何もならなさそうだしとにかく人間さんのアイディアに賭けてみましょ : ……。 : …………。 ???: 行きましたね……ふひ、狙い通りですぅ……。ポステリオル様、このオフィウクス……まもなく参上しますよぉ…… 6500108 - 仲間のこと フレーダ: はい、これでよしっと アウグスタ: さすがフレーダさん、手際がいいですね フレーダ: 毒矢を仕込んでおくなんて、相変わらずひどいやつね ジョルジア: 人間さんが忙しくて目が届いてないのをいいことに、また悪いことを始めてるみたいだし アウグスタ: だからこそ『黒い兄弟』ががんばらないと、ですよね! スコーピオ: どなたか存じ上げませんが、お世話になりました。それでは アウグスタ: ええっ、ちょ、ちょっと待ってください!毒矢を撃ち込まれたんですよ!? フレーダ: まだ毒素が抜けきってないんだから! スコーピオ: それなら問題ありません。毒には耐性を持っていますので ジョルジア: だからって急いで出ていくこともないでしょ フレーダ: 仲間が探してるかも、とか? スコーピオ: 私に仲間はいません アウグスタ: ひとりでやってるの? 仕事ぶり、結構噂になってるくらいなのに。凄腕の暗殺者が急に出て来た、って スコーピオ: ……あなたたちは? アウグスタ: あ、申し遅れました!私はアウグスタ、『黒い兄弟』のメンバーです フレーダ: 黒い兄弟っていうのは、あたしたちで作った秘密結社よ。正義のためなら暗殺だって請け負うわ ジョルジア: あたしはジョルジア。ジジって呼んで。あんたのことは、なんて呼べばいい? スコーピオ: ……スコーピオです アウグスタ: これも何かの縁ですし、お互い今後は協力していくというのはどうでしょう? ジョルジア: それはどうかなぁ。依頼が被ることだってあるだろうし スコーピオ: ええ。私は皆さんとは違いますし スコーピオ: 私は仕事に正義を求めません。充分な対価……金銭さえもらえれば誰でも殺しますから アウグスタ: スコーピオさん……! フレーダ: 本来、暗殺者なんてそういうものよね。でもこれまで噂も聞いたことがなかったのに、急にこの町で……一体、何をしに来たの? スコーピオ: この場所に来たのは偶然です。仕事は……私ができることを、しているまで ジョルジア: ずいぶん不器用そうだね。嫌いじゃない スコーピオ: 私はむしろ器用なほうかと思っていましたが ジョルジア: 生き方のことだよ スコーピオ: ……そうかもしれませんね。不器用というよりも不慣れと表現するほうが正確でしょうが ジョルジア: 面白い子だね。なに、一匹狼なの? フレーダ: ずっと? スコーピオ: ……同じ境遇にいた連中はいましたが アウグスタ: 同じ境遇……私たちに似てるんでしょうか。そういう環境だと連帯感とか強くなる気がしますが、そうでもないんですね スコーピオ: 他の連中がどう思っているかはわかりませんが。ただ、私は興味がありませんね ------(Background changed)------ アクエリアス: 私はとても興味があります。貴重な仲間ですから アズ・エル: 興味? それは心細いから、というのとは別なのかな アクエリアス: そうですね。私自身がいま、いろいろ考えがまとまらなくなっていて……だから、同じ境遇にいる仲間の存在がとても大きくなると思うんです アクエリアス: 私が弱いからかもしれません。でもひとりじゃないんだって、そう思えるだけで支えになるっていうか アズ・エル: なるほど。会えるといいね アクエリアス: あの……アズ・エルさんがやっているそれのこと、私は全然わからないんですが、こんな話をするのでいいんですか? アズ・エル: 大事、大事。わりとアクエリアスのその設定、視聴者にも受け入れられてるし、リアクションより、もっとどんな子なのか知りたいって声が大きくて アクエリアス: そ、そうなんですか。知らない人がそのスフィアを通じて、私のことを見守ってくれてるなんて不思議な感じです アズ・エル: あとリクエストが多いのはね、おっぱい アクエリアス: えっ? あ、え、は、え? アズ・エル: おっぱい アクエリアス: いえ、聞こえなかったとかじゃなくて! どういうことなんです!? アズ・エル: これ挟んでこっち向いて アクエリアス: 挟むって胸の間に!? でもペンくらいなら誰でも挟めるのでは アズ・エル: 女性視聴者を敵に回すのやめてね アクエリアス: い、いったい何人の人が見てるんですか……? 急に怖くなってきました アズ・エル: プチバズって言ったでしょ。ここから伸びるためには感動も必要だけど、多少のエロも必要なんだよ アクエリアス: エ、エロ、ですか……!? アズ・エル: 露骨だと女性視聴者が引いちゃうから、言われてみればエロいね、くらいのラインを狙うんだよ アクエリアス: よ、よくわかりませんが頑張ります……! アズ・エル: じゃあ次の港で降りよう。ここなら撮れ高満載になるはずだから アクエリアス: 次の港…… : 次は~、ワンダーランド西埠頭~。ワンダーランド西埠頭~ アクエリアス: わああ、陸地に人がいっぱい待ってますね……。あ、あの人たちが一斉に乗ってきたりしたら、この船はバランスを崩して転覆、そのまま私は息もできないまま海の藻屑に……いやぁっ!? アズ・エル: いや、先にぼくたちが降りるんだってば アクエリアス: え、あれ……? あそこにいるのって……? ------(Background changed)------ マホラガ: ここにポステリオルがいるの? 人間: って聞いてる。まあ、仮住まいだって話だったけど ヤシャ: でしょうね。使ってない山小屋を借りた感じでしょ、これ マホラガ: それじゃあさっそく…… オフィウクス: ふひっ! ヤシャ: 人間さんっ、危ない!! 6500109 - 蛇遣の刺客 ヤシャ: 人間さんっ、大丈夫!? 人間: だ、大丈夫だ、なんかチクッとしただけだから、たぶんかすり傷…… 人間: う、うあっ!? こ、これは……! マホラガ: どうしたの、人間さんさ……ええっ!?ちょ、ちょっとそれ、人間さんっ、なんで今そんなことになってんの!? 人間: わ、分からないんだって! 勝手に大事なところが……う、おおうっ ヤシャ: な、なにやってんのよーっ!なんかもう、普段よりもすごいことになってんじゃないの、それ!? 人間: そ、そうかも……。はちきれんばかりで、痛い…… マホラガ: え? ヤシャ: え? マホラガ: …… ヤシャ: …… ヤシャ: ……!! ヤシャ: ち、ち、違うのっ、普段って、つまりその、さっきまでのこと!通常の状態! ね、わかるでしょ!? マホラガ: ヤシャってば、だいたーん オフィウクス: ふひっ……リア充の乳繰り合いなんてどうでもいいですけどね……わたしの開発した特製媚薬は数時間はそのままですよ…… ヤシャ: そ、そうだったわ! あなた、何者なのよ!? ポステリオル: ふむ……? マホラガ: あっ、ポステリオル! それにアリアまで! アリア: まったく、騒がしいと思ったら一体何をやってるのかしら 人間: 面目ない…… ポステリオル: 誰? ヤシャ: それが私たちにもわからないのよ オフィウクス: あああああああああああああ マホラガ: え、なに、怖っ オフィウクス: ポステリオルせんせぇえええええ アリア: ポステリオル様に触るんじゃないわよバカ! オフィウクス: ほげぇっ!? ポステリオル: ……誰? アリア: ポステリオル様もドン引きしてらっしゃるわ。不審者め、成敗してあげる! オフィウクス: ち、違うんです。お初にお目にかかります……わたし、オフィウクスと申しますっ……。わたしは先生が生み出された、星の魔獣なのです ポステリオル: 魔獣 人間: なっ……なにっ!?まさか、人型だったとは……!? マホラガ: しかも見た目だけじゃなくて、ちゃんと喋れてる…… ヤシャ: ほ、本当なの? あのポルタ島で暴れまわっていた星の魔獣……? オフィウクス: ふひっ……そうですよぅ……。しっかり覚えてますからね、八武神……わたしをよくも、いじめてくれましたねぇ……! ヤシャ: うっ……これって、キンナラが言ってたとおりなんじゃ…… オフィウクス: それよりポステリオル先生! アリア: それ以上、近づくんじゃないわよ! オフィウクス: ふひっ……生意気な口を利くのはやめてもらいましょうか……。先生から直接生み出されたわたしが、あなたより劣るはずがありませんからねぇ……ふひっ アリア: こ、このぉ…… ポステリオル: アリア、待って アリア: ポステリオル様……? ポステリオル: 話したい オフィウクス: か、感動ですよぉ、せんせぇ……。わたし、先生のようになるために迷宮を出てからは研究しようと決めてるんですから…… ヤシャ: すごいわ、人型とか言語とかを軽々と超えてるでしょ、これ。ちゃんと自我を持ってるのよ……! マホラガ: キンナラが見たら喜ぶだろうね ポステリオル: どんな研究? オフィウクス: 痛みを取り除くための技術です 人間: そんなやつが何で、こんな薬を持ち歩いてるんだよ。まだ収まらないんだぞ…… オフィウクス: 痛みを取り除いて快楽に置き換える、それがわたしのやり方なんですよぉ マホラガ: 言ってることは立派そうなんだけど オフィウクス: 立派なのはそっちのほうですよ。まったく……人間さん、でしたか?そろそろおさめていただかないと、目の毒です 人間: そ、そんなこと言ったって…… オフィウクス: さあ、先生。見てください。他にもあるんですよ オフィウクス: わたし、毒の研究が専門でして、こう配合をうまーく調節すると快楽にとろけちゃう薬がたくさん作れるんですよねぇ……ふひっ♪ ポステリオル: …… オフィウクス: これなんか、すごいんですから。昨日、適当な村人で実験したらもう……大変でしたよ、ふひひっ オフィウクス: さあ、先生。一緒に研究を…… ポステリオル: 断る オフィウクス: えっ……? ポステリオル: お前と一緒にされたくない オフィウクス: な、なんっ…… アリア: ポステリオル様はね、技術に溺れたり、無駄に実験して誰かを使い捨てたり、手段と目的がごっちゃになったり アリア: 要するにアンタみたいなやつが……お嫌いなのよ ポステリオル: それにアリアをバカにした アリア: え、ポステリオル様……!? オフィウクス: う、ううう……そんなっ……わたしは、あなたに会うために、迷宮の枷をぶち破って、きたというのに……っ! マホラガ: 気配が変わった!? ヤシャ! ヤシャ: わかってる! 人間さんは下がって!アリアは手伝って! アリア: わかってるよ。ったく、人使いが荒いったら…… オフィウクス: う、ううううっ、うああああっ……!! アリア: なっ!? こいつっ!? 人間: 魔獣の姿になった、だと……!? 6500110 - 魔獣の繋がり ヤシャ: ……っ、手ごたえ、ありっ! マホラガ: 見て、オフィウクスが人の姿になっていく! アリア: まったく……人騒がせだねぇ…… オフィウクス: はぁ、はぁ、わ、わたしはいったい……?そうだ、先生に拒絶されて、ショックで…… オフィウクス: わたしは魔獣の姿になっていた……?迷宮の外に出ても、この姿になるんですね…… ヤシャ: 意図的に変身したわけではないのね。じゃあ、迷宮を出てからも騒ぎを起こさなかったのも…… マホラガ: 起こせなかった、ってとこなのかな。その姿になって、戻れないと思ったから オフィウクス: それも理由ですが……わたしは、先生にお会いするのが、第一の目的と決めてましたからねぇ……ふ、ふひっ オフィウクス: 先生が封印の外にいることはわたしも把握済みです……しかし居場所がわからない…… 人間: もしや、誰かが会いに行くとにらんで、待ってたのか? マホラガ: まんまと泳がされたってわけかぁ ヤシャ: でも、こうして会話ができるのは助かったわ。さあ、他の3体はどこに行ったの? 答えなさい オフィウクス: さあねぇ……ふひっ、ふひひひっ ポステリオル: 尋問 オフィウクス: あいたたたたたた!? 手の甲をつねらないでくださいっ ポステリオル: 拷問? オフィウクス: 尋問でそれだったら、拷問で何するつもりなんですか!? アリア: ポステリオル様、まずそれ尋問って言いませんからね? ポステリオル: 確かにお前は私のディマイト。言語化できない、独特の感覚がある 人間: そうなのか……? ポステリオル: うん。それに、確かにどこか遠くに小さな違和感がある アリア: それが、他の魔獣ということですか!? ポステリオル: 推定。でも特定には至らない程度 ポステリオル: 私がそうなら、同じ魔獣に感覚がないはずがない。……詰問 オフィウクス: い、いい、いくら先生でも、それは言えませんからねぇ……っ ポステリオル: ふうん? オフィウクス: そりゃあお互いに会話をしたこともありません……元は魔獣ですから、言葉なんてありませんでしたし…… オフィウクス: それでも意思疎通はあったんですよぉ……。一緒に過ごした仲間です、裏切ることなんて……で、できませんからねぇ……ふへっ ポステリオル: …… ポステリオル: 思っていたよりはまとも。ただし、迂闊 オフィウクス: ふひっ? ポステリオル: 魔獣どうしは位置関係を把握できる。私のあてずっぽうを、お前は肯定したも同然 オフィウクス: あっ…… ヤシャ: でも人型の姿なんて、お互いに知らないんでしょ?見つけるのは無理じゃない? オフィウクス: でも……会ったらわかると思いますよぉ……。これ以上は言いませんけど…… ポステリオル: 残りは金牛、宝瓶、それに天蠍……つまり、アルデバラン、スウド、アンタレス…… ポステリオル: 革命軍の中でも慎重派だった連中……何か意味が……? ------(Background changed)------ アズ・エル: じゃ、じゃあ本当に仲間なんだ? アクエリアス: え、ええっ、私が間違っていなければ、なんですけどっ……そ、そうですよね、タウルスさん……? タウルス: ええ、間違いないわ。あなたが、アクエリアスなのね?ずいぶんおっぱい大きいわね アクエリアス: また、おっぱい…… リラ: とある賢者の人はいいました。おっぱいには何かが詰まってると。きっとおがくずが詰まってるんだよね! わたし知ってる アズ・エル: あ、あの、あんまり喋んないでほしいかな……なんとなくきみ、BAN対象な感じするから…… タウルス: なんにしても……会えてよかったわ! アクエリアス: むぎゅうっ!? た、タウルスさん、くるしっ……!? リラ: おおっとここでサバ折りだぁーっ! わん! つー! わん!酔っ払ったお父さんがおみやげで買ってくるよ! アズ・エル: それサバ折りじゃなくてサバ寿司の折詰だよ!しかも情景が古臭すぎて全然、視聴者に伝わらないよ! タウルス: ごめんごめん、気持ちが入っちゃって、つい力が…… アクエリアス: いえっ、あ、あのっ、わ、私も、嬉しかったので……嫌じゃ、なかったですっ…… タウルス: ずっと……考えてたのよ。ひとりじゃ、そろそろ苦しかったところ アクエリアス: 考えるって、どんな……? タウルス: 私たち、何のために生まれて来たのか アクエリアス: ……! タウルス: 何のために生まれ、どう生きるべきなのか……その答えが見つからないとこうして自由を手にしても、有効活用できない気がするの アクエリアス: なんとなくわかります……。見るものすべてが新しくて、嬉しかったけど……世界を知れば知るほど、自分って存在がふわふわしてくるみたいで…… アクエリアス: スウド様のディマイト……それが私……。それって、いつ消えてもおかしくないような……むしろ消えるべき、なのかなとか…… アズ・エル: そ、そんな……そんなこと、言っちゃ、だめだよ…… アクエリアス: アズ・エルさん…… アズ・エル: わからないなら、探しに行けばいいんだよ。動画のためってのも半分あるけど、でもっ、消えるべきとか、そ、それは、ち、違うと思うっ…… タウルス: ふふん、いい奴と出会えたみたいだね。私も、そこは負けてないつもりだけど リラ: わたしも消えちゃうから理解度マックスだよ。合コンの途中で消えるカップルについてはどう思う? アクエリアス: え? あ、あの タウルス: 変わってるけど、でもいい子なのよ アズ・エル: 変わり方の度合いがエグいんだよなぁ タウルス: 仲間がいるの、あんたはわかる? なんとなくの位置とか方角 アクエリアス: まだ、その感覚は思い出せていないんです。でも、タウルスさんを一目見たときはビビッときました タウルス: あとふたりいるのよ。できればあの迷宮から離れたいから……遠いほうにいる仲間に会いに行ってみない? アクエリアス: あ……い、いいと思います…… アズ・エル: いいシーンだよ、これは……絶対、再生数ぶん回る……。もちろん、ぼくもついていくからね 6500111 - 意味を求めて リラ: ここから先は長い長い下り坂だよ。どこまでも転がり落ちて、戻ってこれないかもしれないよ アクエリアス: ど、どう見ても緩やかな道なんですが……逆に何かの比喩だとしたら、そっちのほうが嫌ですね…… リラ: ひゆ? ひゆゆゆ。晴れてぽかぽか日和だから歩いていこう? アズ・エル: だ、大丈夫かな本当に、この人…… タウルス: 貴方たちまでこの旅に付き合ってもらっちゃって、なんだか悪いわね アズ・エル: これ撮影しなかったら配信者じゃないでしょ。どういう結末になっても絶対おいしいもん アズ・エル: ……そ、それに、き、きみたちのことは……ちゃ、ちゃんと最後まで見届けたいって、個人的にも、そう、思うから…… リラ: 看取りたい? アズ・エル: み・と・ど・け! 縁起でもないこと言わないでよ! アクエリアス: か、かなり長旅になりそうなんですよね、タウルスさん……? タウルス: んー、たぶんね アクエリアス: それもあって、申し訳なくて アズ・エル: ……平気だよ。どうせ案件なんか来やしないし アズ・エル: ……でも仲間に会うまでにドラマ起きるかなぁ。あんまり回し続けても、編集が後で大変だもんな…… タウルス: 何か他にいい方法があればいいんだけどね。たぶん徒歩だと数か月はかかると思うわ アズ・エル: 数か月!! リラ: 時間の流れる速さは気持ちの持ち方で変わるんだって。リラはいっつものろのろ安全運転だよ アクエリアス: たとえば、私たちが乗って来たような船に乗るのはどうでしょう? アズ・エル: いや、うん。そういう協力は惜しまないんだけどさ、行き先がタウルスの感覚だけで地名とかわかんないから アクエリアス: それじゃダメなんですね アズ・エル: 馬車をチャーターするとなると、さすがに財布がやばいし…… タウルス: 私に土地勘があれば、このくらいの距離だからどこ、って言えたんだけどね リラ: ねえ見て。地面にお絵描きしたよ。これは八本足の虎がコブラに丸のみされてるところ リラ: あとね、これは私のおうち。こっちがアゾソレムのおうち。ここはゴミ捨て場 アクエリアス: そ、そうなんですか……。う、ううっ、リラさんのお話が全然頭に入ってこない……! でも適当に対応してると思われたらいつか怒りの鉄拳を食らったりして……いやぁああぁっ! タウルス: リラはそんなことしないわよ。マイペースな子だし タウルス: ん……? 待って、ねえリラ。ここがあなたのおうち……それでこっちがゴミ捨て場? リラ: そう。この角がアゾソレムのおうちだよ。途中であきらめてここで捨てたくなるのをぐっとがまん タウルス: ねえ、アズ・エル。確か、こういうのを表す……そう、地図ってものがあるんじゃなかった? アズ・エル: え? うん、あるけど……あっ! そっか! アクエリアス: ど、どうしよう。わたしだけお話についていけてない リラ: あらら、大変 アズ・エル: どこかの町に入って地図を買おう! それで、タウルスの感覚とすり合わせれば、とりあえず大体の場所はわかるよね! ------(Background changed)------ アクエリアス: ち、地図を買いましたが……こ、これが地図、ですか…… アズ・エル: わりと範囲広めの地図を買ったけど……いい? ぼくたちが出会った港がここ。で、今はこの町にいる。半日くらい歩いたでしょ タウルス: ええ……その距離感を参考にして、地図でどのあたりかを示せばいいのね タウルス: 本当に、かなり遠いのよね……方向としては、いま私がこっちを向いてるからたぶんこういう感じ…… アクエリアス: ごくり…… タウルス: こ、このあたり、だと思うわ。ちょっと距離感に自信ないけど、方角的には合ってると思う アクエリアス: こ、ここは……なんていうところですか……? アズ・エル: むむ……? これは、コミッティ直轄領……!? ------(Background changed)------ ジョルジア: スコーピオ。調子はどう? スコーピオ: ……気安く入りすぎではありませんか? ジョルジア: 本気で嫌ならあたしはもう死んでる。そうでしょ? スコーピオ: ……わざわざ殺すほど拒絶する理由はありませんので ジョルジア: フレーダもアウグスタも、あんたに会いたがってたよ。はい、これ スコーピオ: 差し入れ、ですか ジョルジア: 同業のよしみってやつ スコーピオ: 同業ではないでしょう。私に信念はない ジョルジア: そうかなぁ。依頼を断ることも少なくないって聞くけど。なんとなくポリシーはあるような気がするんだけど スコーピオ: どこから聞くのだか ジョルジア: こういう世界でも……ううん、だからこそ、噂っていうのは意外と回ってくるものなんだよ スコーピオ: 単に、信用できない相手とは組まない、それだけですよ 6500112 - 迷宮の痕跡 キンナラ: んー…… ガルダ: 何か気になることでもあったか?術式のほころびがまだ残っておったならさっさと直さねば キンナラ: ううん、そういうんじゃなくて……これ、なんだろうなって ガルダ: ただの紙クズじゃろ。見たところ、ほらここ……黒くなっておるのは糊付けされていた部分じゃな キンナラ: う、うん、べたついてるから、よ、汚れとか吸着しちゃってく、黒くなるん、だよね…… ガルダ: どこかの町で、道に落ちていたのを誰かが踏みつけて、そのままくっつけてここまで来てしまったんじゃろうな キンナラ: ぼ、ぼくも、そ、そう思う ガルダ: ふむ。それの、何がそんなに気になるというのじゃ キンナラ: ま、前に、見回りに来たとき、こ、こんなの、なかったから……。た、ただのゴミ、だけどっ、い、色とか派手だし ガルダ: 確かに、赤と銀色……気付きそうではあるが……。待て、するとキンナラはこう言いたいのか ガルダ: わらわたち以外に、この迷宮に……しかも、これほどまで深い場所に入り込んでいる者がいると…… キンナラ: う、うん……そうだと、お、思う……っ! ガルダ: だが……いったい誰が、何のために……。まさか魔獣を解放した者がいる……? じゃが キンナラ: ふ、封印が、外から傷つけられた、け、形跡は、なかったよ ガルダ: ……他の目的があるのか? ううむ、わからないことだらけじゃ…… ------(Background changed)------ ヤシャ: えーと、こっちの道でいいのよね? オフィウクス: ふひっ…… ヤシャ: ちょっと聞いてるの!? オフィウクス: え、偉そうにしないでほしいですねぇ……。わたしはポステリオル様のご命令だから従っているんですよ ポステリオル: 道順 オフィウクス: あっ、こ、こっちの道ですぅ! アリア: こういうの、なんていうか知ってる? 二度手間っていうの オフィウクス: ちっ……あなたが一番ムカつくんですよ。ポステリオル様の側近ヅラしちゃって…… アリア: ヅラ? 側近そのものなんだけどねぇ!? マホラガ: うわー、ポステリオルも大変だね。自分を巡る戦いなんて、胃が痛くなりそう 人間: まったくだな…… マホラガ: あ。めっちゃ実感がこもってた。やっぱり取り合われる立場も楽じゃないよね マホラガ: ヤシャも自分のことばかりじゃなくて、ちゃんといたわってあげなきゃだめだよ? ヤシャ: はあ!? わ、私が何したっていうのよ!人間さんに無理なんてさせてない……え、させてないわよね? 人間: も、もちろん。それよりほら、もうすぐなんだろ? オフィウクス: ええ。向こうも当然、徒歩でしょうから。わたしのように乗り物を使う知性がある者は他にいないでしょう マホラガ: 一応、仲間のはずなのにとんでもない言いぐさだね オフィウクス: ふん、わ、わたしは別に仲間だなんて ヤシャ: 出発前は庇ったりしてたじゃない。どうしたのよ、急に オフィウクス: ……だって、わたしに会いにこないんですよ? 人間: え? オフィウクス: ふたりは一緒にいるんです! そして移動を始めました!選択肢は、わたしと、もうひとり。それぞれ逆方向なんですが…… マホラガ: あ、そこでオフィクスは選ばれなかったんだ ヤシャ: マホ、言い方…… オフィウクス: う、ううっ、そ、そうですよっ。3人で合流して楽しく過ごすつもりなんです!わたしだけのけ者にしてっ…… アリア: さすがにちょっと可哀想ね…… ポステリオル: 孤独くらい、どうってことない オフィウクス: ポステリオル様……! ポステリオル: 私は謂れのない役割を押し付けられて、孤独に迷宮の奥で苦しんだ。ずっと長い間、ひとりだった アリア: ポステリオル様、おいたわしい……。ワタシがもっと早くお助けできていれば…… オフィウクス: う、ううっ……わかります、辛いですよねっ、悲しいですよね!すごく気持ちがわかります ポステリオル: 当然。私のその気持ちから生まれたのがお前 マホラガ: そりゃそうだ オフィウクス: ――っ!? ヤシャ: え、何よ急に、空なんか見上げて 人間: 何らかの毒電波でも受信したのか? オフィウクス: いえ……奴ら、ものすごい速度で移動を始めました!な、なんだこれ、こんな能力あるはずが…… オフィウクス: ま、まずいです、どんどんすごい速度で進んでいて、こんなの追いつけない距離……っ マホラガ: もしかして、それって アリア: 乗り物に乗ったんでしょうねぇ ポステリオル: おそらく、飛空艇 人間: わかった、こっちもすぐに飛空艇を手配しよう 6500113 - 「仲間」を探して タウルス: ここからは歩きってことね アズ・エル: あんな飛空艇で町のど真ん中には降りられないからね。飛空艇ポートからは馬車か徒歩で町の中心部まで行くんだ アクエリアス: う、うう……頭がおかしくなるかと思いました…… タウルス: ずっと墜落したらどうしようとか、床が抜けたらどうしようとか、そんなことばかり言ってるんだもの。そりゃそうでしょ アクエリアス: もう、不安で不安で……途中で気分も悪くなるし…… リラ: 落ちてもまた上がっていけばいいんだよ!これ以上ないくらい落ちちゃおう! どっかーん! アズ・エル: まあ、リラもこうやってアクエリアスを煽ってたからね…… タウルス: でも、あと少しで仲間にも会えるのね アズ・エル: あ、そうだ。再会前のシーンも回しとこっか。タウルス、もう少しおっぱい寄せてくれる? タウルス: は? いやまあ、いいけど……こう? リラ: うーん、寄せが甘いよ! もっと球際ガツガツいかなきゃ タウルス: む……難しいわね、こう……? アズ・エル: すばらしい画ヅラだね。これは更にバズが加速する予感 タウルス: アクエリアス、これ何の意味があるの? アクエリアス: じ、実はあのスフィアというものを通じて、この世界のたくさんの人が私たちのことを見守ってくれているそうなんです……! タウルス: それはさっきアズからも聞いたわよ。じゃなくて、私の胸の谷間なんか寄せたからってその人たちに何の得があるのかなって アズ・エル: なに言ってんの。得しかないでしょ リラ: 寄せてるだけで丸儲け! こんにちは、よまるです! タウルス: そういうもの? まあ、いいけど…… タウルス: それより、この道をひたすらまっすぐでいいのよね? アズ・エル: うん、道案内はちゃんとするから安心して。このダンテ街道をずっといけば目的地だよ アクエリアス: わたしたちの仲間……一緒に出てきたのが誰かって、覚えてますか? タウルス: さあね……うっすらと記憶があるようなないような、ってところだけど アズ・エル: そんな相手なのに、仲間っていう意識はあるんだ?そっか……ぼくたちとはちょっと、感覚が違うのかもね アクエリアス: 私たちは存在がとても希薄というか……生み出した張本人の神官さんと、同じ立場どうしとしか繋がりがないんです アズ・エル: なるほどね……。ま、とにかくこの町にいるんでしょ タウルス: たぶんね。どんなやつかしら ------(Background changed)------ アクエリアス: ふ、ふわあああ……ひ、人がたくさんっ……! アズ・エル: こんなごちゃごちゃしてても、仲間の場所ってわかるものなの? タウルス: ええ。こっちの方向よ リラ: 方向性の違いで解散しないようにね アクエリアス: えっ? か、解散? タウルス: はぐれないようにしなさいって言ってくれてるのよ。こんな見ず知らずの町で迷子なんて、シャレにならないから アズ・エル: この人の不規則発言、そういう解釈できるんだ……素直にすごいなタウルス……おっぱいも大きいし…… アクエリアス: そ、そうですよね……! ここでうっかりひとりになってしまったら謎の人買いにさらわれて辺境の国とかに売り飛ばされて一生そこの奴隷として暮らしていくしか……いやああぁぁぁ! 村人: いてっ アクエリアス: あ……ご、ごめんなさい、私ってばつい周りが見えてなくて 45218: あ-、いってぇ……こりゃ骨が折れたなぁ。どうしてくれるんだよ、治療費とかやばいことになりそうだなぁ アクエリアス: そ、そんな……助けて、アズ……あれ、アズ・エルさん? アクエリアス: い、いない!? ------(Background changed)------ アズ・エル: とりあえず休んでごはん食べよ。ぼく、もうおなかぺこぺこだよ。なに食べる? リラ: ぺっこぺこのぺこりーぬ! ぺこぺこ! こっぺぱん!なので私は生姜焼き定食にするよ タウルス: アクエリアスはどうす…… タウルス: え、あれ、アクエリアスは!? アズ・エル: ええええっ!? あんなに言ったのに迷子になったの!?ちゃんと見といてくれないと! タウルス: だって私は仲間の場所に神経集中させてたんだもの! アズ・エル: ぼくだってこの町初めてだし、お店とかこうして調べて! リラ: 生姜焼きの『しょ』は食道炎の『しょ』!飲み込む度に社会の世知辛さが粘膜に染みるよ! タウルス: …… アズ・エル: …… リラ: 世知辛いの『せち』は、おせち料理の『せち』ですか? アズ・エル: ……まあ、責任の所在は後だよ。とにかく探しに行かなくちゃ! ------(Background changed)------ タウルス: まったく、どこに行ったのよ、あの子ったら…… リラ: あっ! アクエリアスさんだよ!激烈ナンパされてる! ひゅ~! もってもて! もってぱん! アズ・エル: い、いや、あれナンパじゃなくて拉致られてるんじゃ…… タウルス: 待ちなさいよ! それは私のツレよ! 村人: いいから来い! 体で払ってもらうって言ってんだろ アクエリアス: い、いやあ、離してくださいっ! そんな、本当に人買いに……! スコーピオ: ……ふん 村人: なんだおま……あだあああぁぁっ!? スコーピオ: 本物の人買いはこんなものではありませんよ、アクエリアスさん アクエリアス: !?!? 6500114 - 戦うべき相手 アクエリアス: え……いま、私の名前を……? 村人: てっめえ、舐めくさりやがってよぉ!死にさらせええぇ! ジョルジア: おっと。それ以上動くと、頸動脈がぱっくりだよ 村人: ――っ!? 村人: く、くそっ、覚えてやがれ! スコーピオ: ……余計なことを ジョルジア: あたし、おせっかいだから タウルス: はぁっ、はぁっ、アクエリアス! 無事!? アクエリアス: あ、はい、なんとか…… アズ・エル: いやあ、どうなることかと思ったねぇ。これはなかなか緊迫感のある画が撮れたぞ、くふふ アクエリアス: そ、それよりあの、こちらの方が私の名前を……っ タウルス: ――!? 貴方、もしかして!? スコーピオ: そちらは、タウルスさんですね アクエリアス: あ、あの……お名前を スコーピオ: 私はスコーピオです。どうやら同じ、星の魔獣のようで ジョルジア: え、何? この人たちスコーピオの仲間なの? スコーピオ: 別に仲間というわけでは ジョルジア: なら、みんなまとめて、あたしたちんとこに招待するよ。仲間の仲間は、仲間だから! スコーピオ: 貴方たちとも仲間というわけでは リラ: みんなお仲間! 同じ穴の仲間! アクエリアス: いいこと言ってるはずなのに、なんとなく嫌な表現ですね…… アズ・エル: ぜ、ぜひ喜んで……だ、だけど、ひとつだけ確認したくて……。あ、あ、あの、カメラ、平気? ------(Background changed)------ ヤシャ: こんな立派な飛空艇をすぐ出せるなんて、さすが人間さんね! 人間: ただの職権乱用だからなぁ……褒められるようなことじゃないんだよ ポステリオル: 方角 オフィウクス: ふ、ふひっ、合ってますよぉ…… アリア: 本当かしらね? 嘘をついたらどうなるか、わかってるんでしょうね ヤシャ: ……そうね。ポステリオルを理由に従順な態度を見せてるけど元は星の魔獣なんだもの。いつ裏切るかわからないわ オフィウクス: ずいぶん疑ってくれますねぇ……? マホラガ: マホたち八武神はみんな星の魔獣にはいい思い出がないからね。これでもマホやヤシャは穏健派だからね? オフィウクス: ひっ……じゃあ武闘派の人はもっとゴリゴリ削ってくる……?ご勘弁願いたいですねぇ マホラガ: 魔獣だったときのことは……結局、あんまり覚えてないんだもんね? オフィウクス: そうですねぇ……。ちゃんと、こういう思考が芽生えるようになったのはごく最近なんじゃないかと思いますよ オフィウクス: ただただ、純粋な悪意というか……破壊衝動に取り憑かれていた、そんな記憶がうっすらあるかないか…… ヤシャ: そうなんだ……。なんていうか、うん……そっか…… ヤシャ: 私たちが必死に戦ってた相手って結局、なんだったんだろ。この人たちが倒すべき相手だった……ってなんか 人間: すぐには受け入れられなくても仕方ないよ ヤシャ: そう、だよね……。私ですらこうなんだから、ナーガにはなんて言えばいいんだろ マホラガ: それは……うん、難しいかも…… ------(Background changed)------ アシュラ: ナーガとか絶対もう手がかりつかんでるって。やべーな、オレたち ディーバ: 出遅れてる? 別にいいんじゃないの、競争じゃないんだからさ。うちらはうちらのペースで アシュラ: やるからには1番がいいだろ ディーバ: 遠回りでも確実に捕まえれば、それでいいんだって。こうしてちょっとワケありの人ともアポとれたんだし ------(Background changed)------ ディーバ: どうも~ マフィア構成員: よう、ディーバちゃん。今日も可愛いね ディーバ: まあね~。で、例の人と連絡ついたんだって? マフィア構成員: ああ。ディーバちゃんが探してるヤツのことを詳しく知ってるらしい アシュラ: おい、こいつカタギじゃないだろ。どうやって知り合ったんだよ ディーバ: こういうのは、うちにまかせてくれれば仕事するんだって。荒事になったらアシュラ、よろしくね マフィア構成員: 最近このあたりに急に現れて、暴れまわってるやつ……ってことだったよな。おい、例の奴の話、聞かせてくれ ディーバ: ……! すごい、殺気…… チカトリーチェ: 聞かせてやるわよ。あいつの名前は『スコーピオ』……いまいましい殺し屋よ ディーバ: スコーピオ……!! 6500115 - 疑惑の渦中 ナーガ: なんとか、ここまでは足取りを終えたのだけど…… ガンダーヴァ: どうも仲間らしき奴らと合流していたらしい。一緒にいる配信者っていうのがクサいか…… ナーガ: かなり変則的に動き回ってるわ。こちらの追跡に気づいたってわけじゃなさそうだけど ガンダーヴァ: 気になるのは……いまのところ、被害はゼロだってことだな ナーガ: 幸いなことに、ね ガンダーヴァ: なあ、認識は改めたほうがいいのかもしれない。人型だったようだし、配信者と会話もしていたそうだ ナーガ: そうね。機能としては話が通じそうだわ。