10262 - 仮釈放 トリル: それでは次の議案です。『十二迷宮内における新型ディマイト体の処遇について』 いわゆる星の魔獣と呼ばれる皆さんのことですね クラース: いまも条件付きで外出は許可されているけど、本格的に封印から解放するということね シェイクスピア: あの場所での継続した拘束は、 かえってディマイトや十二神官の影響を受けてしまいかねないわ ラヴクラフト: 拘束ってエルマイトが増えそうなのにね。 食い込んでるのを見るのも、自分に食い込むのも、なかなかクセになっちゃうよ シェイクスピア: こほん、こほん。とにかく、場所を移すという選択肢もあるのだけれど―― ヴィルヘルミナ: 自立を促して、こちらに本当に敵意がないかどうか、確かめるというわけね ジャコヴァ: くぁ…… トリル: あ、休憩いれますか? ジャコヴァ: 考えてたんだ。疲れてぼんやりしてたわけじゃない。見たらわかるはず トリル: あ、はい、失礼しました フアナ: 解放するといっても危険な相手には違いないよね シンデレラ: 彼女たちと接する機会が多かったのは人間さんよね。見解を聞かせてほしいわ 人間さん: ほとんどは、こちらに危害を加える意思はないと思う。例外は、ジャッジメント…… ドロシー: ライブラから出たディマイトね エミリー: やっぱりライブラはちょっと危ないのかなぁ 人間さん: ただ、閉鎖された空間であのメンツだけで過ごしているせいか、とても仲間意識が強い。 ジャッジメントだけを切り分けて対応すると、それはそれで ヴィルヘルミナ: 他のメンバーの反感を買いかねない、というわけね フック: しかし、だとすればなおのこと、外に解放すべきでは? ジャッジメントに他の個体が感化される可能性もあります ジョカ: 我が直接、見たことのある連中は、それなりに信念もあって、 一般市民とも交流できていたがな ジャコヴァ: なら、交流させればいい フアナ: 交流って、一体どこで? ジャコヴァ: 私に少し心当たりがある シンデレラ: 普通の町ってこと?受け入れてくれる場所があるなら、 できるだけ普通の生活を送らせたほうがいいとは思うけど ドロシー: そうね。あの迷宮っていう環境が特殊すぎるのも、トラブルの原因だろうし ヴィルヘルミナ: 場所は姉さんに任せるわ。ただ、当然ながら野放しにはできないわね…… ジャコヴァ: 人間さん。お前が保護観察官となって監視しろ 人間さん: ……! 人間さん: まあ、そうだな。俺も彼女たちのことは、気になっていたし…… トリル: それでは採決に進みます。星の魔獣たちを十二迷宮から解放し、 特定の区域にて保護観察とする。保護観察官は人間さん委員を指定 トリル: 皆さん、挙手をお願いします ジャコヴァ: 満場一致、だな トリル: ラヴクラフトさん、皆さんの腋をチェックするのはやめてもらえますか…… 10263 - 迷宮からの出発 タウルス: 私たちを、この迷宮から解放する……!?それ、本気で言ってるの? 人間さん: ああ。もっとも、あくまでも保護観察付きということで俺がそばで 監視することになるし、指定された町から離れることは許されない サジタリウス: 普通の人のような完全な自由、とはいかないわけですね。 もっとも、この迷宮の外に出られるだけでも十分ですが アクエリアス: そうですね。あまり遠出して、また変な事件に巻き込まれて、今度こそ怪しい人たちにさらわれて、売り飛ばされてしまうかも……いやああぁぁぁ! ヴァルゴ: 静かにしなさいよ。相変わらず妄想がひどいわね キャンサー: ヴァルゴもいい勝負だと思うけどね~ アルファーグ: 新たな風は清浄なる水をもたらす アルレーシャ: 新たな風は不浄なる毒をもたらす ピスケスのふたり: 風向きを見なければ道はわからない アリエス: え?は?水なの、毒なの、どっちなの? 人間さん: (魔獣どうしでもやっぱりピスケスのポエムは 理解できないことのほうが多いんだな……) カプリコーン: ピスケスが言いたいのは、コミッティが何故そんな決断をしたのか、ということでしょう。その狙いがわからなければ吉と出るか凶と出るかわかりません ジェミニ: 狙いって、でもお兄様はきっと私たちのために…… ヴァルゴ: こいつがどうであれ、コミッティは一人で意志決定できないわ。 残りの連中の考えはわからないでしょ スコーピオ: でも、私たちに決定権はありません。出ろと言えば出るまで オフィウクス: なんとなく、わたしは予想できますけどねぇ……ふひっ。 人間さん、申し上げても良いので? 人間さん: いいけど オフィウクス: ここはディマイトが蓄積されすぎています。 それに、神官の皆さんが近くにいるので、何か操られたりする可能性もある…… オフィウクス: 外に出して順応させたほうが安全、という判断でしょう……くふ、ふひ、はひっ 人間さん: (さすがポステリオルから出てきただけあって、冴えてるな。シェイクスピアが俺との共同発議に乗って来たのは、まさにそのポイントだったからな) ヴァルゴ: ねえ……ジャッジメントはどう思うの? ジャッジメント: ……興味ないわ。私は囚われの身、権力者の思惑通りに振り回されるしかないのよ キャンサー: あう…… 人間さん: 悪いが、スコーピオやジャッジメントの言う通りでね。 ここで迷宮に残る選択肢はないんだ。 30分後には出発だから、身支度を整えておいてくれ 10264 - 馬車ツアー マル: 魔獣の皆さん、今日はマルの馬車ツアーにようこそなんだし。 目的地まで楽しくご案内するし タウルス: え……ば、馬車ツアー……? アリエス: ちょっと予想外のが来たんだけど カプリコーン: てっきり護送車みたいなもので運ばれるものと思い込んでいましたが こんなに楽し気な雰囲気になるとは 人間さん: 着いた先では普通に、一般の人と同じように生活するんだ。 護送車じゃ周りの人も警戒するだろう 人間さん: (それに……少しでも楽しい気分で外を味わってほしいんだよな) 人間さん: (もちろん、ジャッジメントも含めて……) ジェミニ: わあ、見てください。あんなにきれいな花が咲いています アクエリアス: 本当ですね!ピンク色で可愛いです アリエス: かわいい?わたしより可愛いものなんて……ほんとだ、可愛い! わたしのステージであの花びらとか使えないかな ヴァルゴ: 何よ、ステージって アリエス: 前に外に出たときにね、アイドルっていうのを見て…… これはわたしがやるしかない、って思ったの オフィウクス: ふひっ……なんという陽のオーラ……私なんて、とけてしまいそうですよぉ…… アリエス: こうして外に出るからには、ライブは絶対やりたい! カプリコーン: アリエスは言い出したら聞きませんからね ジャッジメント: …… マル: さあ、ここでお昼ごはんの時間ですよ ジェミニ: あの、私たちお金持ってないんです サジタリウス: というか、お店も見当たりませんが スコーピオ: 多少なら仕事の報酬が手元にありますが マル: 安心してほしいんだし。これは馬車ツアーだから、ごはんもセットでついてくるんだし マル: はい、これ! カプリコーン: これは鉄板、ですか……? マル: バーベキューなんだし 人間さん: おい……嫌な予感がするぞ…… マル: それじゃ各自、自分の分を焼いていくんだし。 ひとりソーセージ1本、肉1枚、バナナは三分の一…… タウルス: そんなんじゃ足りないわよ!? マル: しょうがないんだし。ジャコヴァからはこのくらいの予算しかもらってないんだし 人間さん: ジーアの頃から何も成長していない……。懐かしいといえば懐かしいけど…… アルファーグ: 水の流れは求める者のもとへ アルレーシャ: 獣のさだめは欲せし者が背負う タウルス: どういうこと? ピスケスのふたり: お肉どうぞ タウルス: い、いいわよ!私たちが人のものまで欲しがる食いしん坊みたいじゃないの! ヴァルゴ: もらっておけば?アンタ、もりもり食べそうじゃないの タウルス: なんか失礼なニュアンスなんですけど 10265 - 初めてのみんなでのごはん ジェミニ: あ、あ、あちっ、あちっ カプリコーン: 鉄板はかなり熱いですし、脂がハネますからね。 少し距離をとりながら焼くのがいいですよ ジェミニ: あ、ありがとう、カプリコーン様。 ちゃんとお話ししたこと少なかったけど、優しいんですね キャンサー: すう……くう…… ヴァルゴ: ちょっと!焼きながら寝ちゃだめでしょ!焦げるわよっ、特に野菜! サジタリウス: 最初に聞いたときはどうなることかと思いましたが、 肉一枚といっても、こんな分厚いステーキ肉なら十分でしたね アクエリアス: でも、この後に行われるギャンブルで負けると、 この熱々の鉄板の上に座らされたあげく土下座まで……いやああぁぁ! オフィウクス: 相変わらずアクエリアスさんは被害妄想がひどいですねぇ マル: それじゃあみんなでゲームでもするんだし アクエリアス: いやああぁぁあああぁぁぁ!? スコーピオ: ゲーム?遠くの的を撃ち抜くものなら私の優勝で決まってしまいますが マル: 言い回しに不吉な気配を感じて震えるんだし アリエス: ねぇ、ジャッジメント……ごはん、食べたら? お肉もちょっと固いけど食べ応えあるし、野菜も美味しいよ ジャッジメント: 私のことは気にしないで…… アリエス: いい加減にしなよ ジャッジメント: …… 周りの全員: ざわっ…… アリエス: 捕まってからずっと、そんな調子だけどさ。普通にそんなじゃ、空気悪いよ ジャッジメント: ……構わなければいいじゃない。 あなたたちが楽しく食事することに私は何も文句を言っていないはずよ アリエス: そんな態度だったら文句言ってるのと同じだよ! ジャッジメントも楽しく混ざればいいじゃん! カプリコーン: アリエス。そういうことは強制できないものですよ。 それぞれのスタンスというものがあるのですから オフィウクス: そうですねぇ。スコーピオさんも楽しんでいる感じではないですし スコーピオ: もぐもぐ……うん、この肉の感触、あの時を思い出す…… ジェミニ: これはこれで楽しんでるような…… ヴァルゴ: 肉食べながら変なこと考えてる…… アリエス: もう……勝手にしなよっ ジャッジメント: …… 人間さん: (まだ到着もしてないのに、この先大丈夫かな……) 10266 - 歓迎!新規住民ご一行様 キャンサー: ふわぁ~。着いた~。遠かったねぇ 住民1: ようこそ!エンハンブレの町へ! 住民2: さあさあさあ!歓迎セレモニーの準備はできてるのよ! キャンサー: えっ、あ、えっ、ま、まって~ ヴァルゴ: 大変だわ!キャンサーがさらわれたわよ! この後、取り囲んでかわるがわる……なんていかがわしい! タウルス: あんたの発想がいかがわしいのよ! アルファーグ: 交わる川は、ひとつの大河に アルレーシャ: しかし、ときに氾濫を招く カプリコーン: 確かに。仲良くできるかどうか、まだわからないのに…… キャンサーさんひとりにするわけにはいきませんね! 人間さん: あ、いまのそういう意味だったのか。というか、そんなに慌てなくても…… アリエス: あ、あのっ、いまの子はわたしたちの仲間で―― 住民1: さあ、あなたもこちらへ! 住民2: さあさあさあ! アリエス: うわ、あの、待っ……あああああぁぁぁ…… カプリコーン: あのアリエスがなすすべもなく連れて行かれるなんて ジェミニ: コミュ力の高いアリエス様であれなら、私なんてもう…… 住民2: さあさあさあ! 町長: 町民の皆さん、お待たせしました! 我が町に新たに住んでくださる皆さんです。拍手でお迎えしましょう! カプリコーン: わざわざ新しい衣装まで用意してくださるなんて…… アリエス: みんな、ありがとーっ!似合ってるかなーっ? ジェミニ: わわ……たくさんの人が集まってる……! スコーピオ: 予想外でした。忌避されこそすれ、歓待を受けるとは オフィウクス: わたしたちの素性は伏せているんでしょうね。 それにしたって、こんな対応はちょっと不思議ですが……ふひっ 町長: この町はもうずっと新しく引っ越してくる人がいなくてね…… だからみんな、大喜びなんだよ カプリコーン: そうだったのですか。いえ、お世話になります ジェミニ: それにしても、みんなでお揃いの衣装だなんて、ふふっ。 なんだか嬉しくなっちゃいます タウルス: いやいや、待って待って ヴァルゴ: 歓迎してくれるのはいいんだけど、なんで衣装が5人分なのよ!? 町長: すみません、まさかこんな大勢いらしていただけるとは思ってなくて 人間さん: おかしいな、ちゃんと事前に伝えてもらったはずなんだけど サジタリウス: 人間様の伝達ミスなのですか?珍しい…… ???: おーっ、来たな!待ってたんだぞ! ちゃんとお前の言いつけ、守ったんだからな!えらいだろう! キャンサー: え……誰……? レオ: あたしはレオ様だ!すごいんだぞ! 10267 - あれの精霊、レオ タウルス: レオって……まさか スコーピオ: うっすらと記憶にある。 呼びかけても反応はなかったが、名前だけはイメージが流れ込んできていた カプリコーン: 神官長、レグルスの精霊……ですよね レオ: うん、たぶん。あんまり覚えてないけど。 でも『ちょー』ってつくからえらい人なんだろ? ジャッジメント: ちょ、ちょっと待ちなさいよ。あのレグルスが、せめて少しだけでも眠るライブラのそばにいたい、なんて狂気じみた理由で、自分の髪を迷宮に置いていった…… ジャッジメント: それが獅子宮の魔獣の本体だったはずよ! 人間さん: うん。俺もそう聞いてるんだけどね ジャッジメント: たかが髪のひと房から、ライブラへの叶わない感情が漏れ出てあれだけの ディマイトを膨らませて、実体化した魔獣なのよ!? ジャッジメント: もっとこう、ダークで狂っていて自傷行為とかしてるかと思ったのに、 なんなのこの、ポンコツ百点満点みたいなアホ面は! レオ: むむ!なんかレオ様のことバカにしただろ!ぶっとばす! 人間さん: ジャッジメントが言いたいことは俺も痛いほどわかるが……現実はこれなんだって タウルス: しかし、いったいいつの間に表に出ていたのよ アリエス: わたしたちが迷宮にいたときは全然なにも感じなかったのに 人間さん: さあ……知らないうちに外に出ていたらしくて。 俺が周辺の町に滞在していたときに、偶然知り合ったんだ スコーピオ: 私に気配を感じさせずに外に出るなんて。そんな能力があるようにも見えませんが…… レオ: ノーと言えるバカは爪を煎じて飲むんだぞ ジェミニ: ピスケス様とは違った意味で、何を言っているかわかりません…… レオ: レオ様はすごいって意味だ。わかんないのか 人間さん: それよりレオ、頼んでおいた件はどうなってるんだ レオ: 町長ってあだ名の爺さんにこの紙きれを渡すんだろ? ちゃんとやったぞ!レオ様すごいから 町長: あだ名じゃなくて役割なんですが…… アクエリアス: それよりあの、くしゃくしゃに丸めたゴミみたいなそれ、 人間さんさまから町長さんへの大事なお手紙なんですか……? 町長: いただいたお手紙に、いらっしゃる皆様のお名前が載っていたんです。 他にもお身体の寸法も。それを元に衣装を作成しました ヴァルゴ: す、寸法ですって!?じゃあアタシのスリーサイズがいろんな人に…… こ、このハレンチ男! 人間さん: 痛い!! スコーピオ: やけにフィットすると思いました。一体、いつの間に…… 10268 - 新生活のスタート ヴァルゴ: きっとこの男、目で見ただけでわかっちゃうのよ。本当にスケベだわ 人間さん: 違う、違う。前にインタビューされただろ ジャッジメント: そう言えば……身長、体重、スリーサイズから趣味や好き嫌いまで…… アクエリアス: あのデータがいろんなところに出回ってるんですか!?やだ、恥ずかしいです! タウルス: でも、それなら何で私たちの衣装はないのよ 町長: 私が受け取ったのは5名様分だけでしたよ ジェミニ: こっちもゴミみたいにくしゃくしゃになってる…… 町長: 受け取ったときは既にこんな感じでしたが…… アルファーグ: 川が分岐するとき水は二度と交わらない アルレーシャ: 再び大海原で相まみえるまで オフィウクス: あ……確かにピスケスさんたちの言うとおり、町長さんに手紙を渡したはずなのに、 レオさんがまだ手紙を持っているんでしょう……? タウルス: ちょっと!