400001 - 迷宮の入口 ティンカー・ベル: おったから♪おったから♪見つけて大金持ちになったら、ペトラになに買ってあげよっかなー! ドロシー: 妖精さんてば、ずいぶん楽観的なのね。そう簡単に見つかるかしら シンデレラ: そもそも、ここに宝があるなんて誰も言ってないのよ ピュルテ: ソザイン族のハンターさんからは、あくまで妙な洞窟を発見したとだけ……宝があるかどうかは分かりません ヴェルメリオ: ……それにこの気配。すごく危険そう ティンカー・ベル: そう、それ!危険なところに宝あり! ドロシー: それにしても、ここって……どこ?マンチキンの町から船で、わりとすぐだったけど ヴェルメリオ: ……小さな島。わたしと人間さんが出会った思い出の場所。うふふ ティンカー・ベル: 人間さんは三つ編み以外、全員ここで出会ってるからね!? ドロシー: そう言えばクレアたちは来なかったの? ピュルテ: ええ、何か他にやることがあるとかで…… シンデレラ: 出会った土地で、最初のメンバーだけで冒険っていうのも、初心に返る感じがするわね ティンカー・ベル: エミリーがいないと静かでちょっと寂しいなぁ ドロシー: にぎやか筆頭がなに言ってんだか シンデレラ: それにしても、こんな洞窟があったなんて気付かなかったわね ヴェルメリオ: ……何もない島だと思ってたのに ティンカー・ベル: ね!ハンターってばよく気付いたよね シンデレラ: あの人、宝探しにかけては一流だもの ピュルテ: そう言えばここって、魔法の国からもオズの国からも近いのに、どこの領土でもないんですよね ドロシー: しっ!おしゃべりはそこまでよ。奥から何か来るわ シンデレラ: 禍々しい気配……確かに、ただの洞窟じゃなさそうね ティンカー・ベル: やっぱりお宝の予感!張り切っていってみようっ! 400002 - 無の魔 ティンカー・ベル: ねえ、言っちゃいけない気はしてるんだけど ドロシー: じゃあ言わないでよ。何を言うつもりか知らないけど ティンカー・ベル: それでも言わずにはいられないの!ねえ、言うよ! ヴェルメリオ: ……はいはい、どうぞ ティンカー・ベル: 飽きた!ずーっと同じ風景で飽きたよ! シンデレラ: ティンカちゃん、遊びで来てるんじゃないんだから ティンカー・ベル: 地下だし、通路もずっと同じだし、音もしないし、分かれ道いっぱいで迷いそうだし ヴェルメリオ: ……わたしはもう絶対に地上に1人で戻れない ドロシー: ドヤ顔で言うことじゃないわよ ピュルテ: あ、ほら、魔物はいろいろ出てきてますよ ティンカー・ベル: それ別にお楽しみ要素じゃないから! ドロシー: まあね、旅するからには色々な風景を楽しんだり、その土地の美味しいもの食べたりしたいわよね シンデレラ: そうね!土が変わるとブドウの味も変わって、ワインの風合いも違うのよね! ヴェルメリオ: ……観光旅行じゃん ピュルテ: 一応、公的な支援を受けて旅してるんですから シンデレラ: 分かってるもーん…… ティンカー・ベル: 姐さんが急に妹っぽい言動をはじめたよ シンデレラ: でも……どこまで続いてるのかしらね。ほどほどのところで引き返す判断も必要かもしれないわ ドロシー: でもさっきピュルテが、色々な魔物が出てくるって言ってたけど、ここの魔物ってなんか変じゃない? ヴェルメリオ: ……そうだね。強くて、ディマイトが濃いけど、でも ピュルテ: 意志が感じられませんよね。ただ、ひたすら悲しみだけが立ち込めてるようです ティンカー・ベル: 地上の魔物は、もうちょっと何がしたい、何がほしい、みたいな感じするよね ドロシー: 一言で言うと闇が深い、ってところかしら シンデレラ: 噂をすればまた……新手のお出ましみたいよ ヴェルメリオ: ……気をつけて! 400003 - 煉獄之巨神兵 ピュルテ: シンデレラさん、この洞窟どう思いますか? シンデレラ: さっき倒したあれは……まるで私みたいな……いったい、どういうことなのかしら ドロシー: それにこの場所、明らかに人の手が入ってる。天然の洞窟じゃなくて、これは建築物だわ ティンカー・ベル: だってソザイン族が整備したんでしょ?違うの? シンデレラ: ソザイン族たちは素材を求めて、周辺の調査をしているだけよ。こんな奥深くの危険なところまで入り込んでいないわ ティンカー・ベル: そっか、手に負えないからティンカたちに話を持ってきたんだもんね ヴェルメリオ: ……じゃあ誰が作ったの。こんなしっかりした通路 シンデレラ: それに、なんで地下なのにこんな暑いのかしら ヴェルメリオ: ……そうだよね、暑いよね。わたしだけ頭巾かぶってて暑いのかと思ってた ティンカー・ベル: 思ったなら脱げばいいのに…… ピュルテ: !!皆さん、あれを ドロシー: う、嘘でしょ、地面の下の赤いこれって!? ティンカー・ベル: マグマ?ってなに、人間さん。えっ、火山から噴き出すやつ!? ヴェルメリオ: ……ここ、どこなの。わたしじゃわかんない ドロシー: 方向音痴とかいう次元の問題じゃないわよ。上がったり下がったり、ぐるぐる回ったり シンデレラ: ええ、この迷宮が地上でいうとどこに位置してるのか、私だってさっぱりだわ ティンカー・ベル: え、ちょっと!?扉があるけど……えっ、は、入る?どうする? ドロシー: ここまで来て帰る選択肢なんてないわ!やってやろうじゃない……! ピュルテ: みなさん、気をつけてください (ギィ……) ティンカー・ベル: 見渡す限り、このマグマってやつがグツグツいってんだけど……! ヴェルメリオ: ……この向こうにも奥に続く扉があるみたい シンデレラ: くっ、危ない! ピュルテ: マグマが噴き出しました! ドロシー: 何か来る!どうやらこいつが門番ってとこみたいね! 400004 - 芽生える疑惑 ドロシー: ふう……とんでもない相手だったけど、でもまあ私にかかればこんなものね ヴェルメリオ: ……この先は何があるんだろ シンデレラ: さっきのあれが門番だとしたら、ここからが本番ってところかしらね ティンカー・ベル: やっとお宝かな!? ヴェルメリオ: ……ここまでがんばったんだし、何かご褒美ほしいよね ドロシー: よしっ、それじゃあみんな、行くわよ! ピュルテ: えっ……あ、あの、待って下さい。