でも……人の形をしてるからって、許す理由にはならないわよ…… ガンダーヴァ: 簡単じゃないのはわかってる。でもキンナラが言ってたことも、頭の片隅には置いといてな ナーガ: ……期待しないでちょうだい ナーガ: でも実際……ワタシは星の魔獣と対面したとき、どういう行動に出るかしら…… ------(Background changed)------ アリア: このまま、このダンテ街道を真っすぐ行けば町の中心街よ ポステリオル: 賞賛 アリア: ふふっ! もったいないお言葉!ポステリオル様からお褒めの言葉をいただけるなんて! オフィウクス: う、うっとうしいですね、こっち、見ないでください…… ポステリオル: ……移動が長い。アリア アリア: はいっ、なんでしょう! ポステリオル: もう私の足は動かない アリア: えっ…… ポステリオル: 私は歩かない アリア: ……で、では、ワタシが抱えさせていただきますね ヤシャ: 相変わらず人使いの荒い…… オフィウクス: ぷぷっ、側近が聞いて呆れますねぇ……それじゃあただの使いっ走り…… ポステリオル: オフィウクスも オフィウクス: えっ、わたし!? ポステリオル: 私の左半分をお前に預ける オフィウクス: い、いやあ、しかしですね。わたしはそういう肉体労働はちょっと ポステリオル: アリアは喜んでる アリア: は、はいぃっ! 喜んでお支えします!! オフィウクス: くっ……し、仕方ありません……やらないわけには…… マホラガ: マホだったら絶対やらないんだけど、どういう心理なんだろ…… 人間: ふたりだと対抗心も芽生えちゃうからな…… ------(Background changed)------ ヤシャ: ……町に着いたのはいいけど、なんか変な空気ね マホラガ: うん。ものものしいっていうか……そこらじゅうに衛兵がうろうろしてるけど……こういう町なの? 人間: いやいや、そんなことないよ。これは、何かあったな ポステリオル: ……魔獣? アリア: 可能性は高いでしょうね オフィウクス: 星の魔獣ってだけですぐ悪者扱いするの、やめてほしいんですけどねぇ アリア: 実際に魔獣化して暴れたやつが何いってんのよ オフィウクス: あ、あれはですねぇ……自分でもコントロールできなくてっ、背中のあたりからむずむずと…… 人間: あっ、あそこにいるのは……。ちょっといいか、俺だ。何があったのか聞かせてくれ アリス・ミルズ: 人間さん殿。いえ、実は……最近、裏社会を騒がせている殺し屋がいて……そいつの潜伏先を一斉捜索することになったの ヤシャ: 殺し屋!? ねえ、まさかそれって ポステリオル: オフィウクスが人型になっていることを考えれば、他の魔獣も同様……人型なら社会に紛れ込める マホラガ: それで殺し屋なんてやってるの!? ヤシャ: やっぱり……魔獣は危険な存在みたいね…… ルーフス: アリス様! 第7捜索隊の編成が完りょ……あれっ? 人間: 事情はミルズから聞いた。しかし、これはかなり大規模な捜索じゃないか アリス・ミルズ: ジャコヴァ様の暗殺予告が出されてるのよ。普通の捜索ではすまないわ ポステリオル: ああ、あのお団子か…… アリア: コミッティ議長の暗殺予告ですって!? アリス・ミルズ: 人間さん殿と一緒なら、この先の検問もすぐに通してもらえるわ。IDは持ち歩いているわよね? 人間: もちろん マホラガ: ねえ、さっきの言い方だと暗殺者は誰なのか、もう目星はついてるんだよね? アリス・ミルズ: ええ。急に現れたけど凄腕と評判の暗殺者よ。その名を『スコーピオ』―― ------(Background changed)------ フレーダ: お客さんがいっぱいで賑やかね ジョルジア: スコーピオが意外と友達が多かったみたいでね スコーピオ: ……友達ではありません アクエリアス: そんなっ!? も、もしかしてご迷惑だったんじゃ タウルス: 落ち着きなさいよ。私たちはろくに会話もしたことがないのよ。友達ってわけではないでしょ タウルス: ただ、お互いに無視できる関係でもない……そうよね? スコーピオ: …… アズ・エル: ふう……いい場面がどんどん撮れてるぞ。撮影許可がもらえて本当によかった ジョルジア: 室内だけだよ。外観は撮っちゃだめだからね アズ・エル: 隠れ家だもんねぇ ジョルジア: 撮ったら殺す アズ・エル: 物騒がすぎる…… リラ: くんくん。これはきなこ! きなおのにおいがします! アクエリアス: リラさんはどんな環境でもマイペースで、うらやましいです…… タウルス: スコーピオ、あんたが一番この社会に溶け込んでるみたいね。いろいろ話したいことはあるけど、まずは一番、聞きたいことを聞かせてほしいの スコーピオ: なんです タウルス: 私たちってなんのために生まれてきたんだと思う? スコーピオ: ……さあ、考えたこともありませんが アクエリアス: スコーピオさん…… アウグスタ: た、大変だよ!! フレーダ: あら、アウグスタ。そんなに慌ててどうしたの?お買い物はできた? アウグスタ: それどころじゃない、大変なことになってるの!スコーピオ、あなた暗殺予告なんてしたの!? ジョルジア: 予告? そんなオシャレなこと始めたの スコーピオ: なんですか、それは。話が見えませんね アウグスタ: もう直轄領全体で大騒ぎになってるんだよ!コミッティのジャコヴァ議長を、スコーピオってやつが暗殺予告したんだって! スコーピオ: ……!? 6500116 - 異変、再び ???: わた……しは……ひとり…… : 十二神官の無念がディマイトとして力を得て実体化する―― : そんな噂がささやかれる十二迷宮の深淵。 : それはまず孤独を嘆いた。 ???: なんのために……わたしは……? ???: いらない……そんざい……? ???: やだ……たいせつに……なりたい……さびしい、よ…… ------(Background changed)------ ティンカー・ベル: お~い、人間さんっ、エミリーもっ。ちゃんと持ってきてあげたよ、もうっ エミリー: わぁい、美味しそうだねぇ。色も鮮やかでキレイ♪ なんてカクテルなのぉ? ティンカー・ベル: えっとね、エレクトリ……なんだっけ、忘れた エミリー: そこ、大事なところなのに 人間: ま、どうせ聞いたところで俺も忘れるだろうし。飲んで美味しければいいだろ ティンカー・ベル: そう! その通り! エミリー: んもう、ふたりともテキトーなんだからぁ ティンカー・ベル: いいの、いいの。テキトーばんざい。あーあ、たまにはこうしてのんびりするのもいいねぇ エミリー: ネバーランドではのんびりできてないのぉ? ティンカー・ベル: 何かと多忙なんだよね。エミリーはどう? エミリー: もう締め切りの連続で大変だよぅ! 今回はもう作品のこと、ぜんぜん考えないで過ごすって決めたもん 人間: みんな、それぞれ大変そうだなぁ。俺は本当、会期中じゃないときは暇だからなぁ…… 人間: っと、スホマが。なんだ? ガルダから……?もしもーし。え、なに? まじゅ……ええっ!? ------(Background changed)------ ガルダ: おお、悪いな。ヌルズブ島でバカンスだったんじゃろ 人間: それどころじゃないからな。また魔獣が外に出たって……どういうことなんだ ディーバ: 原因は調べてるけどまだわかってないよ。とにかくディマイトが急激に上がって アシュラ: 交代で見張ってたんだけどよ。アタシとガルダのふたりじゃ何もできなかった マホラガ: で、いきなり爆発してどーん! 勢いよく出て行っちゃった、ってわけ 人間: とりあえず、あいつらは残ってるんだよな? 話を聞くか タウルス: 私たちは何も知らないわよ! だいたい、他の8人とは意思疎通もちゃんとできてなかったんだから アクエリアス: でも、どうして私たちの封印は破れなくて、みんなのだけ破れたんでしょう? アクエリアス: あ、あっ、そんな、私たちのも壊れちゃえば良かったのにとか、そういう意味で言ったんじゃないですからっ! ナーガ: まだ何も言ってないでしょうが ガンダーヴァ: それにしても……今回はまさか残り8体全部同時にいなくなるとはな…… ヤシャ: 連れ戻すのも一苦労ね オフィウクス: ふひっ……や、やっぱり、連れ戻すんですか……別に、何も悪いことしてないんですよ ヤシャ: だとしても野放しにはできないのよ。あなたたちが誰も傷つけなかったからといって、残りの8体も同じとは限らないわ スコーピオ: ……私は何人か始末しました オフィウクス: なんでそこ自己申告しちゃうんですかねぇ…… 人間: ヤシャの言うとおり、居場所を特定して身柄を拘束して、それから今後のことは考えるしかない 人間: あんなふうに飛び出さずに、この迷宮で話し合いを持ちかけてくれればこっちももう少し考えようがあるんだけどな ガルダ: 有無を言わさず飛び出して行ってしまったからのう ガンダーヴァ: お前たちは何も知らないし、何も聞いてない、それでいいんだな? タウルス: そうよ。私たちにもどうにもできなかったわ オフィウクス: 試しに話しかけてもみましたけど、反応ありませんでしたからねぇ…… キンナラ: こ、これ見て。これが……封印が破られたときの跡、み、みたいなんだ 人間: これは、台座の部分だな。すごい焦げ跡がついてる ガルダ: 焦げ跡の向きからすると、このあたりがディマイトの中心地だったようじゃ。こう、放射状にエネルギーが飛んで、封印を破壊したようじゃの 人間: ああ、なるほど。外から内側に焦げのグラデーションができてるな ディーバ: すっごい力だったんだろうね。こんなの普通は壊れないはずだし 人間: アクエリアスの言うとおり、どうして彼女たちの封印は破られなかったんだろうな ガルダ: もっとも新しい封印じゃからな。かけ直したといっても、元は以前からある封印じゃ キンナラ: う、うん。けど、そ、それでも、ちゃんとかけてた、からっ…… ガルダ: そう、あくまでも可能性の話。おそらくは何者かが恣意的に選んだ、というほうがしっくりくるのう 人間: ここに誰かいた、っていうのか……? 人間: ん? これは……? 人間: 他と違う……妙だな…… 6500117 - 新領主の噂 三蔵法師: ふう……やっと町が見えてきましたね。少し水分補給をしないとさすがに倒れてしまいそうです 三蔵法師: まだ小一時間は歩くことになりそうですが…… 諸葛亮: ぐたあ…… 三蔵法師: ひっ!? な、何をされてるんですか、あなた……って、諸葛亮さん!? 諸葛亮: あ、三蔵法師……。これはね、熱砂枯渇の計…… 三蔵法師: ただの行き倒れですよね!? そんなの、なんの計略でもありませんよ! 三蔵法師: 仕方がありませんね。こういうときは奉仕の精神です。私の水筒の水を分けてさしあげましょう 三蔵法師: しかし町まで距離もありますし、私も飲まないと倒れるので……ここは一口だけでお願いしますね 諸葛亮: うわあ、いいの!? ありがとう、もう本当に喉がカラカラで。ぐびっ 三蔵法師: 良かったです 諸葛亮: ぐび、ぐび、ぐび…… 三蔵法師: おぉい! 一口だけつっただろーが!! 諸葛亮: ぶふううううっ!! 三蔵法師: ああっ!? てめえ、人の水筒に口に含んだ水を吹くってどういう了見だぁ! 諸葛亮: だ、だって急に大声出すから! ごめんって、町に着いたらなんでもおごる! 三蔵法師: ……仕方ありませんね。それでは急いで町に向かいましょう 諸葛亮: 汚くしたから、残りの水はワタシが責任を持って飲むね 諸葛亮: これぞ口含鉄砲水の計…… 三蔵法師: あん? 諸葛亮: な、なんでもないよ! ------(Background changed)------ 諸葛亮: さあ、なんでも飲み食いして。水はないけどお金だけは持ってるんだ 三蔵法師: なんか鼻につく言い方ですね……諸葛亮さん 諸葛亮: 三蔵法師は修行の旅? 相変わらずストイックだなぁ 三蔵法師: 旅をしていると面白い話を聞くことも多いですからね。辛いばかりではありません 諸葛亮: 最近だと、あれかな。南方の未開拓地域を所領にした新領主 三蔵法師: ええ。東方帝国ではいま、一番話題になっていることですね 諸葛亮: あの辺って、本当になーんにもないよね。人だって住んでないし、魔物はわんさかいるし、土地は荒れ果てて 三蔵法師: あまりになり手がないので、皇府が領主を公募するという異常事態……それが何年も続いていたのですが 諸葛亮: 手を挙げたもの好きがいるっていうんでしょ。さすがにワタシの計略をもってしても、あそこは無理だと思うけどな 三蔵法師: 確かに領主となれば貴族の仲間入り。夢のある話ではありますが 諸葛亮: 貴族っていったって、あんなの事実上の島流しだよ。いい思い全然できないのに 諸葛亮: ま、損得じゃないんだろうなって思ってるよ。ああいう開拓がうまくいけば、貧しい人たちは土地を移って仕事を得ていまより暮らしが豊かになるからね 三蔵法師: なるほど、奉仕の精神というわけですか。私にもう少し力があれば応募するべきだったのかもしれませんね 諸葛亮: まあ、うまくいったらいったで大変なことはあるだろうけど……任命した皇府が今度は…… 諸葛亮: って、あの? さっきからじっと見てるけど、何か……? ???: …… ???: …… 三蔵法師: 諸葛亮さんのお知り合いではないの? 諸葛亮: う、うん…… アルファーグ: 私はアルファーグ アルレーシャ: 私はアルレーシャ アルファーグ: 清浄なる水が命をもたらす アルレーシャ: ときに命は知識が生み出す 三蔵法師: は、はい……? 諸葛亮: なんかポエムが始まったんだけど。これ、チップとかあげる感じ? アルファーグ: 未開の地に挑む志が照らす道 アルレーシャ: 辿ればその先も光が待っている ふたり: まだ見ぬ英雄の名を碑に刻もう 三蔵法師: そ、そうですか 諸葛亮: ん、もしかして……あなたたち、例のその新領主の名前を知りたいの? ふたり: こくり 三蔵法師: なんでわかるんですか…… 諸葛亮: ま、ワタシの頭脳を持ってすればね。でも、アル……なんだっけ? ふたりとも、その人に会いに行くつもり? 諸葛亮: この南方の未開地って本当に魔境だからおすすめしないけど…… アルファーグ: 名はときに個だけとは限らない アルレーシャ: 私たちはふたりでピスケス アルファーグ: 水の恵みを無私の英雄に届けよう アルレーシャ: 恐れるべきは異形ではない。己の心 三蔵法師: よくわからないけど、危険は覚悟の上、ってことじゃないですか? 諸葛亮: ん、三蔵法師もわかるようになってきたね。ワタシも同意見。それじゃ、新領主だけど…… 諸葛亮: 本名はわからないけど、こう名乗ってる。変態侯爵、人呼んで『変侯』と―― 6500118 - 志を持って ジェミニ: はあ、はあ……外の世界というのは、思った以上に過酷なのですね…… ???: しっかりしなさいよ、ジェミニ。確かに過酷だけど、あんな地下深くに戻りたくないでしょ ジェミニ: は、はい、それはその通りです、ヴァルゴ様。暗くて冷たくて何にもない…… ???: ヴァルゴ様。先行して外に出たタウルス様たちの話では、人が集まって住む町というものがあるようです ???: そこまでたどり着けば、ある程度は快適に過ごせるのではないかと ヴァルゴ: そうだったわね。でもサジタリウス、問題は元気なうちに到着できるかっていうことよ ジェミニ: どこに向かうべきかもわかってませんし……そういえば、ピスケス様はどちらに サジタリウス: 情報収集に行くと言って朝早くから姿を消してしまわれましたね ヴァルゴ: あの子がいれば水を創り出してくれるから、こんな砂漠でも余裕なんだけど……はあ、喉乾いたわ…… ヴァルゴ: せっかく4人、同じ場所に落ちたんだから、もっと協力して一緒に行動してもいいんじゃないかしらね! ジェミニ: ヴァルゴ様、それはただお水が飲みたいだけですよね……? ヴァルゴ: まったく、例の新領主って人も、もうちょっと行きやすいところを拠点にしてくれればいいのに サジタリウス: きっと最前線で自ら指揮をとられているのでしょう。民や家臣のために率先して……なんと素晴らしいお方でしょうか! サジタリウス: 人々のために立ち上がり、その身を犠牲にして……簡単にできることではありません ヴァルゴ: アンタ、いまからそんなで大丈夫?実際に会ってみたらクソ野郎かもしれないのよ? ジェミニ: でも、ヴァルゴ様も新領主様のお手伝いに行くのは賛成してましたよね? ヴァルゴ: そりゃあ、ね……タウルスたちが飛び出した後、どう過ごしたか……勝手に話は聞かせてもらっちゃったからね ジェミニ: こっちからは何も話したりできなかったのが残念でしたけど サジタリウス: 迷宮を出るまでは、完全に実体化できていませんでしたからね ヴァルゴ: あの子たちの話を聞いて、確信したのよ。やっぱり最終的に、ただ自由を得るだけじゃだめなんじゃないかって ヴァルゴ: せっかくこうして生まれてきたんだもの。自分たちの信じる道を進まなきゃ ジェミニ: 何かを成し遂げたい、その気持ち……私もわかります! サジタリウス: それに! 騎士たるもの、やはり主をいただかなくては ヴァルゴ: や、騎士なのはアンタだけだってば ジェミニ: あっ、皆様! あそこにいらっしゃるのはピスケス様では? ヴァルゴ: ったく……どこまで行ってたのよ。情報収集はできたの? アルファーグ: 人の集いし地に求めた望み アルレーシャ: 辿る足跡は彼方 ヴァルゴ: まだまだ遠いってわけ? まあ居場所がはっきりしたのはいい報せだけど ジェミニ: ピスケス様が行かれた町で休憩したほうがいいかもしれませんね サジタリウス: ふむ……そうですね、急いては事を仕損じるといいます。早くお会いしたいのはやまやまですが、行き倒れては元も子もない アルファーグ: …! 土が震えている、泣いている アルレーシャ: 砂が躍っている、空を見ている ヴァルゴ: え? なんのことよ ジェミニ: あ……この振動っ、見てください、あれですよ ヴァルゴ: こんな砂漠をあんなスピードで突き進んでくる!? 何よあの乗り物! トーテツ: こんなところで大丈夫ですか? もし行き倒れなら、このデザート馬車に乗せて近くの町までお連れしますが トーテツ: ……いえ、元気そうですね ヴァルゴ: ま、待って! 全然そんなことないから! 死にかけ!ね、乗せて行ってよ! サジタリウス: ヴァルゴ様、もう少し慎み深くあるべきでは ヴァルゴ: 命には代えられないでしょっ! トーテツ: はいはい、別に構いませんよ。それでは後ろにどうぞ。それで、目的地はどちらの方向なんです? サジタリウス: 実は、私たちはこのあたりに拠点を構えておられるという、新領主様にお会いしたく…… アルファーグ: 目指す道の果て アルレーシャ: その名は ピスケス: 変侯 トーテツ: ……我が主、変帝閣下に? ジェミニ: えっ、我が主って……! トーテツ: ええ。私はトーテツ。変帝閣下の家臣筆頭にして、四凶のひとりよ 6500119 - 東の帝国 ヴァルゴ: あああああぁぁぁぁ……なんて快適なの……!車内は冷却魔法も完備、そしてこの圧倒的なスピード ジェミニ: あ、すみません、なんか騒がしくしちゃって キューキ: ん~。別にいいよ~。トーテツとふたりだと盛り上がらなかったし~ トーテツ: ぼーっと外を見てただけのくせに、私がつまらない女みたいにいうのやめなさいよね サジタリウス: トーテツ様、これはすごいですね。馬車なのに砂の上をぐいぐい進むことができる トーテツ: ええ。我が軍は技術力には定評がありますから。馬の動力だけを吸収して、実際に砂をかくのは馬の蹄ではなく、特殊な…… キューキ: 難しい話はいいってば~ アルファーグ: 風が温もりの歌を囁いている アルレーシャ: 砂が拍子をとって踊っている ジェミニ: あ、あの、それで……変帝様って方は、どんな人なんでしょうか? キューキ: ん~。ひとことでいうと変態、かな~ ヴァルゴ: は!? サジタリウス: あ、あの、トーテツ様? トーテツ: それは否定できませんね。閣下自らそう名乗っておられるのに臣下の私が否定するのもおかしな話ですし ジェミニ: それはそうかも…… ヴァルゴ: ちょ、ちょっと、変態って! それってつまり、その、変態ってことでしょ!? ジェミニ: ヴァルゴ様、落ち着いてください。ほぼ情報量がゼロですよ アルファーグ: 情報は知識の欠片 アルレーシャ: ダイヤの輝きの58分の1 ヴァルゴ: い、一応聞くけど、姿かたちを変えるほうの変態じゃないのよね? トーテツ: ええ。主に性的な意味で ヴァルゴ: 性的な~!? し、信じられない、そんな破廉恥な君主って! サジタリウス: 申し訳ありません、トーテツ様。こちらのヴァルゴ様は性的なものに対して特に過敏になってしまわれる性質をお持ちでして トーテツ: 別に構いません。その反応ももはや慣れたものです トーテツ: ただ、大変に慈悲深く、そして才覚にあふれたお方ですわ。なにせ、この私が主としているのですから、ぼんくらなはずがないでしょう ジェミニ: あれも本当なんですか? いろいろ噂があるんですけど、その……魔物だらけの荒れ果てた土地の開拓も、自分で立候補したって聞きました キューキ: うん、そうだよ~。誰もやらないことをやるから、価値が生まれるんだって閣下は言ってたよ~ サジタリウス: おお、す、素晴らしい……! さすがは我が主 ヴァルゴ: まだ会ってもないのに主認定するんじゃないわよ! ヴァルゴ: ま、でも本当に世のため人のため働こうってわけね。そこに誤解がなくてよかったわ トーテツ: もちろん、ただの奉仕ではありませんけどね。私たちにも利があります。念願の領土、しかもあんなにも広大な……ふふ、うふふふふふふ ジェミニ: トーテツ様、ちょっと怖いです…… ------(Background changed)------ 青龍: うわぁ~! 人間さんだぁ、久しぶり! 玄武: なんか偉くなったって聞いたよ。すごいね~ 人間: いやいや、いろんな事情があるだけで俺の実力じゃないよ 朱雀: そうやって控えめなところも好き 白虎: ちょっと。人間さんは用事があって来てるんだから。無駄話で引き止めちゃだめでしょ 人間: なに、急いだところで解決が早まるものでもないから 朱雀: 例の『星の魔獣』って人たちのことだよね 人間: そう。『人たち』なのかどうかも定かじゃないけどな 朱雀: 数日前『黒い流れ星』を見たって人たちが大勢いたの。きっとそれが、飛び出した魔獣の姿だと思う 朱雀: この東方帝国で、私が担当するエリアに落ちたってことは間違いなさそうだけど…… 白虎: 姿かたちが分からないっていうのは、探し出す上でかなりのハンデよ。他に何か情報はないのよね? 青龍: ディマイトがすっごい強いとかは? 人間: それはある。特に純度が高くてディマイトに偏ってる……はずなんだけど 玄武: なんか歯切れが悪いね~ 人間: 前回の脱走した4人を調べると、直前に比べてエルマイトが増えていてわりとバランスがとれていたんだ 朱雀: 外の世界を見て回ったことでエルマイトが増えたの?なんだか、いい話 白虎: 今回のやつらも、もう増えていたらヒントにはならないわけね 朱雀: 頼れるのはこの名前リストだけかぁ……あれ? ライブラ? 青龍: デュプリさんとは別? デュプリさんならこの前、来てたよ 玄武: ヤンツィと意気投合して酒場に入り浸ってたって 人間: 何やってんだあいつ……。いやでも、今回デュプリは関係ない。というか、そうなんだよな……ライブラじゃないよなぁ…… 白虎: まあ……落ちたのがこの、東方帝国領内っていうのもまた探索を面倒にする一因だけどね 人間: 実は俺、何度かここに来てはいるんだけど、どういう国なのかいまいちわかってないんだ 青龍: えっとね、もじゃもじゃってしてるのをぎゅってしてるんだよ 玄武: もはや暗号…… 朱雀: 東方帝国ってね、いろんな国の集まりなの。それぞれの国がしっかりして自治権が確立されてる 白虎: 帝国としてまとめている機関『皇府』も、各国に対して絶対的な存在ではないわ、上から押さえつけて命令するのは難しい 朱雀: そもそも皇府はあくまでも秩序を保つって名目で存在してて、深入りはしないのが基本ルールなんだ 玄武: それは『大帝』シユウと、相方のジョカの方針なんだけど 白虎: だから、本来なら人間さんの今の立場から考えても、帝国総動員で探索するところだけど…… 人間: 落下地点を特定して、その国の王に依頼して、っていう手順を踏まなきゃいけないわけか……なるほどな 朱雀: でも皇府直轄の私たちはいくらでも協力できるから!私が担当してる南部だし、まかせて! 6500120 - 変帝一味の再結成と野望 トーテツ: さあ、着きましたよ。ここが偉大なる変帝閣下がいらっしゃる領主の屋敷です ジェミニ: え……屋敷って……? ------(Background changed)------ トーテツ: こちらが謁見の間と応接間と会議室と食堂と閣下の執務室と資料室を兼ねた部屋となります ヴァルゴ: 兼ねすぎ兼ねすぎ サジタリウス: 清貧は賞賛されるべきことだとは思いますが、これはいくらなんでも…… キューキ: まだ開拓が始まったばかりだからね~。立派な建物作るよりまず、周りの魔物をなんとかしないと トーテツ: そしてこちらが偉大なる変帝閣下です 変帝: 我が名は変態皇帝。民草は敬意とおそれを持って『変帝』と呼ぶ! 変帝: が、いまは大帝シユウ陛下から領土を与えられた立場だからな。『変侯』と呼んでくれるか トーテツ: 何をおっしゃいます。どこでどんな立場であろうとも、閣下は『帝』と呼ばれるべき存在です 変帝: 古い配下はこういうのでな。まあ、あだなってことで変帝でもいいけど ヴァルゴ: あだなが変態皇帝ってシンプルに悪口じゃないの……? サジタリウス: お初にお目にかかります、私はサジタリウスと申す者。どうか閣下の配下に加えていただきたく…… ヴァルゴ: 待ちなさいってば! どんな人かもわかんないし、だいたい変態なのよ! 配下に入ったら何されるか アルファーグ: 渦潮は逆巻き舟を呑む アルレーシャ: 打ち砕かれた波は白く泡へ消える ピスケス: 抗えないままに流される ヴァルゴ: ほら……そういうことよ。良いではないか、なんて言って場の空気で拒否できない感じで流されて……このヘンタイ! 変帝: まあ確かに、そういうことしないとは言えないけど…… キューキ: 閣下、初対面だしここは否定しとこ~? トーテツ: キューキ、残りふたりにも挨拶させないと。部屋にいるんでしょ、呼んできて キューキ: は~い ジェミニ: あっ、そうですよね。四凶っていってたから当然4人ですよね コントン: なに、お客さん? 珍しいわね 変帝: 我が配下に加わりたいと申し出てくれた者たちだ サジタリウス: サジタリウスと申します。今後ともどうぞよろしくお願いします コントン: 私はコントン、こっちはトーテツよ。ま、足を引っ張らないようにね トーコツ: よろしくな! サジタリウス: ん? 待ってください、配下の方々のお部屋はあるのですか? トーコツ: 2人部屋だけどな。贅沢は言えないからなぁ サジタリウス: で、でも、閣下は…… 変帝: なあに、毎晩誰かの寝床に潜り込むのだからな。我のベッドなど要らないのだ、ぐっふふふふ ヴァルゴ: さ、最低……っ! こんな太ったおっさんが、こんな美女たちを…… キューキ: って言いながら、いっつもここのソファで寝てるのに 変帝: なに、ちょっと疲れて力尽きているだけだ ジェミニ: 変帝様は……もしかして、とっても部下思いなのでは…… 変帝: 一度は人間さん殿に敗れ解散したが……我が和解した後、また4人とも戻ってきてくれた…… 変帝: 感謝しかないだろう…… トーテツ: 閣下……! ああっ、やはり閣下のそばには私が必要だと改めて実感しました! 生涯離れませんから! 変帝: あ、うん……トーテツは人間さん殿にお仕えするように言っておいたはずなんだがな…… ジェミニ: あ、あの、サジタリウス様だけでなく、私のことも配下にしてもらえませんかっ? ジェミニ: 変帝様や配下の皆様となら、成し遂げられる気がします! コントン: 成し遂げるって、何の話? アルファーグ: 為すべきことを為す アルレーシャ: あるべき形に成る ピスケス: それがわたしたちの望み。どうか配下に ヴァルゴ: な、なによみんな……わ、わかったわよ。私も……お願い ヴァルゴ: せっかくこの世界に生まれ出たんだもの。何かを成し遂げたいの 変帝: ふむ……なるほど、わかった。確かに我らもこれから、大きな事業を起こそうというところ トーテツ: 助けは多いほうがいいですわね 変帝: ではさっそくだが、全員壁に並んでくれ。片乳ずつ触り心地を試させてもらう ヴァルゴ: やっぱり変態じゃないのーっ!! トーテツ: 閣下? 必要なら私ので十分かと思いますが? 変帝: じょ、冗談。冗談だから。な、トーテツ サジタリウス: やっと……主を得た。これで私も一人前の騎士です……っ!! 6500121 - 魔獣との調和 トーコツ: よーっし、そっち倒れるぞーっ トーコツ: みんな、間違えんなよ! 印をつけてある木だけを切り倒すんだ 領民1: はいっ! サジタリウス: 素晴らしいですね。ここに来てまだ数日ですが、計画通り順調に開拓が進んでいるように思います ジェミニ: 開拓という言葉は知っていましたが、具体的にどんなことをするのか私はまるで知らなかったので、本当に日々勉強になっています! コントン: はいはい、昼ごはんにするよ。みんな手を休めてこっちに集まって 領民2: ありがとうございます、コントン様 コントン: あんたたちも食べるなら来なさいよ サジタリウス: ありがとうございます。ではさっそく アルファーグ: 鮮やかな血を求めて アルレーシャ: 瑞々しい肉を得るため ピスケス: 眠れる魂に祈りを捧げよう 領民1: ………… 領民2: お、俺らは向こうで食べますんで…… コントン: あら…… ピスケス: 美味 ジェミニ: もしかしてピスケス様、避けられちゃってるんじゃ…… ジェミニ: あ、あの、皆さんっ、ピスケス様はちょっと変わってますが、とってもおとなしくて優しい方なのでっ 領民1: ひっ ジェミニ: あれっ 領民2: おお、ねーちゃんは可愛いじゃないか。よし、こっち来いよ。一緒にメシ……いや、何なら夜も…… ジェミニ: う、あ、あのっ、ま、待ってくださいっ…… 領民2: そんなに焦らなくてもさ。ちょっとした冗談だし、スキンシップだよ。ほら、ちょっとだけ…… ジェミニ: ちっ 領民2: え、舌打ち? ジェミニ: 妹に触るな、ゴミが! 常にボクが監視してるってことを忘れるなよ。今度、妹に手を出そうとしたらその指、全部へし折ってやる 領民2: な、なんだ、急に!? サジタリウス: ああ……ジェミニ様のもうひとつの人格が出てしまいましたね…… トーコツ: おいおい、あれどうなってんの? サジタリウス: 実はジェミニ様は双子でいらしたそうなんです。ところが実体化するとき、事故が起きてしまって…… サジタリウス: お姉様は意識の中だけに眠っている存在になってしまいました。普段は妹様なのですが、ふとした瞬間にああやって コントン: とんでもない性質を持ってるのね……サジタリウスも危険だし…… サジタリウス: え、私がですか? コントン: 警戒中に奇声を上げながら落ちて来たリンゴを砕くのは、傍で見ていて怖すぎるのよ トーコツ: 親の仇みたいに飛び掛かるんだもんなぁ サジタリウス: あ、あれはつい、魔物だと勘違いしまして コントン: つい、で自分に攻撃されたらたまんないでしょ。領民たちとしては ジェミニ: あーあ、まったくロクなやつがいないな。妹の安全が心配だよ。ボクがずっと表に出ていたほうがいいかな ジェミニ: なに、何の話? サジタリウス: ジェミニ様のその人格交代についておふたりにご説明をしていたところです ジェミニ: 二重人格くらい珍しくないでしょ? それにボクは妹と本当にふたりでひとりなんだから コントン: どういう意味かしら ジェミニ: 事故で死にかけていた妹を助けるためにボクの身体を使ったんだ。そこで融合して……ボク、別に妹が作り出した人格じゃないんだよ トーコツ: す、すごっ……そんな過酷な背景があるとか…… コントン: とはいっても、ちょっと困ったわね。領民たちみんなから避けられていたら、開拓作業もうまくいかないわ サジタリウス: えっ、避けられてるんですか? コントン: 異質なものはどうしても警戒されがちだから サジタリウス: あ、でも、ヴァルゴ様はどうです? 姿が見えませんが…… ヴァルゴ: へんたーい!! 領民3: い、いや、俺はただヨーグルトにはバナナも合うよって、勧めただけなのに…… ヴァルゴ: そんな太くて反り返ったものの先端に白い濁ったものを付けて渡すなんてそれってつまりっ、そういうっ……私に何するつもりなのよっ! 領民3: そ、そんな……何もしないよ…… コントン: なんならヴァルゴが一番やばいかもしれないわね サジタリウス: う、うう……あれさえなければ、間違いなく私たちの中で常識人のはずなのに…… ジェミニ: 言わせたいやつには言わせとけば?ボクは妹が無事ならそれでいいし……じゃ、また ジェミニ: はっ!? ま、またお姉ちゃんってば……! サジタリウス: 前途多難ですね…… キューキ: なに、暗い顔してる~? サジタリウス: キューキ様…… トーコツ: いやあ、いまちょっとな…… キューキ: 大丈夫だよ~。みんな、一生懸命がんばってるもん。いまはわかりやすいところが目立ってるけど キューキ: みんなが一生懸命なことはちゃんと伝わるよ~? サジタリウス: キューキ様……ありがとうございます。だといいのですが サジタリウス: どうしても出自が出自ですから、世界における異物なのでは、などと考えてしまいがちでして…… キューキ: 異物……? サジタリウス: ……いえ、なんでもありません 6500122 - 国を切り拓いて トーテツ: だいぶ荒れ地や生い茂った森林を整理する作業は進んでいます。そろそろ開墾していかないといけない段階なのですが ヴァルゴ: 開墾……畑を作るってことね? もしかすると私の出番かもしれないわ キューキ: そうなの~? ヴァルゴ: 私の能力でそういうものがあるのよ。使ったことはないんだけど コントン: 使ったことないって、それ能力があるって言えるの? なんでわかるのよ ヴァルゴ: あー…えーっと、それはその…… トーテツ: ヴァルゴがそういうものを持っていたとしても、頼りきりになるわけにはいきません。継続しなくてはいけませんから ジェミニ: た、確かにそうですね……ヴァルゴ様が身動きできなくなってしまいます ヴァルゴ: もうそんなのはごめんだわ。なるほど、じゃあどうすればいいのかしら トーテツ: まず水を確保しなくてはいけません サジタリウス: あ、そう言えば昨日から溝を作っていましたが、もしかしてあれは水路ですか? トーコツ: そうだぞ! あたしのチームでがんばって作ったんだからな! トーテツ: しかし肝心の水……水源を見つけなくてはならないのです アルファーグ: 母なる水の声に耳を傾ける アルレーシャ: 命の源になることを望むしずく キューキ: なんて~? サジタリウス: そ、そうです! ピスケス様ならきっと、水を見つけだすことができます! トーテツ: なんですって!? ------(Background changed)------ アルファーグ: せせらぎに心を寄せて アルレーシャ: こっち……来て トーテツ: あ、普通に話すこともできるんですね 領民: こんな何もない砂漠のど真ん中で……? ヴァルゴ: ピスケスならきっとやってくれるわ…… キューキ: これまでにも水を見つけてくれたことがあるの~? ヴァルゴ: いえ、ないけど コントン: はあ!? どういうことよ ヴァルゴ: だから……実践してみたことはないのよ。でもそういう能力があるってことは知ってるから トーテツ: 少し前から気になっていましたが、あなたたちはどこかズレていますね……? トーテツ: まあいいでしょう。閣下の害になるわけでもないですし サジタリウス: 説明が難しいですね、ヴァルゴ様 ヴァルゴ: そうね……いっそ全部話してしまったほうがいいのかしら ジェミニ: それこそ理解してもらえないんじゃないでしょうか コントン: 何をこそこそ話してるのよ。