6000101 - 血なまぐさい事件 (血しぶきに染まる壁。) (こだまする断末魔の声。) (背景切換...) ???: なんで、こんなことになっているんですか……? (彼女たちはまさに渦中にいた。) ???: 選択肢はそう多くないわ。わたしたちは斬るしかない。そういう存在でしょう? ???: いつもこれだよ、もうイライラするなぁ! ???: ふん……我もいい加減、この繰り返しをやめたいと思っていたところだ ???: ……いまはひとまず目の前に集中しませんか? 男: ウアアアアアア! (一刀のもとに斬り伏せ、敵の身体を見下ろす。) ???: やはり……これはダインの……。そうと決まれば一人たりとも逃さない…… (背景切換...) (そしてまた、血が流れる。) (これは、決して触れてはならないと恐れられた、) (封印されし精霊の深淵に触れた記録――) (背景切換...) (人間たちが呼び出されたのは突然のことだった。) (背景切換...) デュプリ・ライブラ: いやー、急にお呼びしちゃって申し訳ないッス ピュルテ: いえ、私たちは問題ありませんけど……何があったんですか? リル: ピュルテと人間殿だけならまだわかるが、小生まで呼ぶというのは……意図は、どこにある? デュプリ・ライブラ: 意図だなんて、単純な話ッスよ。やっぱりオトギノクニ随一の策略家と言われる人の頭脳は、お借りしたいじゃないッスか ピュルテ: はあ……それでどういう用件なんですか? デュプリ・ライブラ: 殺人事件ッス (背景切換...) デュプリ・ライブラ: このあたりは『忘却の丘』って呼ばれてて、かつては一大帝国が栄えた場所だったんスよ。んで、ここはその旧伯爵邸ってわけッスね リル: 血の匂い……! タチの悪い冗談かと思っていたが、どうやら殺人事件というのは本当らしいな デュプリ・ライブラ: 被害者の数はまだ確定できてないんスけど、推定20名くらいッスね。生存者はゼロ ピュルテ: え、ええっ……そんなひどい事件があったなんて……! デュプリ・ライブラ: んじゃ、行きますよ。ここが現場ッス リル: くっ……!? ピュルテ: うぷううぅっ!? デュプリ・ライブラ: あー、やっぱりピュルテも人間さんも、速攻で外に出て行っちゃいましたね。刺激が強すぎたみたいッス リル: 当たり前だろう……。こんな現場、戻して当然だ。ふたりとも、外に走っただけ理性的だったとも言える リル: しかし、これはひどいな……犯人はマトモじゃないぞ デュプリ・ライブラ: お、早速きたんスか? 冴えわたる頭脳から繰り出される推理ショー! リル: そんなものは用意していない! だいたい、さっきから不謹慎じゃないのか、デュプリ・ライブラ殿 デュプリ・ライブラ: ごめんなさいッス。ボク、もういろいろ麻痺しちゃってるんで リル: ……刀傷か デュプリ・ライブラ: 正解ッス。先に証拠調査に入った精霊たちの話だと、いずれも鋭利な刃物のようなもので切りつけられたらしいッスよ リル: 相当な達人か、かなりの業物か、或いはその両方―― デュプリ・ライブラ: あっ、人間さん ピュルテ: すみません、私たちふたりともちょっと……こういうのに慣れていなくて デュプリ・ライブラ: いやいや、当然の反応なんで気にしないでくださいッス。説明もろくにしないで連れてきたのボクですし リル: それが気になっているんだ。何故、小生たちをわざわざ呼んだ? デュプリ・ライブラ: 被害者の傷口からとあるディマイト成分が検出されたんス。同じディマイトでも、特徴的なディマイトパターンがあって 1: ん、待て。つまり犯人はもうわかっているのか? デュプリ・ライブラ: 有力な候補、ってところッスけどね ピュルテ: それって……どんな人なんですか デュプリ・ライブラ: あまりにも強すぎて、そして凶悪すぎるってことで封印されてたはずの精霊……ルインズナイトって連中ッス (背景切換...) ムラマサ: この我、ムラマサをここまでコケにするとはな……。なあ、ダイン。お前も悔しかろう ダインスレイヴ: ええ、当然です。このまま終わらせはしませんよ。レーヴァテインさん、これから先の動き方も考えてらっしゃるのですか? レーヴァテイン: ええ、もちろん。ただ、厄介なのは天空神殿よ。デュランダル、相手の動きはどう? デュランダル: これまで現場の精霊たちだけに調査を任せていたようですが、いよいよ来ましたね……デュプリ・ライブラが。それに…… レーヴァテイン: デュプリ・ライブラだけじゃないの? ムラマサ: 確か見慣れない連中も参加しているんだったな? アロンダイト アロンダイト: ええ、そうよ。特にあの男の人は、他の誰とも違う独特な雰囲気を持っていたわ レーヴァテイン: それだけの実力者、ということね……。カラド、あまり先走らないようにね カラドボルグ: なんでアタシにだけそういうこと言うかな! バカみたいに突っ込んだりしないって ダインスレイヴ: それにしても……私たちはすっかりお尋ね者ですね……。町で宿を取るのも苦戦しそう アロンダイト: 今に始まったことじゃないわ。それより……感じるわよね、みんな レーヴァテイン: ええ……これまでで一番『あいつ』に近づいてる…… 6000102 - 顔も知らないままに デュプリ・ライブラ: いやー、人間さんとピュルテが来てくれたおかげで、ほんっと大助かりッスよ ピュルテ: 私の感知能力を人間さんのエルマイトで強化したら、こんな追跡に使えるんですね! びっくりしました ピュルテ: 一番のびっくりは、エルマイトとかディマイトにこんな個別の特徴があるってことでしたけど リル: あくまでもルインズナイトとやらが例外、ということだったが デュプリ・ライブラ: 奴らの凶悪すぎるディマイトはボクでもわかります。嫌な気配ッスよ ピュルテ: 『連続殺人犯、なんですもんね……』 デュプリ・ライブラ: 3日前の旧伯爵邸事件が3件目ッス。まあ、こっちが把握してない余罪がある可能性もたっぷりなんスけどね リル: いずれにしても時間の問題だろう。この町にいることは確かなんだろう? ピュルテ: うん……! それ以上、細かい場所まではわからないけど リル: 町にいるなら片っ端から当たるまでだ。デュプリ・ライブラ殿、さっそく似顔絵などを共有してもらえるか デュプリ・ライブラ: いやぁ、それが……ないんスよね リル: なに? デュプリ・ライブラ: 外見に関する情報が一切ないもんで、まいっちゃったなぁと ピュルテ: リルちゃん…… リル: くっ……まいっちゃうのは、こっちだぁー! (背景切換...) カラドボルグ: なんか、背中かゆくなってきたんだけど。このベッド、大丈夫? ダインスレイヴ: 宿が取れただけマシですよ アロンダイト: 野宿続きじゃ疲れもとれないわ。安宿でも、外で石を枕にするよりは快適だし。それに虫のことを言うなら、森のほうがよっぽどでしょ カラドボルグ: そりゃそうだけどさ。まあ休めたのはいいとして、これからどうすんの ムラマサ: かつてないほど、『ヤツ』に近づいているということだったが、細かい場所までは分からないんだったな デュランダル: ええ……。なにせ相手の顔もわかりませんし ムラマサ: 我らルインズナイトをここまで愚弄するとは……何者であるにせよ、ただでは済まさん。この我が完膚なきまでに叩きのめしてくれる! レーヴァテイン: 今から熱くなってたら持たないわよ。落ち着きなさい、ムラマサ ムラマサ: む…… アロンダイト: 熱くなると言えば、ダインは最近は落ち着いてるわね ダインスレイヴ: あ……それってつまり『もうひとりの私』のこと、ですか……? 最近、あまりお酒の匂いもしないので、そうかなって思ってたんですが カラドボルグ: あっちのダインも、戦うときとかは頼りになるっちゃなるもんね。見ててやべーとは思うけど ダインスレイヴ: ご迷惑をおかけしてしまってるんですよね。ごめんなさい カラドボルグ: いや、全然平気だって。それよか、ぼちぼちごはんにしようよ アロンダイト: 食事…… カラドボルグ: 腹が減ってはなんとやら、っていうじゃん? アロンダイト: 考えてなかったわ カラドボルグ: うっそぉー!? アタシ、死んじゃうよ! デュランダル: それなら買い出しに行きましょうか。さすがに店で食べるのは危険だと思いますので…… レーヴァテイン: 確かに。6人が揃ってるところを襲われるとなるとリスクが高いわね カラドボルグ: 天空神殿の連中のこと? ダインスレイヴ: 『ヤツ』が反撃してきた場合、ですよ。天空神殿は大して何もできませんから デュランダル: ええ……わたくしたちのことは『天使様』がお導きになられていますから、超えられない試練をお与えになることはないでしょうが…… アロンダイト: じゃあ、わたしとデューで行くわ。みんな、ちょっと待ってて デュランダル: はいっ、アロンちゃんと一緒なら安心です。ではいってきますね (背景切換...) デュランダル: アロンちゃん、どう思います? アロンダイト: どう、って……どれのこと? ヤツのことか、天空神殿のことか、それとも デュランダル: みんなのことです。いまのところ気丈に振る舞っていますし、ディマイトにも影響は出ていません。でもそれも限りがあります アロンダイト: そうね、時間との勝負になる――って、デュー。こっち隠れて! デュランダル: どうしたん……あ、あれは天空神殿の調査精霊? 真ん中にいる男の人、まさかあれが…… アロンダイト: ええ。どこかから派遣されてきた凄腕捜査官のようね…… 6000103 - レーヴァテインの場合 カラドボルグ: ふぅー。あれ、まだデュランダルたち戻ってきてないの? ダインスレイヴ: ええ。カラドさんはどこに行かれてたんですか? カラドボルグ: あー、いつもの日課だよ ダインスレイヴ: ……そうですか。手を洗ってくださいね ムラマサ: どうした、レーヴァテイン。先ほどからなにやら難しい顔をしているが レーヴァテイン: いえ……。少し、昔のことを思い出してしまって ムラマサ: 昔のこと? 珍しいな、お前が過去を語るとは レーヴァテイン: ううん、なんでもないわ デュランダル: ごめんなさい、いま戻りました ダインスレイヴ: おかえりなさい。遅かったようですが、何かありましたか? アロンダイト: 神殿の奴らがうろついていてね。例の、派遣されてきた凄腕だっていう男を見かけたわ。すぐにその場から離れたけど、念のために迂回して戻ってきたのよ ダインスレイヴ: それで遅くなってしまったんですね。しかし……ここも危険かもしれませんね カラドボルグ: あんまり長居はできないかぁ レーヴァテイン: ……戦うこともせず、隠れ回る……そんなのは、もう……うんざりだわ デュランダル: レーヴァテインさん……? (背景切換...) (それは、とある小さな国だった。) (当時、既に私は名剣レーヴァテインの精霊として) (数々の武名を上げていた。) 兵士1: レーヴァテインさん! レーヴァテイン: ……。お前、戻っていたの 兵士1: レーヴァテインさんの指導のおかげです。過酷な任務でしたが、こうして無事に……生きて戻ってくることができました (私が属する――正確に言えば本体である名剣を所有する王家は、) (ある将軍に本体を授け、精霊の私も組織においた。) レーヴァテイン(內心): (このやり方をする持ち主は、初めてではないけど) 兵士2: あっ、レーヴァテインさん。聞きましたか、いよいよ帝国はあの山脈を越えてこちらに本格的に侵攻するつもりのようです レーヴァテイン: やはり、そうなのね。もう少し雪解けを待つかと思っていたけど 兵士1: 帝国が…… レーヴァテイン: 時間の問題だったわ。もう、戦いを回避する段階はとっくに終わっている。あとはタイミングだけだったのだから 兵士1: いえ、レーヴァテインさんがいればきっと、大丈夫ですよね 兵士2: 俺たちには伝説の剣があるんだからな! レーヴァテイン(內心): (……これが私を部隊におくメリット) レーヴァテイン(內心): (有名な伝説の名剣がある事実も重要だけど、そんな伝説が実体化した私と直接こうして意思疎通ができる……) レーヴァテイン(內心): (若い兵士たちにとって安心材料になるのかもしれないわね。実際、彼らは私を頼れる上官として慕ってくれている……) 部隊長: お前ら、何やってる 兵士1: あっ、部隊長! い、いえ、帰還したのでレーヴァテインさんにご挨拶をと…… 部隊長: もう訓練の時間だぞ。駆け足! レーヴァテイン: 相変わらず厳しいのね、部隊長 部隊長: 我々は兵士です。それも現在、我が国は戦時中。間もなく大国からの侵略を受けようというとき。規律を緩めれば死に近づくだけです レーヴァテイン: ええ。あなたの言うとおりよ。けれど、今度の戦いはかなり不利を強いられるわ。あなたの部下42名のうち生きて帰れるのは20名を切るでしょうね 部隊長: ……!! レーヴァテインさんは、自分の指揮では部下が生き残れないと……!? レーヴァテイン: 逆よ。優秀なあなただから10名以上は生き残ることができると予想してるの。全滅してもおかしくないわ。今回は、そういう戦い レーヴァテイン: ほとんどが人生の最後を過ごしているの。だから、ほんの少しだけ寛容になってあげなさい。もちろん締めるところは締めていいから 部隊長: ……失礼しました レーヴァテイン: ……あなたも、不安なのよね。だから焦る。でもそれはいい結果を生まないわよ 部隊長: ………… 部隊長: レーヴァテインさんは自分のことを何も語られませんよね。だから我々は、世間に轟くあなたの武名だけで、あなたのことを見ている 部隊長: だが少し考えればわかることだ。1つの武名を得るのに、どれほどの痛みがあったか…… レーヴァテイン: さあ、忘れちゃったわ。いいのよ、私の話なんて 部隊長: いよいよになれば、あなたは戦線を離脱してください。本体は城内でしょう。我々に付き合って最前線で死ぬことはない レーヴァテイン: ええ、もちろんそのつもりよ。誰かのために自分が犠牲になるなんて、そんなバカバカしいことはしないわ 部隊長: そうやってあなたは自分に嘘をつく…… レーヴァテイン: ……何か言った? 部隊長: ……いえ、何も。では、我々も訓練に向かいましょうか レーヴァテイン: そうね。あなたとペアになって戦うのも、ずいぶん慣れたけど。最後の最後、きちんとすり合わせておきましょう 部隊長: ええ、もちろんです (彼が私の動きを完全に把握していたから、ふたりの連携は実現していたと言っていい。) (こんなにも呼吸が揃う相手は初めてだった。) レーヴァテイン: よく、あなたも得体の知れない剣の精霊とペアを組もうなんて思ったわね。考え直したほうがいいんじゃないの 部隊長: ――生涯そのつもりですから レーヴァテイン: ふうん? あなたを守るつもりがない、自分さえ良ければいいなんて言ってる相手を? まあ、好きにすればいいわ (翌日から本格的な侵攻が始まった。) (兵士たちの怒号、悲鳴、砲撃の音――) (私はそれを、鉄格子の中で聞いていた。) 6000104 - 前線に立つ意味 レーヴァテイン: 将軍! これはどういうこと? 私をこんな牢獄につなぐなんて、どうして……! 将軍: 悪く思うな。お前を失うわけにはいかないのだよ レーヴァテイン: くっ……私をこんなところに閉じ込めて、どういうつもりなの……? 早く戦場に出しなさい。いくらでも戦果を挙げてきてあげるから レーヴァテイン: 私が行かなくては……部隊はこれまで、精霊の私を数に入れて運用してきたのよ。この大一番で私がいないなんて、士気にも関わるわ! (私の本体を預かる将軍に呼び出され向かった部屋は、仕掛けによって突然、鉄格子が降りてきた。) (強力な魔法結界が施され、破壊は容易ではない。) 将軍: 今回の戦、かなり不利な戦況になる。それはお前もわかっているだろう レーヴァテイン: ええ、もちろん。だからこそ、私をこんなところに繋いでいる場合じゃないわ! 将軍: 万一、敵方にお前の本体が奪われたら…‥もはや我が軍は崩壊常態となるだろう。それだけは避けねばならない レーヴァテイン: 本体を城内に置いたままでも戦えるわ! 攻め込むのは無理だけど、この城を守るために前線に出ることはできる。どうぞ、本体をここに置いて…… 将軍: だが! 精霊たるお前とて、敗北すれば敵方に囚われる可能性はあるだろう! レーヴァテイン: それは……そうだけど、でも……それでも行かなくちゃいけないのよ、私は……! たとえ自分が犠牲になるとしても、ここで行かなかったら……! 将軍: あんな兵卒どものために、お前を危険に晒すことなどできるか……。お前は美しい……捕らえた敵が何をするかわかったものか…… レーヴァテイン: いいから出して! 将軍: いいや、出さない。お前にはここで…… レーヴァテイン: え……将軍……? どういうつもり……!? 将軍: お前を失うわけにはいかない……いかないんだ……。お前は、俺のもの、私が持つ剣、なのだからっ…… レーヴァテイン: 将軍っ……!? いやっ、お願いよ、私は剣なの! 戦場で果てるなら本望、こんなところで、仲間を見殺しになんて……っ!! (自分を犠牲にするなんて愚かな行為。) (そう何度も口にしてきたのに、私の口をついて出た言葉は相反するものだった。) (そしてきっと、そんな私を仲間たちは見透かしていたに違いない。) (最後まで私が戦場に舞い戻ることを期待していたに――) (背景切換...) 敵兵: いました、こっちです! レーヴァテイン: 戦いは……終わったのね……? 敵兵: 出ろ。とっとと歩け。