いまさっき取り出したその手紙、見せなさいよ ジャッジメント: あーっ!?私たち7人の名前とスリーサイズが書いてあるじゃない! レオ: あれ……なんかずっとポケットに入ってると思ったんだけど、 それも手紙だったのか……。間違って鼻かんじゃったぞ ジャッジメント: きったなっ!! アリエス: じゃあこの一枚を渡してなかったから衣装が用意できてなかったんだ…… 町長: ああっ、急いで職人に作らせますので!出て行かないでください! キャンサー: 大丈夫だよ~。衣装がなくても、ふかふかベッドがあればそれで~ レオ: じゃあ、これ渡しておくぞ 町長: あ、書き写してもらっていいですか?鼻かんだんですよね? 住民1: よ、よし、気を取り直して歓迎会のスタートだー! 住民2: さあさあさあ! アリエス: ふわぁ……まだちょっと寝足りないなぁ。 昨日は遅くまでどんちゃん騒ぎでさすがに疲れちゃった…… オフィウクス: そうですねぇ。長距離移動の後すぐでしたし…… キャンサー: すぴー……ぷすー…… アルファーグ: 眠りの沼に沈んでいく アルレーシャ: もがくほどに深みにはまる ジェミニ: ピスケスさんたちも眠いんですか?なんか全然そんな感じしませんけど ヴァルゴ: むしろ寝てたのか怪しいくらいね……ふわぁ~。とりあえずメイクしなくちゃ…… カプリコーン: おはようございます、皆さん。いい朝ですね アリエス: カプリはメイクばっちりだ!さすが! だけど何時に起きたの……わたし、真似できないよ…… アクエリアス: ちょっと……お腹、すきません? タウルス: そうね、何か買いに行きましょうか。町にはお店もたくさんありそうだったし ジャッジメント: はぁ……私、こんなところで何やってるのかしらね…… アリエス: また!ジャッジメントはもう……! ヴァルゴ: ねえ、待って。スコーピオとサジタリウスがいないわ サジタリウス: おはようございます!ふう、いい汗をかきました! スコーピオ: 新居と言えども鍛錬は欠かせません オフィウクス: こ、こんな朝早くから身体を動かしていたんですか……? 考えただけで吐きそうです……うぷ 10269 - 自由の代償 アリエス: わーっ、美味しいーっ! サジタリウス: これはなかなか…… カプリコーン: 朝からこんなおしゃれなカフェで、素敵な朝食……外の世界とはいいものですね スコーピオ: 魔獣だった頃は食事とは無縁でしたが…… この姿になってから、食事を必要とするようになったのは不思議なものです。 不便なこともありますが サジタリウス: 確かに。空腹では身体が思うように動かない、 というのは魔獣の頃には考えられませんでしたね オフィウクス: ……とは言っても、魔獣の頃の記憶なんてほとんどないので、 ふんわり感覚が残ってるくらいですけどねぇ キャンサー: そうだねぇ……ふわぁ。 魔獣のときもこんなにおねむだったら、人に迷惑をかけることもなかった気がする~ 人間さん: なるほどなぁ。いまの身体を得たから欲求が生まれたのか ヴァルゴ: だ、誰が欲求不満よ。このヘンタイ! アクエリアス: ヴァルゴさん、朝から元気ですね~ 人間さん: (欲求だけじゃなく、きっと感情もこの姿になってから持つようになったのかもな……) ジャッジメント: それで?これから私たちに何をしろっていうの 人間さん: することは、特に指定はないよ。町から遠くには行かない、 人や物を傷つけない、定時連絡をする、これを守ってくれればそれでいい カプリコーン: なるほど。本当に自由なのですね ジェミニ: 急に自由って言われても困っちゃいますね スコーピオ: しかも人を傷つけてはいけない、つまり私は仕事を受けられない。 ますます何をしていいか分からなくなります タウルス: 暗殺稼業を前提にするのやめなさいよ。もう引退したら? オフィウクス: わたしはひたすら研究ですかねぇ……。 ポステリオル先生に認めていただくために、日々研鑽を積むのみ…… レオ: それって迷宮でもできるんじゃないのか?なんかもったいないぞ オフィウクス: 何を言うのです。実験材料も書物も外の世界には無限の可能性が……ふひっ タウルス: 人体実験はやめなさいよ……? レオ: 朝ごはん食べたらレオ様と鬼ごっこしよう!する人、この指とーまれ キャンサー: お腹いっぱいだしお昼寝かな~ アルファーグ: 満たされし眠りは命の息吹 アルレーシャ: やがて領域は横へ浸蝕する ヴァルゴ: まさかそれ、食べてすぐ寝たら太るって言ってるの? レオ: う、うううっ、とまれー!とーまーれー! ジェミニ: あ、じゃあ…… サジタリウス: そうですね。私も鍛錬がてら少しお付き合いしましょうか タウルス: 甘やかしすぎないほうがいいわよ ジャッジメント: 見れば見るほど納得できませんね。 これがあのレグルスの、異常行動で置いていった髪から生まれたなんて…… 人間さん: まったくだな。デュプリが何かしたんじゃないかと思ったけど…… 調べたら本当にレグルスの髪が本体みたいで スコーピオ: 本体?ということは彼女は 人間さん: ああ、たぶんみんなとは微妙に出自が違うからなのか、レオは精霊なんだ アクエリアス: 精霊って本体からあまり離れられないのでは? 人間さん: うん、だからこの木箱に…… ジャッジメント: 出さなくていいわよ!レグルスの髪なんて、食事中なのに! レオ: あたしの本体を汚いものみたいに言うなー! 人間さん: そういうわけだから、各自好きなように過ごしてくれ。ああ、そうだ。これ カプリコーン: お金、ですか。活動資金にしろということですね 人間さん: 全員分だからケンカせずに使うんだぞ。 じゃ、俺は一旦これで。ここの会計は俺が払っておくよ ジェミニ: あっ、ご、ごちそうさまです、お兄様 ジャッジメント: ……ん?ここの会計は払う、ということは今後の生活費は タウルス: この袋の活動資金で、ってことでしょ。え、待って、この袋にいくら入ってるの? 人間さん: 自由ってそういうもんだよ。がんばってな 10270 - 役割分担 サジタリウス: ということで、今後について話し合いましょう。やりたいことを探すのも大事なのですが、生活の基盤がしっかりしないと立ち行かなくなってしまいます キャンサー: きばん~? スコーピオ: 仕事をしなくてはいけませんね。しかし、私の過去の蓄えは没収されてしまっています。 そしてもう、人を傷つけてはいけないとも言われていますので アリエス: 地道に働かなきゃいけないってことだね タウルス: 私とサジタリウス、カプリコーン、ヴァルゴとジェミニあたりは普通に町で働けそうね。 アクエリアスとアリエスは職種によっては大丈夫かも オフィウクス: それなら、わたしもちょっとお金になる薬を売りましょうか……ふひっ レオ: おい、あたしは何で入ってないんだ? タウルス: ピスケス、キャンサー、スコーピオ、そしてレオとジャッジメント。 ここは正直、無理だと思うの ヴァルゴ: 一言で表現するなら、社不ってやつよ! ジャッジメント: なんで私まで入ってるのよ! ヴァルゴ: 元テロリストが何言ってんの。一番社会に適合してないじゃない…… ジャッジメント: ぐぬ……で、でも、私だってもう、そういう思想は、 その……捨て……捨ててはないけど、まあ…… ジャッジメント: あなたたちに迷惑かけないようには……したい、と思って…… アリエス: 声が小さいんですけど! カプリコーン: ちょっと、アリエス アリエス: いい機会だからちゃんと全員の前で話をしたら? ジャッジメント: ……っ、私はもともと外に出るつもりもなかったのよ。 役割は勝手に決めて。あなたたちの決定に従うわ サジタリウス: アリエス様の意図はわかりますが、少々急ぎ過ぎたかもしれませんね アリエス: わたし……追いかけてくる カプリコーン: アリエス アリエス: 止めないで、カプリ カプリコーン: 止めませんよ。あの子のこと、頼みます アリエス: うん! ヴァルゴ: なんだかんだ、最初に一緒だったメンツは絆が強いのね アクエリアス: わ、私はヴァルゴさんのことも、な、仲間だと思ってますよ ヴァルゴ: ……ありがと。わかってるわよ。この12人は運命共同体なんだし アクエリアス: はっ!こ、こんなところで告白まがいのことを言ったら、いろんな勘違いが起きて、 最終的に夜中に私の部屋へヴァルゴさんが夜這いしにきて、 あんなところやこんなところまで……ひいいい! ヴァルゴ: アタシをなんだと思ってんのよ!大体、女同士であんなことってつまり、 両方ちゃんとアレできるああいう道具を使うって意味で……このヘンタイ! オフィウクス: 収拾つかないのですが…… サジタリウス: あー、こほん。なので、在宅組で家事を回してもらいたいのです。今朝は人間さんの奢りでしたが、今後は外食については週に一度か二度程度の贅沢とします ジェミニ: 残念ですけど仕方ないですね スコーピオ: そういえば袋の中身を確認していませんでしたね カプリコーン: えーと……120万ゴールドもありますよ! キャンサー: うわあ、大金だ~!わたしも目がちょっと覚めたよ タウルス: でも12人いるのよ レオ: おい、さっきから12人っていうけど、あたしのことカウントから外してないか!? アクエリアス: 13で割ったら、ひとり10万切っちゃいますね ジェミニ: そもそもお兄様は毎月くださるとは言ってなかったので…… サジタリウス: あ、明日からもやしです! 10271 - 未来を見据えて アリエス: ジャッジ! ジャッジメント: ……なに、その呼び方 アリエス: だって長いんだもん。それより、聞いて ジャッジメント: ……もう、私に構わないで アリエス: わたし、アイドルライブをやろうと思うの! ジャッジメント: はあ?何よ、唐突に アリエス: 歓迎会を開いてもらったお礼になればいいなって。ほら、ここすごく田舎町でしょ。 ごはんは美味しい店もあったけど、娯楽とかあまり見かけないし ジャッジメント: そんなこと言って、自分がやりたいだけでしょうが ジャッジメント: 好きにしたらいいじゃない…… アリエス: そうだよ、ジャッジ。きみも好きにすればいいの。過去がどうだとか、何をやらかしたとか、わたしたちを巻き込んだとか、そんなの一生引きずるつもり? アリエス: わたし、未来を見たいの。 自分がアイドルになって、キラキラして、みんなに応援してもらって、 アリエス: その風景にきみもいてほしいの。ううん、いなきゃだめ。 やりたいことがないなら、わたしの未来のために前に進んでよ ジャッジメント: …… ジャッジメント: ……アリエス アリエス: ん? ジャッジメント: それ、プロポーズ? アリエス: かもねっ★ ジャッジメント: ……!? アリエス: わたしをからかおうなんて100万年早いよ。からかい返しちゃうんだからね ジャッジメント: もう…… ジャッジメント: わかったわよ。自然にできるかはわからないけど、前を向くように努力はするわ。 でも社会不適合者らしいわよ。とりあえずトイレ掃除でもすればいい? カプリコーン: 水回りの清掃はレーシャさんが、洗濯はファーグさんが担当に決まりましたよ アリエス: カプリ! カプリコーン: 部屋の掃除はスコーピオさん、ゴミ出しはキャンサーさん…… なのでジャッジさんには食事担当をお願いしようかと ジャッジメント: スコーピオが掃除? カプリコーン: もともと町のスイーパーだったでしょう、と言ったら即決でした ジャッジメント: うまく丸め込んだわね……。ま、いいわ。こう見えて、私は器用だから カプリコーン: ふふっ、おねがいします アリエス: よかったぁ…… アクエリアス: オフィウクスさああぁぁぁん!た、助けてくださぁああい! アクエリアス: お腹が、お腹が痛くてぇ! ジェミニ: ボクも!う、ううっ、妹はいったい何を食べたんだ! オフィウクス: ふひっ……町の人に売りつける予定だった整腸剤が、早速、活躍しそうですねぇ タウルス: 久々に姉人格を見たわね ジェミニ: お腹が痛すぎて妹は引っ込んじゃったんだよ! アリエス: それ痛みを押し付けたのでは…… 悪気ないんだろうけど、妹もナチュラルにひどいことする…… スコーピオ: しかし……料理を担当したのは…… タウルス: 元テロリストが本当の意味での飯テロを起こすとか……渾身のギャグね…… ジャッジメント: わ、私のせいじゃないでしょ!?他はみんなピンピンしてるんだから! タウルス: 冗談よ。しばらくイジるけど オフィウクス: ふむふむ……おそらくストレス性の胃腸炎でしょうねぇ。 ふたりともデリケートな性格ですから…… レオ: つまり、他のみんなは神経が図太いってことだな! カプリコーン: やれやれ……先が思いやられますね…… 10307 - カプリコーン、キレる ジャッジメント: 今日の晩ごはんは何にしようかしら。節約しなきゃだし、豆とかでかさ増しして…… ああでも栄養バランス的に乳製品は必要かしら レオ: 乳製品いっぱい食べたからそんな乳になったのか? レオ: 痛い! ジャッジメント: 今度私の胸の大きさをイジったら殴るわよ レオ: もう殴ってるじゃないか! ヴァルゴ: 意外とジャッジは家庭的なのね。そんな節約レシピまで考えたりして ジャッジメント: 必要に迫られてるからよ。まあでも、私って凝り性なところあるから アリエス: 今日のごはんはなんっだろなっ★ ジャッジメント: えーと…… ジャッジメント: って、あら?材料が何もないわね。買い出しに行かないと サジタリウス: 残念ですが、それはできません アリエス: えっ、なんでなんで? サジタリウス: 生活費が、尽きました ヴァルゴ: なんですってーっ!? (背景切換...) カプリコーン: ということで、私たちは現状、文無しです ジェミニ: ど、どうしてそんなことに……まだ大して時間も経ってないのに オフィウクス: おかしいですねぇ。誰かが無駄遣いしたんじゃないですかぁ? アリエス: そうだよ。じゃないと簡単になくならないもん レオ: レオ様はちゃんと節約してたぞ アクエリアス: こ、このままだと誰かが身売りでもしなきゃいけなくなって、必然的に私がやることになり、清潔感ゼロの汚いおじさんにあんなところへあんなものを無理やり…… いやああぁぁぁ! ヴァルゴ: なんでアンタが必然的にやることになってるのよ。 遠回しに自分が一番可愛いって言ってる? アクエリアス: そ、そんなつもりじゃ カプリコーン: そこまでだッ!! 全員: !? カプリコーン: どうして資金が尽きたか?全員のせいですよ、全員の!! ろくに仕事も探さず、浪費ばかりして!! 収入が私のバイト代しかないんだから尽きるに決まってます!! ヴァルゴ: え、まだいけるかなと思ってたんだけど…… タウルス: もう仕事を探さないといけなかったのね カプリコーン: 悠長なこと言ってる場合ですかッ!! しかも、そんな中でアリエスが舞台用とかいってアクセ買いまくり! レオも駄菓子だとしても毎日あんなに買ってたら節約じゃない! カプリコーン: おまけにアクエリアス!!不安だかなんだか知らないけどこんなボロ小屋に 警備システムなんか付けなくていいんですよ!! カプリコーン: どいつもこいつもいい加減にしろッ!! 全員: …… カプリコーン: はぁはぁはぁ キャンサー: カプリが、キレちゃった…… ジャッジメント: 怒らせるとヤバいタイプなのよね…… 10308 - 仕事探し ヴァルゴ: わかったわよ。明日にでも仕事を探すわ カプリコーン: はぁはぁ……ハッ!?私ったらつい取り乱してしまって……ご、ごめんなさい タウルス: いやいや、正論だし アリエス: 反省してるよ…… オフィウクス: 皆さんもこう言ってますし、今回は水に流しましょうよ。