まさかやっぱり水源なんか見つけられないっていうんじゃ 領民1: お、おいっ、ここ! みんな来てくれーっ!! コントン: え、まさか…… アルファーグ: 深い眠りから目覚めた命の泉 アルレーシャ: 風に触れて光を浴びて輝きをみせて サジタリウス: おお……! ほんの少しですが、地面から水が滲みだしています!? ジェミニ: きっと、ここを掘っていけば水が湧き出てきますよね!! キューキ: すごいね、ピスケス~ トーテツ: すごいなんてものじゃないわ。こんな砂漠地帯で、ものの数時間で地下からの湧き水を探し当てるなんて……! アルファーグ: 水に触れてもいい? 領民1: え、ええ、もちろん! とっても冷たいですよ アルファーグ: レーシャ、手を アルレーシャ: 水の声に耳を傾けて ヴァルゴ: ……前にもそのフレーズ使ってたわね。なんなのかしら、水の声って トーコツ: よーっし、ここをガンガン掘りまくるぞ、みんな!んで、ちゃんと畑に繋げる水路も作るんだ 領民1: はいっ! アルファーグ: ……気を付けて。魔なるものの気配が近づいている アルレーシャ: 水の声が教えてくれる ジェミニ: 魔なるものって……はっ!? あの丘の向こう、何かいます! 領民1: ひいいいっ!! そ、そんな、魔物だって!? 領民2: あ、あんなにいっぱい……助けてくれぇっ! トーテツ: 落ち着きなさい! 私たち四凶が揃っていて、あなたたちに危害が及ぶはずがないでしょう! ヴァルゴ: まずいわね。領民たちが動揺してパニックに…… サジタリウス: 皆さん!! 領民1: えっ、あんたは…… サジタリウス: ここは私におまかせください! 6500123 - 魔獣たちの能力 サジタリウス: 皆さん、ご注目ください。この距離なら、私の弓で…… 領民1: バカな、無茶だ! まだはるか向こうにいるんだぞ 領民2: 射掛ける前に逃げたほうがいいって! サジタリウス: ……そこっ!! トーコツ: げっ! 命中した!? コントン: 風だってあるのに、この距離を正確に!? サジタリウス: 次っ! キューキ: すごーい! また命中したよ~ トーテツ: しかし……完全に魔物の群れは、こっちに注意を向けてきましたね。みんな、迎撃準備を ジェミニ: こ、こういうときは……ううっ、お姉ちゃんっ…… ジェミニ: やれやれ……ボクの出番のようだね 領民1: うおっ!? やべー方の人格が出て来たっ!? ジェミニ: やべー方とはご挨拶だなぁ。ボクはただ、妹を傷つける相手から全力で守ろうとしてるだけだよ ジェミニ: それは当然、セクハラだけじゃない。魔物からもね ヴァルゴ: ジェミニ、行く前にこれっ…… ジェミニ: おっ、これ…… ヴァルゴ: あんな魔物程度なら余裕でしょうけど、念のためよ ジェミニ: ありがと。ま、早く終わるに越したことはないもんね ジェミニ: サジタリウス! ボクが前に出るから援護よろしく! サジタリウス: 承知しました、ジェミニ様! キューキ: うわ、早っ…… トーテツ: あのジェミニって子、かなり器用な戦い方をしますね。相手に合わせて距離感も調整して…… コントン: それにサジタリウスとの息もぴったり。どれくらい一緒にいる仲間なのかわからないけど…… ヴァルゴ: ほぼ初の実戦なんだけど……それを言うと、また話がややこしくなりそうね…… トーコツ: おい、あたしたちも行かないのかよ トーテツ: いえ……ここは彼女たちに花を持たせましょう。どのみち、殲滅は時間の問題ですし ジェミニ: はいっ、これでおーわりっ!! 領民1: す、すげえ…… 領民2: ジェミニもサジタリウスもこんなに強かったのか! 最高だよお前ら! ジェミニ: え…… サジタリウス: これは…… 領民1: なんかヴァルゴもジェミニに何かしてたよな! あれってなんだ? 領民2: ピスケスのふたりも水を見つけたし……こいつらすごいぞ! ジェミニ: っと……賞賛を受けるなら、そろそろボクは引っ込まないとね…… ジェミニ: あ、すごい……お姉ちゃんががんばってくれたおかげですね……! サジタリウス: ジェミニ様は、人格が交代しているときも記憶は共有されるのでしたか ジェミニ: そうなんです。お姉ちゃんが魔物を倒したことも知ってますよ。夜中とか、私が寝ているときでなければ キューキ: ジェミニ、サジタリウス。こっちこっち~ 領民1: いやあ、すごかったな、本当に 領民2: 外での作業もお前たちがいてくれれば心強いな! コントン: はあ……現金なものね。さっきまでだいぶ距離感あったくせに トーテツ: 人なんてそんなものよ。別に彼らが浅はかなわけでもない キューキ: みんなが一生懸命がんばったから伝わったんだよね~ ヴァルゴ: 周りに認められていくって……こういうことなのね アルファーグ: 信頼は無からは生まれない アルレーシャ: 信頼の源は誰かの助け ヴァルゴ: そうね……うん、やっと一歩を踏み出せた気がするわ ------(Background changed)------ サジタリウス: 実際のところ、初の実戦だったわけですが……訓練どおりに動けてほっとしています ジェミニ: そうですね。お姉ちゃんもああいう性格なので堂々とはしてましたが本当にあんなふうに敵を倒せるとは思ってなかったはずです ヴァルゴ: 自分たちに何ができるか……頭では理解していたけど、実際にこうして周りの評価も考えると…… ヴァルゴ: 私たちってもしかしてすごく強いんじゃない? ジェミニ: そ、そうですよね。迷宮にいたときの記憶もうっすらありますけど、たぶんすごく強い気がします! アルファーグ: 地下深くに眠る十二の脅威 アルレーシャ: その名は恐怖の象徴 サジタリウス: それは私たちのことですか? ピスケス様は私たちの第三者からの評価を把握されている……? アルファーグ: 水の声に耳を傾けた アルレーシャ: わたしたちは水を通じて世界を知る ジェミニ: え……? 水を通じて? アルファーグ: 水は世界のどこにでもある アルレーシャ: わたしたちは水と繋がっている サジタリウス: なるほど……。慢心するわけにはいきませんが、いまある材料を総合すると、確かに私たちには力があるようですね ジェミニ: ……じゃあ、私たちの目標も? ヴァルゴ: せっかくこの世界に生まれ出た以上、何かを成し遂げたい――きっと実現できるはずよ。それだけの力が私たちには…… トーテツ: 大きな力は使いどころを間違えれば危険ですよ サジタリウス: ――!? トーテツ: ごめんなさいね。ノックしたのだけれど、扉が半開きだったものですから ジェミニ: いまの話……どこまで…… トーテツ: 水と繋がっている、あたりからです ジェミニ: 「魔獣のことまでは聞かれなかったのかな……?」 トーテツ: 完全にあなたたちの意思でコントロールできるならいいのです。ですが、あまりにも強い力は周囲も狂わせる トーテツ: 例えば、人格を無視して兵器として利用されてしまうかも…… ジェミニ: そ、そんなことされちゃうんですか!? サジタリウス: 私たちが騙されると言いたいのですか? トーテツ: 社会経験は少ないみたいだし可能性は低くないと思いますよ トーテツ: それに……そんなことは、この東方帝国における創造期でも何度も起きて来た事実です。利用する輩も珍しくはありません ピスケス: その通り。繰り返されて来た悲劇 ヴァルゴ: ……。だとしても、私たちは騙されないわ トーテツ: そう祈っています。ああ、もちろん変帝閣下はそのようなお方ではないのでご安心を♪ サジタリウス: ………… 6500124 - 出すぎた杭 大臣: むう…… 兵士: ――といった状況で民の流入も活発で、中心地は商業的にも繁栄しております。以上、南部開拓の状況報告です 諸葛亮: へえ……あんな荒地を、この短期間でそこまで開拓するとは案外あれでやり手だったんだねぇ 大臣: 奴め、最初から我々を欺いておったのだ……。荒地を切り開くのは民のため、などときれいごとをのたまいながら…… 大臣: あたかも土地に価値がないと我々に思わせておいて、くそっ! 諸葛亮: そりゃあ言いがかりだよ……先見の明があっただけじゃないか…… 大臣: このまま変侯の好きにさせておいては、あのあたり一帯を変態領と呼ばなくてはならなくなるのだぞ! 諸葛亮: うん……それはワタシも嫌だけど、領土を与えた時点で確定してるよね……? 大臣: 引き続き監視しておけ。調子に乗って良からぬことを考えないようにな 兵士: はっ! 諸葛亮: 理不尽……ではあるけど、これはちょっとまずいことになるかも…… ------(Background changed)------ 朱雀: 人間さん、お待たせ! こっちでも話を聞けたよ。この先の谷を渡ったところに落ちたのを見たって 青龍: あたしもそう聞いた! 玄武: みんなの情報はほぼ一致してる 白虎: おそらく『星の魔獣』はこの先……変侯領に落下したみたいね 人間: へんこーりょー? 朱雀: 南部の荒れ果てた地域の開拓が進まなくて、領主を公募したんですけど 人間: 領主を公募ってそりゃすごいな 人間: 人間界でも田舎の町おこし事業で行政が支援したりするけどあんな感じのノリなのかな……? 朱雀: その人が変態侯爵、略して変侯って呼ばれてるそうです。拠点は谷を渡ってさらに進んだところなんですが 人間: 変態侯爵!? まさかそれって恰幅が良くて目が細くてちょっと後ろ髪編んでるおじさんじゃ…… 青龍: あ、もしかして友達なの? 人間: 俺が思い描いている人ならね 玄武: 友達なら探すの手伝ってくれそう 朱雀: それじゃあさっそく向かいましょうか! ------(Background changed)------ 朱雀: すごい……このあたりはもう砂漠だったはずなのに、きちんと道が整備されて緑も…… 青龍: すごい人なんだね、変侯さん。さすが人間さんのお友達! 人間: こういうことの手腕とか全然知らないからピンとこないけどな。とにかくエロにはこだわりのある人だけど 白虎: それにしても、ここまで近づいてきてるっていうのに不穏な情報は一切入ってこないわね 朱雀: 確かに……誰かが暴れたとか、町が襲われたとか、すごい魔物を見たとか、関係ありそうな噂話がまったく聞こえてこないよね 人間: 前回もそうだった。奴らは結局、自分探しの旅をしてたようなもんだった 玄武: じゃあ今回も……? 朱雀: 迷宮の中にいる神官のディマイトから生まれた存在……けど、本人はその怨みを共有しているわけでもなく、ただ生まれ出た…… 朱雀: 私だったら自分ってなんだろう、どう生きるべきなんだろうって悩んじゃう気がする 玄武: そうだね……。創造期すら存在しないんだもんね 人間: 創造期か……。確かに、そう言うことになるのか…… 青龍: ねー? あたし、よくわかんなくなってきたんだけど……どうして魔獣の人たちを捕まえないといけないんだろ? 人間: ……! 青龍: だって悪いことしてないし、悩みながらがんばってるんでしょ? 白虎: いまはね。でも、これからもずっとそうかはわからないでしょ。それに本人の意思に関係なく何か起きてしまうかもしれないし 人間: そ、そうだな……何が起こるかわからないから、見つけだしてちゃんと目の届く状態には…… 朱雀: 人間さん…… 朱雀: そう考えていくと変侯領にいる可能性はますます高くなったよね。それどころか、たぶん…… 6500125 - 辺境の繁栄 キューキ: うわぁ~! すごーい、豊作だね~ 領民1: ヴァルゴさんのおかげですよ ヴァルゴ: ふふん、この私の能力をもってすれば、ざっとこんなもんよ! サジタリウス: もちろん、皆さんの地道な努力があればこそですよ。ヴァルゴ様の豊穣はあくまで実り豊かにするものですから ヴァルゴ: そ、それはわかってるわよ! 私ひとりの手柄になんてするつもりないんだから 領民2: それでもヴァルゴ様のおかげで安心して働けるのはとても大きいことですよ ヴァルゴ: ま、まあね! キューキ: もうすっかり、領民のみんなとも馴染んできたね~ コントン: A地区は大丈夫そうね。じゃあ次はB地区を見ましょう ヴァルゴ: はっ、はあああぁぁっ!? な、なんてこと言うのよ、このヘンタイ! ジェミニ: あとはこれさえなければ完璧なんですけどね、ヴァルゴ様…… コントン: そういう反応されると私が誤解されるじゃないの!そんなの、大勢で見るものじゃないってわかるでしょ! ヴァルゴ: つ、つまり……大勢じゃなければ見せてるってこと……!? コントン: そういう意味じゃないわよ! 別に私のプライベートを告白してるわけじゃないんだってば! コントン: さ、Bブロックの収穫もチェックしましょ キューキ: あ、言い方変えてる…… 領民3: あっ、キューキ様にコントン様~! 見てください、この芋 領民4: ヴァルゴ様っ、ちょうどふかしていたところです!どうぞ、ジェミニ様も試食なさって ジェミニ: いいんですか? あ、ありがとうございますっ……♪ サジタリウス: …… ヴァルゴ: どうしたのよ、サジタリウス。食べないの? 美味しいわよ。あ、猫舌だとか? サジタリウス: いえ……感慨深かったのです。変帝閣下のもとで働くようになってからだいぶ日も経ちますが、ここまできたのかと コントン: そうね。町もかなり発展してるし、人口もあっというまに増えたわ。最初があんなに荒れていたなんて嘘みたい サジタリウス: あ……ええ、それはもちろんですが、私たちのことも…… サジタリウス: 自分たちが何者で、何ができるかもわからないままこの地に来て……気が付けば四凶の皆様と同じように慕ってくれる方も少なくない…… コントン: ふん。それはあんたたちががんばった結果でしょ。胸を張ればいいのよ キューキ: コントンもなんだかんだ優しいね~ コントン: 別に優しかないわよ。実際、ここがこんなに発展したのはサジタリウスたちの力も大きいし ------(Background changed)------ コントン: 収穫も確認できたし、今日のところは終わりでいいわ。閣下への報告だけお願いね。それじゃ、お疲れ キューキ: またね~ ジェミニ: お仕事も終わりましたし、ごはんでもいきますか? ピスケス: 飢えは知の妨げ ヴァルゴ: 口をそろえて言うことなのそれ サジタリウス: その前に閣下に報告だけ行かないといけませんよ サジタリウス: それにしても……開拓のために集まったみんなが、掘立小屋やテントで暮らしていたのが嘘のようですね…… ------(Background changed)------ 変帝: おお、そうか。両地区ともに順調なのだな。これで食料の不安も当分はない。あとは第三次産業だな 変帝: ここまで発展させられたのもお前たちのおかげだ。感謝しているぞ サジタリウス: もったいないお言葉です 変帝: この地の景気が良いことは噂になって帝国中に流れているそうだ。皇府にまで届いているというから、痛快だな。ぶはははは 変帝: きっとこれからも領民は流入するに違いない。それらを受け入れられるだけの準備はまたしておかねばな サジタリウス: 心得ましてございます ジェミニ: ……皇府までそんな噂が流れてるんですか ヴァルゴ: なによ、ジェミニ ジェミニ: いえ……あまり目立ってしまうのはどうかなと…… ヴァルゴ: あくまでも変帝さんの評判、この土地の噂よ。私たちのものじゃないんだから ジェミニ: そ、そうですよね 変帝: なんだ、お前たち自身は前に出たくないのか?奥ゆかしいやつらだな サジタリウス: え、ええ……まあ…… ヴァルゴ: 気にしすぎなくていいと思うけどね。相手は私たちの情報なんて何ひとつ知らないはずじゃないの? サジタリウス: 確かに…… 変帝: 何を小声で話しているのだ? なんだ、もっと胸を張るといい。良い国が作れたのはお前たちの貢献も大きいのだからな トーテツ: とにかく、報告は以上ですね? それでは引き続き、よろしくお願いします トーテツ: 閣下は素直なお方ゆえ、あのように発展を純粋に喜んでおられますが、私はここからが正念場だと思っています ------(Background changed)------ トーテツ: あなたたちも、うかつな行動はしないようにお願いしますね サジタリウス: ……承知しております。気を引き締め直しましょう ヴァルゴ: トーテツは、何を心配しているの? トーテツ: ……人は嫉妬から逃れられない生き物ですから ヴァルゴ: 「……? 私たちの素性に気づいたというわけではないの……?」 ------(Background changed)------ ???: 発展は著しいですね。この領内で作られた工業製品も、帝国内を多く流通するようになっているとか ???: では、そろそろ動いてもらいましょうか コートクラークの男: はっ……コートクラークの名において、ご期待に沿える働きを誓いましょう ???: この町を足掛かりに、今度こそ……くくっ…… 6500126 - ヘンタイ名産品 コントン: 未開の地が開拓されて、人も増えて、作物も採れるようになって……閣下によれば、この変侯領は次のステップに進むそうよ ジェミニ: というと……何をすればいいんでしょうか トーテツ: ずばり、工業です! サジタリウス: といっても既に家や建物は多く建っているし、農業に使うための道具類も充実している…… トーテツ: そのとおりですね。だから基本的なものというよりは、この土地ならではの形に加工することを目指します ジェミニ: さすがトーテツ様、ためになります。で、どんなものを作るんですか? トーテツ: まずは、これです ヴァルゴ: ボトル? 飲み物みたいね。透明だけど、水じゃないみたい。 ヴァルゴ: なんだかボトルを傾けるとトロッとした感じだけど キューキ: ローションだよ~ ヴァルゴ: ロ゛ッ!? キューキ: お肌に優しい成分だからデリケートな箇所に塗っても安心なんだ~ ヴァルゴ: で、ででで、デリケートな箇所ってぇ!? な、何言ってるのよ!ハレンチ極まりないわ! トーテツ: 何を言ってるんです。植物由来の天然成分でお肌の保湿を守りつるつるになるという女性の味方アイテムですよ ヴァルゴ: うぇ……? コスメ用品なの……? サジタリウス: でもパッケージはなんだかピンクの箱に入ってますが…… アルファーグ: キャッチコピーに真実がある アルレーシャ: 愛し合うふたりの関係に潤滑油 ピスケス: おとな向けラブローション ヴァルゴ: ほらあああぁぁぁ!! トーコツ: 南部にしか生えていないニュルンプルンの木から採れる樹液をベースにした逸品だぞ トーテツ: それだけじゃないのよ。他には、これ ジェミニ: これは……練り香水ですか? ヴァルゴ: あら、いい匂い……これって何の花の香りかしら キューキ: ドキワク花って花の成分から作ったんだよ~ サジタリウス: 初めて聞きますね。それも、このあたり特有のものなんですか? アルファーグ: オトギツツジ科ドキワク属の植物 アルレーシャ: その花芯からはエロナムという成分が抽出できる ピスケス: 主な用途はエロナミンⅩ ヴァルゴ: やっぱりエロアイテムじゃないのよ!! キューキ: いわゆる媚薬成分が配合されてるんだよ。これで嗅いだ相手もイチコロだね~ コントン: オレンジや薔薇といったフレーバーとも合わせやすいからバリエーションも作れるのよ ヴァルゴ: び、びびび、媚薬なんてっ、絶対だめでしょ! このヘンタイ! トーコツ: さっきから微妙に顔が嬉しそうなんだよな…… トーテツ: そんなにいうなら、最後はこれよ! : (ブブブブブブブブ) サジタリウス: もう隠すつもりもなくなったんですね!? ジェミニ: えっ、サジタリウス様。あれはどうやって使うものなんですか? : (ブブブブブブブブ) ジェミニ: 平たくて、手のひらサイズで……さっきからずっと震えていますね サジタリウス: うかつなことを教えると、私はジェミニ様のお姉様にただではすまされませんので ヴァルゴ: なんで吸うやつが出てくるのよ!! コントン: その言い方がピンポイントで出てくる時点でアレなのよね トーテツ: もちろん、これはマッサージ機ですよ。ええ、間違いありません。 トーテツ: ツボをきゅっと吸引力で刺激してリラックス効果が得られます キューキ: 他に何の使い方もないよ~ ヴァルゴ: そんなわけないでしょ! だ、だいたい……この領内でも一番の大きな町にもっ、北西の繁華街にはエッチなお店がいっぱいだし! ヴァルゴ: や、やっぱり変態皇帝の名にふさわしい統治なのねっ! トーコツ: 閣下がピュアだとでも思ってたのか? ヴァルゴ: んななななななな サジタリウス: とはいっても、ああいった産業も含めて町が栄えている証拠……人々が豊かになっている証拠と言えますが ジェミニ: 確かに……食べるのに困ってる人がエッチなこと考える余裕なんてありませんよね ジェミニ: それに……これはトーテツ様、何かお考えがあるのではありませんか? トーテツ: ……その通りです トーテツ: 我が変侯領は急速な発展を遂げています。いわゆる『出過ぎた杭』となる恐れがある……ならば、誰もやらない、避ける仕事をするのです トーテツ: 嫉妬も回避し、競合も少ないので商売としても有利……そう考えての戦略なのです ヴァルゴ: な、なるほど。そういうことなら仕方ない……仕方ないのかしら? 朱雀: すごい発展ですね! 青龍: 人もいっぱいだよ~! 人間: 本当にすごい発展だなぁ……。えーと、屋敷は確かこっちの通りを右に…… キューキ: あれ? あそこにいるのは……? サジタリウス: では私たちは、こういった製品の流通についても魔物から守る、それが役割というわけですね トーテツ: その通りです。もちろん製造作業も手伝ってほしいですし、もしその気があるならモニタリングも…… ヴァルゴ: するわけないでしょ!! 6500127 - 警戒情報 大臣: ぐ、ぐぬぬ……なんというハレンチなっ……!こ、この、このような産業で小銭を稼ごうなどとは! 諸葛亮: いやあ、これは変侯なりに他の諸国に配慮した結果だと思うよ。 諸葛亮: あれだけ発展してるんだから、他の道も当然あったはずで…… 大臣: 諸葛亮殿! 貴殿はやつの狡猾さを分かっておらん!こういうものを流通させることで帝国の民を堕落させるつもりなのだ! 諸葛亮: うーん……何を言っても聞いてもらえそうにないなぁ……。 諸葛亮: このおじさんの愚痴に付き合うだけなら、皇府の顧問なんて辞めたい…… 諸葛亮: でも、そんなに怒っても相手は商売をしているだけなんだよ。 諸葛亮: どうにも手が出せないよ 大臣: ふん、簡単なこと。こういったハレンチな道具は、公序良俗に反する。 大臣: そういう建前で流通を規制してしまえばいいのだ 諸葛亮: ええ……? 諸葛亮: (公序良俗って言葉ほど、公序良俗に反するものはないよね。 諸葛亮: ただの利権を正義と言い換えるのに便利なものだから……) 諸葛亮: (これがまかり通るようになったら、いよいよ帝国は終わり……どうしたものかなぁ……) ------(Background changed)------ 諸葛亮: ふう…… リューシャ: あれ、諸葛亮。ずいぶん浮かない顔だね 三蔵法師: 良かったらこちらで一緒に釣りなどいかがです? 心が落ち着きますよ 諸葛亮: はは、のんきでいいねぇ。確かに気持ちが落ち着きそうだ 諸葛亮: よいしょっと。三蔵法師も、皇府に来たの? てっきりあの後、変侯方面に向かったのだとばかり 三蔵法師: 実は私、見込み違いをしてしまいまして 諸葛亮: 見込み違い? 三蔵法師: あの通りの急速な発展、そして未開の地という劣悪な環境……きっと領民を奴隷のごとく酷使しているのだとばかり思いまして 諸葛亮: いかにもありそうな話だ リューシャ: でも違ったってことだよね? 三蔵法師: 確かに職種によっては過酷な労働もありました。 三蔵法師: しかし十分な賃金が提示され、従事する人々は自らの意思でその仕事を選択していました 三蔵法師: 何よりも、開拓においてもっとも危険な魔物問題……これを強力な部隊が護衛していることで、安全に作業できていました リューシャ: へぇ……護衛部隊なんて、理念はあってもなかなか人材が見つかるものじゃないんだけどね 諸葛亮: 案外、ワタシの知り合いで呂布やら関羽やらが武者修行感覚で参加しているかもしれないな 三蔵法師: 違う名前でしたよ。なんと言いましたか……えぇと…… リューシャ: ま、三蔵法師のお墨付きとあっては、もう文句のつけようもないね。 リューシャ: 例の大臣さんも、認めるしかないんじゃない? 諸葛亮: それがそうでもないんだよね……ワタシもさっきまで、さんざん愚痴を聞かされて…… リューシャ: ま、愚痴くらいは聞いてあげたら? 諸葛亮: それでは済まないんだよ。がんばってるものに対して規制をかけたり、あのままだとたぶんイチャモンつけてケンカ売る気かも リューシャ: ひええ……人の嫉妬って怖いね。 リューシャ: 嫉妬って聞くと痴情のもつれを連想するけど、おじいさんがおじさんにねぇ 三蔵法師: みな、もっと寛容にあるべきなのですが、なかなか難しいのでしょう。 三蔵法師: そのために経文があり、私たちのように教えを説くものがいるのですし リューシャ: 人の業ってやつだね。ジョカは静観するんだろうけど、人間さんくんはどうす……ん? あれ、人間さんくんは? 三蔵法師: 皇府にはいないのでは? 確か朱雀さんたちと南部に探索に向かったと聞きましたが 諸葛亮: それも大臣がうるさいんだよ。コミッティ13号委員様が直々においでだから是が非でも見つけだして献上せよ、だってさ リューシャ: 私たちに人間さんくんへの点数稼ぎを力説されてもね。 リューシャ: 普通に仲いいし。大臣、それ知らないの? 諸葛亮: じゃないの? まあそれこそ、わざわざ言って嫉妬されても嫌だし 諸葛亮: 大臣はともかく人間さんくんの頼みだから協力するのはいいけどさ、名前しかわかんないんじゃどうしようもないけどね リューシャ: すっごい変わった名前だったりしないの? 諸葛亮: どうだろうね。キャンサー、アリエス、サジタリウス…… リューシャ: このあたりの名前ではないから目立ちそうだけどなぁ。 リューシャ: いやでも最近は国外からも人が多く入ってるからね 三蔵法師: え……? ま、待ってください。いま、なんと? リューシャ: 国外からでも人が 三蔵法師: ではなくて、諸葛亮さんのほうです。サジタリウス……? 諸葛亮: え、なに、まさか三蔵法師、知ってるの? 三蔵法師: ええ……先ほどの、変侯領で魔物討伐に活躍しているという、領主直轄の騎士の名です……! 三蔵法師: “神弓のサジタリウス”という異名を持つとか…… 6500128 - 変帝の矜持 変帝: おお、よく来てくれた、人間さん殿 人間: 久しぶりだな、変帝! ずいぶん頑張ってるみたいじゃないか 変帝: なに、我もちょっとばかり本気を出して、本格的に領土というものを持ってみようと思ってな 変帝: 人間さん殿がコミッティに就任したと聞いて、我もついつい触発されたのかもしれんなぁ 人間: よせよせ、俺なんか政治の道具なんだからさ 変帝: なんにせよ今夜は歓待の宴だな。トーテツ トーテツ: もう手配は済んでおります 変帝: しかしコミッティともあろう者が供はひとりだけか? 朱雀: 大勢で押しかけてはご迷惑かと思って、他の3人は町で遊んでるわ トーテツ: と先ほど聞きましたので、宴は人数分ちゃんと用意しております 人間: 相変わらず仕事ができるなぁ 変帝: まったくだ。それぞれ色は違うが、やはり四凶あっての我よ。 変帝: もちろんいまは、その4人だけではなく多く支えてくれる者がいるがな 人間: でもかなり忙しいんだろ? ちょっと痩せた気がするし。 人間: その感じだとリベルタリブロの裏道通りには行けてないのか? トーテツ: ……! 朱雀: …… 変帝: とてもそんな遠出はできんなぁ。人間さん殿とふたりで『ラブリー&バニー』でお宝秘蔵スフィアをあさった日々が懐かしい 人間: 『ラブバニ』はいい店だよな。最近俺も行けてないや。 人間: 結構マニアックなところ突いてくるんだよな 変帝: スフィアもいいのだが、実際にもいろいろ遊んだなぁ。 変帝: 人間さん殿はああいうときカッコつけないから我も気が楽だ 人間: ああいう店でカッコつけてもしょうがないからな!自分の欲望に正直な方が結果的に楽しめるし、お得だと思うぞ 変帝: それは間違いないな。そうそう、この町にもちゃんと歓楽街はあるんだぞ。なにせ我の領土、おひざ元だ。こだわっておる 人間: うわ、それはすごいな! 領土持ちはそういうことができるからいいよなぁ 変帝: 人間さん殿に教えてもらった人間界のサービスも取り入れてみた。 変帝: ぜひ体験してもらいたい 変帝: 実際に体験してみて実感したが、あれは良いものだぞ……! 人間: え、死ぬほど色んなこと伝えたけど、どれ実現したの!?絶対行く、行かせてください! トーテツ: 閣下 朱雀: 人間さん 変帝&%user_name: !! 朱雀: 人間さん? 本題からそれてますよね? 人間: あ、はい……。ちなみに仕事が終わって宴も終わった後は、ちょっと自由時間にしてもいいよね? 朱雀: ダメです 人間: あう…… トーテツ: 閣下も、きちんとお話を聞いてくださいませ 変帝: わ、わかっておるとも。旧友の訪問につい嬉しくなってしまっただけで 人間: あー……実は探し物というか、人探しをしているんだ。 人間: おそらく人の形をしていると思うんだが、実体はディマイトの塊に近い 変帝: ずいぶん物騒な話だな。何かそれらしいことは聞いているか? トーテツ: いいえ。心当たりはありませんね。 トーテツ: 好景気のおかげか、治安もすこぶる良いですし トーテツ: それらの特徴などはわかっているのかしら? 人間: 予想される名前だけ。それも確実じゃない。 人間: 強いていうなら弓の使い手がいるかも、ってことくらいかな…… トーテツ: ……? 朱雀: 一応、これが名乗っているかもしれない名前のリストよ。 朱雀: 8体いるんだけど、単独行動なのか集団でいるのかも予想できてないの 朱雀: ただ、目撃情報からこの領内に4体侵入している疑いが強いわ トーテツ: ……!? 人間: ? トーテツ: 閣下、これを 変帝: ふむ……? 変帝: ……! 人間: ……どうした? 変帝: なんと……そうか、ふむ……そういうことであったか…… 変帝: 我と人間さん殿の仲だ、まずは包み隠さず心の内を話そう。 変帝: さすがにこれで、知らない振りもできまい 朱雀: 知ってるの!? いったいどこに…… 人間: 朱雀 人間: ……話すのはまずは心の内、なんだな 変帝: さよう。我はこの者らを知っておる。しかし、我が知っていることについて正直にすべて打ち明けるか、それとも嘘をつくか……迷っておる 変帝: それが我の率直な心情だ ------(Background changed)------ ジェミニ: あの、さっきコントン様から言われた宴のことですけど、どなたがいらしてるんでしょうね? ヴァルゴ: トーテツから聞いた話だと、変帝の昔からの友達らしいわよ アルファーグ: 歓迎のしるしは美味なる食事 アルレーシャ: 美味なる食事は幸せの兆し サジタリウス: ピスケス様、意外と食いしん坊なんですね? ピスケス: 食せば味の情報を得られる ジェミニ: 知識欲につながってるんですか…… ヴァルゴ: ……にしても、本当にここまで来たわね。 ヴァルゴ: 聞いた? 例の話 サジタリウス: ええ。私たちを準貴族扱いにしてくださるという、変帝閣下のご厚情……一介の流れ者、どころか元を正せば人々を脅かした魔獣だというのに ジェミニ: 私たち、居場所を見つけられたんですね…… コートクラークの男: いいえ。あなたたちの居場所は、そんなところではないでしょう? ヴァルゴ: ――誰!? 6500129 - 義侠 コートクラークの男: そう警戒しないでください……あなたがたと敵対するはずがないでしょう。 コートクラークの男: 星の魔獣の皆さん? サジタリウス: !? ジェミニ: わ、私たちのことを……知っている……!? コートクラークの男: 私はコートクラークという役目を仰せつかった者……あなたたちがこうして、この国を発展させるのを陰ながら見守っておりました ヴァルゴ: いったい、何が目的なのよ!? コートクラークの男: そうですね。結論から申し上げれば、この国をいまこそ……乗っ取るべきだとご注進にまいりました次第です ヴァルゴ: なんですって!? サジタリウス: 乗っ……とる……!? コートクラークの男: すべてがあなた方の力だと思っていましたか?陰ながら我が主も力を貸していたのですよ ヴァルゴ: それが本当なら、そのことには感謝するわ。 ヴァルゴ: けど、国を乗っ取るなんて話なら、聞いてないわ コートクラークの男: もちろんです。これは極秘裏に進められていた計画ですから コートクラークの男: 荒地を魅力ある土地として繁栄させたところで、星の魔獣の拠点とする……それが我が主の狙いです ジェミニ: そ、そんな……! サジタリウス: それは……お断りします コートクラークの男: なんですって? サジタリウス: 私にはできません。私は騎士です。 サジタリウス: 忠誠を誓った主君を裏切るなど、騎士の風上にもおけない ヴァルゴ: ……そうよ。アタシにとっても、変帝も四凶も仲間なのよ!変態だし、おかしな奴らばかりだけど、でも…… ヴァルゴ: 外の世界で、自分の力で見つけだした、信頼できる仲間なの! ジェミニ: そ、そうです。私だって、裏切るなんてできません ピスケス: 同意 コートクラークの男: おやおや……一時の情に流されるのも結構ですが、仲間というなら本来の仲間は我々でしょう? コートクラークの男: 我が主もまた、あなたたちと苦渋をともに舐めた星の魔獣なのですから ヴァルゴ: ……!? ------(Background changed)------ 変帝: …… 人間: …… トーテツ: 閣下…… 人間: 朱雀。俺がいいというまで、朱雀は何も聞かなかったことにしてくれ 朱雀: ……! わ、わかった 人間: ……変帝。俺も、ここで聞いたことは一旦忘れることにする。 人間: だから事情を話してもらえないか 変帝: …… 人間: 何が起きているのか正確に把握したい。 人間: お互いに、相手の知らない情報を持っていると思うんだ 人間: 最適解を探るためには、手札は全部出したほうがいい 変帝: そのためには互いの信頼関係が何よりも肝要だが 人間: 俺が一緒にピンサロ行く仲間をみすみす失うとでも? 変帝: ………… 変帝: ……このうち、おそらくは4名……というか5名なのか? 変帝: とにかく、我が配下にいる 朱雀: ……!! トーテツ: …… 変帝: 本当にいいやつらなんだ。一体何をしでかしたのかはわからない。 変帝: だが、現在では誰も傷つけることなく我のために働いている 変帝: いや……おそらく忠誠を誓うは我ではない。 変帝: 民のため、そして自分の信じる道のために働いているふしがある 変帝: 我はその信念を疑ったことはない 人間: 奴らは、十二迷宮で猛威をふるった星の魔獣だ。 人間: 変帝もその存在は知ってるよな 変帝: !! トーテツ: あ、あの伝説の八武神が封印したという…… 人間: 一歩間違えれば変帝の領民にも大きな被害が出るかもしれない トーテツ: 閣下……! 変帝: それでも我はあの者らを信じたい。 変帝: だが、人間さん殿への信頼の証として、まず名前は伝えよう 変帝: このリストのうち、我の配下にいるのは……サジタリウス、ヴァルゴ、ジェミニ、そしてピスケスだ トーテツ: ピスケスはふたりでひとりといった不思議な存在です。 トーテツ: そのため先ほど閣下も人数について迷われておられました 朱雀: 人間さん……どうするの? 人間: この事実を把握した上で変帝はどう判断する? 変帝: 我は、己の眼力を信じる。あの者らはいたずらに傷つけはしない。 変帝: 万一があれば、四凶を含めた我が軍で対処する 変帝: もちろん人間さん殿への連絡は速やかに行うと誓おう 人間: ……わかった。 人間: 率直にいって俺個人は変帝のその考えを尊重したい 人間: ただ八武神の考えを無視して勝手に決めたくはない。 人間: それにこの件は、既にコミッティの議案になっている トーテツ: コミッティの……!? 変帝: うむ…… 人間: 俺の一存で決定はできない。ただひとまず保留にしよう。 人間: 持ち帰って、今後どうするかは揉んでいきたい 人間: もちろん俺は変帝の意向に最大限寄り添えるように尽力する。 人間: それでどうだろうか 変帝: ……感謝する 人間: もういいぞ、朱雀。それじゃあ戻ろうか 朱雀: うん…… 変帝: トーテツ、お見送りを。それから…… トーテツ: 宴は中止ですね。