本体は……ああ、これだな レーヴァテイン: ………… (背景切換...) (やがて城に帝国兵が攻め入り、私は牢獄から解放された。) (城の気配から、徹底抗戦を選び滅んだのだと察せられる。) (そして城門前には……。) 兵士1: ………… 兵士2: ………… (見知った顔が、屍となって折り重なっていた。) レーヴァテイン: あ……お前たち……ああ…… レーヴァテイン: あ、ああ……私は……っ! 私は武器よ、武器の精霊なのよ……なのにっ、どうして……! どうして、戦えなかったの……戦場で散ることすら、許されなくて…… (思わず、屍に駆け寄っていた。) 部隊長: ………… レーヴァテイン: あ…… (私はその身体を抱きしめ、そして――) レーヴァテイン: ああああああああぁぁぁぁぁあああああぁぁぁぁっっ!! 敵兵: おい、戻れ! 大人しくしろ。さもないと―― 敵兵: ――っ!? ぐ、ふっ……? アロンダイト: わたしたち精霊は、本体の持ち主に全ての権限を握られてしまう。それが最大の弱点よね…… (私を咎める敵兵が崩れ落ちたかと思うと、その背後から見慣れない女が姿を見せた。) レーヴァテイン: お前は……? アロンダイト: わたしはアロンダイト。ねえ、ひとつ提案があるの。うまくいくとは限らないのだけど…… アロンダイト: 誰にも縛られない精霊になってみない? (背景切換...) レーヴァテイン: ………… ムラマサ: どうした、レーヴァテイン。急に押し黙っているが カラドボルグ: まあ、レーヴァテインはいつもこんな感じだけどね。あんまり喋んないで、みんなのこと見守ってるっていうか レーヴァテイン: こそこそ隠れて、戦うこともできない……そんなのは、もうやめにするわよ デュランダル: えっ!? レーヴァテインさん!? い、いきなり神殿の追手とやりあうつもりなんですか? それは危険すぎます…… ダインスレイヴ: ええ。調査精霊は数に入れないとしても、デュプリ・ライブラは簡単に攻略できる相手ではありません。それにアロンダイトたちが遭遇したという未知の捜査官も レーヴァテイン: 正面から斬りあうつもりはないわ ムラマサ: ん? それでは…… レーヴァテイン: アロンダイト。私が懐に飛び込んでやるわ アロンダイト: ……つまり、スパイをやるってこと? レーヴァテイン: ええ。そして情報を流すなり、何かこちらに有利になるよう仕向ける カラドボルグ: そんなの、バレたらめちゃくちゃヤバくない? レーヴァテイン: ……リスクを取らなくては事態は打開できないわ。それに私が犠牲になる分にはいいでしょう。どうせ、一度なり損ねたんだから デュランダル: え? レーヴァテイン: こっちの話よ。異論はないわね アロンダイト: やれる自信があるっていうなら、わたしはレーヴァテインを信じて任せる。でも……必ず無事で戻ってくること レーヴァテイン: もちろん、そのつもりよ (背景切換...) デュプリ・ライブラ: ひぁー、もう足がパンパンっすよ。普段こんなに歩かないッスからね。人間さん、マッサージお願いするッス リル: 呼吸をするようにマッサージを要求してきたな。まったく、貴君もうっかり流されて言うことを聞きそうになるんじゃない ピュルテ: でも、必ずこの町にいるはず…… レーヴァテイン: お探しなのは、私かしら? リル: ――っ!? ピュルテ: この気配、まさか リル: 小生が背後に立たれて気づけないとは……っ! レーヴァテイン: ルインズナイトのひとり、レーヴァテインよ。こそこそ嗅ぎ回るネズミを始末しに来てあげたわ 6000105 - 投降 レーヴァテイン: くっ……! ピュルテ: や、やりましたか!? リル: くそっ、もう立つんじゃないぞ…… レーヴァテイン(內心): (……なかなかやるわね。特にあの凄腕捜査官だとされてる男、どういう理屈かわからないけど支援魔法のエキスパートみたいだわ) レーヴァテイン(內心): (……いいわ、そろそろ頃合いね) レーヴァテイン: う、うあああっ、あああああっ!? ピュルテ: な、なんか苦しみ始めましたよ!? デュプリ・ライブラ: いまのうちに身柄を確保するッス! リル: くそっ、暴れるんじゃないっ レーヴァテイン: あ、ああっ、はぁっ、はぁっ、わ、私は……い、いったい……? ピュルテ: え……何か雰囲気が変わりましたか……? もしかして、ディマイト堕ちしていたのでは? リル: そのものでなくとも、近い現象かもしれないな。おい、大丈夫か。話せるか? レーヴァテイン: え、ええ……記憶は途切れ途切れだけど……私、何をしていたのか…… リル: もう大丈夫だ。安心しろ ピュルテ: 人間さん、エルマイトを補充してあげたほうがいいんじゃないですか? レーヴァテイン(內心): (……!? よくわからないが、ここで触れられるのは危険な気がするわね) レーヴァテイン: あ、いえ……大丈夫よ。それには及ばないわ ピュルテ: なに残念そうな顔してるんですか、人間さん。美人と手を繋げる大義名分だと喜んでましたよね? もうっ リル: まったく貴君は…… デュプリ・ライブラ: それで? 記憶は途切れ途切れだけど、そこそこ残ってるんスよね? レーヴァテイン: ええ、何人かの仲間と行動を共にしていて…… デュプリ・ライブラ: それはルインズナイトのメンバー、ってことッスか? レーヴァテイン: ……! レーヴァテイン(內心): (捜査当局はルインズナイトの存在を把握しているのね……。なら、答えは) レーヴァテイン: たぶん、そうだと思うわ。でも、全員いたのかどうか、また記憶が曖昧で リル: なに、ゆっくり思い出せばいい。無理はするな ピュルテ: ってことは、ルインズナイト全員がディマイト暴走状態ってことでしょうか リル: 連続殺人事件の犯人、といってもどこまでが事実かはわからないな レーヴァテイン(內心): (連続殺人犯……ですって?) レーヴァテイン: 殺人なんて、そんなことに……? ううっ、あ、頭がまだ ピュルテ: ああっ、ひとまず宿屋で横になりましょうね! デュプリ・ライブラ: ………… 6000106 - 同乗者 レーヴァテイン: 私たちが殺人犯ってことになってるの? それも連続殺人なんて…… リル: 残念だが、証拠が揃っている。もっとも、情状酌量の余地があるようには思えるがな ピュルテ: どうなんでしょうか、デュプリ・ライブラさん。暴走状態だったら罪には問われないとか、そういう事例はあるんですか? デュプリ・ライブラ: あるわけないッスよ。人間さんが殺されても、同じこと言えるんスか? ピュルテ: そ、それは……そうですよね…… リル: 殺人事件とは言っているが、デュプリ・ライブラ殿。実際のところ被害者はどうなってしまったんだ? デュプリ・ライブラ: どうもこうも、リルさんはしっかり見たでしょ。あの惨たらしい現場を リル: いやしかし、微精霊になったのかと デュプリ・ライブラ: うん、人間さんの言うとおりッスよ。微精霊になるなら許されるってものじゃないッスね。でも、それ以前に……彼らはオトギノクニの名もなき住民なんで デュプリ・ライブラ: 微精霊になることもなく、存在が消滅してしまうんスよ レーヴァテイン: ごめんなさい。そんな大それたことをしでかしたなんて、まったく覚えていなくて…… レーヴァテイン: けど、もし微精霊にはならないのだとしても、存在ってすぐさま消滅するかしら。巷では、蘇生魔法なんてものを聞くけど デュプリ・ライブラ: あんなものはまやかしッスよ。それから、レーヴァテインさんは許可なく発言しないでほしいんスけど レーヴァテイン: そんな、私は少しでも役に立ちたいと思って レーヴァテイン(內心): (さすがにデュプリ・ライブラは簡単にはいかないか……) ピュルテ: いわゆるディマイト暴走とは少し違うんでしょうか リル: そうなのかもな。本来、暴走中の記憶は解除されても残っているんだろう? リル: 何かディマイトの違いやパターンのようなものを、ピュルテの能力で感じ取ることはできないのか? 元々感知能力を持つピュルテなら何かわかりそうじゃないか レーヴァテイン(內心): (感知能力……? なるほど、それで私たちの居場所を突き止めたってわけ……。なら、下手な嘘は命取りになるかもしれないわね) レーヴァテイン: 実は私、ベースがエルマイトじゃなくてディマイトなの。だから普通のディマイト暴走とは違うんだと思うわ ピュルテ: えっ、ベースがディマイト? リル: 一定数いるパターンだが、なるほどな レーヴァテイン: ええ。私は武器の精霊だから。人を傷つける道具でしょう? どうしてもディマイトが中心になってしまうわ リル: 貴君は美人には本当に弱いな。だが確かに、それは本人に責任のあることではないからな ピュルテ: 人間さんはそういうことで差別なんてしない方ですもんね レーヴァテイン(內心): (人間さん、か……。ふん、せいぜい利用してやらなくては) (背景切換...) 商人: おや、どうしたのかな 少年: この先の町まで行きたいんだ。荷降ろしを手伝うから乗せてくれない? 商人: ああ、かまわないよ。乗った、乗った 少年: へへっ……ありがとう デュランダル: あ、新しいお客さん……ですね…… 少年: !! ムラマサ: 我らが言えた義理ではないが、まるで乗合馬車だな 傭兵: まったくですな。商品より私たちの占めるスペースのほうが大きいかもしれません 少年: へ、へえ、いっぱい乗ってるんだね 貴族: なんだ、私に何か文句でもあるのか 商人: やめてくださいよ、坊ちゃん。私は喜んで坊ちゃんをお届けしますよ カラドボルグ: 旅はにぎやかな方がいいじゃねーか。なっ? デュランダル: た、旅というには、ずいぶん短いですけど…… カラドボルグ: 細かいことはいいんだよ! (背景切換...) ダインスレイヴ: 3人の乗った荷馬車が動き始めましたね。大丈夫でしょうか アロンダイト: あなたよりはマシでしょ、ダインスレイヴ。ずっとその人格を維持してくれるならいいけど ダインスレイヴ: それを言われると辛いところですね。このくらいの短時間ならとは思いますが、何があるかわかりませんし アロンダイト: あの子たちを信じるしかないわ。ムラマサがいてくれるんだから、なんとかなるとは思うけど アロンダイト: それに、あの中には子供もいるし。カラドも熱くなって無茶をするようなことはないはずよ ダインスレイヴ: 子供がいると? 何かあるんですか? アロンダイト: ええ、まあ色々あるのよ。あの子自身も自覚してないかもしれないけど。それより、わたしたちも急ぎましょう ダインスレイヴ: そうですね。私たちは私たちで、やるべきことをやらなくては 6000107 - 鍛冶屋 カラドボルグ: おう、少年。水でも飲むか? 少年: えっ。いえ、大丈夫です カラドボルグ: なんだよ、遠慮なんかすんなよ。袖ひきちぎるも多少は縁っていうだろ デュランダル: カラドさま、それほぼ原型をとどめていませんよ…… カラドボルグ: え、そうなの? それより少年、ほら……あっ、わかった! アタシと間接キスになると思って意識してんのか! ムラマサ: やめておけ。そろそろ訴えられるぞ 傭兵: ははは、皆さん愉快な方々ですね ムラマサ: 皆さん? 愉快な? この我をカラドと一緒にしないでもらおう デュランダル: そ、そうですよね。ムラマサさんは、か、数々の功績を打ち立てたすごい人、ですもんね……っ ムラマサ: デュランダル。余計なことは言わなくていい デュランダル: あ、ひゃいっ…… ムラマサ: で? この子爵家の次男坊を目的地まで送り届けながら、商売をしているというわけか 商人: ええ。ダンナ様によろしく頼むと言われましてな 貴族: まったく父上は過保護すぎる。とはいえ、歩くよりもずっと早いのでな。こうして世話になっている 傭兵: 俺は、こうして行商やってるダンナに雇われて、用心棒をやってるってわけだ デュランダル: そ、それじゃ、皆さんしばらくずっと、旅されてたんですね…… ムラマサ: なるほどな…… 少年: お姉ちゃんたちは3人で旅してるの? デュランダル: ええ、そうですよ。ときどき他の仲間と合流したりしますが ムラマサ: 旅が長いというなら聞いてみたいのだが『金の子』を知っているか? 少年: 金のコ? なんだそいつ デュランダル: 鍛冶屋なんです。とても腕が良くて 商人: 依頼したいってわけかい。でも私は聞いたことないねえ 傭兵: いや、俺は聞いたことがあるぞ。知る人ぞ知る、という存在で気に入った仕事しかしないらしい。だから流通量も少ないってわけだ カラドボルグ: そいついま、どうしてるかとか知ってるか? 傭兵: いや……噂では死んだらしいって聞いてる カラドボルグ: 死んだ…… 傭兵: 殺された、なんて話も出てるらしいな デュランダル: そう、ですか……やはり…… (背景切換...) リル: ピュルテ、感知能力はどうだ。問題なさそうか ピュルテ: うん、大丈夫そう。人間さんも、いつでもいけそうですね。やる気満々じゃないですか レーヴァテイン: ………… レーヴァテイン(內心): (大規模な捜査網だと聞いていたが、動員されている微精霊の数は多いものの、中心になっているのはデュプリ・ライブラとこの3人のようね……) デュプリ・ライブラ: 地元の微精霊に話を聞いたところだと、このあたりでも殺人事件があったらしいッス リル: なんだと? まさか逃走しながら手にかけたのか? デュプリ・ライブラ: や、時期はもっと前みたいなんスけど。でもメッタ斬りの酷い現場だったらしいんで、関連はありそうかなって ピュルテ: うぷっ……この前の現場、思い出しちゃった……。被害にあった人には申し訳ないけど、やっぱり血の多い現場は無理かも…… レーヴァテイン: この近くで? そんな記憶、ないわよ デュプリ・ライブラ: いやあ、だって無意識なんでしょ? 記憶になくても、やってない証明にはならないっすよ ピュルテ: ま、まあ、まだわかりませんし…… リル: メッタ斬り以外の特徴は何かあるのか? デュプリ・ライブラ: 被害者は女性。名前はカナというらしいッス レーヴァテイン(內心): (カナ……!? そうか、こいつが言っている事件はカナの……) レーヴァテイン(內心): (…………) リル: ……? ピュルテ: よしっ、それじゃあみなさん、出発しましょうか! レーヴァテイン: ええ。役に立てるかわからないけど…… デュプリ・ライブラ: や、ちょっと待って。レーヴァテインはボクと残ってもらうッス。もうちょっと詳しく話を聞かせてほしいんスけど レーヴァテイン: え……? で、でも、私が知ってることは全部話しましたよ ピュルテ: ていうか、それじゃあレーヴァテインさんだけじゃなくて、デュプリ・ライブラさんも来られないんですね (背景切換...) 商人: ようし、もうすぐ到着だ。荷降ろしの準備、お願いしますね デュランダル: は、はいっ、おまかせくださいっ (背景切換...) 貴族: じゃあな。短い間だったが楽しかった 少年: お姉ちゃんたち、ばいばーい カラドボルグ: おう、じゃあなー! デュランダル: …… ムラマサ: …… カラドボルグ: あの中に、『ヤツ』がいるってわけか…… 6000108 - デュランダルの場合 デュランダル: え、ええ。アロンちゃんは、『標的』の気配をあの場所から感じ取ったと言っていました。一緒に荷馬車に乗ったあのメンバーの誰か、のはずです…… ムラマサ: だが、今のこの時間では特定までには至らなかったな。まあ、少なくとも全員この街にはいるわけだ。もう少し調べてみるか デュランダル: あれっ? ねえ、あれって…… カラドボルグ: あれ? リル: やれやれ。どこも代わり映えしない街並みばかりだな ピュルテ: そんなこと言わないの、リルちゃんてば。それにほら、あれ。人間さんも行ってみたいんですよね? リル: ん? ああ、大聖堂か。あんなものがあるんだな カラドボルグ: あいつらがどうしたよ デュランダル: あの男の人……っ、天空神殿から派遣されてきた捜査官、ですっ……! ムラマサ: なんだと、あの男が? だとしたらレーヴァテインは…… レーヴァテイン: <みんな、聞こえる?> カラドボルグ: レーヴァテイン!? レーヴァテイン: <例の町に人間さんと呼ばれている男が向かったわ。私はデュプリ・ライブラに足止めを食らってる。危険よ、気をつけて> ムラマサ: ちっ、厄介なことになったな…… リル: ん……? あそこの3人、挙動がおかしいな 微精霊: 職質かけますか、リルさん カラドボルグ: おい、こっちに気がついたんじゃないのか!? まずいぞ! デュランダル: お、おふたりとも、に、逃げてください……! ここはわたくしが引き受けます……っ カラドボルグ: なっ、デュランダル、お前っ デュランダル: 大丈夫ですよ。わたくしには天使様がついているんですから カラドボルグ: 天使って言ったって、お前…… ムラマサ: ……カラドボルグ。ここはデュランダルに任せるしかない ムラマサ: 万一捕まったとしても、アロンダイトたちと合流したら、必ずお前を取り戻しに行く デュランダル: 大丈夫ですよぉ……わたくしは、もう……間違えませんから……っ!! ムラマサ: ――っ! カラドボルグ: 初めて見たぜ、こんな殺気立ったデュランダルは……。わかった、ここはまかせる! アタシらはあいつの仇を必ず! ピュルテ: な、なんかひとりが、こっちに向かってきますよ!? デュランダル: 天使様、わたくしに力を! (背景切換...) (わたくしと、その持ち主たる騎士はそのとき、危機に陥っていました。) (信頼とは、戦場で戦士を強くするものです。) (仲間との連携、大胆な作戦、いずれも信頼は不可欠。) (それと同時に、だからこそひとたび裏切られれば) (たちまちのうちに戦況は変わってしまいます――) (背景切換...) 