ふひっ タウルス: こいつ研究費で使い込んでそうな予感がするんだけど オフィスクス: 濡れ衣ですよぉ? (背景切換...) ヴァルゴ: はあ…… サジタリウス: ヴァルゴ様ではないですか。どうですか、仕事探しは ヴァルゴ: それがさっぱりなのよね…… サジタリウス: ヴァルゴ様もですか ヴァルゴ: 『も』ってまさか ジェミニ: どうしよう、私も全然 タウルス: 何よ、みんな厳しそうなの?私も人のこと言えないけど アクエリアス: どうしましょう…… サジタリウス: 求職組がみんな集まってきてしまいましたね ヴァルゴ: そして全員、成果なし…… アクエリアス: このままではカプリコーンさんに役立たずと罵られごはんも抜きで弱ったところに お仕置きっていって固い木馬に乗せられて お尻をぱちぱち鞭で打たれてしまいます!ひいいぃぃぃ! タウルス: そこまでしないでしょ!と言いたいけど、 ごはん抜きくらいまではやりかねないわよね、昨日のあの様子じゃ ジェミニ: そもそも小さな町ですし、長らく引っ越してきた人もいないそうですから 今の状態で完結してしまってるんでしょうね タウルス: 雇ってもらえないなら自分たちで何か始めるしかないか…… ジェミニ: オフィウクスさんみたいに、ですか? ヴァルゴ: あの子みたいに、分かりやすく手に職あるといいわよね ジェミニ: …………あの、提案なんですけど サジタリウス: なんでしょう ジェミニ: おうちの横にある空き地も、使っていいって言われましたよね。 あそこで野菜を作ってみませんか? アリエス: それ、いいかも★ 10309 - 自給自足を目指して サジタリウス: 確かに、お隣のお宅にある畑はいろいろと作物が採れているようです。 きちんと耕せば土地の質は悪くないのでしょう ヴァルゴ: へえ……農業かぁ…… ジェミニ: 売り物にまでならなくても、自分たちで食べる分が確保できればいいのかなって オフィウクス: ふひっ……聞きましたよぉ。なかなか楽しそうじゃないですか アリエス: オフィウクス!手伝ってくれるの? オフィウクス: 私も薬草を育てたりできると助かりますからねぇ タウルス: 悪くなさそうね。でも、収穫まではかなり時間がかかるわよ。 こういうのって1年とかかかるんじゃないの? オフィウクス: 私の作った成長促進剤を使えばあっという間ですよぉ ヴァルゴ: それ健康に被害とか出ないでしょうね……? 人間さん: (どうしてるかと思って様子を見に来たけど、 ちゃんとみんな、自分たちでなんとかしようと試行錯誤してるな) 人間さん: (俺のポケットマネーでいくらでも支援はできるけど…… それじゃあ自立したとは言えない。大変だろうけど、がんばれみんな) (背景切換...) ジャッジメント: なるほどね、第一次産業という手があったか キャンサー: ジャッジはむずかしい言葉をすぐ使う~ アルレーシャ: 自然の実りに身を任せる アルファーグ: 身が朽ちるもまた自然の摂理 タウルス: そうね、ふたりが言う通り収穫時期まで時間はかかるわ。 オフィウクスの薬で成長を早めるといっても、 1日やそこらで収穫できるわけじゃない ジャッジメント: それはそれで投資だけど、当面の生活をどうするかよね スコーピオ: それなら、私が動こう ヴァルゴ: なに言ってんのよ!だめに決まってるでしょ! 人間さんにそれだけは守れって言われてるのに スコーピオ: 人は殺さない ジェミニ: 別のいい案があるんですね? キャンサー: スコーピオの得意なこと~? スコーピオ: 私には、殺すことしかできない ヴァルゴ: だからー! スコーピオ: 獣を殺す タウルス: あ……なんかわかったわ。 森の動物を狩って、その肉を食べるなり売るなりするってことね! ジャッジメント: 確かに。野菜がたくさん採れたとして、栄養バランスが偏ってしまうものね オフィウクス: 私のサプリでくいっと補給するのも手ではありますが…… スコーピオ: そういうこと。気づかれずに手早く殺すのは得意 アクエリアス: 言い方がいちいち怖いんですけど サジタリウス: それなら私も貢献できそうだな。中型の動物を毎日2頭も仕留められれば、 私達の食事に加え多少の収入も期待できそうだ タウルス: それならアクエリアスは魚釣りでもしたら?肉だけじゃなくて魚も必要でしょ アクエリアス: わ、わ、わたしがですか!?やったことないんですけど! 10310 - それぞれの役割 ヴァルゴ: 世に出ていた期間なんて、みんな大概でしょ。ほとんどのことが未経験よ アルレーシャ: 水の心を知ることは魚の心を知ること アルファーグ: 清き流れとひとつになれば魚となる ジェミニ: 確かにピスケス様ならたくさん魚を釣れそうです ヴァルゴ: ピスケス的にそれは大丈夫なの?なんていうかその、共食いみたいにならない? タウルス: そんなこと言ったら私だって牛肉食べてるわよ キャンサー: あくまで象徴というか、概念としての姿だからね~。別に共食いではないんじゃない? カプリコーン: それでは役割を見直しましょう。 サジタリウスとスコーピオが狩猟チーム、アクエリアスとピスケスが漁業チーム ヴァルゴ: 私、農業担当をやりたいわ。園芸とか土いじりは好きなの オフィウクス: 研究をしつつ、そちらも少し手伝いますよ。あくまでも薬の提供という形でよければ ヴァルゴ: 身体を使うつもりはないってわけね…… タウルス: なら、それは私がやるわ。農業とか肉体労働でしょ カプリコーン: 私はエステ店のバイトを継続するとして キャンサー: そんな仕事を見つけてたんだ~? ジャッジメント: 最近は妹人格が出てくることが多いし、家事はジェミニのほうが得意なんじゃない? 特に料理とか。私はピスケスの後釜で洗濯係でもやるわよ キャンサー: わたしは~?変わらずゴミ出し係でいい~? カプリコーン: そうですね。それでは掃除係はアリエスということで…… アリエス: えーっ、わたしはアイドル担当がいいなぁ カプリコーン: アリエス……そうは言ってもみんな役割を…… レオ: おい、ちょっと…… ジェミニ: あ、あのっ!待ってください! レオ: おっ♪ ジェミニ: 掃除なら私がやります!だから……アリエス様はアイドル担当でいてほしいんです! アリエス: えっ、ジェミニ……? ジェミニ: 私、ジャッジ様が言っていたように家事は得意です。 だから料理も掃除も、両方やれます! カプリコーン: そこまでして…… レオ: というか、そうじゃないだろ!!この超絶優秀なレオ様がいるっていうのに、 なんてみんな役割をよこさないで無視するんだ!! ジェミニ: あ、そうでしたね ヴァルゴ: 普通に忘れてたわ カプリコーン: レオさんはそんなに掃除がしたいんですか? レオ: それは……んん? 10311 - 静かな街 アリエス: さっきはありがとね、ジェミニ ジェミニ: いえ……なんというか、アリエス様にはそういう活動を続けてほしかったので。 アリエス様のためというよりは私のわがままです アリエス: 正直だなぁ。そんな感じはしてたけど、わたしにはうまいこと言っておけばいいのに ジェミニ: あ、そうですよね。私って要領が悪くて アリエス: そこが長所とも言えるけどね カプリコーン: では、何か理由があるんですね。アリエスにアイドルをさせたい、と思う何かが レオ: そうだぞ。 レオ様はアリエスの助手になったんだから、そのへん詳しく聞いとかないとな アリエス: 掃除はやだっていうから無理やり助手にしたんでしょ★ レオ: あうっ カプリコーン: 経緯はともかく、この4人でアイドルのことは考えていきましょう。私もバイトはありますが、アリエスがアイドルをやるならマネージャーの役割は果たしたいですから アリエス: マネージャーも助手もいるなんて、なんかすごいかも★ ジェミニ: 心強いです! ジェミニ: 実は……ちょっと私、この町のことで気になっていることがあって レオ: 平和で静かないい町なんじゃないか? ジェミニ: ……静かすぎると思うんです ジェミニ: 皆さん静かで穏やかな人ばかり、住みやすくて素敵な町です。 でも……あえて嫌な言い方をすると、活気がないんです カプリコーン: 活気…… 住民1: はぁ、今日はもう疲れたから店じまいにするかな 住民2: 気圧のせいで昨日は1日寝ちゃってたわ。まあ今日もさっき起きたんだけど 住民3: いいのよ、いいのよ。仕事なんてしなくたって生きていけるし アリエス: 確かにそうかも…… ジェミニ: まるで、何かを諦めてしまっているような印象さえあります。原因はわかりませんけど、アリエス様のアイドル活動で勇気づけられるかもしれないと思って アリエス: 本当にジェミニってば★ アリエス: わたしのためじゃないのは本当だったけど、 そんなの別にジェミニのワガママでもなんでもないじゃん カプリコーン: 町の人のため、ですね ジェミニ: こんな私達を受け入れて、歓迎までしてくれた人たちですから。 何か恩返しができたらなって…… 10312 - 魔獣と自然の共生 タウルス: ふう、だいぶ耕せたんじゃない? オフィウクス: では種まきをしていきますか。ふひっ ヴァルゴ: 種まきといっても、ばらまくんじゃないわよ。 ひとつずつ、丁寧に。間隔を空けて浅すぎず深すぎないところに埋めていくの ヴァルゴ: こうして指で深さを測りながら種をまいていくといいわ タウルス: なるほどね。まず指を穴に挿れて……ちょうどいいところを探すのね。 それから穴の一番奥に種を…… ヴァルゴ: なんでそんないやらしい言い方するのよ!ヘンタイなの!? タウルス: どこがいやらしいのよ!また変な妄想して! オフィウクス: 前途多難ですねぇ (背景切換...) アクエリアス: う、うう……ちゃんと釣れるでしょうか…… アルレーシャ: 水の流れを呼吸と揃えて アルファーグ: わたしたちは、ここで川となる アクエリアス: わかりますけど、そう簡単にできませんよ~!それにうっかり近づきすぎて足を滑らせでもしたら!そのまま川に飲まれてドボン!なんて……いやああぁぁぁ! アルレーシャ: いつか肉体は自然へと還る アルファーグ: 水に還るのもひとつの道 アクエリアス: 落ちて溺死体になる方向で話を進めないでください~! (背景切換...) サジタリウス: 静かな森ですね スコーピオ: でも、動物の気配はある サジタリウス: ええ。かなり数はいるようです。とはいえ狩りすぎには注意しましょう スコーピオ: 殲滅してはいけない? サジタリウス: 殺すことが目的ではありませんから。これは自然との共生なんです サジタリウス: 場合によっては野菜以上に、育つのに時間がかかります。 必要な分だけにしておかないと絶滅したら我々も飢えますよ スコーピオ: なるほど。サジタリウスが来てくれてよかった サジタリウス: ひとりだったら全滅させてたんですね……危ないところでした…… スコーピオ: ……サジタリウス。あれを サジタリウス: 獲物ですか?ん、あれは……?こんな自然いっぱいの森にふさわしくない人工物ですね スコーピオ: 巨大な球体……あれは、なんだ サジタリウス: まるでタンクのようですけど…… 10313 - 中間報告 人間さん: という状況で、各自それなりに自活し始めている。 周囲に危害を加えることはもちろん、何かを企んでいる様子もない ヴィルヘルミナ: ひとまず初動はまずまず、というところかしらね。 まあ釈放から間もないのに、直ちに動くほどバカだとは最初から思っていないけど ジョカ: 奴らは義理堅い。我らコミッティをどう捉えているかは知らんが 人間さんへの恩義につばを吐くことはするまいて フック: 状況的に人間さんが尽力したであろうことは少なくとも 半数程度のメンバーは理解しているでしょうからね シェイクスピア: では継続して観察、ということでいいかしら ジャコヴァ: いいだろう。決をとるか? トリル: いえ、可決された議案の継続ですから フアナ: トリルはすっかりその席に慣れてきたみたいだなぁ。 それに引き換えあたしはまだまだ…… ラヴクラフト: まだまだ色気が足りないなぁ。やっぱり明日はTバック履いてこなくちゃ フアナ: そんなこと思ってないから! ラヴクラフト: そうなの?何の変哲もない白いパンツで本当に満足? ワンポイント紫のリボンがお腹のところについてるだけだよ? フアナ: 別にシンプルで可愛いと思ってるんだけど フアナ: って、なんで知ってるの!? ラヴクラフト: うへへへへ 人間さん: なあ……これは議案とは直接関係ないんだけど、 ちょっと聞いておきたいことがあるんだ ジャコヴァ: 私にか? 人間さん: あの町はジャコヴァが紹介してくれただろ。あそこは一体どういう場所なんだ? ジャコヴァ: 何の変哲もない小さな町だ 人間さん: それがおかしいんだよ。レグルス教国とかコミッティ直轄領、 リベルタリブロみたいな特殊な場所があるのはわかる。 でもそれは政治的に重要だったり、誰かの意図で作られている シンデレラ: 何が言いたいのかしら。 たぶん、人間さんじゃないとピンとこないことなのよね? ジャコヴァ: そうだな……。そろそろ町長に会いに行こうと思っていたところだ。お前も一緒に来い 10314 - 生きているということ ジェミニ: 今日はノウサギ肉のソテーと川魚のフライにしました! 付け合せのお野菜はカイワレとラディッシュです オフィウクス: 成長の早い野菜に、促進剤をどばどばかけたら、 なんとか今夜の食事に間に合いました……ふひひっ アクエリアス: あ、あの……これ食べても大丈夫なんですよね……?先日の腹痛のトラウマが…… ジェミニ: 大丈夫ですよ。ちゃんと味見しましたから。お姉ちゃんが ジャッジメント: そんな笑顔で言うことじゃないわよ…… キャンサー: 細かいことは気にしちゃだめだよ~。メンタルが影響してお腹壊すこともあるからね~ レオ: レオ様はそんなこと気にしてないぞ!だから強い子なんだ! カプリコーン: それでは、いただきます アリエス: うんっ、おいしー!さっすがジェミニ! ジャッジメント: 私の料理に何か不満でも?一応ちょっとは手伝ったのよ アリエス: そういう意味じゃないってば~。もうジャッジってば卑屈だなぁ ヴァルゴ: ……なんか、生きてるって感じがするわね タウルス: 何よ急に アルレーシャ: 命の灯火が身体に灯る アルファーグ: わたしたちが血肉になるその日まで永遠にともに タウルス: ああ、そうね。命に感謝して食事をしないとね ヴァルゴ: それもそうだけど、アタシが言いたいのはそこじゃなくて ヴァルゴ: 迷宮に閉じ込められて、与えられた食事を待つだけの生活より自分たちで汗を流して、 自分の手で手に入れた食材で命を繋いでいく…… ヴァルゴ: こういうのが生きるってことなのかな、なんて カプリコーン: ……そうですね。 これまでの私たちは『生かされていた』と表現するべきなのかもしれません サジタリウス: ひとつずつ、前に進んでいるんですよ。私たちは。突然、魔獣からこの姿になって、 戸惑いながらも世界を彷徨って、ようやくここにたどり着けたんです ジャッジメント: 前に、ね…… キャンサー: ジャッジもだよ ジャッジメント: 進めてるのかしら ジェミニ: 初日より野菜を切るのが早くなってましたし ジャッジメント: そ、そういうことじゃないでしょ!天然で煽るのやめてくれる!? アクエリアス: ふふっ、 なんかジャッジさんって怖い人だと思ってましたけど結構、話しやすいですよね アリエス: そうなんだよ~! この子、雰囲気で損してるの。怖い人じゃなくて、ただの陰キャなの★ ジャッジメント: そのへんにしておくのね、アリエス……! カプリコーン: 食事中ですよ。あまり騒ぎすぎないように アルレーシャ: 夜の静寂(しじま)は悲しみを誘い怯えを生む アルファーグ: 食卓の喧騒は意識を奪うが生むものも多い カプリコーン: ええ、わかってます。賑やかな食卓は私も歓迎ですよ サジタリウス: ふふっ……ピスケス様の独特な言い回しも、だいぶみんなに浸透してきましたよね レオ: むうう、過去の思い出はやめるのだ!レオ様がよくわかんないだろ! タウルス: 子どもみたいね、貴方は (背景切換...) アリエス: ジェミニ~★ ジェミニ: ああ、アリエス。