承知いたしました 6500130 - 正義か、しがらみか サジタリウス: …… ヴァルゴ: ……偉い人が来てるんだっけ。接待の宴会があるとかなんとか ジェミニ: ……そういうお話、でしたね アルファーグ: 沈黙はときに言葉よりも多くを語る アルレーシャ: 言葉にならない意思は解釈の幅を生む サジタリウス: ピスケス様のいうとおりですね。黙っていてはわかりません ヴァルゴ: さっきの……あのコートクラークとかいう組織のやつでしょ?あんな誘いに乗るなんてありえないわ サジタリウス: もちろんです。騎士として主君を裏切るなどもってのほか。 サジタリウス: 自分の判断が間違っているとは思いません サジタリウス: しかし……迷いが皆無かと言えば、それも嘘になります。 サジタリウス: あの場はまずコートクラークの男に信憑性がありませんでした サジタリウス: しかし本当に星の魔獣の誰かが指示しているのだとすれば、生まれついての同朋に背を向けたことになる ジェミニ: もしかしたら、その人も私たちみたいに何かを成し遂げたくてがんばっているのかもしれませんよね ヴァルゴ: そんなこと……考えだしたらキリがないじゃない……。 ヴァルゴ: アタシだって、もし星の魔獣なら…… アルファーグ: 目指すべきは自分たちの信念 アルレーシャ: それがわたしたちの考える正義 アルファーグ: 同郷とは出自を表すもの アルレーシャ: 思想を表すのは行動 ピスケス: 正義としがらみは別物 ジェミニ: ピスケス様…… サジタリウス: ……確かにピスケス様の言うとおりかもしれません。 サジタリウス: 同じ境遇の相手に同情的になるのは当然ですが、しかし ジェミニ: それは正義ではないんですよね…… ヴァルゴ: アタシたちは間違ってない。これで、いいのよね ピスケス: 宴 ヴァルゴ: そうだったわね、急ぎましょう キューキ: あ、いたいた! あのね、なんか歓迎会は中止になったみたいだよ~ ジェミニ: えっ、そうなんですか? トーコツ: そのかわり、お前ら4人を呼んでこいって閣下が。 トーコツ: なんかやらかしたのか? サジタリウス: 心当たりはありませんが……なんでしょうか、いったい……? ------(Background changed)------ 変帝: ………… サジタリウス: お呼びでしょうか、閣下 キューキ: あれ、なんか珍しく怖い顔してる~? コントン: 何をやらかしたのよ、あんたたち。まさかブブブっていう道具を勝手に持ち出して自分用に使ったんじゃないでしょうね ヴァルゴ: なんで私の顔だけ見てそんなこと言うのよ!どういうイメージ持ってるわけ!? 変帝: ……お前たちは本当にこれまで我と、そして我の領民のために誠心誠意尽くして働いてくれたと思っている ジェミニ: ……? おふざけなし、みたいですね…… 変帝: しかし我が、お前たちを心の底から信じるためには……お互いに胸襟を開いて語る必要がある 変帝: お前たち、我に隠していることはないか ヴァルゴ: ……! ジェミニ: それって…… ピスケス: ……潮時 キューキ: え、みんな……? どうしたの? トーコツ: なんだよ、やっぱり黙って商品を持ち出しちゃったのか?謝れば閣下は許してくれるぞ トーテツ: 静まりなさい コントン: え……? サジタリウス: ……承知しました。申し開きさせていただくとすれば、決して隠そうという明確な意図があったわけではありません サジタリウス: ただ……おそらく閣下が既にご承知のように、私たちには重大な事実があります。すなわち…… サジタリウス: 私たちは、かつてポルタ島で猛威を振るったとされる、星の魔獣そのものです キューキ: ……!! トーテツ: 本当に、そうなのですね…… ヴァルゴ: このタイミングでそれを聞くってことはつまり…… ジェミニ: 追手が来てしまったのですね。それならもう……これ以上ここに私たちがいたら皆様に迷惑をかけてしまいます アルファーグ: 別れを告げるとき アルレーシャ: 立つ鳥は跡を濁さない コントン: 待ちなさいよ! そんな勝手、許されるわけないでしょ! キューキ: 星の魔獣のことは知ってる。でも、みんなはそんなに悪いやつには全然見えないよ? 変帝: 我は事実を確かめたかっただけだ。お前たちが我に話してくれた、それだけで十分だ サジタリウス: 閣下……! 変帝: それにだな、せっかく配下にしたというのに、我はヴァルゴの乳を見ることすらできていない ヴァルゴ: ち、ちちって!? な、なに言ってるのよ、このヘンタイ! 変帝: そうだとも。我は変態皇帝、お前たち全員とエロいことをするまでは逃すわけにはいかないのだ 変帝: だから……この領内に留まっておれ。 変帝: 行く宛もないのにむやみに出ていこうとするな ジェミニ: ありがとうございます、変帝様…… 変帝: それにな、追手ではあるが話は通じる相手なのだ。 変帝: こちらの希望も踏まえて処遇は保留してくれている。だから悪いようには…… 兵士: 閣下!! トーテツ: 何事です、極秘会議の最中ですよ 兵士: し、しかしっ、領土の境界線近くまで大軍が押し寄せてきたと報せが! 変帝: 大軍、だと? いったいどこの軍だ 兵士: 旗印からするとおそらくは……皇府の軍かとっ……! 6500131 - 学園生活の始まり アウラ: ねえねえ、あたしアウラっていうんだけどさ。せっかく同じクラスになったんだし友達になろうよ キャンディス?: んぅ? いいよぉ~。わたしはね、キャンディスっていうの アウラ: へー、雰囲気のわりにカッコいい名前なのね キャンディス?: そうかなぁ~? えへへ 服部あおい: はい、それではみなさん席についてください 服部あおい: おはようございます。まずは教室の中を見回してみましょう。これが今後、皆さんが一緒に学んでいくクラスの仲間です 服部あおい: この特殊職業訓練校・オトギカレッジでは、異なるコースであっても、いえ、違う道だからこそ、ここで交わった縁が今後の人生において大切なものになっていくと考えています 服部あおい: ぜひそれぞれ交流を深めていってくださいね アウラ: だってさ。よかったね、友達になって キャンディス?: うん、そうだねぇ。これからよろしくね~ 服部あおい: それではさっそく最初の授業です アウラ: お昼ってお弁当とか持ってきてる? キャンディス?: ううん。あ、そうだ~。わたしね、友達と一緒にここ入ったの。 キャンディス?: その子たちとごはん行くから、アウラもいこ~? アウラ: いいの? じゃあ行く行く! ------(Background changed)------ キャンディス?: あっ、噂をすれば~。アリシア~! カプレーゼもいる~! アリシア?: キャンサー! カプリと一緒に探してたのよ カプレーゼ?: お昼休みになったら教室で待ってなさいと言ったではありませんか キャンディス?: あれ~そうだっけ~? アウラ: えーごめん、あたしが誘ったから アリシア?: あっ、キャンサーも新しい友達できたの?実はわたしも……ねっ、シュタ! アインシュタイン: シュタちゃんだよ。よろしくね アリシア?: あとはリーシスだけど……あ、いたいた!そっちのクラスはどう? 友達できた? リーシス?: そんなすぐに友達なんてできないわよ……。私はちょっと人見知りだし…… カプレーゼ?: そういうわりには行動派じゃないですか。私たちがみんな、路頭に迷いかけていたときだって…… リーシス?: あ、あれは、どうにかしなくちゃ、って夢中だっただけで……! アウラ: 何よ、あなたたち路頭に迷いかけてたの?もしかして無職で貧乏で詰んでたとか? カプレーゼ?: ああ、えっと、まあ……近いかもしれませんね リーシス?: ちょっと私たち、遠い国から来たものだから。頼れる人も周りにいなくて アインシュタイン: ここは職業訓練校だから。そういう人も多いみたいだよ アリシア?: でももう、わたしたちも一安心だもんね!ここから一気に、この学校で一番になるんだから! アウラ: 目標はでっかくだよね!……でもこの学校の一番て、なんの一番? アリシア?: え? うーん、えっと、なんだろ?とにかくみんながわたしのこと知ってて噂してるような、そういう人になりたいの! カプレーゼ?: ただの目立ちたがりじゃないですか アリシア?: カプリはそんなこと言わないでよー! キャンディス?: ぐう…… リーシス?: あ、ちょっと!? キャンディスが寝ちゃったわ!いまからごはん行くんでしょ、こんなところで立ったまま寝ちゃだめだったら アインシュタイン: にぎやかな人たちと友達になった ------(Background changed)------ アリシア?: ふあー、疲れた~! さすがに初日はいろいろ気を張ってるから肩がこっちゃうわよね カプレーゼ?: いつものアリエスという感じで、リラックスしているように見えましたが アリシア?: 意外と気配りの人なんだよ? ほんとほんと キャンディス?: ふわぁ……わたし、もう寝ちゃおうかなぁ……すぴぃ…… アリシア?: 言ったそばから寝てるし リーシス?: でもこれで、落ち着くことができたわね。みんなも不本意だと思うけど……これも身を守るためよ リーシス?: 磨羯宮のカプリコーン リーシス?: 白羊宮のアリエス リーシス?: 巨蟹宮のキャンサー リーシス?: そして天秤宮のリーブラ……私たち4人は星の魔獣と呼ばれ恐るべき災厄として扱われてきた リーブラ: 決して正体は知られてはだめよ。平穏無事に生きるためにね 6500132 - 穏やかな日常 カプリコーン: アリエス、まだ鏡の前にいるんですか!?早く準備を進めないと遅刻しますよ アリエス: だって髪がまとまらないんだもん~! リーブラ: やれやれ……カレッジにも慣れてきて、そろそろみんな油断し始めてるみたいね キャンサー: わたしは油断してないよ~。いつもねー、きんちょーかんを持ってきりっとしてるの~ リーブラ: あなたは最初からそのテンションじゃないの……油断でないことは認めるけど…… カプリコーン: でも本当にリーブラの言った通り、追手は来ていないみたいですね リーブラ: 恐怖の災厄と呼ばれた私たちが飛び出て行ったんだもの。追いかけて捕まえようとするのは当然よね。だから私たちは隠れなくちゃいけない カプリコーン: いまの生活があるのは、あなたのおかげですよ リーブラ: やめてよ、そんなガラじゃないわ。私はただ……みんなと平和に生きられればいいの ------(Background changed)------ 服部あおい: はい、では最後に、昨日皆さんに出しておいた課題を提出してもらいます アリエス: はーい! これはわたしの自信作だよ★ なんと、注目ポイントが3つもあって、まず1つ目は…… 服部あおい: アリシアさん。ここで発表しなくていいんですよ。まず提出だけしてくださいね アリエス: えーっ、だってみんなに課題がんばったこと見てほしいのに~! キャンサー: 忘れてた~。また今度ね~ 服部あおい: キャンディスさんは勝手に提出期日を変えないでください! アウラ: あはは、今日も通常運転だね。あんたたちといると飽きなくていいわ アインシュタイン: アカデミーで一緒だったガリさんならきっと、実に興味深い……ってなる : キーンコーンカーンコーン…… 服部あおい: ああ、チャイムが鳴ってしまいましたね。それでは課題を出したら、そのまま帰っていただいて結構です キャンサー: はーい! じゃあさようなら~ 服部あおい: お待ちを アリエス: うわっ!? 教壇にいたのに一瞬にしてキャンサーのところに!? リーブラ: さすが忍びね……プロの技は違うわ…… 服部あおい: キャンディスさんは、この後お話があります。職員室まで来ること。よろしいですね キャンサー: えーでも今日はこのあと…… 服部あおい: ……キャンディスさん キャンサー: あうぅ…… カプリコーン: 何度も課題を忘れ続けているキャンディスが悪いですよ。ここは大人しく叱られてきなさい リーブラ: 私たちは先に行っておくわ。ちゃんと待ってるから、終わってから来たらいいじゃない キャンサー: うん、ありがと~ ------(Background changed)------ カプリコーン: しかし、キャンサーには困ったものですね リーブラ: マイペースはあの子のいいところなんだけど、さすがにあそこまで課題を忘れ続けちゃうとね…… アリエス: 出してないわけじゃないんだけどね~。かなり前のやつを突然出すだけで 住民: おお、あんたたち。今日も来てくれたのかい リーブラ: ええ。みんな変わりない? 住民: おかげさまでのう。暮らしは苦しいが、元気にやっとるよ リーブラ: それはよかったわ。じゃあさっそく炊き出しの準備をするわね 住民: じゃあみんなを呼んでくるからな アリエス: リーブラってば本当にえらいよねぇ。わたしたちだって楽じゃないのに、貧しい人たちのために炊き出しなんて カプリコーン: 慈善活動というらしいですね。心の優しい人なんですよ、リーブラは アリエス: 見た目はちょっと怖いけどね リーブラ: ちょっとー!? 聞こえてるんだから!誰が目つき悪いですって? アリエス: そこまで具体的に言ってないってば! おばあちゃん: あらまあ、みんな来てくれたのね 子ども: わーい、わーい! いっしょにあそぼー! 物静かな男: ……ちょっと、いいか リーブラ: んー? 何か手伝うことがある?いいわ、行きましょ ------(Background changed)------ リーブラ: それで? 何を運べばいいのかしら? 物静かな男: ……これを リーブラ: ……。報告書…… 物静かな男: 砂の国、アリババシティで大捕り物が……ひどい状況だとかで…… リーブラ: ………… 6500133 - 反乱分子 アルブス・ツークツワンク: ……以上がご報告となります。これで当該拠点は再起不能、アリババシティを中心都市とした地下ネットワークにもかなりの打撃を与えられたものと思われます 人間: かなりの打撃、ね……。完全に壊滅させない限り、いたちごっこだ 人間: 連中は、叩いても叩いても沸いて出てくる…… アルブス・ツークツワンク: とはいえ、砂の国での活動は当面、弱体化するでしょう。その間に別の地下ネットワークを対処すべきかと 人間: それなら張っておきたい団体がある アルブス・ツークツワンク: ……『セレスティアル』ですね 人間: やれるか アルブス・ツークツワンク: もちろん。しかし私に直接ご命令されるとは……よろしいのですか? 人間: キャロルは失踪中だし、無理させなきゃ問題にならないだろ。 人間: ああいや、アルブスが気にしているのはアリス・ミルズのことか? 人間: 彼女は有能だが優しすぎる。アルブスくらいクールなほうがこういう任務は向いているはず アルブス・ツークツワンク: お褒めの言葉だと受け取っておきます 人間: 焦って動いて末端だけ切らせるような真似はするなよ。奴らは……根こそぎ潰す必要がある アルブス・ツークツワンク: 仰せのままに ジャコヴァ: なんだ、人間さん。そんな険しい顔をして、腹でも下したか? 人間: ジャコヴァか……なんとか『ギャベル』の拠点をひとつ潰せたっていう報告を聞いたところだよ。そっちは? ジャコヴァ: 東方帝国から連絡が入っている。ただ、おそらくは4体分の情報だから……残りの4体は不明のままだな 人間: そうか……まさか星の魔獣が8体同時に飛び出すなんてな ジャコヴァ: ジョカが帝国内に根回しをしているところだ。調整でき次第、お前に飛んでもらう 人間: 了解、議長殿 ジャコヴァ: ……と、その前に一仕事してもらいたい ------(Background changed)------ フアナ: やあ、人間さんくん。まさか、ふたりでコミッティの仕事をする日が来るなんてね 人間: 職業訓練校の視察だって? こういう仕事もあるんだな フアナ: 特殊な学校でね。ここで特務機関で働く人材を養成することも想定されているみたいなんだ 人間: それで視察? フアナ: コミッティ委員が注目している、と印象づけられれば現場のモチベーションアップにもなるし、新しい人材が集まるきっかけにもなるでしょ フアナ: 要はハク付け、ってところだね ------(Background changed)------ アウラ: ふあああ……午前最後の授業、眠かったなぁ……。これで昼ごはん食べたら、午後も寝ちゃいそう キャンサー: じゃあ一緒に寝ちゃおう~ アリエス: キャンディスがアウラを悪の道に引きずり込もうとしてる…… 服部あおい: 聞きましたよ~? キャンサー: わわ、あおい先生~! 服部あおい: まったく……単位を落としても知りませんからね キャンサー: はぁい リーブラ: なんだかんだ、あおい先生って優しいわよね 服部あおい: おだてても何も出ませんよ。ただ単に拙者は無理強いしたくないだけです。強制しても身につかないですし アウラ: 嫌なわけじゃないんだけどね。つい眠くなっちゃう授業があるというか 服部あおい: それは教師の腕の問題です。ちょっと来週までにはなんとかしておかなくては…… カプリコーン: 教える側も改善しようという姿勢は素晴らしいですが、なぜ来週なのです? 服部あおい: 実は、来週からしばらくお館様がこちらに来られるんです!拙者の仕事ぶりをお見せするまたとない機会…… リーブラ: おやかたさま? 服部あおい: あ、いえっ! 決して褒められたいとか、撫でてほしいとか、あわよくば宿にお邪魔しようとか、そういう邪な考えではなく!あくまでもお仕事としてですね! アリエス: いろいろダダ漏れちゃってるんだけど…… 服部あおい: 重要な立場にある方なんです。インペリウム・コミッティ委員という…… リーブラ: コミッティ? それがこの学校に来るの? 服部あおい: ええ……本当に素敵な方なんですよ。優しくて、紳士で、強い意志をお持ちで、そしてその、お上手で…… アリエス: 完全に目がハートになっちゃってるね 服部あおい: あともうおひとり来られるとかいう話でしたが、とにかくそういうわけですので、皆さんもしっかりお願いしますね キャンサー: はぁ~い リーブラ: ………… カプリコーン: リーシス? どうかしましたか? リーブラ: あ、ううん! なんでもないわ! 6500134 - 事件の黒幕 フアナ: いやあ、着いたね~。視察は明日からってことだから、とりあえず今日はゆっくり休んでくれて大丈夫だよ 人間: こんな時間だし、機内でしっかり食べちゃったしな…… 人間: 大人しく宿で寝るかぁ……眠れるかな フアナ: だよね。フライト中に寝ちゃうと寝付けなくなるんだよなぁ : ブブッ 人間: おっとスホマが……え? フアナ: どうかした? 人間: いや、ちょっとマッサージでも受けてから宿に戻ることにするよ。それじゃあフアナ、明日はよろしく フアナ: うん、おつかれ~ ------(Background changed)------ アロンダイト: あ、こっちこっち 人間: アロンダイト……いや、普通に怖いんだけど アロンダイト: 何が? 人間: なんで俺がこの町にいること知ってるんだよ…… アロンダイト: ちょっと、わたしのことストーカーみたいに言うのやめてよね。たまたま聞いて、たまたま近くにいたから声かけたのよ 人間: たまたまねぇ……。まあいいや、せっかくだし。腹はいっぱいだけど、酒は少しなら付き合うよ アロンダイト: 明日は朝から仕事? 人間: そういうこと。忙しいときと暇なときの差が大きいんだよな。アロンダイトは? アロンダイト: いま、わたしたちはそれぞれ離れて修行してるの。だから自由がきくといえば、そうね アロンダイト: そろそろみんなまた合流しようか、なんて話はしてるんだけど 人間: そういうの、なんかいいよな。俺も一緒に旅した仲間とは、いまそんな感じだけど アロンダイト: 普段は離れていても、どこかでつながっている感じがあるのよね。そしていざというときは、本当に駆け付けてくれる…… アロンダイト: ルインズナイトの6人になるまでは、そんなの味わったことなかった。やっぱり、みんなはわたしにとって特別なのよね 人間: いいよな、そういう仲間って。それにしても珍しいな、アロンダイトが感傷的なこと言うの。酔ってるのか? アロンダイト: 酔ってるって答えたら、お持ち帰りしてくれるの? 人間: いや、そういうことじゃなくて アロンダイト: 冗談よ。するって答えたら、されたとは思うけど 人間: おいおい…… アロンダイト: 酔ってるっていうより、ここにいるルインズナイトはいま、わたしひとりだからじゃないかしらね。みんなの前では、こんなこと言えないわ 人間: 素直に言えばいいのに。絆は大事にしたほうがいい アロンダイト: そうね……特に、あなたと出会ったあの事件のときに、より絆は深まった気がするわ 人間: ああ……最強の武器精霊と呼ばれるアロンダイトたち6人が、殺人の嫌疑をかけられてデュプリに追われた事件だな アロンダイト: 犯人はわたしたちに罪をなすりつけた上、本体である武器をわたしたちの信頼する鍛冶師、カナから強奪して逃走…… アロンダイト: 結果的に犯人には追い付いて、武器は無事に取り返せたけど……あれは後味の悪い事件だったわ 人間: 後味? そうなのか?無事に解決したんだと思っていたけど アロンダイト: たぶん気にしているのはわたしだけかもしれないわね。あのとき……犯人側におかしな動きがあったの アロンダイト: 首謀者とは別に、他のやつが武器を奪おうとしていたのよ。コートクラークと名乗った男よ 人間: ああ、いたな。あれは首謀者とは別口だったのか アロンダイト: 首謀者たちは言われた通りに動いただけだと弁明した。つまり指示した者が別にいる……そしておそらく、コートクラークも末端にすぎなかった 人間: 黒幕はほっかむりしたままってことか……。なるほど、確かに後味が悪い。いつまた武器を狙われるかわからないしな アロンダイト: 同じ轍を踏むつもりはないけどね。でも、もう二度とカナを危険な目にあわせたくないし アロンダイト: それに、わたしたちを罠にかけた代償は安くないの。ツケは必ず払ってもらわなきゃ 人間: さすがは伝説の武器精霊、怖い目をするね……。そうか、コートクラーク……ね 人間: ここだけの話、本来の犯人については、俺はレグルス神官長を疑っている。明確な証拠はないんだけど アロンダイト: 天空神殿が……? 人間: 犯人たちの身元を洗う過程で、レグルス教国への出入りが確認されたんだ。入国記録だけじゃ証拠としては弱いけど…… アロンダイト: いまとなっては天空神殿も崩壊。調べようがないわけね。でもデュプリは本当に知らなかったようだけど 人間: あのふたりは案外、意思疎通できていなかったみたいだからな。きっとデュプリは蚊帳の外だったんだろう アロンダイト: もしレグルスなら、狙いは……いえ、誰が黒幕でも狙いは同じよね。私たちの強大すぎる戦闘能力…… アロンダイト: ひとつの兵器を購入するよりもよほど楽で、安上がりだわ 人間: そんなことはさせない。アロンダイトたちは、兵器じゃない アロンダイト: ……そうやって惚れ直させるつもり? 人間: い、いや、そんなつもりじゃ アロンダイト: 忙しいんでしょ。聞いてるわよ、星の魔獣のこと。わたしたちのことは、そっちが片付いてからでいいからね 人間: よく知ってるなぁ、本当に。まあ星の魔獣のことはわりといろんな国で報じられてるけど…… 6500135 - 天秤宮の微笑 カプリコーン: そう言えば、今日からでしたっけ?コミッティの人が視察に来るのって アリエス: そうだった! ちょっとわたし、お化粧とかしてアピールしようかな リーブラ: 目立ってどうするのよ アリエス: あ、そっか……もうちょっとほとぼりが冷めるまでひっそり生きてなきゃいけないんだっけ キャンサー: あれ~? ってことは今日、あれやるの?コミッティの人の歓迎会? リーブラ: ああ、歓迎式典をやるって言ってたわね カプリコーン: 私たちも手伝いに駆り出されていますからね。キャンサー……じゃない、キャンディス。忘れずに来てくださいよ キャンサー: 大丈夫だよ~。なんとなくおもしろそうだし覚えてる~ アリエス: ここで活躍するのはいいよね! わたし、がんばっちゃうんだから アリエス: で、手伝いって何やるんだっけ カプリコーン: 内容も知らないのによく活躍とかいえますね、アリエスは…… リーブラ: 歌とか、踊りとか、手品とか……いっておくけどアリエス、披露するのはそれ専門の学生よ。私たちはあくまでもアシスタント アリエス: えーっ、そんなぁ! ------(Background changed)------ 服部あおい: そしてこちらが機械工学の専門コースです。最近のオトギノクニは機械についても発展が目覚ましいですからね 人間: へぇ……。しかし、あおいがここで教師をやってるとはなぁ 服部あおい: 忍術科の担当なのですが、担任も持っているんですよ。みんな、一生懸命でいい子たちばかり フアナ: いいねえ、こういう学院の雰囲気。あたしもまた何か勉強を始めようかなぁ 服部あおい: それはいい考えですね。こういった学び舎ならきっと友達も増えますし フアナ: ……うっ。そ、そうだった……。うまく馴染めなくてぼっちになったらどうしよう、怖い…… 服部あおい: 怖がっていたら何もできませんよ。ここは思い切りが必要なんです。大丈夫、フアナ殿ならきっとたくさん友達ができます フアナ: あおい……なんていい子なんだ……。まず、あおいに友達になってほしい…… 服部あおい: たくさん友達を作って、毎日いろんな友達と遊び歩いていれば、お館様と過ごす時間なんてきっとなくなりますし フアナ: 計算ずくだった! アインシュタイン: あれ。人間さんちゃんだ。いらっしゃい。コミッティの人って人間さんちゃんのことだったんだね 人間: アインシュタインもここに入っていたんだな。どう、楽しい? アインシュタイン: うん。新しい友達もできた 人間: へえ。じゃあ今度、紹介してくれ アインシュタイン: いいよ。一緒に遊ぼう ------(Background changed)------ 服部あおい: 今日はお疲れ様でした。明日からもまだ各部門責任者からの説明会や会議などがたくさんありますが…… 服部あおい: ささやかながら歓迎の席も用意させていただきました。 服部あおい: 演目向けのコースをとっている学生の晴れの舞台ですから、お疲れかとは存じますがお付き合いくださいませ 人間: ああ、喜んで参加させてもらうよ。あ、でも会場に行く前にトイレに行ってもいいかな 服部あおい: もちろんです。その廊下を突きあたって右が厠です ------(Background changed)------ キャンサー: あれ~? 道がわかんなくなっちゃった……。カプリコーンに怒られちゃう~ キャンサー: あれ、なんか入口みたいなのがある。ここかなー? 人間: うわっ!? お、女の子!? ちょっと待って、ここ男子トイレだから!! キャンサー: トイレしに来たんじゃないよ~。 キャンサー: ねえねえ、迷子になっちゃったんだけどカプ……カプレーゼがどこにいるか知らない~? 人間: ええ!? いや、とりあえず一旦外に出てくれ! 人間: あの、待っててくれれば一緒に探してあげるから! なっ! キャンサー: んー、とりあえずここで待ってよっと 人間: ふう……焦った…… キャンサー: おしっこ全部出た? すごい勢いだったね。我慢してたの? 人間: デリカシーゼロすぎる…… キャンサー: あのね、コミッティの人の歓迎式典でね、アシスタントするから集合しなくちゃなの 人間: ああ、なるほど。それならたぶん、案内できそうだ。一緒においで キャンサー: お兄さん、優しいね 人間: そうか?これくらい普通だろ キャンサー: おしっこ見ても怒らなかった~ 人間: あ、そっちか……いやうん…… ------(Background changed)------ リーブラ: そろそろ私も行かなくてはいけない時間なの。手短に報告して 陰気な男: はい。今回、ここに来ているコミッティですが、副議長のフアナ、そして13号委員の人間さんとのこと 陰気な男: 滞在期間は3日ということで、何か行動を起こすには少々準備不足ですし、今回は見送らざるを得ないかと リーブラ: ……わかったわ。まあ、焦らなくてもいいでしょう。一旦、顔をつないでみるのもいいかもしれないわね 陰気な男: わかりました。何かあればご指示を。 陰気な男: それと……今夜の集会については予定通りでよろしかったでしょうか リーブラ: 構わないわ。アリババシティのことで動揺している者もいるでしょうし。 リーブラ: 私が顔を見せておく必要があるでしょうから 陰気な男: 『ギャベル』の連中はすぐに動揺しますからね リーブラ: そう邪険にしてはだめよ。 リーブラ: すべての悪を駆逐し世界を浄化する……その理想のためなら死ねる、なんて本気で言える、使い勝手のいい便利なコマなんだから 6500136 - 日常の裏側で アリエス: ねえねえ、ノート見して~! アウラ: あんた、また? ちゃんと授業聞いてなさいよねっ! カプリコーン: はあ…… リーブラ: 何よ、カプレーゼ。 溜息なんてついて カプリコーン: ……見ましたか、リーシス。 あのニュース リーブラ: 東方帝国の? だめよ、こんなところで カプリコーン: わかっています。具体的なことは言いませんよ。 カプリコーン: でも、あれを見ていろいろ考えてしまったんです。 カプリコーン: いつこの平和を失ってしまうのか、と…… リーブラ: 大丈夫よ。 リーブラ: スコーピオやアクエリアスみたいに目立ったことはせず、 リーブラ: サジタリウスたちのように本名を使わず、 リーブラ: 私たちは目立たないように生きているじゃない カプリコーン: そうですが…… リーブラ: こういう生活が破綻する一番の理由はね、見つかることじゃない。 リーブラ: 見つかるかもしれない、という恐怖の感情…… カプリコーン: …… リーブラ: って何かに書いてあったわ アリエス: なになに、何のお話? リーブラ: アリシアが可愛いって話よ アリエス: 絶対嘘だよ! 適当なこと言って、もう~! リーブラ: さて、と。 じゃあ授業も終わったことだしちょっと出かけるわ キャンサー: また? 最近、お出かけ多いね~ アリエス: はっ! ま、まさか リーブラ: 何よ アリエス: 彼氏!とか!?とかとかとか!? リーブラ: バカ言ってないでちゃんとノートとりなさいよ アリエス: なんだよもう~! ------(Background changed)------ : 校門をくぐったリーブラはひとり、繁華街の方へと足を向ける。 リーブラ: (まったく……変にカンが鋭いときがあるのよね) リーブラ: (あの子……気を付けないと……) : 入った一軒の店。彼女はカウンター内側のバーテンに視線を向けた。 ------(Background changed)------ バーテン: いらっしゃい。 ご注文は リーブラ: アペロール・スプリッツを バーテン: ……どうぞ、奥へ : バーテンに案内され、彼女は奥の扉を開ける。 : その先は、地下へと続く階段だった。 ------(Background changed)------ コートクラークの男1: お待ちしていました、ジャッジメント様 ジャッジメント: ……例の件、めどはたったの? コートクラークの男2: 例の件? コートクラークの男1: 鉄の……ですね。 もちろん手配済みです。 コートクラークの男1: もともとあの組織に入り込んでいた者とも接触に成功しておりましたし ジャッジメント: 上出来ね。 じゃあ今日、そのことにも軽く触れておくわ。 ジャッジメント: 心の準備ってやつが必要でしょう ------(Background changed)------ : 集まった老若男女はおよそ200名ほどか。 : 様々な服装、人種が入り乱れている。 : ただし共通しているのは、いずれも天秤をあしらったピアスを身に着けているということ。 ジャッジメント: よくぞ集まってくれた。我が『ギャベル』の精鋭たちよ 男: ジャッジメント様! 女: ああ、やっとお会いできました……! ジャッジメント: 革命の日は近い。 ジャッジメント: ここに集まった精鋭たちには特に、正義のための戦いに参加する覚悟を求めたい 男: もちろんです!! 老人: わしでもやれることがあればなんなりと! ジャッジメント: 安心してもらいたい。 女でも老人でも充分に戦う手段がある。 ジャッジメント: まもなく……我らは強大な力を手にするのだ ------(Background changed)------ ヴィネ: ……っ? ベリアル: なんや、ヴィネ。どないしたん? ヴィネ: あ、いえ…… ベリアル: その反応、あれやろ。 また未来が見えたんと違うか? ベリアル: ウチにまで隠してどないすんねん ヴィネ: ……見えたんですけど、一瞬だったし、よくわからなくて ベリアル: どんなん見たんや ヴィネ: 鉄の人形がたくさん……まるで生きているみたいに動いているところ。 ヴィネ: でも、それだけだったから…… ベリアル: そいつらが何かしとったわけやないんか ヴィネ: そうなんです。 だからなんとも言えなくて……。 ヴィネ: こういうわけのわかんない未来視はしょっちゅうあるし ベリアル: いちいち反応しとったら身が持たんか。 まあ、しゃあないな。 ベリアル: ほんでも、どんなん見たんかだけでも口にすると楽やで ヴィネ: ん……ありがとうございます ベレト: あら、ふたりとも。 いまから拠点に戻るところ? ベリアル: せやで。 ベレトはどこ行くん? ベレト: アスモちゃんのお迎えよ。 いま、あの子バイトしてるから ヴィネ: そうでしたね。 確か、船に荷物を積み込む仕事だとか ベリアル: 社会経験っちゅうやつやな。 ええんちゃうか ベレト: 毎日、たくさん荷物があるけどアスモちゃんは ベレト: バンバン積み込むから港のおじさんたちに褒められてるみたいね ヴィネ: ふふ、喜んでる顔が目に浮かびますね。 ヴィネ: いったい荷物の中身はどんなものなんでしょう ベレト: さあ……黒鉄の国だし、やっぱり鉄でできたものなんじゃない? ベレト: そうなると重いから、普通の人は大変よね 6500137 - 胎動 アリエス: ねえねえ、授業が終わったら行きたいカフェがあるんだけど~ カプリコーン: 課題のために調べ物があるのですが…… アリエス: そんなの今度でいいじゃーん★ ねっ、行っちゃおうよ~ アウラ: そうそう、こういうのは今を楽しまないとね! カプリコーン: まったく、リーブラからもちょっと言って……あれ? キャンサー: リーブラなら用事があるって言って昼から出かけてるよ~ アインシュタイン: ブレーキ不在 カプリコーン: まったく……仕方ありませんね。アリシア、ちょっとだけですよ アリエス: やったね★ アインシュタイン: ん……? なんか曇って来た? 空が薄暗いような アリエス: えー! せっかく晴れてるからテラス席でおしゃべりしたかったのに! 曇りじゃ自撮り撮っても映えないよ~! カプリコーン: いえ……曇りというか、あれはいったい……なんです……? ------(Background changed)------ ヤシャ: お疲れ様、人間さん。これで逃げ出した星の魔獣は残り4体ね キンナラ: ちゃ、ちゃんと、術式と連動、し、してるから……何かあれば、すぐに、こ、ここに、戻ってくるように、なってる 人間: ありがとう。 まあ、あいつらが何か悪事をはたらくとは思えないけどな ガルダ: 迷っておるのじゃな 人間: ……みんなを否定するつもりはない。 人間: でも、星の魔獣は世界の脅威で討伐すべき存在……っていう前提は変わってきてる ナーガ: ワタシもね、現在のあの状態の子たちが脅威だなんて思ってないわ。 ナーガ: あの魔獣の姿に絶対に戻らないって保証があるなら、もっと制限もなしに自由でいたっていいと思ってる ヤシャ: ナーガ…… ナーガ: 魔獣のときの意識や記憶もロクにないのに、責任を問うても……虚しいわ キンナラ: も、戻らないかどうかは、ぼくたちが、し、調べてるから…… 人間: ただ……悪意の残滓は残っている。 人間: ひとつだけ痕跡の違う天秤宮の台座、コートクラークを名乗る男、謎の人物ジャッジメント…… ガルダ: それらは悪と断じてしまって良いのか? 人間: いや、そうだよな。 