騎士: くっ……まさか、あいつが俺たちを裏切るなんて…… デュランダル: 昨日まで笑顔でわたくしたちに挨拶をしてきたというのに……! デュランダル: 完全に囲まれています。このままでは全滅してしまう…… 騎士: まだだ、ここで撤退するのはそれこそ、俺を信じてついてきてくれた仲間への裏切りに他ならない……! デュランダル: ご主人さま……。その崇高な志、わたくしはあなたさまの剣であることを誇りに思います 親友: よう、相変わらずだな、お前らは 騎士: うるさい、茶化すな。騎士が剣を大切にして何が悪い 親友: 剣は剣でも、美女の精霊がセットとあっては、将来の義兄としては複雑にもなる デュランダル: わ、わたくしは、純粋にご主人さまの武器としてお仕えしているだけです……っ。妹君からご主人さまを奪おうなどと不届きなことは 騎士: デュー、冗談を真に受けるな デュランダル: あ、冗談……。し、失礼しました…… 親友: こんな局面で冗談なんて不謹慎かもしれんがな。でも、そうでもしないと、やってられん。……援軍は要請したんだな? 騎士: ああ。だが間に合うかどうかは…… (結論から言えば、援軍は間に合いませんでした。) (殿軍を務めていたご主人さまは、政敵の罠にかかっていたのです。) デュランダル: さ、させませんっ……! わ、わたくしだって、剣の精霊っ……まだまだ、戦えますっ……! (最後まで意地を見せる。) (ご主人さまの意向にわたくしも従うつもりでした。) 親友: ぐ……ふっ…… 騎士: おい、しっかりしろ! 親友: 妹を……頼んだ…… デュランダル: ……立派な最期でした。ですが、伝言は…… 騎士: …… デュランダル: も、もし伝言を伝えるため戦場を離れられるのでしたら、わたくしっ、止めたりなどしませんっ……。従いますから…… 騎士: いいや……。もうとっくに覚悟は決まっているよ、デュー デュランダル: そ、そうでしたか。すみませんっ、差し出がましいことを。それなら、わたくしは最後の一振りまでご一緒しますっ 騎士: いや……お前は精霊だ。デューほどの名剣なら、5万の敵兵の誰かが必ず持ち去るだろう デュランダル: それは…… 騎士: 俺はそれに耐えられない。だから、お前を道連れにさせてくれないか デュランダル: ……!? 6000109 - 天使様との出会い デュランダル: も、もちろんですっ。わたくしが精霊でなければ、ともにこの戦場で散る覚悟でっ……。でも、どうやって、ですか……? 騎士: お前を岩に叩きつけて折ろうと思う デュランダル: ……!! 騎士: ひどい痛みがあるに違いない。剣を折るなど騎士道に照らしても言語道断。だが……俺は、お前を他人に渡したくないんだ…… 騎士: これほどの名剣を、野蛮な連中の手に渡すなど……! ああ、デュランダル。身勝手な俺を許してくれ……! デュランダル: ご主人さま…… デュランダル: いいえ、顔を上げてください……。激しい剣戟があれば折れることもありますから、覚悟はできています。少し状況が違うだけのことですっ…… デュランダル: さあっ、ひ、ひとおもいに、やってくださいっ…… 騎士: ありがとう、デュー。なら、この大岩で……こんな岩なら、さすがに折れてしまうことだろう 騎士: はああああああぁぁっ!! デュランダル: ――っ!! (ですが、わたくしが折れることはありませんでした。) 騎士: な、なんと……岩が真っ二つ……? (何度、どの岩で試しても、わたくしは折れることなく) (相手を断ち切ってしまいました。) デュランダル: ……ご主人さま。わたくしは 騎士: まるで、天使が守っているかのようだな。お前の運命は、俺などに左右できるものではなかった、ということだ…… 敵兵: おい、いたぞ! 岩を切り裂く名剣を振り回してる騎士だ! 敵兵: よし、頂いちまえ! デュランダル: ご主人さまっ、て、敵ですっ。まいりましょうっ 騎士: ああ……こうなったら最期まで頼むぞ……っ、はあああっ! (ご主人さまは最後のそのときまで、勇敢に戦いました。やがて――) 騎士: ぐ……うぅっ……ここまで、だ……。伝説の名剣デュランダルの、歴史に名を残せたこと、誇りに思うぞ……。ぐ、ふぅっ…… デュランダル: ご主人さまぁっ! 敵兵: よしっ、この剣は俺がいただくぜ! おいおい、剣としてもすげーが、なんだこの可愛い精霊は! デュランダル: や、やめてくださいっ……わたくしにっ、汚い手で触らないで……っ 敵兵: こりゃあ毎晩、ベッドに剣を持ち込むのが楽しみだなぁ、おい…… デュランダル: いやあああああああぁぁぁぁぁぁあああああぁぁぁぁっっ!! (わたくしの記憶は、そこで途切れています。) (湧き上がる様々な感情が一気に、外へ放たれていく感覚だけは残っているのですが。) (背景切換...) デュランダル: はぁ、はぁ、わ、わたくしは……いったい……? デュランダル: ――っ!? こ、これは……何が起きて……? (気がつくと、周囲は一面の死体の海でした。) (敵味方問わず、視界の届く範囲で立っているのは) (わたくしだけだったのです。) デュランダル: まさか、これをわたくしが……? い、いえ、そんなこと、できっこありません…… デュランダル: ……まさか デュランダル: ご主人さまが言っていました。まるでわたくしを天使が守っているようだと…… デュランダル: これは天使様のお導き……!? アロンダイト: かもしれないわね デュランダル: あ……アロンちゃん…… アロンダイト: ひさしぶりね、デュー。いろいろと苦労していたみたいだけど デュランダル: いいえ、わたくしのことなら、苦労なんてものは全然……。ただ、戦況はこの通りです アロンダイト: この通りと言われても、あなたの一人勝ちにしか見えないわ。負け戦だったの? デュランダル: ええ……裏切りにあって、それで総崩れに…… アロンダイト: わたしたちは所詮、武器の精霊。作戦立案にも駆け引きにも携わることができず、ただ戦場で血を流すだけ デュランダル: それがわたくしたちの定め…… アロンダイト: でも、いまのデューはこんな力を発揮したのよ デュランダル: それは……そう、天使様がお力を貸してくださったんです! アロンダイト: なら、天使に導かれる名剣デュランダルの力を、わたしに貸してほしいの。わたしと一緒に、誰にも縛られない精霊を目指してみない? (背景切換...) デュランダル: そう……あのとき、わたくしは天使様からお力を授かったのです! 以来ずっと、ルインズナイトのみなさんと一緒にがんばってきました……! デュランダル: もう二度と、過ちは犯しません……! わたくしだけが取り残されるような、そんなことは……! ピュルテ: す、すごいディマイトです! いえ、これはエルマイトも混ざり合って……! ううっ!? リル: 貴君の力があれば対抗できるはずだ! 小生とピュルテに、貴君のエルマイトを渡してくれ! デュランダル: み、身の程を知らない人たちですね……! わたくしに抗うということは、て、天使様の否定にほかなりません……! ピュルテ: 天使様……? デュランダル: OK、Boss。叩き割ってあげましょう。騎心岩砕決剣(プレパラ・ロンスヴァル)! 6000110 - 恩人 デュランダル: なっ……この人たち、どうしてここまでのエルマイトを操っているんですか……っ? く、くうううっ!? ピュルテ: あとひと押しです、人間さん! リル: だが、このまま倒してしまっていいのか!? 尋問して情報を手に入れたいところだが…… ピュルテ: 大丈夫! デュプリ・ライブラさんから預かったこれがあるの リル: 手錠? ピュルテ: 力を封じる効果があるんだって。私が隙を作るようにがんばってみるから、リルちゃんがそれを使って捕まえて! リル: 了解! 頼むぞ、ピュルテ、人間さん殿! デュランダル: う、そよっ……! う、ああっ!? 天使様の、お力が……っ! こんな人たちなんかにっ、負ける、はずが……! ピュルテ: 今だよ! リルちゃんっ!! リル: ああ! そこだ!! デュランダル: いやああぁっ!? な、何を……っ!? デュランダル: はっ!? 力が……喪われていく……? ああ、そんな、天使様はわたくしを見捨てられたのですが……!? どうしてっ…… ピュルテ: いいえ、その手錠の効果です。そんなに悲しまないでください デュランダル: 手錠……? こ、これひとつで動けないなんて リル: 14時43分、捜査妨害の疑いで現行犯逮捕する。……名前は デュランダル: ――デュランダル (背景切換...) レーヴァテイン(內心): (デュランダルの応答がない……。精霊念信<エレメ・テレパス>を使って警告したけど、遅かったか……) レーヴァテイン: 私って、そんなに疑われてるわけ? ディマイト暴走中に犯罪行為をしたかどうかも、証拠はないはずだけど デュプリ・ライブラ: 証拠ならあるんスよ。被害者から採取されたディマイト・パターンが一致してるんスからね レーヴァテイン: …… デュプリ・ライブラ: おっと、失礼するッス。スホマに着信……ああ、人間さんッスね。はいはい、ボクッスよ~。おっ、1名確保? やるッスね~。名前は……デュランダル レーヴァテイン: !! デュプリ・ライブラ: あ、ルインズナイトのひとりで間違いないと思うッスよ。いま名前出したら、レーヴァテインが反応したんで レーヴァテイン(內心): (こいつ……小賢しいことを……) レーヴァテイン(內心): (デュランダル以外の4人にもう一度、精霊念信を試してみる……? いえ、デュプリ・ライブラは私を疑っている。余計なことは慎むべきね……) レーヴァテイン(內心): (きっとあの4人なら、あの人のところにたどり着いているはず……) (背景切換...) カラドボルグ: ここか……よく見つけたな ムラマサ: だいぶ森の奥のほうだったな ダインスレイヴ: ここが、あの人の…… アロンダイト: 入るわよ (背景切換...) カラドボルグ: うわっ!? 床に血溜まり……の跡か…… ムラマサ: それに壁には無数の刀傷……。かなり激しくやりあったんだろうな アロンダイト: 武器には事欠かない場所だからね。それにしても……酷いわね ムラマサ: この大鎚も、鉄床も……事件があってからそのままになってるのか アロンダイト: でしょうね。家族もいないって言ってたから ムラマサ: カナ…… ダインスレイヴ: こんなの見せられちゃあ……黙っていられないねぇ! カラドボルグ: うおっ、ダインスレイヴ!? おいおい、まさか ダインスレイヴ: 犯人のやつを必ず見つけ出して、徹底的に叩き潰してやらないと気が済まないんだよ! 全身の血が流れ出るまで、あたしがいたぶってやる!! ムラマサ: 面倒なほうの人格が出てきたか アロンダイト: でも、やり方はともかく、ダインスレイヴの言うことにみんなも同じ意見でしょ。犯人は絶対に逃さないし、贖罪をさせる ムラマサ: それは、間違いない カラドボルグ: 当然だろ。アタシたちにとってカナは特別なんだからな! アロンダイト: ええ、その通り。わたしたちは恩人に報いなければいけないわ 6000111 - 鍛造 ダインスレイヴ: なんでもいい。犯人につながりそうな手がかりを見つけて、さっさと血祭りにあげてやらないとねぇ! アロンダイト: 落ち着いて、ダインスレイヴ。ここで熱くなっても何も生まない ダインスレイヴ: 落ち着いてられるもんか! あたしたち全員にとっての恩人だよ! カラドボルグ: そうだな……。カナがいてくれたから、アタシらは持ち主から解放されて自由でいられる存在に――ルインズナイトになれたんだ ムラマサ: 『金の子』と呼ばれた天才鍛冶師…… アロンダイト: カナは……何も聞かないでわたしたちを迎え入れてくれて、そして……鍛えなおしてくれたからね。本来の意味で ムラマサ: 再刃は我ら武器精霊にとって、危険と隣り合わせでもある。だがカナは、いとも簡単にやってのけた カラドボルグ: 簡単じゃないって。簡単“そうに”やってみせただけでさ ムラマサ: ……ん。そうだな アロンダイト: 武器精霊が、本体の持ち主に左右されることなく自由に、己が信じる正義を貫く――この理想を実現できたのも、すべてカナの技術によるもの アロンダイト: わたしたちは精霊でありながら、本体の位置に拘束されない自由な行動範囲を手に入れることができたわ。この利点は現在も失われてはいない ダインスレイヴ: ああ、そうだよ! だからさっさと追いかけようって言ってんだ! 『ヤツ』があたしたちの本体を持ち去ったところで、あたしらは身動きできるんだからねぇ! アロンダイト: 情報が必要よ。落ち着いて冷静に、部屋をくまなく調べるの。追跡はそれからでも、充分に間に合うわ カラドボルグ: なあ、ダインスレイヴ。正面からの殴り合いになるまでは、いつもの人格に戻っといてくんない? ダインスレイヴ: ふん、まあいいだろう。あたしも騒いだおかげで、少しは気が済んだからね ダインスレイヴ: じゃあ、またちょっと眠らせてもらうよ―― ダインスレイヴ: あ、あれ? 私……もしかして、また『もうひとり』が出ちゃってましたか? ムラマサ: いかにも。まあ、気にしないことだ ダインスレイヴ: いつもすみません。ご迷惑をおかけしています…… カラドボルグ: いつものことだからさ。もうみんな慣れたって アロンダイト: さて……急いで調べましょう。追手がくる前に (背景切換...) デュランダル: くっ……捕まえたところで、わたくしは何も申し上げることはありません…… デュプリ・ライブラ: これはなかなか強情さなお嬢さんッスね リル: 取り押さえたときから、この調子なんだ。何か情報を得られそうな気配はない ピュルテ: そうですね、人間さん。このデュランダルさんはディマイト暴走していたわけではないみたいです デュプリ・ライブラ: レーヴァテインとは違うわけッスね? レーヴァテイン: デュランダル…… デュランダル: ………… レーヴァテイン: ………… レーヴァテイン: 私は暴走中の記憶がないわ。何か知っていることがあれば教えてほしいの ピュルテ: 人間さん、どうしました? 何か変な顔してますけど リル: とにかく、残りのルインズナイトを追わなくてはならない。しかしデュランダルが口を割らない以上、頼みの綱はレーヴァテイン殿だ レーヴァテイン: そう言われても、私には記憶が…… レーヴァテイン: あ、待って……そういえば、どこかの酒場の2階に集まっていたような……あれはいったい、どこだったか…… リル: なるほど。よし、2F席のある酒場を探せ! 個室のような作りになっていると、なお怪しい。行け! 微精霊たち: はっ!! デュプリ・ライブラ: ま、この状況ではそれしか手がかりがありませんし、しょうがないッスね レーヴァテイン(內心): (ちっ……デュプリめ……) 微精霊: あ、あの、デュプリ・ライブラさん! デュプリ・ライブラ: ん、どしたんスか? ふんふん ピュルテ: それじゃあ人間さん、私たちもがんばって探しましょう! シンデレラさんがいたら、行くそばから飲んじゃって大変でしたね デュプリ・ライブラ: ……みんな、待つッス リル: なんだ? デュプリ・ライブラ: 気になる目撃証言があったんで、酒場は微精霊に任せてボクたちはそっちに行きましょう リル: ……場所は? デュプリ・ライブラ: 元・殺人現場ッス デュランダル: ……! 6000112 - つなぐもの ムラマサ: あった。これではないか? カラドボルグ: おっ、それだ! 間違いないな。さすがムラマサ、お前のその強力な力に反応したってところか? ムラマサ: いや…… ダインスレイヴ: ムラマサさんの力はあまりに強いので、普段は自ら封じ込めておられるんですよ。手で触れた程度で、簡単に反応したりはしないのでは ムラマサ: ああ……そうだな アロンダイト: 間違いないわ。これこそカナが愛用していた大槌よ。ここへ来た目的はもう達したも同然。お手柄ね、ムラマサ ムラマサ: なに、我からすればこのような探し物など児戯に等しい アロンダイト: わたしたちの本体を鍛え直すときに使った大槌……これがあれば、本体をより正確に辿ることができるわ ダインスレイヴ: まずは本体奪還が最優先、ということですね アロンダイト: 自分で言うことではないけど、わたしたちの本体は単体でもかなり強力よ。敵側勢力に奪われたままにしておくのは、リスクが高いわ カラドボルグ: もちろん盗んだ奴はぶっ飛ばさないと気が済まないけどな ムラマサ: はやるな。倒すことはいつでもできる。それよりも―― アロンダイト: ええ、そうね。この、いま起きている事態の全容を解き明かすことが最優先だわ アロンダイト: ……! 標的がまた動き始めたわ。行くわよ カラドボルグ: まだ犯人を特定できるような証拠は見つかってないけど、いいのか? 怪しいのはアタシが見つけた、この変な道具くらいしか…… ダインスレイヴ: 金属でできていますし、おそらくカナが作ったんでしょうね。細長くて先が尖っています。矢尻のようにも見えますが……何をする道具なのか、これだけではピンと来ません アロンダイト: それは置いていきましょう。うかつに持ち去ると、何が不利に働くかわからない ムラマサ: ……では、標的の追跡を再開するのか アロンダイト: ええ。わたしの能力では正確な位置まで特定できなかったけど、カナの大槌も手に入れたわ カラドボルグ: いよいよぶちのめせるわけだな! ムラマサ: 戦闘か…… ダインスレイヴ: さっきムラマサさんに言われたじゃないですか。まず情報、ですよ。