もしかして妹に用だった? アリエス: うわー!久しぶりの姉だ!用だったけど、これはこれでちょっと話したいな★ 10315 - 姉の思い アリエス: ちょっとアイドル活動のことで相談しようと思ってたの。ね、レオ レオ: うん。レオ様の鬼才ぶりを見せつけようと思ったんだ。でも姉って…… アリエス: レオは初めてだったよね。ジェミニには本当は双子だったんだって。 でも身体が失くなっちゃったの ジェミニ: お前もなんとなくわかるだろ。『トゥルム・ランツェ』のこと レオ: あ、うん。あれだろ。神官にぶすーっ!ぐさーっ!って ジェミニ: その通り。ただ、ボクたちの場合、カストルとポルックス―― つまり神官たちだけじゃなかったんだ。 この世界に肉体を得た時点で、妹は……身体を貫かれていた レオ: うえっ……!?な、なにそれ、グロい アリエス: レオ。そういう言い方は良くないよ ジェミニ: まあなに、事実だよ。そりゃあ酷かったからね。 いくらはみ出た内蔵を押し込んだって血は止まらないし、 助からないことは早々に理解した レオ: で、でも妹は元気にレオ様のごはんを作ってたぞ。助かったんだよな? ジェミニ: ボクは覚悟を決めて強引に妹の身体を引き離した。 ほとんど意識はなかったことも手伝ってね。 きっと痛覚なんてほとんど麻痺してるだろうと ジェミニ: 当然だけど妹の肉体は著しく欠損した。ボクはそれを補うために自分の肉体と繋ぎ合わせたんだよ。そのとき、ボクたちはひとつの身体を共有する姉妹になった レオ: ……ちょっと、想像以上だった ジェミニ: レオには刺激が強すぎたかな。まあ、これがボクの自己紹介なんだ レオ: みんなは、もうこれを知って……? アリエス: もちろん。 レオは参加してないからピンとこないかもだけど、連れ戻されてからの迷宮って、 本当にやることないんだから。こんな話もしちゃうよね レオ: 妹もわかってるんだよな!?でも、あんなにいつもニコニコして……! ジェミニ: わかった上で明るく振る舞ってるんだ。ただ、妹はボクほど強くないから、 あの子の前でこの話題はしないでもらえると助かる レオ: わ、わかった。レオ様、約束する! アリエス: ま、レオの言うとおり本当にいい子だよね。 いつもみんなのこと考えて、町の人達のことまで気にかけて ジェミニ: そう言えばアイドル活動の相談に来たんだったね。ボクも感慨深いよ。妹がこんなふうに積極的に行動するなんて。それも、誰かのためにっていうところがあの子らしいよね アリエス: ん……だからね、次のライブはやっぱり意見を聞きたくて。 誰よりもこの町の人のこと考えてそうだから レオ: で、でも今日はいい。レオ様、泣いちゃいそうだから 10316 - 行く末 サジタリウス: こんな夜更けに、何をしに町長様の家に……? ま、まさかあんな善人を暗殺するつもりでは スコーピオ: 依頼も受けてないのに殺すわけがない サジタリウス: 依頼を受けたら殺しそうな発言に震えます スコーピオ: ちょっと気になることがある サジタリウス: というと? スコーピオ: コミッティ議長、ジャコヴァ。顔と名前はわかるはず サジタリウス: あ、ええ……全員が捕まった後、証言台に立たされましたから。 あの不遜な態度のお団子頭でしょう? スコーピオ: そう、その団子がこの町に来ている サジタリウス: こんな辺境の町に?では目的はやはり私達のこと…… スコーピオ: 十中八九、そう。だから、会話の内容を把握したい サジタリウス: 確かに……仲間のことを思えば、 コミッティが私達のことをどう捉えているかは重要な要素になります スコーピオ: 私なら気づかれず潜入できる。サジタリウスは屋敷の外で馬を用意して待っていて サジタリウス: 逃走手段の確保、ですね。わかりました (背景切換...) スコーピオ: (さすがに町長ともなると、こんな小さな町でもそれなりの家……) 町長: ようこそおいでくださいました。さあさ、こちらへ スコーピオ: (……!あの部屋か) (背景切換...) 町長: こんな町ですから大したおもてなしもできませんが 人間さん: あ、いえ、お構いなく ジャコヴァ: まったくだな。私を迎える態勢とはとても言えない 人間さん: お、おい、ジャコヴァ! 町長: まったく、面目ありませんな ジャコヴァ: それだけ、余裕がないということか 町長: せっかく支援いただいているのに、申し訳ありません 人間さん: ん……?なんの話だ……? ジャコヴァ: 設置したエルマイトタンク、あれでは足りないか 町長: そのようです。しかし、これ以上のご支援をいただくわけにもまいりません 町長: 我々にはもう未来がない (背景切換...) スコーピオ: (未来がない、だと……?) (背景切換...) 町長: ですが、最後の最後に楽しい思い出をいただきまして、本当にありがとうございます。 あの皆さんがいらしてから、町もいくらか活気づきました ジャコヴァ: ……私はお前たちに、危険人物を押し付けたにすぎない 町長: 長らく外との交流もなかったこの町が、あの方々の存在にどれだけ救われているか。 エルマイトの問題ではありません。これは心の話ですから ジャコヴァ: お前たちがどう解釈しようと勝手だ。好きにしろ 人間さん: あ、あの……話がちょっと見えないんだけど、この町はいったい…… ジャコヴァ: 議場でのお前の指摘は正しい。そう、この町は物語を持たない 人間さん: やっぱり、そうだよな……!?でも、それって ジャコヴァ: その通り。この町はいずれ消えゆく運命だ 10357 - 憂える未来 ジャッジメント: だいぶ生活も安定してきたわね カプリコーン: 食料調達については確立されましたからね。 野菜も色々なものが採れるようになりましたし ジェミニ: 最初は成長の早いもやしが多すぎて、ちょっと辛かったよね。 でもいまは、ニンジンもカボチャもキャベツだってあるし アルレーシャ: 命の恵み、我らに行きわたり アルファーグ: 血肉となりて命と換わる スコーピオ: 私の殺戮能力が活かせてよかったです サジタリウス: 殺戮っていうのやめましょうよ……普通に狩猟とかでいいじゃないですか…… カプリコーン: ただ気がかりなのは……スコーピオが持ち帰った、例の件ですね タウルス: この町はいずれ消えゆく運命……どういう意味なのかしら ジャッジメント: 決まってるじゃない。私たちの扱いに困ったコミッティは、 消えゆく町に押し込めることで、私たちも消そうとしてるのよ ジェミニ: そんなっ、ちょっと発想が飛躍しすぎじゃないですか? キャンサー: おにーちゃんに直接、聞いてみたら~? レオ: レオ様もそう思うぞ。 人間さんはあたしたちに嘘をついたり騙したりはしない気がする オフィウクス: 嘘はつかないし、私たちのためを思って行動してくれるとしても 絶対権力はグリムにありますからねぇ…… アクエリアス: 正直に『お前たちは明日くらいに消えるんだ、ごめん』とか言われたら、 もうわたしたちに打つ手はありませんよぉ!?いやああぁぁぁっ!? タウルス: 落ち着きなさいよ。ジャッジも陰謀論に傾きすぎ ジャッジメント: 何が陰謀論よ。コミッティの立場になればわかるでしょ。 言うことをきかない危険分子、なのに力は秘めてる、 私以外はこれといった罪も犯してない…… スコーピオ: 私もたくさん罪に問われる心当たりがあります ジャッジメント: あー……そっか。 私とスコーピオだけ犠牲になれば、他の11人は目こぼししてもらえるのかしら ヴァルゴ: やめなさいよ。ここまできたら一蓮托生なんだから キャンサー: うん……もう誰ひとり欠けてほしくないもん サジタリウス: そうですね…… アリエス: みんな!決まってもないことで下を向くのはやめようっ! 人間さんに聞くまでは憶測を話してもしょうがないよ 人間さん: ん?俺の話? タウルス: きゃああっ!?い、いつのまに! 10358 - 突然の襲来 人間さん: いや、玄関のドアが開いてたから、いいのかなと…… レオ: はっ!レオ様、また閉め忘れたかも! カプリコーン: 気を付けなさいと言ってるでしょう。不用心な カプリコーン: それより、その……噂で聞いたのですが―― (カンカンカンカン……) サジタリウス: この音は……!? アリエス: 何か起きたんだよ!外に出てみよう! ヴァルゴ: 何があったのよ 町民: それが、町はずれに魔物が出たっていう話なのよ。 何人か取り残されてしまったみたいで カプリコーン: なんですって……!わかりました、ここは私たちが対応します。みんな、出番よ! ジャッジメント: もちろん、そのつもりよ! タウルス: たまには薪以外のものも割りたいと思ってたの! オフィウクス: 言い方に気を付けないと町の人が怖がりますよぉ?ふひっ スコーピオ: あれか。群れですね。10体はいそうですが レオ: よーっし、レオ様がぎったんぎったんにしてやる! カプリコーン: 待ちなさい。レオは後ろでみんなの支援を レオ: えーっ?支援ってなんだ カプリコーン: 仲間が戦うときに力になるように行動するのです レオ: 力になるように?がんばれーってことか? カプリコーン: まあ、そういうことです タウルス: だめだめ。 その言い方だと本当に『がんばれー!』って応援する係だと思っちゃうから カプリコーン: そんな馬鹿な レオ: え、違うのか? カプリコーン: 頭が痛い…… タウルス: レオは精霊だから、精霊の加護をみんなに与える、ってことよ レオ: あー!そういうことか!よーし、みんなレオ様の力で戦うんだ! サジタリウス: いいですね……集中力が高まってきた気がします。いまなら……はああぁっ! 人間さん: おおっ!連続して何本も射かけて……! カプリコーン: 敵が怯んだいまが好機!タウルス、ジャッジ、ヴァルゴ! タウルス: 了解!いくわよーっ!! カプリコーン: 第二陣、ジェミニとアクエリアスは私に続いて! スコーピオとオフィウクスは逃走する敵を殲滅! ジェミニ: は、はぁいっ オフィウクス: 逃がしませんよぉ……ふひっ アリエス: みんなすごいねぇ キャンサー: わたしたちは見学~ 10359 - おそろい アルレーシャ: 澱んだ水は清らかさを取り戻した アルファーグ: 曇りなき晴天、心も晴れやか カプリコーン: ふう……無事に殲滅できましたね サジタリウス: しかし、見たこともない魔物でしたね。人間さん様が一緒でよかった キャンサー: そうだよね~。 おにーちゃんが許可してくれないと、本来の力を出せないもんね、わたしたち ジャッジメント: あくまでも仮釈放、 妥当な措置なのだとは思うけどこういう、いざというときは不便だわ 人間さん: まあ、そこは我慢してもらわないとなぁ…… あっ、そうだ。みんな、ちょっと来てくれないか アクエリアス: えっ、いまからですか? 人間さん: みんなのところを訪ねたのも、その用件があったからなんだ。 町長さんが用意してくれたんだよ 町長: いやあ、大変お待たせしました。ついに完成しましたぞ! アクエリアス: わたしたちの衣装も作ってくださってたんですね……!うわあ、可愛い……♪ アクエリアス: で、でも!うっかりこれで串カツ食べてソースこぼしたり、 スパゲティ食べててミートソース飛ばしたり、カレーうどん食べてて…… いやああぁぁぁっ!? タウルス: それはシンプルに気を付けなさいよ ヴァルゴ: 紙エプロンあるところも多いでしょ サジタリウス: 本当にありがとうございます、町長さん 町長: お近づきの印にと用意したものでしたが、期せずして魔物を討伐いただいた 直後となって、なんだか表彰式のようですな 町民1: みんなよく似合ってるわよ! 町民2: おねえちゃんたち、かわいい~! アルレーシャ: 装いは心の色も変える アルファーグ: すべての星が輝きを生み出す キャンサー: だよね~。おそろい、うれしいね~ ジャッジメント: そうね…… 全員で揃って新しい服を作ってもらえるなんて、うれしいことなのだけど…… キャンサー: だけど~? ジャッジメント: 胸元がきつい…… 町民3: わたしもそんなふうに、おっぱいレディになりたいな~ タウルス: 牛乳をたくさん飲みなさい ジェミニ: そんなシンプルな方法であんなになるんですか……? ジャッジメント: あんな、って何よ!聞こえてるからね、ジェミニ! ジェミニ: い、いえ、うらやましいんですよ!? ジャッジメント: 乳なんて大きくたって得しないわよ。夏場は暑いし、重くて肩こるし オフィウクス: 皆さん、そういうことは言いますよねぇ。もう手で持った方がいいんじゃないですか ジャッジメント: あっ! (ぷんっ!) 町民4: ボタンが飛んだ……! 人間さん: なんてこった…… ヴァルゴ: そこの男ども!前かがみになるのはやめなさいよ!ヘンタイ! 人間さん: 返す言葉もない 10360 - 魔物の謎 町長: おや、サイズが違いましたかな……後でお直ししましょう ヴァルゴ: また嘘の数字で申告したんじゃないの? ジャッジメント: そんなことしてないわよ! オフィウクス: また成長したのかもしれませんねぇ ジャッジメント: 変なものをこっそり飲ませたりしてないでしょうね オフィウクス: それなら、ジャッジさんの限界突破を目指すより自分を成長させますから……ふひっ カプリコーン: まあ微調整は必要だとして…… これで全員、同じコンセプトの衣装に身を包んだわけだけど、これってなんだか アリエス: アイドルみたいだよね!! キャンサー: アリエスが急に元気~ アリエス: これはもう、全員でアイドルユニットを組むべき、 っていう天の思し召しなんじゃないかなっ サジタリウス: 誰かの思し召しなのだとしたら町長さんなのでは…… 町長: 皆さんが来てくれただけで町が活気づいていますから。この衣装を着てくださって いるのを見かけるだけで、みんな幸せを噛み締めることでしょう ヴァルゴ: そういうものなの……? キャンサー: えへへ~。おうちに戻ってきても、 いつもと服が違うとなんだか楽しくなってきちゃうね~ ジェミニ: そうですよね!みんなでお揃いっていうのもうれしいです タウルス: けど……やっぱり気になるわね ヴァルゴ: 何がよ? タウルス: 確かに私たちの姿に町のみんなも喜んでくれてたわ。 けど、どこか元気がないっていうか、あきらめっていうか カプリコーン: その話が途中でしたね。人間さん、聞かせてもらえませんか 人間さん: あ、なんか話の途中だったよな カプリコーン: この町は……消えゆく運命だというのは本当なのでしょうか 人間さん: うん、本当だよ。俺も最近知ったけど ジェミニ: あっさり認めた……!? タウルス: 私たちはどうなるわけ? 人間さん: あくまで保護観察だからね。 期間が経過したらどうなるのか、それはコミッティでまた話し合うことになる ジャッジメント: 私たちを町もろとも消し去ろうというわけではないの? 人間さん: この町は物語を持たず、自前のエルマイトを持たないんだ。 だから消える。逆に言うと、1ヵ月やそこらで消えるわけじゃない 人間さん: 時間をかけて少しずつ消えていく。だから保護観察が終わる方が間違いなく先だよ ジャッジメント: そういうことね。ならよかった…… ジャッジメント: ……。……いえ、よかったと言っていいのかしら、これは 10361 - 恩返し サジタリウス: あくまでも私個人の意見ではありますが…… 自分たちが難を逃れられるからそれでよし、とは思えません。 こんな私たちを、あれほど歓迎してくれたのですから ジャッジメント: そうね……石を投げられることすら覚悟していたのだもの。 それが、こんな新しい服まで揃えてくれて…… アリエス: 少しずつ、わたしのファンになってくれる人も増えてるもん。 ファンが消えて行っちゃうのを黙って見てるなんて レオ: みんな、けっこう熱いやつらなんだな。うん、レオ様もそう思うぞ オフィウクス: では敢えて、私は逆張りしましょうか…… 理念は立派ですが、一体何をどうされるおつもりなので? スコーピオ: 私は、何故か知っている気がします。