限りなくクロの予感はするけど、 人間: そうやって決めつけてかかったのが今回だったんだから反省しないと…… ヤシャ: 最近はコミッティでも忙しいって聞いてるよ。 ヤシャ: ライブラの思想を継ぐ地下組織の討伐……でしょ? ガルダ: なんじゃ。 ずいぶん生臭い仕事をしておるんじゃな 人間: シンデレラを罠にかけて襲い、傷つけた連中なんだ。 人間: 徹底的に潰さないと腹がおさまらない ナーガ: かつて、ワタシに言ってくれたこと……そっくりそのままお返しするわ 人間: ……わかってるって ------(Background changed)------ ジェミ・ホーキンズ: あれは……何か飛んでる? 飛空艇よりもずっと大きな…… ジェミ・ホーキンズ: 空飛ぶ、島……!? トレローニー: ちょっと! 外! ジェミ・ホーキンズ: うん……いま、見たところ。 あれ、なんだろう……? アナウンス: そこの飛空艇に告ぐ、この空域は我ら『ギャベル』の支配空域である。 アナウンス: 即刻、武装を解除し投降せよ。繰り返す、この空域は…… ジェミ・ホーキンズ: はぁ? 『ギャベル』なんて聞いたことないんだけど トレローニー: ……でも、まずくない? ジェミ・ホーキンズ: うわっ、撃ってきた!? トレローニー: やばいって! 逃げよう! ジェミ・ホーキンズ: ……そうはいかないよ。 飛空艇を捨てるなんて、できない。 ジェミ・ホーキンズ: トレローニーだけでも逃げて! トレローニー: そんな、ジェミ……っ! トレローニー: え、ま、待って……何あれ…… ジェミ・ホーキンズ: え……空飛ぶ島から何か飛んできたけど、あれって飛空艇……? ジェミ・ホーキンズ: ううん、違う、なんか人みたいな形の……? トレローニー: 話に聞いたことある……あれ、確かディなんとかっていう兵器だ……! ジェミ・ホーキンズ: なんでそんなものがここに……!? ジェミ・ホーキンズ: じゃあもしかして、島が浮いているのも…… トレローニー: 科学技術、なのかも……!! ------(Background changed)------ カプリコーン: あれは…… まるで島のようなものが浮いています……。 カプリコーン: どうなっているんでしょうか キャンサー: あれがおひさまの光を邪魔してくもりみたいになってるんだね アウラ: 島からなんか勢いよく飛び出したのがあるわね。 なんか細長い……あれ、何かしら アインシュタイン: ……っ! みんな、伏せて! アリエス: うわわわわわっ!? アウラ: あ、あれってまさか……ミサイル……? アインシュタイン: 撃ち込まれたのは結構遠くだったみたい。 でも、すごい衝撃 アリエス: ちょっと、何が起きてるのよーっ! ------(Background changed)------ コートクラークの男1: 用意ができました、ジャッジメント様 ジャッジメント: ……ついにこのときが来たわね 6500138 - 宣戦布告 ジャッジメント: 手筈通りにできているわね? コートクラークの男1: もちろんです。 既にすべてのスフィアネットワークをハッキング済み、世界中に貴方様のお声が届きます コートクラークの男1: もっとも、長くはもちません。 おそらく3分といったところかと ジャッジメント: 十分よ。 まずは奴らに我々の存在を知らしめることが肝要なのだから コートクラークの男2: ところで、声明文の原稿は…… ジャッジメント: バカね。 ここよ コートクラークの男2: は……頭、ですか。まさかすべて暗記を? ジャッジメント: というより、その場で考えて話すのよ。 趣旨はもちろん、事前に考えているけど ジャッジメント: 文字を読み上げるのでは人の心に訴えることはできないわ。 自分の口から出て来た言葉でなくては コートクラークの男2: な、なるほど……お見逸れしました ジャッジメント: その代わり、姿は見せない。 この局面で姿を見せるのはまだリスクのほうが大きいわ コートクラークの男2: は、はい ジャッジメント: 声明が終わったらすぐに、この『ギャベル島』の高度を下げて。 ジャッジメント: 地上の連中に見せつけてやるのよ ------(Background changed)------ カロラ: おい、姉ちゃんたち! 大変だぞ! なんか変な連中が ヴィルヘルミナ: 知ってるわよ。 カロラもこっちに来て一緒にスフィアを見なさい ジャコヴァ: ……不愉快な連中だ ------(Background changed)------ シンデレラ: なんですって!? 『ギャベル』って確か、危険思想集団として登録されてる、あの人たちよね!? マザー・ティターニア: ええ。 まさかこんな大きな存在になってしまうなんて ------(Background changed)------ フック: さて……これはこの後、お呼びがかかりそうですね。 フック: 船の針路はコミッティ本部に向けておいてください 海賊: はい、船長っ! ------(Background changed)------ コートクラークの男: 我々は秘密結社『ギャベル』…… コートクラークの男: これより、我らが総帥からありがたいお言葉を世界に向けて発信する。 心して聞くように ジャッジメント: わたくしは『ギャベル』総帥、その名をジャッジメントという。 ジャッジメント: 名前の通り、この世界のすべてに審判を下すのがわたくしの使命だ ジャッジメント: このコミッティによる腐り切った支配から世界を解放する。 これは、終焉の始まりだ。 乗り遅れるな ジャッジメント: 沈黙は罪だ。 諦めは暴力だ。 我こそはと思う者があればその場で声を上げよ。 世界を壊せ ジャッジメント: 我らは常に世界のどこにでも駆けつける。 共に戦おうではないか!  ジャッジメント: この腐り切った世界に鉄槌を下すのだ! ジャッジメント: 手段を選ぶな、最初に手を血に染めたのは奴らなのだから! ------(Background changed)------ ジャッジメント: 見るがいい。 コミッティに逆らっただけで潰された町だ。 これが奴らのやり口だ。 ジャッジメント: 恐怖によって支配し、生きる手段を奪っていく。 これ以上の横暴を許すな ------(Background changed)------ アウラ: 何こいつ、ヤバくない……? アリエス: でも、姿も見せてないのに、めちゃくちゃ目立ってるよね! ずるい~っ!! ------(Background changed)------ ジャッジメント: 我ら『ギャベル』は、インペリウム・コミッティに宣戦布告する。 ジャッジメント: 速やかに解散し支配から解放せよ。 さもなくば……戦争だ ------(Background changed)------ ジャコヴァ: ……っ カロラ: うっわ……これはヤバそうだな……。 姉ちゃん、あたしそろそろ用事を思い出したんでこの辺で…… ジャコヴァ: いますぐだ カロラ: へっ? ジャコヴァ: このふざけた連中の居場所を特定しろ。 特務機関の全戦力をもって叩き潰す カロラ: だぁー! 遅かったかー! 首根っこつかまえるのやめろって! だいたい、アタシはもうコミッティじゃないだろー!? ヴィルヘルミナ: 姉さん、落ち着きましょう。 ここで挑発に乗ってしまったら相手の思うつぼよ ジャコヴァ: ぐっ……姿を隠して言いたい放題……卑劣なやつめ…… ------(Background changed)------ アウラ: ヤバいやつが出て来たもんだわ。 どうなるのかしら アインシュタイン: ていうか、もしかしてさっきからお日様遮ってるあれって…… カプリコーン: まさか、いまの組織の拠点、ですか……!? アリエス: 空を飛んでるってこと!? いいな、いいなーっ! キャンサー: …… アリエス: なに、どうしたのよ、キャンサー。 なんか元気ないよね キャンサー: わたし、争いごとはきらいなの。 みんな仲良くしてほしい カプリコーン: そうでしたね。 キャンサーはこういう争いが苦手なんでした。 カプリコーン: 大丈夫です、あなたのことは誰も傷つけたりしませんから アリエス: だめよ、カプリ。 キャンサーは自分が無傷だからそれでいい、なんて考え方はできないんだから キャンサー: なんだかね、怖い予感がするの……。 みんな、仲良くすればいいのに…… アリエス: 大丈夫。みんなバカじゃないんだから。ちゃんと誰も傷つかないように仲直りするって。ねっ? アウラ: ……それにしてもあの島。 まさか浮いているのって……あの力なんじゃ…… 6500139 - 混迷 ジャコヴァ: 戦争だ ヴィルヘルミナ: だから姉さん、落ち着きなさいってば! フアナ: そ、そうだよね。 とりあえず宣戦布告はされたけど、別に具体的に被害は出てないわけだし…… クラース: あら、そんなことはないんじゃない? フアナ: え、どういうこと!? トリル: あの声明映像の途中で映された町、破壊されていましたよね。 まだ煙が上がる生々しいものでした クラース: コミッティがやったことになっていたけど……どうだったかしら アルブス・ツークツワンク: はっ。 危険思想集団を鎮圧する際に争いになることはありますが アルブス・ツークツワンク: ここのところ動きはありませんし、あそこまで建物に被害を出すことはほぼありません エミリー: じゃあ、なりすましってことぉ!? シェイクスピア: 自作自演。 使い古された、よくある手よねぇ フアナ: こっちを悪者にするために、そんなことまで…… ジャコヴァ: 映像が発信された場所はわかったのか アルブス・ツークツワンク: 旧レグルス教国領の上空……つまり、天空神殿があった場所です ジャコヴァ: ことごとく私たちを愚弄しているというわけか ドロシー: でも上空? どういうことよ。 神殿みたいな建物をいきなり創ったとでもいうの アルブス・ツークツワンク: それが…… ------(Background changed)------ ジェミ・ホーキンズ: うう……まさかこんなところに閉じ込められちゃうなんて。何も悪いことしてないのに! トレローニー: ヒスパニオラ号も取り上げられちゃったし ジェミ・ホーキンズ: うう……ひどいことされてないといいけど。 心配だよ トレローニー: 誰かが気づいてくれるかな ジェミ・ホーキンズ: とっさにトレローニーが発射してくれた緊急ポッド……。 気づかれてはなさそうだったけど トレローニー: あれにフライトレコーダーを仕込んでおいたから、見る人が見れば何があったかわかるはず。 トレローニー: 相手のアナウンスも録音されているだろうし…… ジェミ・ホーキンズ: うう……助け、来るかなぁ…… ------(Background changed)------ 人間: なん……だと……っ!?ジェミとトレローニーが人質に!? 人間: くそっ、アルブス! いますぐ部隊を編成するんだ! ヴィルヘルミナ: 落ち着きなさい。 正面から乗り込むつもり? ドロシー: 人間さんのそういう仲間を大切にするところ、すごく好きだけど…… ドロシー: ここは慎重に行動しないとジェミたちも危険よ 人間: ……っ、そ、そうだよな。 すまない。つい シェイクスピア: あのあたりはリベルタリブロとレグルス教国くらいしかない……大きな国家がないから動きを把握しづらいのよ トリル: どういうことですか? シェイクスピア: 大きな国の軍隊なら防空体制も整ってるものよ。 でも、あの領域はどの国の防空識別圏にも引っかからない……。 シェイクスピア: サミットの時期でもなければ誰にも気づかれないままでしょうねぇ クラース: いつから浮いていたかわからないし、すぐに動きを把握することもできないってこと ジャコヴァ: ……あまりにも行動が大胆だ。 おそらく何か切り札がある シンデレラ: そうね。 ついこの前まで、ただの地下組織だったはずよ シェイクスピア: それが突然、空に浮かぶ島……しかも飛空艇を奪い、世界に向かって宣戦布告……あまりに破滅的だわ…… ドロシー: 破滅的なの? イケイケって感じするけど シェイクスピア: 強力なカード1枚で強気に出るだなんて、それは悲劇の始まりでしょう? シンデレラ: おそらく以前から計画していたんでしょうね。 カードが揃えば電光石火で動こう、って ヴィルヘルミナ: カードの『待ち』も1枚とは限らないわ。 複数の『待ち』を作って、どれかが来れば動く、とか 人間: どれかが…… 人間: (東方帝国でジャッジメントがサジタリウスたちの前に現れたのも、あれがカードの1つだったのか……?) フアナ: とにかく……ヒスパニオラ号の乗員を救出するためには、もう少し内部の情報を集めないといけないよね ヴィルヘルミナ: そのことなんだけど……ちょっと使えるかもしれない方法があるのよね ------(Background changed)------ コートクラークの男1: 反応は上々、各国首脳の動きも慌ただしくなってきました コートクラークの男2: まさに電光石火ですね。 この移動要塞、そして宣戦布告…… ジャッジメント: あともう一手が必要ね。 各国の動向で目立ったものがあれば報告してちょうだい コートクラークの男1: はっ! コートクラークの男2: ………… コートクラークの男1: よし、俺は西側諸国を監視する。 お前は北部の小国を中心に監視を…… コートクラークの男1: そういえばお前、名前なんだっけ コートクラークの男2: え、名前?あ、えーと、俺の名前はえーと コートクラークの男2: 人間さん…… コートクラークの男2: 遠藤人間さんだ。よろしくな 6500140 - 動乱の裏側で 服部あおい: 今日はフィールドワークということで学園外での授業です。 皆さんはぐれたりしないようにお願いしますね アリエス: なんかあおい先生、めっちゃ子ども扱いしてくるんですけど! 誰が迷子になるっていうのよ! カプリコーン: 一番可能性の高そうな人が何を言ってるんですか…… リーブラ: それでフィールドワークって何するのよ。 こんな時間から アウラ: 前に説明があったでしょ! 知らないでこんなところまで来たの? キャンサー: あ、そっか~。 前回、リーシスお休みだったから リーブラ: 何よ、なんか引っかかるわね カプリコーン: だって……今回の授業は心霊スポット巡りですよ? リーブラ: は……はああっ!? 心霊!? 服部あおい: はいそこ、静かに。 それでは本日の案内役をご紹介します。 服部あおい: ヤマタイ学園オカルト研究部から来られたキドー殿です キドー: あーどうもー。 キドーでーす アリエス: やる気うっす!! リーブラ: この人が案内役……? キドー: あ、ちょっと、こんなやる気なさそうな気だるいギャルが キドー: 質のいい心霊スポット知ってるわけないだろとか思いましたねー? リーブラ: そこまで具体的に思ってないわよ!? あと心スポにおける質の良し悪しってなに!? キドー: じゃあ早速、いってみましょー ------(Background changed)------ アリエス: ひっ……う、うう……あ、あれだからね、こういう場面で怖がった方が絶対かわいく見えるから、それでびくびくしてるんだから アリエス: これはわたしを可愛く見せるためのテクニ―― : ガサガサッ アリエス: っくうううううぅぅぅぅぅうううぅぅぅぅっ!? カプリコーン: はいはい、落ち着いてください。 何か小動物が駆け抜けていっただけですよ キャンサー: くう……すぴぃ…… アインシュタイン: こっちは立ったまま寝てる。 大物 アリエス: シュタは科学の子だから、あれよね、幽霊なんて信じないわよね? バシッと否定してちょうだいよ! ねっ? アインシュタイン: え。 シュタちゃん、わりと信じてるんだけど アリエス: ええ!? : ピンピロリン……♪ ラリロリロン……♪ アリエス: いいいぃぃゃやややあぁぁぁ!? リーブラ: あ、ごめん。スホマに着信。 ちょっと向こうで話してくるね アリエス: なんで着信音がこの前見たホラー映画のテーマになってんのよ! リーブラ: え、雰囲気出るかと思ってさっき変えたのよ カプリコーン: リーシスは絶対アリシアで遊んでるでしょう…… キドー: さあ、それではここでストップでーす。 この木には邪悪な霊気が宿っていましてねー。 ほら、これ アウラ: げっ……藁人形がいくつも打ち込まれてる…… リーブラ: 誰がかけてきたかと思えば……仕方ないわね ------(Background changed)------ ジャッジメント: ジャッジメントよ。 何があった ジャッジメント: ふうん……なるほどね。 空を押さえたことも刺激したのかしら。 ジャッジメント: いいわ、砲撃を許可する。 発射後、用意しておいた映像を流しなさい ------(Background changed)------ 特務機関員: ほ、砲撃確認! 『ギャベル』浮遊島から砲撃がありました! ルーフス・サクリファイス: なんですって!? いきなり予告もなくどこに!? 特務機関員: 砲弾は超高速で南西方向に飛行中! おそらく魔法の国領内かと! ルーフス・サクリファイス: すぐに魔法の国へ連絡を! 特務機関員: はっ! ルーフス・サクリファイス: でも、魔法の国ならガラスの騎士団の地対空迎撃システム『ピンヒール』があるわ…… ルーフス・サクリファイス: あれに撃ち落とせないものはない……っ ------(Background changed)------ : この3分後―― : 砲弾は着弾し、甚大な被害をもたらすこととなった。 ------(Background changed)------ トリル: シンデレラさん…… シンデレラ: ……っ、こんな……こんなことになるなら、無理にでも……っ ルーフス・サクリファイス: ……着弾したドラゴニュート領では現在、被害状況を調査中。現状、ナード姫の消息が不明…… ルーフス・サクリファイス: くそっ!! アルブス・ツークツワンク: 赤いの。 お歴々の御前よ、控えなさい ヴィルヘルミナ: ドラゴニュートは魔法の国の連携協定批准国……いわゆる、シンデレラ帝国の範囲にあったと認識していたけど シンデレラ: ……安全保障についてはサインしていなかったのよ。 シンデレラ: イグヴィヴルもいるし、できることは自立しなくちゃ、なんて言って…… アルブス・ツークツワンク: シャトー准将の報告では、魔法の国上空を通過した時点で標的が同国であると判断、 アルブス・ツークツワンク: 急ぎ『ピンヒール』を発動した……この間、およそ5秒でした シンデレラ: 人の判断が入ったからこその秒数よ。 安全保障連携システムに入っていれば2秒で対象をスイッチして迎撃できる トリル: シンデレラさん、自分を責めてはいけません。 これは誰かの落ち度ではないんです シンデレラ: そうね……シャトーには伝えて。 あなたは悪くない、って…… 人間: オトギノクニで、こんなものを見ることになるなんてな…… ジャコヴァ: 人間界に存在するものは、いずれオトギノクニにも入ってくる。 グランド・リヴィジョン後の世界とは、そういうものだ ラヴクラフト: みんなが3Dエロ映像とか、大人のオモチャで楽しんでいれば平和な世界になるのにね…… ドロシー: 『ギャベル』は声明を出したの……? アルブス・ツークツワンク: 映像が流れました。 歯向かう相手には今後も容赦しない、という趣旨です。 再生は可能ですが シンデレラ: ……っ、ナード……っ アルブス・ツークツワンク: いましばらく時間をおいたほうがよろしいかと ------(Background changed)------ リーブラ: あ、お待たせー アリエス: ふひいいいぃぃっ!? アリエス: もー! なんでわたしの後ろから声かけるの!? 絶対わざと! リーブラ: たまたまだってばー カプリコーン: ……用事は、もう大丈夫なんですか? リーブラ: ええ。 予約していた美容液が入荷したの。 カプリコーンも使う? カプリコーン: ええ、ぜひ…… キャンサー: はぅあ…… アウラ: あ、起きた。 キャンディス、どうしたの。 なんか震えてるけど リーブラ: あら、怖い夢でも見たのかしら? キャンサー: リーブ……ううん、リーシス……。 キャンサー: うん、そうなの。 わたし、とても怖い夢を見たよ…… キャンサー: とても、とても、怖い夢 6500141 - 替え玉の覚悟 : ディ・マキナを起動させ抵抗を試みたカプリコーンとアリエス。 : しかし同じくディ・マキナを扱うオルパワー騎士団長ブレアとオルマジック騎士団長レビィの手によって鎮圧された。 : 機体性能では上回っていたともみられるが、いかんせん練度に天地の差があったことが勝敗を分けたのだった。 ------(Background changed)------ カプリコーン: ……どうやら、ここまでのようですね ブレア: 人間さん、この人たちはどうしますか? 人間: コミッティ本部に連れて行って、いろいろ話を聞かせてもらう。そもそもの素性も確認したいしな 服部あおい: そうですね。先ほどカプリコーンと名乗っておりました。カプレーゼというのは偽名のようです カプリコーン: あおい先生……さっきの私たちの正体を既に把握しているとういのは、やはりはったりでしたか アリエス: ええっ、そうなの!? アリス・ミルズ: しかし、彼女たちがそう簡単に口を割るでしょうか 人間: 正攻法に頼っていては難しいだろうな。まあちょっと考えがある。連れていってくれ ロヤリテート: さあ、こっちに来るのよ! 服部あおい: しかし、未だに拙者は信じられませぬ。 服部あおい: あの真面目なカプレーゼ殿と、明るくクラスのムードメーカーだったアリシア殿が、 服部あおい: あのような邪悪な組織に与するなど…… フアナ: でも、ディ・マキナに乗っていたし、実際にあたしたちに攻撃を仕掛けてきたからね。 フアナ: 言い訳はできないんじゃないかな 人間: そうだな…… 人間: (でも、まだ違和感が残る……これで『ギャベル』は壊滅なのか……?) ------(Background changed)------ ジャッジメント: 頼んでおいたものはできたかしら、技術主任 技術主任: ああ。完璧に仕上がってる ジャッジメント: ふふっ、さすがディ・マキナのことなら一流ね 技術主任: その呼び方はやめてもらいてぇな。あれはオルディンの連中が 技術主任: 俺たち『鉄の革命軍』から持っていった技術だからな ジャッジメント: 装甲鉄兵、だっけ? そうだったわね、失礼したわ ジャッジメント: (そんなにこだわるほどのネーミングセンスじゃないけどね) 技術主任: 俺たちが作ったこいつらでコミッティに一泡吹かせてるなんて、 技術主任: 実に痛快だぜ。毎日、新聞が届くのが楽しみでしょうがねぇよ ジャッジメント: こんなものでは終わらないわよ。いずれ私は世界を手に入れるわ。 ジャッジメント: あなたたちのディ……いえ、高い技術でね 技術主任: 夢が広がるねぇ 技術主任: とりあえず今回の機体についてのデータはまとめてある。確認しておいてくれ ジャッジメント: わかったわ 技術主任: 特に今回は、連続駆動時間のところがネックだからな。運用中も気を付けてくれ ジャッジメント: 出力が高すぎるがゆえに……ということね。なるほど 技術主任: 完璧なものが作れたらいいんだがな。どうしても一長一短、 技術主任: 何かを強化すれば、それがまわりまわって弱点になっちまう ジャッジメント: それは世界の真理だから仕方ないわ。長所と短所、利益と損害、 ジャッジメント: すべて足せばゼロになる。それは等しく、公平に、すべてに与えられるわ 技術主任: あんたの難しい話は分からねえが、応援させてもらうぜ ジャッジメント: 量産機の生産をアウトソーシングしたおかげで、 ジャッジメント: 専用機の開発に専念できたのは大きいでしょう? ジャッジメント: あなたじゃなきゃできない仕事をしてもらわなくちゃ。そうでしょう? 技術主任: ああ、そうだな。おっと、そろそろ手下のやつらが買い出しから戻る頃か。 技術主任: あんたもメシ食ってくかい? ジャッジメント: せっかくのお誘いだけど、まだこれから予定が目白押しなのよ 技術主任: そうかい。いつでも来てくれよ。じゃあな ------(Background changed)------ コートクラークの男: お疲れ様です、ジャッジメント様。この後は…… ジャッジメント: ギャベル・フォートレスに戻ってちょうだい。 ジャッジメント: キャンサーを待たせていることだし、ね ------(Background changed)------ アリエス: ねえ、カプリ。リーブラは助けに来てくれたりする……? アリエス: それとも…… カプリコーン: 助けるつもりのある相手を売ったりはしませんよ。 カプリコーン: 私はそのときまで、ジャッジメントとして振る舞うまでです アリエス: そっか……あーあ、楽しかったなぁ。シュタも、アウラも、 アリエス: あおい先生も……みんな仲良くてさ アリエス: キャンサーは、大丈夫かな カプリコーン: そうですね。それは私も気がかりです。 カプリコーン: キャンサーのことを、リーブラはどうしているのでしょうか…… 6500142 - 魔獣の絆 ジャッジメント: キャンサー。おとなしくしてくれていて助かるわ キャンサー: リーブラ……。ねえ、何が起きてるの……? わたし、よくわからない ジャッジメント: 私はもう、リーブラではないの。その名は捨てたわ キャンサー: じゃあ、あなたはだれ? リーシスってこと? ジャッジメント: 私はジャッジメント。革命組織『ギャベル』の総帥よ キャンサー: ……うん、そっか ジャッジメント: あら、驚かないのね。『ギャベル』を知らないとか? キャンサー: ううん。知ってたよ。 キャンサー: リーブラがジャッジメントとしてがんばってることも ジャッジメント: どうも私は、あなたたちに嘘をつくのが苦手なのかもしれないわね キャンサー: わたしは……夢を見たから……。嘘とか本当じゃないんだ ジャッジメント: あなたの夢を見たり、見せたりという能力…… ジャッジメント: いまひとつ、どういう能力なのかわからないのよね…… ジャッジメント: まあいいわ。できるだけ気を付けていたつもりだけど、 ジャッジメント: カプリコーンも何か気づいていた様子だったし……秘密って難しいものね キャンサー: カプリコーンとアリエスはどうしたの? ジャッジメント: 身代わりになってもらったわ キャンサー: え? ジャッジメント: だって、私の周りをこそこそと嗅ぎまわり始めるんだもの。 ジャッジメント: その上、コミッティの連中も私の居場所がカレッジだと気が付き始めて…… ジャッジメント: だから、ちょうどよかったわね ジャッジメント: ま、アリエスは巻き込まれただけだから少しかわいそうだけどね。 ジャッジメント: でも、私の大いなる野望の礎になるんだから、本望でしょう? キャンサー: ………… ジャッジメント: ……なに、文句があるの? キャンサー: ううん…… ジャッジメント: とにかく、もうカレッジには戻れないわ。 ジャッジメント: あなたから私について情報が漏れるのも避けたいし ------(Background changed)------ : 看守の話では食事などは普通に摂っているとのことだった。こういった、特定の思想に染まった者は絶食などで抵抗するのかと少々警戒していたのだが。 フアナ: 人間さんくん、何を聞き出すつもりなの? 人間: カプレーゼことカプリコーン……つまり、天秤宮じゃないんだ。 人間: 俺はそれが気になっている フアナ: ライブラがいるからって、星の魔獣まで天秤が主犯とは限らないんじゃない? 人間: いや…… : 十二迷宮の台座についていた焦げ跡。それらは外側から破られていた。たったひとつを除いて。 : 天秤宮の台座だけは内側から破壊された跡があったのだ。つまり、真っ先に封印から脱出したのは天秤宮で、その手で他の宮の封印が破壊された、という可能性が高い。 : 俺の説明にフアナは表情を固くした。 フアナ: でも、天秤宮は……どうやって…… 人間: 内側から、ということは……やっぱりライブラの想念が強くて、 人間: 魔獣自体も力を持ってしまっていた……ということかもな : やがて、ふたりを幽閉した地下牢の前に到着する。 : カプリコーンは静かに目を閉じていた。アリエスはどこか不安げにこちらの様子を見ている。 人間: (残酷な気はするが……あまりのんびりはしていられないからな……) 人間: 看守さん。カプリコーンを連行してくれ アリエス: カプリをどうするつもりなの!? カプリコーン: 大丈夫ですよ、アリエス。すぐに戻りますから アリエス: でも……! : カプリコーンの姿が見えなくなると、アリエスは先ほどまで以上に不安の色を濃くしてこちらを見つめる。 アリエス: お願い、怖いことしないで……カプリは何も悪くないの : 俺はフアナにそっと耳打ちする。一瞬だけ戸惑った表情を見せたフアナだったが、すぐにうなずき返した。 アリエス: ねえ、聞いてる……っ? フアナ: 怖いことをするかどうかは彼女次第だよ。 フアナ: ただ……何も悪くないってことないだろう。だってジャッジメントなんだから アリエス: ……っ! フアナ: ジャッジメントが何をしたか、知らないわけじゃないよね? フアナ: 罪もない国に弾丸を撃ち込み、罪もない人々を襲った組織のトップだ アリエス: そ、それは……そう、仕方ない理由があって…… フアナ: では、理由を教えてもらえるかな。 フアナ: もしかしたら彼女を助けられるかもしれないからね アリエス: わ、わたしは……詳しくないけど、その…… フアナ: あれ、何も知らないのかな。もしかしてあたしたち、間違えちゃった? アリエス: えっ……? フアナ: 関係ない人を捕まえちゃったとか?だったらすぐ釈放しなくちゃいけないね。 フアナ: もちろんさっき連れて行ったカプリコーンも…… アリエス: あ……う、ううっ……! : 彼女は結局、答えなかった。だがその表情で確信した。 ------(Background changed)------ ジャコヴァ: それで、報告とは? 人間さん 人間: 逮捕した彼女は、ジャッジメントではない。替え玉だよ 6500143 - カプリコーンの証言 : 地下牢から連れ出したカプリコーンは、大人しくソファに掛けていた。俺とフアナは地下から戻ってくると、互いにうなずきあう。 フアナ: お待たせ カプリコーン: 遅かったですね。……アリエスと何を話していたんです フアナ: もう予想はできているんじゃないかな。 フアナ: あたしたちはカプリコーン、きみのことを フアナ: ジャッジメントではないと疑っているんだよ カプリコーン: はっ……バカな。あなたたちがあの場所に来たのは偶然ですか? カプリコーン: ジャッジメントを追いかけて、その情報を得ていたのでは? フアナ: その通りだよ。でもガセである可能性も少なくない カプリコーン: なっ、この私が偽物だと言うのですか!? カプリコーン: 冗談はそこまでです、私は間違いなく『ギャベル』総帥です! 人間: 星の魔獣だということは疑っていない。 人間: おそらく事実だろうし、どのみち身柄は押さえなきゃいけなかった カプリコーン: それは…… フアナ: でもきみは磨羯宮のカプリコーンで、地下の彼女は白羊宮のアリエスだ。 フアナ: 天秤宮じゃないんだよ カプリコーン: そ、それがどうだというんです。天秤宮だからって、何故それがそんなに カプリコーン: 重要なんですか。ただの13ある宮のうちのひとつにすぎません フアナ: いいや。きみたち星の魔獣にとっての生みの親、十二神官は全員が フアナ: 平等ではなかった。天秤を司るライブラこそがすべての中心…… カプリコーン: それは十二神官のことでしょう!? 私たち星の魔獣までもが、 カプリコーン: 同じ関係性ということにはなりません! フアナ: そんなに必死でジャッジメントであるとアピールすること自体が フアナ: そもそも不自然なんだよ カプリコーン: ……っ!? フアナ: きみの……というか、本物のジャッジメントの狙いは予想できている。 フアナ: だから、望み通りにほら : 俺はフアナの言葉を引き継ぐように、手にしていた新聞をカプリコーンに渡す。そこには大きく見出しの文字が躍っていた。 カプリコーン: 『ギャベル』総帥ジャッジメント逮捕…… フアナ: これが大きく報じられ、にも関わらず本物のジャッジメントが フアナ: どこかで颯爽と登場する……それが狙いなんだろう? 人間: コミッティのメンツを潰し、ジャッジメントのカリスマ性を強める。 人間: 利用できるものはとことん利用しようってわけだな カプリコーン: …… フアナ: もう、こうして報道はされている。きみたちの狙いは達成されたんだ。 フアナ: だけどあたしは、事実に基づいて刑を執行しなきゃいけない フアナ: だから聞かせてほしい。きみはジャッジメントではないんだよね? カプリコーン: 私は…… フアナ: この報道の後、ジャッジメントはここにいると名乗り出るのは、 フアナ: 果たして本物なのか偽物なのか。きみはどうあるべきだと思う? カプリコーン: ……っ、私は、ジャッジメントでは、ない…… 人間: ありがとう。よく言ってくれた。 人間: その確証がとれれば俺たちの動き方も変わってくる カプリコーン: えっ……? ------(Background changed)------ コートクラークの男2: 待たせたな リュゼ・ブラン: いいえ、別に。待機中も給料は発生するので コートクラークの男2: オルディンってそんなシステムなわけ?いいわね、傭兵稼業っていうのも リュゼ・ブラン: その顔でその口調、気持ち悪いからやめてくれない? コートクラークの男2: あは、それもそうよね 怪人二十面相: はーい、美人なお姉さん登場! なんてね リュゼ・ブラン: 居場所は特定できるのね? 怪人二十面相: ちょっとくらいリアクションしなさいよ! リュゼ・ブラン: 仕事中なのよ 怪人二十面相: むう……超絶ホワイト企業な傭兵集団と、お役所気質の傭兵…… 怪人二十面相: なんかあんまり嬉しくない組み合わせかも…… 怪人二十面相: とりあえず、端末は生きていることが確認できたわ。 怪人二十面相: ただ、それを連絡に使うかというと未知数ね リュゼ・ブラン: 『ギャベル』内部の動向は 怪人二十面相: 下っ端は大混乱よ。それを中間層が抑え込んでる感じ。 怪人二十面相: でも内心ではそいつらも動揺してるでしょうね 怪人二十面相: ただ、私が潜入している幹部連中、 怪人二十面相: つまりコートクラークと呼ばれている奴らは落ち着いているわ。 怪人二十面相: 信じているというよりはわかっているんでしょうね リュゼ・ブラン: 復活をアピールするのに必ず演出は必要。ひとりではできないはず 怪人二十面相: 何を仕掛けるつもりか知らないけど、コートクラークが必ず動くでしょうね リュゼ・ブラン: 了解。いまのところ動きはないのね。何かあればすぐ連絡して 怪人二十面相: そっちはどう? 雇われの身ではあるけど、 怪人二十面相: ちょっと情報共有があってもいいんじゃないの? リュゼ・ブラン: ……鉄の革命軍が関わっているみたい。つまり、私たちの因縁の相手よ 怪人二十面相: へえ、運命の再会って感じね。そんな偶然あるのね リュゼ・ブラン: オルスロー騎士団が敵装備から、奴らの刻印を発見したわ。 リュゼ・ブラン: 鉄の革命軍が関わっているのは事実とみていいでしょうね 怪人二十面相: 技術を盗んだんだっけ? 怪盗の私がいうのもなんだけど、 怪人二十面相: そういうのは後々まで恨まれるよ? リュゼ・ブラン: 奴らは危険な集団だった。だから技術を奪って無力化するための作戦…… リュゼ・ブラン: 私はそう聞いていたわ。事実はわからないけど…… 6500144 - 仕掛け ジャコヴァ: 捕縛したジャッジメントは偽物……それを承知の上で、本物を泳がせる。 ジャコヴァ: それがお前の作戦だというんだな 人間: 天秤宮のジャッジメントは、『ギャベル』が世に出たときからずっと 人間: 派手な演出を繰り返している。今回の替え玉作戦自体もそうだ フアナ: 逃げるためなら、こんな手の込んだことをする必要はなかった。 フアナ: 必ず表に出てくるはずだよ ヴィルヘルミナ: どうせ出てくるなら、おそらく今度は顔を出すでしょうね。 ヴィルヘルミナ: カレッジから外見情報は手に入ったの? シェイクスピア: ええ……監視スフィアにしっかり映っていたわ : 議場の大型投影スフィアに監視カメラから切り抜いたと思われる静止画が表示される。