ね、ムラマサさん? ムラマサ: え? あ、ああ。そうだな (背景切換...) リル: 突入! 微精霊: 動くな、天空神殿だ! (背景切換...) ピュルテ: 誰もいないみたいですね デュプリ・ライブラ: 察知されたんスかね。誰かいたのは間違いないと思うんスけど レーヴァテイン: 特に痕跡らしい痕跡もないわ。来ていないんじゃないの デュプリ・ライブラ: いやいや、来てたはずッスよ ピュルテ: どうしてわかるんですか? デュプリ・ライブラ: 足元。血痕の跡が落ちきってなくてそのまま乾いたところが、擦れたような跡になってるんスよ ピュルテ: ひっ! そ、そうでした、ここは殺人現場だって…… デュプリ・ライブラ: って言っても、被害者は見つかってないんスけどね レーヴァテイン: 見つかって……いない……? ピュルテ: でもこの出血じゃ、きっと……お気の毒です リル: しかし、ルインズナイトたちがここに間違いなくいたというなら、一体何をしていたんだ……? ピュルテ: 人間さんは、何かを探していたんじゃないかと考えてるんですね リル: ふむ……ここの、元の家主はどういう人物なんだ デュプリ・ライブラ: カナと名乗る鍛冶師だったそうッスね。武器精霊と鍛冶師……確かに何か繋がる気がするんスけどね デュプリ・ライブラ: どうッスか、レーヴァテイン。何か思い出しました? レーヴァテイン: いえ……特には思い当たりませんね。カナという名前にも心当たりはないです デュプリ・ライブラ: そうッスか。デュランダルはだんまり決め込んでるんで、頼みの綱はあなただけなんスけどねぇ…… リル(內心): (……? デュプリ・ライブラ殿が何かを拾い上げた……なんだ、あれは。金属?) デュプリ・ライブラ: あまり協力してもらえなさそうなら、あなたもデュランダルの隣で牢獄に繋いでおいてもいいんスよ? レーヴァテイン: くっ……知らないものは知らないわ、仕方ないじゃない ピュルテ: ま、まあまあ、落ち着きましょうよ リル(內心): (……細長い金属だった。拾い上げて、そしてポケットにしまった……。レーヴァテインへの煽りは注意をそらすためのフェイクか……?) リル(內心): (しかし、一体なぜ……) (ドォン……ッ!) ピュルテ: ――っ!? い、いま、どこかで爆音のようなものが!? (背景切換...) リル: あそこ、煙が上がっているぞ。やはり何か爆発したのか? 微精霊: あれは北街道のほうです。いま確認していますが、どうやら巨大な魔物が出現したという情報が…… ピュルテ: 魔物……!? レーヴァテイン(內心): (大丈夫……彼女たちなら……魔物程度、どうにでもなるはず……。でも、何故このタイミングで……) (背景切換...) カラドボルグ: ちょうどよく馬車が使えて良かったな。これですぐに標的にも追いつけるぞ ムラマサ: ………… ダインスレイヴ: ムラマサさん? なにか、顔色が優れないようですが ムラマサ: い、いや、なんでもない カラドボルグ: わかるよ、ムラマサ。標的に追いつけば思いっきりやりあうことになるからな。いよいよ自分の出番だと思って武者震いしてんだろ ダインスレイヴ: ムラマサさん。あなたが実力者なのはわかりますが、ひとりで気負いすぎなくていいんですよ ムラマサ(內心): (……このままだと、わたし……戦わなくちゃいけなくなる……!?) アロンダイト: ムラマサ、あなたは秘密兵器だから ムラマサ: …… カラドボルグ: ん……? な、なんだ、この地響きは!? アロンダイト: ――っ、後ろ! ムラマサ: む……!? ムラマサ(內心): (うううっぇえええええぇぇぇっ!? な、なんだこいつ!!) 6000113 - ムラマサの場合 カラドボルグ: な、なんだこいつっ……でっかいな、おいっ ダインスレイヴ: ふん……でも、私たちルインズナイトの敵ではない。2人欠けてはいますが、それでもあのムラマサがいるんですから ムラマサ: ふむ…… ムラマサ(內心): (ま、まずいよこれは! こんなイカツイのと戦えるわけないって! 死んじゃう!) アロンダイト: 落ち着いて。倒すことはできるでしょうけど、相応の時間がかかってしまうわ。いま馬車を止めて戦っていたら、倒す頃には標的を見失いかねない ムラマサ: 確かに……道理だな ムラマサ(內心): (そうそう! ナイスだよ、アロンダイト! さっさと逃げちゃえばいいんだ!) カラドボルグ: で、でもっ……うあっ!? ダインスレイヴ: もう追いつかれそうで、さっきから何度も攻撃がかすってるんですよ! このままだと馬車ごとやられてしま……きゃああっ!? ムラマサ: !? カラドボルグ: ああっ、ムラマサ!! おい、アロンダイト、止めろ! ムラマサが馬車から落ちた! ムラマサ(內心): (いっててて……攻撃がかすっただけで、めっちゃ揺れるんだもんなぁ……って、あ、あれ、これピンチなのでは?) アロンダイト: まさかムラマサ、あなた…… カラドボルグ: そうか、ここは任せろってことか……! ムラマサ(內心): (はあああああ!? う、嘘でしょ!?) ムラマサ(內心): (でも……いまから馬車に戻るなんて無理だし……ここはカッコつけるしかない……!) ムラマサ: ここは我の出番だ! 先に行け!! ダインスレイヴ: ムラマサ……! わかりました、必ず後でお会いしましょう! ムラマサ: ふう……あっという間に見えなくなっちゃった。あとはこいつからがんばって逃げれば…… ムラマサ(內心): (逃げる……結局、わたしは役立たずのまま……どうにも、ならないの……?) (背景切換...) 師範: ほっほっほ。これはなかなかの業物じゃぞ 弟子: お師匠っ、ムラマサはそんなにすごいの? ムラマサ: ふん…… (わたしは――いたって普通の武器精霊だった。) (精霊として実体化できたことも奇跡と言える程度の。) (大した値打ちもなく、雑に作られ、雑に売られ、) (薄暗い蔵で眠る日々が続く。) (隣に置かれた怪しい壺も実体化して、) (わたしの話し相手になってくれたらとよく考えた。) 師範: こやつは妖刀と呼ばれておる。名だたる武将がこの輝きに魅せられたのじゃ。そして……命を落とした 弟子: ええっ!? どういうこと!? 師範: 持ち主が邪悪な心を持って剣を振るえば、祟りをなすと言われておるのじゃ。抜けば血を見ずにはいられないと語られるほど、非常に好戦的なのじゃよ 師範: その実力もまた折り紙付きで、岩を一刀両断は当たり前。大蛇の首を落とし、姿なき妖魔も切り裂き、山ほどもあるトロールを吹き飛ばしたという 弟子: す、すごい……本当なの? ムラマサ: そんなこともあったな。だが、それは我の成し遂げた事実のほんの一部にすぎない ムラマサ(內心): (まったく見に覚えがないんだけど……。蛇を踏んづけて怒らせて、泣きながら逃げ回ったことならあるんだけどな) (噂が広がり始めたのは、実体化してしばらく経ってからだ。) (最初はわたしも覚えている。) (盗賊集団と遭遇した際、戦闘中に足がもつれて思い切り転倒したのだ。) (そのとき、すっぽぬけた武器が頭領に直撃した。) (だが武器の軌道を誰も見ておらず、) (わたしは偶然にも直接手を下さず呪殺したと勘違いされた――) ムラマサ(內心): (最初のとき以来、すごいラッキーが何度も起きるし、失敗してもみんなが謎解釈してくれたりして、気がついたら……) 弟子: すごいなぁ。ムラマサがいればどんな奴が来ても怖くないね! ムラマサ(內心): (こういう立ち位置になってた。みんながわたしに一目置いてるって、すごく気分がいいんだよなぁ……完全にくせになってる……) ムラマサ(內心): (そこいらのチンピラ程度なら、わたしの名前を聞いただけで怯えて漏らしちゃうくらいだもんね。名前が上がれば戦わなくても勝てる。最高だよ) 弟子: あ、でも持ち主を祟るって……お師匠のことは祟り殺しちゃだめだよ! ムラマサ: そんなことはしない。安心しろ ムラマサ(內心): (いままで誰のことも祟り殺したりなんかしてないんだから) (背景切換...) ムラマサ: 今日はそうだな……すき焼きがいいな…… 弟子: うんっ、お師匠に頼んでおくね! 大丈夫、この町のお金持ちはみんな、ムラマサがいるから盗賊も魔物も来ないって喜んでるから、最高の肉ですき焼きができるよ ムラマサ: そういえば、実戦からずいぶん遠ざかっているな…… ムラマサ(內心): (とか、ちょっと強そうな雰囲気だけ出しとかないとね。実際、戦いなんて絶対やだけど。どうせ負けるし) 弟子: やっぱりときどき戦いたくなる? ムラマサ: 身体が疼くことはある。だが、戦いは平和を実現するための手段。我の出番がないということはもう平和が実現しているということだ。それに越したことはないだろう 弟子: ムラマサは、どんなふうに戦うの? ムラマサ: 我の戦い方か? ふん、聞かぬほうがいいだろう。お前は師匠の元で、まずは基本に忠実な剣技を学ぶべきだ 弟子: えーけちー。教えてよっ、ムラマサはエルマイトやディマイトじゃない力で戦うんでしょ? ムラマサ: ああ……そのことか。いかにも、我の力の源は『妖力』だ ムラマサ: 誰とも違う、我だけが扱える妖力……これにより、我が妖術はこの世界に顕現するのだ 弟子: なんだかよくわかんないけど、カッコいいなぁ ムラマサ(內心): (わたしだってわかんないよ。エルマイトとかディマイトが低いことがバレそうなときに、とっさに考えた設定なんだから) 町民: た、大変だぁーっ! 暴走状態の魔物が町に向かってきてる……! ムラマサ: なんだと!? 6000114 - ブラフの限界 ムラマサ: まずい……こんなところで実戦なんて……。しかもめちゃくちゃ強い魔物らしいし、暴走状態じゃ勢いもすごそうだし……! ムラマサ: ど、どうする……? でも逃げるわけにはいかない……逃げたら正体がバレて、噂になって……どこに行っても贅沢させてもらえないだろうし…… ムラマサ: とりあえず近隣の衛兵には匿名で文書を送りまくっておいた……きっとこの町の人たちは、わたしがいるからってロクに通報もしてないだろうから…… ムラマサ: 時間さえ稼げばなんとかなるかな……うう、でも怖すぎる……! うっかり風でも吹いて進路を変えたりしてないかな 師範: ムラマサ、ここにおったのか。むむ、精神統一は既にされているようじゃの ムラマサ(內心): (されてないってー! 心乱れまくりだよ! なに言ってんの、このじいちゃん!) ムラマサ: 来たか…… 師範: ああ、出番じゃ! (背景切換...) 町民1: ひいいい! 助けてぇー! 4226: この魔物ども、暴走して手がつけられない! 弟子: 大丈夫だよ、みんな! ムラマサが来てくれれば一瞬だよ! ムラマサ: こいつか……我の前でこの傍若無人ぶり……捨て置けぬ 町民1: ああっ、ムラマサ様! これでもう安心だわ! ムラマサ(內心): (くっ……ギャラリーが多すぎる……。どうやって弱いのをごまかせばいいんだ……!) ムラマサ: ……! ムラマサ(內心): (あそこにあるのは、火薬の樽! よし、あれを壊して引火させれば、相手にも大打撃になるはず! まずは壊して火打ち石で点火、そしてすぐ逃げる……) ムラマサ: でやああああああっ!! 師範: ムラマサ!? どこを狙っておるのじゃ!? ムラマサ: 怪しき切れ味に身を任せよ……っ、我が奥義、見せ……ん、え、あれっ? 中身が火薬じゃなくて……液体? これって、酒じゃん! 師範: おお、なんと……まずは酒をかっ食らおうというのか。ううむ、ヤツは戦いを心から楽しんでいる……! 町民2: えへへ、俺がこっそり作っておいた密造酒、ムラマサに飲んでもらえるなら本望だぜ! ムラマサ(內心): (密造はやめろー! ちゃんと酒樽で酒作ってよ! 紛らわしいことしないでほしいんだけどっ!!) 町民1: ああっ、魔物がまたこっちに! 師範: む、いかん! 下がるのじゃ! 師範: ぐわああああああっ!! ムラマサ: !? 弟子: お師匠っ!! ムラマサ: くっ……と、とにかく向かっていくしかないっ! 戦ってるうちにきっと、なんとか運が向いてくるはず……! ムラマサ: とにかく……引くわけにはいかないっ、引いたら、背を見せたら、わたしのこのブラフでのし上がってきた人生は終わっちゃう……っ! ムラマサ: ぐわああああぁぁっ!! 弟子: ムラマサ!? そんな、ムラマサが……っ! ムラマサ(內心): (痛い痛い痛い痛い……! な、なんだよこれぇ……っ! 今までなんとかなってきたじゃんかっ、どうして今回だけだめなの……!?) ムラマサ: うあああああぁっ!! (それからしばらくして、周辺の警備隊が集結し討伐は完了した。) (町は見るも無惨に破壊され、死傷者も少なくなかった。) (妖刀ムラマサは、町を守れなかったのだ。) (わたしは、もはや地位は失ったと覚悟を決めていた。) (だが、わたしの幸運は意図しないところで発揮される。) ムラマサ: う、うう……ごめん……。わたしが、本当に強かったら……みんなを、この町を守れたのに…… 師範: ムラマサは武器精霊。本体の持ち主がわし程度では力を発揮できなくとも当然…… 兵士: この結果も致し方ない…… ムラマサ(內心): (そんな……わたしはこんな幸運、望んでない……。だって、そんな、師範のじいちゃんは十分強かった……なんなら、わたしよりも……っ) ムラマサ: そ、それは違う……! この結果は、すべてわたっ…… アロンダイト: 沈黙は金。すべてを明るみに出す必要はないわ ムラマサ: えっ!? あ、あなたは…… アロンダイト: わたしはアロンダイト。話は聞かせてもらったわ。そちらの剣士の方、よろしければムラマサを譲ってもらえませんか 師範: なんだって!? しかし、あなたもまた武器精霊ではないのか アロンダイト: ご明察ですね。いかにもわたしは武器精霊ですがしかし、ムラマサの真の力を発揮できる場を知っています 師範: ……そうだな。わしでは力不足だったことは既に明らか。ここはおとなしく…… 弟子: ムラマサ……いままで、ありがとう……。ごめんね、こんな小さな田舎町にずっといてもらって。そうだよね、本来ならもっとすごいところで活躍するはずなのに…… ムラマサ: そんな、違う、わたしは アロンダイト: 彼らの望む妖刀を壊すべきじゃない。わたしはそう思うわ ムラマサ: ……。……我は、ここでの生活に不満などなかった。それは本当だ。信じてもらいたい ムラマサ: だが、世界が我を必要とする以上、旅立たねばならない 師範: ああ……。いい夢を、見させてもらったよ…… ムラマサ: ……それで、おまえは何者だ。我をどこに連れて行く アロンダイト: わたしはアロンダイト。あなたには、ルインズナイトになってもらうわ (背景切換...) ムラマサ: そう……わたしは今度こそ誰かのために……! リル: 見ろ! 魔物だ! 人間殿、エルマイトを頼む! ピュルテ: 私も戦います! ここはみんなで囲い込みましょう。微精霊さんたちにも届けてあげられるように、人間さんは広範囲にエルマイトを! ムラマサ: 追手!? いや、わたしじゃなくて、魔物に注意を向けてる…… ムラマサ: な、なにこの感覚! なんか、力が湧いてくるっ……!? う、うああああっ!! ピュルテ: よしっ、魔物はなんとか……えっ!? この気配はいったい……! リル: しまった、ルインズナイトだ! 人間殿、備えろ! 6000115 - 見透かされた動機 リル: なんとか取り押さえることができたが…… ピュルテ: なんだか、力の扱い方がうまくできないって感じでしたね。この人も暴走してたんでしょうか ムラマサ(內心): (いまの……なんだったの……? あの感覚は確かにエルマイトだと思った。でもわたしは武器精霊、ベースはディマイトのはず……) ムラマサ(內心): (エルマイトで強化されるのも不思議だけど、この……人間さんとかいうひと、わたしの中にエルマイトを……?) ピュルテ: 気配を殺しているんでしょうか。あれだけの実力者なのに、いまは私の感知能力にまったくかすりもしませんね リル: ルインズナイトだな。名前は? ムラマサ: 我はムラマサ……妖刀としてその名を知られている 微精霊1: ムラマサ!? オトギノクニ最強の武器精霊ですよ! 微精霊2: 次々に持ち主が祟り殺されるとか、刀で斬らなくても呪殺できるとか リル: なるほど……相当な実力者というわけか…… ピュルテ: 人間さん? ムラマサの妖刀伝説と言えば、って何か心当たりがあるんですか? ピュルテ: なんでもない、って……変な人間さん 微精霊1: では、デュプリ・ライブラさんに報告連絡を入れますね! リル: ああ、頼む。しかし……次々に捕縛はできているが、未だに事件の全容が見えない……。一体、何が起きているのか…… (背景切換...) レーヴァテイン: 私たちに、何の用? もう知っていることはすべて話したわ デュランダル: わたくしは、何も話すつもりはありませんよ……! 天使様に誓って デュプリ・ライブラ: いやあ、ボクはただね、ちゃんと精霊関係の治安を良くしたいだけなんスよ。それが仕事、っていうだけなんで レーヴァテイン: それはわかっているわ。でも、本当に…… デュプリ・ライブラ: 伝説の鍛冶師、カナ。あなたたちは武器精霊。そこに繋がりがあったと考えるのは自然なことだと思うんスよ デュプリ・ライブラ: 別に隠す必要なんてないはず。ということは、残りのルインズナイトの行方に影響があるんスよね。でもカナ本人は殺された…… デュランダル: …… デュプリ・ライブラ: ルインズナイトは鍛冶師カナの復讐を企てている。どうスかね、この仮説 レーヴァテイン: ……! 