『消えゆく物語』について キャンサー: わたしも同じだよ~。たぶん、わたしを生み出した神官、タルフの記憶だと思う~ スコーピオ: おそらく私もアンタレスの記憶かと。 問題は、『消えゆく物語』には獏という魔物が近づく、という知識があることです ジェミニ: もしかして、あの変な見慣れない魔物が獏だったりするのかな? スコーピオ: 可能性があります ヴァルゴ: なら、そいつらを倒すしかないんじゃない? 人間さん: (いや……あれは獏じゃなかった。たぶん、この町が置かれている状況は 『消えゆく物語』とは少し違う気がする……) 人間さん: (『消えゆく物語』は名前を持つ……いわばネームドキャラ。 でもここの人たちは、以前俺がひとりになったときに 面倒を見てくれた名もなき住民たちに近いんじゃないか……) 人間さん: (とは思うけど確証もないし、魔物はいずれにしても討伐したほうがいいわけだし…… とりあえず口出しはやめておくか) スコーピオ: もちろん、獏らしき魔物の討伐も重要です。しかし、エルマイト不足は解決しない ジャッジメント: なら、やるべきことはひとつね 10362 - 方針決定 ジャッジメント: 私たちの手で、エルマイトを集めるのよ! カプリコーン: エルマイトを……!? オフィウクス: ふひっ、なかなか面白いですねぇ レオ: どうやってそんなことやるんだ? ジャッジメント: ……それが問題なのよね。でもやり方はあるはずよ。エルマイトの正式な譲渡は 作家権限だけど、自然と集まるように誘導することができれば…… サジタリウス: コミッティから供給自体は受けているんです。森にあるタンクがそれです スコーピオ: 町全体に何か生み出す力が備わることが肝要ですね ジャッジメント: なるほどね……町自体に…… (カンカンカンカン!) ヴァルゴ: また!? アルレーシャ: 歴史は繰り返す アルファーグ: ならば自身も繰り返す カプリコーン: ええ、向かいましょう! 町長: や、やめてくだされ! 盗賊1: ごちゃごちゃ抜かすんじゃねえよ サジタリウス: これはどういう状況ですか!? 町民1: 急に町に現れて、金目の物を全部出せって脅してくるのよ 盗賊2: おう!聞いたぜ!お前ら消えゆく運命にあるらしいじゃねえか。 だったら、財産なんか持ってたってしょうがねえだろ! ジェミニ: どうして、あんな人たちがそのこと知ってるの!? 町民1: いえ……近隣では、それなりに知られているのよ。 あんなに目立つエルマイトタンクも建設されているし…… ジェミニ: そうだったんですか。でも、それでお金をよこせなんてひどすぎます! タウルス: まあ、いいわ。言葉で理解できなきゃ体で分からせるまで! タウルス: ちょっと、貴方たち 盗賊1: なんだ、てめえは。余計な口を挟むとてめえも町長みてえにへぶるっ!? アリエス: 入ったぁー!タウルスの右フック! 盗賊2: やりやがったな!こんの……んぐううっ!! ヴァルゴ: レバー打ちも決まった! タウルス: まだやるつもり? 盗賊1: う、うう……くそっ、もしかして特注キメラもこいつらが……? タウルス: ……何か気になることを言ったわね 盗賊1: えっ、いや、待って タウルス: せええええぇぇぇい!! 人間さん: アルゼンチンバックブリーカー!? オフィウクス: あの技、そんな名前なんですかぁ? キャンサー: よくわかんないけど、強そうな名前~ タウルス: さあ、どういう意味なのか洗いざらい答えなさい!腰が折れるわよ! 盗賊1: しぬ、しぬ~っ!! 10363 - 危機を救うために タウルス: あー、効くぅ……ん、ふぅっ、はぁんっ…… オフィウクス: あの、気持ち悪いんで変な声出すのやめてもらえませんか タウルス: 気持ち悪いとは何よ!人間さんは嬉しそうにしてるわよ ヴァルゴ: このヘンタイ…… 人間さん: 面目ない。マッサージを受けてるタウルスの姿が、こんなにエロいとは予想外で ジャッジメント: まったく……相手を締め上げて情報を聞き出すのはいいけど、 あんな大技かけなくたってよかったのに レオ: あの技、自分の身体にも負担かかるんだな。諸刃の剣ってやつだ。かっこいいな アリエス: よくそんな言葉知ってるね レオ: レオ様。勉強してるからな! アクエリアス: それにしても、町を襲わせるために使役しやすい魔物を作っちゃうなんて…… ひどいです ジェミニ: そこまでするなんて、よっぽどだよね カプリコーン: よっぽど金になると思われたんでしょうね。 魔物を作らせるなんて、それなりに費用もかかりそうだし サジタリウス: 不届き者は今後も現れるでしょう。都度、成敗すれば良いのですが、 やはり根底にあるのはこの町が消えてしまうという事実 アリエス: わたし、やっぱりアイドル活動だと思うの! 町のみんなが元気になればエルマイトも増えるんじゃない? ジャッジメント: そうね。これまで積み上げてきたものもあるし、アリエスはアイドルを 続けたほうがいいわ。もし効果がなくても町の人は喜んでくれるんだから レオ: 敏腕お手伝いのレオ様が全力サポートするぞ! サジタリウス: ジャッジ様の見立てでは、それだけでは足りないと? ジャッジメント: 町だけで循環するなら、ここまで大きな問題にはなっていないはず。 外から引っ張ってこなくちゃいけないんじゃないかしら スコーピオ: なるほど。人さらいか アクエリアス: ひいいっ、そ、そんなことしたら、今度はさらわれた町の人が等価交換だ、 とかなんとか言い出して私の身柄をさくっと……いやああぁぁぁっ!? アルレーシャ: そしていつか誰もいなくなる アルファーグ: 新たな物語の始まり オフィウクス: さすがにそれは何を言ってるかわかりませんよ、ピスケスのおふたり ジャッジメント: 人さらいはちょっと極端だけど、町の外から人が来て、ここでエルマイトを 増加してくれれば……つまり、楽しんでくれればいいんじゃないかしら カプリコーン: それってつまり ジャッジメント: そう、観光業よ 10364 - この町いいとこ一度はおいで タウルス: 観光って言っても、この町にどんな特徴があるのか私たちも把握しきれてないわよね ジャッジメント: だからこうして、町を巡って探しに行くのよ。もちろん人に聞いたりもしてね アリエス: それでわたしはアイドルとして、観光大使になるってわけね レオ: そしてレオ様は敏腕お手伝いとして、大使お手伝いになるんだな ヴァルゴ: わざわざ言わんでいい オフィウクス: しかし、みんなでぞろぞろ歩いて回らなくても キャンサー: みんな一緒だと楽しいよ~? ジャッジメント: それに視点がいろいろあったほうが発見するにしても、 その後で吟味するのにも都合いいのよ。せっかく人数いるんだから ジェミニ: オフィウクスさん、インドア派だから…… カプリコーン: しかし、私たちも外の世界にでてまだ経験が浅いですからね。 どんなものが観光として成り立つのか、いまひとつピンときていません アルレーシャ: 心動かされる光の色は七色に輝く アルファーグ: 何故なら心が七つあるから アクエリアス: そうですね……人それぞれ、ですもんね ジェミニ: 私たちが外に出て気になったことは、 きっと外の世界の人だって興味があることなんじゃないでしょうか レオ: レオ様、美味しいごはんが好きだぞ ジャッジメント: まさに、ね。観光といえば食事は絶対に外せないわ。 だって食事しない人はいないんだもの タウルス: この町の名物、みたいなものよね。どうかしら…… アリエス: あそこにパスタ屋さんがあるね キャンサー: あそこはお刺身が美味しいお店~ ジェミニ: ステーキハウスがありますね サジタリウス: ここはオムライスが美味しいんですよ オフィウクス: おや、点心のお店ですねぇ 全員: ………… カプリコーン: どれも美味しいけど特徴的ではないし…… カプリコーン: ジャンルも偏りがないので、特徴と呼べそうなものは…… スコーピオ: 住むぶんには選択肢が多いほうが助かりますがね ジャッジメント: 仕方ないわ、町の人に聞いてみましょう 町民1: えっ、この町の名産品? ジャッジメント: 食べ物でもいいし、何か工芸品だとか、芸術とか、自然でもいいんだけど 町民1: いやあ……一通りなんでも揃ってるけど、これ!っていうものは別に 全員: ………… 10365 - アピール戦略 町長: ほう、観光に力を入れる、ですか カプリコーン: ええ。何か特徴とか、アピールしているものがあればと思って 町長: ふうむ……特に何も…… ジェミニ: 町長さんでも思いつかないんだ…… 町長: 何でもある程度は揃いますし、足りないものはほぼありませんな。 ただ、すごく充実しているものもないというか。図形にすると真円になりそうですな タウルス: そ、そうだ!この服を作ったのは誰なの? すごく可愛いし、センスあると思うんだけど 町長: 皆さんに喜んでもらおうと、 遠くの都会にいる有名デザイナーに発注したものでして…… タウルス: そ、そうなんだ……。うん、気持ちはとても嬉しいわ……ありがとう…… 町長: なんでまた、急にそんなことを キャンサー: だって……この町が消えちゃうって聞いたから……。 みんな優しいのに、いなくなったら悲しいよ アルレーシャ: 運命には抗うことができる アルファーグ: 未来は書き換えることができる 町長: そうでしたか。お知りになったのですね ヴァルゴ: お尻!? サジタリウス: だめですよ、ヴァルゴ様。いましんみりした空気ですから。 ここで町長様をビンタしたら完全に貴方、悪者です 町長: わし、ビンタされるの?がくがくぶるぶる ヴァルゴ: し、しないわよ。ただ、発言には気を付けてちょうだい オフィウクス: いや、だから濡れ衣ですからね? カプリコーン: では質問を変えましょう。今後、何かをアピールしていくなら 何が適切だと思いますか?いま育っていなくても構いませんから 町長: 考えたこともありませんなぁ レオ: 町長っ!それじゃ何も進まないのだ! アクエリアス: レ、レオさんっ 町長: いや、そうですな……そうしたものにこれまで力を入れずに、 のんびり過ごしてきたツケが回ってきたのかもしれません 町長: そうだ。皆さんに会えるというのを売りにしてはどうでしょう? ジャッジメント: そ、それは立場的にとても危ういのだけど…… 私とスコーピオ以外ならアリかもしれないわね? アリエス: そっか!よーし、わたしが会いに来たくなるアイドルとして 町の外にアピールすればいいんだね! 10366 - 星空の下で カプリコーン: 結局、収穫なしですね…… スコーピオ: 自然の、いわゆる景勝地と呼べるものもありません。 ごく普通の森と川、野原が広がるばかり…… レオ: けいしょーちってなんだ? ジェミニ: きれいな風景とかのことですよ タウルス: きれいに限らず、特徴があれば観光として成り立つのだけどね。 たとえばすごく大きい滝とか、人の形に見える岩とか レオ: 人面岩か。ちょっと怖いな ジャッジメント: アリエスのアイドル活動はいいのだけど、一本鎗ではさすがに不安なのよね…… アリエス: うん……。たくさんあればあるほど、エルマイトも増えるよね。 わたしがどれだけ人気になっても、一日中ずっとライブなんかやれないわけだし タウルス: 次はいつ、人間さんが来るんだっけ。相談してみる? レオ: 人間界の知識とかも役に立つかもしれないしな! サジタリウス: ああ…… アクエリアス: どうしました? サジタリウス: いえ、きれいなものをひとつ見つけました アクエリアス: 上?あっ…… アクエリアス: すごい……星がよく見えますね スコーピオ: 確かに、他の場所よりも星がよりくっきり見える気がします ジェミニ: これって、観光資源にならないでしょうか ヴァルゴ: もう一押しよね。珍しい流星が見えるとかならいいかも ジェミニ: そうですよね……星空なんてどこでも見えますからね。 よく見える、っていうだけじゃ難しいですよね カプリコーン: メインは張れないかもしれないけど、でも……アピールはしていいんじゃないかしら アクエリアス: そうですよね。すごくきれいですし…… ジャッジメント: ふふっ アリエス: なに、ジャッジ。急に笑ったりして ジャッジメント: 星の魔獣と呼ばれた私たちが、こうして星空を見上げて その美しさに目を奪われる……なんだか皮肉な気がしてね タウルス: そうね……私たちは、星に何の縁もゆかりもないのに ジャッジメント: でもみんな、うっすらと記憶はあるんじゃない? スコーピオ: ええ。十二神官は、あの星空の向こうから来た…… キャンサー: あ…… キャンサー: ちょっと、思いついたかもしれない~ ジャッジメント: えっ!? キャンサー: おにーちゃんが来たら、もうちょっとお話を聞いてみたいけど、 もし町が消えちゃう原因がエルマイトじゃなくて、別にあるなら…… キャンサー: 星、いいかもしれないよ~? 10367 - 経過観察 人間さん: ……このように、星の魔獣たちは問題なく生活を送っている。 むしろ、魔物の討伐や盗賊団から守るなど、町に寄り添う姿勢が多く見られる 人間さん: まだ保護観察期間中いっぱいは様子を見るべきだとは思うが、限りなく状態は 良好であり、終了後は現在以上の自由を与えるべきだと進言する。以上 ジャコヴァ: ふむ…… 人間さん: (相変わらずコミッティの会議の雰囲気には慣れないな…… 見知った顔しかいないのに、なんでこんなに緊張するんだか) トリル: 町の人たちと仲良くなってるのはいいことですよね。 きっと住民の方々も穏やかな人が多いんでしょう ラヴクラフト: でも性犯罪はいっぱい起きてるって聞くよ シンデレラ: そんなの、オトギノクニならどこでも似たり寄ったりでしょ クラース: 身もふたもないわね…… フック: 気になるのは町の行く末です。 肩入れするあまり、魔獣たちが過激な手段に出なければいいのですが 人間さん: ああ、確かに……それは注意して見ておくよ ヴィルヘルミナ: では引き続き人間さん委員に一任し、経過を見るということで異議はないわね? アイソーポス: 相変わらず会議が長いね 人間さん: 多忙な人たちが一堂に会する機会は多くないからな。 全部いっぺんに片づけようとするから、どうしても長くなる 人間さん: とはいえ、俺から呼び出したのに待たせちゃってごめんな アイソーポス: 構わない。それになんだか、興味をひかれるテーマだったからね。 物語を生み出す、だったか 人間さん: ああ。これが現実的な方法で、事態を解決する見込みがあるのか、 詳しい人に聞いておきたかったんだ アイソーポス: しかし、相変わらず人間さんはいろいろなことに首を突っ込むんだな。 あまり無理をするなよ 人間さん: そんなにお節介を焼いているつもりもないんだけどな アイソーポス: さて、こんなところで立ち話でもないだろう。場所を移そうか アクエリアス: あれっ、サジタリウスさん。今日は遅いんですね サジタリウス: 昨日の夜更かしがたたってしまったようです。 遅くまで起きていることに慣れていないもので タウルス: 毎日、朝っぱらからトレーニングしてるサジタリウスが寝坊なんて、よっぽどよね アルレーシャ: すべての成果は犠牲の上にある アルファーグ: すべての犠牲の上に成果はあらず ジャッジメント: がんばったら結果が出るものではないから、仕方ないわね…… 10368 - 星の始まり サジタリウス: そもそも、実現可能なのかどうかがわかりませんからね キャンサー: それは、おにーちゃんが調べてくれるって言ってたよ~ カプリコーン: 期待が持てる内容だといいのですが レオ: あいつもびっくりしてたもんなー (それは数日前のこと――) 人間さん: 物語を、作る……? キャンサー: うん~。物語がないから町が消えちゃうんでしょ?作ったらいいのかなってー ヴァルゴ: キャンサーに言われるがままで、アタシたちも詳しいことは 聞いてなかったんだけど……そんなことを考えてたのね!? キャンサー: 星を見てたら思いついたんだ~。