天空神殿から通信です シンデレラ: 天空神殿から? ピュルテ: それ以上、進んではいけない……大至急、地上に戻るようにって…… ドロシー: はあ!?なに言ってんのよ。これからが本番じゃないの ピュルテ: その……神官長様からのご命令だそうです…… シンデレラ: ……。やむを得ないわ。撤退しましょう ティンカー・ベル: えーっ!?ここまでがんばったのに! ピュルテ: はい、はいっ、いま戻りますので、はいっ ドロシー: なんで戻らなくちゃいけないのか、説明してほしいわ!危険なんて、いつものことじゃないの! シンデレラ: なんで……そう、なんでかしらね。この場所は初めて発見された場所なのよ ヴェルメリオ: ……うん。ソザイン族が入口だけ見つけた、未知の洞窟だよね シンデレラ: 何故、神殿はその先が危険だと言い切れるの?いいえ、そもそも……『その先』があることを知っているの? ルーフス: あら、白いの。1人?もう報告に向かわれたのかしら? アルブス: ええ、赤いの。あの方は、行動が早くていらっしゃるから ルーフス: あたしには、この洞窟が何だかさっぱりなんだけど…… アルブス: GRⅡ計画…… ルーフス: なんて? アルブス: キャロル様のお部屋にお茶をお持ちしたときよ。ご覧になっていた資料が一瞬だけ見えたの ルーフス: それだけ?まあ、でも信じて従うだけよね アルブス: ええ。私達の主、アリス様にね 400005 - 再調査 シンデレラ: 再調査になったわね…… ドロシー: 天空神殿はどういうつもりなの!?やめろって言ったり、調査しろって言ったり ティンカー・ベル: そりゃあ、ご信託ってヤツじゃないの? ピュルテ: ご信託、ですか? ティンカー・ベル: 天空神殿、っていうくらいなんだからさ。なんか神様がいるわけでしょ ヴェルメリオ: ……そう言えば聞いたことないね。何の神様なんだろ シンデレラ: そんなスピリチュアルな話じゃないと思うけどね ティンカー・ベル: 姐さんは何か気付いてるの? シンデレラ: ここには何かがあるのよ。天空神殿が表に出したくない何かがね ドロシー: でも、だったら調査中止って言えばいいんじゃないの? シンデレラ: そこなのよ。たぶん天空神殿は、表に出したくないのと同時に知りたいんじゃないかしら ピュルテ: 知りたいって……この洞窟の奥に何があるか、ってことですか ヴェルメリオ: ……都合が悪いって予想はしていても、実際に何があるかは把握してない ドロシー: あるいは、予測はしているけどその精度に自信がない、とか…… シンデレラ: いずれにしても、先に進む権限はこの手にあるのよ。中に進むしかないでしょ? ヴェルメリオ: ……このままになんてできないもんね ピュルテ: そう言えばエミリーさんたちは…… ティンカー・ベル: それも引っかかってるんだよね!なんか神殿から、ティンカたち5人で、って指定があったんだって ドロシー: あの子達も含めて仲間なのに…… ヴェルメリオ: ……クレアっていうよりも、エミリーだよね シンデレラ: でしょうね。コミッティに情報が漏れるのを警戒してる……結局は神殿も、完全に信頼してるわけじゃないのかもね ピュルテ: とにかく進むしかない?ええ、人間さんの言うとおりですね ヴェルメリオ: ……この先に何があるんだろう 400006 - 残された絵 ピュルテ: 皆さん、気をつけて下さい。この先……何か不穏な気配がします ドロシー: 第一階層のときみたいな、門番がいるってこと? ティンカー・ベル: んんー、確かになんか強いやつがいそうな気配がするよ!? ヴェルメリオ: ……でも、ここまできて戻るわけにはいかないから ティンカー・ベル: わーかってるよ!ティンカも今、ちょっとずつ覚悟してたの! シンデレラ: そもそも、この迷宮の魔物ってなんなのかしらね ドロシー: 何って……そりゃ、ディマイトの影響で出てきたんじゃないの ピュルテ: そのディマイトはどこから……っていうことですよね。もしかすると、この迷宮の奥にディマイトが流れ出ている場所があるかもしれません ヴェルメリオ: ……それを止めないと、この前の門番みたいなのが、地上に出てきて暴れちゃうのかも ティンカー・ベル: だとしたら止めなきゃだよね!そっか、なんか神殿の言いなりみたいでイラッとしてたけど、そう考えればちょっと納得 ドロシー: 地上の普通の住民の安全のためだと思えば、まあがんばれるもんね ヴェルメリオ: ……ほとんど人なんて住んでないけどね ティンカー・ベル: なんでずきん、この場面でやる気削いじゃうかな!? ヴェルメリオ: ……えっ、ごめん シンデレラ: でも、そうよね。この上……地上にある小さな島って、灯台くらいしかなくて、他には何も…… ピュルテ: あっ!?これ、なんでしょう ドロシー: これは……絵、よね…… シンデレラ: これはどこかの部屋みたいね。たくさんの人が集まって盃や皿を持ってるわ ティンカー・ベル: 飲み会じゃん シンデレラ: ええ、飲み会ね ヴェルメリオ: ……みんな、すごく幸せそうな表情してる ピュルテ: きっと楽しい会だったんでしょうね。でも、どうしてこんな絵がここに ドロシー: 待って。裏に何か書いてあるわ。うーん、こすれてにじんじゃって読めないわね ヴェルメリオ: ……雰囲気からすると、持ち主か、描いた人の名前っぽいね ドロシー: 誰なのかしら…… 400007 - 仲間への思いは同じ ボス: アア……クッ……ココデ……クチル……ノカ…… シンデレラ: 何か言葉を話しているの……!? ティンカー・ベル: ただ襲ってくるだけの相手じゃなかったんだ! ドロシー: 私の気のせいかしら……どことなく寂しそうな…… ボス: ……ワガ……トモ……ハ……? ティンカー・ベル: とも……?友達のこと……? ヴェルメリオ: ……さっき入り口で拾った絵は ピュルテ: これですね。このみんなで楽しそうに飲んだり食べたりしている絵……! ボス: ア……アア……ミンナ……! ピュルテ: 仲間なんですね。