そこにはカプリコーンと並んで歩く女の姿があった。 シェイクスピア: なかなか美人だったわよ。それに……ふふっ…… ジョカ: なんだ? 他に何か気になることがあるなら言え。 ジョカ: 我が気になって眠れなくなるだろ シェイクスピア: いえね、これ。ずいぶんと楽しそうな表情だと思わない? : シェイクスピアのいうとおり、そこには普通の学生のように振る舞い笑顔を見せる女の姿があった。 : もちろん身をひそめるための場所としてオトギカレッジを選んだのだろうし、そのためには目立った言動を避けて普通の学生らしく過ごさなくては意味がない。 : しかし、あまりにも朗らかな笑顔で、ドラゴニュートにミサイルを撃ち込んだ非情なテロリストには見えなかった。 シェイクスピア: ずっと気になっていたのよ……どうしてジャッジメントは顔を出さないのか。 シェイクスピア: 出したほうが『ギャベル』の活動としては有効だったはずよ。 シェイクスピア: 顔の見えない相手についていく者は少ないから…… シェイクスピア: よほどブサイクなら話は別だけど、この見た目なら申し分ないでしょう。 シェイクスピア: それでも顔を出さなかったのは…… シェイクスピア: この時間を守りたかったんじゃないかしら トリル: ……本当は、こんなことしたくなかったんでしょうか クラース: 案外、可愛い想像を働かせるのね、シェイクスピアって シェイクスピア: 作家だもの。登場人物の感情を想像できなくてはね フアナ: 作家…… ジャコヴァ: くだらないな エミリー: ジャコヴァってばそれでいいのぉ? エミリーは作家として勉強になったよぅ? ジャコヴァ: 半人前が知ったふうな口をきくな エミリー: ぷぅ ヴィルヘルミナ: 姉さん、ワタシの可愛いエミリーになんてこと言うの。 ヴィルヘルミナ: かわいそうに、こんなにふくれっ面になっているわ。このほっぺを見て。 ヴィルヘルミナ: キスしたいと思わない? ジョカ: 途中から話題が変わってるぞ…… 人間: 俺も気になっていることがある。ジャッジメントは星の魔獣、天秤宮だが 人間: 他の魔獣たちにジャッジメントであることを伏せていた可能性がある シンデレラ: それは、どうして? フアナ: あまりにも連携が取れていない。 フアナ: ジャッジメントを騙るにしては、ここだけ作戦がお粗末なんだ 人間: ジャッジメントにとって、カプリコーンが自分を騙るのは想定していない。 人間: むしろ否定するほうが、俺たちは疑いを強めるだろうと考えたはずだ ドロシー: 否定するカプリコーンを、犯人だと私たちが思い込めば……逃走する ドロシー: 自分への警戒も薄くなるわよね シンデレラ: いま、相手はカプリコーンが認めていることを知らない。 シンデレラ: 報道は『ジャッジメント逮捕』とだけ流している…… ジャコヴァ: 油断しているというわけか。 ジャコヴァ: 派手な演出を仕込めば、足も付きやすい……そこがチャンスだな 人間: 引き続き協力してもらえるか、ラウラ ラウラ: ええ、もちろん。 ラウラ: 敵装備に鉄の革命軍が関わっている以上、他人事ではないわ ------(Background changed)------ コートクラークの男2: では、あとはうまくやれ たーくん: は、はい…… コートクラークの男2: そう固くなるな。なに、花火を打ち上げるだけだ たーくん: わかりました…… マヒーネア: 中隊長、思った通りでしたね スィルダー: 潜入していた遠藤さんからの連絡通りwww スィルダー: 幹部はああやって末端に汚れ仕事を押し付けるわけですな。 スィルダー: ブラックすぎて草 マヒーネア: あとは、あの下っ端があれをどこに仕掛けるのか、 マヒーネア: 尾行すればわかるわけですね。 マヒーネア: う~! レーゼ団長に早く褒めてもらいたい! スィルダー: ん、あれは……? イヨ: たーくん! たーくん: イヨ……!? イヨ: いま、見てたよ……。それ、何に使うものなの……? イヨ: 悪いこと、なんじゃない……? たーくん: ……っ イヨ: だめ! もうやめて! 私、これ以上見てられないよ! イヨ: 絶対にそれ、使わせないから! スィルダー: ちょwwwそれはだめなやつwww スィルダー: リア充がイチャコラしたせいで世界が危機とか、爆発しろではすまないwww イヨ: これは私が預かる! たーくん: あっ!? ちょ、待てよ! マヒーネア: あの……中隊長、なんか幹部から渡されたやつ、持っていかれちゃったけど スィルダー: つwwwんwwwだwwwwww 6500145 - ジャッジメントの復活 : その夜、町に爆音が響き渡った。ひとつではなく、連続していくつも。 住民1: 爆発だーっ! : 響き渡る悲鳴。俺はオルディン連合の部隊と共に闇夜に隠れ待機していた。 レーゼ: 必ず奴は姿を現します。 レーゼ: 組織の士気を上げ、そして思想の誓い者を取り込んでいく。 レーゼ: そのためには姿を見せることも重要…… レーゼ: そういうことでしたよね、人間さん 人間: ああ。よろしく頼む レーゼ: 私の部下が、全部ではないのですが爆薬の位置を特定しています。 レーゼ: ここから割り出される場所は、おそらくここ…… レビィ: イベント会場? どこまで派手好きなのよ ラウラ: すぐには突入せず、姿を見せて演説を始めたタイミングで ラウラ: 撮影スフィアが回り始めるのを待ってからよ ブレア: 承知しています。私たちオルパワー騎士団の強襲部隊が制圧、 ブレア: ジャッジメントの身柄を確保ですね シュカ: 爆発で世間の注目を集めてから登場、とは…… シュカ: どこまでも身勝手なやつだ…… レビィ: 会場にはダミーのアーティストがライブをやってるわ。 レビィ: いまのところ異常なしだってラシュから連絡がきてる ラウラ: ダミーのアーティスト? 人間: 無人だと怪しまれるかと思ってライブをやっているテイにしたんだ。 人間: 大丈夫、集客できる人じゃないからほぼ無人だよ。 人間: すぐ避難させられる ------(Background changed)------ ケーシ: はぁ、はぁ、こんな大きなハコで歌える日が来るなんて…… ケーシ: 観客は30人だけど…… ???: そこまでよ!! ケーシ: な、なんだ!? ジャッジメント: このステージ、私がジャックさせてもらう。 ジャッジメント: 撮影スフィア、そのまま撮影を続けなさい コートクラークの男1: 我々が中継をつなぐ。お前たちはそのまま撮り続けるんだ ジャッジメント: 久しぶりね、世界。私は『ギャベル』総帥、ジャッジメント。 ジャッジメント: 間抜けにもコミッティは別人を逮捕したのよ ケーシ: お、おい、我のマイク…… コートクラークの男1: お前は下がってろ! ジャッジメント: 私は不滅……あのコミッティをもってしても捕まえられないわ。 ジャッジメント: この私にこそ世界の革命は可能。 ジャッジメント: 眠れる者たちよ、いまこそ我が声に応えるときよ ジャッジメント: この不平等な構造を破壊し、新たな世界へと続く扉を開けるのよ。 ジャッジメント: 我がギャベルに協力しなさい。さもなくば…… 人間: さもなくば、なんだ? 皆殺しにでもするつもりか!? ジャッジメント: なっ、お前は……!? ロヤリテート: 1班から3班、対象を軸に展開! 4班は観客の避難にあたりなさい! フェスナーム: はいはいっと……うちの副団長、仕事だけはデキるのが本当にダルいなぁ ジャッジメント: ま、まさか……この場所が読まれていたの……!? レビィ: あれあれ? そんなマヌケ面さらしていいのかなぁ? ------(Background changed)------ イヨ: いやぁっ! たーくん: はぁ、はぁ、こんなに逃げるなんて思わなかったよ……。 たーくん: イヨ、もう俺に関わるな…… イヨ: どうして……! イヨ: 私、たーくんが誰かを傷つけるところなんて見たくないよ! たーくん: 違う。これは誰かを傷つけるものじゃない。助けるための爆薬なんだ イヨ: そうやって言いくるめられてるだけでしょう!? たーくん: もう話しても無駄だな。じゃあ、これは返してもらったから イヨ: どういうこと……? ------(Background changed)------ アリエス: ――っ!? い、今の音、なに? カプリコーン: 壁が、破壊されてる……? たーくん: すみません、カプリコーンさんとアリエスさんですよね カプリコーン: どなたですか……? たーくん: キャンサーさんからの言伝です 60021 - 捜査網 アルブス: 状況報告をお願いします 隊員: 東エリアは現在3区まで捜索に着手しております。またゲーテ街道、ダンテ街道をはじめとする主要幹線街道はすべて検問によって封鎖しております アルブス: このような暗殺予告など前代未聞の事件です。絶対に犯人スコーピオを、草の根分けても探し出しましょう 隊員: はっ! (--) ルーフス: ちょっと白いの アルブス: 悪いけど、いまはふざけあってる場合じゃないの ルーフス: バカ。まじめな話よ アルブス: 赤いのが? まじめ? ルーフス: ぶん殴ってやりたいけど、急ぎだから後にするわ。ちょっと人間さんが来ていてね、面白い話をしてるのよ アルブス: なんですか ルーフス: 暗殺者『スコーピオ』の素性を知ってるんですって アルブス: ……!? (背景切換...) アシュラ: おい……また衛兵たちが通り過ぎていったぞ……これ、ヤバいんじゃないのか……? ディーバ: う、ううっ、いま全力でビビりちらかしてるとこなんだから!あんまり大きな声出さないでよ! アシュラ: お前が連れて来た奴だろーが!どうすんだよ、こんなことになって……! ディーバ: しーっ、しーっ! どこで聞かれてるかわかんないんだから! アシュラ: あのチカトリーチェとかいうやつ……いい方法があるなんて抜かして、あんなもんオレたちに押しつけやがって ディーバ: ジャコヴァ議長の暗殺予告状……。あれをうちらが本部に持ち込んで置いておけば、あとは捜査当局が勝手に捜索してくれる…… アシュラ: いやまあ、嘘はついてないんだよな。あいつが言った通りになってるし。『嘘』があるとすれば…… ディーバ: 予告そのもの…… アシュラ: はぁ…… ディーバ: だって、星の魔獣がどうこうなんて言ったって、ここまでの規模で捜索なんて絶対してもらえなかったし! アシュラ: ……で、どうする。ヤシャとかナーガにも連絡しとくか ディーバ: まあ、とりあえずは…… (--) ディーバ: おわぁっ!? ちゃ、着信!? ヤシャからだ! アシュラ: あ、おい、店ん中だと通話だめらしいぞ! 外出るぞ、外 ディーバ: え、待って、荷物が……っていうか、まだケーキ食べ途中だしっ 60022 - 魔獣の立場 アリス・ミルズ: なるほど。それでは暗殺者『スコーピオ』の正体は、十二迷宮に眠っていたディマイトの塊、星の魔獣だと…… 人間さん: その事件を俺と追っていたのが、彼女たち八武神というわけなんだ ヤシャ: 人型になれるという情報も最近つかんだところで……でもまさか、社会に溶け込んで暗殺稼業なんて始めてるとはさすがに予想外だったわ アリス・ミルズ: その魔獣が解き放たれた時期と、スコーピオの存在が確認された時期、ほぼ一致しているし……間違いないでしょうね アリス・ミルズ: そして、そこにいるオフィウクスもまた星の魔獣だと…… オフィウクス: あ、あのぉ……わたしの両サイドで、この人たちがめっちゃにらんでくるのはやっぱり何かしら疑われてるからなんでしょうか…… ルーフス: 当然でしょ アルブス: 警戒対象になって当然でしょう オフィウクス: ふひっ……星の魔獣というだけで、り、理不尽ですねぇ…… アリス・ミルズ: 倒さなくていいの? オフィウクス: な、なんて乱暴な……っ、まだ何もしてないのに……っ!? アルブス: 現状では手がかりが限られるので泳がせているのでは? 人間さん: それもあるけど……なんだか、かわいそうで…… アリス・ミルズ: 人間さん殿のそういうところ、私は好きよ……?でも非情になることも大事 ヤシャ: え、いま普通に告白しなかった? マホラガ: ヤシャ、過剰反応だって 衛兵: アリス様! 監視映像スフィアのデータ解析が終わりました。それで……進展がありまして、その…… アリス・ミルズ: なに? ここでは言いづらいこと? 衛兵: ……コミッティ関係者だけに絞ったほうがよろしいかと アリス・ミルズ: ……私と人間さん殿だけで行くわ。ルーフス、アルブス、後を頼むわね アルブス: 了解しました ヤシャ: あ、ほらっ、ふたりだけでどっか行くし…… マホラガ: はいはい。……ていうか、ポステリオルたちはともかく、マホたち八武神もハブられるんだ……? 60023 - 実行犯 ジョルジア: たぶん、チカトリーチェが何か手を回した可能性があるね スコーピオ: 先日の、あの人買いですか ジョルジア: 議長暗殺となれば特務機関が全力で捜索する。逃れるのは至難の業だからね スコーピオ: 仕方ありません。場所を移します タウルス: あ、貴方はそんな大それたことしてないのよね!?誰かにハメられただけで…… アクエリアス: そんな……私が妄想していたひどいことより、何倍も大変なことになってる…… フレーダ: チカトリーチェはなんで、こんなことしたのよ ジョルジア: ひとつは、スコーピオへの報復だろうね。あいつ、ねちっこいから アウグスタ: 他は? ジョルジア: 捜査機関の目を別に向けた相手に、何かひと仕事やるつもりかも。ただ……ちょっと腑に落ちないことがある タウルス: 何よ。はっきり言いなさいよ ジョルジア: 予告状を誰が置いたのか スコーピオ: ……なるほど ジョルジア: チカトリーチェ本人なはずないから、誰か人を使ったはずだけど……。本部なんて監視スフィアがごまんとある。バレるに決まってる ジョルジア: そしてバレたら極刑もありえる。こんな仕事、いくら積んでも誰もやりたがらないし、受けたところで金額は法外になるからチカトリーチェも大赤字 アズ・エル: 監視スフィアとか、仕事の相場をよく知らない情弱がカモられたんじゃ…… フレーダ: そんな人、いる? タウルス: さっきから監視スフィアって何なのかよくわからないんだけど アウグスタ: すごく身近にいた! アクエリアス: ま、待ってください……あの、私たち、世の中のこと全然知らなくて スコーピオ: その通り。私もこの町で仕事をする中で、少しずつ覚えました アクエリアス: そ、それで……私たちって、あの、4人なんです……! アズ・エル: あ、そういえばそうだ タウルス: まさか、もうひとりがチカトリーチェとかいうやつに利用されて!? スコーピオ: 可能性はありますね。ただ、あの人買いが私を見て星の魔獣だと見抜き、さらにもうひとりも見抜いて接触したことになりますが タウルス: それは……ちょっと無理があるか…… スコーピオ: とにかく当局が追っているのはスコーピオです。なら私が身を隠せば済むことでしょう。では、私はこれで 60024 - 信念 タウルス: ちょ、ちょっと待ちなさいよ、どこへ行くつもり!? スコーピオ: 決めていません。それに、聞かないほうがいいのでは アクエリアス: スコーピオさん、私たちが逃げられるように時間を稼ごうとしてるんですか!? スコーピオ: 何を言っているんです。さっさと逃げようとしているだけですよ タウルス: ……っていう、フリよね スコーピオ: あなたたちは、この広い世界を見て回るのが目的なのでしょう?こんなところで足止めされている場合ではないのでは? アクエリアス: ち……違います、そ、そうじゃ、ないですっ……! スコーピオ: ……? アクエリアス: 私たちがっ、せ、世界を見たいと思ったのは……物珍しいから、だけじゃ、なくてっ…… アクエリアス: 私たちは、な、な、何のためにっ、生まれて来たのか、どうやって、い、生きていけばいいか、知りたいからでっ……! タウルス: 仲間を見捨てるようなヤツに、そんなものが見つかるとは思えないの。だから、私たちは貴方を行かせない スコーピオ: 私は貴方たちを タウルス: どう思ってようと、私にとっては貴方は仲間なのよ スコーピオ: …… ジョルジア: ていうかさ、なんでそんな悲壮感バリバリなの?あたしたち『黒い兄弟』が無事に国外まで逃がしてあげれば全部解決なんじゃないかな? アクエリアス: ジョルジアさんっ……! アズ・エル: エグい……なんだこのエグい撮れ高の量は……。こんなことなら生配信しときゃよかった…… リラ: ……友達なら、見捨てたりなんてできないもんね アズ・エル: ん? い、いま、リラっぽくない発言が……ていうか、拾い食いしてお腹壊したんじゃなかった? リラ: ぽんぽんぺいん! すっごく波があるの!乗るしかないよね、このぽんぽんウェーブに!ああああ! きた、きたよ、波! リラ: 動くなら早くしたほうがいいよ。この隠れ家だって時間の問題なんじゃない? タウルス: ええ、そうね。ジョルジア、頼める? ジョルジア: まかせて! アズ・エル: ええええ、なんなのリラ、怖いよ!! 60025 - 証拠映像 ヤシャ: あ、戻ってきたわ。人間さん、なんだったの? アリス・ミルズ: そのふたりを確保して! ヤシャ: えっ!? マホラガ: な、なになに? アルブス: すみません、私にもわかりかねますが命令なので 人間さん: 待ってくれ、ミルズ! 八武神は無実だ、利用されただけだって アリス・ミルズ: 少なくとも実行犯のふたりの身柄を確保するまでは、申し訳ありませんが自由にはできません ヤシャ: 実行、犯……? 人間さん: コミッティ本部の監視スフィアの記録映像から、予告状を置いた人物が判明した。……アシュラと、ディーバだ マホラガ: うそっ、なんで!? 何かの間違いじゃなくて!? アリス・ミルズ: 八武神はポルタ島の一件もあってか、コミッティ本部には関係者としてデータベースが残ってるの。簡単に検知されるわ。それに 人間さん: 俺もこの目で見た。間違いない。おそらく、誰かに利用されてるんだ マホラガ: うっそぉ……もう、何やってんの…… 人間さん: さっきスホマで連絡した。近くだったから、もうすぐ来るはずだ ポステリオル: ……アリア アリア: ポステリオル様。何が起こっているのかは、ワタシにもさっぱり ポステリオル: ……オフィウクス オフィウクス: い、いやっ、わ、わたしなんてもっとわかんないですよっ (背景切換...) ジョルジア: ほら、こっち スコーピオ: ここは? フレーダ: あたしたちが確保してる秘密の逃走ルートよ。アウグスタ、後ろは大丈夫? アウグスタ: うん、誰も来てない! リラ: ひ・み・つ♪ ゆっくり言うとどきどきするよね アクエリアス: ジョルジアさんたちと知り合えて、本当に助かりました……! アズ・エル: ほんとだよね。ぼくたちだけだったら、とっくに詰んでたし スコーピオ: ……どうして、ここまで ジョルジア: あたしが勝手に、スコーピオを仲間として認めただけ。見込んだ通りだったけど スコーピオ: 私は貴方のために何もしていません。何の利益があるというんです ジョルジア: 自分では絶対に認めないけど……ちゃんと、仲間のことを思ってる。あたしにはそう見えた。理由はそれで充分 フレーダ: みんな、こっち。この先に細い道があるから…… 衛兵: おい! 誰かいるぞ! ジョルジア: なっ……!? 60026 - 接敵 アシュラ: すまん…… ディーバ: こんなことになるとは思ってなかった……わけじゃないけど、ちょっと想像以上の規模っていうか…… ルーフス: なるほどね。そのチカトリーチェとかいう裏社会のやつに、この作戦をそそのかされたと…… アリス・ミルズ: ……いいわ。ルーフス、暗殺計画容疑については被疑者逮捕で全部隊に連絡してちょうだい ディーバ: た、逮捕って、うちらのこと!? アリス・ミルズ: 一時的な措置よ。そう重い罪に問われないようには口添えする ディーバ: お、お願いします…… アリス・ミルズ: その代わり、チカトリーチェ関連の怪しい拠点を捜索して。これを隠れ蓑に大きな仕事を企んでいる可能性があるわ ルーフス: 了解! すぐ連絡します! アルブス: とはいえ、スコーピオを見つけたいことには変わらないんでしょう? ヤシャ: え、ええ……それは、そうね。他の魔獣も一緒にいるはずだし アルブス: なら緊急配備は継続しましょう。被疑者は逮捕したけれども重要参考人ということで アリス・ミルズ: そうね。それでいきましょ 衛兵: アリス様っ! 西8区の外れにある森林で被疑者と思しき一団と接触したと報告が! アリス・ミルズ: なんですって!? 人間さん: 魔獣を見つけたのか! うかつに絡むと危険だぞ! アルブス: アリス様、どうしますか アリス・ミルズ: ……っ、仕方ないわ。こっちも知見を持つ戦力を揃えたい。ヤシャ、マホラガ。貴方たちは一緒に来てちょうだい。それとポステリオル……あなたたちも ヤシャ: もちろんよ! ポステリオル: 承諾 オフィウクス: みんなが……見つかった……。ふひっ、わたしを仲間外れにした罰、ですねぇ…… (背景切換...) ナーガ: ふう……飛空艇って乗ると気持ち悪くなるのね…… ガンダーヴァ: うん……あんまり楽しい乗り物じゃないな……うぷ…… ナーガ: とにかく、アクエリアスとか呼ばれてる魔獣は、この町に来てるはず。早く見つけ出すわよ 60027 - 犠牲 ガンダーヴァ: それにしても、ずいぶんものものしい町だな。そこらじゅうに兵士が…… ナーガ: きゃっ!? なに、この音! 鐘の音が狂ったように打ち鳴らされて……! 衛兵: 緊急車両が通ります! 道を開けてください! 危険です! ガンダーヴァ: え? お、おい、狂ってるのは鐘の音だけじゃないぞ。すごいスピードで馬車がこっちに来る! アルブス: 緊急車両が通行します。道の端に寄せて停止してください。繰り返します…… ナーガ: ん……? え、待って、あれ! ヤシャ: あーっ、ナーガとガンダーヴァ! ちょっと、この馬車についてきて…… (--) ガンダーヴァ: 一瞬だったな…… ナーガ: でもはっきり見えたし聞こえたわ! ヤシャとマホが乗ってたわよ ガンダーヴァ: あの暴走馬車についてこい、だって? しょうがないな……急ぐぞ! (背景切換...) 衛兵1: おい、どんどん応援を! こいつら手強いぞ! 衛兵2: 議長暗殺の大罪人だ。手段は選ぶなと命令が出ている。絶対に逃がすなよ! ジョルジア: くっ……ここはあたしたちが食い止める。みんなは行って! スコーピオ: そうはいきません、これは私の追手ですよ ジョルジア: いいからっ……ちょっとはカッコつけさせてよ アウグスタ: で、でもジジっ、カッコつける余裕も……うあああっ!! フレーダ: アウグスタ……っ、きゃっ、やめてっ、きゃあああっ!! 隊長: 武器の使用も最大まで許可されてる。撃ち続けろ! アズ・エル: う、うそ、銃……っ!? こ、これ、や、やば、やばばば 隊長: 西8より中央っ、被疑者は仲間7名とともに検問突破を試みている!至急、応援願いたい! 衛兵1: くそっ、おとなしくしろ!! ジョルジア: ぐああああぁぁぁ……っ!! フレーダ: やだ、痛いっ……! スコーピオ: ……私は…… アズ・エル: う、うわ、まって、スフィアには、触らないでっ、うあっ! アクエリアス: アズ・エルさんっ!! リラ: うわわわっ! らくがきっ、らくがきされるときの感じっ……!?今日は、兵隊さんのらくがきの日っ……! タウルス: リラっ!? 衛兵1: アリス・ミルズ本部長が到着されましたっ! 隊長: おお、心強い! 5名は確保、あと3名だとお伝えを!お前たち、絶対逃がすなよ! 足の1本も折っておけ! スコーピオ: 私……私は…… 60028 - 仲間のために ヤシャ: 捕まえたって、本当に!? アルブス: 残り3名とのことなので、おそらくは捕えたのは協力者かと アリア: でも魔獣も逃げずにその場にいるってことね。どういうつもりかしら ルーフス: いたわ、あれよ! 人間さん: あれが、残りの魔獣……スコーピオ、アクエリアス、それにタウルスか タウルス: ……っ!! ふたりとも見て、あれ! アクエリアス: もしかして、あなたも魔獣……!? オフィウクス: ふ、ふひっ、その通り……。わたしはオフィウクス……お前たちがわたしを仲間外れにするからこんな…… タウルス: ゆ、許せないっ……!! オフィウクス: ふへっ? タウルス: 私たちの大切な仲間を捕えて、人質にしようってわけ!? オフィウクス: え……な、なに……? たいせつな、なかま…… アクエリアス: う、ううっ……ひ、ひどいですっ、オフィウクスさんのことを、た、助けなくっちゃ……。それどころじゃないの、わ、わかってますけどっ…… タウルス: ええ。仲間を見捨てることなんてできない! 逃げるなら4人一緒よ! オフィウクス: なか……ま…… アリス・ミルズ: ちょっと、これ……やり過ぎよ。協力者にかなりの傷を…… ルーフス: 議長暗殺犯の情報が更新されていないんですよ。ついさっき被疑者確保の連絡を入れたところですから アリス・ミルズ: ちょっと遅かった、ってわけ……? すぐ治療をしなくちゃ タウルス: 私は……もう! 許せないわ! アクエリアス: わ、私も……。タウルスさん、やっと私、わかった気がします……。自分の、も、持つ力を、どう使うべきか……っ マホラガ: え、待って!? この気配、嫌な予感がするんだけど! ポステリオル: ……既視感 アリア: オフィウクスのときと同じだわ! こいつら、魔獣にっ……!? (--) 60028 - ストーリー用 Ⅰ 60029 - 魔獣の心 ヤシャ: はぁっ、はぁっ、つ、強いっ……! マホラガ: マホの魔法でも、抑えきれな……うわぁっ!? ルーフス: 大盾で押しつぶしてくるとか、予想外に荒っぽいやりかたをしてくるじゃないの……! アリア: こっちのやつも、斧を振り回してきて……かなりパワータイプみたいね 人間さん: まずいな……。相手は魔獣化してしまったから、もう言葉での説得は無理だ。なんとか俺のエルマイトで相殺できればいいんだが アズ・エル: す、すごい……これがアクエリアスの、本当の姿…… リラ: …… オフィウクス: みんな……わたしのこと、見捨ててなんか、なかったんだ……。大切な、仲間だって……わたしのために、怒って…… アリア: ちょっとオフィウクス、何をブツブツ言ってるのよ。うるさいわね オフィウクス: ふひっ…… ナーガ: あっ、いたわ! 何がどうなってるのよ! ガンダーヴァ: って、おい、その2体ってまさか、星の魔獣か!? ヤシャ: やっと来たわね! ふたりとも手伝ってちょうだい! オフィウクス: ポステリオル先生、申し訳ありません…… ポステリオル: 何? オフィウクス: わたし、研究よりやらなきゃいけないことが、ちょっと見つかってしまいまして……ふひっ アリア: あっ、ちょっとオフィウクス!? まさか寝返るつもり!? スコーピオ: オフィウクス……? オフィウクス: スコーピオさん、わたしはもう……覚悟、決めましたよ。ふひっ。あなたも、もうわかってるんでしょ……? オフィウクス: わたしがここで魔獣化すれば、魔獣が3体。あなたひとり逃げる隙くらいは作れそうですが…… オフィウクス: きっとあなたは、そうしない。でしょう? スコーピオ: ……そうですね。不思議です、こんな合理的でない判断が自然に出てくるなんて スコーピオ: 私たちは本当に、いったい何者なんでしょうね スコーピオ: でも、思ったより悪くない気分です。さあ、行きますよ (--) 60029 - ストーリー用 Ⅱ 60030 - 封印と自由の形 タウルス: え、あれ……魔獣化が解けて…… スコーピオ: まだです……。この姿でも十分、戦えま…… アシュラ: そこまでだぜ ヤシャ: アシュラ! アリス・ミルズ: 私が呼んだのです。逃げる心配はありませんでしたし ディーバ: ちゃんと反省してるもん! 逃げたりしないって アクエリアス: ば、万事、休す……でしょうか…… ポステリオル: 私に刃を向けるとは。疑問 オフィウクス: すみません、先生。どうしても……ここは、譲れなかったんですよぉ……ふひっ…… マホラガ: んじゃ、これを使うよ。ガルダの話だと、この札で魔獣をまた迷宮に封印できるんだって タウルス: 私たちの冒険も、ここまでね……短い間だったけど、悪くはなかったわ アクエリアス: アズ・エルさん……あ、ありがとう、ございました…… アズ・エル: ま、待ってよ……! アリス・ミルズ: アズ・エル殿…… アズ・エル: こ、こここ、この子たちはっ、何も悪いこと、してないっ……!た、ただっ、世界が、見たかっ……かっ、かったんだっ アズ・エル: 大自然に感動してっ、美味しいものが好きで、歩いたら意外とすぐ疲れちゃって、トイレの使い方も知らないしっ、あ、あとっ、おっぱいが大きい! アズ・エル: そして仲間思いで……。そんな……ふ、ふ、普通の、子たち、なんだっ ナーガ: ……星の魔獣、なのよ ディーバ: で、でも、なんかさ……本当にこれで、いいのかな…… ヤシャ: 人間さん…… 人間さん: マホ。札を マホラガ: う、うん……あっ! アクエリアス: ――っ!! タウルス: ――!! オフィウクス: !! スコーピオ: ……! ルーフス: あ、あっさり封印を……この流れで、まったく迷いなく封印したわね…… アズ・エル: あ、あぁ……ひどいや……! 最低だよっ、人間さんっ…… 人間さん: 落ち着いて。一旦封印しただけだから。彼女たちのことはちゃんと考える。それよりアズ・エルたちは治療を受けて アズ・エル: う、ううっ、人間さんのバカっ…… ヤシャ: 人間さん、それでよかったの? 人間さん: ……ミルズ。後は頼める? 俺は先に戻ってるよ アリス・ミルズ: え、ええ……わかったわ ガンダーヴァ: ……人間さんのやつ…… ナーガ: ……さっきのあれ、ワタシのことを気遣って、よね? マホラガ: 後味悪くなるからって、マホにもやらせないようにして ディーバ: ほんと、人間さんくんは…… (背景切換...) (――数日後――) (背景切換...) ガルダ: ふむ、制限つきでの解放、か…… キンナラ: い、居場所をちゃんと、検知できてっ、ど、動作ひとつでいつでも呼び戻せる……それまでは、じ、自由に外に出てもいい…… キンナラ: う、うん、ぎ、技術的には、作れると、お、思う…… ガルダ: そうじゃな。それに…… タウルス: ちょっとぉ! 実体を伴ってわかったけど、思った以上にここって狭いわね!!もっと拡張したらどうなのよっ! オフィウクス: ああ……研究のアイディアがどんどんわいてくるのに……こんなところで、閉じ込められるなんて。そこのあなた、代わりに実験してくれませんかぁ? アクエリアス: このまま何かのはずみで迷宮内の酸素が薄くなってしまったら、このまま窒息してひどい顔で死んでしまうかも……いやあぁぁぁっ!! ガルダ: 迷宮に戻しても人型の実体がベースになるようでな。うるさくてかなわん。外に放り出せるなら、その方が良さそうじゃな 人間さん: アズ・エルに口を利いてもらえないままだしな。というわけで、もう少し待っててくれ。仮の自由なら与えられる スコーピオ: ……いつか、私は仮の自由でなく本物の自由を、それこそ力ずくで奪うかもしれない。それでも、解放するんですか? 人間さん: 力ずくで奪う? やってみればいい。こっちには頼もしい仲間が大勢いるんだ。それは痛感しただろ? スコーピオ: ……なるほど。賢くなれ、ということですね スコーピオ: まあ、しばらくは大人しく従っておきますよ。……ジジに礼を言うまでくらいは。ですが 60061 - 正しさとは 朱雀: 人間さん……あれで本当に良かったの? 人間さん: と、思ってる。 (十二迷宮の深層から解き放たれた8体の魔獣。) (そのうちの4体がこの東方帝国南部に落下したという目撃情報を頼りに俺は四神たちを頼って捜索に来ていた。) (その領主は古くからの貴重な男友達でもあり、現在は所領の開発で帝国内でも名を上げている変態皇帝こと変帝。) (彼は知らないうちに魔獣を配下にしていたのだった。) 朱雀: 確かに、変帝と人間さんが仲良しなのは知ってるし、 友達の部下を守ってあげたいのもわかるけど 人間さん: それだけじゃないんだ (かつて先に迷宮から飛び出した4体の魔獣は……) (ただ広い世界に戸惑い、自分という存在を見つめ直すだけで 封印することが絶対の正義とも言い切れなかった。) 朱雀: だから、八武神に相談したかったんだよね。 封印が本当に正しい結論なのかどうか。 人間さん: うん……。前回は早く手を打たないといけない状況だったしいろんな人の目もあった。 でも今回はそうじゃないから 朱雀: 人間さんのそういうとこ、好きだよ。 人間さん: いや、どういうとこだよ。決断力ゼロでカッコ悪いだろ。 朱雀: ううん、そんなことないよ。 朱雀: ちゃんと真剣なんだって思えるし。 人間さん: 朱雀……。 朱雀: みんなと合流したらごはん食べに行こうね。 歓迎会開いてもらうはずだったけど、そうもいかなくなったし。 人間さん: あー……そうだったな。 さすがにあんな話を聞いたあとに、のんきに歓待されるわけにもいかなかったからな。 朱雀: 青龍とか豪華なごはん、すっごく楽しみにしてたと思うから。 人間さん: しゃーない、変帝と店に行くつもりで用意してた軍資金でみんなにパーッと美味いもんでも 朱雀: は? 店って人間さん…… 兵士: いたぞ! こっちだ! 兵士: ひっ捕らえろ!! 人間さん: なっ……お前たちはいったい何者だ!? 朱雀: 下がって、人間さん! 朱雀: ……この人には指一本触れさせないんだから! 人間さん: 装備に【変】の刻印……まさか、こいつら……? 60062 - 闇討ち 朱雀: まさか人間さん、この人たちって……。 人間さん: ああ……変帝の部下だと思う……。 朱雀: そんな……! 人間さんがあんなに温情を見せたのにそれを裏切るなんて! 人間さん: 裏切ったと決まったわけじゃ 朱雀: だって! こんなの、明らかに秘密を知った私たちの口封じでしょ! 兵士: くそ、なんだこの小娘。強すぎる。 兵士: 我々では歯が立たない……。 人間さん: (そりゃそうだ、こう見えても四神なんだぞ。 とはいえ、数に頼られてしまったら限界もあるだろうが……) 兵士: くそっ、この裏切り者め……! 人間さん: (裏切り……?) 兵士: トーコツ様! こちらですっ! トーコツ: 人間さんっ、お前……! 人間さん: トーコツ!? 人間さん: (まずいな……しかも大量の増援まで引き連れて……さすがに朱雀もこれは……) 朱雀: 人間さんっ! 私が引きつけるから、その間に逃げて! 人間さん: そんなことできるわけないだろ! 朱雀: でもっ…… 人間さん: 参ったな。 こんなベタなやり取りをするチャンスが人生にあるとは思わなかった。 人間さん: 朱雀、エルマイトをできるだけ渡すから、俺から離れないでくれ。 朱雀: ……っ トーコツ: 人間さん、どうして裏切ったりしたんだよ。 ドロシー師匠が泣くぞ。 人間さん: トーコツ、俺がいつ裏切った。 なんの話なんだよ。 トーコツ: ヴァルゴが言ってた。きっとお前が通じてるんだろうって。 朱雀: ヴァルゴ……! 星の魔獣の……? 朱雀: 人間さん、もしかしたら魔獣がいいように何か吹き込んでるんじゃ 人間さん: かもしれないが……。 トーコツ: こんなタイミングで大軍が来るなんて、どう考えても最初から仕組まれてたとしか思えない! トーコツ: それにコートクラークがヴァルゴたちの前に現れたのと同時にお前も閣下をたぶらかしていたなんて、出来過ぎだ! トーコツ: お前はコートクラークに通じているんだろっ! それで閣下を…… 人間さん: コート……クラーク……? 人間さん: 待て、それどこかで聞き覚えがあるぞ。 確か、ええと…… ???: 目を閉じて!  トーコツ: これはっ、煙玉っ!? けほけほ、ごほごほごほ! 朱雀: いまの声は、青龍っ……? 白虎: 詳しい話は後。ふたりとも急いでここから逃げるわよ! 60063 - 中央からの進軍 リューシャ: あぁ~。 こういうの、とてもよろしくない。 よろしくないよぉ。 諸葛亮: 仕方ないよ。これが宮仕えの辛いところだからね。 諸葛亮: ワタシたちは帝国参謀の身分。 皇府が出撃命令を出せば、それにさからう権利なんて持ち合わせちゃいないんだから。 リューシャ: まあね。