わたしたちならきっと、星のお話を作れる気がして ジャッジメント: そうね……。あんなタンクでエルマイトを供給しているのに、 町の状態は改善していないんでしょう? つまり、単純なエルマイト不足ではないということになるわ アリエス: 物語があれば大丈夫なのかな? オフィウクス: この町を舞台にする必要があるでしょうねぇ。町を救うのが目的なら サジタリウス: 実際、どうなんでしょうか。人間さん様 人間さん: さすがに俺も、そんなことは経験がないからな…… いや、人間界にいたときは物語を作ること自体は経験したけど…… 人間さん: それで町の消滅を食い止められるのかどうかは、 詳しい人に聞いてみないとわからない。ちょっと待っててくれるか? カプリコーン: もちろんです。お願いしていいでしょうか 人間さん: みんなの気持ちはよくわかったからね。できるだけ協力するよ キャンサー: わーい、おにーちゃん、ありがと~ (そして現在――) オフィウクス: さて、やはり物語というからには筋書きが必要ですがどんなものがいいでしょうね ヴァルゴ: それはやっぱり官の……なんでもないわ ジェミニ: エッチなのはダメですよ ヴァルゴ: な、何も言ってないじゃない! スコーピオ: 見当もつきませんね。何をすればいいのでしょうか カプリコーン: そうですよね……全員、そんな経験はないでしょうから…… ここはひとつ、みんなで物語の案を出しませんか? そしていいとこ取りをしていくのです レオ: なんか楽しそうだな!レオ様もいいとこ取りするの好きだぞ タウルス: レオのは野菜を食べないでお肉ばっかり食べてるだけ。偏食っていうのよ、そういうの アルレーシャ: 命の恵みは大地が生み出す アルファーグ: わたしたちに選択肢はない 10369 - 経験に勝るものなし 人間さん: わざわざ来てくれるなんて、悪いな アイソーポス: 構わないよ。それに、私も実際に彼女たちに会ってみたかったんだ。 説明するにしても、私から話したほうがいいだろう アイソーポス: しかし、なかなか面白くなりそうだな。星の魔獣との共同作業とは…… タウルス: 見て、ヴァルゴ。すごく太い大根ができてるわ ヴァルゴ: くっ……そんな簡単な罠には引っかからないわよ。 どうせ太いってところに反応するアタシをからかうつもりでしょう タウルス: こんなのを夜に使ったらどうなっちゃうのか……ドキドキしちゃうわね…… ヴァルゴ: 引っかからないんだから……! オフィウクス: いや、ここはたぶんツッコミ待ちかと…… サジタリウス: 今日も狩りの成果は上々、ですね スコーピオ: サジタリウスは、物語のことどう思いますか サジタリウス: ああ……本当にそれで町を救えるのかは分かりませんが、 ダメならまた他の手を考えるだけですから スコーピオ: そういう意味ではありません。物語を作り出す自信があるか、ということです サジタリウス: 私は楽観的に捉えていますよ。 私たちはまだこの世界に存在してそれほど時間は経っていませんが…… いろいろな経験に恵まれていると思いますから スコーピオ: 経験があればなんとかなりますか? サジタリウス: 経験に勝るものなし、と言いますから。こと、今回に関しては技術云々より 思いの強さが大事なのでは、などと勝手に考えています スコーピオ: 思いの強さ…… サジタリウス: この町がもっと魅力的に、発展できますように。 私たちとともに、ずっとこの大切な時間を続けられますように。 その気持ちはスコーピオ様もお持ちでしょう? スコーピオ: ……ええ。そうですね。やっと見つけた場所、という気がします スコーピオ: しかし、わたしの経験というと血塗られた過去がほとんどなのですが サジタリウス: ま、まあ……そういう過去があっての現在、ということで…… 見せ方次第ではないかな、と 10370 - キャンサーの手腕 キャンサー: ごろんごろん ジェミニ: あの、キャンサー様。 お掃除をしたいので、ちょっとお部屋に入っても構いませんか? キャンサー: 全然いいよ~。ベッドでごろごろしてただけだから~ ジェミニ: ありがとうございます。では失礼しますね アルレーシャ: 領域を破る合図 アルファーグ: それは木槌の音と呪文 キャンサー: あ、ピスケスも~。どうぞ、入って~ アルレーシャ: 数多の糸が紡がれて縄となる アルファーグ: ただし紡ぐ手なしには糸でしかない キャンサー: うん、ごもっとも~ ジェミニ: どういうことです??? キャンサー: ピスケスたちは心配してるんだよ~。 みんなが各自で考えてきた物語を、最終的に誰がまとめるの?って ジェミニ: ああ……確かに キャンサー: それはわたしがやるつもり~。みんなと違っておうちでごろごろしてるし ジェミニ: あ、あの……みんなの話をまとめるのって、 すごく大変そうですけどおひとりで、大丈夫なんですか? キャンサー: もしかしたら助けてもらうこともあるかもだけどね~。 なんかもうイメージはできてるんだ~ ジェミニ: まだ皆さんが持ち寄っていないのに? キャンサー: 予想はできるから。みんなの好み、みんなが経験してきたこと。 それが元になって生み出されるんだし アルレーシャ: 生むは易し アルファーグ: 育てるは難し キャンサー: もうイメージはできてるんだ。ほとんど実体験でいいと思ってる~ ジェミニ: すごいですね……!私、楽しみにしてます! アリエス: だんだんアイドル活動を応援してくれる人たちも増えてきたよねっ★ カプリコーン: ええ、本当に。これもアリエスが地道にがんばってきた成果ね レオ: あとレオ様が有能だからな カプリコーン: あっ、ねえあれ見て レオ: こらっ、無視するな! アリエス: あれって飛空艇?もしかして人間さんかな!? レオ: お、やっと帰って来たか!急いで迎えにいくぞ! ジャッジメント: 人間さんが帰って来た? アリエス: たぶん、もうすぐここに来るよ! 一旦、町長さんのところに挨拶に行ったみたいなんだけど ジャッジメント: ふうん……。ま、いい報告を聞けることを期待しておきましょう アクエリアス: なんだかジャッジさん、ご機嫌ですか? ジャッジメント: そんなわけないでしょう。 ただ、私たちの共通目標が前進すればいいなと期待しているだけよ オフィウクス: ふひっ……人間さんにデレるのも面白いですが、 それはそれで私たちへのデレなので美味しいですねぇ ジャッジメント: 私の言動で遊ぶのやめてもらえる!? 10371 - 星の魔獣という存在 人間さん: というわけで、俺よりも詳しい人にも来てもらった アイソーポス: アイソーポスだ。よろしく アリエス: うわー!めっちゃ美人だぁ キャンサー: よろしくね~ サジタリウス: あの身のこなし、相当な手練れですね スコーピオ: ただものではない ジャッジメント: そりゃそうよ……!だって元コミッティ副議長よ!?超大物じゃないの!! レオ: おまえ以外みんなピンときてないぞ ジャッジメント: これだから世間知らずたちは……! アイソーポス: 大物だなんて、大したことはしていない。 肩書きのことは気にしないでくれ。もう辞めた身だ ジャッジメント: そうはいうけど、だって……。人間さん、あなた意外とすごい人脈持ってるのね 人間さん: はあ、どうも……。俺も現役コミッティなんだけどなぁ カプリコーン: そんな方が来られたということは、例の件の結果、期待しても良いのでしょうか 人間さん: その件は、アイソーポスから頼む アイソーポス: そうだな。事情や、やろうとしていることはおおよそ聞いた。 その上で、まず……オトギノクニにいながらにして物語を紡ぎ出すのはかなり難しい アクエリアス: あああああっ!?私が最近ネガティブな妄想をしてなかったのに 逆にこんな結果になってしまうなんて……! タウルス: 落ち着いて最後まで聞きなさいよ。難しいって言われただけでしょ アイソーポス: タウルス、だったかな。彼女の言う通りだ。 普通の住民にはまずできない芸当なのだが…… きみたちは、非常に特殊な存在なんだ アイソーポス: そもそも、きみたちも物語を持たない。しかし、十二神官からの強烈な ディマイトと人間さんから受け取ったエルマイトで強い存在となっている アイソーポス: いまのきみたちなら、きっと物語を完成させることができるはずだ アリエス: や……やったー!!本当に町を助けられるんだ! サジタリウス: そ、それでは物語は具体的にどのように作れば……!? アイソーポス: 確実に物語として残すために、書物として文字に残すことをおすすめする。 そしてそれを、人間さんに読み聞かせる―― 人間さん: 俺が認識すれば、それは超マイナーではあるけど人間界に伝わる物語になるってことか アイソーポス: 形さえ整えば町の消滅は避けられるだろう。 そこからいかに生き残るかは、また別の戦略だな カプリコーン: 希望が見えてきましたね……! アイソーポス: ではまず、真っ先にやることだが サジタリウス: はい。どんな苦難でも乗り越えてみせます アイソーポス: みんなで遊ぼうか ジャッジメント: …… ジャッジメント: は? 10372 - 物語の山場 ヴァルゴ: ちょっと、遊ぶってどういうことよ? アイソーポス: 作ろうとしている物語の全体像について把握している人はいるかな アクエリアス: 全体像……っていうのは、ええと……? スコーピオ: いま、わたしたちは各自で盛り込みたいエピソードを検討しているところです ジェミニ: あ、あの、それならたぶんキャンサーさんが…… キャンサー: うん。考えてるんだ~ キャンサー: 最初に十二神官のこと。それからわたしたちが生まれて、魔獣と呼ばれたこと。 外の世界にみんなで出て経験したこと キャンサー: それでこの町にたどり着いたよ~ってお話かなって アイソーポス: なるほど ジャッジメント: キャンサー……いつの間にそんなことまで考えてたのよ オフィウクス: でも確かに、そうやって整理するとグっとお話っぽくなりますねぇ レオ: それだとレオ様の出番が少ないんじゃないか……? アリエス: 出番は多ければいいってもんじゃないよ、レオ。 レオ: そっか!! アイソーポス: うん、構成の方針としては悪くない。 ただそれだと、この町が舞台になっているとは言い難い キャンサー: あう~、確かに~ アイソーポス: なぜ薄くなっているか。ここに来て日が浅いからだ。 日が浅いとなぜ薄いのか。まだ何も成し遂げていないからだ タウルス: 成し遂げていない、なんてことはないわよ。 ちゃんと生活できるようにいろいろ工夫したんだし アイソーポス: 日々の生活を盤石にする、というのは物語のほんの背景だろう タウルス: う……まあ盛り上がりには欠けるのかしらね…… アイソーポス: だから、これから何かを成し遂げればいい。象徴的な出来事を自ら作るんだ カプリコーン: 象徴的な……出来事…… キャンサー: それを達成して、みんなとなかよくなって、めでたし、めでたし!ってことだね~! ジャッジメント: でも、一体なにをすれば…… 10373 - 成し遂げるもの アリエス: あのさ……この流れでいうと自己主張強すぎって思われちゃうかもだけど カプリコーン: アリエスにしてはずいぶん弱気な言い方ですね。 大丈夫、私も同じことを考えていました ジェミニ: アリエスさんのアイドルステージがクライマックスということですね! キャンサー: いいね~。一番派手になりそうだし~ アイソーポス: どうやら形が少しずつ見えてきたようだね。 私も参加させてもらっていいかな。アドバイスをさせてくれ ジャッジメント: もちろん大歓迎よ。というか、参加しないつもりだったの? アイソーポス: ありがとう。もちろん人間さん、きみも参加するんだ 人間さん: あ、よかった……参加していいのか ヴァルゴ: 何よ、当たり前じゃない。 いまさらアタシたちが人間さんを仲間はずれにするわけないでしょう オフィウクス: おお……ヴァルゴさんがデレていますね…… ヴァルゴ: デレじゃないわよ!仲間っていうか、面倒を見てくれてるんだから これは当然の反応でしょ!デ、デ、デレてなんかっ 人間さん: いやぁ、仲間はずれっていうか、物語を読み聞かせされる立場だろ。 一緒に参加してネタバレしていいのかなって…… アイソーポス: あ。あー…… 人間さん: えー……? アイソーポス: 大丈夫だろう。物語の世界を体験していると思えばいい。 彼女たちのこれまでの軌跡も、人間さんは知っているんだろう? 人間さん: 確かに……逆に、全員のことを把握しているのは俺くらいか タウルス: そうね。でもあくまでも見てるだけというか、人間さんに頼り過ぎちゃだめよね サジタリウス: そうですね。これは私達の物語なんですから (背景切換...) アリエス: みんなーっ★ 今日も元気に踊ろうねっ! 観衆: うおおおおっ、アリエスちゃーんっ!! レオ: 本当にアリエス、人気者になったな。レオ様も鼻が高いぞ カプリコーン: アリエスは派手なイメージがありますが、ことアイドル活動に関しては ストイックですからね。地道にファンを増やしてきた結果です ジャッジメント: ここから大舞台を作って成功させる……ってこと? あまりアリエスひとりに負担をかけたくもないけど キャンサー: んん~。ちょっと唐突な感じもするし~。うーん、うーん…… アルレーシャ: 川の流れは止まらない アルファーグ: 淀みない、せせらぎ キャンサー: そっか……うん、そうだよね 10374 - 形作るもの キャンサー: いろいろ考えたんだけど~。 アリエスだけがステージに上がってもわたしたちみんなのお話じゃないよね~? アリエス: そうなの。それがわたしも気になってて…… ジャッジメント: キャンサー……まさか私たちもステージに上がってアイドルをやれ、 なんていうつもりじゃないわよね アクエリアス: そ、そんなの無理ですよ!うっかり衣装の裾でも踏んで派手に転んだら機材とか 全部壊した上に受け身が取れなくて客席に向かって M字開脚しちゃったりその日に限ってノーパンでいやああぁぁぁ!! ヴァルゴ: なんで被害妄想にちょくちょくエロが挟まるのよ。欲求不満なの? オフィウクス: ヴァルゴさんにそれを言われたらおしまいですねぇ キャンサー: もちろんアイドルやるんじゃないよ~。わたしだって自信ないし サジタリウス: では……どうすればよいのでしょう? キャンサー: アリエスのステージは盛り上がるために必要だけど…… 町も盛り上げたいと思わない~? ジェミニ: 確かに……物語を作れば町は消滅から救われる、 と聞いてすっかりそっちに意識が向いていましたが レオ: 町が元気になったほうが、もっといいもんな カプリコーン: しかし、観光資源に乏しいということで結論が出たのでは キャンサー: 星空があるでしょ~? タウルス: 星空……?それを材料に観光客を呼ぶってこと? キャンサー: おにーちゃんが前にお話してくれたんだ。星を見る場所があるんだよね~? 人間さん: ああ……プラネタリウムのことか?でもあれは人工的に星を……あっ キャンサー: うん。本物の星空が見られるプラネタリウム、ってどうかな~? レオ: よくわかんないけど本物ってつくと、なんか高級な感じがするな! アイソーポス: 人間さん、そのプラネタリウムとやらの説明を頼めるか? 人間さん: ああ、プラネタリウムっていうのは―― (背景切換...) ヴァルゴ: つまり薄暗い空間でカップルが並んで横になってイチャコラ…… なんていかがわしい施設なの!! タウルス: みんながみんな、ヴァルゴみたいじゃないのよ ヴァルゴ: アタシはそんなことしないわよ! スコーピオ: しかし、さすがに規模が大きいですからね。わたしたちだけでは限界があるのでは? アルレーシャ: 土地に息づく日々の軌跡 アルファーグ: 物語を織りなす最初の一歩 サジタリウス: そうですね。町長さんのところに行きましょう 10375 - 建設計画始動 アイソーポス: 急に押しかけてすまない。少し相談したいことがあるんだ 町長: なんと……まさか副議長殿まで来られるとは アイソーポス: いや、私はもう退任した身で…… アイソーポス: ん?