これは、あなたの仲間たちの姿なんですね ボス: ナ……カマ……! ドロシー: 待ってよ……!ってことは、この絵に描かれている人のうちのどれかが、こいつだっていうこと……? シンデレラ: 可能性は高いわね。一体、どんな事情でこんな姿に……! ボス: ミンナ……ヲ……マモ……ル…… ピュルテ: あっ、身体が光り始めましたっ……!? ティンカー・ベル: 消えちゃったね…… ヴェルメリオ: ……完全に消滅しちゃったってこと? ピュルテ: いえ、近くに強いエネルギーを感じます。今はエネルギーだけ、つまり精霊ですらないですけど……消滅したわけではなさそうです シンデレラ: ティンカちゃん、その絵に何人描かれてる? ティンカー・ベル: え?んと……1、2……13人いるね ドロシー: ねえ、次に続く階段がここにあるわよ ヴェルメリオ: ……降りる? シンデレラ: 絵に描かれているのは13人。つまり、最大であと12人は、同じような敵を相手にする可能性があるわ ピュルテ: ですよね。この人だけが騙されてここにいる可能性も考えましたが ドロシー: 可能性を語るなら、残り全員一気に襲ってくる可能性も考慮すべきよね シンデレラ: さすがにそんなことはないでしょうけど……注意して進みましょう 400008 - 遺物 ティンカー・ベル: もー、どこまで続いてんの、これ ピュルテ: 分かりませんが、行けるところまで行くしかありませんよ シンデレラ: そうね。さっきの分岐点で二手に別れてしまった以上、半端なところで戻るわけにはいかないわ ピュルテ: でも……この遺跡、あまりに深くてキリがありませんね シンデレラ: 地上から気軽に行ったり来たりできればいいんだけど。踏破したところまでは飛んでいける魔法とかないの? ティンカー・ベル: そんな目で見られても、ティンカは妖精だから魔法をちょっと使えるだけで、本職の魔法使いってわけじゃないんだからね!? ピュルテ: 早く帰らないと、人間さんもきっと心配してますよね シンデレラ: ある程度、エルマイトは貯めておけるとは言え、人間さんの同行もNGなんて、神殿は何を考えてるのかしら ピュルテ: そうですね……今回、あまりにも指示が多すぎて、その ティンカー・ベル: どんな裏があるか疑っちゃうよね。うん、ティンカも分かるよ、それ ピュルテ: い、いえ、疑うというか……違和感なんですけど シンデレラ: ねえ、あれって……何かしら。遺跡、みたいよね ティンカー・ベル: うわ、なにこれ。んと……金属でできてるみたい。鉄とは違うね。なんだろう…… シンデレラ: ティンカちゃんでも分からない金属なの? ティンカー・ベル: 見たことないんだよね。でも材質の特徴的には銀が一番近いかなぁ ピュルテ: そんなことまで分かっちゃうんですか!?さすがですね ティンカー・ベル: すごく大きな……これ、なんだろうね。武器だったのかな シンデレラ: そうね、細長い形で、先端も尖ってるから武器っぽくはあるけど…… ピュルテ: こんなの、誰かが手に持って振り回すなんて無理ですよね。どこかに飛ばしたりする武器だったんでしょうか ティンカー・ベル: この中は、見慣れないものが次々に出てくるよね。ほんと、ここって、何なんだろ 400009 - 侵入者 シンデレラ: だいぶ深いところまで来たわね。ドロシーとヴェルは大丈夫かしら ティンカー・ベル: あの二人なら、大抵の敵は蹴散らせるはずだよ ピュルテ: 見慣れないものばかりで、ここは本当にどんな場所だったんでしょうか…… ティンカー・ベル: さっきのバカでかい金属の尖ったやつも、本当は持ってこれたら良かったんだけどね シンデレラ: 仕方ないわよ。あんなサイズじゃ、持ち歩くだけで疲弊してしまうわ ティンカー・ベル: まあね。でも大きさの割に軽かったんだよね……何でできてるんだろ、あれ ピュルテ: あちこち錆びついてて、かなり古いものみたいでしたよね ティンカー・ベル: 大昔の、儀式か何かに使ったんだろうね。どんな意味があるのか分からないけど シンデレラ: どんな儀式だったのかしら。たぶんこの施設自体は、儀式のために作られたんでしょうね ティンカー・ベル: ん……?あっ、ああっ、待てっ! ピュルテ: えっ、ティンカちゃん!?どうしたんです? ティンカー・ベル: いま、誰かいた!追いかけよう! (…………。) ティンカー・ベル: はぁ、はぁっ、はぁ……見失っちゃった ピュルテ: 見間違いだったとかではなく……? シンデレラ: ちらついた人影は、私も見てるわ。何らかの不審人物はいた、と考えるべきね ティンカー・ベル: こんな迷宮の深いところに、誰かがいるのかな ピュルテ: その人は、いったい何が目的で、こんなところにいるのでしょうね…… シンデレラ: ……私たちの知らないところで何が起きてるのか……なんだかもやもやするわ ティンカー・ベル: あ……見て、ふたりとも。扉だ。これってもしかして、また何か強いのがいるカンジ? シンデレラ: 選択肢は1つしかないわ。ここまで来て手ぶらで帰れないわよ! 400010 - 暴発 ボス: ア……アア…… ティンカー・ベル: こいつも何か喋ろうとしてる……? ボス: レグ……ル……キヲ…… ティンカー・ベル: え、なんて? シンデレラ: ねえ、今……『レグルス』って言わなかった!? ボス: ……キヲ……ツケ……ロ…… ピュルテ: あ……消えちゃいましたね ティンカー・ベル: 上にいたやつと同じように、精霊未満なカンジなの? ピュルテ: ええ、同じですね。完全に消滅したわけではなさそうです シンデレラ: ねえ、聞いたわよね。レグルスって言ったわ ティンカー・ベル: うん、それはティンカも聞いたよ。レグルスって、あの……天空神殿の、神官長の名前、だよね ピュルテ: つまり、ここにいた人は、神官長様のことを知っている……ということになりますね シンデレラ: ますます、キナ臭いわね。この遺跡と神殿は、どう関連してるのかしら ティンカー・ベル: とにかく、この扉の先に進むしかないよ ピュルテ: また似たような作りの通路ですね ティンカー・ベル: もう、似たような風景ばっかりで飽きちゃったよ シンデレラ: そうね。