6000116 - 目的 デュランダル: ……復讐? それは、なんのことでしょう? デュプリ・ライブラ: ごまかさなくてもいいと思うんスけどねぇ。鍛冶師カナとの繋がりなんて、本気でボクらが調べたら何かしら痕跡が出るでしょ レーヴァテイン: ……調べたければお好きに デュプリ・ライブラ: それならひとりずつ現れては捕まる……っていうのを繰り返していたのも納得なんスよ。結局、全部時間稼ぎだったわけなんスから デュプリ・ライブラ: ボクはカナって人に何の思い入れもないスけど、彼女を殺した犯人にも義理はないんでね。犯人につながるヒント、欲しくないスか? レーヴァテイン: ……そう言われても、私たちは彼女のことを知らないの。どんなヒントをあなたが持っていたとしても交渉材料にはなりえないわ デュプリ・ライブラ: なかなか頑固ッスね。じゃあ、どこでそれを見つけたかを…… 微精霊: 失礼します! デュプリ・ライブラ: ちょっと、ちょっとー。いま大事なとこなんスけど。これでくだらない用件だったらエルマイト没収するッスよ 微精霊: い、いえ、あの……ルインズナイトの身柄を押さえまして デュプリ・ライブラ: それ聞いたッスよ! ムラマサでしょ? んもー、同じこと何度も言うのは無能だって、神官長もいつもプリプリしてるんスからね! 微精霊: いえっ、違います! ムラマサもそうですが、今回身柄を押さえたのは――…… (背景切換...) カラドボルグ: アタシ、カラドボルグってんだ。よろしくな リル: あ、ああ…… ピュルテ: はいっ、よろしくお願いしますね、カラドボルグさん! リル: しかし、どういう風の吹き回しなんだ。急に投降してくるとは カラドボルグ: 投降っていうか、アタシらがどういう状況なのか、いまいちわかってないんだけどさ。なに、めっちゃ取り囲まれてる感じなの? リル: 取り囲まれてるというか、追われてる……だな。貴君らには複数の殺人容疑がかかっている カラドボルグ: うわ、思ってた以上にヤバいんだけど。こっち来て正解だったわ ピュルテ: こっち来て、というのは? 確かお仲間はあと2人いらっしゃるはずですけど カラドボルグ: 3人になって、アタシとあいつらで話し合いしたんだよ。でもあいつらは聞く耳持たないから、アタシはもう呆れて出てきたってわけ カラドボルグ: ほら、あれだ。手元を測ったってやつ ピュルテ: え……? えっと……? 腕時計をプレゼントするとか……? リル: 手元を測った、じゃなくて『袂を分かった』だろ。手首の細さを気にしてどうする カラドボルグ: あー、それそれ リル: つまり、残り2名は引き続き逃走中ということだな。行き先について心当たりは カラドボルグ: さあな。でもカナを殺ったヤツが何者なのかは、見えてきたんだ ピュルテ: カナっていうのは…… デュプリ・ライブラ: この前、殺害現場を見に行った伝説の鍛冶師のことッスね ピュルテ: あ、デュプリ・ライブラさん デュプリ・ライブラ: カラドボルグさんは、認めるんスね。ルインズナイトがカナさんと繋がっていて、その復讐をしてるってこと カラドボルグ: だとしたらなんだよ。でもアタシは止めてたんだ。この手でぶっ殺しても何にもならないだろってさ。探すのも限界あるし、ちゃんとしたとこに任せようって ピュルテ: 勢いで暴走しそうな見た目なのに意外ですね カラドボルグ: 失礼なやつだな! デュプリ・ライブラ: ……アロンダイトとダインスレイヴは何かヒントをつかんだんスか? カラドボルグ: あんまりそういうこと聞くなよ。別れたからってもともと仲間なんだ。売るような真似はしたくない デュプリ・ライブラ: 危険な相手かもしれないんスよ。うかつに飛び込む前に、天空神殿が保護したほうがいいかと考えてて デュプリ・ライブラ: お仲間を助けると思って情報もらえないッスかね カラドボルグ: う……確かにヤバいやつかもしれない……。な、なあ、ちゃんとアロンダイトたちのことも守ってくれるか!? 約束してくれるのか!? デュプリ・ライブラ: わかってますって。安心してほしいッス カラドボルグ: 実は……犯人は、カナに……『時計の短針』を作らせたやつなんだ ピュルテ: 時計の……? それはいったい…… デュプリ・ライブラ: つまり、こいつッスね カラドボルグ: あんた、これ……カナの工房から拾って来たのか? デュプリ・ライブラ: ……これで犯人はわかったッス。つまり、ふたりの行き先も。あとはボクに任せておいてください 6000117 - 一斉蜂起 カラドボルグ: おーっ、みんな久しぶり! あ、いや、ムラマサは最近まで一緒だったけど ムラマサ: カラドボルグ……お前まで捕まるとはな カラドボルグ: いやあ、自分から来たんだよ。もうアロンダイトたちにはついていけないってさ レーヴァテイン: ……話しが見えないの。私、記憶があいまいだから……ごめんなさいね デュランダル: ふん……4人まとめてこんな狭い部屋に押し込めて、まだ信用できませんよ。天空神殿なんて カラドボルグ: いや、頭から信用する必要はないけどさ。でもうまく利用するべきだろ。アタシらはカナの仇を捕まえられりゃいい。でも犯人が誰なのかわからない ムラマサ: そのために天空神殿を利用する、か。カラドボルグにしては考えたようだな カラドボルグ: ムラマサみたいにはなかなかいかないけどな! (背景切換...) ピュルテ: こ、この声って…… リル: 彼女たちにあてがった部屋を盗聴しているのか……!? デュプリ・ライブラ: 念のためッスよ。念のため。これくらい、捜査の基本でしょ ピュルテ: ま、まずくないんですか? なんというか、倫理的に。ええ、そうですよね、人間さん。人間界だとこれって違法捜査とかだったり デュプリ・ライブラ: 問題ないッス。事件解決って目的のためなんで デュプリ・ライブラ: いきなりここにきてカラドボルグが自首してくるなんて、さすがに怪しいッスよ。と思ったんスが、聞いてる感じだと問題なさそうッスね デュプリ・ライブラ: まあ、6人で一番、策略なんかと縁遠そうな感じですし…… (背景切換...) レーヴァテイン(內心): (『6人で一番、策略なんかと縁遠そうなカラドボルグだからこそ成功確率は高いはず』……ですか) ムラマサ(內心): (待ってよー!? こんなメモでこっそり見せてくるなんて、この部屋ってまさか盗聴されてんの!? あたし、変な寝言とか言ってないかなぁ!?) デュランダル: ……天空神殿は犯人の目星をつけた、ってことですね デュランダル: そう、『つけることができた』…… カラドボルグ: なんにしても、しばらく待機だな。ちょっと休憩しとこうか。アタシも、ぼちぼちいつものやつ済ませときたいし ムラマサ: おい……この状況でもするのか……? デュランダル: だ、だって、ここ……その、ねえ? カラドボルグ: いいだろっ、しないと落ち着かないんだよ! よいしょっと レーヴァテイン: ま、待ちなさいっ、ここではだめ! せめてどこか個室で! カラドボルグ: なんだよ、しょうがないなー。じゃあ向こうに行ってくるよ デュプリ・ライブラ: ん、なんかカラドボルグが別行動したッスね……って、えっ ピュルテ: こ、この声ってまさか……!? 人間さん、耳を塞いでくださーいっ! (背景切換...) ダインスレイヴ: アロンダイトさん。計画は、うまくいくでしょうか アロンダイト: 精神的には、あなたがリーダーみたいなものでしょう、ダインスレイヴ。信じてあげたら? ダインスレイヴ: カラドボルグさんのことだけを心配しているわけではありませんよ。この作戦には複数の要素が絡んでいますから アロンダイト: カラドボルグのプロフィールをある程度把握していれば、彼女が策略を仕掛けるとは考えにくいはず。私たちから離脱するのも納得できるでしょう ダインスレイヴ: 天空神殿は私たちルインズナイトの結束を軽く見ている、ということですね アロンダイト: デュプリ・ライブラは『針』を拾った……自分のための『釣り針』だとも知らずに食いついた、というところね。あとは仕上げまで順調に進めばいいけど ダインスレイヴ: やはりそれもカラドボルグさんがカギを握っていますからね アロンダイト: みんなが合流したところで追跡を再開する。あと、少し…… (背景切換...) カラドボルグ: しっかし、なんにもないしヒマな部屋だなー レーヴァテイン: そうね…… レーヴァテイン(內心): (久々の再会だけど盗聴されているからうかつにお喋りするわけにはいかない……窮屈な環境だわ) (コン、コン) デュランダル: ……どなたですか……ああ、あなたさまは…… レーヴァテイン: 人間さん。ひとりでこの部屋に来るなんて、どういうつもり? うっかり殺されるかもしれない、なんて警戒はしないのかしら ムラマサ: ……そうだな。ここでお前を手にかける意味はほぼない。とはいえ、大した度胸だ ムラマサ(內心): (わたしだったら絶対無理だもん! こんな人たちが4人も詰め込まれてる部屋!) カラドボルグ: アタシたちと話したいって、わざわざ? デュランダル: わたくしたちから得るべき情報は既にすべて取られたように思うのですけど。これ以上、何を知りたいというのでしょう レーヴァテイン: 私たちの事情をもっと知りたい……? デュランダル: どうしてカナの復讐を狙うのか、そもそもどうしてこの6人が集まったのか、将来的にどうなりたいのか……質問攻めですね カラドボルグ: そんなもん聞いてどうすんだよ。力になりたいって、アタシたちはアンタたち天空神殿にとって敵だろ? ムラマサ: 敵というか、被疑者と捜査当局の関係、か カラドボルグ: そんなの関係ない……ふうん、変なやつ 6000118 - カラドボルグの場合 ピュルテ: これ、どこに向かってるんですか? デュプリ・ライブラ: とある研究所があるんスけどね。おそらく、アロンダイトたちはここにいるはずなんスよ リル: つまり、鍛冶師カナを殺した犯人の居場所、ということだな デュプリ・ライブラ: そういうことッス。いやあ、イカれてるとは思ってましたが、まさか殺しまでやってのけるとはね…… レーヴァテイン: ………… カラドボルグ: なあ、アタシらは向こうから見えないようにしてくんないかな。情報を流したこと、知られたくないんだが デュランダル: 情報を流した!? カラドさまっ、まさかアロンちゃんたちを裏切ったんですか!? カラドボルグ: ち、違うって、アタシはただみんなを守りたくて……! デュプリ・ライブラ: うーん、そうッスね。現場で騒がれても面倒ですし、裏切られたら挟み撃ちになるし……皆さんは船で待機してもらっていいッスか? ちょっと拘束しちゃいますけど カラドボルグ: そうしてもらえると助かる。顔を合わせるのは気まずいからさ (背景切換...) 微精霊1: 突入します! 微精霊2: ……誰もいませんね デュプリ・ライブラ: 広い研究所ッスからね。慎重にいくッス ピュルテ: なんか刑事ドラマとかで時々見る突入シーンって感じで、ドキドキします リル: また人間界での知識か。ピュルテはすっかり染まっているな ピュルテ: だって面白いんだよ。ね、人間さんさ……あれ? 人間さんは? リル: む……? (ズガアアアアアン!) デュプリ・ライブラ: ――っ!? い、いまの爆発音は……違う、研究所じゃない、外ッス! (背景切換...) カラドボルグ: この船はたった今からアタシらがいただく! 助かりたい奴はとっとと海に飛び込みな! レーヴァテイン: ふん……この程度の拘束具で私たちを制圧できると思ったら大間違いよ。ルインズナイトを、あまり見くびらないでもらいたいわね ムラマサ: ふっ! くっ、んぎぎ…… デュランダル: あれ、ムラマサ……拘束具を敢えて外さないでハンデにしてるってこと? ムラマサ: ああ……これで少しは楽しめるかと思ってな ムラマサ(內心): (うああああん、わたしだけ外れないよぉ!) デュランダル: うまくいきましたね。作戦通りです カラドボルグ: ああ、さすがアロンダイトだな。アタシはただ言われたとおりにやるだけだった。やっぱり、アタシが変に頭を使おうとしないほうがうまくいく…… (背景切換...) (アタシは見たまんま、バカだ。) (物事を深く考察したり、細かいところを注意したり、そういうのは苦手だ。) (戦うときも常に、全力でぶっ飛ばしてきた。) (でもさ……そんなアタシだって、それなりにやれる、って思ってて――) (背景切換...) カラドボルグ: まいったよなぁ。今日も前線は膠着状態、だってさ 兵士: 申し訳ございません。なんとか良い報告をと思っておるのですが、なにぶん今回の敵は手強い相手でして 参謀: カラドボルグ様においでいただくには、まだ少々日数を要することになりそうですな 将軍: 仕方あるまい。カラドボルグ様は奥の手。その攻撃力はあまりに大きく、全軍を薙ぎ払ってしまうし、土地も町も荒れ果ててしまう カラドボルグ: なんか、悪いな。もうちょっとアタシが手加減とかできてりゃよかったんだけど 将軍: とんでもないことです。あなた様がおられるから、我々は負けない。敵はうかつに踏み込めない。存在しているだけで影響力があるのですから カラドボルグ: ならいいんだけどさ……もぐ、もぐもぐ……んんっ? 参謀: どうかされましたか カラドボルグ: パンが湿気て柔らかくなってんな……これも長期戦の弊害ってことか。アタシ、かっちかちの硬いブレッドが好みなんだけど 兵士: すぐに焼き直させます! あと新鮮なミルクも カラドボルグ: ミルクはいらねーよ! アタシ、嫌いだから! 将軍: せっかくだから、ワシらも食べるとするか。カラドボルグ様の好みは、だいぶ固いので年寄りにはきついが…… カラドボルグ: いま、どうなってんだっけ。この地図でいうと……このあたりに敵がいるんだよな。で、アタシがいまここで…… 参謀: あ、違います。我々はここです カラドボルグ: ん? どっちに向かってんだっけ。えーっと…… カラドボルグ: んだああああぁぁぁ! だめだ! 作戦とか以前にまず地図が読めない! 兵士: カラドボルグ様は本当に、おられるだけで大丈夫ですから…… カラドボルグ: 武器精霊に言う台詞じゃないだろ! 姫君みたいな可憐なやつならまだしも、あたしみたいなガサツなやつ、戦ってなんぼだ 将軍: そう言わんでください。とにかく、カラドボルグ様はあまり本体から離れないようにお願いしますぞ 6000119 - 策略の犠牲 カラドボルグ: おおっ、やった! ここが敵陣の裏か~! カラドボルグ: 地図もろくに読めないアタシでも、ちゃんとここにたどり着けるとは……成長してるな、アタシ 参謀: 私が案内したんですが…… カラドボルグ: この坂になってるところの上に堤防があるんだろ? それを決壊させたら水で敵を押し流せるよな 参謀: 理論上はその通りですね。ただ、普通は堤防を壊すなんて相当な労力を費やすことになるので、実行はためらわれますし敵にもバレるでしょう カラドボルグ: けど、アタシの破壊力なら一撃ってわけだな! あとは味方に逃げろって連絡するだけか カラドボルグ: よーし、それじゃその連絡はお前に任せるから、堤防はアタシが…… カラドボルグ: んぐっ!? カラドボルグ: な、なん……だ……? は、腹がっ……!? 参謀: ……何とか間に合ったようだな カラドボルグ: なっ……なに、言って…… 参謀: この水筒に入れておいたコーヒー、気づかなかったようだな カラドボルグ: まさか、ミルクを混ぜたのか!? アタシ、ミルクを飲むと腹が……! 参謀: そうだったなぁ、カラドボルグ。だが見た目が分からない水筒の中身なら、油断して飲むはずだと賭けていたんだ カラドボルグ: な、なんでそんなこと…… 参謀: お前を戦場から遠ざけ、無力化するためだ。お前が何か作戦を考えたいと言って来たときは千載一遇のチャンスだと思ったよ 参謀: 俺はとっくに相手方に寝返っていたのさ。まったく、お前みたいなバカが武器精霊で助かったよ カラドボルグ: な、なんだとっ……! で、でも、アタシが戦場にいなくたって 参謀: そう思うなら見てみな。この丘からなら全部見えるだろう カラドボルグ: ……っ!? ど、どうしてそんな……? 参謀: 『いるだけでいい』と言ったのは一兵卒だったか。が、お前よりよほど戦いを知っていると見える。拮抗した戦いにおいて精神的影響は大きい カラドボルグ: う、うそだ……アタシがバカなせいで、こんなことにっ……! 参謀: そして、堤防は別に火薬でも決壊させられる カラドボルグ: え……? ま、待て、いまそんなことしたら、あいつらが……! そんなところ、み、見たくないんだよ……! 参謀: なら、見なければいい カラドボルグ: ぐぁっ!? (背景切換...) (後頭部に思いっきり衝撃を受けた。) (おそらく、武器の柄かなにかで殴られたんだろう。) (アタシの記憶はそこで途切れてる。) (本当なら、アタシは惨敗した味方の死屍累々を目撃していたはずだ。) (水に飲み込まれ、なすすべもなく蹂躙された味方の亡骸を抱いて慟哭する。) (そんな光景があったはずなんだ。) (でも何も思い出せない。) (アタシの記憶は次の場面まで飛んでいる。) (背景切換...) アロンダイト: まるで悪い夢を見ていた……なんて言いたげな顔 カラドボルグ: ……夢じゃない、っていうんだな アロンダイト: あなたにはストレートに伝えるわね。あなたの力を貸して。ルインズナイトになってちょうだい カラドボルグ: なんだ、そりゃ アロンダイト: あなたのような実力者が必要なのよ。わたしたちのような武器精霊を救うためにね カラドボルグ: 今回のアタシみたいなことを防げる……? アロンダイト: はっきり言うと、今回のあなたの悲劇は防げないわ。