副議長まで、という言い方……他にもコミッティが来ているのか? 人間さん: いや俺もいまは一員だから……。 でもたぶん町長さんが言ってるのはジャコヴァのことだよ 町長: ええ。ジャコヴァ議長にはずいぶん前からお世話になっています 町長: というか人間さんってコミッティだったんですか? てっきりジャコヴァさんの配下の、気さくなお兄さんかと 人間さん: まあ気さくなお兄さんでもあるけど ジャッジメント: そういうの自分で言うもんじゃないわよ カプリコーン: それで本題なんですけど……町にプラネタリウムを作りたいんです 町長: プラネタリウム? キャンサー: おにーちゃん、説明おねがい~ 人間さん: えっ、また……? (背景切換...) 人間さん: ――というものなんです 町長: なるほど。確かにこの町は星がよく見えると言われていますからな。 それに何かと縁もありますし タウルス: やった!じゃあ作ってもいいのね!? 町長: もちろん。というか、これは私達の町のことでもある。 ぜひ手伝わせていただけませんかな ジェミニ: いいんですか!?助かります! 町長: 町外れの野原がありますから、あの辺りに作るのがいいでしょう。 あまり町から近すぎると、星が見えにくいでしょうからな スコーピオ: 確かに……明るすぎては不利になる オフィウクス: 不利ってなんのです…… 町長: ではさっそく若い衆や大工たちに声をかけておきますので アクエリアス: わ、わたしも参加していいんでしょうか……? 屈強な男の人たちの前でわたしがうっかり転んでお尻丸出しになったりしたら、 ムラムラして一斉に……! ヴァルゴ: そう思うなら転ばないようにしなさいよ 町長: あっ、ビンタの人! 人間さん: えっ、ビンタしたの? アイソーポス: ひどいな 人間さん: そういうのは俺だけにしとけよ…… オフィウクス: おっと、人間さんの独占欲が発動しましたねぇ。ジェラシーですよこれは ヴァルゴ: あんたはなんでアタシと人間さんの関係を冷やかそうとするのよ! あと町長にビンタなんかしてないから! レオ: 未遂だよな アイソーポス: 未遂でもどうなんだ 10376 - この町に根付く星の縁 サジタリウス: あの、最後にひとつだけ……よろしいでしょうか、町長殿 町長: ビンタ以外なら ヴァルゴ: だからしてないって言ってるのに……! サジタリウス: 先ほどちらっと仰っていたのですが、 何かと縁があるというのは星空との縁、ということでしょうか 町長: 曲解というか、拡大解釈というか、強引な話ではあるんですが サジタリウス: ぜひ聞かせていただけませんか。 私たちは結局、この町についてまだ何も知らないに等しい サジタリウス: プラネタリウムを作るにあたって、もし町に何か根付いているものがあるのなら、 この町の住民として知った上で取り掛かりたいのです 町長: ふむ……。では、お話しましょうか。思ってらっしゃるより最近の話なのですが 町長: あと言うほど盛り上がりませんよ。 産科医が担当妊婦の子どもに転生したりもないですし、好きだと言ってくれた子が 目を覚まさないとかイケメン宦官が皇帝の息子だったりとかもしないし スコーピオ: 前置きが長いですね…… 町長: だって話したあとにガッカリされたら立ち直れない ジャッジメント: その豆腐メンタルでよく町長をやろうと思ったわね…… 町長: まあ、とにかく……先日もありましたが、この町はとにかく、 ならず者に狙われやすい。当時も、盗賊集団に取り囲まれてしまいました (背景切換...) 町長: やめてくだされ! 盗賊: うるせえ、出すもん出しやがれ! 町長: ボロン 盗賊: このジジイ、舐めてんのかぁ!殺す!! 町長: ひいいい! (そのときでした。遠くから火の玉のような光る物体が飛んできたのです。 大きさは私の頭ほどもあったでしょうか。そんなものが次々と――) 盗賊: ほげええええっ!? (盗賊たちを次々に倒していったのでした。) (背景切換...) ヴァルゴ: ヘンタイだわ…… タウルス: ビンタはダメよ 町長: もともと古くから信仰はあったのです。 遠く、あの山を超えた向こうには神聖なる獣が住まうと…… サジタリウス: なるほど。それとあいまって、山の方から飛んできた謎の物体があり、 より信仰が強まった……ということですか ジェミニ: 信仰の話を先にしたほうが良かったのでは…… レオ: ん?でもなんで星の縁なんだ?あ、わかった!その落ちてきたのは隕石だったんだな 町長: いいえ。かつて、本当にいたとされているんです。 山の向こうのどこかに、地下深く封印されていた神聖なる獣が 町長: その名を『星の魔獣』―― サジタリウス: 星の……魔獣……っ!? 10377 - 星の伝説 タウルス: 星の魔獣のこと、知ってる? おばさん: ええ、もちろんよ。昔からずっと言い伝えられている話だもの ジェミニ: 星の魔獣ってご存じですか? おじいさん: もちろんですとも。わしのひいじいさんがよく話して聞かせてくれて レオ: 星の魔獣、わかるか? 子ども: うん、だって教科書に載ってるもん (背景切換...) サジタリウス: ――と、町の誰に聞いても『星の魔獣』を知っていました ジャッジメント: 教科書!?すごいわね!? アクエリアス: うう……もう、この町で迂闊なことはできませんね…… ここまで有名だったなんて…… ヴァルゴ: アンタ、迂闊なことって何するつもりだったのよ オフィウクス: 私たちが星の魔獣だということは、町の人たちには知られてないんですよね? ジェミニ: だと思います サジタリウス: しかし、これでもう方針ははっきりしましたね。町の皆さんに伝わっている話を できるだけ丁寧に収集して私たちの物語と結合、再構成するのです キャンサー: おもしろくなりそうだね~ ジャッジメント: でも星の魔獣についてだけでは物足りないんじゃない? 星そのものについても、何か発見があるかもしれないわ アクエリアス: なるほどです。そういうのもくっつけちゃうんですね タウルス: 今夜は月が綺麗ですね、なんて言われたらどうしようかしら レオ: ん?そうですね、って答えればいいんじゃないのか? アルレーシャ: 言の葉が持つ力は一方通行 アルファーグ: 力を見出すは知識の泉 タウルス: 言ってることが伝わらないって気持ちに関しては、 貴方たちが一番よくわかってるでしょうね…… レオ: なんだ、レオ様を置いていくな。ちゃんと説明しろ スコーピオ: 月の明るい夜は暗殺には向かないのです レオ: あ!そういうことか! ヴァルゴ: 当たり前に嘘を教えるのはやめなさいよ スコーピオ: 嘘ではありません カプリコーン: じゃあ明日からがんばりましょ。とりあえず今日はごはんでも食べて ジャッジメント: そうね。人間さんにちゃんと、 私が料理なんかもできるところを見せておかないといけないし タウルス: 嫁アピール? ジャッジメント: 違うわよ!ただのテロリストじゃないってところを分からせたいだけ! ジェミニ: 悪いけど、妹の手料理を優先してもらわないと アリエス: ここで姉の人格が出てきて圧かけるのズルくない? アイソーポス: なんだ、ここでも大人気じゃないか、人間さん 人間さん: う、うん……?これは人気と言っていいのかな…… 10378 - 町の象徴 タウルス: はいはーい。こっちよ、こっち 作業員: えっさ、ほいさ サジタリウス: さて、日ごろの鍛錬が活かせるかはわかりませんが、 ここが私の頑張りどころでしょうか ヴァルゴ: この空き地に本当にプラネタリウムなんてものを作っちゃうのね 作業員: アイソーポスさんって人にいろいろ教わったが、すごいな、あの人。 たぶんあっという間に建っちまうぞ ヴァルゴ: あっという間に……たつ……!? タウルス: まーた変なこと考えて 作業員: 立派なのが建つから期待しててくれよ ヴァルゴ: り、立派な……ね……そ、そう、がんばりましょ 作業員: 太くて固い、しかも長持ちするんだ ヴァルゴ: んんんんん!やっぱり破廉恥だわ! タウルス: 貴方も絶対わざと言ってるわよね? 作業員: バレました? ヴァルゴ: な、なんですって!アタシをオモチャにするなんて! ジャッジメント: はいはい、くっちゃべってないで手を動かして。 別に期限はないけど、ちんたらやってたら進まないんだから スコーピオ: 最近のジャッジはすっかりまともになりましたね ジャッジメント: 私は前からまともよ スコーピオ: 私だけですか。社会的にアウトなままなのは ジャッジメント: スコーピオだってだいぶまともになったと思うけど スコーピオ: 確かに、このところ獣の血しか浴びていませんね 作業員: ええ……? ヴァルゴ: さ、さあ、進めるわよ。資材を持ってきてくれたんでしょ。早く出しなさいよ 作業員: は、はい、出しますね! タウルス: なんかもう、どこまで意識してやってるのかわからないわね、この人たち…… (背景切換...) ジェミニ: みなさーん!お弁当を持ってきましたよー! タウルス: もうそんな時間? サジタリウス: 気が付けばもう太陽が真上ですね スコーピオ: 夜になれば星が見える、か…… そういえばプラネタリウムが完成したら昼はどうなるんでしょうか ヴァルゴ: 人間さんは昼でも星が見える施設だって言ってたわよ サジタリウス: それは人工的に星空を作り出す場合ですよ。 今回の私たちが作っているものだと昼は見えないのでは ヴァルゴ: ええっ!そんなの、もったいないじゃない! 10379 - 子ども目線 アリエス: あっちのプラネタリウム作りは順調かなぁ? カプリコーン: アイソーポスさんが知り合いに頼んで設計してもらったそうですし、 安心して良いのではないでしょうか アクエリアス: 私たちはしっかり聞き取りをがんばらないといけませんね! レオ: じゃあまず、ちびっこたちに聞きに行くぞ! (背景切換...) 男の子: ほし? アリエス: そう、夜になったらお空でキラキラしてる、あのお星さまのこと 女の子: えっとね、おねがいすると叶うって聞いたことある! カプリコーン: なるほど。他には何かイメージとか、お話を知ってるとか 男の子: あっ、ぼく知ってるよ。星座っていうのがあるんだって。 星と星をつないだら、何かの形になるんだよ アクエリアス: へえ、それはすごいですね。教えてもらえますか? 男の子: んー、空見ないとわかんない。でもね、すごい猟師さんがいてね、 可愛がってたわんちゃんが死んじゃった後、お空に昇っていったんだって アリエス: なんだか切ないけど、でもいいお話みたいだね★ 男の子: こいぬ座っていうんだって レオ: おー、そのまま名前が付いてるんだな。 じゃあ、星をつないでこいぬの形になってるんだな 男の子: うん!ぼく形を描けるよ レオ: すごいな!レオ様に見せてくれ 男の子: いいよ。はいっ 全員: ………… 男の子: 完成 レオ: 完成!?え、待て、これで完成!? カプリコーン: どう見てもただの線なのですが…… 男の子: だってそう教わったもん アクエリアス: そ、そうなんですか……これがこいぬ……? アクエリアス: はっ!!シンプルな形で無害な感じを演出しておいて、実はバター大好きすぎて、うっかりあんなところに塗ろうものならものすごい勢いで私の……いやああぁぁっ!? カプリコーン: アクエリアスさん。ここ学校ですからね? アリエス: それにうっかりで、そんなところにバター塗らないから。 こいぬじゃなくてアクエリアスが悪いでしょ★ レオ: なんの話だ? 男の子: さあ 女の子: こんなこと知らなくていいの! カプリコーン: きみは理解しているのか……!? 10380 - おとな目線 女子会の人1: えっ、星の話? アリエス: そう★なんか知ってることとか、イメージとか教えてほしいなって 女子会の人2: ていうかアリエスちゃんだよね!わー、可愛い~!顔ちっちゃーい! 女子会の人3: いい匂いがするー!ねえねえ、握手してもらってもいい? アクエリアス: 意外ですね。アリエスさんのファンって、男の人ばかりかと思ってました カプリコーン: 人口の半分は女性ですからね。 憧れの対象になるようにと、活動の幅を広げているのです レオ: レオ様が有能なことがわかっただろ アクエリアス: レオさんの提案なんですか!? カプリコーン: いや、私ですが レオ: レオ様だって手伝ったもん! アリエス: ねえねえ、それで星なんだけど 女子会の人1: 北の方にあるきれいな星にお願いすると、恋愛成就の願いがかなうって言うわよね! アリエス: いいね!そんなのあるんだ 女子会の人2: 南の方の赤っぽい星にお願いすると、子宝に恵まれるっていう話もあるわね カプリコーン: それは興味深いですね 女子会の人3: 西の方のちょっと目立たない暗い星にお願いすると、 良くない縁が切れるって話だけど レオ: ええ……縁切りとかもあるのか……。 レオ様、みんながそんな星に願ってたらショックすぎるぞ アクエリアス: 意外と弱気なんですね、レオさん アクエリアス: ああああぁぁっ、でも他人事じゃないですよね!? 夜中にトイレ行きたくて目が覚めたら、寝てるはずの皆さんが集まって 一斉に西を向いて祈りを捧げていたら……いやぁっ、漏らしちゃう! カプリコーン: アクエリアスさん、被害妄想は今さらなので別に構わないのですが、 私たち仲間の絆くらいは信じてもらいたいですよ アリエス: そうだよっ。ずっと一緒にやってきたし、アクエリアスがちょっとおかしな子 だってことはみんな知ってるんだし★いきなり嫌いになったりしないから! アクエリアス: そ、そうですよね……!うう、お優しい言葉に私、感動して泣きそうな―― アクエリアス: え?あれ?アリエスさん、いま私のことちょっとおかしな子って…… アリエス: さあ、次に行くよーっ★ (背景切換...) キャンサー: ごろんごろん オフィウクス: 一応、今回のキーマンはキャンサーさんなんですが……大丈夫なんですよね? キャンサー: まかせて~ ジェミニ: こう見えて結構いろいろ考えてくださってるんですよ。 お任せしましょう。私はお茶でも淹れてきます オフィウクス: ふむぅ……人は見かけによらないと言いますからねぇ 10381 - 物語の進捗 アリエス: ただいまーっ★ アクエリアス: あちこち歩いたら足が棒になっちゃいまし…… はっ、いけない。またヴァルゴさんに怒られちゃう! ヴァルゴ: え?なんでよ サジタリウス: 気づかないパターンもあるのか…… ジェミニ: みんな、お疲れさん。とりあえず飲み物でもどう? ヴァルゴ: ありがと。ふう、さすがに疲れたけど、でもなんだか充実し―― ヴァルゴ: って、姉人格!?急に!? ジェミニ: 妹は、みんなが疲れて帰ってくるだろうからと腕によりをかけて ごちそうを作ったら、ちょっとうたた寝してしまったんだ タウルス: それで姉の方の出番ってわけね。久しぶりだわ ジャッジメント: 疲れて寝てるのに、あなたが身体を動かして大丈夫なの? ジェミニ: そこまでの疲労困憊じゃないよ。少し休憩してるだけ ジェミニ: でも――妹がそこまでして用意したごちそうなんだ。 米粒ひとつでも残したらどうなるか、わかってるね? アクエリアス: ひいいっ!?い、いただくつもりでしたよっ、だから脅さないでくださいぃっ! (背景切換...) 人間さん: じゃあプラネタリウム建設は予定通り進んでるんだな ジャッジメント: そうね。まだ始まったばかりだけど アイソーポス: 地元に伝わる話の蒐集も進んでいるようだね カプリコーン: なかなか面白い話も聞けました アイソーポス: 個人的に、こういう民間伝承みたいなものは好きなんだ。 どんな話があったのか教えてくれないか カプリコーン: たとえば……祈ると子宝に恵まれる星があるそうなんですが、 ある無類の子供好きの男が、懸命に祈っていたといいます レオ: でも、そいつ独身だったんだって タウルス: いろいろすっ飛ばしすぎじゃないか? 人間さん: 人間界でも、伴侶は要らないけど子どもはほしい、 みたいな人は一定数いるからなぁ。