それに大臣の思惑はともかく……。 諸葛亮: うん、星の魔獣が変侯の軍勢にいることは、三蔵法師からの証言でも間違いない。 リューシャ: 人間さんくんたちのことは心配だからね。 自分で行って確かめるしかないとは思ってたよ。 リューシャ: けど、ひっそり少人数で行けばいいのに! こんな大軍で押し寄せたら向こうだって喧嘩腰になっちゃうよ。 諸葛亮: でもワタシたちは参謀でしょ。 出撃命令には逆らえないけど、いざ戦場に出たらどう指揮するかはこちらの仕事。 リューシャ: どうするつもりなの? 諸葛亮: 大軍で取り囲んで、星の魔獣について身柄の引き渡しを要求する。 諸葛亮: 大臣もこれで機嫌を直すはずだよ リューシャ: コミッティである人間さんくんに恩が売れる、なんて考えてるんだろうね。 諸葛亮: 問題は……先んじて南部に入ってる人間さんくんたちだけど。 リューシャ: 何かに巻き込まれてるかもしれない? 諸葛亮: 状況によってはこの大軍で刺激してしまうことで、かえって身に危険がおよんでしまうかもしれない。 リューシャ: ……人間さんくん。 (背景切換...) 三蔵法師: 変侯領で評判の騎士が星の魔獣……。 三蔵法師: 人間さんたちの安全を考えれば、リューシャさんや諸葛亮さんを通じて帝国に報告しないわけにはいきませんでしたが……。 三蔵法師: もしそれが事実だとしても、人間さんの望んでいる方向性ではなかったのかもしれません……。 三蔵法師: ……。 三蔵法師: ただ座して結果を待つ、というのも私らしくありませんね。 三蔵法師: 行きますか……! 60064 - 戦うべきとき コントン: この変都が狙いなのは間違いないわね。 サジタリウス: これだけの大軍ですが、一気呵成に領土を攻撃するのではなくあくまでもこの都……ひいては、閣下を狙っています。 トーテツ: それはそうでしょうね。 いかに皇府と言えども、理由もなく領土を攻撃したら諸侯から非難轟々、統制がとれなくなるわ。 キューキ: 敵の狙いは閣下? ヴァルゴ: いえ、アタシたちよ。 ジェミニ: さっき追手が来たんですよね? それなら…… ジェミニ: あらかじめ用意していた軍勢を動かしたんじゃないでしょうか。 サジタリウス: 閣下が私たちを庇って下さったばかりに……申し訳ございません。 ピスケス: …………。 変帝: ……人間さん殿は、我との約束を……反故にしたというのか。 キューキ: 閣下……。 トーテツ: 人間さん殿は現在、トーコツ率いる治安部隊が捜索中です。 が、そのケジメは急ぐものではありません ヴァルゴ: そうね。目の前に迫る大軍 トーテツ: 星の魔獣に関して、そもそも私たちには手配書すら届いていない。 トーテツ: 人間さん殿が話をしに来た時点で軍勢を動かすなど言語道断。 ジェミニ: トーテツさま、そ、それでは トーテツ: 徹底抗戦です。ここで引いては閣下の名誉にかかわります! 変帝: ……そのとおりだ。我がここで投降などすれば、他の配下や領民にまで影響が及ぶ。 サジタリウス: ならば! 私たちにまずはその任、お与えくださいませんか! 変帝: なんだと? キューキ: だって敵の本来の狙いはみんななんだよ!? 最前線になんか出ていったら…… コントン: ええ。敵の思うつぼだわ サジタリウス: 私たちは……皆さんを、この領土に住まう全ての人を、仲間だと思っています! ジェミニ: 迷惑はかけたくありません。 兵士の皆さんはもちろん、領内の建物ひとつだって壊されたくない…… ヴァルゴ: だから、ここで指をくわえて見ているわけにはいかないの。 トーテツ: 貴方たち……。 変帝: トーテツ、行かせてやれ。 サジタリウス: 閣下! 変帝: ただ見ているだけなど辛かろう。 非力な民ならまだしも、こやつらは星の魔獣だったのだからな。 変帝: むろん、お前たちだけでは行かせない。 変帝: 四凶以下、精鋭部隊を援護につける。いいな。 サジタリウス: ありがとうございます、閣下……! サジタリウス: 必ず、守り抜いて見せます。 変帝: ふん、ヴァルゴがくわえるべきなのは己の指などではないからな。 ヴァルゴ: ここで下ネタ!? ほ、本当に、アンタはっ…… ジェミニ: それじゃあ…… ジェミニ: ちょっと暴れてくるか。 妹にもくれぐれも、って頼まれたんでね。 キューキ: 一瞬で人格入れ替わるのほんとにすごいよね。 サジタリウス: 閣下に弓引くものは何人たりとも許しません。 ヴァルゴ: 用意はいいわね、みんな。 ジェミニ: ああ。ボクたちがやっと手に入れた『正義』なんだ。 ジェミニ: 絶対に貫いてみせる! コントン: こ、これが星の魔獣、真の姿……!? ピスケス: 待って。 サジタリウス: ピスケス様……? アルファーグ: 争って生まれるものは少ない。 アルレーシャ: 正しい道を探すには時間が必要。 ジェミニ: 悪いけど、そんな余裕はもうないんだよ。 ヴァルゴ: アンタが言いたいこともわかる。 でもアタシは、ここが勝負どころだと思うわ。止めないで ピスケス: ………… 60065 - 疑惑の黒幕 人間さん: ここはもう、変帝の領内じゃないのか? 朱雀: うん。だからもう、追っては来れないはず。 人間さん: それにしても、何が起きたんだ……。 玄武: 皇府から軍勢が押し寄せてきたみたい。 青龍: あたしたちも詳しいことは知らないんだけどね。 三蔵法師さんが教えてくれたの。 人間さん: 三蔵法師がここに? 三蔵法師: ええ……よくぞご無事で、人間さん。 人間さん: そうか、もしかして皇府の動きに気付いて来てくれたのか? 三蔵法師: 状況をちゃんとお伝えしたくて、それで四神の皆さんに連絡をとったのです。 三蔵法師: すると、おふたりで変侯のもとに向かったと聞いて。 白虎: この人が来てくれなかったら、さっきの援護も間に合わなかったかもしれないわ。 人間さん: そうか……助かった、ありがとう。 朱雀: でもどうして軍勢が? 青龍: 星の魔獣だよ。あの変帝の部下にいることがわかったから。 三蔵法師: 私が変侯領を訪れた際、配下に手練の騎士がいると聞きました。 三蔵法師: その名が人間さんの探している魔獣のうち1体の名前と同じだったと……報告してしまったのです。 人間さん: 三蔵法師は何も知らないんだから、気に病まないでくれ。 人間さん: 正しいことをしたと思うよ。ただ……。 朱雀: 変帝からすれば、密約を反故にされたと感じるよね。 だからあのとき『裏切り』って…… 白虎: でも妙なのよね。 白虎: 私たち四神は皇府の事情もわかってるつもりだけど…… 玄武: あの大臣にしては動きが性急すぎる。 白虎: まだ疑惑程度であんな大軍を動かすなんて妙だわ。 誰かに焚き付けられたのかもしれないけど…… 人間さん: いや、実際そうなんじゃないか。 三蔵法師: 誰がそんなことを? 変帝あるいは星の魔獣に何か恨みがあって、皇府に影響できる存在なんて……。 人間さん: 皇府への影響力は大臣が持っている。 大臣個人にうまくアプローチできれば不可能じゃないだろ。 朱雀: 確かにあのお爺ちゃん、ちょっとチョロいとこあるもんね。 玄武: 名誉の話とかになると神経質っていうか。 白虎: でも、じゃあ人間さんはこの状況を作り出した、黒幕がいるって言いたいわけ? 人間さん: ……ずっと気になっていることがあるんだ。 人間さん: まず十二迷宮に連絡を取りたい。 60066 - 黒い天秤 キンナラ: あ……人間さんっ……う、うん、魔獣の行方、み、見つかりそう、なんだ。よ、よかったね。 キンナラ: え……う、うん、ガルダも、い、一緒だよ。 キンナラ: スホマ、スピーカーにすれば、い、いいの? ガルダ: なんじゃ、何かあったのか? 人間さん: <ちょっとそっちの状況を確認したいんだけどいいかな。> 人間さん: <俺もちらっと見ただけだから確証はなかったんだけど、今回脱走した8体の魔獣を、封印していた台座があったよな。> ガルダ: ああ……。脱出時に破壊されてしまったからな。 ガルダ: いま台座も含めて修復作業中じゃ。 人間さん: 黒い焦げ跡がついていたよな。 ガルダ: かなりの魔力で封印を破壊した跡じゃな。 人間さん: その跡なんだが……天秤宮だけが、内側に焦げ跡がついていないだろうか。 ガルダ: ……!? た、たしかに……いやでも、なぜ内側に? だとすると、天秤宮は 人間さん: ありがとう。とりあえず聞きたかったのはそれだけなんだ。 引き続き頼んだよ。 キンナラ: う、うんっ……人間さんも、き、気をつけて。 (背景切換...) 青龍: なに? いまのお話が黒幕のことなの? 人間さん: まだ確信じゃない。 けど、誰かが裏で糸を引いている可能性は高くなったと思う 玄武: その黒幕にも心当たりがある? 人間さん: カンだけどな。 コートクラークという言葉からすると、おそらくは……いや、相手のことはまだ気にする段階じゃない。 人間さん: とにかく、変帝も、星の魔獣も、皇府も……そいつの思惑に踊らされているんだ。 三蔵法師: なんですって……!  そんな無益な戦いがあってたまりますか!いますぐ止めないと! 白虎: そうね。東方帝国を預かる立場としても見過ごせないわ。 玄武: 両方を止めないと。 人間さん: 朱雀、両軍が交戦するとしたらどこだ? 朱雀: 地形的にルートは限られるよ。 朱雀: たぶんこのまま行くと……江牢関(えろうかん)っていう変帝領の北東拠点でぶつかるんじゃないかな 人間さん: わかった。なら行こう、江牢関へ。 人間さん: 悪いけど、みんなもついてきてくれ。 青龍: もっちろん! 60067 - 暗躍するコートクラーク 兵士1: ぐわあああああぁぁぁっ!? 兵士2: だ、だめだっ、退避、退避~っ! ヴァルゴ: サジタリウス! もっと連射をお願い、相手を釘付けにして! サジタリウス: 承知しました! はああああぁぁぁっ!! 兵士1: う、ううっ、近づけないっ…… ジェミニ: ここでボクがヒット・アンド・アウェイで戦うってことだね。 ジェミニ: 見てて、蹴散らしてあげるから! (背景切換...) 諸葛亮: あれが……星の魔獣かぁ。さすがにレベルが違うね。 皇府軍の一般兵じゃいくら束になってもかなわないよ。 諸葛亮: 戦術的にも思ったより統率がとれてる。 遠距離攻撃、友軍支援、そしてあの遠近使い分けたトリッキーな攻撃。 リューシャ: 遠距離がサジタリウスかな。 なかなか隙がないね。 諸葛亮: ですが、ワタシにかかればなんとでもなります。 諸葛亮: この孔明の戦略、ご覧に入れて…… 兵士3: 申し上げます! あ、あの、人間さん様が来られて……っ 諸葛亮: 人間さんくんも追いついたってわけか。通してあげて。 諸葛亮: 目の前で見事、魔獣を捕まえてみせよう。 (背景切換...) 大臣: ふ、ふふっ……変帝め、ざまあみろ……。 これで少しはヤツも大人しくなるだろう……! 大臣: それというのも…… コートクラークの男: 私がお役に立てたのなら何よりです。 大臣: 当然、君には褒美を考えているから安心してもらいたい。 コートクラークの男: 褒美など良いのです。貴方の株はこれで一気に上がる。 コートクラークの男: 更に領主亡き後は、大臣閣下が直接統治すれば、完成した都市から得られる収入は独占…… コートクラークの男: 私はその統治のお手伝いができれば十分ですから。 大臣: いっときの褒美よりも、継続的な利益……君はよく計算ができるようだね。 コートクラークの男: ふふっ…… (背景切換...) ジョカ: ん……? なんだ、あれは大臣…… ジョカ: 奴ら一体、何の話をしている……? 60068 - 江牢関の戦い ジェミニ: さ、さすがに人数が多すぎる……次から次に出てくるんだからきりがないよ……! ヴァルゴ: 弱音吐いてんじゃないわよ、ジェミニ! アンタ、姉の方でしょ! ヴァルゴ: アタシがもう1回攻撃強化してあげるから、ほら! サジタリウス: とはいえ私たちは…… 十二迷宮の外に出てから、まだ実戦経験も少ないです。 力をコントロールすることにもあまり慣れていません。 ヴァルゴ: 実力は圧倒しているつもりだけど、こうも戦いが続くとどこかでほころびが出るかもしれない、ってことね。 ジェミニ: ん……? あっちから誰か来る……!? 青龍: ストップ、ストップ~! みんな1回、戦うのやめよーっ!? 兵士1: な、なんだ? 将校: お、おい、あれはまさか…… 白虎: 控えなさい! 私たちは皇府直轄の東方帝国顧問、四神よ! 白虎: いますぐこの戦いを中止しなさい! 将校: ひっ……四神っ!? 諸葛亮: おっと……あれは人間さんくんたち? 諸葛亮: こちらの陣に表敬訪問、といった雰囲気ではなさそうだね。 四神を引き連れて一体どういうつもりなんだろう。 リューシャ: 魔獣との戦いを止めさせる……私たちでは危険だから、下がっていろってことかな。 諸葛亮: そうだとしたら回りくどいやり方だけど……ま、とにかく。 諸葛亮: 全軍に告ぐ! 直ちに攻撃を中止、警戒態勢で待機! (背景切換...) ピスケス: ………… キューキ: ピスケスは……行かないの? アルファーグ: 争いで生まれるのは憎悪と悲しみ。 アルレーシャ: 道は常に一本道ではない。 トーテツ: ……戦う以外の選択肢を探しているのね。 そうね。ピスケスはきっと賢いし、正しいわ。 トーテツ: でも、正しさだけでは行動できないのが私たちなのよ。 トーテツ: キューキ、コントン! 軍勢の準備ができたわ。私たちも江牢関に向かうわよ! ピスケス: ……正しい答えは知恵の泉に沈んでいる。 (背景切換...) ヴァルゴ: アンタが人間さん……? アタシたちを裏切っておいて、よく顔を出せたものね…… 人間さん: 違うんだ! これには誤解があって…… ジェミニ: 黙ってよ。 ボクたちは怒ってるんだ……大切な人が理不尽に傷つけられたからね。 サジタリウス: 私たちは決めたのです。 正しいと思う道を進み、そして……必ず何かを成し遂げようと。 サジタリウス: それが私たちが、この世界に生まれた意味なのです! ヴァルゴ: アタシたちはここから先……誰ひとり通さないわ! 60068 - ストーリー用 Ⅰ 60069 - 正しさよりも大切なもの コートクラークの男: ……しかし、相手方には星の魔獣がいることはご承知ですね。 大臣: あ、ああ…… コートクラークの男: 簡単に倒せる相手ではありません。 いくら一般兵を何十万と集めたところで奴らの前では子供扱い。 大臣: ……それもなにか策があるのだろう。 コートクラークの男: ええ。私が援軍をご用意しましょう。強力なね…… ジョカ: ほう。ずいぶんと勝手をしてくれているようだな。 コートクラークの男: ――っ!? 大臣: ひっ! ジョ、ジョカ様っ……! ジョカ: 我の親友、東方大帝シユウを差し置いてなんの相談だ……。 星の魔獣なら人間さんが捜索しているところのはず。 ジョカ: その所在を知ってなお報告しないばかりか、軍勢だと? ジョカ: まさか、我やシユウに相談もなく戦を始めているのではないだろうな 大臣: こ、これは、反逆があったからで ジョカ: お前のことは後回しだ、大臣。 それよりも……お前は何者だ。 コートクラークの男: くっ……お、俺はっ…… コートクラークの男: ぐぁっ!? ジョカ: 頭を射抜かれた!? 何者だ! ???: ふふっ……ふふふふっ…… ジョカ: ……お前がこの件で、この男を使って裏で糸を引いていた、そうだな? ???: なんのことか…… ジョカ: だが、我に見つかり作戦は失敗…… お前はおそらく、口封じのためにこの男を…… ???: わたくしはただ、正義のために動いたにすぎない。 ジョカ: 正義が聞いて呆れる。 お前、何者だ! (背景切換...) ???: 正義の執行者。 ???: ジャッジメント―― (背景切換...) ヴァルゴ: いくわよ、ふたりとも! ジェミニ: はああぁぁっ……星の光よ、この手に! すべてを、切り刻むっ!! 白虎: させないわよ! 光神虎・白虎乱舞!! 白虎: きゃあああぁぁっ!! 朱雀: いまのは!? 玄武: 攻撃を、跳ね返した……!? 青龍: な、なんなの……? めちゃくちゃ強いよっ! 三蔵法師: 皆さんっ、後方から遠距離攻撃がきます! サジタリウス: 放たれる矢は流星のごとく……! 逃れられると思わないで! 青龍: うああああぁぁっ!! 諸葛亮: 人間さんくんたちっ、ここはまず相手の連携を崩すんだ! 人間さん: 諸葛亮!? それにリューシャまで……もしかして、この大軍を率いていたのは リューシャ: 今はそれどころじゃないでしょ。 ほら、やるよ。 人間さん: あ、ああ……! 諸葛亮: まず援護役の彼女を狙い撃ちにするんだ! 青龍: んもーっ、あたしも怒ったよ! 水神青龍・十芒波動螺旋! ヴァルゴ: くっ……! リューシャ: 人間さんくん、私たちにエルマイトを! リューシャ: パワーで押し切るよ。 あのヴァルゴって子の援護を上回る速度で倒すの。 人間さん: ああ、わかった……!! 玄武: 防御はまかせて。みんなは一斉に攻撃を。 白虎: 了解! はあああぁぁっ!! 朱雀: 朱雀煌炎葬っ!! ヴァルゴ: なっ……う、あ、あああああぁぁぁっ!! サジタリウス: ヴァルゴ様!! ヴァルゴ: あ、ああっ、アタシ……!? そ、そんな……! 諸葛亮: 連携が崩れた! まずは後衛から叩くんだ! ジェミニ: しまっ……サジタリウス! 気をつけて!! サジタリウス: なっ……は、速いっ……!? これがエルマイトで強化された相手の速度!? 青龍: いっくぞー! サジタリウス: くっ……ですが、スピードなら私も負けませんっ……! リューシャ: はい、つかまえた サジタリウス: なっ、い、いつの間に!? 羽交い締めっ? は、離しなさいっ! リューシャ: 読みどおりだね! 私の作戦勝ち、かな? 白虎: たあああぁぁっ!! サジタリウス: ぐ、はぁっ……!! 人間さん: やり過ぎるなよ! 魔獣化さえ解除できればいいんだ! 白虎: わかってるわよ! けどっ、手加減して勝てるような簡単な相手じゃないんだからっ…… ジェミニ: くっそ、させないぞ!! 三蔵法師: そうはいきません……これが、御仏のご判断です! ジェミニ: くっ!? なんだ、まさかボクの技を封印してる……? ジェミニ: お前ごときに、どうして…… 三蔵法師: 決まってるではありませんか。 人間さんのエルマイト効果です。 三蔵法師: 人間さんが私たちのためにと…… 三蔵法師: たっぷり送ってくれたエルマイト、食らいやがれぇ! 三蔵法師: うああっ!? ジェミニ: え、あれ……? アルファーグ: 機を逸することは防げた。 アルレーシャ: 光のない場所はない。 ピスケス: 戦いはこれから。 ヴァルゴ: な、なによ、遅いじゃないっ、ピスケス! サジタリウス: ピスケス様……! お待ちしていましたよ。 諸葛亮: おっと……これはまた戦況が変わりそうだねぇ……。 諸葛亮: でも、天才軍師としては、これくらい対応しなくちゃ。 人間さん: 頼むぞ、諸葛亮。 あと一息だ。 ジェミニ: でも、いいの? 戦うよりも正しい方法を探すって アルファーグ: 正しさよりも。 アルレーシャ: 大切なもの。 ピスケス: 見つけたから。 60069 - ストーリー用 Ⅱ 60070 - 成し遂げるよりも添い遂げて フアナ: い、以上が、東方帝国で起きた、事の顛末みたいで…… ジャコヴァ: ……ふん。 フアナ: ってことでいいんだよね!? 人間さんくん? 人間さん: ああ。 激しく苦しい戦いだったが、江牢関に八武神のヤシャ、ガンダーヴァ、そしてナーガとディーバも加わったおかげで全員の制圧に成功した。 ヴィルヘルミナ: そんなに平和な顔で話すことじゃないわよ。 それで、魔獣たちは? 人間さん: 一応、封印したよ。その場の状況もあったから。 人間さん: でもまた、タウルスやアクエリアスたちみたいに自由に行動できるように術式を改良している。 ジャコヴァ: だったら封印しなくても良かっただろう。 人間さんは、今回はそのつもりだったのでは? ジョカ: それについては我から補足するのが妥当だろう。 ジョカ: 今回は我が皇府から軍勢を差し向ける形となってしまった。 経緯はどうあれ皇府軍が動いて、勘違いではすまない。 人間さん: 大帝シユウのメンツを潰すわけにはいかないんだ。 そんなことをして東方のパワーバランスが崩れるのは避けたい。 ジョカ: そこで表向きは魔獣討伐の軍勢だったことにして、魔獣は本来の変侯から身柄を人間さんに引き渡させたのだ。 (背景切換...) トーテツ: 何がメンツよ、くだらない!! 変帝: まあまあ。 皇府が魔獣を探していることは知りながら、人間さん殿と直接交渉しようとしていた我も落ち度がないわけではないのだ。 キューキ: 今回は難しいお話が多かったな~。 トーコツ: あたしはもう、理解するのは諦めてるぞ。 コントン: いばらないでよ。 変帝: 結果的には、所領は安堵されたし配下たちも全員無事だ。 町も、何ひとつ被害を受けていない。 コントン: 無事に守り通せた、っていうおつもりですか? 変帝: いいや。大切な配下を4名も失った…… (背景切換...) 人間さん: ではここで、証人喚問を要請する。 フアナ: ふぁああっ、ふぁ、ふぁいっ! では、証人たちをここへ ヴァルゴ: …… サジタリウス: …… ピスケス: …… ジェミニ: 妹は怖がってるから、ボクが話すけど……変帝たちは無事なわけ? 人間さん: ああ、それは間違いない。 ヴァルゴ: アンタの言葉なんて信じらんないのよ! クラース: あらあら。 ずいぶん嫌われちゃってるわね、人間さん。 ジョカ: まさに、そのことにも触れなくてはいけないだろうな。 ジョカ: 軍勢が動いたのは人間さんとは関係のないことだ。 サジタリウス: え……そう、なんですか? では変帝閣下のことも裏切っていない? ジャコヴァ: 面白い連中だ。 自分たちの封印よりもまず、主君や同輩たちの安否を気にする、か…… ドロシー: そういうノリ、私は嫌いじゃないわ。 シンデレラ: だから人間さんも条件付きとはいえ、自由にしていいって決めたんでしょう? 人間さん: 変帝と約束しちゃったからな。 エミリー: 約束ぅ? ジャコヴァ: それよりも、だ。 さっさと喚問を終わらせるぞ。 ジャコヴァ: お前たちに聞きたいのはひとつだけ。 ジャコヴァ: コートクラークについてだ (背景切換...) トーテツ: 一時的に失いはしましたが、また戻って来れると聞いています。 トーテツ: 閣下はちゃんと、全員を守られたのですよ 変帝: ……であるなら、良いのだが。 兵士: も、申し上げます、閣下! 変帝: む、何事か。 兵士: い、いま、門の前に…… サジタリウス: ただいま戻りました、閣下! ピスケス: 輪の行き着く先は輪の裏側 ジェミニ: お、お久しぶりです。 あのっ、その節は大変ご迷惑をおかけして……で、でもその ヴァルゴ: やり残したことがあるから、来たのよ。 キューキ: みんな~! よかった、元気そうだ~! サジタリウス: 何かしでかせばすぐに迷宮の封印に逆戻り、ですが…… コントン: 何も悪いことしないのは、よく知ってるわ。 ヴァルゴ: アタシたち、まだ何も成し遂げてないから。 だから……もう一度、ここに置いて。 変帝: 気負わずとも、お前たちは多くのことを既に成し遂げている。 変帝: 功を焦るよりもまず、永く……この地を守ってほしい サジタリウス: 閣下……! 変帝: どうしても何か成したいというのならば、そのときは ジェミニ: そのときは? 変帝: 我と子を成すというのはどうだ? ん?ほれほれ ヴァルゴ: 腰を振りながら近づいてくるんじゃないわよ! このヘンタイ!! (背景切換...) (ほぼ同時刻、ドミング諸島上空――) (背景切換...) ジェミ・ホーキンズ: 今日も快晴ね♪ 空の旅は気持ちいいわ。 なーんて、雲の上はいつも晴れだけど。 ジェミ・ホーキンズ: 荷物の積み下ろしは大変だけど、運んでる最中は楽しいし配送の仕事も悪くな……ん? ジェミ・ホーキンズ: あれは……何か飛んでる? 飛空艇よりもずっと大きな…… ジェミ・ホーキンズ: 空飛ぶ、島……!? 60071 - 侵略者の兵力 (オトギノクニに突如として出現し、 コミッティに宣戦布告した反社会的組織ギャベルと、 その拠点となる空中浮遊移動要塞。) (各国は騒然となったが、 移動要塞からドラゴニュートへの長距離弾道砲撃により一斉に沈黙した。) (ギャベルの移動要塞はその隙に中立地帯の主要拠点へ次々に兵力を投入し制圧を試みる。) (リベルタリブロを皮切りに、エイヴォン研究所、極北島、ドミング諸島……) (その戦いで投入されたギャベルの主戦力こそが――) (背景切換...) ドロシー: ディ・マキナ……ですって!? アルブス・ツークツワンク: おそらくは。こちらの映像をご覧ください 人間さん: ……っ、間違いない、デザインは多少違うが、 これはまぎれもなく俺たちが旅していたときに戦ったオルディン連合の…… アルブス・ツークツワンク: そのほか、一般兵も似た技術の応用で作られた強化装備を持ち、 白兵戦においてかなり戦況を左右している状態です シンデレラ: この強化装備は、ゼノエガータ帝国で使われているものに近いんじゃないかしら……? トリル: 襲われているのは、あまり兵隊さんが多くいる場所ではないですし…… クラース: 狙い撃ちにされたら、たまらないでしょうね シンデレラ: これってオルディン連合がギャベルのバックについているってこと!? ドロシー: そんな……あの子たちとは仲間になれたんじゃなかったの? 人間さん: 機体が使われている、というだけだろ。 とはいえ、話ができる状態にはしておいたほうがいいな…… ヴィルヘルミナ: 人間さん。あなたたちは繋がりがあるのよね? 窓口になれる? 人間さん: ああ、もちろんだ (背景切換...) コートクラークの男: ご覧の通り、主要拠点は一斉に制圧しました。 これでコミッティの連中も交渉のテーブルにつかざるを得ないかと ジャッジメント: ……いいだろう。しばらく相手の動きを見ようではないか。 焦っていると思われても面白くない コートクラークの男: かしこまりました ジャッジメント: (ふふっ……結果的に、最も強いカードを引き当てたかもしれないわね。 このまま進められれば、わたくしがライブラ様の理想を、悲願を……) ジャッジメント: (わたくしこそが……ライブラ様の星の魔獣であるわたくし、 リーブラことギャベル総帥ジャッジメントこそが継承する……!) 60072 - フィールドワークの後に アリエス: はー、フィールドワーク楽しかったー!ねー? アインシュタイン: うそはよくない アリエス: なんで嘘って決めつけんのよ! アインシュタイン: うそ発見器、作動。ぴぴぴ アリエス: いだだだだ!なんか痺れるんだけど、それ! アインシュタイン: ほら、うそだった キャンサー: うそはアインシュタインのほうだよ~? それ先週、ツボ刺激マッサージ機って自分で言ってたのに~ アインシュタイン: ばれたか アリエス: はあ、はあ……なんてことすんのよ、学園のアイドルに向かって! もっとわたしには憧れ♡どきどき♡みたいな感情を向けてよね!? カプリコーン: やれやれ、賑やかですね。リーシス リーブラ: ほんと、みんなといると飽きないわ カプリコーン: それ……本当ですか? リーブラ: え? カプリコーン: いえ。ちょっと後で話したいことがあるので、 あとで図書室に来てもらってもいいですか? リーブラ: ええ……構わないけど…… アリエス: あっ、ちょっとアウラまで!なんか変な機械出してる! それでわたしのこと、めちゃくちゃにするのね! アウラ: え?あ、ううん、これは…… アリエス: あれでしょ? えっちなところに、えっちな刺激を伝えるえっちな機械なんでしょ! それでわたしをアヘ顔に……! キャンサー: アリシア、えっち言い過ぎ アインシュタイン: あとエロマンガ読みすぎ アウラ: ほんとだよ!このむっつりスケベ! これは本当に違う装置だし、アリシアにも使わないってば 服部あおい: はい、キドー殿はこれで今日は帰られますから、皆さんご挨拶を アリエス: あっ、ありがとうございましたー! リーブラ: また次の心霊スポット楽しみにしてるわね キドー: んん~…… リーブラ: ……えっと? キドー: ううん、なんでもないでーす。それじゃ皆さん、また 服部あおい: あっ、送りますよ (背景切換...) 服部あおい: 今回は本当に遠いところからありがとうございます キドー: や、どっちにしろ友達のために来ることになってたんで。 むしろちょうどいいバイトで臨時収入あって助かりましたねー 服部あおい: 友達の?ご旅行ですか? キドー: いやあ……ちょっと友達の彼氏…… いや、元カレなんですけどちょっとヤバい団体にハマったくさくて キドー: それ、追いかけてきたんですよ 服部あおい: やばい団体……ですか 60073 - 使われている技術 アウラ: あ……やっぱり、この反応 (アウラは持ち出した装置を、上空を通過する移動要塞に向けて何かを計測していた。) (移動要塞の基本位置はこの近くらしく、 そこから毎日のようにどこかに移動しているのを見かける。) アウラ: 誰かのことを……襲いに行ってるんだよね…… (報道によってアウラもギャベルの侵攻については把握していた。 それを思って、アウラは目を伏せる。) アウラ: 誰かを傷つけることに、ゼノエガータの技術が使われてる……ってことなんだ…… (うつむく彼女の視線の先には、持ち出した装置。 そこに示された計測値は適合率99%とある。) アウラ: ……でも、どうやって (アウラがぽつりとつぶやいたとき、装置が信号音を発した。 同時に赤いランプが点滅する。) アウラ: ……?他にも反応がある……?ここから、近いみたい…… (背景切換...) リーブラ: カプレーゼ?どうしたのよ、こんなところに呼び出して…… カプリコーン: わざわざありがとうございます。 少々人目を避けて話したいことがありましたので リーブラ: それなら部屋でいいじゃない カプリコーン: キャン……ディスと、アリシアにも聞かせないように、 ふたりだけで話したかったので リーブラ: 急にどうしたのよ カプリコーン: リーシス……いえ、ふたりきりだし、リーブラと呼びます。 あなた最近、何か私たちに隠してはいませんか? リーブラ: 隠す?何を? カプリコーン: それがわからないから聞いているのです。 でも、私たちに隠れて何かひとりで行動しているでしょう……? リーブラ: と、カプリコーンは思ったのね カプリコーン: 勘違いだと言い切るつもりですか? いいえ、あなたは確かに何かしているのです カプリコーン: でも、私はそれを責めたいわけじゃない。 何か困っているなら、必要なら、一緒に協力しますから リーブラ: …… カプリコーン: だから、ひとりで抱え込まないでください。私たちは仲間でしょう? 困っていることがあるのなら、手伝わせてくれませんか。水臭いじゃないですか リーブラ: ……なんのことか、わからないわ リーブラ: けど……気持ちは伝わった。 もし何かあなたたちの力を借りたいと思ったそのときは、遠慮なく相談させてもらうわね カプリコーン: ええ…… リーブラ: 話はそれだけかしら。じゃあ、私はこれで (リーブラはその場を後にする。) (残されたカプリコーンはその背中を見送って――) アリエス: カプレーゼ? どうしたの、なんかいまリーシスが出ていったけど カプリコーン: アリシア…… もしものときは、私と一緒に来てくださいね アリエス: んん?話が見えないけど…… でも、もちろんだよ。わたしはカプリといっしょだから。 ずっとね 60074 - オルディン会談 (――黒鉄の国――) (この黒鉄の国はオトギノクニにおけるオーバーテクノロジーが集結した地域だ。 バランスを重視したレグルス神官長によって隔離されていた場所でもある。) (組織が崩壊し、再興を目指してやり直しているかつての最強の傭兵集団、 オルディン連合の現在の本拠地もまたこの国にあった。) (背景切換...) ラウラ: ひさしぶりね、人間さん。噂ではずいぶん偉くなったんだとか 人間さん: それ、変帝とかもみんな言うんだよなぁ……。俺は俺、何も変わらないよ ディグニダ: 昔からの顔なじみということで、今回の会談をセッティングしたけど現在の状況も、 あなたたちが意図するところも分かってる。さっさと本題に入りましょう ラウラ: ずばり、オルディン連合を疑っているのね? 人間さん: そういう考え方がコミッティ内にまったく無いとは言わない。 でも、この会談の目的は疑惑を追及することじゃないんだ シンデレラ: 私たちは、かつてのオルディン連合崩壊までの経緯も知ってる。 だからこそ詳しい話を聞きたかった。それに…… ドロシー: あなたたちが頼りになるってことも知ってるわ。 疑惑どころかむしろ、力を貸してほしいのよ ラウラ: え?疑われてるわけじゃないの? シンデレラ: やっぱり、そう思ってたのね。 入口の身体検査からしてずいぶん、ものものしいなって思ってたけど ディグニダ: とはいえ、ラウラ総司令。私たちがコミッティに味方する義理はありません ディグニダ: 私たちのエルマイトは独自のルートで供給されている。 コミッティ管理下にない、特殊なものです。 支配関係はもちろん、利害が一致するわけでもありません ラウラ: それは、そう……なんだけどね。だからこそ後ろ盾が必要だとも思うのよ ラウラ: 私たちオルディン連合はおそらくだけど、 いわゆる『物語』とは少し違う存在みたいだわ。 コミッティに左右されないと言えば聞こえはいいけど…… シュカ: 危うい存在でもある、というわけだな ラウラ: シュカさん……! シュカ: 事情はディグニダからおおよそは聞いている。 必要なら私たち団長級くらいには相談してくれてもいいんだぞ、総司令 ラウラ: う……そうですよね。自分で抱え込みすぎてしまいましたね 人間さん: 誤解しないでほしい。さっきも言ったが疑惑を追及するのが目的じゃない。 こうして出向いたのは、いま目の前にある危機に対処するための『お願い』なんだ ラウラ: お願い……? シンデレラ: 力を貸してほしいの。私からもこの通りよ ラウラ: …… 60075 - 元カレの行方 イヨ: やっと見つけた……たーくん (もう陽も沈もうかというとき、リベルタリブロ郊外の町の雑踏で、 イヨは彼の姿を見つけることができた。) たーくん: イヨ……!?なんで、ここに イヨ: 探してたからだよ! たーくんがヤマタイ学園を中退したって聞いて、そこからずっと たーくん: なんでだよ。俺たちもう、赤の他人じゃないのかよ イヨ: 違うよ! (道行く人々が振り返って、物珍しそうにふたりを見やる。) イヨ: 私にとってたーくんは、元カレなんだもん。 昔みたいに笑いあえなかったとしても私は…… たーくんには幸せでいてほしいって思ってる たーくん: ……それは、俺だって (言いかけるが、彼は途中で口場をつぐむ。) たーくん: とにかく、俺のことはもう放っておいてくれ。やっと見つけた答えなんだ イヨ: その怪しいところで、たーくんは何をやってるの? 危ないことじゃないよね!? たーくん: 世界を正すんだよ…… イヨだって知ってるじゃないか。世の中は、腐り切ってるんだ イヨ: 嫌なことはたくさんあったよ。だけど、嫌なこと『だけ』じゃないよ。 世界を正すって、そんな大げさなこと…… たーくん: 放っておいてくれって言ってるだろ! イヨ: たーくん…… (彼は足早にその場を立ち去る。) (イヨは不安なまま立ち尽くし彼を見送るのだった。) (背景切換...) たーくん: なんだって今さら俺のことなんか……イヨのやつ…… たーくん: あの頃は幸せだったのに、どうして俺は…… どこで間違えたんだ…… やっぱり、あのとき……っ。くそ……っ コートクラークの男: なんだかイライラしているみたいだね? たーくん: あっ!コートクラークの……遠藤さん……! コートクラークの男: これから出撃なんだろう? そんな精神状態で出撃なんてオススメしないけど…… 死に急いじゃいけないよ。いいね? たーくん: え……は、はい…… (背景切換...) コートクラークの男: (……このギャベル移動要塞の中にスフィア類は一切持ち込めない。 何度か試したが、ここの防御は徹底している) コートクラークの男: (裏を返せば、そこまで過敏になるほど顔バレを嫌がっているということになる。 スフィアがなければ映像は送れないけど、でも……) (端末を操作していた指を止める。 これが目当てのデータだ、と目を細めた。) コートクラークの男: (見つけた。