これは武器精霊というよりも、戦いが存在する限り避けられない問題 アロンダイト: けど……少なくとも、あなたをひとりにはしないわ カラドボルグ: え……アタシ、別にひとりじゃ…… アロンダイト: 最強の武器精霊という立場よ。あなたがいくら気さくに話しかけても、相手は対等だなんて思わないわ。私たちは違う カラドボルグ: 同じ武器精霊だから……? アロンダイト: 伝説級のね カラドボルグ: ……詳しく聞かせてくれ。その、ルインズナイトってやつ (背景切換...) カラドボルグ: デュプリ・ライブラを研究所に置いて、アタシたちは船を奪って逃走……4人まとめて行き先はわからなくなる、って寸法だ デュランダル: 追手です! 小舟で追いかけてきてるみたいですね! カラドボルグ: ちっ、そうか。この船から研究所まで浅瀬を進むために出したボートか……でも、どうして場所がわかったんだ? ムラマサ: な、なあ……こいつが、船に残ってたんだが レーヴァテイン: 人間さん!? くっ、まさか私たちの動きを読んでいた……? デュランダル: あのピュルテという人はエルマイト感知能力を持っています。それで辿ってきているのではないかと カラドボルグ: ……ダメだ、アロンダイト。やっぱりアタシが策略にからもうとすると、どうにも裏目に出るみたいだな カラドボルグ: しょうがない、人間さんを放り捨てて……いや カラドボルグ: そいつは利用価値があるかもしれない。追手のほうを沈めてやる。アタシが責任もってな! 6000120 - 『ルインズナイト』 ダインスレイヴ: カナの大槌……現場から持ち出したそれが、カギになるのですね アロンダイト: ええ、そうよ。これがあってこそ、カナの力は発揮される。何故ならこれは、大槌の形をしているけど最新の未知の技術を使った道具だから ダインスレイヴ: 鍛冶師カナといえば、数多の優れた武器を生み出した名匠。職人としての技だけですべての説明がつくものなのかと、以前から疑問には思っていましたが…… アロンダイト: カナを襲った犯人の目的は、その技術。カナになら自分の望む兵器を作らせることができると考えたのね ダインスレイヴ: つまり、カナは アロンダイト: ええ、死んでいないわ ダインスレイヴ: アロンダイトさんは、それを知っていたのね? アロンダイト: 死んでいるかもしれないという危機感が必要だったでしょう? もちろん心配させたのは悪いと思っているけど ダインスレイヴ: 悪いと思っている人の言い方じゃないですね アロンダイト: 犯人はわたしたちの本体も持ち去っている。これは事実よ。犯人の狙いはおそらく……打ち直し ダインスレイヴ: かつて私たちがカナに、本体と切り離して自由な精霊にしてもらったのと同じように、また本体に縛り付けるように打ち直すということですね アロンダイト: わたしたち6振りの剣を手に入れれば、世界を手中に収めたも同然 ダインスレイヴ: それで? どうするつもりなんです、こんなところで……そして、この人と話して、何か情報が得られるのでしょうか ダインスレイヴ: レオナさんは、何か知っているの? レオナ: さあ……私も、どうしてアロンダイトが接触してきたのかわからないのよね アロンダイト: シラを切るのが上手ね。あなたでしょう、現場にこれ見よがしに『時計の針』のダミーを置いていったのは レオナ: あら、バレてた? アロンダイト: カナはあまり交友関係は広くない。なのに工房の場所を特定し、どうにかして連れ出すことができた…… ダインスレイヴ: カナのことを知っている人、ということですね アロンダイト: あなたなら心当たりがあるんじゃないかと思ったのよ レオナ: 私が犯人だとは思わなかった? アロンダイト: 犯人は、この大槌を現場に残していった。つまり、大槌のことは知らない、半端な知識なのよ。そして、あなたが大槌のことを知らないはずがない アロンダイト: この大槌の設計者は、レオナ――あなたなのだから レオナ: お見通しってわけね。ただ、私もちょっとね、今の同居人が手がかかってしょうがないのよ。あまり手伝えないわ レオナ: だから、これ ダインスレイヴ: ……メモ? レオナ: 私が知る限りのカナの顧客リストよ。直接の商品受け取りをしているのはこの人たちだけ ダインスレイヴ: ……っ、カナほどの腕前があることを考えれば少ないリストだけど、いちいち当たるには多い……やり方は考えないといけませんね アロンダイト: 顧客リストを共有されてたの? レオナ: ……私が代行してたりもしたから。それくらい私もお世話になってたのよ アロンダイト: ありがとう。使わせてもらうわ レオナ: ねえ、アロンダイト。あんまり無茶しないでよ? アロンダイト: どうして? 無茶しそうに見える? レオナ: ええ、とっても。それじゃあね ダインスレイヴ: ちょうどいい頃合いね。そろそろカラドボルグたちが戻ってくるはず カラドボルグ: おーい! 首尾は上々、あの『時計の針』のおかげで、勘違いしたデュプリはエイヴォン研究所にまんまと行ってくれたぞ! レーヴァテイン: 戻ったわ デュランダル: 同じく、戻りました ムラマサ: そして、少々厄介な土産ができてな ダインスレイヴ: 土産? って、え、ちょっと……!? ピュルテ: わ、私と人間さんをさらうなんて! どうするつもりですか!? アロンダイト: あはっ、面白くなりそうね 6000121 - 追跡への同行 リル: 人間さん殿と、ピュルテが……さらわれた、だと……!? 微精霊: はい……。止めたのですが、小型ボートで追いかけていってしまって デュプリ・ライブラ: まずいッスね。奴ら、人質なんてとったら何を言い出すかわからないッスよ リル: デュプリ殿、その言い様はなんだ! まるで他人事ではないか!! デュプリ・ライブラ: い、いや、そんなことは リル: 小生たちはあくまで善意で協力しているにすぎないんだぞ!それをこんな事態に……しかも、そちらのミスだ! リル: いや、ミス自体はいい。相手が一枚上手だっただけのこと。小生が問題にしているのは、情報共有が一切ないことだ リル: 何故エイヴォン研究所に行こうと思ったのか?デュプリ殿はやつらの動きに何を見たのか?そういった情報がまったく共有されていない!! デュプリ・ライブラ: う……ご、ごめんなさい……申し訳ないッス……。ちゃんと、お話するッス…… デュプリ・ライブラ: ボクはカナの作業場で、これを見つけたんス リル: それは……? デュプリ・ライブラ: これは時計の針というもので……とある儀式に使うものなんス デュプリ・ライブラ: いまこれを必要とするとすれば、間違いなくシェイクスピア……つまり、シェイクスピアがカナにこれを作らせようとしていた…… リル: そう考えてあの研究所に向かったというわけか。しかしそれは、相手の思うつぼだったわけだな デュプリ・ライブラ: 完全にボクのミスなんス……このままじゃ、神官長にまた怒られちゃうッス リル: ピュルテ……無事でいてくれるだろうか……。人間さん殿が守ってくれればいいのだが…… (背景切換...) アロンダイト: 事情はわかったわ。正直、その場に置いてきても良かったような気がするけど カラドボルグ: えーっ、なんでだよ! 絶対、何か使い道あるでしょ ダインスレイヴ: まあ、そこはおいおい考えれば良いでしょう。こうして連れてきてしまったのは事実なんですから ピュルテ: 人間さん……私たち、どうなっちゃうんでしょうね。ええ、そうですね、きっと人質になるんでしょうけど アロンダイト: ほぼ正解ね。あなたたちの言うとおり、人質として連れて行くしかない レーヴァテイン: そうね。ここに置いていけば、私たちの足取りを辿られるわ ムラマサ: そうだな…… ピュルテ: なんかムラマサさんが、めちゃくちゃこっちを見てきますが……人間さん、何かしたんですか? セクハラとか ムラマサ: むうう…… ピュルテ: 余計なことは言わないって、なんのことですか? ムラマサ: なら、いい…… デュランダル: ねえ、アロンちゃん。わたしたちの本体の位置、もう大体つかめてるんでしょう? 近いの……? アロンダイト: ええ、かなりね。さすがカナの大槌、精度が一気に上がったわ レーヴァテイン: 作戦としてはひとまず、本体を追いかけるってことね。そこにきっと、私たちをハメた犯人もいる ダインスレイヴ: 長い追いかけっこだったけど、そろそろ決着をつけるとき、かもしれませんね…… (背景切換...) ピュルテ: そろそろ、何が起きているのか……せめてどこへ向かっているかくらい私たちに教えてもらえませんか レーヴァテイン: 勝手に口をきかないでくれますか ピュルテ: あんまりです! ムラマサ: まあ、場所くらいはいいのでは ダインスレイヴ: ムラマサさんはお優しいですね ムラマサ: ……別に。ただの気まぐれだ アロンダイト: この先、シュミットという小さな町があるわ。位置関係と移動距離からして、おそらくそこに逗留している ピュルテ: な……なるほど…… アロンダイト: 言っておくけどムダよ ピュルテ: えっ? な、なにがです デュランダル: き……きっと、町の名前を聞いて、どうにか連絡すれば、天空神殿の連中が助けてくれるとでも思ってるんですよね……? レーヴァテイン: エイヴォン研究所からここまでは、かなり距離がある。到着する頃には……何もかもカタが付いている。そうよね、アロンダイト アロンダイト: ええ。時間をかけるつもりはないから ピュルテ: う……そ、それでも後で、なんとか伝えられるようにがんばってみますね、人間さん ピュルテ: そんな隙があるかもわかりませんが…… 6000122 - ルインズナイトの理想 ムラマサ: では……我はもう休むことにする ムラマサ(內心): (ふぃ~、こんなにたくさん歩くなんて聞いてないよー!足がぱんぱんだぁ……みんな、平気なのかな?) ダインスレイヴ: 明日には目的地に到着するでしょう。皆さん、体力は温存しておいてくださいね カラドボルグ: な、なんだよ。なんでみんなしてアタシのこと見るんだよ! レーヴァテイン: 一番、無駄に体力を消費しそうだからに決まってるでしょ カラドボルグ: うっ……べ、別にちょっと1発スッキリしたからって、そんなに体力使わないってば レーヴァテイン: 『日課』をしない、とは言わないわけね…… カラドボルグ: そのほうが調子が出るんだってば! ムラマサ: やれやれ…… デュランダル: ほ、ほどほどにしてくださいね……?できればわたくしたちに見えないところで…… アロンダイト: …… デュランダル(內心): (あれ……アロンちゃん、どこへ行くんでしょう……?) (背景切換...) アロンダイト: …… デュランダル: アロンちゃん……? ど、どうしたの……こんなところで…… アロンダイト: ああ、誰かと思ったらデューだったの。いいえ、ちょっと感慨にふけっていただけ デュランダル: ……やっと、実現できるんだもんね アロンダイト: ええ。わたしたちは完全な自由を手に入れるの デュランダル: 武器精霊としての宿命からも、解放されて…… アロンダイト: そうよ。もう……あんな過ちは繰り返したくない…… デュランダル: アロンちゃん…… アロンダイト: デューもそうだったでしょう? もしわたしたちが武器精霊でなければ、あんな思いをすることはなかった デュランダル: それは……う、うん、そうだよね…… アロンダイト: 何の罪もない、善意を向けてくれた相手を殺すなんて……一度、血に濡れてしまったこの手は、もう…… ピュルテ: え…… アロンダイト: !? ピュルテ: あ、あの……私と人間さんはその、ちょっと…… アロンダイト: 人質にこんなに自由にさせてるなんて、みんな何やってるのよ! ピュルテ: 違うんです、私がお花摘みに行きたいとお願いして…… アロンダイト: 縛り上げたままでもできるでしょう デュランダル: アロンちゃん、お、落ち着いて……! ダインスレイヴ: ごめんなさい。私が見張っていれば問題ないかと思ったんです アロンダイト: ……ダインスレイヴ、いたのね。あなたがちゃんとそばで見ているならいいのだけど アロンダイト: ……わたしも、もう休む デュランダル: アロンちゃん。わ、わたくしも、では、こ、これで……! ピュルテ: ふたりとも行ってしまいましたね。人間さん。いまのって、やっぱりその…… ピュルテ: えっ? や、やだ、人間さんってば。おしっこなら引っ込んじゃいましたよ ダインスレイヴ: 私が簡単に許可してしまったせいで、おふたりともすみませんでした。アロンダイトさん、すごく賭けてるみたいで ピュルテ: 賭けてるって、カナさんのこと……とは別、ですよね? ダインスレイヴ: ええ。さすがにおふたりに話すことはできませんが、私たちルインズナイトが、本当に自由でいるために必要なことです ピュルテ: 本当に……自由……? ダインスレイヴ: それに明日はいよいよ、カナさんをさらった犯人と対決ですからアロンダイトさんに限らず、多かれ少なかれみんな気が立ってますよ ダインスレイヴ: どうしても、おふたりにも攻撃的になってしまうかもしれませんが、どうかご容赦くださいね ピュルテ: そ、そうですよね。カナさんって、皆さんにとって大切な人ですもんね。私だってリルちゃんや人間さんがさらわれでもしたら…… ダインスレイヴ: え……? なんですか、人間さん。べ、別に私は動揺なんて…… ダインスレイヴ: …… ダインスレイヴ: ……よく見てらっしゃるんですね。ほんの少し、不安を感じてしまって…… ダインスレイヴ: 私は傷つけたくないんです…… ピュルテ: ダインスレイヴさん……? ダインスレイヴ: 武器精霊ですから、戦って当然なんですが、でも……私の性格というか。あまり向いてないんです ダインスレイヴ: そういう意味でも、アロンダイトさんの理念は本当に素晴らしいのですが…… (背景切換...) リーダー: おう、こっちに運べ! 慎重にだぞ! 手下1: はいっ! ???: まだ積み込み作業をしているのか? リーダー: ……慎重にカモフラージュしてるんですよ。なにせ伝説の魔剣ですからね リーダー: ったく、コートクラークだかなんだか知りませんがね、後から口出しして仕切るのは勘弁してほしいですよ コートクラークの男: ふん…… リーダー: わかってないみたいだからはっきりさせておきますがね、こっちのバックには、あの神が…… コートクラークの男: その名前を出すな。こんなところで、うかつすぎるだろう リーダー: うっ…… コートクラークの男: 黙って仕事をしていればいい。余計なことをするな リーダー: …… 6000123 - ダインスレイヴの場合 カラドボルグ: おい、あそこで運んでるのってもしかして……! レーヴァテイン: しっ、見つかるわよ カラドボルグ: あ、ご、ごめん ダインスレイヴ: カラドさんの言うとおりでしょうね。ただ、あまりにも荷物の数が多くて、どの箱に入っているのか…… ムラマサ: 大槌の反応は アロンダイト: さすがに、あれだけの箱から選別するほどの精度はないわ。ただ、間違いなくこの場所にある デュランダル: じゃあ、やっぱりどうにかしてあの中から、見つけないといけないってことですね レーヴァテイン: 見て。あれが指揮してる連中かしら リーダー: 俺たちはあくまで指示通り動いてるんですよ! コートクラークの男: ただ指示のまま動くなら人形と同じではないか。自分で無能をさらして恥ずかしくないのか? リーダー: なんだと……! デュランダル: な、なんだかモメてるみたいですけど…… アロンダイト: いまのうちに動くわよ。ただ、この拠点は広いわ ムラマサ: ふむ…… カラドボルグ: さすがムラマサ、もうアロンダイトが言いたいことを理解したのか ムラマサ(內心): (なんでだよ! 知らないよ! 相槌を打っただけじゃないか!) レーヴァテイン: 出入口は3つ……手分けして退路を断つ作戦ね アロンダイト: その通り。それじゃあ、展開するわよ デュランダル: あ、あの、ピュルテさん、あなたはこっちに来てもらいます レーヴァテイン: 人間さんはこっち。仲間ふたりに人質ふたりは多すぎるから、離れてもらうわよ () レーヴァテイン: 積み込み作業はストップしてるみたいね。さっきの口論が原因かしら……あなたはどう思う、ダインスレイヴ ダインスレイヴ: う、うう…… レーヴァテイン: カナの姿は見えない。うかつに全滅させてしまうと情報が得られないわね。どうやって囲い込んでいくか…… ダインスレイヴ: う、ああっ、だ、だめ、きちゃう……! レーヴァテイン: ダインスレイヴ!? ど、どうしたの、気づかれるわ、静かにっ…… ダインスレイヴ: だめなの、う、うあ、血の予感を察知して……もうひとりの私が……出てきてしまいます……っ ダインスレイヴ: いやです、戦いたくない、傷つけたくないっ……でも、もうひとりの私が出てしまったら……この場所は血みどろに……っ (私は血塗られた魔剣として、その名が知れ渡っていた。) (ひとたび鞘を抜けば、生き血を浴びるまで止まることはない。) (それは尾ひれなど付いていない、まごうことなき真実だった。) 兵士1: ひいいいいい! 兵士2: 助けてくれえええ! ダインスレイヴ: あはぁっ♪ クズどもが、逃げたって無駄だよ!全員、あたしの前では無力なんだからねぇ! ダインスレイヴ: どうせ死ぬんだ、逃げないで向かってこようってやつはいないのかねぇ? 情けないな、まったく……! 兵士1: ぐあああっ! ダインスレイヴ: もっとだ! 血をよこしな! あたしに血を吸わせてくれよ! 