ここが何階層なのかも、よく分からなくなって……あっ、あれ見て!ドロシーとヴェルよ! ティンカー・ベル: ほんとだ!遠いけど、気付いてくれるかな。おおーい! ピュルテ: ……っ!? (ゴゴゴゴゴ) シンデレラ: な、なに、この地響きは ティンカー・ベル: ああっ!?溶岩みたいなのが噴き出してきた!? ピュルテ: あ、危ないっ! シンデレラ: 暴発するわ!みんな、伏せて! 400011 - ステージ ティンカー・ベル: いったたた……みんな、大丈夫!? ピュルテ: ええ、なんとか……。私たち、どうなったんでしょうか シンデレラ: 確か、溶岩が吹き出してきて、それで伏せようとして…… ドロシー: 床が崩れて、ここに落ちてきたのよ ティンカー・ベル: あっ、三つ編み!良かった、ずきんも無事だったんだね ヴェルメリオ: ……うん。ほら、上見て ピュルテ: 私たち、あの穴から落ちてきたってことですか。思ったより高い…… シンデレラ: みんな大きな怪我もなくてよかったわ ドロシー: 問題は、この部屋よ ティンカー・ベル: なんか広々とした部屋だね。あれ、なに?短い柱みたいなのがいっぱい並んでるけど ピュルテ: 等間隔に並んでますね。全部で……。あっ、12個…… ドロシー: そう。この場所で12という数字は、あまり縁起のいいものじゃないのは、分かるわよね シンデレラ: あれは柱じゃない。台座、ってことね ティンカー・ベル: えっ?理解できてないの、ティンカだけかな ピュルテ: つまり、これまで戦ってきた迷宮の怪物のような存在が、この台座に座るかも……ってこと、ですよね? ドロシー: あくまで可能性だけどね ヴェルメリオ: ……わたしたち、先にぐるっと一周してみたの。でも、ドアとかは見つからなかった ティンカー・ベル: えっ、じゃあ出入りできないじゃん!ティンカたち、閉じ込められちゃったの!? ドロシー: 出たければ全員を倒していけ。そんなメッセージを感じる舞台装置だけどね ティンカー・ベル: ぜ、全員!?今まで戦った、あんな感じの奴らとでしょ? ピュルテ: そもそも、いったい何者なんでしょうか。ただ、襲われて応戦してきましたけど、私たちはいったい誰と戦ってきたんでしょうか シンデレラ: そうね。ただ、もし12という数字に何か意味があるのだとしたら ヴェルメリオ: ……だとしたら? シンデレラ: オトギノクニで12を表すものといえば、私は真っ先にアレを思い浮かべるけど…… ドロシー: しっ!いま何か聞こえたわ。遠くから迫る……まるで地鳴りのような……? ピュルテ: はっ!?気をつけてください!そっちの方向、何かいます! 400012 - 刻まれた記憶 ピュルテ: はぁっ、はぁっ、み、みなさん! 大丈夫ですか!? ドロシー: なによあれ! とんでもない強さだわ! ヴェルメリオ: ……前に戦って、勝った相手もいるのに シンデレラ: ようやく本気を出した、ってところかしらね……! ティンカー・ベル: でもさ、いつまでもこんな物陰に隠れててもどうしようもないんだよ!? ドロシー: わかってるわよ! だいたい、この部屋は出口もないし戦ってどうにかするしか……って、うわっ、見つかった! ティンカー・ベル: やばーい! ピュルテ: 皆さん、伏せてっ……! ピュルテ: あ、あれ? ヴェルメリオ: ……いまの、蒼い光、なに? ティンカー・ベル: 誰かいる! そっか、誰かが助けに来てくれたんだね! ピュルテ: えっ、こんなとき来てくれるって、もしかしてリルちゃん? シンデレラ: ……。違うみたいね ????: ………… ピュルテ: あ、あの……助けていただいて、ありがとうございます。よろしかったら、お名前を…… シンデレラ: 待って。気をつけて、ピュルテちゃん。あのひと、本当にここに存在してるの? ティンカー・ベル: なに言ってんの、姐さん。存在してなかったら、さっきのあの怪物の攻撃を弾いたりとか、できるわけないじゃーん ドロシー: でも、シンデレラが言いたいこともわかるわ。輪郭が、なんだかユラユラしていて…… ヴェルメリオ: ……まるで、陽炎 ????: 私は……存在は、している。刻みつけられた、記憶として ドロシー: 記憶……? ピュルテ: あっ!? あれを見てください! 壁が光っています! ヴェルメリオ: ……あっちにも光ってる場所があるよ シンデレラ: 壁が光ってるんじゃないわ。これ、光る石版が壁に埋めこまれてるのよ ドロシー: 何よこれ。えーっと……村雨……? シンデレラ: 村雨……!? まさか、あなたは……ヤシャ!? ティンカー・ベル: え? 姐さん、なんなのそのヤシャって ヤシャ: 私の名だ。かつて、オトギノクニを災厄から守りし8名の戦士がひとり…… シンデレラ: オトギノクニを守護する8人の英雄、その名は『八武神』――! ヤシャは、その一人よ! ピュルテ: でも、そんなひとがどうしてこんな地底深くに……? 400013 - 時間の綻び ヤシャ: 私たちには、肉体がない ドロシー: 肉体がない、ですって……!? ヴェルメリオ: ……だから輪郭が曖昧だったりするの? ヤシャ: 私たちは思念体。私も、ガルダも――…… ピュルテ: ガルダ? ドロシー: ……っ!?後ろ! シンデレラ: あ、あなたは……! ガルダ: 我が名はガルダ。ヤシャと同じく、八武神が一人である ヤシャ: この迷宮……『十二迷宮』は、いわば墓標とも言うべきもの。私たちの、そして『十二の脅威』の、魂を縛っている シンデレラ: 魂を、縛る……?それじゃ、この迷宮を作ったのは ヤシャ: そう。私たちがこの迷宮を作った ティンカー・ベル: なんでわざわざそんなことさせたわけ!?ていうか、じゃあ入り口の方にいたあのヤバいやつとか、もしかしてあんたたちが? ガルダ: 番人を配置したのも我々である ヤシャ: 全ては行き違い、あるいは想定外の行動に由来する。