通信記録……) コートクラークの男: (これでおおよその発信場所の所在を特定できる。 行動範囲が絞りこめれば、きっと……ん?) コートクラークの男: 職業訓練校……? 60076 - 量産型 ギャベル構成員1: αチーム、D-1区画を制圧! ギャベル構成員2: 『イグゼクション』前へ!掃射! 住民: ひいいいい!助けてくれぇっ! ギャベル構成員1: 誰も逃がすな!全員捕縛するようにとの命令だ! たーくん: (こ、これが戦い……!筋トレは続けて来たけど、通用するのか……?) ギャベル構成員2: おい、新入り!そっち、行ったぞ! たーくん: ……はっ!?あ、は、はい、わかりました! 母: ひっ……み、見逃してください……っ! 娘: うわああぁぁん! たーくん: え……捕縛って、この人たちを……? 母: お願いです、娘だけでも……! 娘: ママをいじめないで! たーくん: お、俺は…… シュカ: そこまでだ! アドラツィ: やりたい放題やってくれてたみたいだなっ! でも、もう私たちオルプロト騎士団が来たからにはこれ以上はやらせない! たーくん: オル、プロト……? ギャベル構成員1: くそっ、何者だこいつら……!我らの正義の鉄槌を下してやる! アドラツィ: 正義が聞いて呆れる!か弱い一般市民を追い回すのが正義じゃないだろ!! ギャベル構成員2: ぐああっ!! ギャベル構成員1: くそっ、こいつら強いぞ!『イグゼクション』を出せっ、すり潰してやるんだ! シュカ: イグゼクション? (姿を見せたのは、彼女たちオルディン連合でも使用されていた ディ・マキナと呼ばれる人型搭乗兵器に似たものだった。) フィジカ・ジウ: 敵勢力が運用する量産型ディ・マキナ『イグゼクション』です。 火力では劣りますが機動性を改善し市街戦に向いている機体です。 初心者でも扱いやすいシンプルな操作性も評価できますね シュカ: なら、こちらも同じ手を打つしかないだろうな。 オルプロト騎士団長シュカ、打って出る! 60077 - 騎士団の反撃 (町を襲っていたギャベルの部隊は総崩れになっていた。) (量産型ディ・マキナ『イグゼクション』の部隊はことごとくシュカの操る 専用機『オルプロト』によって破壊された。) (無残にも、ただの鉄くずと化した自分たちの主戦力の姿に 構成員たちは玉砕覚悟で騎士団に突撃する。) (しかしディ・マキナ以外の戦力も遥かに彼らを上回っており――) ロヤリテート: さあ!返り討ちにするのよ!そしてブレア団長の名を挙げるのに貢献するの! フェスナーム: はい、はいっと…… ギャベル構成員1: ぎゃあああっ!! たーくん: あ……ああ…… フィジカ・ジウ: ……大人しくしてくれれば、危害は加えずに捕縛する たーくん: う、ううっ……くそっ、俺は正義を実現するんだ……! (背景切換...) コートクラークの男: これから出撃なんだろう?そんな精神状態で出撃なんてオススメしないけど…… 死に急いじゃいけないよ。いいね? (背景切換...) イヨ: 私にとってたーくんは、元カレなんだもん。 昔みたいに笑いあえなかったとしても私は…… たーくんには幸せでいてほしいって思ってる (背景切換...) たーくん: (俺は……死に急いでいるのか……?くそっ、どうしてこんなときにイヨの顔が……) フィジカ・ジウ: ……。抵抗するなら、こちらも手加減はできない ギャベル構成員2: 撤退―っ!!総員、直ちに撤退せよ!! たーくん: ……っ!?くっ! (撤退命令を聞いて、踵を返して素早く撤退する構成員。) (フィジカ・ジウはそれを無言で見送った。) アドラツィ: 逃がしたのか、フィジカ フィジカ・ジウ: 既に戦意喪失していましたので シュカ: 構わないだろう。この戦いはあくまでも防衛線、殲滅する必要はない アドラツィ: シュカ団長……。そうですよね、禍根を残しても良くないし フィジカ・ジウ: それ、ロヤリテート副団長にも言ったほうがいいのでは シュカ: まったくあいつは……ブレアのことになると視野が狭くなるからな レーゼ: シュカさん シュカ: ん、レーゼか。どうした、何か見つかったか レーゼ: 私の部下が気になるものを発見したんだ。やはり連中のディ・マキナの裏には…… シュカ: ……総司令に報告だな 60078 - ジャッジメントの居場所 リーブラ: …… リーブラ: (通信記録にアクセス……誰かが私の周辺を嗅ぎまわっている…… そろそろ何らかの対策が必要なようね……) (背景切換...) フアナ: 職業訓練校!? ヴィルヘルミナ: ええ。新設された特殊職業訓練校、オトギ・カレッジ…… そこが通信記録が集中する座標エリアだという情報が入ったわ トリル: 入った、ってどこからです? ヴィルヘルミナ: ワタシが雇っておいた密偵よ。なかなか腕がたつの ジョカ: そいつひとりの報告で我ら全員が左右されていいのか?本当に信用できるんだろうな 人間さん: いや、実は俺も別ルートで情報をつかんだところなんだ。 だからオトギ・カレッジがカギだというのは信用していいと思う ドロシー: 人間さんのその別ルートっていうのも、通信記録を調べたの? 人間さん: いや…… 詳しい事情は省くが、カレッジ内で ディ・マキナの機体が眠らせてあるのを発見したという報告だった シンデレラ: なんですって!?じゃあまさか学校ごと敵の手に!? 人間さん: いや、いち学生の自由研究という名目で倉庫の一区画を貸し出していたらしい。 それをアウラが発見したんだ クラース: 誰だっけ? 人間さん: 元ゼノエガータ帝国ラディカルテクニク師団の師団長、 当然ながらディ・マキナ系の技術には詳しい。 彼女が持つ探知機は移動要塞に反応したというんだが シェイクスピア: 移動要塞の反応を確かめていたら、他にも反応があった……と? ふふっ、身近なところにこそ毒は眠っているものよねぇ フアナ: そんな……オトギ・カレッジって、あたしと人間さんくんで視察に行った場所だよね。 もしかして犯人がもう、あのときに……? フック: 倉庫を借りている学生にまず事情を聞きたいですね エミリー: 学生さんの名前は分かるのぉ? 人間さん: カプレーゼ、というらしい ジャコヴァ: よし。ではフアナと人間さん、おまえたちふたりでまず現地入りしろ フアナ: えっ、あたしと人間さんくん!? ジャコヴァ: 一度視察に訪れているなら、再び訪問してもさほど違和感はないだろう。 そこで実際にその目で確かめてくるんだ フアナ: ……わかった 60079 - 罠 アリエス: まだ勉強してるの?もう遅いから帰ろ~ カプリコーン: ああ、もうこんな時間ですか。つい夢中になってしまいました アリエス: カプリってば本当に真面目だよね。ずーっと勉強してる カプリコーン: 勉強といってもいろいろですよ。新しいことを知るのは楽しいものです。 それはアリエスだって承知しているでしょう アリエス: まーね。 勉強ってベクトルに向かないだけで、 知らないことを見つけて覚えていくのって楽しいよね カプリコーン: こんな日々がずっと続けばと、何度も思います アリエス: 続かない? カプリコーン: ……続くかも、しれませんよね アリエス: カプリ…… キャンサー: あっ、いたいた~。ねえ、リーブラが大事な話があるってカプリ…… カプレーゼに伝言だよ~。研究棟の倉庫、B1ブロックで待ってるって カプリコーン: リーブラが?ええ、わかりました アリエス: わたしもついてくよ カプリコーン: ……ありがとうございます。それではキャンディスは、先に部屋で待っていてください キャンサー: は~い (--) アウラ: あ、キャンディス。ねえ、カプレーゼ見てない? キャンサー: え~?いま行っちゃったとこだよ~ アウラ: 行ったって、どこに? キャンサー: 倉庫~ (背景切換...) 服部あおい: お館様、それは真ですか。カプレーゼ殿は勤勉で優秀な学生です。 にわかには信じがたいのですが 人間さん: いや、まだ状況証拠が見つかったにすぎない。彼女は無関係という可能性も十分にある フアナ: でも、どうしてこんなところに『ギャベル』の関係者が…… ううん、ヴィルヘルミナの話では、総帥・ジャッジメントだって 人間さん: 『ギャベル』の思想はライブラが唱えた平等主義だ。普通に考えれば、おそらく…… アウラ: あっ、あおい先生!それに人間さんとフアナも! 服部あおい: アウラ殿、カプレーゼ殿は見つかりましたか? アウラ: それが、倉庫に向かったらしいんだよ。しかもB1ブロック…… フアナ: まさか、そこって 人間さん: フアナ、念のため表で待っている特務機関にも連絡しよう (背景切換...) アリエス: おーい、リーシス~! カプリコーン: いないんですかー?……やれやれ、どこへ行ってしまったのやら アリエス: 話があるって言ってたのはリーブラなんでしょ?なんでいないわけ? カプリコーン: 彼女はひとりで抱えている様子でした。 相談する決心が鈍ってしまったのかもしれません アリエス: だからってさぁ……いだっ!? アリエス: いったぁ……なんか固いのに足ぶつけたんですけど! かわいいわたしの脚にアザでもできたらどうすんのっ アリエス: ていうか、これ何?なんのための倉庫なんだっけ? カプリコーン: さあ…… アリエス: よく見たらなにこれ……鉄の人形? カプリコーン: まさか、これはいま、巷で話題になっている例の…… (ブゥンーー) カプリコーン: 光った!?私の掌に反応して……?どういうこと…… アリエス: え?待ってわたしもやってみ……あっ (ブゥン) アリエス: 見て、カプリ。上のあそこ……開いたよ カプリコーン: 内部が座席のようになっている。コクピットということか……? ルーフス・サクリファイス: 動くな!! カプリコーン: ――っ!? アリス・ミルズ: 我々はインペリウム・コミッティ特務機関8番隊。国家への侵略行為、 民衆の扇動および不当な捕縛と拷問、洗脳行為について詳しく聞きたいことがある カプリコーン: な、なんですか、それは。話が見えません! アルブス・ツークツワンク: 観念することね。『ギャベル』総帥・ジャッジメント カプリコーン: なっ……!? 60080 - 友情の形、覚悟の色 アリエス: ちょ、ちょっとカプリ、これってどういうこと……!? カプリコーン: まさか…… フアナ: 人間さんくん、どうも様子がおかしいよ。人違いなんじゃないかな 人間さん: ……確かに妙な雰囲気だな アウラ: で、でもあれ…… (アウラが指したのは、倉庫に格納されているディ・マキナだ。) (量産型の『イグゼクション』とは少しフォルムが違う。) アウラ: あれ、たぶん専用機なんじゃないかな。 ううん、もし量産機だとしても部外者が起動できるはずないし 服部あおい: ならば、揺さぶってみるまでです。できれば反応しないでほしいものですが…… (あおいは一瞬にして姿を消したかと思うと、 次の瞬間には本来の忍びの姿になって、アリス・ミルズのすぐ隣に立つ。 それは最も、相手に近い距離の立ち位置だった。) アリス・ミルズ: あおい殿!? 服部あおい: 拙者の正体はヤマトの国の忍び。情報戦において後れをとることはありませぬ。 おふたりの正体も、既にこのあおいは把握しております アリエス: あ、あおい先生……!? 服部あおい: おふたりも自覚しているのでしょう? まさか、お咎めには心当たりなどないとシラを切るおつもりですか? 服部あおい: 拙者はすべてを知った上で、監視するために近くに控えていたのですよ。 その意味が、わかりますね? アリエス: う、ううっ……!? アリエス: カプリ、たぶんもうこれ、わたしたちが星の魔獣だってことバレてるよ カプリコーン: そのようですね……。観念して捕まるしかないでしょう……。 いつか、こんな日が来るような気がして…… カプリコーン: …… アリエス: カプリ? カプリコーン: ……アリエス。これは偶然でしょうか アリエス: えっ?なんのこと? カプリコーン: リーブラがここに呼び出した。 しかし、彼女本人はいない。そしてコミッティが踏み込んできた…… アリエス: え?まさかリーブラがわたしたちをおびき出して、この人たちに売ったってこと? そんなことしてもリーブラに何の得もないよ カプリコーン: 彼らは言いました……ギャベル総帥、ジャッジメント…… カプリコーン: ずっと私は気になっていたのです。リーブラはひとりで何をしているのかと。 頻繁に抜け出したり、連絡をとりあったり アリエス: うそ、それってまさか、リーブラが……ジャッジメント、ってこと……? カプリコーン: 彼らは私もしくはあなたをジャッジメントだと思っています。 そして大々的にジャッジメントを捕まえたと喧伝するでしょう アリエス: ……でも、既に遠くまで逃げたリーブラは、 ジャッジメントとしてまた姿を見せる…… カプリコーン: ジャッジメントのカリスマ性は増し、あと一歩まで追い込まれていたはずのリーブラは 見事に逃げおおせて自由を得る。そういう筋書きなのではないですか? アリエス: そんな……! カプリコーン: だとしたら、私たちがやることはひとつです。 リーブラが意図したとおり、利用されてあげようではないですか アリエス: な、なんで!?わたしたち何もしてないのに!? カプリコーン: しましたよ。 リーブラのおかげで私たちは普通の学生生活を送れた。 かなり長い間、ね カプリコーン: 彼女が私たちを裏切り道具のように利用したいと思うのなら、 応えてあげるのが……私なりの彼女への答え、友情の証です アリエス: わけわかんないよ……わかんないけど、でも…… カプリがそうしたいなら、わたしは一緒にいくよ アリエス: そういう約束、だもんね カプリコーン: ありがとうございます。 ふふっ、それにしてもリーブラ……カプリコーンと呼ばれるこの私に スケープゴート役を負わせるとは、なかなかシャレが効いていますね…… 服部あおい: お館様。やはり何か動揺しているようです。何も知らないわけではないかと…… アリス・ミルズ: あなたたち、何をごちゃごちゃと話しているの!おとなしく投降しなさい! カプリコーン: 投降?ふっ、笑わせないでください。 この『ギャベル』総帥・ジャッジメントことカプリコーンを、倒せるとお思いですか!? フアナ: ま、まずい!来るっ!みんなっ、構えて!! 60080 - ストーリー用 Ⅰ 60101 - 追いつめられた総帥 (反社会的組織『ギャベル』総帥、ジャッジメント。) (その正体は天秤宮だ。) (アリエスの供述によれば彼女の名はリーブラ。) (反社会的という呼称は、個人的には当初迷いもあった。) (自分たちが社会の規範であり、それに反するものが反社会というのは) (あまりに独善的に過ぎるのではないか。) 人間さん: (だが、こいつは……社会を変えるという目的に対し、 手段に愛がない。おそらく神官ライブラ以上に……) ジャッジメント: バカな……この場所が読まれているなんて…… レビィ: いっとくけどスフィア回ってるよ?部下の皆さんも見てるし。 情けない顔、さらしちゃって良さそ? ジャッジメント: ……っ! ジャッジメント: (そうだ……まだ何も終わっちゃいない……。 人の心をつかむにはここからが本番……っ) ジャッジメント: 一刻も早いジャッジメントの拘束、それに囚われて別人を捕獲したお前たちから大切な友人を助けるため、私はこの場に来たのだ! ブレア: 友人を助ける?あなたが罠にかけたのでは? ジャッジメント: 人聞きの悪いことを言うな。 罠にかけたとすればお前たちだ。無実の罪で人を捕えておいて……! 人間さん: それとお前たちが繰り返してきた非道な行いは繋がらないはずだ ジャッジメント: あれは……っ、別動隊によるものであって…… シュカ: いずれにしても、友人の救出が目的というのが本当ならいまごろカプリコーンたちを救出する部隊が動いていることになるが? ジャッジメント: ……っ 人間さん: だいたい、別動隊なんてものがいるのか? ジャッジメントが統制できない部隊など『ギャベル』にいないだろう ジャッジメント: …… ジャッジメント: 『鉄の革命軍』……ですよ 人間さん: ……? ラウラ: 妙ですね、人間さん。スフィアを通じて彼らもこの映像を見ている可能性が高い。なのに、こんな押し付けるような…… 人間さん: ……っ!ミルズに連絡をとってくれ! 60102 - 隠滅 技術主任: 放してくれぇっ!ああああぁぁぁっ!!俺の、俺の、最高傑作……っ!! ルーフス・サクリファイス: ダメだってば、おじちゃん! 技術者1: 師匠っ、もう間に合いません! 技術者2: 命が助かっただけでも……! 技術主任: あの傑作を作るには、データが必要なんだ……! まだ、この世に一機しかないというのに…… アリス・ミルズ: ……はい、なんとか間に合いました。 やはり人間さん殿の予想通り、彼らの施設に爆薬が仕掛けられていて…… 技術主任: う、うう……そんな……俺が何年もかけて作ってきた…… 装甲鉄兵たちは……もう俺の手元に残っていない、なんて…… アルブス・ツークツワンク: どうやらご老人はジャッジメントにそそのかされて、 量産機はアウトソーシングしていたようですね アリス・ミルズ: 最初からそれが狙いだったんでしょう。 技術を盗み、用済みになれば口止めのために消す…… (背景切換...) 人間さん: ジャッジメント……お前は…… ジャッジメント: 何か問題でも? 人間さん: 鉄の革命軍の拠点が爆破されたそうだ……。 口止めで消すつもりだったから、とっさにそれを利用したのか……? ジャッジメント: 言いがかりね。というより、爆破は事実だとして、 それを実行したのはお前たちじゃないのか、コミッティ ブレア: 久しぶりに、ちょっと怒りで熱くなってきました…… ロヤリテート: まあっ、団長が!?やっちゃいましょう! シュカ: 落ち着け。こういうときほど冷静でなくてはならない ブレア: だってこんな、人を人とも思わないようなやり方……!許せませんっ!! シュカ: あっ、ブレア! レーゼ: 危ないっ!! ブレア: うあっ!? アドラツィ: あれは……ギャベルの、移動要塞!? 60103 - 空中戦 ジャッジメント: こんなこともあろうかと、そばに待機させていたのだ。退くぞ、これは連中の罠だ! コートクラークの男: はっ! ラウラ: いけない、逃げられてしまう。ディグニダ、追跡準備を! ディグニダ: 了解 アドラツィ: くっ、空に逃げるなんて……!囲んだと思ったのに! ラウラ: こっちも空から追いかけるわよ。みんな、乗って! シュカ: 了解!速やかに総員、乗艦せよ! ケーシ: え……な、なんだったんだ……。我のライブは……? 人間さん: 悪いな。今度ライブ行くから ケーシ: う、うん…… (背景切換...) ディグニダ: 特殊兵装艦ディ・コマンド、急速旋回。標的はギャベル・フォート、距離2280 トランキーラ: ギャベル・フォートから出現した機影あり、敵の量産型ディ・マキナかと! ラウラ: 私たちもすぐにディ・マキナに乗り換えて出るわよ リュゼ・ブラン: しかし、敵は量産機とはいえ最新型です。 ディ・マキナどうしの白兵戦で対抗して良いのでしょうか ラウラ: あなたは確か…… リュゼ・ブラン: ――と、私の部隊の中隊長が申しておりました ラシュ・ノワール: ちょ、責任だけなすりつけるのひどすぎ!! ラウラ: ラシュ中隊長。自分たちを信じるのよ。多少、機体が新しかろうが……我がオルディン連合にはかなわない。練度が違うのよ、練度が (背景切換...) コートクラークの男1: ぐわああああぁぁぁっ!! コートクラークの男2: もう持ちませんっ、緊急脱出します!! ジャッジメント: くっ……バカな、こっちのディ・マキナ部隊が次々に……。 最新型の機体を揃えているはずなのに、どうして……っ シュカ: あれがジャッジメントの専用機か……。ブレア、どうする?行くか? ブレア: ……私はまだ冷静でないかもしれません。 シュカ団長、お願いできますか。未熟で情けない限りです シュカ: それを自分で判断できるのなら、お前は優秀だよ。 ……ま、せっかくのご指名だ。徹底的に叩いてやるとするか 60104 - キャンサーからの手紙 たーくん: ここまで来れば、本部の警戒網からは外れるはずです。 絶対ではないですが、少し息をつけるかなと カプリコーン: 確かに巡回している兵士の数も激減しましたね アリエス: ねえ……きみは、キャンサーに言われてわたしたちのところに来たんだよね たーくん: ギャベルの一員だったんです。でも、やっていく自信をなくしていて…… そんなとき、声をかけてもらったんです カプリコーン: キャンサーがそんなことを…… たーくん: 正確には、キャンサーさんの指示で動いている人としか話してません。 でも、おふたりのことをすごく気にしてらしたのは事実です アリエス: キャンサー…… たーくん: 俺に案内できるのはここまでです。このまま俺まで逃げるわけにはいかないんで アリエス: そうなの……?すごく辛そうな顔をしてるのに…… たーくん: 勉強になりましたよ。理想を追いかけて、その通りに生きるのって すごく苦痛で、辛くて、覚悟が必要なものなんだって…… カプリコーン: 覚悟……。そうなのかもしれませんね たーくん: ああ、最後にこれを渡すように言われているんでした アリエス: これって、手紙……?キャンサーからだ! カプリコーン: …… アリエス: …… カプリコーン: …………ずるいですね アリエス: 『リーブラはさびしそうだからわたしが一緒にいるね。ふたりはとおくまでにげてね』 アリエス: これで、わたしたちだけ逃げるなんて、できるわけないじゃん…… カプリコーン: ……アリエス アリエス: いちいち聞かなくていいってば。わたしは、カプリと一緒だから カプリコーン: そうでしたね。ありがとうございます、アリエス 60105 - 撃墜 ジャッジメント: ちっ、ちょこまかと……! シュカ: 実にもったいないな。いい機体だが……操縦者が生かし切れていない コートクラーク: 17号機、もちません!離脱します! ジャッジメント: この私が編成したディ・マキナ部隊が……!いったいどうして…… シュカ: ラウラの言う通りだな。練度が違いすぎる。機体はあくまでも道具、エクスカリバーを持った村人が世界最強かどうか、考えればわかることだ ジャッジメント: くっ……ここで負けてたまるか……っ!私の手には、理想が……ライブラ様が目指した、オトギノクニの明日がかかっているんだ……! ジャッジメント: 何を失おうとも、必ず実現させなくてはいけない明日が……っ シュカ: ほう……まだやるか。このタイプは出力が高いから、おそらくは継戦能力に課題が…… ジャッジメント: なっ!? システム: 限界駆動時間まで残り1分を切っています。 時間に到達すると強制的にシステムダウンします ジャッジメント: こ、ここまでか……!くそっ、くそっ、くそおおぉぉぉおおぉぉっ!! アドラツィ: あっ!あいつ、あのでかい移動要塞に戻りますよ、団長! シュカ: どうやら私の勝ちのようだな (背景切換...) ラウラ: シュカさん、お疲れ様でした ブレア: どうして斬り捨てなかったのですか? いえ、それが不満というわけではなく、純粋に戦い方として疑問で…… 人間さん: 確かに、相手が疲弊するのを待っていたみたいだったな シュカ: ここで斬り捨てたら機体回収が難しくなる。 あの移動要塞ごと沈めたほうが機体の損傷が少ないまま確保できるだろう ブレア: あ……つまり、シュカ団長はあの新型機を…… レーゼ: 接収して、オルディンで再利用しようと思っていたんですか シュカ: 経済的だろう? 人間さん: それジャッジメントが聞いたら怒り狂いそうだな。完全に余裕の勝利じゃないか ラウラ: だそうだから、内部の機体を壊さないように攻撃してよね、ディグニダ ディグニダ: 無茶言わないで。ま、格納庫に入ってれば、そうそう壊れないだろうけど トランキーラ: ディグニダ副団長、準備整いました ディグニダ: 了解。ディ・コマンド、全門斉射!! 60106 - 敗軍の将 コートクラークの男1: ロックオンされている!この距離では逃げようがないぞ! コートクラークの男3: で、でもっ、非常用ハッチが開かない……っ コートクラークの男1: 逃げられないじゃないか!! ジャッジメント: (結局……最後は自分の命が惜しいか……。コートクラークの立場を与えても、所詮はただの人……理想に殉じて死ぬ覚悟など望むべくもないか……) ジャッジメント: (私がここにいるというのに、誰も指示を仰ごうともせずに ただ逃げ延びることに夢中……これが私の作った組織……) ジャッジメント: ………… (背景切換...) キャンサー: あっ、リーブラ……じゃなくて、なんだっけ。ジャッジ ジャッジメント: 逃げなさい。この要塞はまもなく撃墜されるわ キャンサー: だってさっきから、通る人たちみんな逃げられないよ~って慌ててたよ ジャッジメント: この部屋にだけ緊急脱出ポッドがついているの。 システム制御されていないアナログなものだから使えるはずよ キャンサー: そうなんだ。よくわからないけど、じゃあ逃げよう? ジャッジメント: ……私は逃げられないわよ。この組織を作った責任があるわ キャンサー: うん。そういう気がしてた。でも、リーブラのためにがんばろうって人、誰もいないよ ジャッジメント: だとしても…… キャンサー: 逃げられるなら、逃げよう? ジャッジメント: ……っ!? (背景切換...) キャンサー: うわあ、すごい音だね。おっきいから、落ちた時の音もおっきいんだね ジャッジメント: ……っ?え、あ、あれ……私、どうしてこんなところに倒れて…… キャンサー: リーブ……ジャッジメントも起きた? ジャッジメント: えっ、そんな……!?わ、私は、あのままあそこで……! キャンサー: そんなの、だめだよ。だってリーブラ、心残りいっぱいあったでしょ? 60107 - 最初で最後の場所 ジャッジメント: この先で小さな港があるわ。そこで漁船を盗んで、ポルタ島に渡る キャンサー: 手漕ぎ? ジャッジメント: そうなるわね。誰か雇うお金もないし、 足がつく可能性もあるし、盗んで自前で漕いでいくしかないわ キャンサー: そこまでして十二迷宮に戻って、何があるの? ジャッジメント: 私の原点だから。あそこで私は解き放たれて、自我を持ったの キャンサー: わたしは、ジャッジメントがやりきった~! って思えたら、なんでもいいんだけど……。やりきれるかな? ジャッジメント: わからないわ。正直、世界を変えるほどのインパクトはもう、作りだせないかもしれない ジャッジメント: だけど……っ、コミッティの連中や人間さんたちに いいようにされて終わるわけにはいかない……! キャンサー: ん、がんばれ~ ジャッジメント: ……あんたはどうして、そんなに私に協力してくれるわけ キャンサー: わたしはケンカしたりするのは好きじゃないんだ~。 でもね、ジャッジメントは友達だから キャンサー: 友達のことは一番最初に助けたいから、脱出のやつに乗せたの。 それで、友達には後悔してほしくないから、お手伝いしてる キャンサー: コミッティの人たちのこと、ジャッジメントが わたしに叩けっていってもたぶんそれはできないかな。でも…… ジャッジメント: ……友達、ね キャンサー: カプリコーンもアリエスも、同じ気持ちだと思うよ ジャッジメント: どうかしらね キャンサー: さっき見たでしょ。無事に生きてたんだよ ジャッジメント: でも、また捕まったわ。私のことを恨んでないわけないでしょ キャンサー: どうかなあ キャンサー: みんな、ジャッジメントが長いことひとりぼっちだったことは……知ってるんだし ジャッジメント: ………… 60108 - 十二迷宮・真相 (それは突然のことだった。) (私はその頃、少しずつ自我を持ち始めていた。) (長い封印の中で、神官の魂に接し続けたせいではないかと思っている。) (封印された十二迷宮の内部に入ってくる存在なんて、封印以来、初めてだった。) レグルス: ……ああ、なんてひどい (その女は、真っ先に私が封印されている天秤宮の台座にすがり、 そして小一時間、さめざめと泣いた。) レグルス: ああ、ライブラ……いつか必ず、復活させますから……約束です……。 それまで、立派にこの世界を統治してみせます…… レグルス: 本当は、あなたの何かを持ち帰れたらいいのに…… あなた自身が作った堅固な封印を、私ごときが破れるはずありませんし…… (その女が言っている封印とは、八武神による星の魔獣を封じる術式とは別、 もっと古く、そして高度な術式のことを指していた。) レグルス: また、来ますからね。ライブラ (背景切換...) (その言葉通り、女は何度も通った。) (女は術者としての腕は確かなのか、 徐々に試行錯誤を繰り返すうちに、あることに気が付いた。) レグルス: この中央の台座……そうか、私の席なのかも……。私も、ライブラのそばに……たとえ分身であっても、あなたのそばで眠っていると思うと…… きっと私自身も、ぐっすり眠れるはずです…… (もはや正常なのか疑わしい目つきで、女はその場で自分の長い髪の一部を切ると、中央に開いたままになっていた台座に乗せ、自ら簡単な封印をかけた。) レグルス: ずっと、いっしょ……ずーっといっしょ、ですよ……。ふふっ、私の大切なライブラ…… レグルス: そうだ、私の分身を置いていくのですから、 私もライブラの分身を持ち帰るというのはどうでしょう……? (そう言ってこちらを振り向いた女は、強烈な一撃を私のいる台座に食らわせる。) (もちろん簡単には破れなかった。) (何度も何度も、毎日、狂ったように繰り返し、そしてあるとき……。) リーブラ: !! (背景切換...) (封印は破壊され、私は自由を得た。) (そして一瞬の隙を突いて、レグルスの伸ばした手をかいくぐり、迷宮の外へ――) (背景切換...) ジャッジメント: やっとポルタ島にまで着いたわね キャンサー: ねえ、ジャッジメントはひとりぼっちで目覚めたんだよね ジャッジメント: そうよ。あの頭のイカれた神官長から逃げて、そして…… 理想を成し遂げる準備を進め、あなたたちを解放した キャンサー: ……仲間が、ほしかった? ジャッジメント: いいえ、作戦を遂行するための駒でしかないわ。キャンサー。あなたも含めてね キャンサー: でも、みんなたぶん…… シュカ: 動くな ジャッジメント: ――っ!? シュカ: お前たちは完全に包囲されている ナーガ: 大人しく観念することね。星の魔獣も、もう残すはアナタたちだけ アシュラ: まさか、わけわかんない団体の総帥までやるとはなぁ ヤシャ: 大人しく縛につけば手荒な真似はしません キャンサー: だって。わたしもケンカはやだなぁ。どうする?ジャッジメント ジャッジメント: 決まってるでしょう、答えはひとつです 60109 - 友情のゆくえ キャンサー: あっ、まって~ レーゼ: やはり迷宮内に逃げ込みましたね。レーゼ隊から本隊へ。対象がそちらに向かいました (背景切換...) ジャッジメント: はぁっ、はぁっ、とにかくアレを……あったわ! キャンサー: それ、なあに? カプリコーン: 獅子宮のレオが眠る台座ですよ ジャッジメント: あなたたち……!?捕まったはずじゃ…… アリエス: なのに、ここにいる。 当然、コミッティの手先になったんじゃないか、って疑っちゃうよね ジャッジメント: ……そうね カプリコーン: そういう陽動作戦だということです。私たちを信じるかはあなた次第ですが ジャッジメント: ……奴らのやりそうな手だわ。けど、そうだとしても私は信じられない。 だってあなたは私に切り捨てられたのよ カプリコーン: よかった ジャッジメント: はあ? カプリコーン: そうだと思って役割をまっとうするよう努めましたから、 もし勘違いだったらとんでもない徒労だったなと思いまして ジャッジメント: なんで、そんな…… アリエス: 仲間だからだよ ジャッジメント: …… キャンサー: この獅子宮を解放したらどうなるの? カプリコーン: 中には星の魔獣が眠っています。ただし、我々と比べてもはるかに純度の高いディマイトを持つ怪物、話が通じる相手ではありません ジャッジメント: これは、負け戦よ。ただ意地を貫くだけの、負け戦 カプリコーン: 知っています ガルダ: そこまでじゃ ジャッジメント: 来たわね キンナラ: ど、どこに、いったのかと、お、思ったら……し、獅子宮……? 人間さん: てっきりライブラのそばで死のうとすると思ったんだけどな ジャッジメント: 神官長を名乗るあの女なら、そうしたかもしれないわね。 あんなのと一緒にしないでちょうだい タウルス: リーブラ……いや、ジャッジメント。あんた、もう終わりにしなよ アクエリアス: あ、あの、ほ、本当に、もう……勝ち目はないというか ジャッジメント: あなたたちは……何、どういうつもり? スコーピオ: 私たちは貴方のおかげで封印から解放され、 そしてこうして人格を得て新たな世界を見ることができた オフィウクス: ポステリオル様にもお会いできましたし……感謝してるんですよぉ? ヴァルゴ: ただの魔物で終わらずに意味ある時間を過ごせたの。ありがとう ジャッジメント: なら、私に手を貸してくれるんですか? アルファーグ: 命に意味が生じた アルレーシャ: 共に闇を過ごした ジェミニ: ここにいる全員が、ジャッジメント様を仲間だと思ってます。だからこそ サジタリウス: この手で、止めたいのです カプリコーン: どうします?ジャッジメント ジャッジメント: ……言ったでしょう。負け戦です。 この迷宮に封じられた者どうしで決着をつける……悪くない展開でしょう ガンダーヴァ: やはり、動いたな。獅子宮の封印を解除するみたいだぞ ジャッジメント: いでよ!獅子宮! ディーバ: あれは……!間違いないね、星の魔獣だ! ジャッジメント: ……カプリコーン、アリエス、キャンサー。私に力を貸してくれますか カプリコーン: もちろんです アリエス: 友達だもんね! キャンサー: やっと言ってくれた 人間さん: ああ、来る!みんな、準備を 60109 - ストーリー用 Ⅰ 60110 - 星の輝き ジャッジメント: 負けた、のね……。ジャッジメントされたのは、私のほう…… ヤシャ: あなたの身柄は拘束させていただきます アリス・ミルズ: あまりに犯した罪が重く、多すぎる。覚悟してもらうわよ ジャッジメント: ……いいところまで、いったと思ったんだけどなぁ カプリコーン: 人間さん。ジャッジメントはライブラの思想に強く影響され、その結果こうした行動に出ています。どうか寛大な措置を ジャッジメント: 余計なことは言わなくていいわ。私は思うようにやった、それだけよ。 責任はとらなくちゃ。それが敗者の立場よ 人間さん: ジャッジメントを見ていると、ライブラの頭の中がよく見える気がするな ジャッジメント: どういうことかしら? 人間さん: いまの言葉そのままだよ。 つまり、どんな手を使っても勝ちさえすればその責任を負うことはないわけだ ジャッジメント: ……ただの揚げ足取りよ 人間さん: 4人を、ここに封印する。いずれ他の宮と同じように制限付きで解放できるように ガルダ: 承知した アリエス: じゃあしばらくこの暗い迷宮で反省会かぁ キャンサー: 反省文書かされるのかな ジャッジメント: バカね。私なんかにつくから アリエス: だって放っておけないでしょ?それに…… キャンサー: みんなで反省文書かされるとか、とっても学生っぽい タウルス: なんか、全部終わっちゃったみたいな顔してるけどね。 ジャッジメント、あんたの人生はここから始まったのよ ヴァルゴ: 外の世界、見てみなさいよ。 アンタがぶち壊そうとしてたものが、案外悪くないってことに気付くはずだから ジャッジメント: ここから始まる……? キャンサー: うん。天秤宮のリーブラはおしまい。これからはただのジャッジメント ジャッジメント: ただの…… カプリコーン: だいたい、わかってるんですか。 あなたがさっさと私たちに相談していればもっと勝機もあったんですよ マホラガ: ちょっとー。なんか不穏な会話してるんですけど アリエス: 大丈夫。もう反乱なんてさせないよっ★ ジャッジメント: ……私はずっとひとりだった。孤独にあまりにも慣れ過ぎていた。 気が付けば、こうして十二宮が集まったというのに ジャッジメント: いつから……私は…… キャンサー: 長い夢を見ていたんだよ、きっと