兵士2: ごふうううっ! ダインスレイヴ: つまんないねぇ……。あたしを満足させられるやつは、この戦場にはいないってのか? 兵士3: ひ……た、たすけて……ぐううううっ!? ダインスレイヴ: いないんだね? じゃあ決まりだ。この戦場はあたしにとって何の価値もない 兵士4: た、助かっ……? ダインスレイヴ: 皆殺しに決定だ 兵士4: ぐあああああっ! ダインスレイヴ: 死ね死ね死ね死ね! お前たちの価値は、あたしに吸わせる血、ただそれだけだ! さっさと血を流して死ね! (背景切換...) (私の、もうひとつの人格――その存在を、私は自覚していない。) (彼女が現れるとき、私の記憶は途切れてしまうからだ。) (それでも周囲の話で、おおよそ予想はできた。) (背景切換...) ダインスレイヴ: 今日は……小雨が降っているみたい (ブザーが鳴る。入口の扉に視線を移せば、簡素な食事の乗ったトレイが扉の隙間から差し込まれた。) ダインスレイヴ(內心): (血塗られた呪いの魔剣……) ダインスレイヴ(內心): (もう……私はどれくらいここにいるのかしら……) (恐るべき魔剣として知られた私は、所有者でさえも接触を恐れた。) (武器精霊として共に戦場へ赴くことも、気が付けばほとんどなくなっていた。) ダインスレイヴ(內心): (もう何年も、誰とも会話をしていない……武器どころか、精霊としても……存在しているのか危うい……) ダインスレイヴ: 私と口をきけば呪われるなんて、そんなの迷信もいいところだわ ダインスレイヴ: なんて声に出してみたところで、聞こえる範囲には誰もいないわよね (私はずっと――孤独だった。) (そして、孤独を味わうのは原因を作ったもうひとりではなく、争いなど好まない、私のほうなのだ。) 6000124 - 光明 貴族娘: この魔剣が……これがあるからいけないのよ……! 貴族父: 呪術師の先生……どうか、固く封印してください! 呪術師: まかせておきなさい。厳重に封印しますのじゃ ダインスレイヴ: ………… (呪われた魔剣その肩書は私に何ももたらさなかった。) (持ち主とともに鍛錬に励んだ記憶もなければ、本体を手入れしてもらいながら語らう時間もなかった。) (挙げ句、何の関係もない身内の不幸さえ、私に原因があると責められる始末――) 貴族娘: 魔剣が……こいつさえいなければ…… ダインスレイヴ(內心): (やっと人の前に出て来れたと思ったら、こんな怪しいまじない……効くはずもないのに) ダインスレイヴ(內心): (何重にも張り巡らされたロープ、意味のわからない札、魔法陣……これらの数とそして、私との距離がすべてを表していますね……) ダインスレイヴ(內心): (この人たちにとって私は、意思疎通のできる精霊ではないどころか、武器とさえ認識されていないのかもしれない) 呪術師: さあ! 篝火をたくのです! そして呪文を唱えよ! (誰とも会話をしないなら、何のためにこの声はあるの?誰にも触れられないなら、何のためにこの手はあるの?) (何のために私は存在しているの――?) (背景切換...) (あるとき、持ち主は武力攻撃にさらされた。でも、相変わらず私の出番はない。) ダインスレイヴ: もうこのまま、自分で終わりにしてしまいたい…… (戦争の結果、持ち主が変わることは頻繁にあった。) (でも私の扱いは何も変わらない。) ダインスレイヴ: !? (乱暴に扉が蹴破られた。) (敵兵とはいえ、こんなふうに大胆に入ってくる相手は久しぶりだ。) エクスカリバー: いた! これが伝説の魔剣っすか アロンダイト: やはり武器精霊が付いていたのね。数々の伝説を考えれば当然そうだろうと思っていたけど ダインスレイヴ: あの、あなたたちは……? エクスカリバー: アタシらは、うーん……ある意味、新しい仲間、ってとこっすかね アロンダイト: もう戦いは決したわ。あなたはわたしたちの軍に接収される ダインスレイヴ: う、ううう……だ、だめ、逃げて……わた、しはっ……戦いになると、危険なのっ…… エクスカリバー: どういうことっすか? アロンダイト: 姉さん! 危ない! ダインスレイヴ: どぉらああああぁぁぁっ!! エクスカリバー: うぉっとおぉっ!? な、なんすか、あんた ダインスレイヴ: くくく……やっと血を吸える日が来たか……長かったねぇ、ここまで待たされるなんて思わなかったよ ダインスレイヴ: さあ、あんたたちをあたしの奴隷にしてやるよ!! エクスカリバー: へー、猫かぶってたってわけっすか。でも、そんなつまんない不意打ちでアタシがやられると思ったら、大間違いっすよ! アロンダイト: ……どうかな。さっきのが演技とも思えなかったけど…… ダインスレイヴ: このあたしの攻撃をかわすなんて……何者なの、あんたたち エクスカリバー: ふふーん、よく聞いてくれたっす。泣く子も黙る伝説の名剣、エクスカリバーとはアタシのことっすよ! アロンダイト: そういうの自分で平気で言える姉さんのメンタル、どうなってるんだろうって思う ダインスレイヴ: なるほど……あんたが、あのエクスカリバーかい。相手にとって不足はないわけだね! ダインスレイヴ: いくよっ……ぐ、ううっ!? な、なんだ、これはっ…… エクスカリバー: ん? 急に苦しみだしたけど、なんなんすか ダインスレイヴ: お、お願い……ここで、あなたたちが、私を、壊してっ…… エクスカリバー: アロン、これって…… アロンダイト: 二重人格、ってやつね () (背景切換...) デュランダル: アロンちゃん、あれって…… アロンダイト: もうひとつの人格が出てしまったみたいね。おそらく、この緊迫した戦闘の気配を感じ取ってしまったのよ デュランダル: ど、どうする……? リーダー: いったい何の騒ぎだ!? お、お前らは……? アロンダイト: 仕方ないわね……。レーヴァテイン! あなたにダインスレイヴは任せるわ! レーヴァテイン: また無茶なこと言ってくれるわね…… アロンダイト: 他のみんなは一気に畳み掛けるわよ。さあ、退路を塞いで。ひとりも逃がさないのよ ダインスレイヴ: ふん……このあたしをあんただけで止められるとでも? レーヴァテイン: 人間さん……力を貸してもらうわよ 6000125 - 卑劣な罠 ダインスレイヴ: ぐ……か、はぁっ……!?こ、このあたしを……ここまで追い詰めるなんて……!? レーヴァテイン: 思った以上に人間さんのエルマイトが使えるみたいね。ディマイト中心の私たちとは相容れないかと思ったけど…… カラドボルグ: 使いよう、ってことだな ピュルテ: 人間さん! ご無事でなによりです……! アロンダイト: この連中も全員、身柄を確保したわ リーダー: いてて……お、お前ら、いったい何者なんだよっ…… デュランダル: えっ? わ、わたくしたちのこと、知らないんですか……? ムラマサ: 我らを知らない? なのに本体を持ち出そうとしているのか リーダー: 俺は命令に従っただけだ。言われたとおり事件を起こして、荷物を運んだ…… ピュルテ: えっ、あの凄惨な事件は、あなたたちが……? コートクラークの男: おしゃべりはそこまでだな レーヴァテイン: な……まだひとり残っていたの!? アロンダイト: わたしとしたことが見逃すなんて…… リーダー: ふん、姉ちゃんが見逃したわけじゃないさ。あいつはずっとビビって奥で隠れてただけだろ コートクラークの男: なんと言ってもらっても構わないが、圧倒的優位に立っているのはこの私だ。これを見るがいい カラドボルグ: なんだありゃ? ムラマサ: 遠すぎてよく見えないな……。カラドボルグは見えるのか カラドボルグ: 鈴、みたいなんだけど……なんであれで得意げなのかはさっぱりだな コートクラークの男: これは、あのカナという鍛冶師に作らせたものだ レーヴァテイン: カナに!? ということは、やっぱり コートクラークの男: ああ、そうだとも。彼女の身柄は私が預かっている ダインスレイヴ: ふん……返せといっても、簡単に返すつもりはないのよねぇ?だったら力づくで取り戻すまで。簡単な話よ レーヴァテイン: ダインスレイヴ、落ち着きなさい。ついさっき私たちとやりあったところで消耗しているでしょう? ダインスレイヴ: 関係ないね。ちょっとくらい消耗してるからって、あんなザコ一匹に苦戦するとでも? ムラマサ: 待て……あの鈴が何か、わかっていないんだぞ。ここは慎重に動くべきだ コートクラークの男: ふん、このコートクラークである俺をザコ呼ばわりなど、自信過剰にもほどがある、が…… コートクラークの男: それもここまでだ (男が、鈴を鳴らす。) (その音色は、小さな音なのに妙に空気に通るようだった。) デュランダル: な、なんですか、これ……っ?繊細で、なのにどこまでも遠くに届くような……? アロンダイト: カナに作らせた、っていうのはブラフじゃないようね。こんな効果を生み出すなんて、普通の鍛冶師じゃできないはずよ ムラマサ: 問題は、この音色が何をもたらすか カラドボルグ: そのとおりだな。みんな気をつけろよ コートクラークの男: くくっ……さすがは歴戦の猛者たち、というべきか。いいカンをしているな コートクラークの男: そう、この鈴は……いかなる武器にも共鳴し、持ち主の意図と響き合うというシロモノ…… レーヴァテイン: 響き合う……? コートクラークの男: 意のままに操ることができるのだ デュランダル: まさか、わたくしたちを……!? コートクラークの男: それもまた良い趣向ではあるが……今回、お前たちに送る刺客は、こいつだ ムラマサ: ……!? カラドボルグ: どうした、ムラマサ ムラマサ: や、やばい……いや、危険な気配がする……! カラドボルグ: ムラマサにそこまで言わせるって、相当だろ!?なんだよ、相手は何者…… エクスカリバー: …… アロンダイト: え……? カラドボルグ: なんだ? 誰だ、あいつ レーヴァテイン: ひとりで私たちに挑むつもりかしら レーヴァテイン: え、なに、人間さんはあれが誰か知ってるの? ピュルテ: ええ……私たちと一緒に戦う仲間です! ムラマサ: ……な、なるほど……あれが伝説の名剣、エクスカリバー……! ダインスレイヴ: 人間さん、あんた何でそこまで知ってるんだい……。そうだよ、何か関係があるどころじゃない。エクスカリバーは、アロンダイトの…… アロンダイト: 姉さんよ レーヴァテイン: そうなの!? デュランダル: アロンちゃん…… エクスカリバー: 全員、ここで潰すんで……覚悟っす アロンダイト: 姉さん……っ!! 6000126 - アロンダイトの場合 エクスカリバー: …… アロンダイト: 姉さん……! エクスカリバー: 全員、瞬殺するっす! レーヴァテイン: きたっ!? くっ、迷いのない一撃……操られているというのは、どうやら本当のようね! エクスカリバー: 賊どもなんかに、アタシの剣はかわせないっすよ! デュランダル: きゃあっ!! アロンダイト: デュー! しっかりして ダインスレイヴ: 賊ども、か……あたしやアロンダイトのことも、認識できてないんだろうね。単なる賊のひとりとしか見てない レーヴァテイン: つまり、情に訴えて説得したりはできないわけね ムラマサ: どうする。手を抜けないが、かといって傷つけるわけにもいかない ムラマサ(內心): (こんなすごい人と戦うなんて無理だよ……! なんかうまいこと逃げる方向にならないかな……) カラドボルグ: そうだよね、アロンダイトの姉ちゃんだし…… アロンダイト: 姉さん…… (背景切換...) (昔から姉さんは明るくて社交的で、わたしとは正反対だった。) (いつも羨ましくて、憧れで……。わたしの誇りだった。) (そんな気持ちを知ってか知らずか、姉さんもわたしのことを可愛がってくれていたように思う。) (幸せなことに、わたしたちは同じ国の騎士に所有されていて、いつも一緒に過ごしていた。) (背景切換...) エクスカリバー: ねえねえ、アロン。この後、時間あるっすか?城下町に買い物しにいきたいんだけど アロンダイト: 姉さん、わたしたち武器精霊なのよ? エクスカリバー: ん? 大丈夫っすよ。本体が城内にあれば、城下町くらいまでは活動範囲になるのは確認済みだし アロンダイト: そういう問題じゃないわ。午後の戦闘訓練はどうするのよ エクスカリバー: アロンはまじめっすね~。1日くらいサボっても別に問題ないっすよ アロンダイト: まったく姉さんは…… エクスカリバーの騎士: おいおい、そいつは聞き捨てならないな エクスカリバー: やっば! 聞かれてた! エクスカリバーの騎士: 遊びに行くなら俺も誘えよ アロンダイト: ええ……そっちなの? アロンダイトの騎士: まったく……お前たちは本当に、持ち主も武器も同じようにサボろうとするんだからな アロンダイト: あ……あなたも一緒だったのね アロンダイトの騎士: お前は仮にも騎士、エクスカリバーもその武器なんだぞ。自覚をもって節度ある行動をだな エクスカリバー: もうー! 何百回も聞いたっすよ! 真面目すぎっす、ほんとに! エクスカリバーの騎士: だよなっ。ちょっとは肩の力を抜かないと アロンダイト: 姉さんたちは肩の力を抜きすぎなのよ エクスカリバー: じゃあアロンは買い物、付き合ってくれないんすか? アロンダイト: それは……う、うう、姐さんと買い物……ちょっと行きたい、けど エクスカリバー: ほらー! アロンも行きたいって言ってるっす! アロンダイトの騎士: アロンダイトをダシに使うな! ……まあ、仕方ない。こいつが言うなら、ちょっとだけ早く訓練を終わらせて時間を作ろう エクスカリバー: やった♪ 話がわかるっす アロンダイト: もう、姉さんったら…… アロンダイト: あ、えっと、あの アロンダイトの騎士: ん? アロンダイト: ありがとう (わたしたちはお互いの所有者も含めて関係は良好。) (よく4人で出かけたりもした。) (思えば、この時期が一番幸せだったんだと、後から思う。) (背景切換...) エクスカリバー: え……不倫、って…… アロンダイト: 真面目なあの人がまさか、と思ったけど……伯爵夫人と関係を持ってしまっているのよ エクスカリバー: それ、確かなんすか? アロンダイト: 姉さんも武器精霊なんだからわかるでしょう? 自分の持ち主のことは誰よりもよくわかるわ エクスカリバー: そっすね。本体を握られたら、想いとかいっぱい流れ込んでくるっす アロンダイト: それに、隠し事も下手だから エクスカリバー: いやあ、同じ騎士でもアタシのほうならチャラいしワンチャンやりかねないって思ってたんすけど、まさかね…… アロンダイト: 真面目でしょ、あの人。だからこそタチ悪いの エクスカリバー: 遊びじゃなくて本気、のめりこんでるパターンっすね エクスカリバー: でも、大丈夫っすよ。そのうち自分で目を覚ますと思うんすよね アロンダイト: そうだといいけど…… (姉さんのポジティブな性格には何度も救われた。) (でもこのときばかりは、楽観的にすぎたらしい。) (もっとも、悲観したところで武器精霊でしかないわたしに一体何ができただろうか――) (背景切換...) アロンダイトの騎士: アロンダイト! 行くぞ! アロンダイト: えっ? 突然どうしたの? 敵襲!? アロンダイトの騎士: 違う……。俺の大切な人を救いに行くんだ アロンダイト: !? 6000127 - 武器精霊という存在 アロンダイトの騎士: 伯爵に俺との関係がバレたんだ。いま、屋敷から連れ出されそうになってるらしい…… アロンダイト: 伯爵夫人が……? どうなってしまうの? アロンダイトの騎士: どこか別荘あたりに監禁するつもりなんだろう。そうなったらもう会えない…… アロンダイトの騎士: それだけじゃない。あの粗暴な伯爵のことだ、あの人を傷つける可能性だってある。最悪、殺されることも…… アロンダイト: あの伯爵ならやりかねないとは思うわ。でも、それをあなたの立場で救いに行くというのは、あまりに無計画よ アロンダイトの騎士: 計画を立てているヒマなんてないんだ アロンダイト: 護送中に殴り込みをかけて、彼女の身柄ごと奪うつもりね アロンダイト: 騎士であるあなたが、護送中の護衛を斬るためにわたしを使うの?あまりにも義のない戦いだわ アロンダイトの騎士: 義ならあるだろう。ひとりの女性を救えなくて、国が救えるものか アロンダイト(內心): (姉さん……この人は、まだ目が覚めないままだわ……) アロンダイトの騎士: はあ、はあ……い、いた、あの馬車だ! 護衛1: お前……やはり来たのか 護衛2: 同僚として複雑な気分だよ アロンダイトの騎士: 俺は彼女に身を捧げると誓ったんだ……。許せ! 護衛1: お、おい、待て! 俺たちは……! うあああっ!? アロンダイト: ああっ……!? やめて、わたしを、こんなことに使わないで! 護衛2: ぐあああああっ!! アロンダイトの騎士: 大丈夫か 伯爵夫人: ええ……助けにきてくれるって信じてたわ…… アロンダイト: あ、ああ……同僚を斬るなんて…… (愛しい女性を前にして、もう何も見えなくなったのだろうか。) (彼は血に濡れたわたしの本体を放り出したまま、見向きもしなかった。) アロンダイト: ねえ……積み上げてきた時間は、なんだったの……?毎日の鍛錬、幾度もの戦い、ずっとあなたの相棒だったはずよ…… アロンダイト: 一緒に戦場を駆け巡った仲間でしょう……?こんなふうに打ち捨てるなんて…… アロンダイトの騎士: お前は武器精霊、それ以上でも以下でもないだろう アロンダイト: ――! アロンダイトの騎士: 足がつく可能性もある……お前とはここでお別れだ。