まさかおまえたちが、番人を打ち倒すとも思っていなかった ドロシー: ふふん、私たちの実力を甘くみたツケが回ってきた、ってわけね! ヴェルメリオ: ……それで困ってるの、わたしたちもだからね? ドロシー: あ、そ、それもそうね…… シンデレラ: 守護者を倒すのが想定外ってことは、何か良くないことが起きてるのよね ガルダ: 封印の力が弱まっている。また、かつてのように、『十二の脅威』がオトギノクニを脅かすかもしれない ピュルテ: それなら、人間さんのエルマイトで封印できませんか?人間さん、すごく強いエルマイトを持ってますよ ティンカー・ベル: そうだよ!それでばちっと封印しちゃえば、なんにも怖くないんじゃないの? ヤシャ: 封印する能力を持つのは、あくまで私たち ティンカー・ベル: だから、あんたたちにエルマイトもりもりあげちゃえば問題ないでしょ? ヤシャ: 理屈はそうだ。しかし、肉体……つまりエルマイトの受け皿がなければ、その効果は充分に得られない シンデレラ: 肉体を復活することはできないの? ガルダ: それこそ膨大なエルマイトが必要だ。だが、試す価値はある ピュルテ: それでは人間さん、まずヤシャさんの思念の輪郭に触れてみてください!それで何か起こるかも――って、きゃっ!? シンデレラ: この……光は、なに……!? シンデレラ: い……いまのは……? ドロシー: ちょっと!?どうなってるのこれ! ヴェルメリオ: ……人間さんが、いない 400014 - 迷い込んだ地で ヤシャ: ……この島で私たち以外の誰かを見かけることになるとは思わなかったわ キンナラ: こ、これも、ほ、星の魔獣の、一種……とかじゃない、よね? ガンダーヴァ: 見た感じ、あたしらと大きな違いはなさそうだけどな マホラガ: ヤシャ、どうするー? このお兄さん、縛り上げたりとかした方がいいかな? ヤシャ: いえ、まだ敵とも味方とも……っと、どうやら目覚めたようね ヤシャ: 自分が置かれている状況はわかる? 迷宮にいたはず、ですって……? マホラガ: ふぇ? 人間界から来た? 周りには人間さんって呼ばれてた…… ヤシャ: 警戒するに越したことはないわね。動かないで ガンダーヴァ: おーっと、人間さんとやら。騒ぐなよ?あたしらから見たら、だいぶ怪しいからさ。今のあんたは、武器を突きつけられても文句言えないからな? キンナラ: や、やめよう? このおにいさんは、こ、怖いかもだけど、でも武器とか、あ、危ないから ヤシャ: もしかすると、ただ単に『星の魔獣』のディマイトに汚染されて頭がおかしくなってしまったのかもしれないわね ガンダーヴァ: だとしたら、このままここに放っておくわけにもいかないか キンナラ: このあたり、ま、魔物も、おおい、し マホラガ: じゃあどうすんの? マホたちのおうちに連れて帰るわけ? ヤシャ: それも選択肢の一つでしょう マホラガ: 敵かもしれないのにー? ヤシャ: 拘束して連れ帰らせてもらうのが一番だと思うわ。あなたも、まずそれでいいわよね。ここで野垂れ死ぬよりはよっぽどいいと思うわよ ガンダーヴァ: ……っ!? あっちを見ろ! どうやら敵さんが来たようだな ヤシャ: 来たわね、『星の魔獣』……! ガンダーヴァ: ちっ、ここまでの前座で魔力をだいぶ使っちまってるっていうのに……って、お、おおっ!? ヤシャ: エルマイトが体中に行き渡って……これ、あなたが?私たちに協力してくれるの? 確かにあなた、ものすごいエルマイト量ではあるけど ヤシャ: ……いいわ。ひとまずこの場を切り抜けましょう。もし、少しでも妙な動きをするようなら、すぐにあなたを斬り捨てるから、そのつもりで 400015 - 防波堤 ガンダーヴァ: よし、魔獣は戻っていったみたいだな。しばらくはまた、ちょっかいかけることもないだろ キンナラ: けど……すごかった、よね? ヤシャ: ええ。あんな大量のエルマイトは初めて経験したわ。あなた、何者? ガンダーヴァ: 人間界から来たとか言ったか。ただ単に頭がおかしいわけじゃなく、本当に別世界から来たのかもしれないな ヤシャ: とにかく、まずはここから移動するわよ。私たちの拠点に案内するわ ガンダーヴァ: さて、と。粗末な小屋だけど、一応ここがあたしらの根城ってわけだ マホラガ: この島がどこかって? ここはポルタ島。迷宮の入り口がある島だよ ヤシャ: なんであなたがここに来たのかは私たちにも分からないわ。そもそも、どこから来たのかも分からないし ガンダーヴァ: そもそも、ここは人が住めるような島じゃないからな。用も無いのに近づくような場所じゃない……というか、用がある奴なんていないはずだ マホラガ: なーんにもないもんね キンナラ: う、うん。あるのは、迷宮の、い、入り口、だけ ヤシャ: 十二……? さあ、あの迷宮に名前なんてあるの?でも、あなたはどうやら、色々知っているみたいね マホラガ: ってことは、人間さん、だっけ。あなたは『星の魔獣』のことも詳しいのかな。ほら、迷宮から出てくる、さっきの魔獣だよ ガンダーヴァ: あたしらはここで、あの魔獣を食い止めようとしてるんだ。あんなのが島の外に出たらどうなるか……わかるだろ キンナラ: そ、そうだ。まだ自己紹介もしてなかった。ぼ、ぼく、キンナラだよ マホラガ: マホはねー、マホラガってお名前! ガンダーヴァ: ガンダーヴァだ。みんな、ガンダって呼ぶ。よろしくな ヤシャ: そうだ、まだ顔もまともに見せてなかったわね ヤシャ: 私はヤシャ。私たちはみんな、各部族から腕に覚えがある者ばかりで全員揃って八武衆、なんて呼ばれてるわ ヤシャ: ヤシャって名前に覚えがある? そう、私も少しは名前が売れたのかしらね。なに言ってるの、あなたとは初対面よ ヤシャ: さて、ひとまず食事にでもしましょうか 400016 - 4人と4人 ヤシャ: 何してるの? もしかして退屈かしら? ガンダーヴァ: そりゃそうだよなぁ。あたしら4人とだけ、毎日延々だらだらしてりゃなあ キンナラ: ヤ、ヤシャと、ガンダは、訓練とか、してる、けど マホラガ: んでキンナラは一日じゅう読書、と。あれ、何もしてないのってもしかしてマホだけ? キンナラ: い、いいと、思う。マホは、いざというとき、ほ、本気出すし ヤシャ: とにかく、魔獣はいつ来るかわからない。