男性ではあまり見ないけど…… レオ: そしたら、あら不思議 カプリコーン: 村じゅうの女性が次々に身ごもったそうです ヴァルゴ: それ絶対そいつでしょ!やってんのよそれは!アタシの妄想とは言わせないわよ!! アリエス: 最後は、生まれてきた子供たちに囲まれて、 年老いた男は星になったとさ……ってオチで終わるんだけど スコーピオ: ということは認知したんですね。なら多少、大目に見てあげましょう、ヴァルゴ ヴァルゴ: そういう問題!? 10382 - 物語は事実より奇とせよ アルレーシャ: 子は宝 アルファーグ: 宝多きはまごうことなき幸福 ヴァルゴ: まあ子どもたちが幸せになったんならいいけど…… ジェミニ: 妹にそんなことするやついたらボクは抹殺するけどね キャンサー: ジェミニの場合、自分の身体でもあるからややこしいね~ カプリコーン: 実はこの話、まだ続きがありまして サジタリウス: 続くんですか!? レオ: や、一旦終わりなんだけどさ。実はこの男が星になった…… って言われてる星が、子宝の星のすぐ隣にあるんだけど アリエス: そのまた近くに縁切りを叶えてくれるっていう星があってね アクエリアス: 怖くないですか!? ヴァルゴ: そ、そんなの危険すぎるし破廉恥だわ!! 子宝に恵まれますようにって願った善良な夫婦のところにある日、 テクだけ持ってるクズが現れて奥さんを……!! スコーピオ: ははあ。そしてダンナは何も知らずに生まれた子を…… アクエリアス: それか、うっかり間違えて縁切りの星にお願いしちゃって、あんなに仲睦まじかった夫婦は些細なことから行き違いを繰り返しやがて修復できないほどに…… ひどすぎますうぅううぅぅ! ジャッジメント: ひどいのはアクエリアスの想像力よ サジタリウス: ふたりとも妄想がひどい…… オフィウクス: おくすり、出しておきましょうね アルレーシャ: 事実は小説より奇なり アルファーグ: 故に、小説は事実より奇とせよ キャンサー: うん、おもしろいかも~。ふたりの妄想も物語に入れておくね~ ジェミニ: いまのを入れるのか!? タウルス: あったかなかったかも分からないようなことなのよ? キャンサー: だってお話だもん。歴史書じゃないからいいんだよ~ カプリコーン: いいんでしょうか? アイソーポス: 町を救うための物語、という意味ではキャンサーの言うとおり。 すべて作り話でも構わないくらいだから アイソーポス: まあ、いまの被害妄想を組み込むのは私も驚きだけど…… 人間さん: 星の魔獣のみんならしい、といえばそうだし ジャッジメント: 複雑な心境ね キャンサー: あー、そうだ。みんなに聞いておこうと思って~ タウルス: なによ、改まって キャンサー: わたしたち……『星の魔獣』ってことでいいのかな?これからも、そう名乗る? カプリコーン: あ…… 10383 - 魔獣の未来 サジタリウス: だいぶ時間が経過しているとはいえ、まだまだその名前はオトギノクニに 広く知られています。ポルタ島で猛威を振るった恐怖の対象として…… ジャッジメント: 『ギャベル』総帥としての私が、星の魔獣であるという事実が知られて 再燃した側面もあるわ…… キャンサー: たぶん、やり直すならいまなんだ ジェミニ: ……そうだな。 『星の魔獣』として物語に刻み込まれたら、もうボクたちに逃げ場はない 人間さん: …… アイソーポス: 監察官の意見は? 人間さん: 名前を変えようが監視は継続する。自分の仕事はそれだけだ。 どう名乗ろうと、それは本人たちの意思を尊重するべきだろう。責任は、俺がとる 全員: …… レオ: レオ様は、みんなの決めたことに従うぞ。 やっぱり新入りだし、この町のことくらいしか世界を知らないからな オフィウクス: なるほど…… アクエリアス: あ、あのっ…… タウルス: アクエリアス……?貴方が率先して発言するなんて アクエリアス: わ、私は……このままで、いいと思っています…… カプリコーン: ……! アクエリアス: み、皆さんに聞きたいんですけど……物語を作るなんて無茶をしてでも この町を救いたいのは、恩返しだけなんでしょうか……っ? アクエリアス: 私たちは、この町に根を下ろして今後も暮らしていきたい。 だから町を失いたくない、そういう気持ちもあるのではないですか? わ、私はっ、そうです……! アリエス: アクエリアス…… アクエリアス: だったら、私はもうここで嘘を重ねたくありません。 それぞれの罪を、汚名を、背負って生きていきたいです…… だってキャンサーさん、そういう物語なんでしょう? キャンサー: あぅ……うん、そうだね。未来に向かって、平和に町で暮らしましたとさ、 っていう終わり方を考えてたけど…… サジタリウス: うん……そうですね。ここで逃げるのは違う気がします タウルス: いい感じの名前も思いつかないし オフィウクス: いいんじゃないでしょうかぁ ジェミニ: 妹もきっと賛成してくれると思うし、ボクもこのままに一票 カプリコーン: ええ、この町の人たちも受け入れてくれるでしょうし、不安材料もありませんからね アルレーシャ: 罪を理由に決断は避けられない アルファーグ: すべての決断は尊重される ジャッジメント: そう、ね……。私は…… ジャッジメント: 過去から逃げるつもりはないわ。だから星の魔獣を続けることも賛成だし、 そして……私自身、ジャッジメントであり続ける ヴァルゴ: うん。きっと、そう言うと思ってたわ ジャッジメント: けど……あなたたちと過ごす時間は、私は……ギャベル総帥ではないの。 ただのリーブラなの。だから…… ジャッジメント: あの方に捧げた名前を、あなたたちだけは呼んでくれない……? リーブラ、って…… アリエス: もちろんっ!ずっとずっと、気になってたんだよ カプリコーン: これで本当に、あの頃と同じになったのですね 人間さん: えーと、それって俺も含まれてると思って、いいのかな……? ジャッジメント: そ、それは、もち―― ヴァルゴ: 勘違いしてんじゃないわよ!星の魔獣の結束を確かめてるのに、距離を詰めて、 あわよくば身体の距離もゼロにしようって魂胆なんでしょ!このヘンタイ! 人間さん: え、ええ? ジャッジメント: えっ?あ、えっと ジャッジメント: そうよ!仲間だけに本来の名前を許しただけで、 思想は捨てきっていないんだから。心を許したと思わないで! キャンサー: あははっ、おにーちゃん仲間外れ~ アイソーポス: まだまだ時間がかかるようだな、人間さん? 人間さん: 距離感って難しいなぁ 10384 - 祭りの準備 ジェミニ: じゃあ、いってらっしゃ~い!気を付けてね! サジタリウス: ええ。皆さんも留守の間、頼みますよ。いよいよ後戻りできませんからね スコーピオ: では、出発しましょう アリエス: 近くの町に告知だなんて、わたしもさすがにちょっと緊張するなぁ レオ: ほんとかー?アリエスの舞台度胸はすごいだろ ヴァルゴ: プラネタリウム完成記念ライブをアリエスがやって、そこで物語をお披露目…… アリエス: しかも劇の形でやるなんて、キャンサーって意外と大胆だよね タウルス: サジタリウスたちが持った告知用のポスターには、 もう日付も入っているから……いよいよ逃げられないわね レオ: 劇やって、ライブやって、プラネタリウムはタダで開放…… レオ様にも、人がたくさん来そうだってのはわかるぞ ヴァルゴ: ここから気合いを入れ直さないとね! (背景切換...) 町長: さ、どんどん運ぶのだ 住民たち: おーっ! カプリコーン: すごい熱気ですね。あれは? 町長: 皆さんがいろいろと企画してくださったということで、 町を挙げて祭りにしようと思いましてな ジャッジメント: 確かに商機よね。人がたくさん来るはずだし 町長: もちろんビジネス面でもやる意義はあるのですが……終わるのを待つばかりだったこの町に、せっかく希望を下さったのに我々が盛り上がらなくてどうするんだ、と アクエリアス: 町長さん…… 町長: もし仮に、この試みがうまくいかなかったとしても…… 私たちはきっと、この数日を生涯忘れることはないでしょう アクエリアス: だ、だめですっ。ネガティブなのはいけませんよっ。 必ずうまくいくんです。そう信じていてくださいっ 町長: おお……まったく、その通りですな。 私としたことが、つい年のせいか弱気になってしまいました オフィウクス: アクエリアスさんが他人を励ますなんて、 なかなか貴重な場面を見てしまいましたねぇ アクエリアス: だ、だって オフィウクス: いえいえ、いいことじゃないですか。 さて、わたしも祭りに参加させてもらいましょうかねぇ ジャッジメント: 何するつもりよ? オフィウクス: 当日に合わせて商店街が賑わうそうなので、わたしも出品するんですよ。 畑で丹精込めて作った新薬をね……ふひっ ジャッジメント: 変な効果とか出ないでしょうね…… 10385 - 星空の庭園 (こうして星の魔獣たちは再び天に戻っていきました。 そしていつまでも、この町を見守っているのです――) (以上をもちまして、プラネタリウム『星空の庭園』オープン記念、 特別公演を終了します。次のプログラムまで、いましばらくお待ちください) アイソーポス: うん……!いい話にまとまっていたじゃないか キャンサー: ほんとう?よかったぁ~ 町長: う、ううっ、ずびびびび。感動しましたよ、私は 人間さん: 俺の袖で鼻をかむのやめてもらっていいですか キャンサー: そっかぁ、みんな楽しんでくれたのかな アイソーポス: なにより、この会場の割れんばかりの拍手が物語っている。 私ひとりの評価よりもよほど価値があるだろう? キャンサー: うん! ジェミニ: キャンサーさんががんばった成果ですね! キャンサー: みんなが面白い話を持ってきてくれたおかげだよ~ タウルス: 劇の形式で見せるというのも、いいアイディアだったわね ヴァルゴ: 最初は、やっぱりアタシたちも舞台に立てって言われるのかと冷や冷やしたけど キャンサー: やっぱりプロの役者さんにお願いしないとね~ 人間さん: みんなの力もあったけど、いろいろなアイディアや判断も含めて キャンサーがよくがんばったよ。えらい、えらい キャンサー: えへへ……おにーちゃんのなでなで、うれしいな タウルス: さて……劇が好評だったところで、次はちょっと心配なパートね アクエリアス: で、でも……避けて通れませんから…… 会場: ……? ジャッジメント: いまご覧いただいた物語は、この町を舞台にしたものです 住民1: おおーっ!ジャッジちゃんだ! 住民2: 今日もでかいなぁ。何がとは言わないけど ジャッジメント: ごほん、ごほん!こ、ここからは真面目な話なんだから! ジャッジメント: かなり脚色を加えていますが、実際にこれは『星の魔獣』に起きたことをベースにしている物語なのです。では何故それを知りえたか、そして何故この町が舞台だったのか ジャッジメント: その答えは……私たちの素性にあります。 私たちは『星の魔獣』が姿を変えた存在なのです 会場: ………… ジャッジメント: ………… 住民1: またまたぁ。虚言はバストサイズだけにしなよ ジャッジメント: ほ、本当に真面目に話してるのよ! 住民1: だとしても、何も変わらないだろ。俺にとってはジャッジちゃんは、 胸がすごいでかい美人ってだけだ。魔獣だのなんだの、知ったことじゃない 女の子: そうだよっ!わたし、みんなのこと大好きだもん! おばあさん: あんたたちがこの町にくれたもの、それがすべてよ 会場: そうだそうだ!これからもずっといてくれ! 会場: 劇の筋書き通りによ! スコーピオ: 町の人たちがみんな…… アイソーポス: うん。これが民意ってことなんじゃないかな ジャッジメント: ……みんな、ありがとう。本当に……。……っ アリエス: はいはーい!ハッピーエンドになったっていうんなら! ここからはわたしの出番だよっ★ アリエス: 湿っぽいのはナシナシ!みんなで盛り上がっちゃおう~っ★ 10386 - 星々が新たに空へ見る夢を 人間さん: ――以上が、『星の魔獣』監察期間中の一部始終となる。 各委員の意見をもとに期間終了後の処遇について決議を求めたい エミリー: みんな、がんばったんだねぇ。お話作っちゃうなんてすごいことだよぅ ヴィルヘルミナ: そうね。でも人間さん、これは現場の判断というには少々、 行き過ぎた部分があることは理解してもらいたいわ 人間さん: ……それは、わかってる ヴィルヘルミナ: 勝手に物語を作らせ、勝手にアイソーポスまで介入させ、 建造物の建築を許可し、大衆を集めて演説させた…… シェイクスピア: 解釈によっては反逆とみなされることもあったわねぇ……? ジャコヴァ: ふん……まったく、私の顔に泥を塗ってくれたな? 人間さん: いや、それは本当にすまん…… ジャコヴァ: 思っていた通りだ 人間さん: え? ジャコヴァ: お前はそういうやつだ。そうだろ、人間さん 人間さん: ……? ヴィルヘルミナ: 今後はちょっと気を付けてもらいたいわ。 今回はあくまで特例として、反乱の事実がなかったことも 確認済だし不問にするとしましょう。誰も異議はないわね? シンデレラ: もちろんないけど、ずいぶん話がスムーズなのね? ドロシー: 反乱の事実がなかったって、いつ確認したわけ? いえ、蒸し返したいわけじゃないんだけど納得できないと気持ちが悪いのよ ジャコヴァ: おおよその行動は予測済みだっただけのことだ。 人間さんは本当に私の予想した通りに動いてくれたからな 人間さん: まさか……!町の事情も、星の魔獣の伝承の伝わり方も、 全部わかった上であの町を保護観察の場所に……!? ジャコヴァ: ふん、騒ぐな。うるさいぞ。きゃんきゃん喚いていいのは、わんわんだけだ ヴィルヘルミナ: では、採決を トリル: は、はいっ (背景切換...) キャンサー: ぼーっ…… ヴァルゴ: ちょっと、ここ数日ずっとあんなだけど大丈夫? ジェミニ: あれがキャンサーさん本来の姿ですよ。忘れたんですか? アリエス: ここ最近が、異常に活動的だっただけだからねぇ。 がんばったんだし、そっとしてあげよ? カプリコーン: しかし、日常が戻ってくると、 何もかも夢だったのでは、なんて思えてしまいますね オフィウクス: ああ、いいですねぇ。素敵な夢が見られるおくすりでも作ってみましょうか……。 でも、現実にはかないませんからねぇ サジタリウス: ちゃんと変化はありましたからね。観光客があのプラネタリウム、 『星空の庭園』を目当てに集まるようになりましたから。町の市場も賑わっています レオ: そういや、あの名前って誰が付けたんだ?てーえんってやつ スコーピオ: それはもちろん、この中で一番の詩人ですよ ジャッジメント: ちょ、ちょっと、詩人なんて大げさな言い方やめなさいよね! タウルス: リーブラってロマンチストなところあるもんねぇ カプリコーン: リアリストだったらコミッティに歯向かおうなんてそもそも考えないのよ ジャッジメント: う、うるさいわね…… アクエリアス: そ、そういえば今日ですよね? 人間さんがコミッティの決議を伝えに来てくれるのって ヴァルゴ: 無期限の、この町への定住権と、自由の保障…… 人間さんの提案通りに決まればいいのだけど アクエリアス: も、もし全員また迷宮に戻れなんて言われたら……!?いやああぁぁっ!? キャンサー: あ……飛空艇の音? カプリコーン: 戻られたようですね レオ: そういえばピスケスがいないな ジェミニ: さっき魚釣りに行くって出て行ってしまいました。わたし、呼んできますね! ジェミニ: あっ!? 人間さん: みんな、ただいま。今夜はお祝いに好きなものをごちそうするよ (背景切換...) アルレーシャ: 川のせせらぎが止まらぬように アルファーグ: 空の星もまた巡り続ける アルレーシャ: 星々は新たに見つけた空のもと アルファーグ: 甘い夢を見るのだろうか アルレーシャ: しかしそれを語るべきはいまではない アルファーグ: またいつか夢を見るとき―― ピスケス: 星は、輝く