今まで助かった アロンダイトの騎士: さあ、行きましょう 伯爵夫人: ええ……私、あなたとならどこだって行けますわ…… (ふたりはお互いしか見えないような素振りで、足早にその場を立ち去る。あとにはわたしだけが残された。) アロンダイト: これで、終わり……? 『今まで助かった』……?そんな一言だけで、終わり……!? 護衛1: う、うう……た、たのむ……。とどめを…… アロンダイト: ……っ、あなた、まだ息が…… アロンダイト: ……? 待って、武器の気配が……ない?どういうこと、あなたたち護衛なのに丸腰だった……? 護衛1: あいつのことなんか、お見通しだっての……。でも、まさか有無を言わさず斬るとはな……まいったぜ…… アロンダイト: そ、それじゃあ、あなたたちは最初から夫人を彼に引き渡すつもりで、助けに来るのを待っていたの……!? 護衛1: そういう……こった……。なあ、頼むよ……もう息が苦しくて、寒くて、耐えられないんだ……もう一息に…… アロンダイト: ………… (背景切換...) (結局わたしの本体は、周りが見えなくなった持ち主によって丸腰の同僚を斬るはめになったのだ。) (武器精霊として少なからず矜持を持つわたしにとって、その事実は重くのしかかった。) アロンダイト: あんなものは……戦闘じゃない、殺戮よ…… エクスカリバー: おーいっ、アロンっ! こんなとこにいたんすか アロンダイト: 姉さん…… エクスカリバー: ちゃんと騎士団には話したから安心していいっすよ!これからも所属武器精霊ってことで一緒にいられるっす アロンダイト: ありがとう。姉さんが動いてくれなかったらわたしなんて、今頃は廃棄処分だったわ エクスカリバー: 当然っす。たったひとりの妹なんすから…… エクスカリバー: 辛かった……っすね。でも持ち主はひとりじゃないっす。次はきっと、いい人と巡り会えるんすよ アロンダイト: ん……そう、ね (しかし、その後わたしが誰かに所有されることはなかった。) (やがて姉さんがキャメロット警視庁に行くことになったとき、わたしはもう独りで動き始めていた。) (真に自由な武器精霊、ルインズナイトを目指して――) 6000128 - 怒りを力に変えて アロンダイト: 姉さんは……わたしが価値を失い、ゴミのように扱われたときもそばで寄り添って支えてくれたの…… アロンダイト: あの絶望の中にあって、唯一の救いだったのは姉さんの存在……そんな姉さんと戦えるはずがない…… デュランダル: アロンちゃん……!? コートクラークの男: くっくっく……姉を前に怯んだか。下手に精霊になって感情を持つからこうなるのだ コートクラークの男: 道具は道具らしく、おとなしく使われておけばいいものを!さあ行け、エクスカリバー エクスカリバー: ……っ、……っ? コートクラークの男: おい……どうしたっ、早く行け、このポンコツ! アロンダイト: あなた……姉さんを殴るなんて! レーヴァテイン: でも急に動きが鈍くなったのは、いったい? ダインスレイヴ: ははあん。さすがはカナ、ってところか…… ムラマサ: うむ……そういうことか カラドボルグ: え、なに、アンタたちだけわかっちゃったの? ムラマサ: あの鈴、カナがさらわれてから作らされたものだろう?まともなものを渡すはずがない ダインスレイヴ: 偽物を作れば咎められるけど、持続時間が短くするだけならバレにくい。そこまでの耐久テストはしないと判断したのよ ピュルテ: よ、よかった、じゃあエクスカリバーさんは操られずに自分を取り戻せるんですね! 妹さんと戦うこともなく…… コートクラークの男: ふざけやがって、あの女ぁっ!くそっ、こんなもの…… アロンダイト: 姉さんの本体!? 何を…… コートクラークの男: ここは元は廃棄物処理場だ……ゴミはゴミらしく、処分してやるっ…… アロンダイト: 姉さんっ!! アロンダイト: ……お前たちはいつもそうね。でも、二度とあんな思いはしないと誓ったの……! アロンダイト: もう、二度とっ!! されるがままの道具には戻らないと!決めたのよ!! コートクラークの男: うおっ!? な、なんだ…… アロンダイト: すべて無に帰してあげるわ! アロンダイト: う、あ、ああああああああぁぁぁぁっ!! カラドボルグ: うおっ!? こ、これ、どうなってんの!? ダインスレイヴ: とんでもない量のディマイトだね。おそらくは、ずっと前から溜め続けてたんじゃないの デュランダル: アロンちゃんは、暴走状態なんだと思います ピュルテ: そうだ、エクスカリバーさんは!? エクスカリバー: ………… カラドボルグ: 本体は無事だ! アロンダイトが妨害したし……あの伝説の名剣がそう簡単に壊されたりはしないだろうけど ムラマサ: で、でもアロンダイトはまだ…… アロンダイト: 壊す……殺す……すべて、粉々に……っ! ピュルテ: 人間さんっ、どこに行かれるんですか? カラドボルグ: アタシたちの本体……? よし、わかった!アロンダイトはあの3人にまかせて、アタシとムラマサはアンタについてくよ ムラマサ: えっ! カラドボルグ: ん? ムラマサ: い、いや、わかった。行くぞ ピュルテ: 人間さん、すごい顔してますよ。わかります、私もあの男の人のエクスカリバーさんたちへの態度は許せません! ピュルテ: でも、あまり怒っていると、ディマイトにとりつかれてしまいます。人間さんがディマイト堕ちなんてしてしまったら…… ピュルテ: いえ、わかってらっしゃいますよね。すみません コートクラークの男: お、お前たちっ、何をしに来た! 来るんじゃないっ カラドボルグ: アタシたちの本体、どこなんだ? 返してもらおうか コートクラークの男: そ、それはできんっ! コートクラークとして、あのお方の使命に背くことなど……! コートクラークの男: ぐあああっ! ムラマサ: え……お、おお、躊躇なく殴ったな…… ピュルテ: 魔物相手じゃなければ人間さんだって強いんですからね!素直に白状してください! コートクラークの男: だ、誰が……ごふうっ! ムラマサ(內心): (え……普通に殴って白状させてる……こわっ……。もしかしてこの中でわたしが一番弱かったりして……) コートクラークの男: わ、わかった……っ、言うからっ、勘弁してくれぇ…… カラドボルグ: よし、嘘じゃないみたいだ。アタシたちの本体が揃ってる!カナの監禁場所も……嘘じゃないだろうな ムラマサ: あとはエクスカリバーだな。お前なら回復させられるんだろう、人間さん レーヴァテイン: デュランダル、左から押さえて! 私は右から行くわ デュランダル: わかりました! ダインスレイヴ: やれやれ……。しかし、あたしもこいつには借りがあるからねぇ。ここは止めてやろうじゃないの ダインスレイヴ: どうせあんたのことだ、アロンダイト。暴走にまかせて姉を傷つければ、自分を傷つけかねないからね アロンダイト: 邪魔をするな……わたしはもう、すべて壊して終わりにする…… レーヴァテイン: アロンダイト……っ 6000129 - 追跡劇の終焉 ピュルテ: エクスカリバーさん、目を覚ましてください……!人間さんのエルマイトをこれだけ送ればきっと ムラマサ: 姉の無事が確認できれば、アロンダイトの暴走も落ち着くかもしれない。認識できる程度の理性があればの話だが カラドボルグ: それにしても……アタシ。意外だったよ。思ってたのと違ったな ムラマサ: えっ!? な、ななな、なんで カラドボルグ: だってそうだろ。アロンダイトっていつも冷静で落ち着いた大人で、って勝手にイメージ持ってたけど…… ムラマサ: あ、なんだ、アロンダイトの話か…… カラドボルグ: 意外とさ、あんな熱くなるところあったんだなーって ピュルテ: 熱くなりすぎですけどね カラドボルグ: それな。普段からキレないから、キレ方わかんないのかもな。アタシたち仲間なのに、そんなこともわかってやれてなかった ムラマサ: なら、これから知る。それでいいだろう カラドボルグ: ムラマサ…… ムラマサ: 言えないことがあるのは当然だ。ほじくり返すのが仲間ではない。何も言わずに支えてやるのも優しさだろう ピュルテ: エクスカリバーさん! よかった、気が付いたんですね! ムラマサ: む…… エクスカリバー: え、えっと……? アタシ、いったい、どうして……? カラドボルグ: アロンダイトーっ!! こっち見ろっ、エクスカリバーは無事だぞ!だからもう、大人しくするんだ!! レーヴァテイン: !! ふん、やってくれるじゃない。人間さん…… ダインスレイヴ: 戦闘もここまでのようね。あとはもうひとりのあたしに任せるわ デュランダル: アロンちゃん! お姉さん、無事だよ! だからもう……誰のことも傷つけなくていいの! アロンダイト: う、あ、ああっ…… アロンダイト: あ、ああ、姉さん…… アロンダイト: デュー、それにみんなも…… エクスカリバー: アロン! よくわかんないすけど……えっと、久しぶり!元気っすか? アロンダイト: 姉さんってば……ほんと、相変わらず緊張感ゼロなんだから。この状況見て、言うことはそれ? ほんとに、もう…… レーヴァテイン: 私たちの本体も手に入った。あとはカナを助けに行くだけね ダインスレイヴ: ……あの、ほとんど私、記憶がないんですが デュランダル: あっ、戻られたんですね。大丈夫です、いまご説明しますので…… アロンダイト: 人間さん。それにピュルテも。巻き込んでしまったのに、助けてくれたこと……感謝してるわ ピュルテ: い、いえっ、これはもう当然のことですっ。ね、人間さん エクスカリバー: 気を付けるんすよ、アロン。人間さんはスケベなんで可愛いアロンにも手を出すかもしれないっす アロンダイト: わたしに? そんな命知らずな人、いないでしょ ムラマサ: よし、それじゃあカナのところまで案内してもらおうか コートクラークの男: く、くそ…… デュプリ・ライブラ: そこまでッス! ピュルテ: デュプリ・ライブラさん!? リル: よかった……ピュルテ、無事だったか デュプリ・ライブラ: 全員、動かないでほしいッス!一連の殺人容疑、そして人間さんとピュルテの誘拐容疑で全員逮捕するッス! ピュルテ: 違うんですっ、ルインズナイトの皆さんは犯人じゃないんです!事件を起こしたのは、この人…… ムラマサ: む!? やつがいないぞ! デュランダル: あそこです! コートクラークの男: ふん……油断したな! 次に会うときはこうはいかない、覚悟しておけ! レーヴァテイン: あんなところに馬車を隠して……くっ、しまった デュプリ・ライブラ: C班! 男を追うッス! 微精霊: はっ! リル: 事情がよくわからないが……いまの男がすべての首謀者だということか、ピュルテ ピュルテ: 実行犯、ということだと思います アロンダイト: そうね。おそらく首謀者、指示している者は別にいる…… カラドボルグ: それと、実行犯はここにもいるぞ。な? リーダー: ……っ レーヴァテイン: カナの居場所は? リーダー: ……このメモだ。だが俺は言われてやっただけだ。詳しいことは知らねえ。尋問しても無駄だぞ デュプリ・ライブラ: …… リーダー: なんだ、じろじろ見やがって、出来損ない デュプリ・ライブラ: はあっ!! リーダー: ぐっ……!? ピュルテ: デュプリ・ライブラさん!? デュプリ・ライブラ: 気絶させただけッスよ。抵抗されても面倒なんで レーヴァテイン: この男が工房に押し入ってカナを誘拐し、私たちの本体を盗み出した実行犯のはず アロンダイト: そこにさっきの男が合流した……っていうところね エクスカリバー: アタシの妹が悪者なわけないっすよ、デュプリ・ライブラ。逮捕なんて…… デュプリ・ライブラ: ……そっか。そういうことか……。ボクってほんと、ダメだなぁ……本当のバカになれればいいのに ピュルテ: デュプリ・ライブラさん、何をぶつぶつ言ってるんですか? デュプリ・ライブラ: や、それじゃ人間さん、ピュルテ、行くッスよ。引き上げましょう。あなたたちはどこへでも行ってくださいッス 微精霊: えっ、調書も取らないんです? カラドボルグ: え……意外な反応だけど、まあ、助かるしいっか…… デュプリ・ライブラ: なーんて。うそッスよ デュランダル: え? デュプリ・ライブラ: みんなまとめて、吹き飛んでください! 6000130 - 禁忌精霊伝承―ルインズナイト― リル: くっ……すごい爆風だ……っ ピュルテ: デュプリ・ライブラさんっ、どうして攻撃なんて……! ムラマサ: う、うおお、わたしもここまでか……! ムラマサ: って、ん? なんともない…… カラドボルグ: さすがムラマサ! って、あれ? アタシもか レーヴァテイン: 攻撃じゃない、爆風を起こしただけ…… デュプリ・ライブラ: ルインズナイト事件の顛末はこう。被疑者グループが抵抗したためやむなく第一級攻撃を実施。本体は大破し、精霊体は消滅…… デュプリ・ライブラ: これで天空神殿の管理からは完全に外れるんで。この土煙が晴れる前に消えてほしいッス。微精霊たちが見てる手前もあるッス アロンダイト: ……ありがたく、言う通りにさせてもらうわ デュプリ・ライブラ: おめでとうッス。皆さんもう自由ッスよ レーヴァテイン: そうと決まれば早々に撤退するわよ カラドボルグ: ああ! アロンダイト: 姉さん。落ち着いたら会いに行くから エクスカリバー: ん! 待ってるっす アロンダイト: それと……人間さん。あなたもね。わたしのこと、探して会いに来てくれるの、待ってるわ ピュルテ: 人間さんには探させるんですね……? アロンダイト: 会いたいなら探す、でしょう? (背景切換...) ピュルテ: 行っちゃった……んですよね? 微精霊: えっと、デュプリさん…… デュプリ・ライブラ: 報告書はボクが書くッス。ボクが書いたことが真実、いいッスね? リル: デュプリ・ライブラ殿……。何故、あんなことを? デュプリ・ライブラ: たとえ無実でも、神殿管理下の精霊は必ず本体に紐づけられるッス。でも、あの子たちはカナとかいう鍛冶師の施術を受けてる…… デュプリ・ライブラ: 自分自身で本体を所有して、誰の管理や支配も受けない本当に自由な精霊……それが目指す姿だと思うんスよね リル: 彼女たちのポリシーに照らせば神殿管理は受け入れられない……だとしても、デュプリ・ライブラ殿の立場もあるだろうに デュプリ・ライブラ: ……いいんスよ。ちょっとしたボクの反抗心ッスから ピュルテ: 反抗心? デュプリ・ライブラ: いえ、なんでもないッス。いいんじゃないスか、神殿の禁忌に触れるような存在の精霊がいても デュプリ・ライブラ(內心): (事件の被疑者としてボクに逮捕させ、罪人扱いすることで本体を強制的に奪い脅威となる存在を排除する……) デュプリ・ライブラ(內心): (いかにも神官長がやりそうなことッスね……) デュプリ・ライブラ(內心): (でもボクが顔を見たことある男を実行犯に据えるなんて甘いッスよ) デュプリ・ライブラ(內心): (ボクのこと利用した罰ってことで……禁忌は禁忌のままにさせてもらうッスよ、神官長……) ピュルテ: はあ、なんかホッとしたらお腹すいちゃいましたね リル: 帰り道に何か食べていくか。リッパー殿のジビエの店が近いんじゃないか? ピュルテ: う、うん……ごめんリルちゃん、生々しい肉料理はまだちょっと…… リル: そ、そうか。すまない デュプリ・ライブラ: ピュルテも人間さんも、意外と繊細なんスね~ デュプリ・ライブラ(內心): (でも……この現場で、本体をどこかに輸送しようとしていた……。それは神官長の計画には不要な行動……) デュプリ・ライブラ(內心): (それに『コートクラーク』って何……? まだ別の誰かが、この件にかかわっているのかも……) (背景切換...) デュランダル: やっと、ですね レーヴァテイン: ええ。自分たちの本体も手に入れた。それにカナも…… ダインスレイヴ: まだ気を失っていますが、じきに目を覚ますでしょう カラドボルグ: アタシたちもいよいよ、本当に自由になれたってことだな アロンダイト: そうね。あのまま本体を持ち去られていたらどうなっていたか。また、武器精霊としていいように使われたでしょうね レーヴァテイン: この6人を意のままに操れるとなったら、さすがに世界がひっくり返ったかもしれないわ ムラマサ: う、うん……そうだな……。それよりこれから、我らはどうなっていくんだ? アロンダイト: 使われる武器精霊ではなく、自らの意志で自らの正義のために各地で伝説とも呼ばれるほどの、自分たちの力を振るう―― アロンダイト: 最強の武装集団、ルインズナイト。それがわたしたちの未来よ ダインスレイヴ: ……私たち、事情はそれぞれだけど……理想は共通、ですからね レーヴァテイン: では理想のための第一歩。カナを休ませる宿屋探しよ ムラマサ: む! それなら任せておけ! デュランダル: ムラマサさまほどの人に、そんなことさせられませんよ~! (……。) (…………。) (背景切換...) コートクラークの男: はぁ、ふぅ……な、なんとか逃げ延びたぞ…… ???: やれやれ…… コートクラークの男: ……っ! ???: まったく、役に立たない コートクラークの男: も、申し訳ありません! つ、次は必ず! ???: 次など、ない コートクラークの男: ぐっ……ぐはっ…… ???: ……来るべきときのため、巨大な力を手に入れる ???: 今回、それは叶わなかった……が、しかし。それは枝葉の計画のひとつにすぎない ???: 宮の誇りにかけて、あの御方のご意志を必ず現実のものに……