だから備えだけはしておかなくちゃならないの ヤシャ: けど、そうそう頻繁に来るわけでもないわ。どうして襲ってくるのか、詳しいことはわからないけど マホラガ: 前はね、この島もごく普通の平和な島だったんだって ガンダーヴァ: けど、あの日から変わっちまった ヤシャ: あなたもわかるでしょう。創造期と現在の境目――グランド・リヴィジョンが起きた、あの日から、世界は一変したわ ガンダーヴァ: ん? ピンと来てないって顔だけど、グランド・リヴィジョンの瞬間、覚えてないのか? ヤシャ: ほら、この高台からなら見えるでしょう。あれが迷宮の入口よ。あなたが言うところの十二迷宮ね マホラガ: まーね、誰かに正式に頼まれたってわけじゃないよ。『星の魔獣』を抑え込め、なんてね マホラガ: けど……それぞれの部族で、一番強いのがマホたちなわけでさ。だったら、マホたちが逃げるわけには、いかないじゃん? ガンダーヴァ: あたしら八武衆が強くなれたのはさ、それぞれの部族が育ててくれたからなわけだしな。故郷や仲間を見捨てられないだろ? キンナラ: え? 八武衆なのに4人しかいない、って……う、うん ヤシャ: 本来は8人なのよ。ただね……意見が割れてしまって…… ヤシャ: 意見が割れたのは『星の魔獣』の扱いについてよ。完全に滅ぼすべきなのか、それとも……私たちのように、騙し騙しで共存を図るか ガンダーヴァ: こういう問題に、正解はないからね 400017 - 穏やかに キンナラ: え、えとね、人間さん。今日はきのこ鍋で、か、確定。だよね ガンダーヴァ: おー、おつかれ。今日はキンナラと人間さんが食料調達の当番か マホラガ: ちょっと、これ採りすぎじゃない? 明日もきのこでいいね ガンダーヴァ: って、明日はマホが当番だからサボりたいだけだろ マホラガ: ありっ、バレちゃった? ヤシャ: あなたって……なんだか不思議よね。つい最近、それも得体の知れない存在だったはずなのに……気がつけば、私たちの一員だもの ガンダーヴァ: まあ、正直あたしらも助かってるしな。あんたのそのエルマイトは、戦い方も変わってくるレベルだし ヤシャ: そ、それ! ガンダーヴァ: あ? ヤシャ: それ、わ、私がいま言おうと……思ってたのに…… ガンダーヴァ: 何をだよ ヤシャ: だから、その、た、た…… ガンダーヴァ: た? 戦い方が変わってくるって話? 別に誰が言おうとみんな同じ認識だと思うけど ヤシャ: その前の……! も、もういいわ、なんでもない キンナラ: だ、だめ、だよ。ヤシャ。そんな、顔真っ赤にして、怒っちゃ。な、仲良く ヤシャ: 怒ってないの! ガンダーヴァ: ふいー、食った、食った マホラガ: ね、今日も人間界の話とか聞きたい。人間さんのその、ナントカって人のものまね、マホお気に入りなの キンナラ: それ、人間さん、恥ずかしい、の? ぼ、ぼくも、見たいな ヤシャ: ふたりとも、先にお風呂に入ってきなさい マホラガ: はぁーい! いこ、キンナラ ヤシャ: え……お母さんみたいって。も、もうちょっと言い方あるでしょ!その、いい奥さんになりそう、とか…… ガンダーヴァ: なー、もうすぐ酒が切れそうだから、明日あたり買い出し……って、もしかしてお邪魔だった? ヤシャ: べ、別にそんなんじゃ……なんで人間さんが否定するのよ。もうやだ ガンダーヴァ: 明日、魔獣が来なければいいんだけどな。留守にして平気かな。来るなら明後日以降にして、って言いたいとこなんだけど ヤシャ: 無茶言わないでよ。大丈夫よ、なんとかするから。ほんと、言葉が通じれば、もう少し説得もできるかもしれないのに、とは思うけど ガンダーヴァ: 反応してるときはあるんだけどな。ま、しゃーねぇな 400018 - ナーガの誘惑 ヤシャ: はあああああっ! ガンダーヴァ: よし、やった! これで全部だな マホラガ: 『星の魔獣』はこうやって、眷属なのかな。小型の魔物を引き連れてきちゃうんだよね キンナラ: ディ、ディマイト、いっぱいだから、かな ガンダーヴァ: さて、あとは本体の『星の魔獣』に退散してもらうだけか ヤシャ: ねえ、あなたたちはどうして外に出ようとするの。何がしたくて暴れてるの!? 意志が、あるんでしょう? ガンダーヴァ: やっぱり反応してる気がするんだよな…… ナーガ: ふん、生ぬるいわね! ヤシャ: ……っ!? あなたっ ナーガ: 魔獣相手にお喋り? あははは、あなたたち夢を見るのも大概にするのね! こんな……こんな忌まわしい存在を、説得しようだなんていい加減に目を覚ましたらどう!? ガンダーヴァ: ナーガ、おまえ……。あっ、おい、よせ! ナーガ: おまえは、存在してはいけないのよ……っ! はああああっ! キンナラ: だ、だめ、けんかしちゃ、だめ マホラガ: まずいよっ!? いまの一撃で魔獣を刺激しちゃったみたい!抑え込まなきゃ! (…………。) ガンダーヴァ: なんとか追い返せたが……おい、ナーガ ナーガ: だからぬるいって言ってるのよ。全員でかかれば倒せたはずだわ ヤシャ: それが正しい方法なのかどうか、何度も話し合ったでしょう? ナーガ: その結果、あんたたちとは別行動にしたのよ。ワタシがそっちに従う理由はないわ。それより……どうなの? あなたはワタシと一緒に来てもいいのよ ナーガ: すごく……素敵だったわ……。そのエルマイトの量、強さ、どれをとっても最強の……ワタシ、あなたが欲しいの…… ヤシャ: ちょっと! 人間さんから離れてよ! ナーガ: あら、あなたのモノなの? ただ先に見つけて出会っただけよね ヤシャ: ぐっ……! ナーガ: 人間さん、だったかしら。そう、あなたもここにいるつもりなの?いいわ、今日のところはこれで。また会いましょう。……ちゅっ ヤシャ: なっ!? キンナラ: あ、ちゅーした マホラガ: 行っちゃったね……もう、ナーガは本当に勝手なんだから ガンダーヴァ: いまのが、八武衆の残りのひとり、ナーガだよ。ほか3人と……魔獣はぶっ倒すべきだって意見で、あたしらとは別行動してる ヤシャ: ……あの、さっきはありがと。ハッキリ、ここに残るって言ってくれて。さっ、戻りましょう! 400019 - 月のない夜 マホラガ: 『星の魔獣』はさ、何故か夜にはあまり現れないんだ。けど、今夜みたいな月のない夜にだけは現れることがあるの ガンダーヴァ: だから、こうして見回りにきたってわけだ。まあ、毎晩じゃとてももたないが、たまにだからな マホラガ: 月に1回? なにそれ。月のない夜にかけてるの?あはは、変な言い方だね。……え、普通? ヤシャ: この近くにお湯のでる湖があるの。ちょっと見に行ってみる? キンナラ: お、おん、せん? 人間界では、そういうのがあるの、かな ヤシャ: ここね、私のお気に入りなの。体を湯につけると、疲れが取れて気持ちも休まるのよ マホラガ: ってヤシャは言うんだけどさ。マホはお湯に入ってじっとするなんて退屈すぎて寝ちゃいそうだよ ヤシャ: 今度、人間さんと一緒に入りに来たいな。なんて…… キンナラ: え、ど、どしたの。人間さん、顔が赤いし、そ、それに、エルマイト、す、すごいよ ヤシャ: え……!? 人間界では、裸でお湯に入る……!? ち、違うのっ、私はいつも服を着たままだったから! そんな意味で誘ったんじゃないからね! ガンダーヴァ: いいだろ、裸なんか減るもんじゃなし…… ガルダ: ふふっ、相変わらず仲睦まじいようじゃな ヤシャ: ……っ!? ガンダーヴァ: おまえ……ガルダ……! マホラガ: うん、そうだよ人間さん。ガルダは、この前のナーガと一緒にいる ガルダ: そう警戒してくれるな。かつての仲間……いや、今でも敵ではなかろう ヤシャ: どういうつもり? 何の用? ガルダ: ふむ……単刀直入に言おう。もはや『星の魔獣』に関しては残された時間も少ない。そこへ、そこにいる人間さん殿の存在…… キンナラ: け、けんかに、人間さん、り、利用する、の? ガルダ: 少々悪意のある言い方ではあるが……論旨としては、その通り ガルダ: 確実に討つか、生かさず殺さずで様子を見るか。互いの間で意見が割れるは百も承知。しかし、もはや議論する暇すらないのだ…… 400020 - 揃った八武衆 ガルダ: では、我ら残る八武衆も名乗るとするか。まずは、わらわからだな。名をガルダという。人間さん殿、急なことで驚かせてすまんな ナーガ: ナーガよ。他に言うことはないわ ディーバ: どもどもー! うち、ディーバってんだけど。人間さんくん、なんかすごいらしいじゃん? アシュラ: オレはアシュラ。八武衆でも一番の力自慢だ ヤシャ: この四人が、前にも少し話した残りの八武衆。『星の魔獣』を完全に討ち滅ぼすべきだって言ってるの ガルダ: おそらく、わらわたちのことは過激すぎると思っているのであろう?だがな、かつて起きたことは前提にせねばなるまい アシュラ: 特にナーガは、な ナーガ: やめて。ワタシの個別の事情なんて、どうでもいいでしょう ガルダ: どうでもいいはずがない。大切な仲間の、大切な家族のことぞ ナーガ: …… アシュラ: かつてナーガの家族は『星の魔獣』の襲撃を受けたんだ ディーバ: まだ、うちらの仲間の部族とかも、普通にこの島に住んでた頃の話ね ガルダ: 幸い、一命はとりとめたが……高濃度のディマイトに触れた影響からか今でも口を利くことはかなわぬ ディーバ: あんたたちはさ、こっちの言うこと伝わってるかも、とか思ってんだよね? ガルダ: 意思疎通できる相手に刃を向けることに抵抗があるのは理解はする。しかし…… ナーガ: 言葉で説得なんて、無理よ。討ち滅ぼす以外に道はないの ヤシャ: ……ナーガの言ってることも事実よ。でも、それでも……私は可能性があると思ってるの ナーガ: 時間がないの。ガルダが言ったでしょ。手遅れになってからじゃ遅いのよ! ガルダ: このところの魔獣の行動、急速に行動範囲が拡がっている。もう我ら8人だけでは島に押し留めておくことすらできないであろう ディーバ: ヤシャたちがさ、他の方法も考えたいっていうのは、うちはいいと思う。でもさ、それって試してる時間があるときの話だからさ ヤシャ: ……でも、そう決めたからといって、簡単に討伐できる相手じゃないわ ガンダーヴァ: それはヤシャの言うとおりだな キンナラ: 人間さんの、エルマイト、使う、の? マホラガ: そりゃ力は強くなるけど……倒せるかどうかはわかんないよ ガルダ: そこで、一計を案じておる。もしかすると、これは折衷案かもしれん 400021 - 折衷案 ガンダーヴァ: なんだその、せっちゅー案ってのは マホラガ: あー、人間さん。なんかエッチなことだと思ってない?否定しすぎ、怪しい~! ディーバ: マホの言うことに、まともにリアクションしてくれるとか、いい人じゃん ヤシャ: 折衷案ってことは……完全に討ち滅ぼすのではないけど、友好的に接するわけでもない、ていうこと? ガルダ: 封印だ ガンダーヴァ: 封印……だと? ガルダ: 次の、月のない夜……この秘術を使えば、魔獣はその動きを完全に封じられることとなる。死ぬわけではないが、身動きすら叶わぬ ヤシャ: だから折衷案、ってわけね…… ナーガ: ただし、この秘術を使うには条件があるわ。ワタシたち8人が揃うこと、そして…… マホラガ: じゃあ、そっちも4人でずっと一緒にいたの? ディーバ: そーそー。ガルダがほら、魔獣が次にどのへんに出るかとか、占ってくれてたからさ アシュラ: 別にバラで行動してもいいよな、なんて話も出たんだけどな。そうやってなんのかんの理由つけて、結局ずっと一緒だったな キンナラ: ん……みんな、いっしょ、がいい ガンダーヴァ: そうだな。それこそ……次の、月のない夜までは、せめてな マホラガ: ガルダとヤシャとナーガは、またなんか話し合ってんの? ディーバ: あんな感じだけどさ、実はナーガだって寂しがりなんだと思うね ガンダーヴァ: あはは、だと思うよ。だから人間さん、ナーガのこと嫌わないでやってくれよな ナーガ: ワタシが、なんですって? マホラガ: うわ、出た! ナーガ: 失礼ね! 人を化け物みたいに言って キンナラ: あ、怒って、いっちゃった アシュラ: ほっとけ、ほっとけ。すぐカリカリするからな、あいつは。……って、お、人間さん? 追いかけるのか? ナーガ: ……。これで……いいのよね。これで、ケジメつけられる…… ナーガ: ……っ!? 人間さん……なによ、何の用? ナーガ: ふふっ、もしかしてワタシの色気にあてられちゃった、とか? ナーガ: な、なんなの、急にそんなマジメな顔で。別にアナタに嫌われようが、ワタシは気にしてないわよ ナーガ: 気にしてないけど……でも、ワタシの事情も理解してくれるのは単純に気が楽だわ ナーガ: ワタシの、いえ、ワタシたち8人のことを憶えていてくれるのは、アナタだけなんだから…… ナーガ: 封印の秘術を使えば『星の魔獣』とともに、ワタシたち8人も封印される――そうなれば、残されるのはあなただけ 400022 - いつもの夜 ディーバ: よーっし、そんじゃかんぱーい! ガルダ: このような宴、毎晩やっておるではないか。いちいち乾杯などせんでもよかろう アシュラ: まあいいじゃねえか。毎晩やってっけど、どうせ残り……ん、何回だ ガルダ: 今日で、最後じゃな アシュラ: あー、そっか。なんか、もうとっくに覚悟しちまったら、日付のカウントダウンも忘れちまったよ マホラガ: あーほら! 人間さんは暗い顔しないの! ううん、してた!ちょっと切なそうな顔してたもん ガンダーヴァ: まあ、残される側もつれーよな。自分ひとりじゃな ヤシャ: この島、『星の魔獣』のおかげで、奴らが引き連れてる魔物以外は誰もいないわ。一人で港まで行くのも、そんなに危険じゃないから ヤシャ: 私たちがいなくなった後の話なんてしたくない? バカね。じゃあ、いつするのよ。私だって、心配なんだから キンナラ: うん。ほかに、ほうほう、ないんだよ ガルダ: もう、そのことは散々話したじゃろ。他に手はない。そのことを人間殿が気に病む必要もない ヤシャ: あなたの力不足だなんて、誰も思ってないわよ。むしろ、あなたのその強いエルマイトがあったから、あの秘術も使えるの ナーガ: にしてもヤシャって、そんなに優しい感じだったかしら ガンダーヴァ: あー、わかる。もっと冷たいっつーかさ、クソマジメっつーか ヤシャ: な、なによ! 別にいいでしょ ナーガ: だって見慣れないな、と思って。封印の話が出てから変わったの?それとも、人間さんと会ってから? ヤシャ: 変な意味にしないでよね! 関係ないってば! ナーガ: ふーん? ヤシャ: 何よ ナーガ: この前、川べりでワタシ、人間さんと二人っきりで話したんだけど ヤシャ: 二人っきりで……! ふ、ふうん、そう ナーガ: 寂しかったときに優しい言葉をかけてくれてね ヤシャ: ふーん……そう ナーガ: だからお色気攻撃しちゃったんだけど ヤシャ: はああ? ま、まあ別に、いいんじゃない? ナーガ: 軽く流されちゃったわ ヤシャ: あ……そ、そうなの。もうナーガったら、やめなさいよ マホラガ: ヤシャって嘘つけないねぇ ヤシャ: 何が言いたいのよ……! ガルダ: はっはっは、最後の夜だと言うのに、おまえらは普段どおりじゃな。まったくもって、普段どおりじゃ 400023 - 十二迷宮の封印 ガンダーヴァ: それじゃ、行くぞ。ここから入れば、迷宮はそう深くはない キンナラ: いよいよ、なんだね ガルダ: 見覚えがある? 人間さん殿、この迷宮に入ったことがあるのか? ガンダーヴァ: あたしらだって、こんな奥には初めて入るのにか? ガルダ: もしかすると……本心では封印されたいと願う『星の魔獣』の思いが我らのもとに人間さん殿を遣わしたのかもしれんな ナーガ: あるいは、もっと違う誰かの……とにかく何かの意志があったのかもね アシュラ: 誰の何の意図があろうと、今さら何も変わらないけどな マホラガ: 人間さんは……なに。全部わかっちゃった? 何が? ガルダ: さあ。秘術の準備は整った。後は人間さん殿がエルマイトを全員に供給し、わらわが最後に念を込めれば完成じゃ アシュラ: 人間さん。短い間だったけど、楽しかったぜ ディーバ: 合流してから、すっごい楽しかった。やっぱ八武衆は全員揃わなきゃ。それに……人間さんも、たくさん遊んでくれたし マホラガ: マホがイジっても、全然怒んないで相手してくれたし! キンナラ: えぐい、いじり、だった マホラガ: 好きの裏返しだから! ね、人間さん♪ キンナラ: ぼくも、み、みんな、だいすき。人間さんも、その、あり、ありが、ありがと…… ガンダーヴァ: あたしらは、封印されるから死ぬわけでもねえ。あの世で待ってる、なんてことも言えねえけど……でも、いつか会えたら、朝まで飲もうな? ナーガ: もう、バカね。最後まで笑ってお別れしようって、昨日話したのになんて顔してるのよ ガルダ: はは、それでも一応、笑顔のつもりなのか ヤシャ: 十分、あなたは助けてくれた。あなたの手のひらから伝わる強力なエルマイトが……私たちみんなを助けてくれたのよ マホラガ: ねー、ヤシャ。最後だよ。ちゃんと思い残さないようにしないと。マホたち、みんな目を閉じとくからさー、薄目だけど ナーガ: 人間さんに言っておくこと、あるんじゃないの ヤシャ: う、うん……。私、最後の最後に、ほんの短い間だったけど、あなたに会えてよかった。その……幸せだった ヤシャ: 本当はもっと、一緒にいたかった。いろんなこと、したかった。もし、会えたら……会えるときがきたら、また私のそばに……いてほしいの ヤシャ: 私、あなたのことが……好き。んっ…… マホラガ: あー! ちゅーした! ヤシャ: 目、閉じてないじゃない! マホラガ: えへへっ ガルダ: では……始めよう。どうか人間さん殿、我らに何が起きたのか、人間さん殿だけでも憶えていて―― ピュルテ: ――さん、人間さん! ドロシー: よかった、目を覚ましたわ! シンデレラ: 全然、起きないから心配したのよ ティンカー・ベル: ふー、とりあえずこれでひと安心だね ヴェルメリオ: ……あれ、人間さん。どうしたの、どこか痛いの ピュルテ: なんでって、だって……涙が次々に流れて……やっぱりどこか痛いんですか? ピュルテ: 痛いんじゃなくて? 思い出した、から……?